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特許7265565指紋センサ、表示装置、指紋検出方法及び指紋センサの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】指紋センサ、表示装置、指紋検出方法及び指紋センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20230419BHJP
   G01D 5/353 20060101ALI20230419BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20230419BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
G06V40/13
G01D5/353 C
G02B6/02 416
G09F9/00 366Z
G09F9/00 346Z
G09F9/00 362
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020570782
(86)(22)【出願日】2018-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 CN2018095800
(87)【国際公開番号】W WO2020014822
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】507134301
【氏名又は名称】北京京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 8 Xihuanzhonglu, BDA, Beijing, 100176, P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リウ ユー
(72)【発明者】
【氏名】ドン リーグアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャイ ミン
(72)【発明者】
【氏名】フー シャオリャン
(72)【発明者】
【氏名】ドウ シューチエン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヤーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン ティン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジーチャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ダーヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ドン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヨウツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ハン ヨンジエ
【審査官】板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-157429(JP,A)
【文献】特開2000-097786(JP,A)
【文献】特開平11-155837(JP,A)
【文献】ZHU, Li et al.,Improved performance of fiber optic hydrogen sensor based on high reflective Bragg grating and WO3-Pd2Pt-Pt composite films,2017 Conference on Lasers and Electro-Optics Pacific Rim (CLEO-PR),IEEE,2017年08月04日,https://ieeexplore.ieee.org/document/8118842
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/13
G06T 1/00
A61B 5/1172
G01D 5/353
G02B 6/02
G09F 9/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバのアレイを含む指紋センサであって、
前記複数の光ファイバの各々は、第1端部と、前記第1端部と反対側の第2端部とを有し、
前記複数の光ファイバの各々は、入射光を前記第2端部から入射させ、出射光を前記第2端部から出射させるように構成され、
前記複数の光ファイバの各々は、
ファイバコアと、
前記ファイバコア内におけるファイバブラッググレーティングと、
第1端部における反射膜とを含
前記ファイバブラッググレーティングは、前記出射光が第1スペクトル分布を有するように、指の谷部が前記複数の光ファイバのうちの1本または複数本の光ファイバの第1端部に圧力を加えていない時に圧縮されないように構成され、
前記ファイバブラッググレーティングは、さらに、前記出射光が前記第1スペクトル分布とは異なる第2スペクトル分布を有するように、指の隆起部が前記複数の光ファイバのうちの1本または複数本の光ファイバの第1端部に圧力を加えている時に圧縮されるように構成される、
指紋センサ。
【請求項2】
前記ファイバブラッググレーティングは、前記入射光の伝送方向と実質的に反対の方向に入射光の第1部分を反射し、第1反射波長を有する第1反射光を生成し、かつ前記入射光の第2部分を透過光として、前記第1端部に向けて前記ファイバブラッググレーティングを通過させるように構成され、
前記第1端部における反射膜は、前記入射光の伝送方向と実質的に反対の方向に沿って前記透過光を反射し、第2反射光を生成するように構成され、
前記第2端部から出射される前記出射光は、前記第1反射光と前記第2反射光とを含み、前記第1スペクトル分布を有する複合光である、請求項1に記載の指紋センサ。
【請求項3】
指によって前記第1端部に圧力を加えると、前記ファイバブラッググレーティングによって反射される前記第1反射光の波長は、前記第1反射波長から、前記第1反射波長とは異なる第2反射波長にシフトし、
指によって前記第1端部に圧力を加えるときに、前記第2端部から出射される前記複合光のスペクトル分布は、前記第1スペクトル分布から前記第1スペクトル分布とは異なる前記第2スペクトル分布に変化する、請求項2に記載の指紋センサ。
【請求項4】
前記複数の光ファイバにそれぞれ配置された複数の前記ファイバブラッググレーティングは、複数の前記ファイバブラッググレーティングが実質的に圧縮されていないときに、ほぼ均一な公称ピッチを有し、
