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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】電池およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/578 20210101AFI20230419BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20230419BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20230419BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20230419BHJP
   H01M 50/567 20210101ALI20230419BHJP
【FI】
H01M50/578
H01M50/55 101
H01M50/176
H01M50/15
H01M50/567
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020208355
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095179
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2022-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高井 徹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 光広
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-160350(JP,A)
【文献】特開2020-136244(JP,A)
【文献】特開2019-046597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/00-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体を収容する電池ケースと、
前記電池ケースに固定された端子部と、
前記端子部に接続され、前記電極体側に開口部を有する導電部材と、
前記導電部材の前記開口部を封止する変形板と、
前記変形板と接合される集電体とを備え、
前記電極体は、前記集電体、前記変形板、および前記導電部材を介して前記端子部と電気的に接続され、
前記電池ケース内の圧力が所定値以上となったときに、前記変形板が変形することに伴い、前記電極体と前記端子部との間の電気的な接続が切断され、
前記導電部材は、貫通穴を有するベース部を含み、
前記端子部の前記電極体側の先端が前記貫通穴に挿入され、前記先端が前記ベース部にカシメられ、
前記ベース部は、前記貫通穴の周囲に略環状の脆弱部を含み、前記脆弱部は溝部を含む、電池。
【請求項2】
前記電池ケースは、前記電極体を収容する外装体および前記外装体を封口する封口板を含み、
前記ベース部は、前記封口板側の第1表面と、前記電極体側の第2表面とを有し、
前記溝部は、前記第1表面上または前記第2表面上に形成される、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記溝部は前記第2表面上に形成される、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記溝部は、前記溝部に隣接する前記ベース部の厚みの1/20以上1/3以下の厚みを残すように形成される、請求項2または請求項3に記載の電池。
【請求項5】
前記脆弱部は、真円状または多角形状に延びる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
電極体と集電体とを接続する工程と、
貫通穴を有するベース部と開口部とを含み、前記貫通穴の周囲に位置する前記ベース部に略環状の溝部を含む脆弱部が形成された導電部材を準備する工程と、
端子部の先端を前記貫通穴に挿入し、前記先端を前記ベース部にカシメることにより前記端子部と前記導電部材とを接続する工程と、
変形板により前記導電部材の前記開口部を封止する工程と、
前記変形板と前記集電体とを接合することにより、前記集電体、前記変形板、および前記導電部材を介して前記電極体と前記端子部とを電気的に接続する工程と、
前記電極体を電池ケースに収容する工程とを備え、
前記電池ケース内の圧力が所定値以上となったときに、前記変形板が変形することに伴い、前記電極体と前記端子部との間の電気的な接続が切断される、電池の製造方法。
【請求項7】
前記端子部の前記先端を前記ベース部にカシメる工程は、前記導電部材の前記開口部の周縁部を押さえながら前記脆弱部の内周側に位置する前記導電部材を変形させることを含む、請求項6に記載の電池の製造方法。
