(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】可変速駆動装置の入力電流制御
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20230419BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
F25B49/02 D
F25B49/02 570A
F25B1/00 361D
(21)【出願番号】P 2020516825
(86)(22)【出願日】2018-09-24
(86)【国際出願番号】 US2018052502
(87)【国際公開番号】W WO2019060859
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-08-30
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518010511
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ケイン、 アジット ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】スロットハワー、 スコット ブイ.
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-038855(JP,A)
【文献】特表2015-528561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チラーアセンブリであって、
閉冷媒回路で接続された圧縮機、凝縮器、膨張装置及び蒸発器と、
前記圧縮機に動力を供給するために前記圧縮機に接続された電動機と、
前記電動機に動力を供給するために前記電動機に対する可変電圧及び可変周波数を提供するように動作可能な可変速駆動装置であって、
複数のセンサと、
前記複数のセンサから受信されたセンサデータに少なくとも部分的に基づいて推定RMS入力電流を
特定するように動作可能な入力電流推定器
であって、前記センサデータはDCリンク電圧値及びDCリンク電流値を含み、
前記DCリンク電圧値及び前記DCリンク電流値に少なくとも部分的に基づいてDCリンク電力値を特定し、
前記DCリンク電圧値及び前記DCリンク電流値に少なくとも部分的に基づいて線間入力電圧値を特定し、
前記DCリンク電力値及び前記線間入力電圧値に少なくとも部分的に基づいて入力電流値を特定し、
前記入力電流値に少なくとも部分的に基づいて歪み値を伴う入力電流を特定し、
前記線間入力電圧値に少なくとも部分的に基づいて変圧器電流値を特定し、
前記歪み値を伴う入力電流値及び前記変圧器電流値に少なくとも部分的に基づいて総入力RMS電流値を特定する
ように動作可能である入力電流推定器と
を含む可変速駆動装置と、
前記可変速駆動装置及び前記チラーアセンブリの1つ又は複数のコンポーネントの動作を制御するための制御盤と
を含むチラーアセンブリ。
【請求項2】
前記入力電流推定器は、前記推定RMS入力電流に基づく、入力電流限界に違反しているという
特定に応じてアクションを実行する、請求項1に記載のチラーアセンブリ。
【請求項3】
前記アクションは、チラー負荷を低減するための信号を前記制御盤に送信することを含む、請求項
2に記載のチラーアセンブリ。
【請求項4】
前記アクションは、警報メッセージを表示するための信号を前記制御盤に送信することを含む、請求項
2に記載のチラーアセンブリ。
【請求項5】
チラーアセンブリの可変速駆動装置の入力電流推定器を使用して推定入力RMS電流に従ってチラーアセンブリを制御する方法であって、
DCリンク電圧値及びDCリンク電流値に少なくとも部分的に基づいてDCリンク電力値を
特定することと、
前記DCリンク電圧値及び前記DCリンク電流値に少なくとも部分的に基づいて線間入力電圧値を
特定することと、
前記DCリンク電力値及び前記線間入力電圧値に少なくとも部分的に基づいて入力電流値を
特定することと、
前記入力電流値に少なくとも部分的に基づいて歪み値を伴う入力電流を
特定することと、
前記線間入力電圧値に少なくとも部分的に基づいて変圧器電流値を
特定することと、
前記歪み値を伴う入力電流値及び前記変圧器電流値に少なくとも部分的に基づいて総入力RMS電流値を
特定することと、
入力RMS電流応答アクションを実行することと
を含
み、
前記DCリンク電圧値及び前記DCリンク電流値は、前記可変速駆動装置に結合された複数のセンサからのセンサデータを含む、方法。
【請求項6】
前記入力RMS電流応答アクションは、チラー負荷を低減するための信号を制御盤に送信することを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記入力RMS電流応答アクションは、警報メッセージを表示するための信号を制御盤に送信することを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
前記線間入力電圧値は、
さらに入力ライン周波数値
