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特許7265549双方向チャネルサウンディングに基づく動き検出及び位置特定
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】双方向チャネルサウンディングに基づく動き検出及び位置特定
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20230419BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020529234
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 CA2018051543
(87)【国際公開番号】W WO2019109174
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】62/595,331
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/165,546
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】318010214
【氏名又は名称】コグニティヴ システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】クラヴェッツ オレクシー
(72)【発明者】
【氏名】マンク タジンダー
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0178741(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0146788(US,A1)
【文献】特開2015-087120(JP,A)
【文献】特表2017-531811(JP,A)
【文献】米国特許第08660578(US,B1)
【文献】米国特許第09584974(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0247179(US,A1)
【文献】国際公開第2017/193200(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
G01S 19/00 - 19/55
G01P 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動き検出方法であって、
時間枠内の第1の時間に空間を通って第2のデバイスから送信されたワイヤレス信号の第1のセットに基づいてチャネル情報の第1のセットを第1のデバイスから得るステップと、
前記時間枠内の第2の時間に前記空間を通って前記第1のデバイスから送信されたワイヤレス信号の第2のセットに基づいてチャネル情報の第2のセットを前記第2のデバイスから得るステップと、
チャネル情報の前記第1のセットにより示される第1のチャネル変動をチャネル情報の前記第2のセットにより示される第2のチャネル変動と比較するステップであって、前記比較は、前記第1及び第2のチャネル変動の類似性を分析する、ステップと、
前記比較に基づいて、前記時間枠中の前記空間内の動きのカテゴリ又は検出された動きの位置を検出するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記チャネル情報の前記第1及び第2のセットは、前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間で前記空間を通って双方向に送信されたワイヤレス信号に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワイヤレス信号は、基準信号又はビーコン信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ワイヤレス信号の第1のセットは、前記第2のデバイスから前記第1のデバイスに向かって第1の方向に送信され、前記ワイヤレス信号の第2のセットは、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに向かって第2の方向に送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
記チャネル情報の第1のセットにより示される前記第1のチャネル変動を前記チャネル情報の第2のセットにより示される前記第2のチャネル変動と比較して、物体が、前記第1のデバイスの近くのゾーン内で移動しているか、又は前記第2のデバイスの近くのゾーン内で移動しているかを決定するステップを含む、請求項1から4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記物体が、前記第1のデバイスの近くのゾーン内で移動しているか、又は前記第2のデバイスの近くのゾーン内で移動しているかを決定するステップは、
前記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して、より多くの経時的なチャネル変動を示す場合、前記物体が、前記第2のデバイスの近くのゾーン内で移動していると決定するステップ、又は、
前記チャネル情報の第2のセットが、前記チャネル情報の第1のセットと比較して、より多くの経時的なチャネル変動を示す場合、前記物体が、前記第1のデバイスの近くのゾーン内で移動していると決定するステップ
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して類似した経時的なチャネル変動を示す場合、物体が、前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間のゾーン内で移動していると決定するステップを含む、請求項1から4の何れかに記載の方法。
【請求項8】
前記比較に基づいて、前記動きのカテゴリを決定するステップを含む、請求項1から4の何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記動きのカテゴリを決定するステップは、移動物体のタイプを識別するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して、より小さい経時的チャネル変動を示す場合、小さい物体が、前記第2のデバイスよりも前記第1のデバイスに近接して移動していると決定するステップ、又は
前記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して、より大きい経時的チャネル変動を示す場合、より大きい物体が、前記第1のデバイスよりも前記第2のデバイスに近接して移動していると決定するステップ、
の少なくとも1つを含む、請求項1から4の何れかに記載の方法。
【請求項11】
動き検出デバイスであって、
1又は2以上のプロセッサと、
命令を含むメモリと、
を備え、
前記命令は、1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、前記動き検出デバイスに、
時間枠内の第1の時間に空間を通って第2のデバイスから送信されたワイヤレス信号の第1のセットに基づいてチャネル情報の第1のセットを第1のデバイスから取得させ、
前記時間枠内の第2の時間に前記空間を通って前記第1のデバイスから送信されたワイヤレス信号の第2のセットに基づいてチャネル情報の第2のセットを前記第2のデバイスから取得させ、
チャネル情報の前記第1のセットにより示される第1のチャネル変動をチャネル情報の前記第2のセットにより示される第2のチャネル変動と比較させ、前記比較は前記第1及び前記第2のチャネル変動の類似性を分析し、
前記比較に基づいて、前記時間枠中の前記空間内の動きのカテゴリ又は検出された動きの位置を検出させる、
ことを特徴とする、デバイス。
【請求項12】
前記チャネル情報の前記第1及び第2のセットは、前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間で前記空間を通って双方向に送信されたワイヤレス信号に基づいている、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ワイヤレス信号は、基準信号又はビーコン信号を含む、請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ワイヤレス信号の第1のセットは、前記第2のデバイスから前記第1のデバイスに向かって第1の方向に向かって送信され、前記ワイヤレス信号の第2のセットは、前記第1のデバイスから前記第2のデバイスに向かって第2の方向に送信される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
記チャネル情報の第1のセットにより示される前記第1のチャネル変動を前記チャネル情報の第2のセットにより示される前記第2のチャネル変動と比較して、物体が、前記第1のデバイスの近くのゾーン内で移動しているか、又は前記第2のデバイスの近くのゾーン内で移動しているかを決定するステップを含む、請求項11から14の何れかに記載のデバイス。
【請求項16】
前記物体が、前記第1のデバイスの近くのゾーン内で移動しているか、又は前記第2のデバイスの近くのゾーン内で移動しているかを決定するステップは、
前記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して、より多くの経時的なチャネル変動を示す場合、前記物体が、前記第2のデバイスの近くのゾーン内で移動していると決定するステップ、又は
前記チャネル情報の第2のセットが、前記チャネル情報の第1のセットと比較して、より多くの経時的なチャネル変動を示す場合、前記物体が、前記第1のデバイスの近くのゾーン内で移動していると決定するステップ
を含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して類似した経時的なチャネル変動を示す場合、物体が、前記第1のデバイスと前記第2のデバイスとの間のゾーン内で移動していると決定するステップを含む、請求項11から14の何れかに記載のデバイス。
【請求項18】
前記比較に基づいて、前記動きのカテゴリを決定するステップを含む、請求項11から14の何れかに記載のデバイス。
【請求項19】
前記動きのカテゴリを決定するステップは、移動物体のタイプを識別するステップを含む、請求項18に記載のデバイスコンピュータ可読媒体
【請求項20】
記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して、より小さい経時的チャネル変動を示す場合、小さい物体が、前記第2のデバイスよりも前記第1のデバイスに近接して移動していると決定するステップと、
前記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して、より大きい経時的チャネル変動を示す場合、より大きい物体が、前記第1のデバイスよりも前記第2のデバイスに近接して移動していると決定するステップ