【請求項8】
前記電極体を電池ケースに収容する工程は、前記電極体を収容した外装体を封口板により封口することを含み、
前記溝部は、前記ベース部における前記封口板側の第1表面または前記電極体側の第2表面に設けられる、請求項6または請求項7に記載の電池の製造方法。
【請求項9】
前記溝部は前記第2表面上に形成される、請求項8に記載の電池の製造方法。
【請求項10】
前記溝部は、前記溝部に隣接する前記ベース部の厚みの1/20以上1/3以下の厚みを残すように形成される、請求項8または請求項9に記載の電池の製造方法。
【請求項11】
前記脆弱部は、真円状または多角形状に延びる、請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池ケースの内圧が所定レベルを超えて上昇したときに該内圧によって電極体への導電経路が遮断される電流遮断機構を備えた電池が従来から知られている。このような電池は、たとえば特開2010-212034号公報(特許文献1)および特開2013-157156号公報(特許文献2)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-212034号公報
【文献】特開2013-157156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の電流遮断機構においては、電池ケース内の圧力が所定値(作動圧)以上となったときに、変形板が変形することによって電極体への導電経路が切断される。導電経路が切断される作動圧を安定させたいという要望がある。従来の電池は、上記の観点から必ずしも十分な構造を備えるものではない。
【0005】
本技術の目的は、電流遮断機構の作動圧が安定した電池およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に係る電池は、電極体と、電極体を収容する電池ケースと、電池ケースに固定された端子部と、端子部に接続され、電極体側に開口部を有する導電部材と、導電部材の開口部を封止する変形板と、変形板と接合される集電体とを備える。電極体は、集電体、変形板、および導電部材を介して端子部と電気的に接続される。電池ケース内の圧力が所定値以上となったときに、変形板が変形することに伴い、電極体と端子部との間の電気的な接続が切断される。導電部材は、貫通穴を有するベース部を含む。端子部の電極体側の先端が貫通穴に挿入され、先端がベース部にカシメられる。ベース部は、貫通穴の周囲に略環状の脆弱部を含む。
【0007】
本技術に係る電池の製造方法は、電極体と集電体とを接続する工程と、貫通穴を有するベース部と開口部とを含み、貫通穴の周囲に位置するベース部に略環状の脆弱部が形成された導電部材を準備する工程と、端子部の先端を貫通穴に挿入し、先端をベース部にカシメることにより端子部と導電部材とを接続する工程と、変形板により導電部材の開口部を封止する工程と、変形板と集電体とを接合することにより、集電体、変形板、および導電部材を介して電極体と端子部とを電気的に接続する工程と、電極体を電池ケースに収容する工程とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、電流遮断機構の作動圧が安定した電池およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】角形二次電池の斜視図である。
図2図1におけるII-II断面図である。
図3】電極体を構成する正極板の平面図である。
図4】電極体を構成する負極板の平面図である。
図5】正極板および負極板からなる電極体を示す平面図である。
図6】電極体と正極集電部材および負極集電部材との接続構造を示す図である。
図7】封口板への正極集電部材および負極集電部材の取付構造を示す図である。
図8図7におけるVIII-VIII断面図である。
図9図7におけるIX-IX断面図である。
図10】封口板と電極体とが接続された状態を示す図である。
図11】封口板と電極体とが接続された状態における正極集電部材周辺の拡大図である。
図12】電流遮断機構の導電部材および正極端子のカシメ構造を示す図である。
図13図12に示すカシメ構造を形成する工程を示す図である。
図14図12図13に示す導電部材の底面図(カシメ後)である。
図15図12図14に示す導電部材の断面図(カシメ後)である。
図16】変形例(その1)に係る導電部材の底面図(カシメ後)である。
図17】変形例(その2)に係る導電部材の底面図(カシメ後)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本技術の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0011】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本技術の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本技術にとって必ずしも必須のものではない。
