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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】導体、アンテナ、および通信装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/10 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
H01Q13/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020516166
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2019014856
(87)【国際公開番号】W WO2019208140
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2018087690
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】半杭 英二
(72)【発明者】
【氏名】鳥屋尾 博
(72)【発明者】
【氏名】小坂 圭史
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-129595(JP,A)
【文献】PAUL,Princy et al.,"SRR loaded slot antenna for multiband applications",2017 IEEE International Symposium on Antennas and Propagation & USNC/URSI National Radio Science Mee,2017年,pp.2529-2530
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/10
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリットリング共振器と、
開口と、
を備える一つの導体であって、
前記スプリットリング共振器におけるスプリットと、前記開口と、が空間的に連続しており
前記開口が、
細長の形状である、
導体。
【請求項2】
制御手段
を備え、
前記制御手段は、
前記開口のサイズを制御するよう構成されている、
請求項1に記載の導体。
【請求項3】
前記開口における、前記スプリットリング共振器と前記開口との接線と略平行の方向の長さが、
前記開口における、前記スプリットリング共振器と前記開口との接線と略垂直の方向の長さよりも、
長い、
請求項1又は2に記載の導体。
【請求項4】
前記開口における、前記スプリットリング共振器と前記開口との接線と略平行の方向の長さが、
前記開口における、前記スプリットリング共振器と前記開口との接線と略垂直の方向の長さよりも、
短い、
請求項1又は2に記載の導体。
【請求項5】
前記スプリットリング共振器を、
複数備える、
請求項1からのいずれかに記載の導体。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の導体
を備える、
アンテナ。
【請求項7】
請求項に記載のアンテナ
を備える、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、導体、アンテナ、および通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置に用いられる小型アンテナとして、スプリットリング共振器で構成されたアンテナが、知られている。
例えば、特許文献1に、スプリットリング共振器で構成されたアンテナを備えた通信装置が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/027824号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1における態様では、例えば、導体の端以外に、スプリットリング共振器を配置することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例えば、本開示のある態様に係る導体は、スプリットリング共振器と、開口と、を備え、前記スプリットリング共振器におけるスプリットと、前記開口と、が空間的に連続していてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本開示のある態様によれば、例えば、導体の端以外にも、スプリットリング共振器を配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図2】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図3】本開示のある態様に係る導体の例の斜視図
図4】本開示のある態様に係る導体の例の分解図
図5】本開示のある態様に係る導体の例の斜視図
図6】本開示のある態様に係る導体の例における電流の例を示す図