の少なくとも1つを含む、請求項11から14の何れかに記載のデバイスコンピュータ可読媒体
【請求項21】
動き検出のためのコンピューティングシステムであって、
データ処理装置と、
命令を記憶するメモリと、
を備え、
前記命令は、前記データ処理装置によって実行されたときに、
時間枠内の第1の時間に第2のワイヤレス通信デバイスから空間を通って送信されたワイヤレス信号の第1のセットに基づいてチャネル情報の第1のセットを第1のワイヤレス通信デバイスから取得し、
前記時間枠内の第2の時間に前記第1のワイヤレス通信デバイスから前記空間を通って送信されたワイヤレス信号の第2のセットに基づいてチャネル情報の第2のセットを前記第2のワイヤレス通信デバイスから取得し、
チャネル情報の前記第1のセットにより示される第1のチャネル変動をチャネル情報の前記第2のセットにより示される第2のチャネル変動と比較し、前記比較は前記第1及び第2のチャネル変動の類似性を分析し、
前記比較に基づいて、前記時間枠中の前記空間内の動きのカテゴリ又は検出された動きの位置を検出する、
ように動作可能である、ことを特徴とするコンピューティングシステム。
【請求項22】
前記チャネル情報の前記第1及び第2のセットは、前記第1のワイヤレス通信デバイスと前記第2のワイヤレス通信デバイスとの間で前記空間を通って双方向に送信されたワイヤレス信号に基づいている、請求項21に記載のコンピューティングシステム。
【請求項23】
前記ワイヤレス信号は、基準信号又はビーコン信号を含む、請求項21に記載のコンピューティングシステム。
【請求項24】
前記ワイヤレス信号の第1のセットは、前記第2のワイヤレス通信デバイスから前記第1のワイヤレス通信デバイスに向かって第1の方向に送信され、前記ワイヤレス信号の第2のセットは、前記第1のワイヤレス通信デバイスから前記第2のワイヤレス通信デバイスに向かって第2の方向に送信される、請求項21に記載のコンピューティングシステム。
【請求項25】
記チャネル情報の第1のセットにより示される前記第1のチャネル変動を前記チャネル情報の第2のセットにより示される前記第2のチャネル変動と比較して、物体が、前記第1のワイヤレス通信デバイスの近くのゾーン内で移動しているか、又は前記第2のワイヤレス通信デバイスの近くのゾーン内で移動しているかを決定するステップを含む、請求項21から24の何れかに記載のコンピューティングシステム。
【請求項26】
前記物体が、前記第1のワイヤレス通信デバイスの近くのゾーン内で移動しているか、又は前記第2のワイヤレス通信デバイスの近くのゾーン内で移動しているかを決定するステップは、
前記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して、より多くの経時的なチャネル変動を示す場合、前記物体が、前記第2のワイヤレス通信デバイスの近くのゾーン内で移動していると決定するステップ、又は
前記チャネル情報の第2のセットが、前記チャネル情報の第1のセットと比較して、より多くの経時的なチャネル変動を示す場合、前記物体が、前記第1のワイヤレス通信デバイスの近くのゾーン内で移動していると決定するステップ
を含む、請求項25に記載のコンピューティングシステム。
【請求項27】
記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して類似した経時的なチャネル変動を示す場合、物体が、前記第1のワイヤレス通信デバイスと前記第2のワイヤレス通信デバイスとの間のゾーン内で移動していると決定するステップを含む、請求項21から24の何れかに記載のコンピューティングシステム。
【請求項28】
記動きのカテゴリを決定するステップを含む、請求項21から24の何れかに記載のコンピューティングシステム。
【請求項29】
前記動きのカテゴリを決定するステップは、前記比較に基づいて、移動物体のタイプを識別するステップを含む、請求項28に記載のコンピューティングシステム。
【請求項30】
記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して、より小さい経時的チャネル変動を示す場合、小さい物体が、前記第2のワイヤレス通信デバイスよりも前記第1のワイヤレス通信デバイスに近接して移動していると決定するステップと、
前記チャネル情報の第1のセットが、前記チャネル情報の第2のセットと比較して、より大きい経時的チャネル変動を示す場合、より大きい物体が、前記第1のワイヤレス通信デバイスよりも前記第2のワイヤレス通信デバイスに近接して移動していると決定するステップ
の少なくとも1つを含む、請求項21から24の何れかに記載のコンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、名称が「双方向チャネルサウンディングに基づく動き検出及び位置特定」である、2018年10月19日に出願された米国特許出願第16/165,546号、及び名称が「双方向チャネルサウンディングに基づく動き検出及び位置特定」である、2017年12月6日に出願された米国特許仮出願第62/595,331号に対する優先権を主張するものであり、これらの内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
以下の説明は、動き検出に関する。
【背景技術】
【0003】
動き検出システムは、例えば、室内又は屋外のエリアにおける物体の動きを検出するために使用されてきた。一部の事例示的な動き検出システムでは、赤外線センサ又は光センサは、センサの視界内の物体の動きを検出するために使用される。動き検出システムは、セキュリティシステム、自動制御システム、及び他のタイプのシステムにおいて使用されてきている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】例示的なワイヤレス通信システムを示す図である。
図2A】ワイヤレス通信デバイス間で通信される例示的なワイヤレス信号を示す図である。
図2B】ワイヤレス通信デバイス間で通信される例示的なワイヤレス信号を示す図である。
図3A】例示的な動き検出システムの図である。
図3B】例示的な動き検出システムの図である。
図4A】双方向チャネルサウンディングに基づく例示的な動き検出システムの図である。
図4B】双方向チャネルサウンディングに基づく例示的な動き検出システムの図である。
図5A】動き検出システムにおける例示的な動き位置特定ゾーンを示す図である。
図5B】動き検出システムにおける例示的な動き位置特定ゾーンを示す図である。
図6】双方向チャネルサウンディングに基づいて空間内の物体の動きを検出するための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書で記載される内容の一部の態様において、空間内の動きは、双方向チャネルサウンディングに基づいて検出することができる。チャネルサウンディングとは、第1のワイヤレスデバイスが、既知の特性を有するワイヤレス信号(例えば、基準信号)を送信し、第2のワイヤレスデバイスが、送信された信号を受信してこの送信信号に対するチャネル効果を分析する(送信信号の特性が既知であるため)場合において、無線環境の評価及び経時的な無線チャネル状態情報の監視を指すことができる。双方向チャネルサウンディングは、ワイヤレス通信デバイスのペアによって両方向で(例えば、順次的に)実施されるチャネルサウンディングを指すことができる。例えば、一部の実施構成において、チャネルは、第1のワイヤレスデバイス(TX)から第2のワイヤレスデバイス(RX)に向かって、その後、第2のワイヤレスデバイス(TX)から第1のワイヤレスデバイス(RX)に向かって音が伝わる。双方向チャネルサウンディングは、各方向で行われた測定値を互いに比較できるように、人間の運動学的観点から無視できるとみなされるのに十分に短い時間枠内(例えば、ミリ秒(ms)のオーダーで)で実行することができる。
【0006】
次に、両方のワイヤレスデバイスからのチャネル情報は、指定されたデバイス(例えば、ハブとして指定されたワイヤレスデバイス、マスターワイヤレスデバイス、ワイヤレスデバイスに通信可能に結合されたサーバ(例えば、クラウド内)、又は別のデバイス)に伝達することができる。チャネル情報は、チャネル応答などの測定されたチャネル状態情報(CSI)を含むことができ、又は引用により本明細書に組み込まれるIEEE 802.11ac-2013規格に従って生成されたステアリング行列又はフィードバック行列などのビームフォーミングステアリング状態情報を含むことができる。CSIは、通信リンクの既知のチャネル特性を指すことができ、ワイヤレス信号が送信機から受信機にどのように伝播するかを記述することができ、例えば、送信機と送信機との間の空間内の散乱、フェージング、及び電力減衰の組み合わせ効果を表す。ビームフォーミング(又は空間フィルタリング)は、指向性信号の送信又は受信のためにマルチアンテナ(多入力/多出力(MIMO))無線システムにおいて使用される信号処理技術を指すことができる。ビームフォーミングは、特定の角度にある信号が強め合う干渉を生じながら、他の信号が弱め合う干渉を生じるような方法で、アンテナアレイ内の素子を組み合わせることによって達成することができる。ビームフォーミングは、送信側及び受信側の両方において空間的選択性を達成するのに使用することができる。一部の事例(例えば、IEEE 802.11ac規格)において、ビームフォーミングステアリング行列が、送信機によって使用される。ビームフォーミング行列は、アンテナアレイが、その個々のアンテナ素子の各々を使用して、どのようにして送信用の空間経路を選択すべきかについての数学的記述を含むことができる。本明細書ではチャネル状態情報に関して特定の態様が記載されているが、ビームフォーミング状態情報又はビームフォーマステアリング行列状態についても記載の態様において使用することができる。
【0007】
次に、指定されたデバイスは、デバイスから送られた情報を分析して、ワイヤレス信号が通過する空間内で動きが生じたか否かを検出する。例えば、指定されたデバイスは、2又は3以上のワイヤレスデバイスによって提供されるチャネル状態情報又はビームフォーミング状態情報を分析して、空間内の物体の動きによって生じる可能性があるチャネル変動が生じたか否かを検出することができる。一部の事例において、指定されたデバイスは、ワイヤレスデバイスからの測定された情報間に実質的な分散があるか否かを分析することができる。この分析は、検出された動きの位置を決定するのに使用することができる。例えば、第1のワイヤレスデバイスが、第2のワイヤレスデバイスと比較して実質的により大きい検出チャネル変動を報告する場合、指定されたデバイスは、物体が第2のワイヤレスデバイスにより接近して移動していたと決定することができる。同様に、第1のワイヤレスデバイスが、第2のワイヤレスデバイスと比較して実質的により小さい検出チャネル変動を報告する場合には、指定されたデバイスは、物体が第1のワイヤレスデバイスにより接近して移動していたと決定することができる。また、これらの2つの状態間の状態(一方のセンサの近く対もう一方のセンサの近く)を決定することもできる。例えば、検出されたチャネル変動が、両方のワイヤレスデバイスとほぼ同じである場合、指定されたデバイスは、検出された動きが2つのデバイス間の「中間ゾーン」で生じたと決定することができる。