前記複数の光ファイバの複数の第2端部から出射される光は、複数の前記ファイバブラッググレーティングが実質的に圧縮されていないときに、ほぼ均一なスペクトル分布を有する、請求項1から3のいずれかに記載の指紋センサ。
【請求項5】
前記出射光を検出してスペクトル信号を生成するように構成された画像センサをさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の指紋センサ。
【請求項6】
前記スペクトル信号を基準スペクトル信号と比較し、前記スペクトル信号と前記基準スペクトル信号との間の偏差を生成するように構成された比較器をさらに含む、請求項5に記載の指紋センサ。
【請求項7】
前記複数の光ファイバの各々の第1端部と直接に接触する保護層をさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載の指紋センサ。
【請求項8】
前記反射膜は、異なる屈折率を有する第1サブ層と第2サブ層とを少なくとも含む、請求項1から7のいずれかに記載の指紋センサ。
【請求項9】
前記第1サブ層は酸化ハフニウムを含み、前記第2サブ層は酸化シリコンを含む、請求項8に記載の指紋センサ。
【請求項10】
前記第2端部から前記複数の光ファイバの各々に前記入射光を提供するように構成された光源をさらに含む、請求項1から9のいずれかに記載の指紋センサ。
【請求項11】
光源と、
前記光源からの光をほぼコリメート光にコリメートするように構成された光コリメータと、
前記光コリメータからのコリメート光を前記複数の光ファイバに一方向に伝送するように構成されたサーキュレータと、
前記複数の光ファイバから出射され、前記サーキュレータによって一方向に画像センサに伝送された光を検出して、スペクトル信号を生成するように構成された画像センサとをさらに含む、
請求項1から9のいずれかに記載の指紋センサ。
【請求項12】
光源と、
光源からの光をほぼコリメート光にコリメートするように構成された光コリメータと、
光コリメータからのコリメート光を前記複数の光ファイバに一方向に伝送するように構成されたサーキュレータと、
前記複数の光ファイバから出射され、前記サーキュレータによって一方向に画像センサに伝送された光を検出してスペクトル信号を生成するように構成された画像センサと、
前記スペクトル信号を表示装置のドライバ集積回路に伝送するように構成されたプリント回路とをさらに含む、
請求項1から9のいずれかに記載の指紋センサ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の指紋センサを含む表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の表示装置であって、
カバーガラスと、カバーガラスに取り付けられた表示パネルとをさらに含み、
前記表示装置は、前記カバーガラスにおける開口を有し、前記開口を介して少なくとも前記指紋センサの一部が設置される、表示装置。
【請求項15】
前記複数の光ファイバは、指紋を検出するために前記開口に設置される、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
指紋センサを使用して指紋を検出する方法であって、
前記指紋センサは複数の光ファイバのアレイを含み、
前記複数の光ファイバの各々は、第1端部と、前記第1端部と反対側の第2端部とを有し、
前記複数の光ファイバの各々は、入射光を第2端部から入射させ、出射光を第2端部から出射させるように構成され、
前記複数の光ファイバの各々は、
ファイバコアと、
前記ファイバコア内におけるファイバブラッググレーティングと、
前記第1端部における反射膜とを含み、
前記ファイバブラッググレーティングは、前記出射光が第1スペクトル分布を有するように、指の谷部が前記複数の光ファイバのうちの1本または複数本の光ファイバの第1端部に圧力を加えていない時に圧縮されないように構成され、
前記ファイバブラッググレーティングは、さらに、前記出射光が前記第1スペクトル分布とは異なる第2スペクトル分布を有するように、指の隆起部が前記複数の光ファイバのうちの1本または複数本の光ファイバの第1端部に圧力を加えている時に圧縮されるように構成され、
前記方法は、前記複数の光ファイバの各々の第2端部からの出射光を検出して、スペクトル信号を生成するステップを含む、方法。
【請求項17】
前記出射光のスペクトル分布を基準スペクトル分布と比較するステップと、
前記スペクトル分布と前記基準スペクトル分布との間の偏差を決定するステップとをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記偏差が第1範囲内にあると判定された場合に、前記複数の光ファイバのうちの第1光ファイバから出射される出射光に対応する位置を指紋の隆線位置として判定するステップと、
前記偏差が第1範囲とは異なる第2範囲にあると判定された場合に、前記複数の光ファイバのうちの第2光ファイバから出射される出射光に対応する位置を指紋の谷線位置として判定するステップとをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基準スペクトル分布は、第1端部に実質的に外圧が加えられていないときに、第2端部から出射される出射光のスペクトル分布である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
指紋センサを製造する方法であって、
複数の光ファイバのアレイを形成するステップを含み、
前記複数の光ファイバの各々は、第1端部と、第1端部と反対側の第2端部とを有するように形成され、入射光を第2端部から入射させ、かつ出射光を第2端部から出射させるように構成され、
前記複数の光ファイバを形成するステップは、
前記複数の光ファイバの各々のファイバコアにファイバブラッググレーティングを形成するステップと、
前記複数の光ファイバの各々の第1端部に反射膜を形成するステップとをさらに含
前記ファイバブラッググレーティングは、前記出射光が第1スペクトル分布を有するように、指の谷部が前記複数の光ファイバのうちの1本または複数本の光ファイバの第1端部に圧力を加えていない時に圧縮されないように構成され、