図7】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図8】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図9】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図10】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図11】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図12】本開示のある態様に係る導体の例の斜視図
図13】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図14】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図15】本開示のある態様に係るスプリットリング共振器の例の反射損失特性の例を示すグラフ
図16】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図17】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図18】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図19】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図20】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図21】本開示のある態様に係る導体の例の平面図
図22】本開示のある態様に係る部品化されたスプリットリング共振器の実装例の分解図
図23】本開示のある態様に係る部品化されたスプリットリング共振器の実装例の側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示におけるすべての態様は、例示に過ぎず、その他の例の本開示からの排除を意図するものでも、請求の範囲に記載された発明の技術的範囲の限定を意図するものでもない。
【0009】
本開示における各態様同士の組み合わせに係る記載を、一部省略する場合があるかもしれない。
その省略は、説明の簡略化を意図するものであり、本開示からの排除を意図するものでも、請求の範囲に記載された発明の技術的範囲の限定を意図するものでもない。
その省略の有無に関わらず、本開示における各態様同士のすべての組み合わせは、本開示に、明示的、暗示的、または内在的に、含まれる。
すなわち、その省略の有無に関わらず、本開示における各態様同士のすべての組み合わせは、本開示から、直接的かつ明確に、導くことができる。
【0010】
例えば、本開示のある態様に係る導体1は、スプリットリング共振器12と、開口13と、を備え、スプリットリング共振器12におけるスプリット121と、開口13と、が空間的に連続していてもよい。
【0011】
図1は、本開示のある態様に係る導体1の例の平面図である。
図2は、本開示のある態様に係る導体1の例の平面図である。
【0012】
例えば、スプリットリング共振器12におけるリングの中心を、点Cと呼ぶこととする。
例えば、スプリットリング共振器12におけるスプリットと、点Cと、を結ぶ線分を、線分mと呼ぶこととする。
例えば、線分mを延伸した直線を、直線Mと呼ぶこととする。
例えば、直線Mと直交し、点Cを通る直線を直線Lと呼ぶこととする。つまり、直線L上には、点Cが存在する。
例えば、直線Mが延びる方向を、Y軸方向と呼ぶこととする。
例えば、直線Lが延びる方向を、X軸方向と呼ぶこととする。
【0013】
例えば、導体1は、導電パターンや、板金等により、形成されていてもよい。
【0014】
例えば、スプリットリング共振器12は、スプリット121と、スプリットリング122と、リング内開口123と、を備えてもよい。
例えば、スプリットリング122は、スプリット121を挟んでX軸方向に延びる第1導体1221と、X軸方向に延びる第2導体1222と、Y軸方向に延びる第3導体1223と、Y軸方向に延びる第4導体1224と、を備えた、方形リングに沿った略C字形状に基づく形状でもよい。
例えば、スプリットリング122は、どのような形状でもよく、例えば、円形リング、楕円形リング、トラックリング等、その他様々なリングに沿った形状に基づく形状でもよい。
例えば、第1導体1221における、スプリット121を挟む部分は、Y軸方向に延伸されていてもよいし、されていなくてもよい。
例えば、リング内開口123は、スプリット121とスプリットリング122とにより囲まれていてもよい。
【0015】
例えば、開口13は、スプリット121および第1導体1221と、隣接してもよい。
例えば、開口13のX軸方向の長さは、スプリット121のX軸方向の長さより長くてもよい。
例えば、開口13は、どのような形状でもよく、例えば、正方形や長方形等の多角形でもよいし、円や楕円等でもよい。
【0016】
例えば、給電線2が、導体1に接続されてもよい。
例えば、給電線2における第1端は、導体1に接続されてもよい。
例えば、給電線2における第1端は、スプリットリング122に接続されてもよい。
例えば、給電線2における第1端は、第1導体1221に接続されてもよい。
例えば、給電線2における第2端は、給電線2における第1端からみて、リング内開口123及び第2導体1222を跨いで、延伸されていてもよい。
