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特許7265499高信頼性ロボット・クロスコネクト・システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】高信頼性ロボット・クロスコネクト・システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/02 20060101AFI20230419BHJP
   G02B 6/35 20060101ALI20230419BHJP
   H04Q 1/14 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
B25J9/02 A
G02B6/35
H04Q1/14
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020024858
(22)【出願日】2020-02-18
(62)【分割の表示】P 2017550462の分割
【原出願日】2015-11-24
(65)【公開番号】P2020114618
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2020-03-18
(31)【優先権主張番号】62/091,541
(32)【優先日】2014-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517209396
【氏名又は名称】テレセント・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】キューウィッチ,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ザンボス,ドン
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0321255(US,A1)
【文献】特開2005-099345(JP,A)
【文献】特開2004-038132(JP,A)
【文献】特開2005-345410(JP,A)
【文献】特開2004-226984(JP,A)
【文献】特開平06-331910(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0076589(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255
G02B 6/35-6/40
G02B 26/00-26/08
H04Q 1/00-1/16
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の行および列の二次元平面分散内に配置された両面光ファイバ相互接続カプラの第1側に各々別個に係合される第1複数の固定入力と、前記両面光ファイバ相互接続カプラの第2側において係合される第2複数の可変入力との間における個々の相互接続を変化させる光ファイバ・ネットワーク用の構成システムであって、
前記構成システムが、
平行かつ水平の形、各コネクタ行の長さの方向に対して垂直方向に積層された複数のコネクタ行であって、前記コネクタ行の各々は、その長さの方向に沿って離間された所定数の光ファイバ相互接続カプラであって、その第1側で固定の外部入力を受け第2側で可変入力を受けるように構成された光ファイバ相互接続カプラを含み、前記外部入力および可変入力が、各々、その内部の光ファイバ・エレメントの対の間で光信号を転送し、前記コネクタ行が、各々、所定の同様の長さと可撓性を有する所定数の長いコネクタ・トラックであって、光ファイバ相互接続カプラ間の間隔に対応する、隣接する平行な長い固定のコネクタ・トラック間の選択された横方向間隔において前記コネクタ行から垂直に延びる長いコネクタ・トラックを含む、コネクタ行と、
複数のファイバ・コネクタであって、各々が、前記長い固定のコネクタ・トラックの長さに実質的に対応する個々の長さを有し、各々が、個々の光ファイバの自由端を含み、前記システムにおける既存のファイバ・コネクタ間の横断方向間隔を通って横断方向に移送可能になるようにその長さの方向に沿って十分に細い、複数のファイバ・コネクタと、
を備える、構成システム。
【請求項2】
前記長い固定のコネクタ・トラックは、各々、異なる光ファイバ相互接続カプラに取り付けられている、請求項1に記載の構成システム。
【請求項3】
前記複数のコネクタ行は、前記光ファイバ相互接続カプラの入力アレイを形成し、前記固定の外部入力は、外部光ファイバ入力を含み、前記可変入力は、個々の内部ソースからの信号を変化可能な光ファイバ入力の二次元分散を通して導く三次元アレイからの変化可能な光ファイバ入力を含む、請求項1または2に記載の構成システム。
【請求項4】
前記複数のファイバ・コネクタのうちの個々を制御可能に係合および解除する位置決めメカニズムを更に備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の構成システム。
【請求項5】
前記複数のコネクタ行は、両面光ファイバ相互接続カプラの行および列二次元配列を備え、前記位置決めメカニズムは、
(A)光ファイバを前記両面光ファイバ相互接続カプラの行および列の前記配列における異なる選択位置に変更するために、前記位置決めメカニズムを前記両面光ファイバ相互接続カプラの行および列の前記配列における選択された行および列位置に導くためのコマンドを提供する軌道制御システム(117)と、
(B)前記位置決めメカニズムによって動作的に移動可能な光ファイバ受容エレメント(101)と、
(C)前記光ファイバ受容エレメント内の選択された個々の光ファイバを、前記両面光ファイバ相互接続カプラの行および列の前記二次元配列を通る移動によって、選択された係合関係に移送する機械式位置割り当てシステムであって、前記機械式位置割り当てシステムが、(i)第1板状部材(30)と、(ii)前記第1板状部材(30)に平行な第2板状部材(35)であって、前記第2板状部材(35)の離間領域において固定的に結合された平行軸に沿って摺動可能であり、これらの間で相対的な移動を行う第2板状部材(35)とを含む、機械式位置割り当てシステムと、
(D)前記第1板状部材(30)上に取り付けられ、前記第2板状部材(35)を前記光ファイバ受容エレメント(101)に対して選択された直線位置まで移動させるように結合された水平アクチュエータと、
(E)前記平行軸のうちの下側の方から下降し、選択された端子の位置にあるとき、前記軌道制御システム(117)からのコマンドに応答して目標光ファイバを係合する、グリッパ・アセンブリを含む光ファイバ係合デバイスと、
を備える、請求項4に記載の構成システム。
【請求項6】
前記第1板状部材は、前記位置決めメカニズムにおいて垂直方向に下降する、請求項5に記載の構成システム。
【請求項7】
前記第1および第2板状部材(30、35)は、前記両面光ファイバ相互接続カプラの行および列の前記配列におけるファイバの間の列間空間内に隣接関係で収まる、請求項5または6に記載の構成システム。
【請求項8】
前記第1板状部材(30)が、前記位置決めメカニズムの下降端に結合された部分的に上位の位置を有し、摺動可能に前記目標ファイバを係合するファイバ・グリッパ・ガイド(20)まで垂直に延びて当該ファイバ・グリッパ・ガイドを含み、前記平行軸が、前記第1板状部材(30)を摺動関係で貫通する、請求項5-7のいずれか1項に記載の構成システム。
【請求項9】
前記第1板状部材(30)上に取り付けられ、前記第1板状部材(30)に対して前記第2板状部材(35)の逆側に被駆動回転可能部材(28-5、28-6)を含む駆動メカニズムと、
コマンド信号に応答し、前記第2板状部材(35)および前記目標ファイバを選択された直線位置に配置するように前記駆動メカニズムを動作させるモータ(33-1)と、
を更に備える、請求項8に記載の構成システム。
【請求項10】
前記駆動メカニズムは、ケーブルを含む、請求項9に記載の構成システム。
【請求項11】
前記位置決めメカニズムは、
前記位置決めメカニズムに対する物理的基準として役割を果たす支持構造と、
コマンド信号に応答し、前記支持構造上に取り付けられ、第1軸を中心に回転可能な駆動キャプスタン(122)を含むステッパ・モータ・ドライブ(32)と、
前記第1軸に垂直な軸に沿って、前記支持構造内において離間関係で摺動可能に係合された少なくとも1対の平行ベアリング軸(26-1、26-2)と、
前記ベアリング軸(26-1、26-2)の反対側に延びる両端に固定的に取り付けられ、それらの間に、前記駆動キャプスタン(122)にまたがる動作位置決めゾーンを定める1対の離間端子ブロック(29)と、
前記駆動キャプスタン(122)の回りを少なくとも1回巻回され、前記ベアリング軸の間の各端部において、異なる端子ブロックにおける固定取付点まで伸びる、駆動フィラメントまたはケーブル(25’、25’’)と、
を備える、請求項4-10のいずれか1項に記載の構成システム。
【請求項12】
前記駆動フィラメントまたはケーブル(25’、25’’)の長さが、モータ失速を回避するために、前記端子ブロック(29)を移動させるときに前記駆動キャプスタン(122)に選択された加速を供給するように、前記端子ブロック(29)間の広がりの長さ、および前記駆動キャプスタンの回りの円周方向巻回しの長さに関して選択される、請求項11に記載の構成システム。
【請求項13】
前記ベアリング軸(26-1、26-2)が、互いと同様の長さを有する、請求項11または12に記載の構成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、一般的には、多数のポート対間に低損失、ソフトウェア定義光ファイバ接続を設ける大規模ロボット・クロスコネクト・システムを対象とする。本システムにおけるメカニズムは、信頼性のある動作を確保する数多くの特徴を組み込む。
