IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノルデイシェル・マシーネンバウ・ルド・バアデル・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニ・カーゲーの特許一覧 ▶ ジョン・ビーン・テクノロジーズ・コーポレーションの特許一覧

特許7265569食品加工産業の製品の製品固有データを取得および分析するための装置、ならびにその装置を備えたシステムおよび食品加工産業の製品処理方法
<>
  • 特許-食品加工産業の製品の製品固有データを取得および分析するための装置、ならびにその装置を備えたシステムおよび食品加工産業の製品処理方法 図1
  • 特許-食品加工産業の製品の製品固有データを取得および分析するための装置、ならびにその装置を備えたシステムおよび食品加工産業の製品処理方法 図2
  • 特許-食品加工産業の製品の製品固有データを取得および分析するための装置、ならびにその装置を備えたシステムおよび食品加工産業の製品処理方法 図3
  • 特許-食品加工産業の製品の製品固有データを取得および分析するための装置、ならびにその装置を備えたシステムおよび食品加工産業の製品処理方法 図4
  • 特許-食品加工産業の製品の製品固有データを取得および分析するための装置、ならびにその装置を備えたシステムおよび食品加工産業の製品処理方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】食品加工産業の製品の製品固有データを取得および分析するための装置、ならびにその装置を備えたシステムおよび食品加工産業の製品処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/12 20060101AFI20230419BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20230419BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20230419BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
G01N33/12
G01N23/04
G01N23/18
G01N21/27 A
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021021834
(22)【出願日】2021-02-15
(62)【分割の表示】P 2019526365の分割
【原出願日】2017-07-25
(65)【公開番号】P2021092582
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】62/368,941
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/394,208
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16207287.0
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591042838
【氏名又は名称】ノルデイシェル・マシーネンバウ・ルド・バアデル・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニ・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】NORDISCHER MASCHINENBAU RUD.BAADER GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG+COMPAGNIE KOMMANDITGESELLSCHAFT
(73)【特許権者】
【識別番号】519032723
【氏名又は名称】ジョン・ビーン・テクノロジーズ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフェンス,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ブレイン,ジョージ・アール
(72)【発明者】
【氏名】ホッカー,ジョン・エイ
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0307013(US,A1)
【文献】特開2006-208098(JP,A)
【文献】特開2012-078303(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0067797(US,A1)
【文献】特表2010-505397(JP,A)
【文献】特開2004-045072(JP,A)
【文献】国際公開第2015/198062(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/063380(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/12,
G01N 23/04,23/18,
G01N 21/27,
A22B 5/00,
A22C 17/00,25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品加工産業の製品(12)を処理するように設計および構成されたシステム(29)であって、
該システム(29)は、装置(10)と、処理ステーション(30)と、制御ユニットとを備え、
前記装置(10)は、
個別の製品(12)を搬送方向Tに受入端から送出端まで搬送するための、第1のコンベア(11)と、
前記第1のコンベア(11)で搬送される製品(12)の不適切な部分の切断除去および/またはポーショニングのための切断経路を規定するための第1のデータセットであるX線製品固有データを生成するX線ユニット(13)と、
前記第1のコンベア(11)で搬送される製品(12)の不適切な部分の切断除去および/またはポーショニングのための切断経路を規定するための第2のデータセットである第1の光学製品固有データを生成する少なくとも1つの第1の光学カメラ(17,20)とを備え、
前記制御ユニットが、前記第1のデータセット(X線製品固有データ)と前記第2のデータセット(第1の光学製品固有データ)とを取得および分析してそれらの統合データである第3のデータセットを生成するように設計および構成されており、
前記処理ステーション(30)は、前記製品(12)の搬送方向Tにおいて前記装置(10)の下流に配置されており、該処理ステーション(30)が、
前記製品(12)を搬送方向Tに受入端から送出端まで搬送するための第2のコンベア(31)と、
前記処理ステーション(30)の前記第2のコンベア(31)で搬送される前記製品(12)のための第4のデータセットである第2の光学製品固有データを取得可能である少なくとも1つの第2の光学カメラ(32)と、
前記製品(12)の不適切な部分を切断および除去するように設計および構成された切断ユニット(33)とを備え、
前記制御ユニットが、
前記第2の光学カメラ(32)で取得した前記第4のデータセット(第2の光学製品固有データ)を受信および分析するように設計および構成され、かつ
前記第1のデータセット(X線製品固有データ)と前記第2のデータセット(第1の光学製品固有データ)とから生成された前記第3のデータセットと前記第4のデータセット(第2の光学製品固有データ)とを比較して前記切断ユニット(33)を制御する