例えば、給電線2は、RF(Radio Frequency)信号を給電する電線であってもよい。
例えば、給電線2における第2端には、RF信号が与えられてもよい。
例えば、給電線2は、リード線や、板金等により、形成されていてもよい。
【0017】
図3は、本開示のある態様に係る導体の例の斜視図である。
【0018】
例えば、導体1は、基板3の両板面のうち、一方の板面に、備えられてもよい。
例えば、基板3は、ガラスエポキシ基板、セラミックス基板、樹脂基板、ガラス基板等であってもよい。
【0019】
例えば、給電線2は、基板3の両板面の間を貫通するビア21を介して、第1導体1221に接続されていてもよい。
例えば、給電線2は、基板3の両板面のうち、導体1が備えられていない方の板面に、備えられてもよい。
【0020】
図4は、本開示のある態様に係る導体の例の分解図である。
【0021】
例えば、導体は、単層構成でも、多層構成でもよい。
例えば、導体が2層構成である場合、第1層L1、第2層L2、第3層L3の順に積層する層に対し、第1層L1に導体1が備えられ、第3層L3に別の導体1が備えられ、第2層L2に給電線2が備えられてもよい。
例えば、第1層L1における導体1と、第3層L3における導体1と、給電線2と、はビア21を介してそれぞれ接続されてもよい。
【0022】
図5は、本開示のある態様に係る導体の例の斜視図である。
【0023】
例えば、導体1は、X軸方向を円筒軸方向Dとする円筒形状でもよい。
例えば、導体1は、円筒軸方向Dの一端側において、コネクタ4と接続されてもよい。
例えば、コネクタ4は、外周導体41と、内軸導体42と、を備えてもよい。
例えば、導体1の円筒軸方向Dの一端側が、外周導体41と接続され、第1導体1221が、給電線2を介して内軸導体42と接続されてもよい。
例えば、導体1の円筒軸方向Dの一端側は、外周導体41と、直接接続されてもよく、リード線や板金等を介して接続されてもよい。
【0024】
図6は、本開示のある態様に係る導体の例における電流の例である。
【0025】
例えば、仮に、スプリットリング共振器を、導体の端以外に単に配置した場合、スプリットリング共振器のスプリットが周りの導体で短絡されてしまうため、スプリット間に電流が流れにくくなり、スプリットリング共振器がアンテナとして動作しないことがある。
これに対して、例えば、本開示のある態様に係る導体1は、スプリットリング共振器12と、開口13と、を備え、スプリットリング共振器12におけるスプリット121と、開口13と、が空間的に連続していてもよい。
したがって、例えば、本開示のある態様に係る導体1は、スプリット121およびスプリット121周辺におけるX軸方向の電流I1や、リング内開口123に沿った電流I2等を、発生させることができ、RF信号を効率よく放射できる。
【0026】
したがって、本開示のある態様によれば、例えば、導体の端以外にも、スプリットリング共振器を配置できる。
【0027】
例えば、本開示のある態様に係る導体 (例えば、導体1等) は、制御手段14を備え、制御手段14は、開口13のサイズを制御するよう構成されていてもよい。
【0028】
図7は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
【0029】
例えば、制御手段14は、スイッチ141を備えていてもよい。その際、スイッチ141をオン、オフすることによって、開口13を挟んでY軸方向に並んでいる位置同士で、導体101を電気的に開放したり短絡したりしてもよい。
例えば、開口13の周囲からスイッチ141に向かって導電パターンがそれぞれ延びていてもよい。
【0030】
図7には、制御手段14として、2つのスイッチ141が示されているが、スイッチ141は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
図7に示す制御手段14は、Y軸方向に並んでいる位置同士を短絡しているが、開口13のサイズを制御するよう構成されていれば、制御手段14は、どのような位置同士を短絡してもよい。例えば、制御手段14は、X軸方向に並んでいる位置同士で、導体101を短絡してもよい。
図7に示す制御手段14は、導体101を短絡しているが、開口13のサイズを制御するよう構成されていれば、制御手段14は、導体101を、どのように接続してもよい。例えば、制御手段14は、開口13を挟んでY軸方向に並んでいる位置同士で、導体101を、インピーダンス要素を介して電気的に接続してもよい。
【0031】
図7には、制御手段14として、スイッチ141が示されているが、開口13のサイズを制御するよう構成されていれば、どのような手段が設けられてもよい。
例えば、制御手段14として、導体101における開口13を挟む位置同士の間にジャンパ線が設けられてもよい。その際、ジャンパ線が導体101を短絡することによって、開口13のサイズが制御されてもよい。
例えば、制御手段14として、導体101における開口13を挟む位置同士の間に短絡パターンが予め設けられてもよい。その際、短絡パターンを切断することによって、開口13のサイズが制御されてもよい。
【0032】
本開示のある態様に係る導体101では、制御手段14が、開口13のサイズを制御するよう構成されているため、スプリットリング共振器12の周波数特性を制御することができる。