【0008】
また、双方向チャネルサウンディングを用いて、動き検出に関する信頼水準を提供することができ、誤検出(例えば、ワイヤレス干渉、ノイズ、又はシステム誘起の測定劣化などの、非環境的な変化に起因して、ワイヤレスデバイスのうちの1つが動きを誤って「検出」した場合)のより効果的な抑制を可能にすることができる。このような場合、動きが、1つのワイヤレスデバイスによって報告されており、他のワイヤレスデバイスによって報告されない(特定の時間期間にわたって、固有時間シグネチャ(signature)又は他のメトリックが適用できる)場合、指定されたデバイスは、空間内で動きが生じなかったと決定することができる。
【0009】
本開示の態様は、幾つかの事例では1又は2以上の利点をもたらすことができる。例えば、動きは、デバイス間の見通し線を必要とせずに、より少ない誤検出でワイヤレス信号に基づいて検出することができる。動きは、既存のワイヤレス通信デバイス及びネットワークを使用して検出することができる。加えて、検出された動きの位置を決定することができる。
【0010】
図1は、例示的なワイヤレス通信システム100を示す。例示的なワイヤレス通信システム100は、3つのワイヤレス通信デバイス、すなわち、第1のワイヤレス通信デバイス102A、第2のワイヤレス通信デバイス102B及び第3のワイヤレス通信デバイス102Cを含む。例示的なワイヤレス通信システム100は、追加のワイヤレス通信デバイス及び他の構成要素(例えば、追加のワイヤレス通信デバイス、1又は2以上のネットワークサーバ、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ケーブル又は他の通信リンクなど)を含むことができる。
【0011】
例示的なワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、例えば、ワイヤレスネットワーク規格又は別のタイプのワイヤレス通信プロトコルに従ってワイヤレスネットワークにおいて動作することができる。例えば、ワイヤレスネットワークは、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、又は別のタイプのワイヤレスネットワークとして動作するように構成することができる。WLANの実施例としては、IEEEによって開発された規格の802.11ファミリのうちの1又は2以上に従って動作するように構成されたネットワーク(例えば、Wi-Fiネットワーク)などが挙げられる。PANの実施例としては、短距離通信規格(例えば、BLUETOOTH(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、ZigBee(登録商標))、ミリ波通信方式及びその他に従って動作するネットワークが挙げられる。
【0012】
一部の実施構成において、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、例えば、セルラネットワーク規格に従ってセルラネットワークで通信するように構成することができる。セルラネットワークの実施例としては、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM)及びGSM進化型高速データレート(EDGE)又はEGPRSなどの2G規格、符号分割多元接続(CDMA)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)及び時分割複信-符号分割多元接続(TD-SCDMA)などの3G規格、ロングタームエボリューション(LTE)及び高度LTE(LTE-A)などの4G規格、及びその他に従って構成されたネットワークが挙げられる。
【0013】
図1に示す実施例において、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、標準的なワイヤレスネットワーク構成要素とすることができ、又は標準的なワイヤレスネットワーク構成要素を含むことができる。例えば、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、商業的に利用可能なWi-Fiアクセスポイント、又は別のタイプのワイヤレスアクセスポイント(WAP)とすることができ、これらは、WAPのモデム上で命令(例えば、ソフトウェア又はファームウェア)として埋め込まれた、本明細書で記載されるような1又は2以上の動作を実行する。一部の事例において、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、例えば、商業的に利用可能なメッシュネットワークシステム(例えば、Google WiFi)など、ワイヤレスメッシュネットワークのノードとすることができる。一部の事例において、別のタイプの標準的な又は従来のWi-Fi送信機デバイスを使用することができる。ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、Wi-Fi構成要素なしで実施することができ、例えば、他のタイプの標準的な又は非標準的なワイヤレス通信を動き検出に使用することができる。一部の事例において、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、専用の動き検出システムとすることができ、又は専用の動き検出システムの一部とすることができる。例えば、専用の動き検出システムは、ハブデバイス及び1又は2以上のビーコンデバイス(遠隔センサ装置として)を含むことができ、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cは、動き検出システムにおいてハブデバイス又はビーコンデバイスの何れかとすることができる。
【0014】
図1に示すように、例示的なワイヤレス通信デバイス102Cは、モデム112、プロセッサ114、メモリ116及び電源ユニット118を含み、ワイヤレス通信システム100内のワイヤレス通信デバイス102A、102B、102Cの何れかは、同じ構成要素、追加の構成要素又は異なる構成要素を含むことができ、構成要素は、図1に示すように又は別の方法で動作するように構成することができる。一部の実施構成において、ワイヤレス通信デバイスのモデム112、プロセッサ114、メモリ116及び電源ユニット118は、共通のハウジング又は他の組立体内に共に収容される。一部の実施構成において、ワイヤレス通信デバイスの構成要素のうちの1又は2以上は、例えば、別個のハウジング又は他の組立体内に別個に収容することができる。
【0015】
例示的なモデム112は、ワイヤレス信号を通信(受信、送信、又は両方)することができる。例えば、モデム112は、ワイヤレス通信規格(例えば、Wi-Fi又はブルートゥース)に従ってフォーマットされた無線周波数(RF)信号を通信するように構成することができる。モデム112は、図1に示す例示的なワイヤレスネットワークモデム112として実施することができ、又は別の方法で、例えば、他のタイプの構成要素又はサブシステムと共に実施することができる。一部の実施構成では、例示的なモデム112は、無線サブシステム及びベースバンドサブシステムを含む。一部の事例において、ベースバンドサブシステム及び無線サブシステムは、共通のチップ又はチップセット上で実施することができ、又はカード又は別のタイプの組み立てデバイスにおいて実施することができる。ベースバンドサブシステムは、例えば、リード、ピン、ワイヤー又は他のタイプの接続によって無線サブシステムに結合することができる。
【0016】
一部の事例において、モデム112内の無線サブシステムは、1又は2以上のアンテナ及び無線周波数回路を含むことができる。無線周波数回路としては、例えば、アナログ信号をフィルタリング、増幅、又は他の方法で調整する回路、ベースバンド信号をRF信号にアップコンバートする回路、RF信号をベースバンド信号にダウンコンバートする回路などを挙げることができる。このような回路は、例えば、フィルタ、増幅器、ミキサー、局部発振器などを含むことができる。無線サブシステムは、ワイヤレス通信チャネル上で無線周波数ワイヤレス信号を通信するように構成することができる。一例として、無線サブシステムは、無線チップ、RFフロントエンド及び1又は2以上のアンテナを含むことができる。無線サブシステムは、追加の又は異なる構成要素を含むことができる。一部の実施構成において、無線サブシステムは、従来のモデムから、例えば、Wi-Fiモデム、ピコ基地局モデムなどから無線電子機器(例えば、RFフロントエンド、無線チップ又は類似の構成要素)とすることができ、又は無線電子機器を含むことができる。一部の実施構成において、アンテナは、複数のアンテナを含む。
【0017】
一部の事例において、モデム112内のベースバンドサブシステムは、例えば、デジタルベースバンドデータを処理するように構成されたデジタル電子機器を含むことができる。一例として、ベースバンドサブシステムは、ベースバンドチップを含むことができる。ベースバンドサブシステムは、追加の又は異なる構成要素を含むことができる。一部の事例において、ベースバンドサブシステムは、デジタル信号プロセッサ(DSP)デバイス又は別のタイプのプロセッサデバイスを含むことができる。一部の事例において、ベースバンドシステムは、無線サブシステムを動作するか、無線サブシステムを介してワイヤレスネットワークトラフィックを通信する、無線サブシステムを介して受信された動き検出信号に基づいて動きを検出する、又は他のタイプのプロセスを実施するためのデジタル処理論理回路を含む。例えば、ベースバンドサブシステムは、信号を符号化して符号化された信号を送信のため無線サブシステムに送出する、又は無線サブシステムからの信号において符号化されたデータを識別及び分析する(例えば、信号をワイヤレス通信規格に従って復号することによって、信号を動き検出プロセスに従って処理することによって、又は他の方法で)ように構成された、1又は2以上のチップ、チップセット又は他のタイプのデバイスを含むことができる。
【0018】
一部の事例において、例示的なモデム112内の無線サブシステムは、ベースバンドサブシステムからベースバンド信号を受信し、ベースバンド信号を無線周波数信号にアップコンバートして、無線周波数信号をワイヤレスで送信(例えば、アンテナを介して)する。一部の事例において、例示的なモデム112内の無線サブシステムは、無線周波数信号を(例えば、アンテナを介して)ワイヤレスで受信し、無線周波数信号をベースバンド信号にダウンコンバートして、ベースバンド信号をベースバンドサブシステムに送る。無線サブシステムとベースバンドサブシステムとの間で交換される信号は、デジタル信号又はアナログ信号とすることができる。一部の実施例において、ベースバンドサブシステムは、変換回路(例えば、デジタル/アナログ変換器、アナログ/デジタル変換器)を含み、アナログ信号を無線サブシステムと交換する。一部の実施例において、無線サブシステムは、変換回路(例えば、デジタル/アナログ変換器、アナログ/デジタル変換器)を含み、デジタル信号をベースバンドサブシステムと交換する。