【0012】
なお、本明細書において、「備える(comprise)」および「含む(include)」、「有する(have)」の記載は、オープンエンド形式である。すなわち、ある構成を含む場合に、当該構成以外の他の構成を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、本技術は、本実施の形態において言及する作用効果を必ずしもすべて奏するものに限定されない。
【0013】
本明細書において、「電池」は、リチウムイオン電池に限定されず、ニッケル水素電池など他の電池を含み得る。本明細書において、「電極」は正極および負極を総称し得る。また、「電極板」は正極板および負極板を総称し得る。
【0014】
図1は、角形二次電池1の斜視図である。図2は、図1におけるII-II断面図である。
【0015】
図1図2に示すように、角形二次電池1は、電池ケース100と、電極体200と、絶縁シート300と、正極端子400と、負極端子500と、正極集電部材600と、負極集電部材700と、電流遮断機構800と、カバー部材900とを含む。
【0016】
電池ケース100は、開口を有する有底角筒状の角形外装体110と、角形外装体110の開口を封口する封口板120とからなる。角形外装体110および封口板120は、それぞれ金属製であることが好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金製とすることが好ましい。
【0017】
封口板120には、電解液注液孔121が設けられる。電解液注液孔121から電池ケース100内に電解液が注液された後、電解液注液孔121は、封止部材122により封止される。封止部材122としては、たとえばブラインドリベットおよびその他の金属部材を用いることができる。
【0018】
封口板120には、ガス排出弁123が設けられる。ガス排出弁123は、電池ケース100内の圧力が所定値以上となった際に破断する。これにより、電池ケース100内のガスが電池ケース100外に排出される。
【0019】
電極体200は、電解液とともに電池ケース100内に収容されている。電極体200は、正極板と負極板がセパレータを介して積層されたものである。電極体200と角形外装体110の間には樹脂製の絶縁シート300が配置されている。
【0020】
電極体200の封口板120側の端部には、正極タブ210Aおよび負極タブ210Bが設けられている。
【0021】
正極タブ210Aと正極端子400とは、正極集電部材600を介して電気的に接続されている。正極集電部材600は、第1正極集電体610および第2正極集電体620を含む。なお、正極集電部材600は、1つの部品から構成されてもよい。正極集電部材600は、金属製であることが好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金製とすることがより好ましい。
【0022】
負極タブ210Bと負極端子500とは、負極集電部材700を介して電気的に接続されている。負極集電部材700は、第1負極集電体710および第2負極集電体720を含む。なお、負極集電部材700は、1つの部品から構成されてもよい。負極集電部材700は、金属製であることが好ましく、銅または銅合金製であることがより好ましい。
【0023】
正極端子400は、樹脂製の外部側絶縁部材410を介して封口板120に固定されている。負極端子500は、樹脂製の外部側絶縁部材510を介して封口板120に固定されている。
【0024】
正極端子400は金属製であることが好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金製であることがより好ましい。負極端子500は金属製であることが好ましく、銅または銅合金製であることがより好ましい。負極端子500が、電池ケース100の内部側に配置される銅または銅合金からなる領域と、電池ケース100の外部側に配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる領域を有するようにしてもよい。
【0025】
電流遮断機構800は、正極タブ210A(正極板)と正極端子400の間の導電経路に設けられる。電流遮断機構800は、電池ケース100内の圧力が所定値以上となった際に作動し、導電経路を遮断することができる。ガス排出弁123の作動圧は、電流遮断機構800の作動圧よりも大きい値に設定される。電流遮断機構800は、負極タブ210Bと負極端子500の間の導電経路に設けることもできる。
【0026】
