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特許7265523弾性サセプタを有するエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】弾性サセプタを有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20230419BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20230419BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F47/00
H05B6/10 371
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020502445
(86)(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 EP2018071708
(87)【国際公開番号】W WO2019030364
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】17185597.6
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0149737(US,A1)
【文献】国際公開第2017/036955(WO,A2)
【文献】特表2016-532432(JP,A)
【文献】特表2017-533732(JP,A)
【文献】特表2015-506170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーと、
前記チャンバーの少なくとも一部分の周りに配置されたインダクタコイルと、
前記チャンバー内に位置付けられた弾性サセプタ素子であって、前記弾性サセプタ素子内のエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するために管状の形状を有する弾性サセプタ素子と、
使用時に、前記インダクタコイルが交番磁界を発生して前記弾性サセプタ素子を誘導加熱し、これによって前記弾性サセプタ素子内に受容されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を加熱するように、前記インダクタコイルに接続された、かつ交流電流を前記インダクタコイルに提供するように構成された電源およびコントローラーとを備える、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記チャンバーが、閉鎖端、開放端、および前記閉鎖端と前記開放端の間に延びる中心軸を備え、前記弾性サセプタ素子の少なくとも一部分が、前記チャンバーの内表面から前記中軸に向かって離れるように前記弾性サセプタ素子を付勢するための半径方向弾性を備える、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記弾性サセプタ素子が管状基体および前記管状基体によって支持されたサセプタ材料を含む、請求項1または2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記管状基体が織布材料を含む、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記チャンバーが閉鎖端および開放端を備え、前記織布材料のスレッド数が前記閉鎖端と前記開放端の間の前記管状基体の長さに沿って変化する、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記サセプタ材料が、前記管状基体の前記織布材料と織り合わされた複数のサセプタ繊維を含む、請求項4または5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記サセプタ材料が、前記管状基体の一部分によってそれぞれ支持されたサセプタ材料の複数の領域を備え、サセプタ材料の前記領域が相互に間隙を介している、請求項3~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記チャンバーが閉鎖端および開放端を備え、サセプタ材料の前記領域が、前記閉鎖端と前記開放端の間の前記管状基体の長さに沿って相互に間隙を介している、請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記インダクタコイルが複数のインダクタコイルを含み、前記弾性サセプタ素子がサセプタ材料の領域の総数を含み、各インダクタコイルがサセプタ材料の領域の総数未満の周りに配置されている、請求項8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
各インダクタコイルがサセプタ材料の前記領域の一つのみの周りに配置されている、請求項9に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
管状ハウジング部をさらに備え、前記弾性サセプタ素子が、前記管状ハウジング部内に位置付けられた中央部分と、前記管状ハウジング部の第一の端から延びる第一の端部分と、前記管状ハウジング部の第二の端から延びる第二の端部分とを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記弾性サセプタ素子の前記第一の端部分が、前記管状ハウジング部の前記第一の端の周りに折り畳まれて、前記管状ハウジング部の外表面に固定されていて、前記弾性サセプタ素子の前記第二の端部分が、前記管状ハウジング部の前記第二の端の周りに折り畳まれて、前記管状ハウジング部の前記外表面に固定されている、請求項11に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記チャンバーが閉鎖端を備え、前記エアロゾル発生装置が、前記閉鎖端から前記チャンバーの中に延びる突出部をさらに備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記インダクタコイルの少なくとも一部分が前記突出部の少なくとも一部分の周りに配置されていて、前記突出部がサセプタ材料を含む、請求項13に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を有し、かつ前記エアロゾル発生装置で使用するために構成されたエアロゾル発生物品とを備える、エアロゾル発生システム。
【請求項16】
エアロゾル発生物品を加熱するための弾性サセプタ素子であって、前記弾性サセプタ素子が、前記弾性サセプタ素子内にエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するために管状の形状を有する、弾性サセプタ素子。