前記ファイバブラッググレーティングは、さらに、前記出射光が前記第1スペクトル分布とは異なる第2スペクトル分布を有するように、指の隆起部が前記複数の光ファイバのうちの1本または複数本の光ファイバの第1端部に圧力を加えている時に圧縮されるように構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサの技術分野に関し、特に、指紋センサ、表示装置、指紋検出方法、及び指紋センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、指紋識別や掌紋識別において、様々な手法が提案されている。指紋や掌紋の識別に用いられる光学的方法としては、例えば、全反射法、光路分離法、スキャン法などが挙げられる。全反射法では、光源からの光(例えば周囲光)が画素に入射し、パッケージ基板の表面で全反射する。指や手のひらが表示パネルに接触すると、該表面の全反射条件が接触に応じて局所的に変化し、全反射が局所的に乱れる。全反射の乱れは、反射の低下を招く。この原理に基づいて、指の隆線と谷線を区別することができる。代替的に、指や手のひらが表示パネルに接触したときの静電容量の変化を検出することで、指紋や掌紋を識別することもできる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本開示は、複数の光ファイバのアレイを含む指紋センサを提供する。前記複数の光ファイバの各々は、第1端部と、第1端部と反対側の第2端部とを有し、かつ、前記複数の光ファイバの各々は、入射光を前記第2端部から入射させ、出射光を前記第2端部から出射させるように構成される。前記複数の光ファイバの各々は、ファイバコアと、前記ファイバコア内におけるファイバブラッググレーティングと、第1端部における反射膜とを含む。
【0004】
任意選択で、前記ファイバブラッググレーティングは、前記入射光の伝送方向と実質的に反対の方向に入射光の第1部分を反射し、第1反射波長を有する第1反射光を生成し、かつ前記入射光の第2部分を透過光として、前記第1端部に向けて前記ファイバブラッググレーティングを通過させるように構成され、前記第1端部における反射膜は、前記入射光の伝送方向と実質的に反対の方向に沿って前記透過光を反射し、第2反射光を生成するように構成され、第2端部から出射される前記出射光は、第1反射光と第2反射光とを含み、第1スペクトル分布を有する複合光である。
【0005】
任意選択で、第1端部に圧力を加えると、ファイバブラッググレーティングによって反射される前記第1反射光の波長は、第1反射波長から、第1反射波長とは異なる第2反射波長にシフトし、第1端部に圧力を加えると、第2端部から出射される前記複合光のスペクトル分布は、第1スペクトル分布から第1スペクトル分布とは異なる第2スペクトル分布に変化する。
【0006】
任意選択で、前記複数の光ファイバ内にそれぞれ配置された前記複数のファイバブラッググレーティングは、前記複数のファイバブラッググレーティングが実質的に圧縮されていないときに、ほぼ均一な公称ピッチを有し、前記複数の光ファイバの複数の第2端部から出射される光は、前記複数のファイバブラッググレーティングが実質的に圧縮されていないときに、ほぼ均一なスペクトル分布を有する。
【0007】
任意選択で、指紋センサは、前記出射光を検出してスペクトル信号を生成するように構成された画像センサをさらに含む。
【0008】
任意選択で、指紋センサは、前記スペクトル信号を基準スペクトル信号と比較して、前記スペクトル信号と基準スペクトル信号との間の偏差を生成するように構成された比較器をさらに含む。
【0009】
任意選択で、指紋センサは、前記複数の光ファイバの各々の第1端部と直接に接触する保護層をさらに含む。
【0010】
任意選択で、反射膜は、異なる屈折率を有する第1サブ層と第2サブ層とを少なくとも含む。
【0011】
任意選択で、第1サブ層は酸化ハフニウムを含み、第2サブ層は酸化ケイ素を含む。
【0012】
任意選択で、指紋センサは、第2端部から前記複数の光ファイバの各々に入射光を提供するように構成された光源をさらに含む。
【0013】
任意選択で、指紋センサは、光源と、光源からの光をほぼコリメート光にコリメートするように構成された光コリメータと、光コリメータからのコリメート光を前記複数の光ファイバに一方向に伝送するように構成されたサーキュレータと、前記複数の光ファイバから出射され、サーキュレータによって一方向に前記画像センサに伝送された光を検出して、スペクトル信号を生成するように構成された画像センサとをさらに含む。
【0014】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の指紋センサを含む表示装置を提供する。
【0015】
任意選択で、指紋センサは、光源と、光源からの光をほぼコリメート光にコリメートするように構成された光コリメータと、光コリメータからのコリメート光を前記複数の光ファイバに一方向に伝送するように構成されたサーキュレータと、前記複数の光ファイバから出射され、サーキュレータによって一方向に前記画像センサに伝送された光を検出してスペクトル信号を生成するように構成された画像センサと、スペクトル信号を表示装置のドライバ集積回路に伝送するように構成されたプリント回路とをさらに含む。
【0016】
任意選択で、表示装置は、カバーガラスと、カバーガラスに取り付けられた表示パネルとをさらに含み、表示装置は、カバーガラスにおける開口を有し、前記開口を介して少なくとも指紋センサの一部が設置される。
【0017】
任意選択で、前記複数の光ファイバーは、指紋を検出するために前記開口に設置される。
【0018】
任意選択で、前記表示装置は携帯電話である。
【0019】
別の態様では、本開示は、複数の光ファイバのアレイを含む指紋センサを使用して指紋を検出する方法を提供する。前記複数の光ファイバの各々は、第1端部と、第1端部と反対側の第2端部とを有し、かつ、前記複数の光ファイバの各々は、入射光を第2端部から入射させ、出射光を第2端部から出射させるように構成される。前記複数の光ファイバの各々は、ファイバコアと、前記ファイバコア内におけるファイバブラッググレーティングと、第1端部における反射膜とを含み、前記方法は、前記複数の光ファイバの各々の第2端部からの出射光を検出して、スペクトル信号を生成するステップを含む。
【0020】
任意選択で、前記出射光を検出する前に、前記方法は、前記複数の光ファイバの各々に入射する入射光を提供するステップと、入射光の伝送方向と実質的に反対の方向に入射光の第1部分を反射し、第1反射波長を有する第1反射光を生成するステップと、前記入射光の第2部分を透過光として、前記第1端部に向けて、前記ファイバブラッググレーティングを通過させるステップと、前記入射光の伝送方向と実質的に反対の方向に前記透過光を反射し、第2反射光を生成するステップと、第1反射光と第2反射光を混合して、第1スペクトル分布を有する出射光を生成するステップとをさらに含む。
【0021】
任意選択で、前記方法は、前記複数の光ファイバのうちの1本以上の第1端部に圧力を加えるステップと、第1端部に圧力を加えるときに、ファイバブラッググレーティングによって反射された前記第1反射光の波長を、第1反射波長から、第1反射波長とは異なる第2反射波長に変更するステップと、前記第1端部に圧力を加えるときに、前記第2端部から出射される前記出射光のスペクトル分布を、第1スペクトル分布から第1スペクトル分布とは異なる第2スペクトル分布に変更するステップをさらに含む。
【0022】