図3は、電極体200を構成する正極板200Aの平面図である。正極板200Aは、矩形状のアルミニウム箔からなる正極芯体の両面に正極活物質(たとえばリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等)、結着材(ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等)、および導電材(たとえば炭素材料等)を含む正極活物質合剤層が形成された本体部220Aを有する。本体部の端辺から正極芯体が突出しており、この突出した正極芯体が正極タブ210Aを構成する。正極タブ210Aにおける本体部220Aと隣接する部分には、アルミナ粒子、結着材、および導電材を含む正極保護層230Aが設けられている。正極保護層230Aは、正極活物質合剤層の電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する。正極活物質合剤層は導電材を含まなくてもよい。正極保護層230Aは必ずしも設けられなくてもよい。
【0027】
図4は、電極体200を構成する負極板200Bの平面図である。負極板200Bは、矩形状の銅箔からなる負極芯体の両面に負極活物質層が形成された本体部220Bを有する。本体部220Bの端辺から負極芯体が突出しており、この突出した負極芯体が負極タブ210Bを構成する。
【0028】
図5は、正極板200Aおよび負極板200Bからなる電極体200を示す平面図である。図5に示すように、電極体200は、一方の端部において各々の正極板200Aの正極タブ210Aが積層され、各々の負極板200Bの負極タブ210Bが積層されるように作製される。正極板200Aおよび負極板200Bは、たとえば各々50枚程度ずつ重ねられる。正極板200Aと負極板200Bとは、ポリオレフィン製の矩形状のセパレータを介して交互に積層される。なお、長尺のセパレータをつづら折りして用いてもよい。
【0029】
図6は、電極体200と正極集電部材600および負極集電部材700との接続構造を示す図である。図6に示すように、電極体200は、第1電極体要素201(第1積層群)および第2電極体要素202(第2積層群)により構成される。第1電極体要素201および第2電極体要素202の外面にもセパレータが各々配置される。第1電極体要素201および第2電極体要素202は、たとえばテープ等により積層状態の状態で固定することができる。代替的に、各々の正極板200A、負極板200Bおよびセパレータに接着層を設け、セパレータと正極板200Aとが各々接着され、セパレータと負極板200Bとが各々接着されるようにしてもよい。
【0030】
第1電極体要素201の複数枚の正極タブ210Aが第1正極タブ群211Aを構成する。第1電極体要素201の複数枚の負極タブ210Bが第1負極タブ群211Bを構成する。第2電極体要素202の複数枚の正極タブ210Aが第2正極タブ群212Aを構成する。第2電極体要素202の複数枚の負極タブ210Bが第2負極タブ群212Bを構成する。
【0031】
第1電極体要素201と第2電極体要素202の間に、第2正極集電体620と第2負極集電体720とが配置される。第2正極集電体620は、第1開口620Aおよび第2開口620Bを有する。第1正極タブ群211Aおよび第2正極タブ群212Aが、第2正極集電体620上に溶接接続され、溶接接続部213が形成される。第1負極タブ群211Bおよび第2負極タブ群212Bが、第2負極集電体720上に溶接接続され、溶接接続部213が形成される。溶接接続部213は、たとえば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等により形成し得る。
【0032】
図7は、封口板120への正極集電部材600および負極集電部材700の取付構造を示す図である。図8は、図7におけるVIII-VIII断面を示す。図9は、図7におけるIX-IX断面を示す。
【0033】
まず、図7図8を参照して、封口板120への正極集電部材600の取付について説明する。
【0034】
封口板120の外面側に樹脂製の外部側絶縁部材410が配置される。封口板120の内面側に樹脂製の絶縁部材420および導電部材430が配置される。その後、正極端子400が、外部側絶縁部材410の貫通穴 、封口板120の正極端子取り付け孔、絶縁部材420の貫通穴、および導電部材430の貫通穴に挿入される。そして、正極端子400の先端が導電部材430上にカシメ接続される。これにより、正極端子400、外部側絶縁部材410、封口板120、絶縁部材420、および導電部材430が固定される。正極端子400および導電部材430のカシメ接続された部分は、レーザ溶接等により溶接されることが好ましい。
【0035】
導電部材430は、導電部材ベース部431と、導電部材ベース部431の縁部から電極体200(図中下側)に向かって延びる管状部432とを有する。管状部432の電極体200側の端部には、開口部433が設けられている。なお、正極端子400と導電部材430とは一体の部材として設けられてもよい。
【0036】