【背景技術】
【0002】
[0002] 大規模な自動化光ファイバクロスコネクトスイッチおよびソフトウェア定義パッチ・パネルは、データ・センタおよびデータ・ネットワークを完全に自動化することを可能とし、効率向上およびコスト節約のために、物理ネットワーク・トポロジがソフトウェア定義される、即ち、プログラミング可能である。クロスバー・スイッチのような現在の光ファイバ・スイッチ技術は、N(Nはポートの数)に比例し(scale as)、大規模な生産ネットワークには不向きになっている。クロスバー・スイッチの先行技術の開示には、Buhrer et.al.の米国特許第4,955,686号、Sjolinderの米国特許第5,050,955号、Arol et.al.の米国特許第6,859,575号、およびSafrani et.al.の米国特許公開第2011/0116739A1号が含まれる。
【0003】
[0003] 更に最近の自動化パッチ・パネル手法は、ポート数と線形に比例し、編組光ファイバ素線(braided fiber optic strand)を利用する。トポロジの数学における進歩、ならびに結び目および絡み目の理論(Kewitschの米国特許第8,068,715号、第8,463,091号、第8,488,938号、および第8,805,155号)は、任意のおよび無制限の再構成が行われる相互接続素線の高密度集合体に対するファイバの絡み合いという課題を解決した。結び目、絡み目、および素線(KBS:Knots, Braids and Strands)技術は、相互接続素線の数に線形に比例するので、密度およびハード
ウェアの簡素さというような、クロスバー・スイッチに対する多大な利点が認められる。自律パッチ・パネル・システムを特徴とし、先に引用したKewitschの特許にしたがってKBSアルゴリズムを実現する既存のシステムは、通例、ピック・アンド・プレース・ロボット作動システムを利用し、光ファイバ・コネクタおよびそこからシステムにおける中央バックボーンまで延びる光ファイバ素線を掴んで移送するためにロボット・アームの端部にグリッパを有する。ロボット・アームは、狭い幅および広い奥行きを有し、周囲のファイバとの機械的干渉や接触を生ずることなく、高密度の光ファイバ相互接続空間域(volume)内部まで下降することが可能であり、しかもその上、グリッパ内で搬送されるファイバから発する磁気反発や張力を含む横力の下でも最小限の撓みしか起こらないように十分な剛性を有する。しかしながら、この新たなクラスの物理光ファイバ切り替えまたは接続管理システムにおける更なる改良が常に望ましいことである。改良には、緻密さ、ハードウェアの簡素さおよび動作信頼性に関するものが、単独でまたは組み合わせで含まれる。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本発明は、編組光ファイバ素線およびこの規模拡大の課題(scaling challenge)へのトポロジの数学の応用を利用する、この新しいタイプのクロスコネクトの性能を向
上させる装置に関する。本発明では、非常に信頼性が高い自動化クロスコネクト・システムを、複数の独特なハードウェアおよび動作機構と共に採用して、高い緻密さ、性能、および信頼性を得る。例えば、平行で正確に分離されたコネクタ・エレメントの高密度三次元マトリクスを、直交二次元(two orthogonal dimensions)にわたって分散し、複数の多
機能エレメントを第3次元の各接続経路に沿って配置する。コネクタ経路は、各々、複数の線状ベース・エレメントの内個々の1つずつを含み、線状ベース・エレメントは、各々
、クロスコネクト・システムにおいて選択されたベース・エレメントと整列するように、別々に移動可能である。本発明は、このシステムが挿入損失の複数の異なるユーザ定義状態を設けることを可能にする、独特な磁気掛止型光ファイバ・コネクタ・デバイスを含む。このデバイスは、反復可能なロボット係合および再構成を容易にするために、信頼性の高い自己誘導吸引モード磁気ラッチ(latching)を含む。更に、磁気掛止型光ファイバ・コネクタを保持するロボット微小グリッパ・デバイスを開示し、微小グリッパは、選択されたコネクタとの適正な係合を確保するために、一体の検知および作動手段を含む。更に、本システムには、複数の離間された水平コネクタ・レセプタクルが垂直に積層された、移動可能な行が構成される。各行は、複数の平行コネクタ・トラックで構成され、各コネクタ・トラックは、嵌合コネクタ・レセプタクルと、光ファイバ・インターフェース・ポートと、複合機械および磁気基準機構(reference features)とを含み、光ファイバ・コネクタ・デバイスおよびグリッパ・デバイス双方の信頼性高い掛止および配置(locating)を達成するように構成される。コネクタ・レセプタクルの移動可能な行は、精密射出成形された並進アセンブリおよび作動手段を組み込み、これら3つの水平位置の1つの間で行を精度高くそして正確に並進させる。これらの位置は、KBSアルゴリズムによって決められる垂直行シャッフル応答(shuffling response)を生成し、本システムの体積効率を高めるのに役立つ。
【0005】
[0005] グリッパは、二部構成体、即ち、複数の周囲の延長部材(extended members)間で特定の目標コネクタ延長部材と機械的に係合または連動する中央本体と、再構成可能な内部光ファイバ・コネクタ・アセンブリを係合および検知する手段を組み込んだ、被駆動並進可能外側本体またはフレームとから成る。制御される伸縮アームの下端に取り付けられた幅狭のグリッパは、グリッパ連動センサが延長部材との適正な係合を検出するまで、選択され中心に位置付けられたコネクタ行上を降下する。グリッパ外側本体は、内部コネクタ・アセンブリを差し込む、引き抜く、または部分的に切断するために、延長部材に並列に並進する。並進メカニズムは、独特に、駆動ラインを組み込む。駆動ラインは、グリッパの双方向横方向並進を制御するために、小さいが正確な過剰長だけ、モータ駆動軸の回りを巻回される。これによって、静止状態からの起動加速時における駆動モータの失速を未然に防ぐ。
【0006】
[0006] また、クロスコネクト・システムは、水平行の増強可能な垂直スタック内に配置された、平行であるが正確に横方向に分離された長い基準部材の三次元アレイに基づく。基準部材は、狭く、選択された均一の長さであり、選択された曲げ特性を有し、複数組の小型永久磁石を含む。これらの小型永久磁石は、係合の異なる別々の動作状態の間磁気吸引および反発力双方を利用するように配備される。細い基準部材の各々は、異なる光ファイバ・コネクタの端部を挿入することができる異なる受容アパーチャに密接に隣接するように位置付けられる。端部アパーチャは、垂直接続平面内の横断方向に配置された水平行内に位置し、各々が、本システムによって再位置決めされた光ファイバ・コネクタの端部を潜在的に受容できるように位置付けられる。小型永久磁石は、その長さに沿って、選択的に位置付けられ、少なくとも2つの安定した挿入位置を定め、更に横断方向の反発力を供給するような極性を有し、隣接するエレメントを、エレメントの高密度三次元アレイ内において別々に維持する。
【0007】
[0007] 更に、本願は、命令にしたがって光ファイバにアクセスし再位置決めするための独特な緻密な(compact)構成も開示する。延長した長さ(0からL)に関係なく、最
小横断方向追従性および高い長さ効率(length efficiency)を有する伸縮ロボット・アー
ム・デバイス(範囲Lの引っ込み高さLに対する比)が、1つのコネクタ・トラックから、周囲のファイバを通り、他のコネクタ・トラックまで、KBSアルゴリズムの指令の下で水平方向に移動可能な独特な垂直伸縮構造を配備することによって達成される。二段階伸縮アーム構成は、垂直矩形管、即ち、「C」字状外側本体の選択された直線長に基
づき、内部スライダ本体が、伸縮アーム内部において独特な摺動ベアリング・キャリッジおよびばね予備荷重構成(spring preloading arrangement)によって、整列して維持され
る。この構成は、一定長の平坦で可撓性がある電気インターフェース・ケーブルを動的にグリッパ・メカニズムから外部制御システムまで引き回すことを可能とし、内部摺動体が外側本体と同期して移動するように、これを引くという二重の目的を果たす。ロボット・アームおよびグリッパ構成は、非常に幅が狭く、ファイバ相互接続空間域における限られた空間(space)全域にわたって邪魔になることなく移動することが可能である。
【0008】
[0008] 更に、自動化洗浄デバイスについても、洗浄中における洗浄布および研磨された光ファイバ・コネクタ・フェルール上の力を統合して検知する追加の特徴と共に記載する。内部で生成された電気信号を利用して、ロボット位置を精度高く制御し、ファイバ端面において最大値未満の圧縮力を維持するために、フィードバックを与える。この正確な制御により、ファイバ端面の反復可能な高品質の洗浄を確保し、粒子の蓄積を防止することによって、現在の手作業のプロセスと比較して、上位の品質および一貫性のために、一貫して低い挿入損失、高い反射損失の光接続を達成する。ファイバ洗浄サブシステムにおいて、供給スプールから、洗浄カセット・パッドを介して分配スプールに洗浄布が供給される。この構成は、多数のファイバを1つの供給スプールから洗浄することを可能にする。
【0009】