【請求項17】
弾性サセプタ素子が管状基体および前記管状基体によって支持されたサセプタ材料を含む、請求項16に記載の弾性サセプタ素子。
【請求項18】
前記管状基体が織布材料を含む、請求項17に記載の弾性サセプタ素子。
【請求項19】
前記織布材料のスレッド数が、前記管状基体の長さに沿って変化する、請求項18に記載の弾性サセプタ素子。
【請求項20】
前記サセプタ材料が、前記管状基体の前記織布材料と織り合わされた複数のサセプタ繊維を含む、請求項18または19に記載の弾性サセプタ素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタコイルおよび弾性サセプタ素子を備えるエアロゾル発生装置に関する。本発明はまた、エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たばこプラグなどのエアロゾル形成基体を加熱するために電気ヒーターを有するエアロゾル発生装置が使用される数多くの電気的に作動するエアロゾル発生システムが、当該技術分野において提唱されてきた。こうしたエアロゾル発生システムの一つの目的は、従来の紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプの周知の有害な煙成分を減少させることである。典型的に、エアロゾル発生基体は、エアロゾル発生装置のチャンバーまたはくぼみの中に挿入されているエアロゾル発生物品の一部として提供されている。一部の周知のシステムにおいて、エアロゾルを形成することができる揮発性成分を放出することが可能な温度にエアロゾル形成基体を加熱するために、加熱ブレードなどの抵抗発熱体は、物品がエアロゾル発生装置内に受容されている時にエアロゾル形成基体の中に、またはその周りに挿入される。その他のエアロゾル発生システムにおいて、抵抗発熱体ではなく誘導ヒーターが使用されている。誘導ヒーターは典型的に、エアロゾル発生装置の一部を形成するインダクタと、エアロゾル発生装置内にあって、かつエアロゾル形成基体と熱的に近接するように配設された導電性サセプタ素子とを備える。使用中、インダクタは交番磁界を発生して、サセプタ素子内に渦電流およびヒステリシス損失を生成し、サセプタ素子の加熱を生じさせ、これによってエアロゾル形成基体を加熱する。
【0003】
本発明の発明者は、誘導加熱システム内のエアロゾル発生物品の加熱を最適化するために、システムが物品とサセプタ素子との間の接触を最適化し、インダクタとサセプタ素子との間の距離を最小化するように構成されていることが好ましいことを認識していた。ところが、周知の装置において、これは装置内のエアロゾル発生物品の締まり嵌めをもたらしうる。これは、ユーザーが物品を装置の中に挿入すること、または装置から物品を取り外すこと、またはその両方を行うことを困難にする場合がある。締まり嵌めはまた、物品の寸法に関して製造許容差を減少させる可能性があり、これは物品のコストを増大させうる。
【0004】
周知のシステムでのこれらの問題を軽減または克服する誘導加熱システムを備えるエアロゾル発生装置を提供することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様によると、チャンバーと、チャンバーの少なくとも一部分の周りに配置されたインダクタコイルと、チャンバー内に位置付けられた弾性サセプタ素子とを備えるエアロゾル発生装置が提供されている。弾性サセプタ素子は、弾性サセプタ素子内にエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するための管状の形状を有する。エアロゾル発生装置はまた、使用時にインダクタコイルが交番磁界を発生して弾性サセプタ素子を誘導加熱し、これによって弾性サセプタ素子内に受容されたエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を加熱するように、インダクタコイルに接続された、かつ交流電流をインダクタコイルに提供するように構成された電源およびコントローラーを備える。
【0006】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品の主軸に沿った方向を説明するために使用され、「横断方向」という用語は、長軸方向に対して直角を成す方向を説明するために使用されている。チャンバーおよび弾性サセプタ素子を参照する時、「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品が弾性サセプタ素子の中に挿入される方向を指し、また「横断方向」という用語は、エアロゾル発生物品が弾性サセプタ素子の中に挿入される方向と直角を成す方向を指す。
【0007】
本明細書で使用される「幅」という用語は、エアロゾル発生装置の、またはエアロゾル発生物品の構成要素の、その長さに沿った特定の場所での、横断方向の主要な寸法を指す。「厚さ」という用語は、エアロゾル発生装置の、またはエアロゾル発生物品の構成要素の、幅と直角を成す横断方向における寸法を指す。
【0008】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体はエアロゾル発生物品の一部である。
【0009】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、システムの近位端またはユーザー側の端でマウスピースを吸うまたは吸煙するユーザーによって直接吸入可能なエアロゾルを発生する物品であってもよい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。たばこを含むエアロゾル形成基体を含む物品は、たばこスティックと呼ばれる。
【0010】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品と相互作用してエアロゾルを発生する装置を指す。
【0011】
本明細書で使用される「エアロゾル発生システム」という用語は、本明細書でさらに記述および図示される通りのエアロゾル発生物品と、本明細書でさらに記述および図示される通りのエアロゾル発生装置との組み合わせを指す。エアロゾル発生システムにおいて、エアロゾル発生物品とエアロゾル発生装置は協働して、呼吸に適したエアロゾルを発生する。
【0012】
本明細書で使用される「細長い」という用語は、その幅と厚さの両方より大きい(例えば、二倍)長さを有する構成要素を指す。
【0013】