変形板440は、導電部材430の開口部433を塞ぐように配置される。変形板440の周縁は、レーザ溶接等により導電部材430に溶接される。これにより、導電部材430の開口部433が変形板440により密閉される。なお、導電部材430および変形板440はそれぞれ金属製であることが好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることがより好ましい。
【0037】
第1正極集電体610に設けられた貫通穴に、樹脂製の絶縁部材630(正極集電体ホルダ)に設けられた突起が挿入され、当該突起の先端を熱カシメ等により拡径することにより、接続部631が形成され、第1正極集電体610と絶縁部材630とを接続することができる。また、第1正極集電体610に設けられた貫通穴に絶縁部材630に設けられた突起を挿入することにより、ズレ防止部632を形成することができる。
【0038】
第1正極集電体610に接続された絶縁部材630と、正極端子400側の絶縁部材420とは、嵌合により接続される。なお、絶縁部材630に爪部を設け、当該爪部を絶縁部材420に引っ掛け接続することもできる。
【0039】
その後、絶縁部材630に設けられた開口部において、正極集電部材600側の第1正極集電体610と、正極端子400側の変形板440の中央部とが、レーザ溶接等により接続される。第1正極集電体610に接続用孔を設け、接続用孔の縁部を変形板440に溶接接続することが好ましい。
【0040】
図8に示すように、絶縁部材630は、電極体200側に突出する筒状部630Aを有する。筒状部630Aは、第2正極集電体620の第2開口620Bを貫通し、電解液注液孔121と連通する孔部630Bを規定する。
【0041】
封口板120に正極集電部材600を取り付ける際は、まず、第1正極集電体610が封口板120上の絶縁部材630に接続される。続いて、電極体200に接続された第2正極集電体620が第1正極集電体610に取り付けられる。このとき、第2正極集電体620の一部が第1正極集電体610と重なるように第2正極集電体620が絶縁部材630上に配置される。続いて、第2正極集電体620に設けられた第1開口620Aの周囲が、レーザ溶接等により第1正極集電体610に溶接接続される。
【0042】
次に、図7および図9を参照して、封口板120への負極集電部材700の取付について説明する。
【0043】
封口板120の外面側に樹脂製の外部側絶縁部材510が配置される。封口板120の内面側に第1負極集電体710、および樹脂製の絶縁部材730(負極集電体ホルダ)が配置される。次に、負極端子500が、外部側絶縁部材510の貫通孔、封口板120の負極端子取り付け孔、第1負極集電体710の貫通孔、および絶縁部材730の貫通孔に挿入される。そして、負極端子500の先端が第1負極集電体710上にカシメ接続される。これにより、負極端子500、外部側絶縁部材510、封口板120、第1負極集電体710、および絶縁部材730が固定される。なお、負極端子500および第1負極集電体710のカシメ接続された部分は、レーザ溶接等により溶接接続されることが好ましい。
【0044】
さらに、第2負極集電体720の一部が第1負極集電体710と重なるように、第2負極集電体720が絶縁部材730上に配置される。第2負極集電体720に設けられた第1開口720Aにおいて、第2負極集電体720は第1負極集電体710にレーザ溶接等により溶接接続される。
【0045】
封口板120に負極集電部材700を取り付ける際は、まず、第1負極集電体710が封口板120上の絶縁部材730上に配置される。続いて、電極体200に接続された第2負極集電体720が第1負極集電体710に取り付けられる。このとき、第2負極集電体720の一部が第1負極集電体710と重なるように第2負極集電体720が絶縁部材730上に配置される。続いて、第2負極集電体720に設けられた第1開口720Aの周囲が、レーザ溶接等により第1負極集電体710に溶接接続される。
【0046】
図8に示される電流遮断機構800の動作について説明する。電池ケース100内の圧力が上昇することにより、変形板440の中央部が封口板120側に移動するように変形する。そして、電池ケース100内の圧力が所定値以上となったとき、変形板440の変形に伴い、第1正極集電体610と変形板440との溶接接合部が破断する。これにより、正極板200Aから正極端子400への導電経路が切断される。
【0047】
角形二次電池1が過充電状態となり電池ケース100内の圧力が上昇したとき、電流遮断機構800が作動し、正極板200Aから正極端子400への導電経路が切断されることにより、更なる過充電の進行が防止される。
【0048】
正極端子400には貫通孔400Aが形成されている。貫通孔400Aを通じて導電部材430の内部側にガスを送り込むことにより、導電部材430と変形板440との溶接接続部のリーク検査を行なうことができる。貫通孔400Aは、樹脂製ないし金属製の端子封止部材により封止される。
【0049】