及びラインインダクタンス
値に少なくとも部分的に基づく、請求項
5に記載の方法。
【請求項9】
前記歪み値を伴う入力電流は、
さらにアクティブ高調波フィルタが動作可能であるという
特定に少なくとも部分的に基づく、請求項
5に記載の方法。
【請求項10】
チラーアセンブリの可変速駆動装置のための処理回路であって、
プロセッサと、
前記プロセッサに通信可能に結合され、且つ
前記可変速駆動装置の入力電流推定器を使用して推定入力RMS電流に従って前記チラーアセンブリを制御するための方法を実行するように動作可能なメモリであって、前記方法は、
DCリンク電圧値及びDCリンク電流値に少なくとも部分的に基づいてDCリンク電力値を
特定することと、
前記DCリンク電圧値及び前記DCリンク電流値に少なくとも部分的に基づいて線間入力電圧値を
特定することと、
前記DCリンク電力値及び前記線間入力電圧値に少なくとも部分的に基づいて入力電流値を
特定することと、
前記入力電流値に少なくとも部分的に基づいて歪み値を伴う入力電流を
特定することと、
前記線間入力電圧値に少なくとも部分的に基づいて変圧器電流値を
特定することと、
前記歪み値を伴う入力電流値及び前記変圧器電流値に少なくとも部分的に基づいて総入力RMS電流値を
特定することと、
入力RMS電流応答アクションを実行することと
を含む、メモリと
を含
み、
前記DCリンク電圧値及び前記DCリンク電流値は、前記可変速駆動装置に結合された複数のセンサからのセンサデータを含む、処理回路。
【請求項11】
前記入力RMS電流応答アクションは、チラー負荷を低減するための信号を制御盤に送信することを含む、請求項
10に記載の処理回路。
【請求項12】
前記入力RMS電流応答アクションは、警報メッセージを表示するための信号を制御盤に送信することを含む、請求項
10に記載の処理回路。
【請求項13】
前記線間入力電圧値は、
さらに入力ライン周波数値
及びラインインダクタンス
値に少なくとも部分的に基づく、請求項
10に記載の処理回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月25日に出願された米国仮特許出願第62/563,039号明細書の利益及びそれに対する優先権を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
建物は、暖房、換気及び空調(HVAC)システムを含むことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一実装形態は、チラーアセンブリである。チラーアセンブリは、閉冷媒回路で接続された圧縮機、凝縮器、膨張装置及び蒸発器を含む。チラーアセンブリは、圧縮機に動力を供給するために圧縮機に接続された電動機と、電動機に動力を供給するために電動機に接続された可変速駆動装置とをさらに含む。可変速駆動装置は、電動機に動力を供給するために電動機に対する可変電圧及び可変周波数を提供するように動作可能である。可変速駆動装置は、複数のセンサと、センサから受信されたセンサデータに基づいて推定RMS入力電流を特定する入力電流推定器とを含む。チラーアセンブリは、可変速駆動装置の動作を制御するための制御盤をさらに含む。
【0004】
本開示のさらに別の実装形態は、推定入力RMS電流に従ってチラーアセンブリを制御する方法である。本方法は、DCリンク電力値を特定することと、線間入力電圧値を特定することと、入力電流値を特定することと、歪み値を伴う入力電流を特定することとを含む。本方法は、変圧器電流値を特定することと、総入力RMS電流値を特定することと、入力RMS電流応答アクションを実行することとをさらに含む。
【0005】
本開示のさらに別の実装形態は、チラーアセンブリの可変速駆動装置のための処理回路である。処理回路は、プロセッサと、プロセッサに通信可能に結合され、且つ推定入力RMS電流に従ってチラーアセンブリを制御するための方法を実行するように動作可能なメモリとを含む。本方法は、DCリンク電力値を特定することと、線間入力電圧値を特定することと、入力電流値を特定することと、歪み値を伴う入力電流を特定することとを含む。本方法は、変圧器電流値を特定することと、総入力RMS電流値を特定することと、入力RMS電流応答アクションを実行することとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一部の実施形態によるチラーアセンブリの斜視図である。
【0007】
【
図2】一部の実施形態による
図1のチラーアセンブリの立面図である。
【0008】
【
図3】一部の実施形態による
図1のチラーアセンブリにおいて利用され得る可変速駆動装置の概略図である。
【0009】
【
図4】一部の実施形態による