本明細書で使用される「サセプタ素子」は、変化する磁界に供された時に加熱する導電性素子を意味する。これはサセプタ素子内で誘起された渦電流、またはヒステリシス損失、または渦電流とヒステリシス損失の両方の結果でありうる。サセプタ素子は、エアロゾル発生装置の弾性サセプタ素子内に受容されたエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と熱的に接触して、または熱的に近接して位置する。このようにして、エアロゾル形成基体は、エアロゾルが形成されるように、使用中にサセプタ素子によって加熱される。
【0014】
有利なことに、エアロゾル発生装置の一部としてインダクタコイルおよびサセプタ素子を提供することは、単純かつ安価で頑丈なエアロゾル発生物品を構築することを可能にする。エアロゾル発生物品は典型的には使い捨てであり、またエアロゾル発生物品が動作されるエアロゾル発生装置よりもずっと大量に製造される。その結果、物品のコストを低減することは(それがたとえ、より高価な装置を必要とする場合でも)、製造者および消費者の両方にとって著しいコスト節約をもたらすことができる。
【0015】
有利なことに、抵抗ヒーターに関連する電力損失、特に抵抗ヒーターと電源の間の接続部における接触抵抗に起因する損失を理由に、抵抗加熱ではなく誘導加熱の使用はエネルギー変換の改善を提供しうる。
【0016】
有利なことに、エアロゾル発生装置に弾性サセプタ素子を提供することは、サセプタ素子内に受容されたエアロゾル発生物品の外寸および形状にサセプタ素子が適合することを可能にしうる。例えば、弾性サセプタ素子は、エアロゾル発生物品のサイズおよび形状に適合するように伸張または変形しうる。有利なことに、これはサセプタ素子とエアロゾル発生物品との間の接触を最適化しうる。有利なことに、これは使用中の、サセプタ素子からエアロゾル発生物品への熱伝達を最適化しうる。有利なことに、弾性サセプタ素子は、異なる形状、サイズ、またはその両方を有するエアロゾル発生物品にも適合しながら、これらの利点を保持することができる。有利なことに、これは複数のタイプのエアロゾル発生物品でエアロゾル発生装置を使用することを容易にしうる。
【0017】
有利なことに、弾性サセプタ素子内にエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するように弾性サセプタ素子を構成することは、サセプタ素子とインダクタコイルとの間の距離を低減または最小化しうる。例えば、弾性サセプタ素子内にエアロゾル発生物品を受容することは、エアロゾル発生物品の外部の周りにサセプタ素子を位置付ける。これは、チャンバーの内表面に隣接してサセプタ素子を位置付ける場合があり、これはサセプタ素子とチャンバーの周りに配置されたインダクタコイルとの間の距離を低減または最小化しうる。
【0018】
有利なことに、弾性サセプタ素子は、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置の中に挿入することを容易にしうる。例えば、サセプタ素子は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中に挿入されている時に伸長または変形しうる。これは、エアロゾル発生物品をエアロゾル発生装置の中に挿入するために必要な力を低減しうる。
【0019】
有利なことに、弾性サセプタ素子の弾性は、使用中にエアロゾル発生装置内にエアロゾル発生物品を保持することを容易にしうる。例えば、サセプタ素子は、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中に挿入されている時に伸長または変形しうる。これによって、物品がエアロゾル発生装置内に受容されている間、エアロゾル発生物品に力を加えるサセプタ素子の弾性をもたらしうる。
【0020】
有利なことに、弾性サセプタ素子の弾性は、使用中に弾性サセプタ素子とエアロゾル発生物品との間の接触を維持しうる。例えば、一部のエアロゾル発生物品(たばこプラグを含むものなど)は、エアロゾル発生物品の加熱および消費中に収縮を呈しうる。従って、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の中に挿入されている時にサセプタ素子が伸縮または変形する場合、弾性は、エアロゾル発生物品が収縮するにつれて、エアロゾル発生物品の周りで収縮する弾性サセプタ素子をもたらしうる。
【0021】
有利なことに、弾性は弾性サセプタ素子の管状の形状と組み合わせて、チャンバー内のエアロゾル発生物品の正しい位置付けを容易にしうる。特に、弾性サセプタ素子は、チャンバーの中心軸に沿ったエアロゾル発生物品の位置付けを容易にしうる。例えば、中心軸から間隙を介している、または中心軸に対してある角度にある、またはその両方であるようにチャンバー内にエアロゾル発生物品を位置付けることは、管状のサセプタ素子の非対称な伸長を引き起こしうる。非対称伸張は、エアロゾル発生物品の周りに非対称的に分配されている弾性サセプタ素子によってエアロゾル発生物品に加えられる弾力をもたらしうる。これは、チャンバーの中心軸に向かってエアロゾル発生物品を付勢する合力をエアロゾル発生物品に提供しうる。
【0022】
管状の弾性サセプタ素子は任意の適切な断面形状を有しうる。断面形状は円形、楕円形、三角形、長方形(正方形を含む)、またはその他の任意の多角形の形状のうちの少なくとも一つを含みうる。管状の弾性サセプタ素子は、円形または楕円形の断面形状のうちの少なくとも一つを備えることが好ましい。管状の弾性サセプタ素子は実質的に円形の断面形状を有することが好ましい。管状の弾性サセプタ素子は、弾性サセプタ素子の長さに沿った領域および形状のうちの少なくとも一つにおいて変化する断面形状を有してもよい。
【0023】
弾性サセプタ素子はチャンバー内に同軸に配置されていることが好ましい。チャンバーは中心軸を備えることが好ましく、ここで弾性サセプタは中心軸の周りに対称的に配置されている。
【0024】
チャンバーは閉鎖端、開放端、および閉鎖端と開放端の間に延びる中心軸を備えうる。使用時に、エアロゾル発生物品は、チャンバーの開放端を通して、中心軸に沿った方向にエアロゾル発生装置の中に挿入されうる。
【0025】
弾性サセプタ素子の少なくとも一部分は、弾性サセプタ素子をチャンバーの内表面から中心軸に向かって離れるように付勢する半径方向弾性を備えることが好ましい。有利なことに、半径方向弾性は、弾性サセプタ素子内に受容されたエアロゾル発生物品の外表面に対して弾性サセプタ素子を付勢しうる。
【0026】
弾性サセプタ素子は、管状基体および管状基体によって支持されたサセプタ材料を備えてもよい。有利なことに、管状基体を形成する材料は、弾性サセプタ素子の機械的強度および弾性サセプタ素子の弾性のうちの少なくとも一つを提供するために最適化されうる。有利なことに、サセプタ材料は、インダクタコイルによる誘導加熱のために最適化されうる。