図10は、封口板120と電極体200とが接続された状態を示す図である。図11は、封口板120と電極体200とが接続された状態における正極集電部材600周辺の拡大図である。
【0050】
図7図9を用いて説明したように、正極集電部材600および負極集電部材700を介して第1電極体要素201および第2電極体要素202が封口板120に取り付けられる。これにより、図10に示すように、第1電極体要素201および第2電極体要素202が封口板120に接続され、電極体200と正極端子400および負極端子500とが電気的に接続される。
【0051】
図11に示すように、第1正極集電体610上に樹脂製のカバー部材900が設けられる。カバー部材900は、第1正極集電体610と電極体200の間に位置する。カバー部材900は、負極集電体側に設けられてもよい。また、カバー部材900は必須の部材ではなく、適宜省略が可能である。
【0052】
図10に示す状態から、第1電極体要素201と第2電極体要素202とが1つに纏められる。このとき、第1正極タブ群211Aと第2正極タブ群212Aとが互いに異なる方向に湾曲させられる。第1負極タブ群211Bと第2負極タブ群212Bとが互いに異なる方向に湾曲させられる。
【0053】
第1電極体要素201と第2電極体要素202とは、テープ等により1つに纏められ得る。代替的に、第1電極体要素201と第2電極体要素202とを、箱状ないし袋状に成形した絶縁シート内に配置することで1つに纏めることができる。さらに、第1電極体要素201と第2電極体要素202とを接着により固定することができる。
【0054】
1つに纏められた第1電極体要素201と第2電極体要素202とが絶縁シートで包まれ、角形外装体110に挿入される。その後、封口板120が角形外装体110に溶接接続され、角形外装体110の開口が封口板120により封口され、密閉された電池ケース100が形成される。
【0055】
その後、封口板120に設けられた電解液注液孔121から非水電解液が電池ケース100に注液される。非水電解液としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、およびジエチルカーボネート(DEC)とを、体積比(25℃)30:30:40の割合で混合した非水溶媒に、LiPF6を1.2モル/Lの濃度で溶解させたものを用いることができる。
【0056】
非水電解液が注液された後、電解液注液孔121は封止部材122により封止される。以上の工程の実施により、角形二次電池1は完成する。
【0057】
以上に述べたとおり、角形二次電池1の製造方法は、電極体200と第1正極集電体610とを接続する工程と、導電部材ベース部431および開口部433を含む導電部材430を準備する工程と、正極端子400(端子部)の先端を導電部材ベース部431にカシメることにより正極端子400と導電部材430とを接続する工程と、変形板440により導電部材430の開口部433を封止する工程と、変形板440と第1正極集電体610とを接合することにより、第1正極集電体610、変形板440、および導電部材430を介して電極体200と正極端子400とを電気的に接続する工程と、電極体200を電池ケース100に収容する工程とを備える。
【0058】
このようにして製造された角形二次電池1は、電極体200と、電極体200を収容する電池ケース100と、電池ケース100に固定された正極端子400(端子部)と、正極端子400に接続され、電極体200側に開口部433を有する導電部材430と、導電部材430の開口部433を封止する変形板440と、変形板440と接合される第1正極集電体610とを備える。
【0059】
電極体200は、第1正極集電体610、変形板440、および導電部材430を介して正極端子400と電気的に接続される。電池ケース100内の圧力が所定値以上となったときに、変形板440が変形することに伴い、変形板440と第1正極集電体610との間の溶接が破断し、電極体200と正極端子400との間の電気的な接続が切断される。
【0060】
図12は、導電部材430および正極端子400のカシメ構造を示す図である。図12に示すように、導電部材ベース部431は、貫通穴431Aを有する。正極端子400の先端は貫通穴431Aに挿入され、導電部材ベース部431にカシメられる。導電部材ベース部431は、貫通穴431Aの周囲に略環状の溝部434(脆弱部)を有する。
【0061】
溝部434は、導電部材ベース部431の封口板120側の表面(第1表面)上に形成されてもよいし、電極体200側の表面(第2表面)上に形成されてもよい。
【0062】
図12の例では、溝部434は、導電部材ベース部431の電極体200側の表面上に形成されている。導電部材ベース部431の封口板120側の表面(第1表面)は、絶縁部材420を押圧し、電池ケース100の気密性を高める機能を有するため、溝部434は、電極体200側の表面(第2表面)上に形成されることが好ましい。