【0019】
一部の事例において、例示的なモデム112のベースバンドサブシステムは、無線サブシステムを介して1又は2以上のネットワークトラフィックチャネル上でワイヤレス通信ネットワーク内のワイヤレスネットワークトラフィック(例えば、データパケット)を伝達することができる。また、モデム112のベースバンドサブシステムは、無線サブシステムを介して専用ワイヤレス通信チャネル上で信号(例えば、動きプローブ信号又は動き検出信号)を送信又は受信する(又はそれら両方を行う)こともできる。一部の事例において、ベースバンドサブシステムは、例えば動きに関して空間を探索するための動きプローブ信号を生成して送信する。一部の実施構成において、動きプローブ信号は、チャネルサウンディング(例えば、引用により本明細書に組み込まれる、IEEE 802.11ac-2013規格によるビームフォーミングのためのチャネルサウンディング)で使用される標準パイロット信号を含む標準シグナリング又は通信フレームを含む。一部の事例において、動きプローブ信号は、ネットワーク内の全てのデバイスに既知の基準信号を含む。一部の事例において、ベースバンドサブシステムは、受信した動き検出信号(空間を通って送信された動きプローブ信号に基づく信号)を処理して、例えば空間内の物体の動きを検出する。例えば、ベースバンドサブシステムは、標準のシグナリングプロトコル(例えば、生成されたステアリング行列又は他の行列に基づくなど、IEEE 802.11ac-2013規格によるビームフォーミングのためのチャネルサウンディング)の態様を分析して、チャネルの変化を空間内の動きの結果として検出することができる。
【0020】
例示的なプロセッサ114は、命令を実施して、例えば、データ入力に基づいて出力データを生成することができる。命令は、プログラム、コード、スクリプト、又はメモリに記憶された他のタイプのデータを含むことができる。付加的又は代替的に、命令は、予めプログラムされた又は再プログラム可能な論理回路、論理ゲート、又は他のタイプのハードウェア又はファームウェア構成要素として符号化することができる。プロセッサ114は、専用のコプロセッサ又は別のタイプのデータ処理装置として、汎用マイクロプロセッサとすることができ、又は汎用マイクロプロセッサを含むことができる。一部の事例において、プロセッサ114は、ワイヤレス通信デバイス102Cの高レベルな動作を実行する。例えば、プロセッサ114は、ソフトウェア、スクリプト、プログラム、機能、実行ファイル又はメモリ116に記憶された他の命令を実行又は解釈するように構成することができる。一部の実施構成において、プロセッサ114は、モデム112内に含めることができる。
【0021】
例示的なメモリ116は、コンピュータ可読ストレージ媒体、例えば、揮発性メモリデバイス、不揮発性メモリデバイス、又はその両方を含むことができる。メモリ116は、1又は2以上の読み取り専用メモリデバイス、ランダムアクセスメモリデバイス、バッファメモリデバイス、又はこれらの組み合わせ及び他のタイプのメモリデバイスを含むことができる。一部の事例において、メモリの1又は2以上の構成要素は、ワイヤレス通信デバイス102Cの別の構成要素と一体化するか又は他の方法で関連付けることができる。メモリ116は、プロセッサ114によって実行可能な命令を記憶することができる。例えば、命令は、図6の例示的なプロセス600の動作のうちの1又は2以上を介してなど、チャネル状態情報、ビームフォーミング状態情報、ビームフォーミングステアリング行列状態情報、又は双方向チャネルサウンディングに基づく他の情報を分析して、空間内の物体の動きを検出するための命令を含むことができる。
【0022】
例示的な電源ユニット118は、ワイヤレス通信デバイス102Cの他の構成要素に電力を提供する。例えば、他の構成要素は、電圧バス又は他の接続を介して電源ユニット118によって提供される電力に基づいて動作することができる。一部の実施構成において、電源ユニット118は、バッテリ又はバッテリシステム、例えば、充電式バッテリを含む。一部の実施構成において、電源ユニット118は、(外部源から)外部電力信号を受信し、外部電力信号をワイヤレスネットワークデバイス1012Cの構成要素に合わせて調整された内部電力信号に変換するアダプタ(例えば、ACアダプタ)を含む。電源ユニット118は、他の構成要素を含むか又は別の方法で動作することができる。
【0023】
図1に示す実施例において、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bは、ワイヤレス信号を(例えば、ワイヤレスネットワーク規格、動き検出プロトコル、又はその他に従って)送信する。例えば、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bは、ワイヤレス動きプローブ信号(例えば、上述のような)をブロードキャストすることができ、又は他のデバイス(例えば、ユーザ装置、クライアントデバイス、サーバなど)にアドレス指定されたワイヤレス信号を送ることができ、他のデバイス(図示せず)並びにワイヤレス通信デバイス102Cは、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bによって送信されたワイヤレス信号を受信することができる。一部の事例において、ワイヤレス通信デバイス102A、102B、によって送信されたワイヤレス信号は、例えば、ワイヤレス通信規格又はその他に従って定期的に繰り返される。
【0024】
図示の実施例において、ワイヤレス通信デバイス102Cは、ワイヤレス信号によってアクセスされた空間内の物体の動きを検出するため、又は検出された動きの場所を決定するため、或いはその両方のために、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bからのワイヤレス信号を処理する。例えば、ワイヤレス通信デバイス102Cは、図3図4に関して以下で説明する例示的なプロセスの1又は2以上の動作、或いは、動きを検出するか又は検出された動きの場所を決定するための別のタイプのプロセスを実行することができる。ワイヤレス信号によってアクセスされる空間は、屋内又は屋外の空間とすることができ、これは、例えば、1又は2以上の完全に又は部分的に囲まれたエリア、囲いのないオープンエリアなどを含むことができる。空間は、部屋、複数の部屋、建物、又は同様のものの内部とすることができ、又は該内部を含むことができる。一部の事例において、ワイヤレス通信システム100は、例えば、ワイヤレス通信デバイス102Cがワイヤレス信号を送信することができ、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bがワイヤレス通信デバイス102Cからのワイヤレス信号を処理して、動きを検出するか又は検出された動きの場所を決定することができるように修正することができる。
【0025】
動き検出に使用されるワイヤレス信号は、例えば、ビーコン信号(例えば、ブルートゥースビーコン、Wi-Fiビーコン、他の無線ビーコン信号)、パイロット信号(例えば、ビームフォーミング用途などにおいて、チャネルサウンディングに使用されるパイロット信号)、又はワイヤレスネットワーク規格に従って他の目的のために生成された別の標準信号又は動き検出又は他の目的のために生成された非標準的な信号(例えば、不規則信号、基準信号など)を含むことができる。一部の実施例において、ワイヤレス信号は、移動中の物体と相互作用する前又は相互作用した後に、物体(例えば、壁部)を通って伝播し、これにより、移動中の物体と送信又は受信ハードウェアとの間の光学的な見通し線がなくても、移動中の物体の動きを検出することができる。受信信号に基づいて、第3のワイヤレス通信デバイス102Cは、動き検出データを生成することができる。一部の事例において、第3のワイヤレス通信デバイス102Cは、セキュリティシステムなど、別のデバイス又はシステムに動き検出データを通信することができ、別のデバイス又はシステムは、部屋、建物、屋外エリアなどの空間内の動きを監視するコントロールセンタを含むことができる。
【0026】
一部の実施構成において、ワイヤレス通信デバイス102A、102Bは、動きプローブ信号(例えば、上述のような)を修正して、ワイヤレスネットワークトラフィック信号から別個のワイヤレス通信チャネル(例えば、周波数チャネル又は符号化されたチャネル)上で送信することができる。例えば、動きプローブ信号のペイロードに適用される変調、及びこのペイロード内のデータ又はデータ構造のタイプは、第3のワイヤレス通信デバイス102Cによって認識することができ、これにより、第3のワイヤレス通信デバイス102Cが動き検知を行う処理量を低減することができる。ヘッダは、例えば、通信システム100内の別のデバイスによって動きが検出されたか否かの指示、変調タイプの指示、信号を送信するデバイスの識別情報などの追加情報を含むことができる。
【0027】
図1に示す実施例において、ワイヤレス通信システム100は、それぞれのワイヤレス通信デバイス102の各々間にワイヤレス通信リンクを有するワイヤレスメッシュネットワークである。図示の実施例において、第3のワイヤレス通信デバイス102Cと第1のワイヤレス通信デバイス102Aとの間のワイヤレス通信リンクを使用して、第1の動き検出フィールド110Aを探索し、第3のワイヤレス通信デバイス102Cと第2のワイヤレス通信デバイス102Bとの間のワイヤレス通信リンクを使用して、第2の動き検出フィールド110Bを探索し、第1のワイヤレス通信デバイス102Aと第2のワイヤレス通信デバイス102Bとの間のワイヤレス通信リンクを使用して、第3の動き検出フィールド110Cを探索することができる。一部の事例において、各ワイヤレス通信デバイス102は、動き検出フィールド110を介してワイヤレス通信デバイス102によって送信されるワイヤレス信号に基づく受信信号を処理することによって、このデバイスがアクセスする動き検出フィールド110内の動きを検出する。例えば、図1に示す人106が、第1の動き検出フィールド110A及び第3の動き検出フィールド110C内で移動すると、ワイヤレス通信デバイス102は、それぞれの動き検出フィールド110を介して送信されたワイヤレス信号に基づいている、ワイヤレス通信デバイス102が受信した信号に基づいて動きを検出することができる。例えば、第1のワイヤレス通信デバイス102Aは、動き検出フィールド110A、110Cの両方における人の動きを検出することができ、第2のワイヤレス通信デバイス102Bは、動き検出フィールド110C内の人106の動きを検出することができ、第3のワイヤレス通信デバイス102Cは、動き検出フィールド110A内の人106の動きを検出することができる。
【0028】