【0027】
管状基体は織布材料を含むことが好ましい。有利なことに、織布材料は、弾性サセプタ素子の弾性の改善された制御を提供しうる。例えば、織布材料は、固有弾性を有する繊維から形成されうる。追加的に、または別の方法として、織布材料は管状構造に、ある程度の弾性を提供する織りを備えうる。有利なことに、織布材料の織りは、管状構造に方向弾性を提供するように選択されうる。例えば、管状構造が管状構造の長軸方向よりも管状構造の半径方向に、より大きい伸張を示すように、織りを選択しうる。
【0028】
織布材料の少なくとも一部分は多孔性であることが好ましい。有利なことに、一つ以上の多孔性部分は、織布材料を通る気流を促進しうる。すなわち、一つ以上の多孔性部分は透過性であってもよい。有利なことに、これは使用中にエアロゾル発生装置を通る気流を促進しうる。織布材料は、実質的に完全に多孔性であってもよい。
【0029】
チャンバーが閉鎖端および開放端を備える実施形態において、織布材料のスレッド数は、閉鎖端と開放端の間の管状基体の長さに沿って変化しうる。
【0030】
有利なことに、スレッド数の変動は、管状構造の長さに沿って変化する弾性を管状構造に提供しうる。より多いスレッド数を有する管状構造の部分は、エアロゾル発生装置内に受容されたエアロゾル発生物品に対してより大きい弾力を加えうる。織布材料は、チャンバーの開放端に隣接し、第一のスレッド数を有する第一の領域、およびチャンバーの第一の領域と閉鎖端の間の第二の領域を備えてもよく、第二の領域は第一のスレッド数よりも多い第二のスレッド数を有する。有利なことに、第一の領域におけるより少ないスレッド数は、エアロゾル発生装置の中にエアロゾル発生物品を挿入することを容易にしうる。
【0031】
有利なことに、スレッド数の変動は、管状構造の長さに沿って変化する浸透性を管状構造に提供しうる。より少ないスレッド数を有する管状構造の部分は、より高い浸透性を示しうる。有利なことに、より高い浸透性を示す管状構造の部分は、管状構造を通る気流を促進しうる。
【0032】
管状構造が、第一のスレッド数を有する第一の領域と第二のスレッド数を有する第二の領域とを備える実施形態において、管状構造は、チャンバーの閉鎖端に隣接し、第三のスレッド数を有する第三の領域をさらに備え、第二の領域は第一の領域と第二の領域の間に位置付けられていて、第二のスレッド数は第一のスレッド数および第三のスレッド数よりも多い。有利なことに、第一および第三の領域は、チャンバーの開放端および閉鎖端で管状構造を通る気流を促進しうる。
【0033】
織布材料を形成するための適切な繊維には、高分子繊維、鉱物繊維、シリカ繊維、炭素繊維、およびこれらの組み合わせが含まれる。模範的な織布材料は、織布グラフェンマイクロリボンから形成されたグラフェン系織布を含む。
【0034】
サセプタ材料は、管状構造の表面上に堆積された材料を含んでもよい。
【0035】
管状構造が織布材料を含む実施形態において、サセプタ材料は、管状基体の織布材料と織り合わされた複数のサセプタ繊維を含むことが好ましい。
【0036】
適切なサセプタ材料には、エアロゾル形成基体をエアロゾル化するのに十分な温度まで誘導加熱されることができる任意の材料が含まれる。適切なサセプタ材料としては、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、アルミニウムが挙げられる。好ましいサセプタ材料は金属または炭素を含む。サセプタ材料は、例えばフェライト鉄、強磁性合金(強磁性鋼またはステンレス鋼など)、強磁性粒子、フェライトなどの強磁性材料を含む、またはその強磁性材料から成ることが好ましい。適切なサセプタ材料はアルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。サセプタ材料は、約5%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、約20%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、約50%超または90%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことがより好ましい。好ましいサセプタ材料は摂氏約250度を超える温度に加熱されてもよい。
【0037】
サセプタ材料は、実質的にすべての管状構造にわたって延びてもよい。
【0038】
サセプタ材料は、管状構造の一つ以上の部分のみにわたって延びてもよい。有利なことに、これは、使用中にチャンバー全体に望ましい加熱プロフィールを提供しうる。物品がエアロゾル発生装置内に受容されている時に、サセプタ材料がエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の上にあるように、サセプタ材料は管状構造上に位置付けられていることが好ましい。
【0039】
管状構造が、管状構造の一つ以上の他の領域よりも多いスレッド数を有する領域を備える実施形態において、サセプタ材料はより多いスレッド数を有する領域上に位置付けられていることが好ましい。管状構造が、第一および第二のスレッド数を有する少なくとも第一および第二の領域を備える実施形態において、サセプタ材料は第二の領域上に位置付けられていることが好ましい。
【0040】
サセプタ材料は、サセプタ材料の一つ以上の個別領域として管状構造上に提供されてもよい。サセプタ材料は、管状基体の一部分によってそれぞれ支持されたサセプタ材料の複数の領域を備えてもよく、サセプタ材料の領域は相互に間隙を介している。チャンバーが閉鎖端および開放端を備える実施形態において、サセプタ材料の領域は、閉鎖端と開放端の間の管状基体の長さに沿って相互に間隙を介していることが好ましい。
【0041】
インダクタコイルは複数のインダクタコイルを含んでもよく、ここで弾性サセプタ素子はサセプタ材料の領域の総数を含み、各インダクタコイルはサセプタ材料の領域の総数未満の周りに配置されている。各インダクタコイルは、サセプタ材料の領域のうちの一つのみの周りに配置されていることが好ましい。
【0042】
サセプタ材料は、管状構造の第一の部分の周りに延びるサセプタ材料の第一のバンドを形成することが好ましい。サセプタ材料は、管状構造の第二の部分の周りに延びるサセプタ材料の第二のバンドを含んでもよく、ここでサセプタ材料の第一および第二のバンドは、管状構造の長さに沿って相互に間隙を介している。
【0043】
インダクタコイルは、サセプタ材料の第一および第二のバンドの両方の周りに延びてもよい。有利なことに、これは、エアロゾル発生装置内に受容されたエアロゾル発生物品の2つの別個の部分の同時加熱を容易にしうる。これは、例えばエアロゾル発生物品が2つの個別のエアロゾル形成基体を備える実施形態において、特に有利でありうる。