任意選択で、前記圧力は、指の隆起部によって加えられる。
【0023】
任意選択で、前記方法は、前記出射光のスペクトル分布を基準スペクトル分布と比較するステップと、前記スペクトル分布と前記基準スペクトル分布との間の偏差を決定するステップとをさらに含む。
【0024】
任意選択で、前記方法は、前記偏差が第1範囲内にあると判定された場合に、前記複数の光ファイバのうちの第1光ファイバから出射される出射光に対応する位置を指紋の隆線位置として判定するステップと、前記偏差が第1範囲とは異なる第2範囲にあると判定された場合に、前記複数の光ファイバのうちの第2光ファイバから出射される出射光に対応する位置を指紋の谷線位置として判定するステップとをさらに含む。
【0025】
任意選択で、基準スペクトル分布は、第1端部に実質的に外圧が加えられていないときに第2端部から出射される出射光のスペクトル分布である。
【0026】
別の態様では、本開示は、指紋センサを製造する方法を提供し、前記方法は、複数の光ファイバのアレイを形成するステップを含み、前記複数の光ファイバの各々は、第1端部と、第1端部と反対側の第2端部とを有するように形成され、入射光を第2端部から入射させ、かつ出射光を第2端部から出射させるように構成される。前記複数の光ファイバを形成するステップは、前記複数の光ファイバの各々のファイバコアにファイバブラッググレーティングを形成するステップと、前記複数の光ファイバの各々の第1端部に反射膜を形成するステップとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下の図面は、開示された各実施例に基づく例示目的の例であり、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0028】
図1】本開示のいくつかの実施例による指紋センサの断面図である。
【0029】
図2】本開示のいくつかの実施例による指紋センサの三次元図である。
【0030】
図3】本開示のいくつかの実施例による指紋センサの断面図である。
【0031】
図4】本開示のいくつかの実施例による指紋センサ内の光ファイバの非圧縮状態および圧縮状態を示す図である。
【0032】
図5】非圧縮状態及び圧縮状態のそれぞれにおける光ファイバからの出射光のスペクトル分布を示す。
【0033】
図6】本開示のいくつかの実施例による指紋センサの構造を示す概略図である。
【0034】
図7】本開示のいくつかの実施例による指紋センサの概略図である。
【0035】
図8】本開示のいくつかの実施例による表示装置の一部構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、実施例を挙げて本開示をさらに具体的に説明する。以下のいくつかの実施形態に関する説明は、例示および説明を目的としているだけである。これは、網羅的なものではなく、開示された厳密な形態に限定されない。
【0037】
本開示は、特に、従来技術の制限及び欠点による1つ以上の問題を実質的に除去する指紋センサ、表示装置、指紋検出方法及び指紋センサの製造方法を提供する。一態様では、本開示は指紋センサを提供する。いくつかの実施例では、指紋センサは、複数の光ファイバのアレイを含む。前記複数の光ファイバの各々は、第1端部と、第1端部と反対側の第2端部とを有する。前記複数の光ファイバの各々は、入射光を第2端部から入射させ、出射光を第2端部から出射させるように構成される。いくつかの実施例では、前記複数の光ファイバの各々は、ファイバコアと、前記ファイバコア内におけるファイバブラッググレーティングと、第1端部における反射膜とを含む。前記指紋センサは、極めて高感度であり、装置内の静電気の影響を受けない。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ファイバブラッググレーティング」(FBG)という用語は、光ファイバの一区間に構成され、特定の波長の光を反射し、他の波長の光を透過する反射器を指す。ファイバブラッググレーティングは、ファイバコアの屈折率が周期的に変化し、波長特定の誘電体ミラーを生成する光ファイバに関連する。FBGは、反射周波数又は反射波長を有する波長特定の反射器として機能する。FBGが曝される環境が変化すると、屈折率の周期的変化が変化し、それによって反射波長のシフトが生じる。このシフトは、環境又は環境パラメータの変化に関連している可能性がある。環境パラメータの非限定的な例は、温度、圧力、力、張力、加速度及び形状を含む。本明細書で使用される場合、「ファイバコア」という用語は、光ファイバ内の光誘導経路に関する。
【0039】
反射波長のシフトは、式(1)に従って計算され得る。
【0040】
【数1】
【0041】
式中、Δλ は反射波長のシフトを表し、αは光ファイバの材料の熱膨張係数を表し、P11およびP12はそれぞれ、異なる方向における光ファイバの材料のミサイルテンソル成分(missile tensor component)を表し、ξは光ファイバの材料の熱光学係数を表し、Δεは張力の変化を表し、ΔTは温度の変化を表し、νは光ファイバの材料のポアソン比を表し、Λは光ファイバのファイバブラッググレーティングのピッチを表し、neffは入射光に対するファイバコアの屈折率を表す。
【0042】
任意選択で、光ファイバは石英などの熱膨張係数が比較的小さい材料で構成され、温度変化による反射波長のシフトの影響は無視できる。したがって、式(1)は式(2)に簡略化することができる。
【0043】
【数2】
【0044】
図1は、本開示のいくつかの実施例による指紋センサの断面図である。図2は本開示のいくつかの実施例による指紋センサの三次元図である。図1及び図2に示すように、いくつかの実施例では、指紋センサは、複数の光ファイバ10のアレイを含む。複数の光ファイバ10のアレイは、可撓性ベース基板などのベース基板上に設置されてもよい。図1及び図2において、保護層3上には、複数の光ファイバ10のアレイが設置されている。
【0045】
図1に示すように、前記複数の光ファイバ10の各々は、ファイバコア7とファイバコア7の周囲を取り囲むコーティング5とを含む。いくつかの実施例では、前記複数の光ファイバ10の各々は、ファイバコア7内におけるファイバブラッググレーティング6をさらに含む。ファイバコア7内のファイバブラッググレーティング6は、周期的に変調される屈折率を有するため、その上に衝突する複数の波長を有する光信号の屈折率が周期的に強められ、弱められ、それにより、光ファイバの長手方向に沿って周期的な屈折率変調を実現する。ファイバブラッググレーティング6は、所定の周期に対応する特定波長の入射光の一部を反射し、同時に、残りの波長の光信号を、屈折率の周期的な変化を検出することなく透過させる。
【0046】