一部の事例において、動き検出フィールド110は、例えば、空気、固体材料、液体、又はワイヤレス電磁信号が伝播することができる別の媒体を含むことができる。図1に示す実施例において、第1の動き検出フィールド110Aは、第1のワイヤレス通信デバイス102Aと第3のワイヤレス通信デバイス102Cとの間のワイヤレス通信チャネルを提供し、第2の動き検出フィールド110Bは、第2のワイヤレス通信デバイス102Bと第3のワイヤレス通信デバイス102Cとの間のワイヤレス通信チャネルを提供し、第3の動き検出フィールド110Cは、第1のワイヤレス通信デバイス102Aと第2のワイヤレス通信デバイス102Bとの間のワイヤレス通信チャネルを提供する。動作の一部の態様において、ワイヤレス通信チャネル(ネットワークトラフィック用のワイヤレス通信チャネルとは別個の又は該チャネルと共有された)上で送信されたワイヤレス信号を用いて、空間内の物体の動きを検出する。物体は、あらゆる形式の静止又は移動可能な物体とすることができ、生物又は無生物とすることができる。例えば、物体は、人間(例えば、図1に示した人106)、動物、無機物又は別のデバイス、装置、又は組立体、空間の境界の全て又は一部を定める物体(例えば、壁、ドア、窓など)、又は別のタイプの物体とすることができる。一部の実施構成において、ワイヤレス通信デバイスからの動き情報を分析して、検出された動きの場所を決定することができる。例えば、以下で更に説明するように、ワイヤレス通信デバイス102のうちの1つ(又はデバイス102に通信可能に結合された別のデバイス)は、検出された動きが特定のワイヤレス通信デバイスに近接していると決定することができる。一部の事例において、ワイヤレス通信デバイス102は、以下で説明する双方向チャネルサウンディングを実行して、物体106の動きを検出することができる。
【0029】
図2A及び図2Bは、ワイヤレス通信デバイス204A、204B、204Cの間で通信される例示的なワイヤレス信号を示す図である。ワイヤレス通信デバイス204A、204B、204Cは、例えば、図1に示すワイヤレス通信デバイス102A、102B、102C、又は他のタイプのワイヤレス通信デバイスとすることができる。例示的なワイヤレス通信デバイス204A、204B、204Cは、空間200を通るワイヤレス信号を送信する。例示的な空間200は、完全に又は部分的に囲むこと、又は空間200の1又は2以上の境界において開放することができる。空間200は、部屋の内部、複数の部屋、建物、屋内エリア、屋外エリア、又は同様のものとすることができ、或いはこれらを含むことができる。図示の実施例において、第1の壁202A、第2の壁202B、及び第3の壁202Cは、少なくとも部分的に空間200を囲むことができる。
【0030】
図2A及び図2Bに示す実施例において、第1のワイヤレス通信デバイス204Aは、ワイヤレス動きプローブ信号を繰り返し(例えば、周期的に、断続的に、スケジューリングされた間隔、スケジューリングされていない間隔、又はランダムな間隔などで)送信するように動作することができる。第2のワイヤレス通信デバイス204B及び第3のワイヤレス通信デバイス204Cは、ワイヤレス通信デバイス204Aによって送信された動きプローブ信号に基づく信号を受信するように動作することができる。動きプローブ信号は、上述したようにフォーマットすることができる。例えば、一部の実施構成において、動きプローブ信号は、チャネルサウンディング(例えば、引用により本明細書に組み込まれるIEEE 802.11ac-2013規格によるビームフォーミングのためのチャネルサウンディング)で使用される標準パイロット信号を含む標準シグナリング又は通信フレームを含む。ワイヤレス通信デバイス204B、204Cは各々、モデム、プロセッサ、又は受信した動き検出信号を処理して空間200内の物体の動きを検出するように構成された他の構成要素を有する。
【0031】
図示のように、物体は、図2Aにおいて第1の位置214Aに存在し、この物体は、図2Bにおいて第2の位置214Bに移動している。図2A及び図2Bでは、空間200内の移動物体は、人間として表されているが、移動物体は、別のタイプの物体とすることができる。例えば、移動物体は、動物、無生物の物体(例えば、システム、デバイス、装置、又は組立体)、空間200の境界の全部もしくは一部分を定める物体(例えば、壁、ドア、窓など)、又は別のタイプの物体とすることができる。
【0032】
図2A及び図2Bに示されているように、第1のワイヤレス通信デバイス204Aから送信されたワイヤレス信号の複数の例示的な経路が、破線で示されている。ワイヤレス信号は、第1の信号経路216に沿って、第1のワイヤレス通信デバイス204Aから送信されて、第1の壁202Aから第2のワイヤレス通信デバイス204Bに向かって反射する。ワイヤレス信号は、第2の信号経路218に沿って、第1のワイヤレス通信デバイス204Aから送信されて、第2の壁202B及び第1の壁202Aから第3のワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射する。ワイヤレス信号は、第3の信号経路220に沿って、第1のワイヤレス通信デバイス204Aから送信されて、第2の壁202Bから第3のワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射する。ワイヤレス信号は、第4の信号経路222に沿って、第1のワイヤレス通信デバイス204Aから送信されて、第3の壁202Cから第2のワイヤレス通信デバイス204Bに向かって反射する。
【0033】
図2Aでは、ワイヤレス信号は、第5の信号経路224Aに沿って、第1のワイヤレス通信デバイス204Aから送信されて、第1の位置214Aにある物体から第3のワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射する。図2A図2Bとの間で、物体の表面は、空間200内で第1の位置214Aから第2の位置214B(例えば、第1の位置214Aからある距離離れた)に移動する。図2Bでは、ワイヤレス信号は、第6の信号経路224Bに沿って、第1のワイヤレス通信デバイス204Aから送信されて、第2の位置214Bにある物体から第3のワイヤレス通信デバイス204Cに向かって反射する。図2Bに示す第6の信号経路224Bは、第1の位置214Aから第2の位置214Bへの物体の移動に起因して、図2Aに示す第5の信号経路224Aより長い。一部の実施例において、信号経路は、空間内の物体の移動に起因して追加、削除、又はそれ以外の場合に変更することができる。
【0034】
図2A及び図2Bに示す例示的なワイヤレス信号は、これらの信号のそれぞれの経路を通じて減衰、周波数シフト、位相シフト、又は他の影響を体験することができ、例えば壁202A、202B及び202Cを介して別の方向に伝播する部分を有することができる。一部の実施例において、ワイヤレス信号は、無線周波数(RF)信号である。ワイヤレス信号は、他のタイプの信号を含むことができる。
【0035】
図2A及び図2Bに示す実施例において、第1のワイヤレス通信デバイス204Aは、ワイヤレス信号を繰り返し送信することができる。具体的には、図2Aは、最初の時間に第1のワイヤレス通信デバイス204Aから送信されたワイヤレス信号を示しており、図2Bは、2回目の後の時間に第1のワイヤレス通信デバイス204Aから送信された同じワイヤレス信号を示している。送信信号は、連続的、周期的、ランダム又は断続的な時間など、或いはこれらの組み合わせで送信することができる。送信信号は、周波数帯域幅内に幾つかの周波数成分を有することができる。送信信号は、第1のワイヤレス通信デバイス204Aから全方向に、一方向に、又は別様に送信することができる。図示の実施例において、ワイヤレス信号は、空間200内の複数のそれぞれの経路を通過し、各経路に沿った信号は、経路損失、散乱、反射などに起因して減衰して、位相オフセット又は周波数オフセットを有することができる。
【0036】
図2A及び図2Bに示されているように、様々な経路216、218、220、222、224A、及び224Bからの信号は、第3のワイヤレス通信デバイス204C及び第2のワイヤレス通信デバイス204Bにおいて組み合わされて受信信号を形成する。空間200内の複数の経路の送信信号への影響により、空間200は、送信信号が入力され且つ受信信号が出力される伝達関数(例えば、フィルタ)として表すことができる。或る物体が空間200内で移動するときに、信号経路において信号に影響を与えていた減衰又は位相オフセットは変化することができ、従って、空間200の伝達関数は変化することができる。第1のワイヤレス通信デバイス204Aから同じワイヤレス信号が送信されると仮定すると、空間200の伝達関数が変化した場合、この伝達関数の出力、すなわち受信信号は、同様に変化することになる。この受信信号の変化は、物体の動きを検出するのに使用することができる。
【0037】
数学的に言えば、第1のワイヤレス通信デバイス204Aから送信される送信信号f(t)は、以下の式(1)に従って表すことができ、
【数1】
ここで、ωnは、送信信号のn番目の周波数成分の周波数を表し、cnは、n番目の周波数成分の複素係数を表し、tは時間を表す。送信信号f(t)が第1のワイヤレス通信デバイス204Aから送信されている場合、経路kからの出力信号rk(t)は、以下の式(2)に従って表すことができ、
【数2】
ここで、αn,kは、経路kに沿ったn番目の周波数成分に関する減衰係数(又はチャネル応答、例えば、散乱、反射及び経路損失に起因)を表し、φn,kは、経路kに沿ったn番目の周波数成分に関する信号の位相を表す。このとき、ワイヤレス通信デバイスにおける受信信号Rは、以下の式(3)で示される、全ての経路からワイヤレス通信デバイスへの全ての出力信号rk(t)の総和として表すことができる。
【数3】
式(2)を式(3)に代入すると、以下の式(4)が得られる。
【数4】
【0038】
次に、ワイヤレス通信デバイスにおける受信信号Rを分析することができる。ワイヤレス通信デバイスにおける受信信号Rは、例えば高速フーリエ変換(FFT)又は別のタイプのアルゴリズムを使用して周波数領域に変換することができる。変換された信号は、受信信号Rを、1つの値がそれぞれの周波数成分(n個の周波数ωnにおける)の各々に対応する一連のn個の複素数値として表すことができる。周波数ωnにおける周波数成分に関して、複素数値Hnは、以下の式(5)のように表すことができる。
【数5】
【0039】
所与の周波数成分ωnに対する複素数値Hnは、その周波数成分ωnにおける受信信号の相対的な大きさ及び位相オフセットを示す。物体が空間内を移動するときに、複素数値Hnは、空間のチャネル応答αn,kが変化することに起因して変化する。従って、チャネル応答で検出された変化は、通信チャネル内の物体の移動を示すことができる。一部の事例において、ノイズ、干渉、又は他の現象が、受信機によって検出されるチャネル応答に影響を与える場合があり、動き検出システムは、このような影響を低減又は分離して、動き検出能力の精度及び品質を高めることができる。一部の実施構成において、全体的チャネル応答は、以下のように表すことができる。
【数6】
【0040】