[0009] 光ファイバ巻取りスプールの積層平面アレイは、正確に離間された幾何学的配置で分散されたアイレット、ガイド、およびローラの組み合わせを通って動的に引き回されるファイバと併せて、固定入力アレイと物理的に変化可能な出力アレイとの間において、低損失の光ファイバ接続のソースを設ける。ファイバの信頼性および光透過特性が悪化しないように、制御された張力から生ずる過度に鋭角な折り曲げがファイバに生ずることなく、内部一次元バックボーンと二次元出力コネクタ・アレイとの間であらゆる過剰なファイバ長を引き込むために必要な程度で独立して各スプールに張力がかけられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1Aは、図示のように、1組で8本の行、およびこれらの8行の下および上の双方に更に多くの行を追加する容量を備えた(populated with)、本発明によるロボット光ファイバ・クロスコネクト・システムを構成する多数の重要な機能エレメントの配列を示す。
図1B図1Bは、本発明による他の発明的組み合わせのブロック図である。
図1C図1Cは、相関付けられたモジュールの配列を示す簡略斜視図である。
図1D図1Dは、本発明にしたがって相関付けられたシステム・エレメントの一部のブロック図である。
図2図2は、本発明による磁気掛止型内部光ファイバ・コネクタの分解図を示し、ロボット・グリッパ内において整合し嵌合するためのその構造(features)、コネクタを受容し保持するためのコネクタ行に対するその関係、およびコネクタ行間に結果的に生ずる磁気反発力の側面詳細図を含む。
図3図3は、グリッパによって移送された光ファイバ・コネクタを磁気的に係合する手段を有する96個の光ファイバ・ポートの積層可能モジュールを形成する8つのコネクタ行の積層配列の内部図であり、更に、三状態構成(tristate configuration)におけるコネクタ磁石とコネクタ行磁石との間の関係を示す。
図4図4は、クロスコネクトを必要とする外部ケーブルが差し込まれる光ファイバ・ポートの二次元アレイを形成する、8つのコネクタ行の同じ積層配列の外面図を示す。
図5図5は、本発明によるグリッパ・デバイス、および多数の位置検知および作動手段の詳細を示す、割り当て構成(allocated configuration)における光ファイバ・コネクタの側面図である。
図6図6は、割り当て解除構成(unallocated configuration)におけるグリッパ・デバイスの側面図である。
図7図7は、引き抜き構成(unplug configuration)におけるグリッパ・デバイスの側面図である。
図8A図8Aは、グリッパ・メカニズムを内部ファイバ・クロスコネクト空間域内で移動させる本発明による二軸ロボット作動システムの部分的斜視図である。
図8B図8Bは、x軸駆動メカニズムの模式図である。
図8C図8Cは、y軸駆動メカニズムの模式図である。
図8D図8Dは、種々の拡張状態におけるy軸駆動の模式図である。
図8E図8Eは、中央位置におけるグリッパz軸駆動メカニズムを示す。
図8F図8Fは左位置を示す。
図8G図8Gは右位置を示す。
図8H図8Hはz軸駆動を作動させるグリッパ・ステッパ・モータの速度軌道を示す。
図9図9は、最大延長状態における二段階伸縮アームの端部におけるグリッパを示す、図8A図8Cの作動システムの別の斜視概略図である。
図10A図10Aは、一部延長状態における二段階伸縮アームの部分図である。
図10B図10Bは、実質的に引っ込んだ移動範囲における伸縮アームの垂直部分の一部分解図である。
図10C図10Cは、実質的に延長した移動範囲における伸縮アームの異なるセグメントの、同様に一部分解した、斜視図である。
図11A図11Aは、ファイバを引っ張るためおよび動的弛みファイバ管理のための改良されたファイバ巻取りトレイの上面斜視図であり、各々、中央バックボーンまでの、低損失、動的光ファイバ引き回しを容易にする12個の個々のリールおよびファイバ・ガイドを含み、バックボーンの前方にあるファイバの部分を図示する。
図11B図11Bは、ファイバを引っ張るためおよび動的弛みファイバ管理のための改良されたファイバ巻取りトレイの上面斜視図であり、各々、中央バックボーンまでの、低損失、動的光ファイバ引き回しを容易にする12個の個々のリールおよびファイバ・ガイドを含み、バックボーンの後方にあるファイバの部分を示す。
図12図12は、複数のファイバ巻取りトレイの積層配列の一部の斜視図であり、個々のリールから中央バックボーンまでの、低摩擦o-リング状アイレットおよび軟質ゴム張りローラを経由する光ファイバの引き回しを詳細に示す。
図13A図13Aは、適正なファイバ弛み管理を検証することができるように、動的再構成中におけるリールの回転を検出する検知電子回路を含む、光ファイバ・リール・システムの一部の一部切り欠き斜視図である。
図13B図13Bは、リール位置コマンドに対して適正なシステム応答を確定するために、検知電子回路からの電子信号を処理するサブシステムのブロック図である。
図14図14は、本発明によるグリッパ・デバイスおよびクリーニング・カートリッジの一部を詳細に示す第1の一部切り欠き斜視図であり、動作状態においてファイバ端面洗浄デバイスと一体化する力センサを示す。
図15図15は、グリッパ・デバイスに関連する動作位置における図14のファイバ端面洗浄デバイスの動作側の第2の一部切り欠き図である。
図16A図16Aは、図1図9、および図10Aのようなシステムの斜視図において概略的に図示した、ファイバ端面洗浄デバイスの一部切り欠き底面図であり、図において多数の有利な動作的特徴を示す。
図16B図16Bは、それぞれ、図1図9、および図10Aのようなシステムの斜視図において概略的に図示した、ファイバ端面洗浄デバイスの一部切り欠き上面図であり、図において多数の有利な動作的特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
I.ロボット・クロスコネクト・システム
[0026] 本願は、多数のポート対間において、低損失、ソフトウェア定義光ファイバ接続を設けるロボット・クロスコネクト・システム(robotic cross-connect system)を開示する。ポートの数は、通例、48×48から1008×1008以上の範囲にわたる。図1A図1Dは、本システムの多数の主要な態様を示す。このシステムは、伸縮ロボット・アーム・アセンブリ104、光ファイバ・コネクタ端面洗浄モジュール105、微小作動グリッパ103、コネクタ行102-1...102-Nの積層配列、およびファイバ巻取りリール・トレイ106-1...106-Nの積層配列を含む、ロボット・モジュール112を備えている。更に、コネクタ行102-1...102-8のグループは、ファイバ・モジュール113の前方作動パッチ・パネルを含む。グリッパ103は、コネクタ行102に沿って挿入されたファイバ・コネクタのアレイから任意のファイバ・コネクタ101-nを引き抜き、次いでロボット・アーム・アセンブリ104による操作時に、アレイの周辺ファイバ・コネクタ間で、決定論的最適織りパターンでそれを移送することができる。このように移送するプロセスは、先に引用した米国特許第8,463,091号に記載されているように、KBSアルゴリズムによる、ロボットの調整された順次多段階移動、および各コネクタ行102のプログラムによるシャフリング(programmatic shuffling)を含む。ファイバ・コネクタ101-nをその選択された最終ポート55に差し込む前に、ファイバ・コネクタ101-nの研磨されたファイバ端面を、図1および図9に概略的に示し図14図16Bに関して以下で詳細に説明するように、ファイバ端面洗浄モジュール105によって洗浄することができる。ファイバ・コネクタ101-nは、内部光ファイバ52を終端させ、この光ファイバは、多重巻取りリール・トレイ106内に位置する自動ばね荷重巻取りリールから来る。巻取りリールは、全ての内部光ファイバが、 ポート55内において可能なコネクタ101の全ての配列に対して実質的に直線経
路を辿るように、これらがコネクタ101と巻取りリールとの間のファイバ相互接続空間域において軽い張力を受けて維持されることを確保する。直線経路は、効率的に、数学的に表され、先に引用した特許において記載されているように、KBSアルゴリズムによる引き回しを容易にする。
【0012】
[0027] 図1Bにおけるブロック図および図1C図1Dにおける斜視図を参照すると、KBSアルゴリズムはソフトウェア命令で実装され、サーバ109上に位置し、各ファイバ・モジュール113-1...113-10、ドッキング・モジュール114、光電力モニタ・モジュール115、ロボット・モジュール112、および電力管理モジュール111と並列に、イーサネット(登録商標)・スイッチ110を介してそしてイーサネット・プロトコルTCP/IPを使用して通信する。他の例では、各モジュールは24VDCによって給電され、この電力は電力管理モジュール111における配電路によって供給される。ロボット・モジュール112は、グリッパ・センサ回路116と通信可能であり、移送中のファイバ・コネクタ、および洗浄カートリッジと一体の力センサ56(例えば、薄膜抵抗センサ)用比較回路の動作状態を検出する。ファイバ・モジュール113は、各々、リール・エンコーダ・センサの多重化アレイと通信可能であり、任意の特定の巻取りスプール41の回転に応答する。この回転は、内部ファイバ・コネクタの移動による内部ファイバ長の変化によって生ずる。
【0013】
[0028] 更に、図1A図1B図1Cは、このシステムの様々な新規な動作部品間における統合および協働関係の詳細も示し、先に引用したTelescent社の特許に記載されているように、複数の光ファイバ・ラインから選択されたものの自動切り替えの技術分野を更に広げる。このシステムへの入力は、出力カプラ18のアレイの個々の1つの一方側に繋がれ(fed into)、整列された列および行に分散された複数のライン62-in(図1Aおよび図1C)を含み、低損失内部ファイバ・コネクタによって対向する入力カプラ42のアレイに接続され、更にシステム200の反対側において複数のライン62-outに接続されている。個々の行は、基本的な結び目および編み目方法論(以上で引用