図3の可変速駆動装置によって実行され得る入力電流推定及び制御プロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、概して、可変速駆動装置(VSD)の入力電流制御機能に関する。VSDは、可変の電圧及び周波数を有する電力を電動機に提供し得る。VSDは、入力電流定格よりも高い出力電流定格を有し得る。例えば、出力電流定格が420アンペアであるVSDは、390アンペアの入力電流定格を有し得、出力電流定格が780アンペアであるVSDは、600アンペアの入力電流定格を有し得る。60Hzの定格周波数を有するVSDは、出力電流を測定し、入力電流が同じであると仮定することにより動作し得るが、この仮定は、より高い周波数定格(例えば、110Hz、210Hz)を有するVSDでは良好に機能しない。加えて、VSDがチラーアセンブリに実装されている場合、出力電流定格と入力電流定格とが異なる場合にチラーアセンブリの最適なパフォーマンスが実現される。本明細書では、既存のVSDセンサ及び回路を利用してVSD入力電流を推定するシステム及び方法について説明する。
【0011】
図面を概して参照すると、入力制御システムに従って動作するVSDを有するチラーアセンブリが示されている。とりわけ
図1を参照すると、チラーアセンブリ100の例示的な実装形態が示されている。チラーアセンブリ100は、電動機104によって駆動される圧縮機102と、凝縮器106と、蒸発器108とを含み得る。冷媒は、蒸気圧縮サイクルの閉冷媒回路でチラーアセンブリ100を通して循環される。チラーアセンブリ100は、チラーアセンブリ100内の蒸気圧縮サイクルの動作を制御するための制御パネル114も含み得る。
【0012】
電動機104は、VSD 110によって動力を供給され得る。VSD 110は、AC電源(以下の
図2を参照されたい)から、特定の固定ライン電圧及び固定ライン周波数を有する交流(AC)電力を受け取り、可変の電圧及び周波数を有する電力を電動機104に提供する。VSD 110は、電動機104の定格電圧及び周波数よりも高い電圧及び周波数並びに低い電圧及び周波数を有するAC電力を電動機104に提供し得る。電動機104は、VSD 110によって動力の供給を受けることが可能な任意のタイプの電動機であり得る。例えば、電動機104は、高速誘導電動機であり得る。圧縮機102は、電動機104によって駆動されて、蒸発器108から吸引ライン112を介して受けた冷媒蒸気を圧縮し、放出ライン124を介して冷媒蒸気を凝縮器106に送る。圧縮機102は、遠心圧縮機、スクリュー式圧縮機、スクロール式圧縮機、タービン式圧縮機又は任意の他のタイプの適切な圧縮機であり得る。
【0013】
蒸発器108は、内部チューブバンドルと、内部チューブバンドルにプロセス流体を供給するための供給ライン120と、内部チューブバンドルからプロセス流体を排出するための戻りライン122とを含む。供給ライン120及び戻りライン122は、プロセス流体を循環させる導管を介してHVACシステム内のコンポーネント(例えば、エアハンドラ)と流体連通し得る。プロセス流体は、建物を冷却するための冷却液であり、水、エチレングリコール、塩化カルシウムブライン、塩化ナトリウムブライン又は任意の他の適切な液体であり得るが、これらに限定されない。蒸発器108は、プロセス流体が蒸発器108のチューブバンドルを通過し、冷媒と熱を交換するときにプロセス流体の温度を下げるように構成される。冷媒液が蒸発器108に送られて、プロセス流体と熱を交換し、冷媒蒸気への相変化を経ることにより、蒸発器108内で冷媒蒸気が形成される。
【0014】
圧縮機102によって凝縮器106に送られた冷媒蒸気は、熱を流体に伝達する。冷媒蒸気は、流体との熱伝達の結果、凝縮器106で凝縮して冷媒液になる。凝縮器106からの冷媒液は、膨張装置を通して流れ、蒸発器108に戻されて、チラーアセンブリ100の冷媒のサイクルが完了する。凝縮器106は、凝縮器106と、HVACシステムの外部のコンポーネント(例えば、冷却塔)との間で流体を循環させるための供給ライン116及び戻りライン118を含む。戻りライン118を介して凝縮器106に供給される流体は、凝縮器106内の冷媒と熱を交換し、供給ライン116を介して凝縮器106から排出されてサイクルを完了する。凝縮器106を循環する流体は、水又は任意の他の適切な液体であり得る。
【0015】
冷媒の作動圧力は、400kPa、すなわち約58psi未満であり得る。例えば、冷媒は、R1233zdであり得る。R1233zdは、市販のチラーアセンブリで使用されている他の冷媒と比べて地球温暖化係数(GWP)が低い不燃性のフッ素化ガスである。GWPは、1トンの二酸化炭素の排出量に対して、1トンのガスの排出量が一定期間に吸収するエネルギー量を定量化することにより、異なるガスの地球温暖化の影響を比較できるように開発された尺度である。
【0016】
図3を参照すると、一部の実施形態による、チラーアセンブリ100において利用され得るVSD 302の概略図が示されている。様々な実施形態において、VSD 302は、
図1~
図2を参照して上述したVSD 110と同一であるか又は実質的に類似している。VSD 302は、固定AC入力電圧及び周波数でAC電源304からAC電力を受け取り、可変電圧及び可変周波数で電力を電動機328に出力することが示されている。
【0017】