一部の事例において、空間に対するチャネル応答hchは、例えば、推定の数学理論に基づいて決定することができる。例えば、基準信号Refは、候補チャネル応答(hch)を用いて変更され、次に、最尤法が、受信信号(Rcvd)に最もマッチした候補チャネルを選択するのに使用できる。一部の事例において、推定受信信号(
)は、基準信号(Ref)と候補チャネル応答(hch)との畳み込みから得られ、次に、チャネル応答(hch)のチャネル係数が、推定受信信号(
)の平方誤差を最小にするように変更される。これは、数学的に、以下のように示すことができ、
【数7】
以下の最適基準が用いられる。
【数8】
【0041】
最小化又は最適化プロセスは、例えば、最小二乗平均(LMS)、再帰的最小二乗法(RLS)、バッチ最小二乗法(BLS)などの適応フィルタリング技法を利用することができる。チャネル応答は、有限インパルス応答(FIR)フィルタ、無限インパルス応答(IIR)フィルタなどとすることができる。上記の式に示されているように、受信信号は、基準信号とチャネル応答との畳み込みとみなすことができる。畳み込み演算は、チャネル係数が、基準信号の遅延レプリカの各々とある程度の相関を有することを意味する。従って、上記の式に示されている畳み込み演算は、受信信号が異なる遅延ポイントに現れ、各遅延レプリカがチャネル係数によって重み付けされることを示す。
【0042】
図3A及び3Bは、例示的な動き検出システム300の図である。例示的な動き検出システム300は、ワイヤレス信号306を介して互いに通信する、送信機302及び受信機304を含む。送信機302及び受信機304は、図1のワイヤレス通信デバイス102と同様に実装することができる。図示のように、ワイヤレス信号306は、幾つかの異なる方向で空間を通過して、壁又は他の物理的境界に反射する。このことに起因して、ワイヤレス信号306は各々、時間領域プロット312に示されるように、異なる時間にて受信機306に到着する。時間領域プロット312を用いて、チャネル応答などのチャネル状態情報、ビームフォーミング状態情報、ビームフォーミングステアリング行列状態情報、又は空間の有効伝達関数を表す他の情報を計算又は他の方法で取得することができる。
【0043】
図示の実施例において、送信機302(図3Aに図示)に近接して移動する物体は、送信されたRFエネルギーの3次元球面として表される、ワイヤレスRF信号のより大きな表面と交差する。このことは、RF信号と移動物体との間の接触面が大きくなるほど、送信機302と移動物体308との間の立体角(α)310が大きくなることに起因する。結果的に、送信機302(図3Bに図示)から更に離れた距離で移動する同じサイズの物体と比較して、より多くのRFエネルギーが移動物体から様々な方向に反射する。立体角は、物体がある点に対する3次元空間内の2次元角度を指すことができる。立体角は、当該点から見ている観測者に物体がどの程度大きく見えるかについての尺度を含むことができる。一部の事例において、送信機302の近くの小さい物体は、更に離れたより大きな物体と同じ立体角に対することができる。この現象に起因して、チャネルサウンディングが単一方向で(例えば、デバイス302Aからデバイス302Bに送信される信号304Aのみを介して)実行される場合、チャネル状態における検出された変化が、送信機から更に離れて移動するより大きい物体によって引き起こされたか、或いは送信機に近接して移動し同じ割合のチャネル擾乱を引き起こすより小さい物体によって引き起こされたかを判定することが困難である場合がある。
【0044】
図4A及び4Bは、双方向チャネルサウンディングに基づく例示的な動き検出システム400の図である。例示的な動き検出システム400は、互いに通信するワイヤレスデバイス402のペアを含む。ワイヤレスデバイス402は、図1のワイヤレス通信デバイス102と同様に実装することができる。ワイヤレスデバイス402は、無線周波数(RF)信号(例えば、802.11規格に従ってフォーマットされる信号)、又は他のタイプのワイヤレス信号を使用して互いに通信することができる。図示の実施例において、ワイヤレスデバイス402Aは、信号404Aを送信して一方向でチャネルサウンディングを実行し、ワイヤレスデバイス402Bは、信号404Bを送信して反対方向でチャネルサウンディングを実行する。各ワイヤレスデバイス402は、送信された信号404に基づいて、信号404により通過される空間に関するチャネル状態情報を決定することができる。一部の事例において、信号404Bは、信号404Aの後に(例えば、順次的に)送られる。デバイス402は、上述のように指定されたデバイスに決定されたチャネル状態情報(例えば、チャネル応答)を送信し、該指定されたデバイスが、両方のデバイス402からのチャネル状態情報を分析して、物体406(犬406A及び人間406B)の動きを検出することができる。チャネル状態情報の分析に関して以下で説明されるが、チャネル状態情報に加えて又はその代わりに、ビームフォーミング状態情報、ビームフォーミングステアリング行列状態情報、又は空間の有効伝達関数を表す他の情報を分析することができる。
【0045】
図示の実施例において、単一方向チャネルサウンディング技術は、物体406がワイヤレスデバイス402Aに対して同様の立体角を生じさせることに起因して、図4A及び4Bの両方のシナリオにおいて同様の動き結論をもたらすことができる。例えば、図示の実施例において、犬406Aが、ワイヤレスデバイス402Aの近くに移動すると(図4Aに図示)、これにより、信号404Aに大きな外乱を引き起こし、ワイヤレスデバイス402A(図4Bに図示)から更に離れたより大きな人間406Bによって引き起こされる外乱と同様とすることができ、同様の立体角が引き起こされる。ワイヤレスデバイス402A及び402Bによって生じる立体角は、立体角の間の差分が特定の閾値を下回る場合、例えば、0度から10度の差分内である場合に同様とすることができる。一部の事例において、閾値は、10度の差分より大きい角度の差分を表す別の値とすることができる。一部の事例において、ワイヤレスデバイス402A、402Bに関連するチャネル分散は、立体角以外の測定値で示すことができる。この場合、このワイヤレスデバイス402Aに関連するチャネル分散が、ワイヤレスデバイス402Bに関連するチャネル分散の閾値の範囲内にある場合、ワイヤレスデバイス402Aに関連するチャネル分散は、ワイヤレスデバイス402Bに関連するチャネル分散と同様とすることができる。従って、単一方向チャネルサウンディングを用いると、両方のシナリオにおいて、信号404Aによって通過される空間内に大きな物体(例えば、人間)の動きがあると判定される場合があり、これは正確である場合又はそうでない場合がある。しかしながら、双方向チャネルサウンディングを使用することによって、動きのカテゴリ(例えば、空間内の物体が、大きい(人間の)物体であるか、又は小さい(犬の)物体であるか)を決定することができる。加えて、検出された動きの相対的位置を決定することができる。
【0046】
例えば、図4Aに示す実施例において、チャネル状態情報は、両方の信号404A、404Bに基づいて得ることができる。ワイヤレスデバイス402Aにおいて決定された(信号404Bに基づいて)チャネル状態情報は、空間内で移動する物体(犬406A)が比較的小さいことに起因して比較的小さいチャネル摂動を示し、一方、ワイヤレスデバイス402Bにおいて決定された(信号404Aに基づいて)チャネル状態情報は、比較的大きいチャネル摂動を示すことができる。チャネル状態情報の2つのセットが、比較又は他の方法で分析されて、移動物体が小さい物体であること、及びこの小さい物体がデバイス402Bよりもデバイス402Aに近接して移動していると決定することができる。
【0047】
同様に、図4Bに示す実施例において、ワイヤレスデバイス402Aにおいて決定された(信号404Bに基づいて)チャネル状態情報は、空間内で移動する物体(人間406B)が比較的大きい(また、信号404Bの信号源に近い)ことに起因して、比較的大きいチャネル摂動を示し、一方、ワイヤレスデバイス402Bにおいて決定された(信号404Aに基づいて)チャネル状態情報は、より中等度のチャネル摂動を示すことができる。チャネル状態情報の2つのセットが比較又は他の方法で分析されて、移動物体がより大きい物体であること、及びこの物体がデバイス402Aよりもデバイス402Bに近接して移動していると決定することができる。
【0048】
一部の実施構成において、双方向チャネルサウンディングは、ワイヤレス通信ネットワーク内の複数のデバイス間で実行することができる。例えば、図1に示す実施例を参照すると、双方向チャネルサウンディングは、ワイヤレス通信デバイス102Aと102Bの間、ワイヤレス通信デバイス102Aと102Cの間、及びワイヤレス通信デバイス102Bと102Cの間で実行することができる。チャネル状態情報は、デバイス102のそれぞれ各ペアに関する上述のような双方向分析に基づいて決定することができ、チャネル状態情報のセットが分析されて、物体106が、第1の動き検出フィールド110A内にあり、デバイス102Aと102Cとの間で比較的等距離に存在すると決定することができる。
【0049】
図5A及び5Bは、動き検出システム500における例示的な動き位置特定ゾーン502を示す図である。図示の実施例において、動き検出システム500は、図1のワイヤレス通信デバイス102と同様に実装できるワイヤレス通信デバイス502を含む。システム500は、図4A及び図4Bのシステム400と同様に動作することができる(例えば、双方向チャネルサウンディングに基づいて空間内の物体の動きを検出することができる)。図示の実施例において、ワイヤレス通信デバイス502は、変化する役割間の最小間隔(例えば、ミリ秒離れた)で送信機及び受信機の役割を繰り返して、極めて類似した物理的環境を取り込む。
【0050】
図5Aの例示的なシステム500Aにおいて、ワイヤレス通信デバイス502A(受信機モードにある)が、ワイヤレス通信デバイス502B(受信機モードにある)によってもたらされる同じレポートと比較して、より大きい強度の経時的な検出ワイヤレスチャネル変動を報告する場合、システム500Aは、物体が動き検出ゾーン508(「センサ2の近く」)で移動していると決定することができる。同様に、ワイヤレス通信デバイス502B(受信機モードにある)が、ワイヤレス通信デバイス502A(受信機モードにある)によってもたらされる同じレポートと比較して、より大きい強度の経時的な検出ワイヤレスチャネル変動を報告する場合、システム500Aは、物体が動き検出ゾーン504(「センサ1の近く」)で移動していると決定することができる。両方のワイヤレス通信デバイス502が、同様の量の経時的なチャネル変動を報告する場合、システム500Aは、物体が動き検出ゾーン506(「中間領域」)内で移動していると決定することができる。
【0051】