した)にしたがって、行シフト・アクチュエータのスタックの内1つによって、別々に横方向に徐々にシフト可能である。可変ライン(changeable line)52は、個々のカプラ1
8の第2側に結合され、これらのラインはバックボーン40において一次元アラインメント(one dimensional alignment)に収束し、次いで、図11から図13に関して更に詳し
く以下で説明するように、複数のバッファ・リール41の順序付けされたレベルに分散されている。これらのリール41は、内部ファイバ52の位置およびこれらの対応する吊された長さ(suspended length)が変化するときの経路長の変動を、光ファイバに湾曲を生ずることなく補償する。光ファイバは非常に鋭利で非断熱性であるので、屈曲部があるとそこで光の損失を招く。バッファ・リール41のアセンブリから、ファイバ・パターンは、通例、線状に配置された出力カプラまたはレセプタクル18のアレイに再構成され、次いでこのアレイは、所望に応じて、再送信(retransmit)またそうでなければ再構成することができる。
【0014】
[0029] このような状況を考えると、図1Aにおいても一般化された形態で示される本発明のいくつかの主要な態様(以下で更に詳しく示し論ずるが)は、更に、形態および機能において内部協働関係を確立する。例えば、コネクタ・アセンブリ102における両面カプラの行および列の配列は、反対側からのライン間における信号交換を可能にする。内部の可変側では、構造は、所定の長さ、断面構成、および可撓性を有する個々の線状固定エレメントを含む。また、これらの固定エレメントの各々は、図2から図4を参照して以下で詳しく説明するように、その境界内およびその内端に隣接して小型永久磁石のパターンを支持する。これと組み合わせて、本システムにおける各可変光ファイバ52は、それが対をなす任意の個々の固定エレメント63に結合するために、ほぼ一致する長さのコネクタ・アセンブリ102内において終端する。光ファイバ52のフェルール10の終端突出端がコネクタ行アセンブリ102の個々のユニオン・アダプタ(union adapter)18に
挿入されると、個々の可変光回路が完成する。設計および動作関係のいずれかまたは双方に関係する、以下で詳細に説明する多数の特徴と共に、この概念およびその実施態様は独自である。
【0015】
[0030] 本システムでは、係合および解除作動動作(engagement and disengagement actuation operation)、ならびにカプラへおよびカプラからのファイバの交換に関連する相互関係機能が設けられる。以下で更に詳しく説明するように、線状係合の2つの異なる状態、および解除された物理的近接(disengaged physical proximity)の関係する状態が利
用される。以前に引用した特許において詳細に記載されているように、列および行を通じて混交することによって、これらの状態は、ファイバの再位置決めとは独立して、線状配列フェーズの間に行われる。
【0016】
[0031] これらおよびその他の機能は、クロスコネクト構成情報をサーバ109から受け取る軌道制御システム117(図1B)からのコマンド、および更新データのソースによって、更新データを保持するサーバ109内のメモリ・システムからの格納されている相互接続データに基づいて実行される。この場合も、グリッパ・アセンブリ103の位置決めに密接な関係があるエレメントおよび関係の完全な理解のために、先に述べた特許を参照するとよい。これらの移動は、実質的に直交XおよびY方向であり、軌道制御システム117からアクティベータ103へのコマンドの下で、Z次元にも徐々に進む。これらの機能のために、システム200はY軸方向の移動を制御する垂直マルチステージ・ヘッド・ポジショナ(vertical multi-stage head positioner)を装備する。垂直マルチステージ・ヘッド・ポジショナは、細い矩形の中空上位ステージ30を含み、その内側において、線状で更に細い下位セクション35が、ばね荷重ローラによって比例する比率で(in a proportional ratio)で摺動する。双方は、コマンド信号を軌道制御システム117から
受け取り、Y軸ドライブ33-1によって駆動される。Y軸ドライブ33-1は、通例、サーバ109からのコマンド信号に応答する、ブラシレスdcサーボモータまたはステッ
パ・モータである。Y軸ステージ30、35は、X軸ドライブ33-2を有効化する(activate)コマンド信号が軌道制御システム117から配信されると、水平方向に移動する。このメカニズムの殆どは、ファイバ交換マトリクスの上方に位置付けられるが、以下で詳しく論ずる細いファイバ交換ヘッド103(図5図7)は、ファイバ52の垂直列jの間で、図3において118-jで示される空間において垂直に移動可能である。交換マトリクスの水平行102は、第1水平方向に、またはマトリクスを通したスレッディング(threading)の間逆に、選択的に徐々に移動する。有効化されたヘッド103が102にお
ける目標位置に達すると、目標ファイバ・コネクタ101を、目標カプラ18から選択された1つに結合するため、または離脱させるために、Z軸に沿って徐々に移動することができる。また、Z軸に沿って、「割り当て」(図5)、「割り当て解除」(図6)、および「引き抜き」(図7)位置の間で 目標コネクタを徐々にシフトすることができる。コ
ネクタ101の磁石13と行磁石14、15との間における対応する磁石の相互作用が、図3に記されている。
II.切り替え可能な、磁力掛止型マルチステージ光ファイバ・コネクタの二次元アレイ
[0032] 更に、本願は、図3および図4において最良に見られるように、全体的に水平方向に整列された列として配置された、徐々にシフト可能な垂直離間行102(図2図4)として配列されたコネクタ・デバイス101の多次元アレイも開示する。図2において最良に見られるように、水平行は、各々、異なるユニオン・アダプタ18に一端において固定された、複数の離間された平行ベース・エレメントを含む。ユニオン・アダプタ18は、異なる可変光ファイバ・ライン52の末端フェルール10を受容する。このように、アレイは、部分的に、図1A図3、および図4の斜視図において見られるように、複数の水平に離間された固定エレメント39を含む。固定エレメント39は、選択された可撓性と、それらの幅および断面積と比較してかなりの長さとを有する。これらは、各々、受容端(receiver end)と呼ぶことができるものにおいて、横断コネクタ行アセンブリ本体102に固定的に取り付けられ、こうして個々の光ファイバ・コネクタ101を受容するための平行な相互作用エレメントを設ける。これらの固定エレメント39は、10:1よりも大きな長さ対幅の比を有し、選択された範囲では弾力性を有し、そして透磁性を有さないまたは低い透磁性を有するように、幅よりも遙かに小さい高さを有する。何故なら、以下で説明するように、磁力は特定の撓みのために使用されるからである。
【0017】
[0033] 本システムにおける各光ファイバ52は、ユニオン・アダプタ18において係合するフェルール10に至る長いコネクタ101において終端する。完全に挿入されると、光ファイバの終端10は、物理的および光学的に外部ファイバ終端と接触する。外部ファイバ終端は、アダプタ18によって形成されたカプラの逆側に予め存在し、固定エレメント39と平行に隣接する。図2の一部分解断片斜視図において示すファイバ・フェルール10の3つの異なる隣接する挿入位置に見られるように、コネクタ101の取り外し可能な部分が、挿入端においてフェルール10から、多少大きい有形ハウジング(shaped, slightly larger housing)11を貫通して延びる。ハウジング11は、アダプタ18にお
けるフェルール10の挿入深さを制限し、グリッパ103の下側において対応するレセプタクル(matching receptacle)内に係合する手段を設ける。除去可能な部分は、更に、所
定の長さの細長いU字状ハウジング80の中間セクションを含む。この中間セクションは、光ファイバ52を実質的に包囲し保護する外壁を設ける。このハウジング部材80は、光ファイバの内部長を覆う。光ファイバは、一端においてフェルール10に結合し、他端において、本システムにおける個々の異なる光ファイバ52と併合する。また、可動コネクタ101は、その長さに沿った中間部に位置付けられたグリッパ・ラッチ受容エレメント12と、以下で説明する協働機能を設けるその終端フェルール10から所定の実質的間隔(substantial spacing)において、高い永久磁場強度の小さい磁石13も含む。
【0018】
[0034] また、コネクタ101は、全体的にはシステムと、そして具体的には異なる隣接する長い固定エレメント39の各々との所定の光学的、機械的、そして磁気的相互作用
も行う。図2に見られるように、このような固定エレメント39の各々は、ユニオン・アダプタ18の下側から、平行に隣接して、内部の可動光ファイバ・コネクタ101まで延びるので、多数の協働機能(cooperative features)をその長さに沿って組み込む。自由端から始まり、固定エレメントは、1対の分岐端セクションを含む。1対の分岐端セクションは、ユニオン・アダプタ18の端部から同様の距離において、同じ選択された極性の2つの小さな永久磁石14に対する支持ベースとして役割を果たす。これらは、その動作機能を示すために、「割り当て解除」磁石(unallocate magnet)と呼ぶことができ、一方第