図1に示すように、いくつかの実施例では、前記複数の光ファイバ10の各々は、第1端部E1と、第1端部E1の反対側の第2端部E2とを有する。前記複数の光ファイバ10の各々は、第1端部E1における反射膜4をさらに含む。このように、前記複数の光ファイバ10の各々は、入射光Iを第2端部E2から入射させ、出射光Eを第2端部E2から出射させるように構成される。図1に示すように、反射膜4は、ファイバコア7の端部においてファイバコア7と直接接触している。任意選択で、反射膜4は、ファイバコア7の端部から一定の間隙を隔てて配置される。
【0047】
図3は本開示のいくつかの実施例による指紋センサの断面図である。図1及び図3に示すように、ユーザの指が指紋センサ上に置かれると、指の指紋は複数の隆線1と複数の谷線2とを有する。複数の谷線2を含む指紋の谷部は指紋センサに接触しない。複数の隆線1を含む指紋の隆起部は、指紋センサと直接接触し、例えば、保護層3と直接接触する。隆起部は、前記複数の光ファイバ10のうちの1つ以上に圧力Fを加える。図3に示すように、谷部に対応する領域では前記複数の光ファイバ10は圧縮されない。前記複数の光ファイバ10の中のファイバブラッググレーティング6は、非圧縮状態でピッチPを有する。前記複数の光ファイバ10は隆起部に対応する領域において圧縮される。前記複数の光ファイバ10におけるファイバブラッググレーティング6は、圧縮状態においてピッチPよりも小さいピッチP’を有する。前記複数の光ファイバ10に加えられる圧力Fが大きいほど、ファイバブラッググレーティング6は多く圧縮され、ピッチP’は小さくなる。
【0048】
図4は本開示のいくつかの実施例による指紋センサ内の光ファイバの非圧縮状態および圧縮状態を示す。図5は、非圧縮状態及び圧縮状態のそれぞれにおける光ファイバからの出射光のスペクトル分布を示す。図4に示すように、前記複数の光ファイバ10の各々は、入射光Iを第2端部E2から入射させ、出射光Eを第2端部E2から出射させるように構成される。図4及び図5に示すように、非圧縮状態において、ファイバブラッググレーティング6は、入射光Iの伝送方向と実質的に反対の方向に入射光Iの第1部分を反射して、第1反射波長を有する第1反射光R1を生成し(図5参照)、入射光Iの第2部分を透過光Tとして、第1端部E1に向けてファイバブラッググレーティング6を通過させるように構成される。透過光Tは、第2端部E2から第1端部E1に向かう方向に、反射膜4に到達するまで、光ファイバを透過し続ける。第1端部E1における反射膜4は、入射光Iの伝送方向と実質的に反対の方向に沿って透過光Tを反射し、第2反射光R2を生成するように構成される図5参照)。出射光Eは、第1反射光R1及び第2反射光R2を含む複合光であり、第1スペクトル分布を有し(図5参照)、第2端部E2から出射する。
【0049】
図4及び図5に示すように、圧縮状態において、ファイバブラッググレーティング6は、入射光Iの第1部分を入射光Iの伝送方向と実質的に反対の方向に反射して、第2反射波長を有する第1反射光R1'を生成し(図5参照)、入射光Iの第2部分を透過光T'としてファイバブラッググレーティング6を第1端部E1に向けて通過させるように構成される。透過光T'は、第2端部E2から第1端部E1に向かう方向に、反射膜4に到達するまで、光ファイバーを透過し続ける。第1端部E1における反射膜4は、入射光Iの伝送方向と実質的に反対の方向に透過光T'を反射して、第2反射光R2'を生成するように構成される図5参照)。出射光E'は、第1反射光R1'及び第2反射光R2'を含む複合光であり、第2スペクトル分布を有し(図5参照)、第2端部E2から出射する。本明細書で使用される場合、「スペクトル分布」という用語は、スペクトル上の光の相対強度と各波長との間の関係を指す。例えば、第1スペクトル分布及び第2スペクトル分布は、異なる波長で最大強度及び最小強度を有し得る。
【0050】
図3に示すように、圧縮状態にある前記複数の光ファイバ10におけるファイバブラッググレーティング6のピッチP’は、非圧縮状態にある前記複数の光ファイバ10におけるファイバブラッググレーティング6のピッチPよりも小さい。その結果、図5に示すように、第1端部E1に圧力Fを加えると、ファイバブラッググレーティング6によって反射される反射光の波長は、第1反射波長から、第1反射波長とは異なる第2反射波長にシフトする。第1端部E1に圧力Fを加えると、第2端部E2から出射される複合光のスペクトル分布は、第1スペクトル分布から、第1スペクトル分布とは異なる第2スペクトル分布に変化する。この出射光のスペクトル分布を検出することにより、指紋の隆起部と谷部を判定し、指紋を識別することができる。
【0051】
図4及び図5に示すように、第2スペクトル分布は第1スペクトル分布と異なる。任意選択で、入射光は白色光である。非圧縮状態において、ファイバブラッググレーティング6は入射光Iの第1部分を反射し、それにより第1反射光R1を生成する。透過光Tは、反射膜4で反射されるまで光路に沿って伝播し続け、それにより第2反射光R2を生成する。第1反射光R1と第2反射光R2を含む複合光は、入射光と異なるスペクトル分布を有する。第2反射光R2は、第1反射光R1に比べて、光路に沿って余分な長さを伝播するので、第1反射光R1と第2反射光R2との間には位相遅延が存在する。
【0052】
圧縮状態では、出射光E’は入射光Iと異なるスペクトル分布を有する。また、ピッチP’は、非圧縮状態におけるピッチPと比べて変化するため、ファイバブラッググレーティング6で反射される第1反射光の波長も、第1反射波長から、第1反射波長とは異なる第2反射波長に変化する。このように、第1反射光R1’は、第1反射光R1の第1反射波長と異なる第2反射波長を有する。この反射波長のシフトと第2反射光R2’の位相遅延により、第2スペクトル分布は第1スペクトル分布と異なるものとなる。
【0053】
いくつかの実施例では、指紋の効率的な検出を容易にするために、前記複数の光ファイバ内にそれぞれ配置された複数のファイバブラッググレーティングは、前記複数のファイバブラッググレーティングが実質的に圧縮されていないとき、ほぼ均一な公称反射波長を有する。本明細書で使用される場合、「公称反射波長」という用語は、各ファイバブラッググレーティングが反射するように設計された光の波長を指し、製造上のばらつきにより、実際の波長が設計波長からわずかにずれる可能性がある。前記複数の光ファイバ内の前記複数のファイバブラッググレーティングにおいてほぼ均一な公称反射波長を得るために、いくつかの実施例では、前記複数の光ファイバ内にそれぞれ配置された前記複数のファイバブラッググレーティングは、前記複数のファイバブラッググレーティングが実質的に圧縮されていないときに、ほぼ均一な公称ピッチを有する。本明細書で使用される場合、「公称ピッチ」という用語は、各ファイバブラッググレーティングが有するように設計されたピッチを指し、製造上のばらつきによって、実際のピッチが設計ピッチからわずかにずれる可能性がある。したがって、前記複数の光ファイバの第2端部から出射される光は、前記複数のファイバブラッググレーティングが実質的に圧縮されていないとき、ほぼ均一なスペクトル分布を有する。