【0044】
インダクタコイルは、チャンバーの第一の部分の周りに配置された、およびサセプタ材料の第一のバンドの周りに延びる第一のインダクタコイルであってもよい。エアロゾル発生装置は、チャンバーの第二の部分の周りに配置された、およびサセプタ材料の第二のバンドの周りに延びる第二のインダクタコイルをさらに備えてもよい。有利なことに、これは、エアロゾル発生物品内の2つの個別のエアロゾル形成基体の逐次的な加熱、または単一のエアロゾル形成基体の2つの部分の逐次的な加熱を容易にしうる。
【0045】
第一および第二のインダクタコイルを含む実施形態において、コントローラーは、第一の期間にわたって第一のインダクタコイルに交流電流を提供するように構成され、および第二の期間にわたって第二のインダクタコイルに交流電流を提供するように構成されうる。第一および第二の期間は、部分的に重複しうる。第一および第二の期間は、重複しない場合がある。
【0046】
エアロゾル発生装置は管状ハウジング部を備えうる。管状ハウジング部は、チャンバーを少なくとも部分的に画定することが好ましい。ハウジングは、外側ハウジングおよび外側ハウジング内に位置付けられた管状ハウジング部を備えうる。インダクタコイルは、管状ハウジング部と外側ハウジングの間に配置されていることが好ましい。インダクタコイルは、管状ハウジング部の外表面の周りに巻かれていることが好ましい。有利なことに、管状ハウジング部および外側ハウジングからハウジングを形成することは、エアロゾル発生装置の組み立てを容易にしうる。例えば、管状ハウジング部およびインダクタコイルが外側ハウジングの中に単一の要素として挿入される前に、インダクタコイルが管状ハウジング部の周りに巻かれてもよい。
【0047】
弾性サセプタ素子は、管状ハウジング部内に位置付けられた中央部分と、管状ハウジング部の第一の端から延びる第一の端部分と、管状ハウジング部の第二の端から延びる第二の端部分とを備えることが好ましい。弾性サセプタ素子の第一の端部分は管状ハウジング部の第一の端の周りに折り畳まれ、管状ハウジング部の外表面に固定されていること、および弾性サセプタ素子の第二の端部分は管状ハウジング部の第二の端の周りに折り畳まれ、管状ハウジング部の外表面に固定されていることが好ましい。
【0048】
有利なことに、管状ハウジング部は、エアロゾル発生装置内の弾性サセプタ組立品を支持する。
【0049】
有利なことに、この配設はエアロゾル発生装置の組み立てを簡略化しうる。例えば、弾性サセプタ素子は管状ハウジング部に挿入されてもよく、弾性サセプタ素子の第一および第二の端部は、折り返されて管状ハウジング部の外表面に固定されてもよい。この工程は、弾性サセプタ素子および管状ハウジング部を備えるサセプタ組立品を形成しうる。有利なことに、サセプタ組立品は、エアロゾル発生装置のその他の要素と簡単に組み合わせられうる。例えば、ハウジングが外側ハウジングを備える実施形態において、サセプタ組立品は外側ハウジングの中に挿入されうる。
【0050】
チャンバーが閉鎖端を備える実施形態において、チャンバーの閉鎖端は実質的に平面であってもよい。
【0051】
エアロゾル発生装置は、チャンバーの閉鎖端に陥凹部および突出部のうちの少なくとも一つを備えることが好ましい。有利なことに、陥凹部、突出部、または両方は、エアロゾル発生装置に挿入されたエアロゾル発生物品と相互作用して、チャンバー内の望ましい位置にエアロゾル発生物品を位置させうる。陥凹部、突出部、または両方は、エアロゾル発生物品と相互作用して、物品をチャンバーの中心軸に沿って位置付けることが好ましい。
【0052】
エアロゾル発生装置は、閉鎖端からチャンバーの中に延びる突出部を備えることが好ましい。突出部は、ハウジングの一部によって形成されてもよい。突出部は、エアロゾル発生装置の中に挿入されたエアロゾル発生物品の端に隣接するように構成されうる。突出部は、エアロゾル発生装置の中に挿入されたエアロゾル発生物品への挿入のために構成されうる。突出部は、ピン、ロッド、ブレード、またはプレートのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0053】
突出部は、サセプタ材料を含んでもよい。インダクタコイルの少なくとも一部分は、突出部の少なくとも一部分の周りに配置されていることが好ましい。有利なことに、使用時に、インダクタコイルはサセプタ材料を含む突出部を誘導加熱する。有利なことに、これはエアロゾル発生装置内に受容されたエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の追加的な加熱を提供しうる。これは、エアロゾル発生装置の中に挿入されたエアロゾル発生物品の中への挿入のために突出部が構成されている実施形態において特に有利でありうる。
【0054】
突出部の形成のために適切なサセプタ材料としては、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス鋼、ニオブ、およびアルミニウムが挙げられる。好ましいサセプタ材料は金属または炭素を含む。サセプタ材料は、例えばフェライト鉄、強磁性合金(強磁性鋼またはステンレス鋼など)、強磁性粒子、フェライトなどの強磁性材料を含む、またはその強磁性材料から成ることが好ましい。適切なサセプタ材料はアルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。サセプタ材料は、約5%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、約20%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましく、約50%超または90%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことがより好ましい。好ましいサセプタ材料は摂氏約250度を超える温度に加熱されてもよい。
【0055】
突出部は、非金属コア上に配置された金属層を有する非金属コアを備えてもよい。例えば、突出部は、セラミックコアまたは基体の外表面上に形成された一つ以上の金属トラックを備えてもよい。
【0056】
突出部は、保護外部層、例えば保護セラミック層または保護ガラス層を有してもよい。保護外部層は、サセプタ材料を封入してもよい。突出部は、サセプタ材料のコアの上に形成された、ガラス、セラミック、または不活性金属によって形成された保護被覆を備えてもよい。
【0057】
突出部は、任意の適切な断面を有しうる。例えば、突出部は正方形、楕円形、長方形、三角形、五角形、六角形または類似の断面形状を有しうる。突出部は、平面または平らな断面積を有しうる。