3磁石15は、磁石対14から所定の小さな長さ方向間隔をあけて、長い本体上の中心に配置され、「割り当て」磁石と呼ぶことができる。図3に示す第3の「引き抜き」状態(unplugged state)は、挿入された磁石13と固定エレメントにおける磁石14および15
のいずれとの間にも殆ど磁気吸引を呈さない状態である。また、固定部材39は、その長さの中間に、短く多少細いドッキング・セクション16と、位置決めに使用することができる隣接反射面17とを含む。
【0019】
[0035] コネクタ101の相対的係合の3つの異なる位置を図2および図3に示す。「割り当て」状態は、本明細書において使用する場合、ファイバ・コネクタ101のフェルール10がアダプタ18の嵌合スリーブ内に完全に係合された関係を指す。「割り当て解除」という用語は、ファイバ・コネクタが部分的に嵌合スリーブ18内に係合された状態を指す。「割り当て」状態は、挿入損失を殆ど発生せず、「割り当て解除」状態は、ファイバ・コネクタ間の空気間隙のために、約20dB以上の損失を発生する。「引き抜き」とは、ファイバ・コネクタが完全に嵌合スリーブから引き出された状態を指し、グリッパはコネクタ101をその対応するコネクタ・ポート55から、異なる宛先55への移動のために引き出すことができる。
【0020】
[0036] 好ましい例証では、4つの磁石13、14、15のサイズは約6mm×6mm×3mmであり、その材料はネオジウム42SHである。この磁石の等級は、「割り当て」状態において少なくとも500グラム-力の高い磁気吸引力を出し、高温(約150°C)に晒されても磁気特性を維持する。N-S磁化軸は、通例、6mm側に平行である。理想的には、これらの磁石は、標準的なはんだリフロー・プロセスを使用して、印刷回路ボードのコネクタ行のメタライズ・パッドにはんだ付けできるように、ニッケルがめっきされる。
III.ソフトウェア制御の下で独立して横方向に並進する光ファイバ・コネクタの平行行
[0037] このように、本発明における自動化クロスコネクト構造200の一部は、ポートの二次元アレイを形成する、独立して並進可能なコネクタ行の積層配列を含む。8つの垂直に積層されたコネクタ行102を有し、垂直方向の間隔が約12.5mmである特定の例を図3および図4に示す。この特定の例では、各行102は、各々横断方向に約32mm離間された12個の平行なコネクタ・トラック(connector track)で構成されている
。各コネクタ・トラックは、長く狭く、選択された曲げ特性を有する。各コネクタ・トラックの遠端における磁石14、15のN-S極性および配列は、各トラックおよび行で同一である。その結果、図4に示すように行が水平方向(x)に整列されると、各行における磁石14、15が、各コネクタ・トラック39の遠端を、xおよびy方向において互いに反発させる。これらの反発力は、細い半可撓性のコネクタ・トラック102を部分的に磁気的に浮揚させ、長い部材(extended member)39の隣接する行の干渉の潜在性を低下
させるように、効果的に位置付けられる。
【0021】
[0038] 図2に詳細に示した固定部材39の磁気浮揚がないと、係合された光ファイバ・コネクタ101の引っ張りベクトル(tension vector)のために、長いコネクタ・トラックの撓みが発生する可能性がある。撓みの最小化は、垂直に隣接する行と、独立した行シャッフル・プロセスの間内部に収容されたファイバ・コネクタとの潜在的なジャミングを
排除するのに有効である。
【0022】
[0039] 更に本発明によれば、各コネクタ行は、ベアリング・ブロック43、49内に取り付けられた複数組の3つの微小回転ベアリングによって、反対側の両端において支持される。ベアリング・ブロック43、49は、コネクタ行の表面に平行な2本の軸(x、z)において誘導を行い、下側の行の上にそれを支持する。各ベアリングは、それ自体のトラック内において、図4において見られるように、左および右端において、それぞれ、射出成形されたプラスチック・ガイド・ブロック45,46内に配置されている(ride)。中央支持ローラ38が、更に、機械的行アセンブリ102の長さに沿った潜在的に可能なわずかな弓なりを除外するために、行の中心において、機械的基準点を設ける。この基準面は、グリッパが機械的にコネクタ行の特定のトラック39上に掛止するときの、グリッパ係合中にコネクタ行の大きな撓みを防止するための適当な支持を与える。
【0023】
[0040] 好ましくは、コネクタ行102は、高い剛性を得るために2.4mmの厚さを有するRF-4のような普通の回路ボード材料で作られた印刷回路ボード基板で構成される。この材料は、平坦で、剛性があり、安価であり、磁石の回路ボード上への信頼性の高い配置およびはんだ付けをし易くする。回路を追加することができるために、コネクタのRFID追跡の実施、ならびに光パワー監視および検出も可能にする。
【0024】
[0041] 各コネクタ行102は、モータ20-1によって独立してシフト可能であり、モータの一部の代表例だけが図4において見られ、図1Aでは4つのモータのユニットとして示されている。このモータ20-1は、通例、約37mmの移動範囲にわたって行の正確でプログラミング可能な直線並進を可能にする、線状永久磁石dcステッパ・モータである。ベアリング・トラック・アセンブリ43および44の摩擦が少ないことによって、各行を作動させるために、最小限の力(<100グラム-力)および少ない電流だけで済むことを確保する。
【0025】
[0042] コネクタ行サブアセンブリ102の図3および図4の斜視図において見られるように、各行における狭く長いエレメント39は、エレメント39の同様の垂直列またはスタックを定めるように位置付けられている。これらのエレメントは、この例では約37mmである標準的な距離だけ、互いから水平方向に分離されている。明確化のために、1つのファイバ接続アセンブリ101だけが図3の上側の図に描かれており、システムにおける外部バッファ・ポート(図示せず)に至る内部ファイバ52に結合されていることが示されている。尚、引用した既に発行済みの特許から、ファイバ52の三次元集団(mass)全域にわたる混交は、長い固定エレメントの行を、時間を指定した関係で、ファイバ移送の現在の垂直位置まで横方向にシフトすることによって行われることは理解されよう。このように、既存のファイバのパターン全域にわたって、絡み合いなく、その宛先に達するまで混交されることによって、ファイバは再位置決めされ、先に発行された特許に記載されているように、宛先において端末に係合される。
【0026】
[0043] 尚、当業者には、光ファイバのような細いエレメントを他の光ファイバの高密度の集団(population)を通って導く(navigate)ときに遭遇する可能性がある問題が認められよう。これに関して、戦略的な磁気吸引および反発力を供給するために狭く長いエレメント上に静止小型磁気エレメントを採用することによって、現在開示しているシステムの形態において、エレメントの位置を変更することに関して、そして安定した動作状態を維持するときの双方において多大な利点がもたらされる。
IV.高密度マトリクスにおいて光ファイバ・コネクタを選択的に移送し、設置し、再位置決めするための狭形面グリッパ(NARROW FORM FACE GRIPPER)
[0044] 図5図6、および図7は、図1図4におけるコンテキストにおいて最良に一緒に見られる、出力ポート81の二次元アレイにおいてファイバ・コネクタ101の位
置を変化させるためにコネクタ101において適当な局所作動力を生成するために、典型的なコネクタ行102と交換可能に連動(interlock)または結合(docking)する、電子的に作動可能なグリッパ・デバイス103を示す。このグリッパは、軸方向係合の3つの主要状態において示され、これらは、「割り当てられた」(図5)(または動作可能に係合された)、「割り当て解除された」(または部分的に挿入された)(図6)、またはコネクタから「引き抜かれた」または完全に解除され(図7)そして自由にどこにでも動かせる(または挿入される)ファイバ・コネクタ101にそれぞれ対応する。グリッパ103は、コネクタ行上を降下し、反射型光学フォトインタラプタ・センサ27-6を使用してコネクタ行102の特定の個々のトラック・エレメント18との係合を光学的に検出したときに停止する。センサからの光は、コネクタ・トラックの縁から、通例金である反射めっき17(図2)によって反射され、軌道制御システム117(図18)に、グリッパを適正にトラック・エレメント18上に結合することを命令する。連動は、グリッパ・ガイド20の、各トラック・エレメント18上にある幅が狭い結合セクション16(図2において最良に見られるように)との機械的係合によって行われる。グリッパ・サブシステムは、任意の選択された行まで延びる細い垂直面内にある2つの密接に隣接した印刷回路ボード60および29を含み、グリッパ・サブシステムは複数のセンサおよびアクチュエータも含む。上側の回路ボード60は伸縮ロボット・アクチュエータ(図5参照)の下端35に取り付けられている。隣接する下側の摺動回路ボード29は、それぞれ平行な水平上側および下側シャフト26-1および26-2を含むリニア・ベアリング・アセンブリ上に取り付けられているので、グリッパのこの部分は、密接に近接したグリッパ・ボード60に固定されておらず、ファイバ・コネクタ101と同じ細い列領域内の近接した限度間でいずれの方向にも水平に並進することができる。センサ27-1、27-2、および27-3は、距離dがそれぞれd、dからdに減少するにつれて、それぞれ、割り当て、割り当て解除、および引き抜き位置における重複するが下側の回路ボード29の並進を検出する。下側の摺動回路ボード29は、その長さに沿って離間された機械エレメント79、80を含み、機械エレメント79、80は、ファイバ・コネクタ101の長さ上で保持(79)およびロック(80)することができる。光センサは、通例、反射および/または透過型フォトインタラプタである。制御システム117に応答するソレノイド23は、固定エレメント・ハウジング(locking element housing)80内のばね荷重機械式ラッ