導体101には、電流I1や電流I2だけではなく、開口13の周りにも電流が発生する。これらの電流は、スプリットリング共振器12の周波数特性に影響を与える。このため、開口13のサイズを制御すれば、スプリットリング共振器12の周波数特性を制御することができる。
スプリットリング共振器12の周波数特性を制御することができれば、スプリットリング共振器12の反射損失の周波数特性を制御できるため、例えば、スプリットリング共振器12を放射アンテナに適用した場合、導体101は、スプリットリング共振器12の放射特性を制御することができる。
【0033】
例えば、本開示のある態様に係る導体 (例えば、導体1、導体101等) は、開口13が、細長の形状であってもよい。
【0034】
図8は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
【0035】
例えば、開口13は、Y軸方向に比べて、X軸方向に細長の形状であってもよい。
図8において、開口13は、X軸方向に細長く延びているが、どのような方向に細長く延びていてもよい。
例えば、開口13は、Y軸方向に細長く延びていてもよいし、X軸方向に対して斜めに細長く延びていてもよい。
例えば、開口13は、X軸方向に細長く延びた一端からさらにY軸方向に細長く延びていてもよい。
例えば、開口13は、Y軸方向に細長く延びた一端からさらにX軸方向に細長く延びていてもよい。
例えば、開口13は、細長く延びた一端からさらに分岐して細長く延びていてもよい。
【0036】
図9は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
【0037】
例えば、導体201は、開口13のサイズを制御するよう構成されている制御手段14を備えてもよい。
【0038】
本開示のある態様に係る導体201では、開口13が細長の形状であるため、導体201は、開口13の周辺に他の部品を置くためのスペースを確保しやすい。
上述のとおり、開口13の周りに発生する電流は、スプリットリング共振器12の周波数特性に影響を与えるため、開口13には、ある程度の外周長さが必要となる。
例えば、同じ外周長さを有する細長の形状の開口と正方形の開口とを比較すると、正方形の開口の面積より細長の形状の開口の面積の方が小さい。
このため、正方形とするより細長の形状とする方が、導体201における開口13の占める面積を小さくすることができる。
したがって、開口13を細長の形状とすることで、導体201は、開口13の周辺に他の部品を置くためのスペースを確保しやすい。
【0039】
例えば、本開示のある態様に係る導体 (例えば、導体201等) は、開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略平行の方向の長さが、開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略垂直の方向の長さよりも、長くてもよい。
【0040】
図10は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
【0041】
例えば、開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略平行の方向がX軸方向に相当し、開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略垂直の方向がY軸方向に相当してもよい。その際、開口13における、X軸方向の長さが、開口13における、Y軸方向の長さよりも長くてもよい。
例えば、開口13は、スプリットリング共振器12より、X軸方向に長く延びている細長形状であってもよい。
例えば、開口13は、スプリットリング共振器12より、X軸方向両側に長く延びている細長形状であってもよい。
【0042】
図11は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
【0043】
例えば、導体301は、開口13のサイズを制御するよう構成されている制御手段14を備えてもよい。
例えば、制御手段14は、スイッチ141を備えていてもよい。その際、スイッチ141をオン、オフすることによって、開口13を挟んでY軸方向に並んでいる位置同士で、導体301を電気的に開放したり短絡したりしてもよい。
【0044】
図12は、本開示のある態様に係る導体の例の斜視図である。
【0045】
例えば、導体301は、X軸方向を円筒軸方向Dとする円筒形状でもよい。
例えば、導体301は、円筒軸方向Dの一端側において、コネクタ4と接続されてもよい。
例えば、コネクタ4は、外周導体41と、内軸導体42と、を備えてもよい。
例えば、導体301の円筒軸方向Dの一端側が、外周導体41と接続され、第1導体1221が、給電線2を介して内軸導体42と接続されてもよい。
例えば、導体301の円筒軸方向Dの一端側は、外周導体41と直接接続されてもよく、リード線や板金等を介して接続されてもよい。
【0046】
本開示のある態様に係る導体301によれば、開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略平行の方向の長さが長いため、導体301は、開口13の周辺に他の部品を置くためのスペースを確保しやすい。