【0054】
図6は、本開示のいくつかの実施例による指紋センサの構造を示す概略図である。図6に示すように、いくつかの実施例では、指紋センサは、前記複数の光ファイバ10の各第2端部から出射される複合光を検出し、複合光に対応するスペクトル信号を生成するように構成された画像センサ20をさらに含む。様々な適切な画像センサは、複合光を検出し、検出された複合光に対応するスペクトル信号を生成するために使用することができ、例えば電荷結合素子(CCD)画像センサと相補型金属酸化物半導体(CMOS)画像センサが挙げられる。
【0055】
任意選択で、増幅器30(例えば、乗算回路またはMU回路)によってスペクトル信号を増幅する。そして、増幅されたスペクトル信号は、アドレスデコーダ40に送られて、アドレス信号をデコードする。続いて、スペクトル信号は、アナログ/デジタル変換器50によってデジタル形式のスペクトル信号に変換される。スペクトル信号は、比較器60に送られ、基準スペクトル信号と比較される。比較器60は、比較結果に基づいて、スペクトル信号と基準スペクトル信号との間の偏差を生成する。任意選択で、前記偏差はスペクトル信号のスペクトル分布と基準スペクトル信号のスペクトル分布との間の偏差である。スペクトル信号と基準スペクトル信号との間の偏差としては、例えば、最大強度を有する波長のシフト、最小強度を有する波長のシフト、スペクトルにおける強度変化の勾配の変化等が挙げられる。
【0056】
任意選択で、基準スペクトル信号は、光ファイバが実質的に圧縮されていないときに、ほぼ均一なファイバブラッググレーティングの公称ピッチを有する光ファイバの出射光から得られる信号である。任意選択で、基準スペクトル信号は、光ファイバが圧縮状態(例えば基準圧力で圧縮された圧縮状態)にあるときに、ほぼ均一なブラッググレーティングの公称ピッチを有する光ファイバの出射光から得られる信号である。
【0057】
いくつかの実施例では、図1に示すように、指紋センサは、前記複数の光ファイバ10の各々の第1端部E1を覆う保護層3をさらに含む。任意選択で、保護層は、前記複数の光ファイバ10の各々の第1端部E1と直接接触する。任意選択で、保護層は、前記複数の光ファイバ10の各々の反射膜4と直接接触する。
【0058】
保護層3の形成には、各種の適切な材料を用いることができる。任意選択で、保護層3は、例えばエラストマーなどの可撓性保護層である。保護層3を形成する適切な可撓性材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、シリコーンポリマー、ポリシロキサン、ゴム、ポリウレタン、ポリウレタンポリイミド、ポリエポキシド等を用いることができる。
【0059】
反射膜4の形成には、各種の適切な材料や製造方法を用いることができる。反射膜4を形成する適切な反射材料としては、例えば、銀、白金、金、銅、アルミニウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等の高い反射率を有する金属及びこれらの合金や積層体を用いることができる。
【0060】
いくつかの実施例では、反射膜4は、複数のサブ層を含む。任意選択で、反射膜4は、屈折率の異なる第1サブ層と第2サブ層とを少なくとも有する。例えば、反射膜4は、高屈折率の第1サブ層と低屈折率の第2サブ層とを少なくとも有するブラッグ反射器である。任意選択で、ブラッグ反射器は、交互に配置された複数の高屈折率サブ層と複数の低屈折率サブ層を含む。任意選択で、第1サブ層は金属酸化物を含み、第2サブ層は酸化ケイ素を含む。任意選択で、第1サブ層は酸化ハフニウムを含み、第2サブ層は酸化ケイ素を含む。
【0061】
いくつかの実施例では、指紋センサは、第2端部E2から前記複数の光ファイバ10の各々に入射光Iを提供するように構成された光源をさらに含む。任意選択で、入射光Iは白色光であり、光源は白色光源である。
【0062】
一般的に、成人の指紋における複数の隆線1(または複数の谷線2)は、約0.3mmから0.5mmの範囲内のピッチを有し、例えばピッチは約0.3mmである。任意選択で、前記複数の光ファイバ10の各々の直径(コーティング5を含む場合)は、約5μmから約200μmの範囲内、例えば、約5μmから約175μmの範囲内、約5μmから約150μmの範囲内、約5μmから約125μmの範囲内、約5μmから約100μmの範囲内、約5μmから約75μmの範囲内、約5μmから約50μmの範囲内、約5μmから約25μm、および約5μmから約20μmの範囲内である。任意選択で、前記複数の光ファイバ10の各々の直径(コーティング5を含む場合)は、約25μmから約75μmの範囲内、例えば約50μmである。任意選択で、前記複数の光ファイバ10のアレイは、約5μmから約200μmの範囲内のピッチを有し、例えばピッチは約5μmから約175μm、約5μmから約150μm、約5μmから約125μmの範囲内、約5μmから約100μmの範囲内、約5μmから約75μmの範囲内、約5μmから約50μmの範囲内、約5μmから約25μmの範囲内、および約5μmから約20μmの範囲内である。任意選択で、前記複数の光ファイバ10のアレイは、約25μmから約75μm、例えば約50μmのピッチを有する。
【0063】
別の態様では、本開示は、本明細書で説明される指紋センサを有する表示装置を提供する。適切な表示装置の例は、電子ペーパー、携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ、モニター、ノート型コンピュータ、デジタルアルバム、GPSなどを含むが、これらに限定されない。一例では、表示装置は携帯電話である。任意選択で、指紋センサは、携帯電話などの表示装置の指紋スキャナーとして搭載される。任意選択で、指紋スキャナーはインディスプレイスキャナーである。
【0064】
任意選択で、前記比較器は前記表示装置の集積回路に集積される。
【0065】
図7は本開示のいくつかの実施例による指紋センサの一部構造の概略図である。図8は、本開示のいくつかの実施例による表示装置の一部構造の概略図である。図7及び図8に示すように、いくつかの実施例では、表示装置は、表示装置の一部を構成する指紋センサ100を含む。表示装置は、光学透明接着剤93によってカバーガラス91に取り付けられた表示パネル92を有する表示モジュール9を備える。図8に示すように、表示装置はカバーガラス91における開口Oを有し、この開口Oを介して指紋センサ100の少なくとも一部が設置される。具体的には、前記複数の光ファイバ10は、指紋を検出するために、開口Oに設置される。指紋センサ100は、光(例えば、赤外光)を放射するための光源12をさらに含む。具体的には、いくつかの実施例では、光源12は、1300nmから1500nmの範囲の波長を有する赤外光を放射するように構成される。光源12から放射された光は光コリメータ13を通過し、該光コリメータ13は光源12から放射された光を略平行光にコリメートするように構成される。そして、コリメート光は、サーキュレータ14によって前記複数の光ファイバ10に伝送される。開口O内に位置する前記複数の光ファイバ10は、サーキュレータ14からの入射光が前記複数の光ファイバ10の各々の第2端部E2に入射するように配置される。