チ24をトリガし、ラッチの状態は、電子回路ボード29上に一体化された反射型フォトインタラプタ・センサ27-4および27-5によって検出される。特定の例では、グリッパ・デバイス103の並進はモータ32、ならびにタイミング・ベルト・プーリ28およびタイミング・ベルト25から成るタイミング・ベルト・ドライブ、または高効率ドラム/ワイヤ駆動システムを動力源とする。
【0027】
[0045] 他の例では、ファイバをそれらのバーコードに基づいて識別するため、および機械による視覚的整列(machine vision alignment)に備えるために、グリッパ103は、更に、コネクタ101およびその一意のバーコード識別子の画像を取り込むためのカメラ21およびLED照明具22も含むことができる。あるいは、ファイバがグリッパによって移送されるときに、リール・エンコーダ・センサ信号72を監視することによって、リール・エンコーダ回路51が、任意のファイバを一意に識別することを可能にする。
【0028】
[0046] 特定の例では、グリッパ103は、命令される通りに、コネクタ101を割り当てる(図5,d)、割り当て解除する(図6、d)、または引き抜く(図7、d)のに十分な約19mmの直線移動を行い、漸増する距離(incremental distance)d、d、およびdは、図示のように、大凡である。引き抜かれたとき、コネクタ101を垂直方向に、干渉することなく、横方向体積空間118-jを通って移送することができる。横方向体積空間118-jは、マトリクスにおける他の全てのファイバ間に、そして他の全てのファイバとは独立して、任意の特定の列jの上面から底面まで延びる。コネクタ・アセンブリ101がコネクタ行上におけるその宛先トラック39に届けられると、そ
の前端10は、図7において見られるように、コネクタ102のアセンブリにおいて選択された固定コネクタに隣接するが、このコネクタから離間される。つまり、グリッパ・アセンブリ103は、割り当ての前に、図7において見られるように、「引き抜き」位置に保持される。このモードでは、グリッパ・アセンブリ103の下側の平面回路ボード29は、コネクタ102から離間されている。グリッパ・ガイド20は、ファイバ・コネクタ・アセンブリ101の横方向位置が変化する間、固定されたままである。完全な係合が図5の図(view)において見られ、下側の印刷回路ボード29は、グリッパ・アクチュエータのモータ32を付勢したことに応答して、作動されたグリッパ・アセンブリ103によって左にシフトされている。これは、「割り当て解除」または部分的係合位置を示す図6、およびコネクタの係合がない図7とは対照的な、「割り当て」位置である。
V.伸縮ロボット垂直アクチュエータ
[0047] グリッパ・デバイス103は、図1A図8A図9図10A図10B、および図10Cに示すような二軸ロボット・メカニズム104の下端上に取り付けられ、二軸ロボット・メカニズム104によって移送される。ロボット・デバイス104は、グリッパ・デバイス103が、高さに制約がある設置の中で多数のクロスコネクトに達することを可能とするために、垂直方向に伸縮する。これは、矩形外側アームまたはステージ30と内側アームまたはステージ35とを含み、駆動ベルト25または固定終点間に延びるワイヤ/ストリングによって水平方向に移動可能である。垂直方向の伸縮および水平方向の移動が可能であるので、業界によって好まれる2.15メートルの高さ標準の上に過剰な高さをロボット・クロスコネクト・システム全体に追加することなく、アームはコネクタ・ポート55(図2)の行の二次元アレイ内にある全てのコネクタに確実に達することができる。
【0029】
[0048] 先行技術の伸縮ロボット・アームは、要求される剛性も、内部コネクタと、取り付けられ張力を加えたファイバとの必須位置決め精度(~+/-3mm)で内部ファイバ・コネクタ間を降下し動作するために必要とされるアスペクト比/微小化も有していない。しかしながら、本システムでは、細い中空の矩形または部分的に矩形断面の垂直線状外側ステージ30が、断面を縮小した摺動内部部材35を受容する。図10Bに見られるように、ロボット・アームの内部ステージ35の上端は、内部キャリッジ76を含み、内部キャリッジ76はローラ・ベアリング92、93にばね荷重を与え、ローラ・ベアリング92、93は、矩形または「C」字状中空断面外側アーム30の内壁に接触する。好ましい実施形態では、外側ステージ30および内側ステージ35は、ステンレス鋼または普通鋼であるが、アルミニウム、プラスチック、ファイバガラス、およびカーボン・ファイバは全て適した代替物である。
【0030】
[0049] グリッパ・メカニズム103は、ロボット・アーム・システムの内側ステージ35の下端に取り付けられ、ロボット・アーム・システムは、図9および図10Aに見られるように、管状の外側ステージ30内を伸縮し、長さが可変に延びる。グリッパ103内に埋め込まれたセンサおよびアクチュエータのために電気信号を搬送する電気ケーブル37は、内側ステージ35に沿って上り(travel up)、次いで外側ステージ30を通過し
、外側ステージ30の上面から出て、上側プーリ31の回りを巻回し、次いで36において固定取付点まで伸びる。図8Aおよび図9において見られるように、y軸モータ33-1、例えば、dcサーボモータまたはステッパ・モータが、ステージ30の上面および底面に取り付けられたタイミング・ベルト駆動メカニズムを介して、管状外側ステージ30を上下に駆動する。多導体電気リボン・ケーブル37は、内側ステージ35の上面に堅く貼り付けられ、その中点はケーブル取付点36に固定されている。外側ステージ30が上下に移動すると(図8D)、内側ステージ35は外側ステージに取り付けられこれと共に移動するプーリに巻かれたケーブル37の作用のために、外側ステージよりも2倍の距離を移動する。
【0031】
[0050] 伸縮アームは、比較的低い横断方向追従性、即ち、等価的に高い剛性を呈する。特定の例では、伸縮方向(即ち、図1において定められたxおよびz方向)に垂直に加えられた約50gmの横断力に対して2mm未満の撓みが生じ、高い長さ効率(伸縮アーム範囲L=1.5メートルのアーム引っ込み高さL=1mに対する比率、図9図10A図10B)が得られる。この剛性は、コネクタ101に取り付けられたファイバ52からの張力が伸縮アームを真の垂直整列(alignment)から引っ張るまたは逸らせるのを
防止するのに重要である。先行技術の伸縮アーム(例えば、引き出しのスライド、伸縮張り出し棒等)とは対照的に、横断方向追従性は、伸縮構造の延長した長さL、L’(0から1.5メートル)には無関係である。これは、本発明の重要な利点である。何故なら、グリッパ103によって、長い前方コネクタ・アレイを横切って(across)任意のコネクタ101を信頼性高く係合するには、機械的捕獲方法によって自動的な受動整列を可能にするためには、何らかのゼロでないレベルの撓みおよび一貫する撓み、ならびに追従特性も必要とするからである。一方、伸縮アームの端部におけるコネクタ・アレイの全ての位置における低振動も維持しなければならない。
【0032】
[0051] 本発明によれば、緊密に制御された追従特性は、(1)非常に硬い(stiff)外
側第1ステージにローラ・ベアリング・システムを設け、(2)内側第2ステージにローラ・ベアリング・キャリッジを設けることによって達成される。ここで、1組のベアリングが内側第2ステージの上側150mmのところに配置され、キャリッジが管30内部を高い角度一貫性で誘導されるように、内側キャリッジ・ベアリングを湾曲部(flexure)7
6-1、76-2上に取り付けることによって、適切に前もって負荷がかけられる。このベアリング・システムは、部分的に図10Bおよび図10Cに示されており、内部x軸支持ベアリング92、および内部z軸支持ベアリング93によって構成されている。このシステムに前もって負荷をかけるために、更に、湾曲部64の逆側の吊された端部(suspended end)に、前もって負荷がかけられた内部x支持ベアリング92’があり、更に湾曲部
76の逆側の吊された端部に、前もって負荷がかけられた内部z支持ベアリング93’がある。
【0033】
[0052] ベアリング湾曲部76-1、76-2は、例えば、板ばねのように、荷重を受けると撓む半硬質のステンレス鋼板金構造であり、ラジアル・ボール・ベアリング93が湾曲アームの両端に取り付けられている。撓みから発生する機械的応力は、設計上、材料の降伏応力よりも小さく、これによって湾曲部が永続的に変形するのを防止する。これらの湾曲アーム76-1、76-2は、逆側にあるベアリングがこの外側第1ステージ30の内部空洞で上昇および下降するとこれらに前もって負荷がかけられ外管に接触するように、ステージ35の上面において、剛性のある(rigid)鋼製内側第2ステージに取り付け
られている。ベアリング・アセンブリの摩擦は十分に低いので、内側ステージは重力のみによって外管内を制御可能に降下し、電気リボン・ケーブル37によって支持される。このケーブルは2つの目的を果たす。これは重力に抵抗して、アームが落下するのを防止し、信号をグラッパ103から軌道制御システム117に送信する。このケーブル37は、外側ステージ35の上面に取り付けられたプーリ31の回りを引き回され、主ロボットx軸キャリッジ61に取り付けられている。