スプリットリング共振器のスプリット121に電流I1を発生させるには、開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略平行の方向の長さは、ある程度の長さを有する必要がある。
例えば、開口における、スプリットリング共振器と開口との接線と略平行の方向の長さが同じである、細長の形状の開口と正方形の開口とを比較すると、正方形の開口の面積より細長の形状の開口の面積の方が小さい。
このため、正方形とするより細長の形状とする方が、導体における開口の占める面積を小さくすることができる。
したがって、開口13を開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略平行の方向の長さが長い細長の形状とすることで、導体301は、開口13の周辺に他の部品を置くためのスペースを確保しやすい。
【0047】
例えば、本開示のある態様に係る導体(例えば、導体201等)は、開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略平行の方向の長さが、開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略垂直の方向の長さよりも、短くてもよい。
【0048】
図13は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
【0049】
例えば、開口13における、X軸方向の長さが、開口13における、Y軸方向の長さよりも短くてもよい。
例えば、開口13は、スプリットリング共振器12より、Y軸方向に延びている細長形状であってもよい。
例えば、開口13は、スプリット121のX軸方向の両外側周辺から、Y軸方向に延びている細長形状であってもよい。
【0050】
図14は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
【0051】
例えば、導体401は、開口13のサイズを制御するよう構成されている制御手段14を備えてもよい。
【0052】
図15は、本開示のある態様に係るスプリットリング共振器の例の反射損失特性の例である。
【0053】
曲線aは、図10に係る導体301におけるスプリットリング共振器12の反射損失曲線である。
曲線bは、図13に係る導体401におけるスプリットリング共振器12の反射損失曲線である。
比較例として、導体に開口13を設けず、導体の端にスプリットリング共振器12を配置したときのスプリットリング共振器12の反射損失曲線を示す。
図15に示すように、周波数fo付近における、各スプリットリング共振器12の共振周波数での反射損失は、曲線aより曲線bの方が小さい。
特に曲線aにおける反射損失特性に比べて、曲線bにおける反射損失特性は、導体の端にスプリットリング共振器12を配置した比較例の反射損失特性に近い。
つまり、本開示のある態様に係る導体401によれば、開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略平行の方向の長さが短いため、導体401は、反射損失特性をより小さくすることができる。
なお図15に示されるように、曲線aと曲線bとにおいて、共振周波数が異なっている。具体的には、曲線aの共振周波数に比べて、曲線bの共振周波数の方が低い。すなわち、開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略平行の方向の長さと、開口13における、スプリットリング共振器12と開口13との接線と略垂直の方向の長さと、の関係を調整することで、スプリットリング共振器12の共振周波数を制御することもできる。
【0054】
例えば、本開示のある態様に係る導体 (例えば、導体1、導体101、導体201、導体301、導体401等) は、スプリットリング共振器12を、複数備えてもよい。
【0055】
図16は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
【0056】
例えば、導体501では、複数のスプリットリング共振器12が、開口13を共有してもよい。
例えば、導体501では、1つの開口13に対し、複数のスプリットリング共振器12として、5つのスプリットリング共振器12が設けられてもよい。
例えば、5つのスプリットリング共振器12は、開口13を囲むように設けられてもよい。
【0057】
図17は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
【0058】
例えば、開口13がX軸方向に長く延びている細長形状である場合、複数のスプリットリング共振器12は、開口13をY方向両側から挟むように配置されてもよい。
【0059】
図18は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
【0060】
例えば、開口13が、Y軸方向に長く延びている細長形状である場合、複数のスプリットリング共振器12は、開口13をY軸方向両側から挟むように配置されてもよい。
【0061】
図19は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
図20は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
図21は、本開示のある態様に係る導体の例の平面図である。