【0066】
各種適切なサーキュレータが、前記指紋センサに使用することができる。適切なサーキュレータの例としては、マイクロストリップ型サーキュレータ、ストリップライン型サーキュレータ、導波路サーキュレータ、および集中サーキュレータが挙げられる。任意選択で、サーキュレータ14は、マイクロストリップ型サーキュレータである。任意選択で、サーキュレータ14は、フェライト材料からなる。一定の磁場が印加されると、サーキュレータ14における光は一方向の環状の光路に沿って伝送される。図7に示すように、光コリメータ13からのコリメート光は、サーキュレータ14内の一方向の光路を通って点Aから点Bに伝送され、サーキュレータ14から前記複数の光ファイバ10に出射される。
【0067】
各種適切な光コリメータが、前記指紋センサにおいて使用することができる。光コリメータとしては、例えば、曲面ミラーや光学レンズが挙げられる。一例では、図7に示すように、光コリメータ13は、光拡散器と凸レンズとの組立体を含む。光拡散器は、光源12からの光を拡散するように構成され、例えば、凸レンズの焦点面に配置された磨りガラスが挙げられる。磨りガラスからの拡散光は、凸レンズによってほぼコリメート光に集光されてサーキュレータ14に出射される。
【0068】
図7及び図8に示すように、いくつかの実施例では、指紋センサ100は、サーキュレータ14からのコリメート光のビームの直径を拡張するように構成されたビームエキスパンダ11をさらに含む。一例では、ビームエキスパンダ11は、2つの凸レンズを含む。2つの凸レンズのうち第1凸レンズの直径は第2凸レンズの直径よりも小さく、かつ第1凸レンズと第2凸レンズの焦点面はほぼ重なる。サーキュレータ14からのコリメート光はビームエキスパンダ11によって拡大され、ビームエキスパンダ11から出射される。拡大されたコリメート光ビームは、前記複数の光ファイバ10の全領域を十分にカバーする。
【0069】
ビームエキスパンダ11からのコリメート光は、前記複数の光ファイバ10の各々の第2端部E2に入射し、前記複数の光ファイバ10の各々の反射膜で反射される。反射光は、前記複数の光ファイバ10の各々の第2端部E2から出射され、ビームエキスパンダ11に入射する。ビームエキスパンダ11は、前記複数の光ファイバ10からの光ビームのサイズを縮小するように機能する。そして、光ビームは、点Bでサーキュレータ14に戻り、そして、点Cに一方向に伝送され、画像センサ20に入射する。画像センサ20は、出射光を検出してスペクトル信号を生成するように構成される。任意選択で、画像センサ20は、時分割で出射光を検出し、前記複数の光ファイバの各々に対応するスペクトル信号を生成するように構成される。
【0070】
画像センサ20によって生成されたスペクトル信号は、フレキシブルプリント回路15を通じてドライバ集積回路に伝送される。スペクトル信号を基準スペクトル信号と比較して、スペクトル信号と基準スペクトル信号との間の偏差を生成し、それによって指紋情報を得る。
【0071】
図1図2図7及び図8に示すように、いくつかの実施例では、指紋センサ100は、前記複数の光ファイバの各々の第1端部E1を覆う保護層3をさらに含む。任意選択で、図7及び図8に示すように、指紋センサ100は、第2端部E2において複数の光ファイバを支持するためのベース層8をさらに含む。任意選択で、ベース層8は、酸化シリコンからなる。ベース層8は、前記複数の光ファイバ10に入らないように、不要な光をフィルタリングするように構成される。
【0072】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の指紋センサを使用して指紋を検出する方法を提供する。いくつかの実施例では、前記方法は、前記複数の光ファイバの各々の第2端部からの出射光を検出して、スペクトル信号を生成するステップを含む。いくつかの実施例では、出射光を検出する前に、前記方法は、前記複数の光ファイバの各々に入射する入射光を提供するステップと、入射光の伝送方向と実質的に反対の方向に前記入射光の第1部分を反射して、第1反射波長を有する第1反射光を生成するステップと、前記入射光の第2部分を透過光として、前記第1端部に向けて、前記ファイバブラッググレーティングを通過させるステップと、前記入射光の伝送方向と実質的に反対の方向に前記透過光を反射し、第2反射光を生成するステップと、第1反射光と第2反射光を混合して、第1スペクトル分布を有する出射光を生成するステップと、を含む。
【0073】
いくつかの実施例では、前記方法は、前記複数の光ファイバのうちの1本以上の第1端部に圧力を加えるステップをさらに含む。一例では、ユーザの指によって圧力を加え、例えば、指の隆起部によって圧力を加えるステップを実行する。指紋の複数の隆線は、前記複数の光ファイバのうちの1本以上の第1端部と直接接触し、前記指紋の複数の谷線は、前記複数の光ファイバに接触しない。任意選択で、前記方法は、第1端部に圧力を加えるときに、ファイバブラッググレーティングによって反射された反射光の波長を、第1反射波長から、第1反射波長とは異なる第2反射波長に変更するステップと、前記第1端部に圧力を加えるときに、前記第2端部から出射される出射光のスペクトル分布を、第1スペクトル分布から第1スペクトル分布とは異なる第2スペクトル分布に変更するステップを含む。
【0074】
いくつかの実施例では、前記方法は、出射光のスペクトル分布を基準スペクトル分布と比較するステップと、前記スペクトル分布と前記基準スペクトル分布との間の偏差を決定ステップとをさらに含む。スペクトル信号と基準スペクトル信号との間の偏差としては、例えば、最大強度を有する波長のシフト、最小強度を有する波長のシフト、スペクトルにおける強度変化の勾配の変化等が挙げられる。
【0075】
いくつかの実施例では、前記方法は、前記偏差が第1範囲内にあると判定された場合、前記複数の光ファイバのうちの第1光ファイバから出射される出射光に対応する位置を指紋の隆線位置として判定するステップをさらに含む。任意選択で、前記方法は、前記偏差が第1範囲とは異なる第2範囲にあると判定された場合に、前記複数の光ファイバのうちの第2光ファイバから出射される出射光に対応する位置を指紋の谷線位置として判定するステップをさらに含む。任意選択で、基準スペクトル分布は、第1端部に実質的に外圧が加えられていないときに第2端部から出射される出射光のスペクトル分布である。