【0034】
[0053] 図8Bは、水平、即ち、x軸キャリッジ駆動システムの模式上面図である。このシステムは、タイミング・ベルト25-1を含み、駆動プーリ28-2がx軸サーボモータ33-2に結合され、ギア・ボックスが一端にあり、アイドラ・プーリ28-1が反対側の端部にある。x軸プラットフォーム61がタイミング・ベルト25-1に取り付けられ、プラットフォームをxレールの一端から他端まで並進させる。
【0035】
[0054] 図8Cは、タイミング・ベルト・プーリ駆動システムを詳細に示す、y軸作動システムの模式側面図である。第1タイミング・ベルト25-2が、両端において外側y
軸管30に取り付けられ(affix)、管30を上下に駆動するために使用される。タイミン
グ・ベルト25-2は、1対のアイドラ・ローラ28-7および28-4によって、方向転換させられ、タイミング・ベルト駆動プーリ28-6の回りを巻回される。駆動プーリ28-6および減速プーリ28-5は、共通中央軸28-6に強固に(rigidly)取り付け
られている。駆動モータ33-1は小型駆動プーリ28-3を回転させる。タイミング・ベルト25-3は、小径プーリ28-3および離間された大径プーリ28-5双方の回りをきつく巻回る。大きなプーリの直径と小さなプーリの直径の比は、トルク倍増器(torque multiplier)を形成するために、通例5から10である。
【0036】
[0055] 図8Dに示すように、タイミング・ベルトによって外側アーム30を駆動すると、プーリ31はアーム30に取り付けられているので、対応する距離Xだけプーリ31を上昇または下降させる。プーリ31は自由に回転する。固定長の長い帯またはワイヤ37が、一端においてy駆動プラットフォームの固定点36に取り付けられており、反対側の端部は内側ステージ35の最上位部分に取り付けられている。この構成の結果、ロボット・アームの内側ステージ35は、2X,即ち、ロボット・アームの外側ステージ30の距離の2倍移動する。図8Dは、種々の度合いの伸縮程度におけるアームの構成を示す。ワイヤ37は移動プーリ31の回りに巻回されている。特定の距離Xだけ、外側アーム30が移動し、プーリも同じ方向に同じ距離Xだけ移動する。ケーブルは固定長であり内側ステージ35を吊り下げているので、プーリが距離Xだけ移動すると、ケーブルの並進端は距離2Xだけ移動する。その結果、内側ステージ35は距離2Xだけ移動する。
【0037】
[0056] これより参照する図8E図8F、および図8Gに示すグリッパの特定の例証は、固定印刷回路ボード60上に取り付けられた、選択された光ファイバを信頼性高く徐々に送り出す(increment)駆動メカニズムを詳細に示す。グリッパは、ケーブル25’が
制御された緩み(looseness)または「遊び」で巻回されているグリッパ駆動ドラム122
を回転させるステッパ・モータ32を含む。ドラム122上のワイヤ25’の巻回しは、平行ロッド26-1、26-2上に載っている外部構造29を、ここでは図8Fの左側に見られるワイヤ25”の部分を張ることによって右に(図8Fにおいて矢印によって示されるように)、または図8Gの右側に見られるワイヤ25”の部分を張ることによって左に(図8G)引っ張る。ワイヤ内の弛み度合いを選択できるようにすることによって、所与のステッパ・モータから得られるトルク量、および対応する直線作動力の著しい改善がもたらされる。典型的な動作条件の下では、モータ82はグリッパを最大抵抗の初期位置から駆動しなければならないことにより、動きの開始において最大のトルクを必要とする。ワイヤに弛みがない場合、モータは、それが加速しつつ、大きな初期力を克服する必要がある。これは、内部LCコネクタ101を差し込むまたは引き抜くための力である。当技術分野では、ステッパ・モータは、初期起動加速の間、高トルク条件の下では失速することが知られている。ドラム122の各側にある長さの弛んだワイヤ25’を設けることにより、モータは、ドラム122上に余分なワイヤを巻回すことによって弛みを巻き取るので、初期状態では最小限の負荷だけを受ける。その結果、モータは、(1)最低速度に達する/もはや加速フェーズではなくなった後、および(2)ワイヤが一方側または他方側で(例えば、図8F、8G)ピンと張ったセクション25”にはもはや弛みを見せなくなった後まで、大きな負荷を受けることはない。
【0038】
[0057] ステッパ・モータの引き込みトルクは、ステッパ・モータが静止から起動しているときに失速するトルクの尺度となる。引き込み曲線は、起動/停止領域と呼ばれるエリアを定める。速度、加速度、および負荷トルクのようなパラメータを適正に選択して動作するとき、負荷を与えて瞬時に、そして同期の損失なくモータを起動させることができる。ケーブル駆動における弛んだワイヤは、この負荷トルクが初期状態では低いことを確保する(図8H)。対照的に、ステッパ・モータの脱出トルクは、モータが失速するまで
に、所与の速度において生成することができるトルクである。脱出トルクは、通例、引き込みトルクよりも少なくとも2倍高い。したがって、グリッパ・ステッパ・モータにとって、内部コネクタ101の差し込み/引き抜きに伴う最大負荷を受けるとき、所与のz駆動システムのために最大トルク出力を確保するためには、脱出トルク領域(regime)で動作することは有利である。
VI.弛みファイバ巻取りリールおよび回転検知
[0058] アセンブリ101におけるファイバ・コネクタは、図11Aから図13に示すように、平面の薄型トレイ47上に配列されている薄型ばね荷重リール41(図11B)から出力ファイバ52(図11A)として終了する。ファイバ・トレイ・アセンブリ106(図11Aおよび図11B)のこの例は、ファイバ52が線状に配列された可撓性ガイド40の中央バックボーンを通過した後に導かれるリール41によって、個別にそして独立して自己張力がかけられる12本のファイバを含む。可撓性ガイドは、通例、PTFE、FPA、FEP等のような、低摩擦配管材料である。ここで示す特定の例では、バックボーンから出る12本のファイバの各々の反対側の端部は、ユニオン・アダプタまたは嵌合スリーブ18の線状アレイの異なるものに個々に差し込まれるコネクタに源を発する。内部リール41と出力コネクタ・アレイ42との間のファイバ52の内部経路を図11Bに示す。
【0039】
[0059] 図12の断片斜視図は、リール・ファイバ出口位置50から出て動的出力コネクタ・アレイ81(図1A)を形成するコネクタにおいて終了する前方動的移動ファイバ52と、リール位置51から出て静止入力コネクタ・アレイ82を形成するコネクタにおいて最終的に終端する後方固定長ファイバ54(図11B)とを含む、ファイバの個々のリールへの経路を詳細に示す。図12において見られるように、ファイバは、Oリング・アイレット49を通過し、ローラ48の周囲を引き回される。ローラ48は、動的移動ファイバを、介在するリール41を通過しつつ約90度の角度変化を受けるときに、低い摩擦および低い応力で方向転換させる。ファイバ52がリールに引き込まれる、または引き戻されるとき、リール41が回転し、それぞれ、巻くまたは解くように、リールの内部ファイバにその下側で螺旋運動させる(米国特許第8,068,715号に開示されているように)。図13Aに示すように、リールの外壁は区分され、および/または着色され、反射型フォトインタラプタ45が、電子多重化およびカウンタ回路51との組み合わせで、リールに巻かれた巻き数を検出するように、反射/非反射周方向セグメント46が交互に並ぶ。これにより、動作中に、ロボット制御中のファイバ・コネクタ101の移動の関数として、リール上に適正な長さのファイバ52が存在することを検証する。
【0040】
[0060] また、改良されたマルチリール・モジュールの異なる新規の態様も図11から図13に示す。例えば、図11Aおよび図11Bは、光ファイバの個々に調節可能な長さを与えるための12個のリール41の有利な幾何学的レイアウトを示す。ここでは、各ファイバ・トレイ・アセンブリ106は、個々の光ファイバをバックボーン40からリール41に分散する。リール41は、トレイ47上で前後に延びる4つの離間された複数組において線状に整列されている。更に、これら複数組のリールは、各々隣接して位置付けられているので、隣接するリールの対が、各々、トレイ47の前後軸に対して鋭角を定める。つまり、トレイ47の一方側に6つのリールがあり、対向側に逆の角度をなす対毎に位置付けられた6つのリールがあり、トレイ47の開いた中央エリアがバックボーン40入力からファイバを入力する経路を設ける。
【0041】
[0061] 異なるリール41へのファイバ入力52は、中央エリアに入り(feed into)、
左側の1組6つのリールでは時計回り方向に個々のリールの周囲に導かれ(図11Bにおいて見られるように)、右側の1組では、6つのリールの各々の周囲に反時計方向に導かれる。各対のリールは密接に隣接するが離間しているので、中央バックボーン40から入ってくるファイバの経路は、リールが、角度を成す対(angled pair)の内側のものか、ま
たはこの対の外側のものかに応じて異なる。図12に示すファイバ・ガイドの外形(geometry)によって、緻密さおよび制御を維持しつつ、問題が解決される。ファイバ・ガイドの外形についてこれより説明する。角度をなす対の内側(中心に近い)リール41は、再構成中に必要に応じてファイバを巻き取るまたは供給するために、可変長のファイバ52を受ける。可変長の再構成可能な自己引っ張り(auto-tensioned)ファイバ52は、最小の容認可能な曲げ半径(通例>5mm)よりも大きな曲率(curvature)によって、制御可能に