図5Bに示す例示的なシステム500Bは、3つのワイヤレス通信デバイス502を有する点を除いて、図5Aに示す例示的なシステム500Aと同様である。より多くのワイヤレス通信デバイス502を有することに起因して、図5Bのシステム500Bは、システム500Aよりも多くの動き検出ゾーンを含む。例えば、システム500Aは、3つの動き検出ゾーン504、506、及び508を含み、システム500Bは、9つの動き検出ゾーン510、512、514、516、518、520、522、524、及び526を含む。図示の実施例において、システム500Bは、双方向チャネルサウンディングに基づいて、物体530が、動き検出ゾーン514(「センサ1とセンサ3との中間ゾーン」)と動き検出ゾーン516(「センサ1とセンサ2との中間ゾーン」)との交差点の内側で移動していると決定することができる。
【0052】
図6は、双方向チャネルサウンディングに基づいて空間内の物体の動きを検出するための例示的なプロセス600を示すフローチャートである。プロセス600の動作は、空間を提供するワイヤレスネットワークに結合されたデバイスの1又は2以上のプロセッサによって実行することができる。例えば、例示的なプロセス600における動作は、図1における例示的なワイヤレス通信デバイス102のプロセッササブシステム114により実行されて、チャネル状態情報、ビームフォーミング状態情報、ビームフォーミングステアリング行列状態情報、又は2つのデバイス102間の双方向チャネルサウンディングに基づいて空間の有効伝達関数を表す他の情報を分析して、空間内で動きが生じたか否かを検出することができる。例示的なプロセス600は、別のタイプのデバイスによって実行することもできる。例示的なプロセス600は、追加の動作又は異なる動作を含むことができ、動作は、図示の順番又は別の順番で実施することができる。一部の事例において、図6に示す動作のうちの1又は2以上は、複数の動作を含むプロセス、サブプロセス又は他のタイプのルーチンとして実装される。一部の事例において、動作は、組み合わせるか、別の順番で実施するか、並行して実施するか、反復するか、又は他の方法で繰り返すか、又は別の方法で実施することができる。
【0053】
例示的なプロセス600において、第1のワイヤレス通信デバイスが、動作602A、604A、及び606Aを実行でき、第2のワイヤレス通信デバイスが、動作602B、604B、及び606Bを実行することができる。例えば、図4A及び図4Bに示す実施例を参照すると、ワイヤレスデバイス402Aが、動作602A、604A、及び606Aを実行でき、ワイヤレスデバイス402Bが、動作602B、604B、及び606Bを実行することができる。別の実施例として、図5Aのワイヤレス通信デバイス502Aが、動作602A、604A、及び606Aを実行でき、図5Aのワイヤレス通信デバイス502Bが、動作602B、604B、及び606Bを実行することができる。
【0054】
602において、ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信デバイス間の空間を通って送信される。例えば、図4A及び図4Bに示す実施例を参照すると、ワイヤレス信号404A、404Bは、それぞれ、ワイヤレスデバイス402A、402Bによって送信される。ワイヤレス信号は、無線周波数(RF)信号とすることができ、空間内で動きが生じたか否かを判定するのに使用される基準信号又はビーコン信号を含むことができる。一部の事例において、ワイヤレス信号は、規格(例えば、802.11 Wi-Fi規格)に従ってフォーマットされる。ワイヤレス信号は別の方法でフォーマットすることができる。一部の実施構成において、信号は、ワイヤレスデバイス402Aと402Bとの間で双方向に送信される。一部の事例において、ワイヤレス信号の第1のセットは、第1のワイヤレス通信デバイス402Aから第2のワイヤレス通信装置402Bに第1の方向に送信され、ワイヤレス信号の第2のセットは、第2のワイヤレス通信デバイス402Bから第1のワイヤレス通信デバイス402Aに第2の方向に送信される。
【0055】
604において、602で他のデバイスによって送信された信号が受信され、606において、受信信号が分析されてチャネル情報が得られる。一例では、チャネル情報の第1のセットは、第1のワイヤレス通信デバイス402Aから受信することができ、チャネル情報の第2のセットは、第2のワイヤレス通信デバイス402Aから受信することができる。一部の実施構成において、チャネル情報は、CSI(例えば、チャネル応答)を含み、分析は、上述のように、数学的推定理論に基づくことができる。一部の実施構成において、チャネル情報は、ビームフォーミング状態情報又はビームフォーミングステアリング行列情報を含む。チャネル情報は、空間の有効伝達関数を表す他の情報を含むことができる。
【0056】
608において、606A、606Bで得られたチャネル情報のセットが分析されて、ワイヤレス信号が通過する空間内で物体が移動したか否かが検出される。608における分析は、送信/受信するワイヤレスデバイスに通信可能に結合された任意のデバイスによって実行することができる。一部の実施構成において、分析は、このようなデバイスのうちの1つによって実行される(例えば、デバイスがハブデバイスとして指定されている場合)。一部の実施構成において、分析は、ワイヤレスデバイスに通信可能に結合されたリモートサーバによって実行される(例えば、クラウド内)。一部の実施構成において、動きが検出された後、動作又はプログラムされた応答を行うことができる。例えば、コンピューティングデバイス(例えば、608において分析を実行するデバイス)は、セキュリティアラートを作動させ(例えば、警備員、住宅所有者の携帯電話機又は別のデバイスにアラートを送り)、動きが検出された位置(例えば、室内、廊下又は屋外)の照明又はHVACを作動させ、或いはこれらの又は他のタイプのプログラムされた応答の組み合わせを実行することができる。
【0057】
一部の実施構成において、608において動きのカテゴリを検出することができる。例えば、移動物体が比較的大きい(例えば、人間)か、又は比較的小さい(例えば、犬又は猫)かを判定することができる。加えて、一部の実施構成において、検出された動きの相対的位置を決定することができる。例えば、検出された動きは、図5A及び図5Bに関して上記で説明したように、動き検出ゾーンに位置を定めることができる。一部の事例において、動きのカテゴリ又は相対的位置は、チャネル情報のそれぞれのセットの比較、又はチャネル情報のセットの別の分析に基づいて決定することができる。一例では、図5Aで説明したように、チャネル情報の第1のセットが、チャネル情報の第2のセットと比較して、より多くの経時的なチャネル変動を示す場合、物体が、第1のワイヤレス通信デバイス402Aの近くのゾーン内で移動していると決定され、チャネル情報の第2のセットが、チャネル情報の第1のセットと比較して、より多くの経時的なチャネル変動を示す場合、物体が、第2のワイヤレス通信デバイス402Bの近くのゾーン内で移動していると決定することができる。他の実施例では、図5Bで説明したように、チャネル情報の第1のセットが、チャネル情報の第2のセットと比較して類似した経時的なチャネル変動を示す場合、物体が、第1のワイヤレス通信デバイス402Aと第2のワイヤレス通信デバイス402Bとの間のゾーン内で移動していると決定することができる。
【0058】
本明細書で説明した主題及び動作の一部は、デジタル電子回路で、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、又は本明細書及びこれらの構造的均等物に開示された構造を含むハードウェアで、又はこれらの1又は2以上の組み合わせで実施することができる。本明細書で説明した主題の一部は、1又は2以上のコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置による実行のための又はデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ可読ストレージ媒体に符号化されたコンピュータプログラム命令の1又は2以上のモジュールとして実施することができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、コンピュータ可読ストレージデバイス、コンピュータ可読ストレージ基板、ランダム又はシリアルアクセスメモリアレイ又はデバイス、又はこれらの1又は2以上の組み合わせとすることができるか、又はこれに含めることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体が伝播信号でない場合、コンピュータ可読ストレージ媒体は、人工的に生成された伝播信号に符号化されたコンピュータプログラム命令の発信元又は宛先とすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、1又は2以上の別々の物理的構成要素又は媒体(例えば、マルチCD、ディスク、又は他のストレージデバイス)とすることができるか、又はこれに含めることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、複数のコンピュータ可読ストレージデバイスを含むことができる。コンピュータ可読ストレージデバイスは、同一場所に配置される(単一のストレージデバイス内に記憶された命令)か、又は異なる場所に配置することができる(例えば、分散された場所に記憶された命令)。
【0059】
本明細書で説明する動作の一部は、メモリに(例えば、1又は2以上のコンピュータ可読ストレージデバイス上に)記憶されたか、又は他のソースから受信されたデータにデータ処理装置によって実行される動作として実施することができる。「データ処理装置」という用語は、一例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、チップ上のシステム又は複数のチップ又は上記の組み合わせを含め、データを処理する全ての種類の装置、デバイス及びマシンを包含する。本装置は、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路))を含むことができる。本装置はまた、ハードウェアに加えて、問題になっているコンピュータプログラムの実施環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームランタイム環境、仮想マシン、又はこれらのうちの1又は2以上の組み合わせを構成するコードを含むこともできる。一部の事例において、データ処理装置は、1セットのプロセッサを含む。1セットのプロセッサは、同一場所に配置する(例えば、同じコンピューティングデバイス内に複数のプロセッサ)か、又は互いに異なる場所に配置する(例えば、分散型コンピューティングデバイス内の複数のプロセッサ)ことができる。データ処理装置によって実施されたデータを記憶するメモリは、データ処理装置と同一場所に配置する(例えば、同じコンピューティングデバイスのメモリに記憶された命令を実施するコンピューティングデバイス)か、又はデータ処理装置から異なる場所に配置する(例えば、サーバデバイス上に記憶された命令を実施するクライアントデバイス)ことができる