【0076】
このプロセスは、前記複数の光ファイバに対して(同時にまたは時分割方式で)繰り返されることができ、それによって、指紋の一部または全部に対応する複数の隆線位置(および任意選択で、複数の谷線位置)を判定することができる。指紋の隆起部(及び任意選択で、谷部)を判定して、それによって指紋を識別することができる。
【0077】
別の態様では、本開示は、指紋センサを製造する方法を提供する。いくつかの実施例では、前記方法は前記複数の光ファイバのアレイを形成するステップを含み、前記複数の光ファイバの各々は、第1端部と、第1端部と反対側の第2端部とを有するように形成され、入射光を第2端部から入射させ、かつ出射光を第2端部から出射させるように構成される。任意選択で、前記複数の光ファイバを形成するステップは、前記複数の光ファイバの各々のファイバコアにファイバブラッググレーティングを形成するステップと、前記複数の光ファイバの各々の第1端部に反射膜を形成するステップとを含む。任意選択で、前記複数の光ファイバのアレイを形成するステップは、前記複数の光ファイバをバンドルに組み立てるステップを含む。任意選択で、アレイ内の前記複数の光ファイバは、前記複数の光ファイバ内の光路が互いに略平行になるように、互いに対して位置合わせされる。任意選択で、アレイ内の前記複数の光ファイバは、約5μmから約200μmの範囲内のピッチ有するように組み立てられ、例えば、ピッチは約5μmから約175μmの範囲内、約5μmから約150μmの範囲内、約5μmから約125μmの範囲内、約5μmから約100μmの範囲内、約5μmから約75μmの範囲内、約5μmから約50μmの範囲内、約5μmから約25μmの範囲内、および約5μmから約20μmの範囲内である。任意選択で、アレイ内の前記複数の光ファイバは、約25μmから約75μmの範囲内のピッチを有するように組み立てられ、例えばピッチは約50μmである。
【0078】
任意選択で、前記複数の光ファイバは、前記複数の光ファイバ内の複数のファイバブラッググレーティングが、前記複数のファイバブラッググレーティングが実質的に圧縮されていないときに、ほぼ均一な公称ピッチと、同じ入射光に対するほぼ均一な反射波長を有するように形成される。任意選択で、前記複数の光ファイバは、前記複数の光ファイバの複数の第2端部から出射される光が、前記複数のファイバブラッググレーティングが実質的に圧縮されていないときに、ほぼ均一なスペクトル分布を有するように形成される。
【0079】
任意選択で、前記複数の光ファイバは、入射光の伝送方向と実質的に反対の方向に沿って入射光の第1部分を反射し、第1反射波長を有する第1反射光を生成し、かつ前記入射光の第2部分を透過光として、第1端部に向けてファイバブラッググレーティングを通過させるファイバブラッググレーティングを構成するように形成される。任意選択で、反射膜は第1端部に形成され、入射光の伝送方向と実質的に反対方向に沿って前記透過光を反射して、第2反射光を生成する。任意選択で、前記出射光は、第1反射光と第2反射光を含む複合光であり、第1スペクトル分布を有し、第2端部から出射する。
【0080】
任意選択で、前記複数の光ファイバは、第1端部に圧力が加えられると、ファイバブラッググレーティングによって反射される反射光の波長が、第1反射波長から、第1反射波長とは異なる第2反射波長にシフトするように形成される。任意選択で、第1端部に圧力が加えられると、第2端部から出射される前記複合光のスペクトル分布は、第1スペクトル分布から、第1スペクトル分布とは異なる第2スペクトル分布に変化する。
【0081】
任意選択で、前記方法は、前記出射光を検出し、スペクトル信号を生成するように構成された画像センサを形成するステップをさらに含む。任意選択で、前記方法は、前記スペクトル信号を基準スペクトル信号と比較して、前記スペクトル信号と基準スペクトル信号との間の偏差を生成するように構成された比較器を形成するステップをさらに含む。
【0082】
任意選択で、前記方法は、前記複数の光ファイバの各々の第1端部と直接に接触する保護層を形成するステップをさらに含む。
【0083】
任意選択で、前記反射膜を形成するステップは、少なくとも異なる屈折率を有する第1サブ層と第2サブ層を形成するステップを含む。任意選択で、第1サブ層は酸化ハフニウムからなり、第2サブ層は酸化シリコンからなる。
【0084】
任意選択で、前記方法は、第2端部から前記複数の光ファイバの各々に入射光を提供するように構成された光源を形成するステップをさらに含む。
【0085】
以上、本開示の実施例について、例示及び説明の目的で説明した。それは網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態または例示的な実施例に限定することを意図していない。したがって、上記の説明は、限定ではなく例示と見なされるべきである。多くの修正及び変形は当業者にとって明らかであろう。これらの実施形態は、本発明の原理及びその最良の形態の実際の適用を説明するために選択及び記載され、これにより、当業者は、本発明が特定の用途又は企図される実施形態の様々な実施例及び様々な変形に適用することを理解することができる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等な形式によって特定されるべきであり、ここで、別段の定めがない限り、全ての用語は、その最も広い合理的な意味で解釈される。したがって、「発明」、「本発明」等の用語は、特許請求の範囲を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の例示的な実施例への言及は、本発明を限定することを意味しなく、そのような限定を推論すべきではない。本発明は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定される。さらに、これらの請求項は、名詞または要素が続く「第1」、「第2」などの用語の使用に関連する可能性があり、これらの用語は、特定の数が与えられていない限り、そのような用語によって修飾される要素の数を限定することを意図するのではなく、1種の命名方式として理解されるべきである。記載された利点および利益は、本発明のすべての実施例に必ずしも適用するとは限らない。当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に変更を加えることができることを理解されたい。さらに、本開示の要素または構成要素が、添付の特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公に供することを意図していない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8