【0063】
溝部434は、導電部材ベース部431の全厚(溝部434に隣接する導電部材ベース部431の厚み)の1/20以上1/3以下程度の厚みを残すように形成される。
【0064】
導電部材430の管状部432の先端は、開口部433の周縁部435を構成する。周縁部435が変形板440に溶接されることにより、導電部材430と変形板440とが接合される。
【0065】
図13は、図12に示すカシメ構造を形成する工程を示す図である。図13に示すように、正極端子400の先端を導電部材ベース部431にカシメる工程は、治具1000を用いて行われる。
【0066】
治具1000は、溝部434の内周側に位置し、正極端子400の先端を押圧して導電部材430にカシメ固定する第1部材1100と、第1部材1100の外周側に位置し、導電部材ベース部431を圧縮する第2部材1200と、第2部材1200の外周側に位置し、周縁部435に当接する第3部材1300とを含む。
【0067】
すなわち、正極端子400の先端を導電部材ベース部431にカシメる工程は、導電部材430の開口部433の周縁部435を第3部材1300により押さえながら、溝部434の内周側に位置する導電部材430を変形させることにより行われる。ここで、溝部434が形成されているため、導電部材430の変形は、溝部434(脆弱部)近傍のみで吸収され、溝部434の外周側の変形は抑制される。したがって、カシメ工程による周縁部435の変位を抑制することができる。また、第3部材1300を周縁部435に当接させることによっても、周縁部435の変位を抑制することができる。
【0068】
上述のとおり、周縁部435は変形板440と溶接される。本実施の形態においては、カシメ工程における周縁部435の変位が抑制される。このため、周縁部435に溶接接合される変形板440の位置および姿勢を安定させることができる。また、変形板440と第1正極集電体610との接合強度を安定させることが可能である。以上の結果として、電流遮断機構800の作動圧が安定した信頼性の高い角形二次電池1を得ることができる。
【0069】
図14図15は、各々、導電部材430の底面図、断面図(カシメ後)である。図14図15を参照して、導電部材ベース部431の径(a)と、環状の溝部434の内径(b)との比(b/a)は、1/5≦b/a≦9/10程度である。
【0070】
溝部434は、図12の例のように矩形の断面形状を有してもよいし、V字形、U字形の断面形状を有してもよい。
【0071】
図16図17は、変形例に係る導電部材430の底面図(カシメ後)である。図16の変形例においては、溝部434の形状が六角形状(多角形状)に延びる。図17の変形例では、溝部434が完全な環状ではなく、真円の一部が途切れた平面形状を溝部434が有する。溝部434は、周方向の長さについて、完全な環状の60%以上99%以下程度である「略環状」であってもよい。
【0072】
また、上述した真円形状に代えて、二軸対称の正多角形の平面形状を有する変形板440が用いられてもよい。
【0073】
本実施の形態において、変形板440の径は、典型的には10mm以上30mm以下程度であるが、変形板440の径は上記の値に限定されない。
【0074】
以上、本技術の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本技術の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
1 角形二次電池、100 電池ケース、110 角形外装体、120 封口板、121 電解液注液孔、122 封止部材、123 ガス排出弁、200 電極体、200A 正極板、200B 負極板、201 第1電極体要素、202 第2電極体要素、210A 正極タブ、210B 負極タブ、211A 第1正極タブ群、211B 第1負極タブ群、212A 第2正極タブ群、212B 第2負極タブ群、213 溶接接続部、220A 本体部、220B 本体部、230A 正極保護層、300 絶縁シート、400 正極端子、400A 貫通孔、410 外部側絶縁部材、420 絶縁部材、430 導電部材、431 導電部材ベース部、431A 貫通穴、432 管状部、433 開口部、434 溝部、435 周縁部、440 変形板、500 負極端子、510 外部側絶縁部材、600 正極集電部材、610 第1正極集電体、620 第2正極集電体、620A 第1開口、620B 第2開口、630 絶縁部材、630A 筒状部、630B 孔部、631 接続部、632 ズレ防止部、700 負極集電部材、710 第1負極集電体、720 第2負極集電体、720A 第1開口、730 絶縁部材、800 電流遮断機構、900 カバー部材、1000 治具、1100 第1部材、1200 第2部材、1300 第3部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17