【0060】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとしても公知)は、コンパイル又は解釈言語、宣言型又は手続き型言語を含むプログラミング言語の何れかの形態で書くことができ、独立型プログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、オブジェクト、又はコンピュータ環境で使用するのに適した他のユニットとして含む何れかの形態で備えることができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応することができるが、必ずしも対応する必要はない。プログラムを、他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語文書に格納された1又は2以上のスクリプト)を保持するファイルの一部に、プログラム専用の単一のファイルに、又は複数の協調ファイル(例えば、1又は2以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部分を格納するファイル)に格納することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つのサイトに位置付けられるか又は複数のサイトにわたって分散され通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0061】
本明細書で説明するプロセス及び論理フローの一部は、入力データで動作して出力を生成することによって動作を実施するために1又は2以上のコンピュータプログラムを実施する1又は2以上のプログラム可能なプロセッサによって実施することができる。プロセス及び論理フローは、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって実施することができ、また、装置は専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)として実装することができる。
【0062】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサとしては、一例として、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、並びにあらゆる種類のデジタルコンピュータのプロセッサが挙げられる。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ又はランダムアクセスメモリー又はその両方から命令及びデータを受信することになる。コンピュータの要素は、命令に従って動作を実施するプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶する1又は2以上のメモリデバイスを含むことができる。コンピュータは、例えば、非磁気ドライブ(例えば、半導体ドライブ)、磁気ディスク、光磁気ディスク又は光ディスクなど、データを記憶する、1又は2以上の大容量ストレージデバイスを含むこともでき、或いはこのようなストレージデバイスとの間でのデータの受け取り及びデータの転送、又はこれらの両方を行うように動作可能に結合することもできる。しかしながら、コンピュータは、このようなデバイスを有していなくてもよい。更に、コンピュータは、例えば電話機、タブレットコンピュータ、電子装置、モバイルオーディオプレーヤ又はビデオプレーヤ、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)受信機、モノのインターネット(IoT)デバイス、マシンツーマシン(M2M)センサ又はアクチュエータ、又はポータブルストレージデバイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)などの別のデバイスに組み込むことができる。コンピュータプログラム命令及びデータの記憶に適したデバイスとしては、一例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM及びフラッシュメモリデバイスなど)、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスクなど)、磁気光学ディスク、並びにCD ROM及びDVD-ROMディスクを含む全ての形態の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイスが挙げられる。一部の事例では、プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完するか、又は専用論理回路に組み込むことができる。
【0063】
ユーザとの相互作用を提供するために、動作は、ユーザに情報を表示するディスプレイデバイス(例えば、モニター又は別のタイプのディスプレイデバイス)と、ユーザが入力をコンピュータに提供することができるキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチスクリーン又は別のタイプのポインティングデバイス)とを有するコンピュータ上で実行することができる。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの相互作用を提供することもでき、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形のセンサフィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック又は触覚フィードバック)とすることができ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力又は触覚型入力を含め、あらゆる形態で受け取ることができる。加えて、コンピュータは、例えばウェブブラウザから受け取られた要求に応答してユーザのクライアント装置上のウェブブラウザにウェブページを送信することなどの、ユーザが使用する装置との間で文書を送受信することによってユーザと相互作用することもできる。
【0064】
コンピュータシステムは、単一のコンピューティングデバイス又は近接して又は一般的には互いから離れて動作して、典型的には通信ネットワークを介して相互作用する複数のコンピュータを含むことができる。通信ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及びワイドエリアネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(例えば、インターネット)、衛星リンクを備えるネットワーク、及びピアツーピアネットワーク(例えば、アドホックピアツーピアネットワーク)のうちの1又は2以上を含むことができる。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作され、互いにクライアントサーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じることができる。
【0065】
本明細書で記載された実施例の一般的な態様において、動きは、双方向チャネルサウンディングに基づいて検出される。
【0066】
第1の実施例では、第1のデバイスからのチャネル情報の第1のセットが得られる。チャネル情報の第1のセットは、時間枠内の第1の時間に空間を通って第2のデバイスから送信されたワイヤレス信号の第1のセットに基づく。チャネル情報の第2のセットは、第2のデバイスから得られる。チャネル情報の第2のセットは、時間枠内の第2の時間に空間を通って第1のデバイスから送信されたワイヤレス信号の第2のセットに基づく。チャネル情報の第1及び第2のセットが分析されて、時間枠中の空間内の動きのカテゴリ又は検出された動きの位置が検出される。
【0067】
第1の実施例の実施構成は、以下の特徴のうちの1又は2以上を含むことができる。チャネル情報の第1及び第2のセットは、第1のデバイスと第2のデバイスとの間で空間を通って双方向に送信されたワイヤレス信号に基づく。ワイヤレス信号は、基準信号又はビーコン信号を含む。ワイヤレス信号の第1のセットは、第1のデバイスから第2のデバイスに第1の方向に送信され、ワイヤレス信号の第2のセットは、第2のデバイスから第1のデバイスに第2の方向に送信される。チャネル情報の第1のセットをチャネル情報の第2のセットと比較して、物体が、第1のデバイスの近くのゾーン内で移動しているか、又は第2のデバイスの近くのゾーン内で移動しているかを判定する。
【0068】
第1の実施例の実施構成は、以下の特徴のうちの1又は2以上を含むことができる。チャネル情報の第1のセットが、チャネル情報の第2のセットと比較して、より多くの経時的なチャネル変動を示す場合、物体が、第1のデバイスの近くのゾーン内で移動していると決定され、又はチャネル情報の第2のセットが、チャネル情報の第1のセットと比較して、より多くの経時的なチャネル変動を示す場合、物体が、第2のデバイスの近くのゾーン内で移動していると決定される。チャネル情報の第1のセットが、チャネル情報の第2のセットと比較して類似した経時的なチャネル変動を示す場合、物体が、第1のデバイスと第2のデバイスとの間のゾーン内で移動していると決定される。動きのカテゴリが決定される。移動物体のタイプが識別される。チャネル情報の第1のセットが、チャネル摂動の第2のセットと比較して、より小さい経時的チャネル摂動を示す場合、小さい物体が、第2のデバイスよりも第1のデバイスに近接して移動していると決定され、又はチャネル情報の第1のセットが、チャネル摂動の第2のセットと比較して、より大きい経時的チャネル摂動を示す場合、より大きい物体が、第1のデバイスよりも第2のデバイスに近接して移動していると決定される。
【0069】
幾つかの実施構成では、コンピューティングシステム(例えば、ワイヤレス通信デバイス、コンピュータシステム、又はワイヤレス通信デバイスに通信可能に結合された他のタイプのシステム)は、データ処理装置と、このデータ処理装置によって実行されたときに第1の実施例の1又は2以上の動作を実行するように動作可能な命令を記憶するメモリとを含む。幾つかの実施構成では、動き検出デバイスは、1又は2以上のプロセッサと、これら1又は2以上のプロセッサによって実行されたときに、動き検出デバイスに第1の実施例の1又は2以上の動作を実行させる命令を備えるメモリとを含む。幾つかの実施構成では、コンピュータ可読媒体は、データ処理装置によって実行されたときに第1の実施例の1又は2以上の動作を実行するように動作可能な命令を記憶する。
【0070】
本明細書は多くの詳細を含んでいるが、これらの詳細は、特許請求できる内容の範囲に対する限定ではなく、むしろ特定の例に固有の特徴の説明として解釈されたい。本明細書において別個の実施構成の文脈で説明した幾つかの特徴は、組み合わせることもできる。これとは逆に、単一の実施構成の文脈で説明した様々な特徴は、複数の実施形態において単独で実装することも、或いはあらゆる好適な部分的組み合わせで実装することもできる。
【0071】
幾つかの実施形態について説明してきた。それでもなお、様々な修正を行うことができることは理解されるであろう。従って、他の実施形態は、添付の特許請求項の範囲内にある。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6