【0058】
突出部は、中実であってもよく、中空であってもよく、または多孔性であってもよい。突出部は中実であることが好ましい。
【0059】
突出部は約5ミリメートル~約15ミリメートルの長さ、例えば約6ミリメートル~約12ミリメートル、または約8ミリメートル~約10ミリメートルの長さを有することが好ましい。突出部は、約1ミリメートル~約8ミリメートルの幅を有することが好ましく、約3ミリメートル~約5ミリメートルの幅を有することがより好ましい。突出部の厚さは、約0.01ミリメートル~約2ミリメートルでありうる。突出部は一定の断面、例えば円形断面を有する場合、約1ミリメートル~約5ミリメートルの好ましい幅または直径を有する。
【0060】
エアロゾル発生装置は携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生装置は従来の葉巻たばこまたは紙巻たばこと匹敵するサイズを有してもよい。エアロゾル発生装置は、およそ30ミリメートル~およそ150ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生装置は、およそ5ミリメートル~およそ30ミリメートルの外径を有してもよい。
【0061】
エアロゾル発生装置ハウジングは細長くてもよい。ハウジングは任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に適切な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は軽く、かつ脆くないことが好ましい。
【0062】
ハウジングはマウスピースを備えてもよい。マウスピースは少なくとも一つの空気吸込み口と、少なくとも一つの空気出口とを備えてもよい。マウスピースは二つ以上の空気吸込み口を備えてもよい。空気吸込み口のうちの一つ以上は、エアロゾルがユーザーに送達される前にエアロゾルの温度を低減してもよく、またエアロゾルがユーザーに送達される前にエアロゾルの濃度を低下させてもよい。
【0063】
別の方法として、マウスピースはエアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。
【0064】
本明細書で使用される「マウスピース」という用語は、ハウジングのチャンバー内に受容されたエアロゾル発生物品からエアロゾル発生装置によって発生されたエアロゾルを直接吸い込むためにユーザーの口の中に定置されているエアロゾル発生装置の一部分を指す。
【0065】
エアロゾル発生装置は、装置を起動するためのユーザーインターフェース、例えば装置の加熱を開始するボタン、または装置またはエアロゾル形成基体の状態を表示するディスプレイを含んでもよい。
【0066】
エアロゾル発生装置は電源を備えてもよい。電源は再充電可能なリチウムイオン電池などの電池であってもよい。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。電源は、装置の一回以上の使用のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の吸煙回数、または不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0067】
電源はDC電源であってもよい。一実施形態において、電源は、約2.5ボルト~約4.5ボルトの範囲のDC供給電圧、および約1アンペア~約10アンペアの範囲のDC供給電流(約2.5ワット~約45ワットの範囲のDC電源に相当)を有するDC電源である。
【0068】
電源は高周波で動作するように構成されてもよい。本明細書で使用される「高周波振動電流」という用語は、約500キロヘルツ~約30メガヘルツの周波数を有する、振動する電流を意味する。高周波振動電流は、約1メガヘルツ~約30メガヘルツの周波数を有してもよく、約1メガヘルツ~約10メガヘルツの周波数を有することが好ましく、約5メガヘルツ~約8メガヘルツの周波数を有することがより好ましい。
【0069】
エアロゾル発生装置は、インダクタコイルに接続されたコントローラーと、電源とを備える。コントローラーは、電源からインダクタコイルへの電力供給を制御するように構成されている。コントローラーはマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラー、または特定用途向け集積回路チップ(ASIC)もしくは制御を提供する能力を有するその他の電子回路であってもよい。コントローラーはさらなる電子構成要素を備えてもよい。コントローラーはインダクタコイルへの電流の供給を調節するように構成されてもよい。電流はエアロゾル発生装置の起動後、インダクタコイルに連続的に供給されてもよく、または断続的(例えば、毎回の吸煙ごと)に供給されてもよい。コントローラーは有利なことにDC/ACインバータを備えてもよく、これはクラスDまたはクラスEの電力増幅器を備えてもよい。
【0070】
本発明の第二の態様によると、エアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生システムは、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによる、本発明の第一の態様によるエアロゾル発生装置を備える。エアロゾル発生システムはまた、エアロゾル形成基体を有する、かつエアロゾル発生装置で使用するために構成されたエアロゾル発生物品を備える。
【0071】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチン含有エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスであってもよい。エアロゾル形成基体は植物系の材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含むたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含みうる。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含みうる。均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されうる。特に好ましい実施形態において、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行した隆起またはコルゲーションを有するシートを意味する。
【0072】
エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に高密度の安定したエアロゾルの形成を容易にし、かつシステムの動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1、3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールなど)である。エアロゾル形成体は、グリセリンであることが好ましい。存在する場合、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で5パーセント以上のエアロゾル形成体含有量を有してもよく、また乾燥質量基準で5重量パーセント~30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0073】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいて、エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置のチャンバーは、物品がエアロゾル発生装置のチャンバーの中に部分的に受容されるように配設されてもよい。エアロゾル発生装置のチャンバーおよびエアロゾル発生物品は、物品がエアロゾル発生装置のチャンバーの中に完全に受容されるように配設されてもよい。
【0074】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す周囲とを有してもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル形成セグメントとして提供されてもよい。エアロゾル形成セグメントは実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル形成セグメントは実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成セグメントはまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
【0075】
エアロゾル発生物品は、およそ30ミリメートル~およそ100ミリメートルの全長を有してもよい。一実施形態において、エアロゾル発生物品は、およそ45ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルの外径を有してもよい。一実施形態において、エアロゾル発生物品は、およそ7.2ミリメートルの外径を有してもよい。
【0076】
エアロゾル形成基体は、約7ミリメートル~約15ミリメートルの長さを有するエアロゾル形成セグメントとして提供されてもよい。一実施形態において、エアロゾル形成セグメントは、およそ10ミリメートルの長さを有してもよい。別の方法として、エアロゾル形成セグメントは、およそ12ミリメートルの長さを有してもよい。
【0077】
エアロゾル発生セグメントは、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。エアロゾル形成セグメントの外径は、およそ5ミリメートル~およそ12ミリメートルであってもよい。一実施形態において、エアロゾル形成セグメントは、およそ7.2ミリメートルの外径を有してもよい。
【0078】
エアロゾル発生物品は、フィルタープラグを備えてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一実施形態において、フィルタープラグはおよそ7ミリメートルの長さであるが、およそ5ミリメートル~およそ10ミリメートルの長さを有してもよい。
【0079】
エアロゾル発生物品は外側紙ラッパーを備えてもよい。さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグとの間に分離部を備えてもよい。分離部は、およそ18ミリメートルであってもよいが、およそ5ミリメートル~およそ25メートルの範囲であってもよい。
【0080】
本発明の第三の態様によると、エアロゾル発生物品を加熱するための弾性サセプタ素子が提供されていて、弾性サセプタ素子は、弾性サセプタ素子内にエアロゾル発生物品の少なくとも一部分を受容するために管状の形状を有する。弾性サセプタ素子は、本発明の第一の態様に関して本明細書に記載の随意の好ましい特徴のうちのいずれかを備えてもよい。
【0081】
添付図面を参照しながら、例証としてのみ、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】本発明の任意の実施形態によるエアロゾル発生システムの断面図を示す。
図2】エアロゾル発生装置の中に挿入されたエアロゾル発生物品を有する、図1のエアロゾル発生システムの断面図を示す。
図3図1のエアロゾル発生装置のサセプタ組立品の断面図を示す。
図4図3のサセプタ組立品の弾性サセプタ素子の斜視図を示す。
図5】代替的な弾性サセプタ素子の斜視図を示す。
図6図2のエアロゾル発生システムの一部の拡大断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1および図2は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システム10の断面図を示す。エアロゾル発生システム10は、エアロゾル発生装置12およびエアロゾル発生物品14を備える。図1は、エアロゾル発生装置12から分離されたエアロゾル発生物品14を示す。図2は、エアロゾル発生装置12に挿入されたエアロゾル発生物品14の一部分を示す。
【0084】
エアロゾル発生装置12は、外側ハウジング18を備えるハウジング16を備える。エアロゾル発生装置12はまた、チャンバー20の開放端21を通してエアロゾル発生物品14の一部分を受容するためのチャンバー20を備える。
【0085】
チャンバー20内に位置付けられているのは、管状ハウジング部24および弾性サセプタ素子26を備えるサセプタ組立品22である。エアロゾル発生物品14がエアロゾル発生装置12の中に挿入されている時、エアロゾル発生物品14は弾性サセプタ素子26内に受容されている。
【0086】
エアロゾル発生装置12はまた、外側ハウジング18と管状ハウジング部24との間のハウジング16内に配置されたインダクタコイル28を備える。インダクタコイル28は、チャンバー20の周りに延びる。
【0087】
エアロゾル発生装置12は、電源30、コントローラー32および突出部34をさらに備える。突出部34は、チャンバー20の閉鎖端23からチャンバー20の中に延びる。
【0088】
エアロゾル発生物品14は、たばこプラグの形態のエアロゾル形成基体36と、酢酸セルロースフィルターを備えるマウスピース38とを備える。エアロゾル形成基体36およびマウスピース38は、外側ラッパー40によって間隙を介してまとめて固定されていて、エアロゾル形成基体36とマウスピース38の間の空間41を画定する。