VSD 302は、他のコンポーネントの中でも、整流器及び入力フィルタ306、DCリンク308並びにインバータ310を含むことが示されている。整流器及び入力フィルタ306は、AC電源304からの固定ライン周波数、固定ライン電圧をDC電力に変換する。チラーアセンブリ及びVSD 302が設置されている場所に基づいて、固定ライン周波数は、50Hz又は60Hzのいずれかであり得る。DCリンク308は、整流器及び入力フィルタ306からのDC電力をフィルタリングし、エネルギー貯蔵コンポーネントを提供する。DCリンク308は、コンデンサ、インダクタ又はそれらの組み合わせを含むことができ、これには、高い信頼度及び非常に低い故障率を示すパッシブデバイスが含まれる。最後に、インバータ310は、DCリンク308からのDC電力を電動機104のための可変周波数、可変電圧AC電力に変換する。インバータ310は、パワートランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)パワースイッチ及びワイヤボンド技術で相互接続されたインバースダイオードを含み得るパワーモジュールであり得る。
【0018】
いくつかの実装形態では、VSD 302は、アクティブ高調波フィルタコンポーネント312をさらに含む。アクティブ高調波フィルタは、50Hz又は60Hzの基本周波数の一連の倍数である電流及び電圧である高調波歪みを除去するように機能し得る。様々な実装形態において、アクティブ高調波フィルタコンポーネント312は、高調波電流をグラウンドにそらせるコンデンサ、インダクタ及び抵抗器のアレイを含み得る。有効化されたアクティブ高調波フィルタ312の有無は、歪みを伴う推定入力電流の値に影響を与え得る。歪みを伴う推定入力電流の値の計算のさらなる詳細は、
図4を参照して後述する。
【0019】
図3をさらに参照すると、VSD 302は、プロセッサ318及びメモリ320を含む処理回路316を含むことが示されている。処理回路316は、処理回路316及びその様々なコンポーネントがデータを送受信し得るように、制御盤326に通信可能に接続され得る。プロセッサ318は、汎用プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ若しくは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理コンポーネントの群又は他の適切な電子処理コンポーネントとして実装され得る。
【0020】
メモリ320(例えば、メモリ、メモリユニット、ストレージデバイスなど)は、本出願に記載されている様々なプロセス、レイヤ及びモジュールを完了又は促進するためのデータ及び/又はコンピュータコードを格納するための1つ又は複数のデバイス(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスクストレージなど)を含み得る。メモリ320は、揮発性若しくは不揮発性メモリであるか、又は揮発性若しくは不揮発性メモリを含み得る。メモリ320は、データベースコンポーネント、オブジェクトコードコンポーネント、スクリプトコンポーネント又は本出願で説明される様々な活動及び情報構造をサポートするための任意の他のタイプの情報構造を含み得る。いくつかの実施形態によれば、メモリ320は、処理回路316を介してプロセッサ318に通信可能に接続され、本明細書に記載の1つ又は複数のプロセスを(例えば、処理回路316及び/又はプロセッサ318によって)実行するためのコンピュータコードを含む。
【0021】
メインVSDコントローラ322は、入力電流制御システムを実施するために制御盤326と連携するように構成され得る。センサ314から受信したデータに基づいて、入力電流推定器324は、VSD 302への総入力電流を推定するプロセス(
図4を参照してさらに詳細に後述する)を実施し得る。センサ314は、メインVSDコントローラ322にセンサデータを提供するために、整流器及び入力フィルタ306、DCリンク308、インバータ310並びにアクティブ高調波フィルタ312に通信可能に結合され得る。様々な実装形態において、センサ314は、任意の適切なタイプの電流又は電圧センサであり得る。メインVSDコントローラ322に提供されるセンサデータは、出力電流値、DCリンク電流値及びDCリンク電圧値を含み得るが、これらに限定されない。
【0022】
いくつかの実装形態では、制御盤326は、入力電流推定器324によって特定された推定入力電流に基づいて入力電流限界に近づいたり違反したりしたときにアクションを実行できる。例えば、制御盤326は、入力電流推定器324によって特定された推定入力電流が入力電流限界に近づいている場合、チラー負荷を低減するように作用し得る。他の実装形態では、制御盤326は、チラーアセンブリの動作を監視する技術者又はユーザが動作に関する警報を見ることができる表示画面を含み得るか、又は表示画面に通信可能に結合され得る。入力電流が限界を超えているか又は限界に近づいていると入力電流推定器324が特定した場合、入力電流推定器324は、入力電流警告又は警報メッセージを表示するための信号を制御盤326に送信し得る。
【0023】
次に、