導かれる。各対のリールは、密接に隣接するが動作可能に離れているおり、この結果は、角度をなし離間された外形となっている、いずれのモジュールのリール41によっても可能にされる。ファイバの逆側の端部において、後方の固定長のファイバ54が、個々に結合された後方ユニオン・アダプタ42(図11)に繋がれる(fed to)。
【0042】
[0062] 複数のリール40の動的動作を監視する有用な新規の手段が、図13Aに示すセンサ構成によって設けられ、関連する多重化回路の例を図13Bに示す。これらの図を参照すると、巻取りリール41の周囲に隣接する薄い壁に、小さい反射型センサ45が取り付けられていることが分かる。センサ45は、巻取りリールの外側に位置付けられ、巻取りリール41のその時隣接する円周セグメントによって変化する信号を生成する。図12において見られるように、7つのこのようなぎざぎざの(半径が小さい)セグメントがあり、各ファイバ巻取りリール41の周囲に等しく分散されている。このため、リールが回転してファイバを供給するまたは巻き取ると、関連するセンサ45から応答信号がリール・エンコーダ回路51に送られる。これらの回路51は、個々のリール41毎に1つずつあり、リールの変化する回転位置に応答して信号を供給する。任意の特定のセンサを読み出すために、内部監視システム内にある電子マルチプレクサ70、71をその特定のアドレスに設定しなければならない。図13Bに示すように、異なるセンサ45からの複数の個々の電力および接地線が、別個のマルチプレクサ回路70、71に繋がることによって、共有され、特定のリールを選択的に有効化し、特定のリール41に対応する信号72を、複数のリールの動作を監視するコマンド回路51による処理のために、生成することができる。
VII.プロセス制御のための検知を統合した自動ファイバ端面乾燥洗浄カートリッジ
[0063] これより図14図15図16A、および図16Bを参照する。これらは、有利なクリーナ・デバイス105の一部切り欠きおよび斜視図であり、どのようにして、洗浄布58の後ろにある追従パッド(compliant pad)57を含み、更に追従パッド57内
部に、図14および図15において白抜き矢印(block arrow)によって方向が示される、
既存のフェルール端圧縮力Fを検出する力センサ56を含む手段によって力検知が行われるのかについての詳細を示す。グリッパ103内にあるファイバ・コネクタ101は、このコネクタが洗浄カートリッジ105の高さになるように、ファイバ相互接続空間域および最上位にあるファイバ・モジュール113-10の上までy軸に沿って上昇させられる。洗浄カートリッジは、並進するx軸キャリッジ61の底面に堅く取り付けられ、キャリッジがx方向に並進するにつれて、カートリッジと共に移動する。洗浄布を布の綺麗な未使用部分に進める洗浄カートリッジ前進レバー75を押し下げるために、ロボットを右端まで移動させることによって、洗浄布を進める。特定の例では、力センサ56は、2つのワイヤ端末59を含む内部電極構造(feature)を有する可撓性基板上の実質的に平坦なエ
レメントであり、検知領域内部の平均局所力に比例する抵抗変化を生成する。検知領域は、通例、t直径が5から10mmであり、センサの厚さは、通例、0.25から0.5m
mである。センサ・ワイヤ59は、分圧器を含む外部電子回路107に接続され(interfaced)、目標力検知閾値は100gm-Fであり、分圧器の基準抵抗器値は、5Vの供給電圧に対して約2.5Vの電圧を生成するように選択される。力センサに対する典型的な抵抗交差値(resistance crossing value)は、100KΩであり、基準抵抗器は、通例、1
MΩとなるように選択される。回路107における比較器が、分圧器上のアナログ電圧をディジタル信号に変換する。このディジタル信号はコントローラ108に入力され、グリッパ103およびファイバ101の前進を、既定の洗浄布圧縮力で正確に終了させるため
に、埋め込み制御ソフトウェアによって監視される。ロボット・グリッパ103(図14)は、ファイバ端面が布に接触し、追従パッド57を布の後ろで圧縮するまで、コネクタ101のファイバ端面10を移動させる。力センサは追従パッド57と一体であり、内部の圧縮を検知する。自動化洗浄に望まれる力は、25gm-Fから250gm-Fの範囲である。過剰な力が布内に剪断力を発生しファイバを汚染する可能性があるので、ある範囲内に力を制御することは重要である。不適当な力は、不完全な洗浄となる可能性がある。
【0043】
[0064] 更に、本発明によれば、開示する洗浄カートリッジ105は、洗浄布の消費の検知も統合する。図16Aおよび図16Bを参照すると、洗浄カートリッジは、洗浄布58のそのスプールからの繰り出し(advance)を検出するために、反射型インタラプタ77
のような検知手段を含み、その信号を電子回路107および108(図14)に供給する。洗浄カセット布(cleaning cassette fabric)58は、供給スプール73から、洗浄カセット・パッド57およびセンサ56を通って、分配スプール74まで供給される。クリーナ前進レバー75は、行程の最右端の近傍にあるハード・ストップに衝突したときにレバーを押し出すためのx軸に沿った水平移動によって、必要に応じて布58を徐々に供給するように作動する。洗浄カートリッジ105に対して動作可能な関係にあるときのグリッパ・アセンブリ103の関係の図14および図15における斜視図から明らかなように、供給スプール73および分配スプール74は洗浄カセット・パッド57を跨ぐ(straddle)。このように、2つのスプール間の間隔は、洗浄のために動作位置にある任意の選択された光ファイバ・フェルール10に近づくこと、および変化可能な光ファイバの正確に順序付けられたバンクにおける動作位置に戻すことを容易にする。同時に、洗浄材の供給源は、多くの異なる洗浄シーケンスのために十分に大きいが、しかるべく使用するときまたは検査が必要なときには容易に交換できる。
【0044】
[0065] 総括すると、小型で、ロボットによる再構成が可能で、ソフトウェア定義された光ファイバ・パッチ・パネルの信頼性高い動作を達成するための新たなメカニズムおよび設計を本明細書において開示した。当業者は、本発明の教示を保持しつつ、本デバイスの数多くの変更や変形も可能であることに容易に気付くであろう。
VIII.補足資料-図面の凡例
10 研磨されたファイバ・フェルール
11 プラスチック・コネクタ・ハウジング
12 機械式グリッパ固定機構
13 コネクタ磁石
14 コネクタ行割り当て解除磁石
15 コネクタ行割り当て磁石
16 幅が狭い結合用機械式機構
17 エッジめっきリフレクタ
18 光ファイバ・ユニオン・アダプタ
19 コネクタ行アクチュエータ
20 グリッパ・ガイド
21 カメラ
22 LED照明具
23 ソレノイド
24 ソレノイドのラッチ
25 ケーブルまたはタイミング・ベルト
25’ 緩いケーブル・ドライブ
25” ピンと張ったケーブル・ドライブ
26 グリッパ並進軸
27 反射型フォトインタラプタ
28 タイミング・ベルト・プーリ
29 グリッパ摺動印刷回路ボード
30 ロボット・アーム外側ステージ
31 伸縮アーム・ケーブル・プーリ
32 グリッパ・アクチュエータ
33 ミラー
35 ロボット・アーム内側ステージ
36 固定ケーブル取付点
37 電気ケーブル
38 行用中央支持ローラ
39 コネクタ・トラック
40 可撓性ガイドを有するバックボーン
41 ファイバ巻取りリール
42 後方光ファイバ・ユニオン・アダプタ
43 左側ベアリング・ブロック
44 右側ベアリング・ブロック
45 反射型光センサ
46 反射型リール・セグメント
47 リール用トレイ
48 ファイバ・ローラ
49 リング・アイレット
50 リール・ファイバ出口位置
51 リール・エンコーダPCB
52 内部、再構成可能、自動引っ張りファイバ
53 リール回転軸
54 後方固定ファイバ
55 再構成可能な光ファイバ・コネクタ・ポート
56 洗浄カセット・センサ
57 洗浄カセット・パッド
58 洗浄カセット・ファブリック
59 力センサからの電気ワイヤの対
60 グリッパ中央印刷回路ボード
61 ロボットxキャリッジ
62 外部ファイバ
63 出力ファイバ・コネクタ・マウント
64 磁気鋼インサート
70 センサ用列電子マルチプレクサ
71 センサ用行電子マルチプレクサ
72 リール・エンコーダ・センサ信号
73 洗浄布供給スプール
74 洗浄布分配スプール
75 クリーナ前進レバー
76 ばね荷重ローラ
77 洗浄布使用センサ
78 出力コネクタ・アレイ支持構造
79 グリッパ・コネクタ保持機構
80 グリッパ・コネクタ固定機構
81 出力ポートの動的二次元アレイ
82 入力ポートの静止二次元アレイ
101 ファイバ・コネクタ・アセンブリ
102 コネクタ行アセンブリ
103 作動グリッパ・アセンブリ
104 二軸ロボット
105 洗浄カートリッジ
106 ファイバ・トレイ・アセンブリ
107 分圧器、マルチプレクサ、および比較回路
108 コントローラおよびロジック
109 サーバ・モジュール
110 イーサネット・スイッチ・モジュール
111 電力管理モジュール
112 ロボット・モジュール
113 ファイバ・モジュール
114 ドッキング・モジュール
115 光パワー・モニタ・モジュール
116 グリッパ・センサ回路
117 軌道制御システム
118 列間隙内のグリッパ移動位置
119 xz平面上へのファイバ軌道の投射
120 x軸ドライブ
121 y軸ドライブ
122 グリッパ・ドラム
200 自動化パッチ・パネル・システム
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B