【0089】
使用中、エアロゾル発生物品14は、エアロゾル形成基体36が弾性サセプタ素子26内に受容されるように、エアロゾル発生装置12のチャンバー20の中に挿入される。エアロゾル発生物品14が弾性サセプタ素子26の中に挿入される時、弾性サセプタ素子26は伸長および変形し、エアロゾル発生物品14の外部サイズおよび形状に適合する。弾性サセプタ素子26の弾性は、弾性サセプタ素子26をエアdロゾル形成物品14に対して付勢して、エアロゾル形成物品14をチャンバー20内に保持する。
【0090】
突出部34は、エアロゾル形成基体36と噛み合い、チャンバー20内の望ましい位置にエアロゾル発生物品14を位置させる。具体的には、突出部34および弾性サセプタ素子26は、弾性サセプタ素子26、チャンバー20およびエアロゾル発生装置12の中心軸42に沿ってエアロゾル発生物品14を位置付ける。図6に関連して本明細書に記載の通り、突出部34はまた、チャンバー20の閉鎖端23から離れるようにエアロゾル発生物品14の端部に間隔を持たせて、気流がエアロゾル発生物品14の端部に入ることを可能にする。
【0091】
エアロゾル発生物品14がチャンバー20の中に挿入されると、コントローラー32は、電源30からインダクタコイル28に交互電流を供給し、交番磁場を生成する。交番磁界は弾性サセプタ素子26を誘導加熱し、これがエアロゾル形成基体36を加熱してエアロゾルを生成する。
【0092】
図3は、サセプタ組立品22の断面図を示す。弾性サセプタ素子26は、織布グラフェン材料から形成された管状構造42を備える。弾性サセプタ素子26はまた、管状構造42の中央領域で織布グラフェン材料と織り合わされた強磁性繊維を含むサセプタ材料44のバンドを備える。管状構造42は、管状構造42の中央領域を管状ハウジング部24から離れるように付勢する半径方向弾性を示す。管状構造42の中央領域は、管状ハウジング部24内に位置付けられている。管状構造42の第一の端46は、管状ハウジング部24の第一の端48の上に折り畳まれていて、接着剤によって管状ハウジング部24の外表面に固定されている。管状構造42の第二の端50は、管状ハウジング部24の第二の端52の上に折り畳まれていて、接着剤によって管状ハウジング部24の外表面に固定されている。
【0093】
図4は、管状ハウジング部24と組み合わされてサセプタ組立品22を形成する前の弾性サセプタ素子26の斜視図を示す。管状構造42を形成する織布グラフェン材料は、管状構造42の長さに沿って変化するスレッド数を有する。
【0094】
変化するスレッド数は、管状構造42の端部に、多いスレッド数の領域54を画定する。多いスレッド数の領域54は、強度の増大を示し、管状構造42の第一および第二の端部46、50を形成することができ、これら端部は折り畳まれていて、管状ハウジング部24の外表面に固定されている。
【0095】
変化するスレッド数はまた、サセプタ材料44のバンドの各端部に隣接した少ないスレッド数の領域56を画定する。図6に関連して本明細書に記載の通り、少ないスレッド数の領域56は、浸透性の増大を示し、弾性サセプタ素子26を通る気流を促進する。
【0096】
図5は、代替的な弾性サセプタ素子126の斜視図を示す。図5に示す弾性サセプタ素子126は、図4に示す弾性サセプタ素子26と類似していて、同様の部分を指定するために同様の参照番号が使用されている。弾性サセプタ素子126は、サセプタ材料の構成において異なる。特に、弾性サセプタ素子126は、サセプタ材料144の第一のバンドと、サセプタ材料144の第一のバンドから間隙を介したサセプタ材料145の第二のバンドとを備える。サセプタ材料144、145の第一および第二のバンドの両方は、管状構造42を形成する織布グラフェン材料と織り合わされた強磁性繊維を含む。管状構造42の中央領域128は、領域56と類似した少ないスレッド数の領域、領域54と類似した多いスレッド数の領域、または領域54のスレッド数と領域56のスレッド数との間のスレッド数を有する領域であってもよい。
【0097】
弾性サセプタ素子126は、第一および第二のエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品を加熱するのに適していてもよい。例えば、サセプタ材料144の第一のバンドは、第一のエアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられてもよく、サセプタ材料145の第二のバンドは、第二のエアロゾル形成基体を加熱するように位置付けられてもよい。こうした実施形態において、インダクタコイル28は、サセプタ材料144、145の両方のバンドの周りに延びて、サセプタ材料144、145の両方のバンドを同時に誘導加熱しうる。
【0098】
弾性サセプタ素子126はまた、エアロゾル発生物品の異なる部分を逐次的に加熱するのに適していてもよい。こうした実施形態において、エアロゾル発生装置は、サセプタ材料144の第一のバンドの周りに延びる第一のインダクタコイルと、サセプタ材料145の第二のバンドの周りに延びる第二のインダクタコイルとを含むように変更されてもよい。こうした実施形態において、コントローラーは、電源から第一および第二のインダクタコイルに別個の交互電流を異なる期間にわたって提供しうる。
【0099】
図6は、図2のエアロゾル発生システム10の一部分の拡大断面図を示す。特に、図6は、使用中にエアロゾル発生システム10を通る気流を示す。
【0100】
ユーザーがエアロゾル発生物品14のマウスピース38を吸うと、気流200が開放端21でエアロゾル発生装置12のチャンバー20内に引き出される。気流200は、弾性サセプタ素子26の管状構造42の少ないスレッド数の第一の領域56を通って流れる。その後、気流200は、弾性サセプタ素子26と管状ハウジング部24との間の空間201を通って流れ、この時点でサセプタ材料44のバンドによって加熱される。次に、気流200は、管状構造42の少ないスレッド数の第二の領域56を通って、チャンバー20の閉鎖端23とエアロゾル発生物品14の端部との間にチャンバー20内に形成された空間202の中に流れる。突出部34は、チャンバー20の閉鎖端23とエアロゾル発生物品14との間に空間202を維持する。次に、気流200は、エアロゾル発生物品14のエアロゾル形成基体36の中に流れ、この時点で、加熱されたエアロゾル形成基体36によって発生したエアロゾルが気流200内に混入される。気流200およびエアロゾルは次に、ユーザーへの送達のために空間41およびマウスピース38を通って流れる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6