図4を参照すると、推定入力電流に基づいてチラーアセンブリを制御するためのプロセス400の流れ図が示されている。様々な実施形態において、プロセス400は、
図3を参照して上述した、VSD 302の入力電流推定器324及び制御盤326によって実行される。プロセス400は、入力電流推定器324がDCリンク電力を
特定する動作402で始まることが示されている。DCリンク電力は、DCリンク電圧値にDCリンク電流値を乗ずることにより、ジュールの法則に従って計算され得る。例えば、DCリンク電圧値は、DCリンクコンポーネント308に結合されたセンサ314によって取得され得、DCリンク電流値は、インバータコンポーネント310に結合されたセンサ314によって取得され得る。
【0024】
動作404は、入力電流推定器324が線間入力電圧を
特定するとして続行され得る。線間入力電圧の式は、次のようになり得る。
【数1】
【0025】
上述のように、DCリンク電圧は、DCリンクコンポーネント308から取得され得、DCリンク電流は、インバータコンポーネント310から取得され得る。入力ライン周波数は、AC電源304から取得され得、チラーアセンブリ、さらにVSD 302が設置されている場所に応じて、50Hz又は60Hzのいずれかであり得る。ラインインダクタンスは、VSDモデルの特有の特性であり得る。マイクロヘンリー(μH)で示されたサンプルのラインインダクタンス値を以下の表1に示す。
【表1】
【0026】
プロセス400は、入力電流推定器324が入力電流値を
特定する動作406を続行し得る。入力電流は、作業を実行するために(例えば、電動機328を駆動するために)利用可能な電流の尺度であり得る。入力電流の式は、次のようになり得る。
【数2】
【0027】
上述のように、DCリンク電力は、動作402で特定され得、線間入力電圧は、動作404で特定され得る。様々な実装形態において、0.96は、VSDモデルに特有であり得ると想定される力率の値であり得る。
【0028】
動作408は、入力電流推定器324が、歪み値を伴う入力電流を
特定することを含み得る。この値は、VSD内のアクティブ高調波フィルタコンポーネント(例えば、アクティブ高調波フィルタ312)の存在に基づいて異なって計算され得る。様々な実装形態において、アクティブ高調波フィルタコンポーネントの検出が入力電流推定器324によって実行され得、それに応じて歪み値を伴う入力電流の式が調整され得る。例えば、VSDがアクティブ高調波フィルタコンポーネントを含まない場合又はフィルタコンポーネントが無効になっている場合、歪みを伴う入力電流の式は、次のようになり得る。
【数3】
【0029】
ただし、VSDが有効なアクティブ高調波フィルタコンポーネントを含む場合、歪みを伴う入力電流の式は、次のようになり得る。
【数4】
【0030】
動作410は、入力電流推定器324が変圧器電流値を
特定することを含み得る。変圧器電流値は、VSD 302内の回路に電力を供給するために使用される低圧制御変圧器に供給され得る。例えば、低圧変流器は、VSD 302内のポンプ及びファンなどのコンポーネントに電力を供給するために使用され得る。変圧器電流値の式は、次のようになり得る。
【数5】
【0031】
動作412は、入力電流推定器324が総入力二乗平均平方根(RMS)電流を
特定することを含み得る。総入力RMS電流の式は、次のようになり得る。
【数6】
【0032】
上述のように、歪み値を伴う入力電流は、動作408で特定され得、変圧器電流値は、動作410で決定され得る。プロセス400は、入力電流推定器324が入力RMS電流応答アクションを実行する動作414で終了することが示されている。様々な実装形態において、入力RMS電流応答アクションは、入力RMS電流が入力電流限界に近づいているか又はそれを超えていると入力電流推定器324が特定しているため、チラー負荷を低減するための信号を制御盤326に送信することを含み得る。他の実装形態では、入力RMS電流応答アクションは、入力電流警告メッセージ又は警報を表示するための信号を制御盤326に送信することを含み得る。
【0033】
様々な例示的な実施形態に示されているシステム及び方法の構築及び構成は、例示的なものにすぎない。本開示では、例示的な実施形態のみを詳細に説明したが、多くの修正形態が可能である(例えば、サイズ、寸法、構造、様々な要素の形状及び割合、パラメータの値、取り付け構成、材料の使用、色、向きなどの変更)。例えば、要素の位置を逆にしたり、他の方法で変えたりすることができ、個別の要素又は位置の性質又は数を変更するか又は変化させることができる。したがって、すべてのこのような修正形態は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。任意のプロセス又は方法動作の順番又は順序は、代替的な実施形態に従って変更又は再順序付けされ得る。本開示の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態の設計、動作条件及び構成における他の置換形態、修正形態、変更形態及び省略形態がなされ得る。