【0062】
例えば、各導体501は、開口13のサイズを制御するよう構成されている制御手段14をさらに備えてもよい。
【0063】
本開示のある態様に係る導体501は、スプリットリング共振器12を、複数備える。
複数のスプリットリング共振器12を設けると、複数のスプリットリング共振器12の間で開口13を共有することができる。
このため、導体501における開口13の占める面積を小さくすることができる。
したがって、導体501は、他の部品を置くためのスペースを確保しやすい。
【0064】
例えば、図16図21に示す各導体501では、複数のスプリットリング共振器12全てが、1つの開口13を共有しているが、複数のスプリットリング共振器12のうち、少なくとも2つのスプリットリング共振器12が、1つの開口13を共有してもよい。
【0065】
例えば、本開示のある態様に係る導体は、アンテナに用いることができる。
例えば、本開示のある態様に係るアンテナは、本開示のある態様に係る導体 (例えば、導体1、導体101、導体201、導体301、導体401、導体501等)を、備えてもよい。
【0066】
例えば、本開示のある態様に係る導体を備えるアンテナは、通信装置に用いることができる。
例えば、本開示のある態様に係る通信装置は、本開示のある態様に係る導体 (例えば、導体1、導体101、導体201、導体301、導体401、導体501等) を備えるアンテナを、備えてもよい。
【0067】
図22図23は、本開示のある態様に係る部品化されたスプリットリング共振器の実装例を示す
例えば、図22図23におけるスプリットリング共振器91は、スプリットリング部92と、給電端子93と、グランド端子94と、を備えてもよい。
例えば、図22図23におけるスプリットリング共振器91は、図のように板金で形成されていてもよい。
例えば、図22図23における給電端子93は、スプリットリング部92にRF信号を給電するための端子であってもよい。
例えば、図22図23におけるグランド端子94は、送受信ICやアンプなどの回路素子が搭載された回路基板901におけるグランドパターン901gから切り離されていてもよい。
例えば、図22図23における回路基板901は、スプリットリング共振器91の形状や寸法に応じてグランドパターン901gが切り取られた空隙901a、及びグランド端子94と接続される端子である受け端子901rを備えてもよい。
図22図23におけるスプリットリング共振器91は、例えば、グランド端子94を備えることで、回路基板901から切り離された部品として取り扱うことができる。
例えば、図22図23におけるスプリットリング共振器91を、空隙901aに対して位置合わせし、グランド端子94と受け端子901rとを接続することで、スプリットリング共振器91とグランドパターン901gを電気的に接続し、全体でアンテナを形成してもよい。
例えば、図22図23に示すように、受け端子901r及びグランド端子94は、それぞれ、受け端子901rが回路基板に形成された穴、グランド端子94が穴である受け端子901rに挿入される形状、となっていてもよい。
例えば、受け端子901rにグランド端子94が挿入されて接続される際、はんだなどを介して電気的に接続され、かつ固定される。
例えば、図22図23に示すように、スプリットリング部92の一部が回路基板901方向に折れ曲がって延伸された支え92aを備えていても良い。支え92aにより、スプリットリング共振器91は、回路基板901表面と一定の隙間を空けて平行をたもつことができ、これにより回路基板のスプリットリング共振器の特性への影響を軽減することができる。また、支え92aは、グランドパターン901gに電気的に接続、または、非接続として良い。
例えば、図22図23に示すように、給電端子93も、回路基板に穴として形成された受け端子901srに挿入されて受け端子901srと接続されても良い。このとき受け端子901srは回路基板上の給電パターン901sの領域に形成され、給電端子93と受け端子901srが接続される際、はんだ等で給電端子93と給電パターン901sが電気的に接続され、かつ固定される。
【0068】
この出願は、2018年4月27日に日本に出願された特願2018―087690を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0069】
1 導体
10 導体
101 導体
201 導体
301 導体
401 導体
501 導体
12 スプリットリング共振器
121 スプリット
122 スプリットリング
1221 第1導体
1222 第2導体
1223 第3導体
1224 第4導体
123 リング内開口
13 開口
14 制御手段
141 スイッチ
2 給電線
21 ビア
3 基板
4 コネクタ
41 外周導体
42 内軸導体
L1 第1層
L2 第2層
L3 第3層
I1 電流
I2 電流
fo 周波数
C 点
L 直線
M 直線
m 線分
D 円筒軸方向
a 曲線
b 曲線
91 スプリットリング共振器
92 スプリットリング部
92a 支え
93 給電端子
94 グランド端子
901 回路基板
901a 空隙
901g グランドパターン
901r 端子
901s 給電パターン
901sr 端子
図1
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