ことを特徴とするシステム(29)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の光学カメラ(17,20)は画像重ね合わせ用のカメラであることを特徴とする、請求項1に記載のシステム(29)。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記第1の光学製品固有データと、前記第2の光学カメラ(32)による第2の光学製品固有データとを比較するように構成されており、これにより、前記製品(12)の識別、および前記第1、第2のコンベア(11,31)上の各々の製品(12)の相対位置のマッチングが前記第1、第2の光学製品固有データのみに基づいて行われる、ことを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム(29)。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記第3のデータセットと、前記処理ステーション(30)の前記第2の光学カメラ(32)による第2の光学製品固有データと、を重ね合わせるように構成されており、これにより、前記制御ユニットによって、各々の製品(12)のために、個々に決定された切断経路に基づいて、前記切断ユニット(33)を制御可能である、ことを特徴とする、請求項1または2または3に記載のシステム(29)。
【請求項5】
前記切断ユニット(33)は、少なくとも1つのノズル(50)を有するウォータジェットユニット(49)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のシステム(29)。
【請求項6】
前記装置(10)の第1の光学カメラ(17)と前記処理ステーション(30)の第2の光学カメラ(32)は、同じ撮像法で撮影することを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のシステム(29)。
【請求項7】
前記制御ユニットは、少なくとも1つのメモリ(44)と、少なくとも1つの入力装置(45)と、少なくとも1つの出力装置(46)と、を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のシステム(29)。
【請求項8】
食品加工産業の製品(12)を処理する方法であって、
第1のコンベア(11)を用いて、前記製品(12)を搬送方向Tに受入端から送出端まで搬送するステップと、
X線ユニット(13)によって、前記第1のコンベア(11)上の各々の製品(12)に関する第1のデータセットであるX線製品固有データを取得するステップであって、制御ユニットにより受信されて、不適切な部分の切断除去および/またはポーショニングのための切断経路を規定するために前記制御ユニットにより分析される第1のデータセット(X線製品固有データ)を取得するステップと、
前記第1のコンベア(11)上で、前記X線ユニット(13)で取得される前記第1のデータセット(X線製品固有データ)に加えて、各々の製品(12)に関する第2のデータセットである第1の光学製品固有データを前記第1のコンベア(11)に割り付けられた少なくとも1つの第1の光学カメラ(17,20)で取得するステップであって、前記制御ユニットにより受信されて、不適切な部分の切断除去および/またはポーショニングのための切断経路を規定するために前記制御ユニットにより分析される前記第2のデータセット(第1の光学製品固有データ)を取得するステップと、
前記製品を前記第1のコンベア(11)から、該第1のコンベア(11)の下流側にあるとともに、前記製品(12)を搬送方向Tに受入端から送出端まで搬送する第2のコンベア(31)に送り渡すステップと、
第2の光学カメラ(32)によって、前記第2のコンベア(31)上の各々の製品(12)に関する第4のデータセットである第2の光学製品固有データを取得するステップと、
前記制御ユニットによって、前記第1、第2のコンベア(11,31)上の各々の製品(12)の相対的な製品位置を計算するために、受信および分析された前記第1のデータセット(X線製品固有データ)と前記第2のデータセット(第1の光学製品固有データ)とからそれらの統合データである第3のデータセットを生成し、次いでこの第3のデータセットと前記第4のデータセット(第2の光学製品固有データ)とをマッチングおよび分析するステップと、
前記制御ユニットにより制御される切断ユニット(33)によって、前記マッチングおよび分析に基づいて決定された切断経路に沿って、前記製品を切断するステップと、を含む、方法。
【請求項9】
前記第3のデータセットがマッチングおよび分析のために前記制御ユニットに転送され、前記製品(12)を識別する、ことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のデータセット(X線製品固有データと前記第2のデータセット(第1の光学製品固有データと前記第4のデータセット(第2の光学製品固有データとの分析によって決定された切断経路によって切断除去される前記不適切な部分の位置を、ベクトルデータまたは画素データで示す、ことを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記製品を識別するために、前記第2のコンベア(31)に割り付けられた前記第2の光学カメラ(32)で取得されたすべての第2の光学製品固有データを、前記第1のコンベア(11)に割り付けられた前記少なくとも1つの第1の光学カメラ(17,20)による第1の光学製品固有データであって前記制御ユニットのメモリ(44)に保存されている第1の光学製品固有データと比較し、そして最もマッチする光学製品固有データを選択する、ことを特徴とする、請求項8~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
当該方法は、請求項1~7のいずれかに記載のシステム(29)を用いて実施することを特徴とする、請求項8~11のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品加工産業の製品の製品固有データを取得および分析するように設計および構成された装置に関するものであり、その装置は、個別の製品を搬送方向Tに受入端から送出端まで搬送するための、搬送面に隙間がないコンベアと、製品固有データを取得するための、少なくとも1つのX線源および少なくとも1つのX線カメラまたは少なくとも1つのX線検出器を含むX線ユニットであって、X線源とX線カメラとの間に沿って製品を誘導可能であるように、X線源とX線カメラはコンベアに割り付けられている、X線ユニットと、X線ユニットに接続された制御ユニットであって、X線ユニットで取得された第1のデータセットをなす製品固有データを受信および分析するように設計および構成された制御ユニットと、を有する。
【0002】
本発明は、さらに、食品加工産業の製品を処理するように設計および構成されたシステムに関し、そのシステムは、それらの製品の製品固有データを取得および分析するように設計および構成された装置と、製品の搬送方向Tにおいて装置の下流に配置された処理ステーションと、を備え、処理ステーションは、それらの製品を搬送方向Tに受入端から送出端まで搬送するためのコンベアと、処理ステーションのコンベアで搬送される製品の製品固有データを取得可能である少なくとも1つの光学カメラであって、この光学カメラで取得した製品固有データを受信および分析するように設計および構成された制御ユニットに接続された光学カメラと、それらの製品の不適切な部分を切断および除去するように、さらに/またはそれらの製品をポーショニングするように設計および構成された切断ユニットであって、前に取得された製品固有データに基づいて切断ユニットを制御するための制御ユニットに接続された切断ユニットと、を有する。
【0003】
本発明は、さらに、食品加工産業の製品を処理する方法に関し、その方法は、第1のコンベアを用いて、それらの製品を搬送方向Tに受入端から送出端まで搬送するステップと、X線ユニットによって、第1のコンベア上の各々の製品に関する製品固有データを取得するステップであって、制御ユニットにより受信されて、不適切な部分の切断除去および/またはポーショニングのための切断経路を規定するために制御ユニットにより分析される第1のデータセットをなす製品固有データを取得するステップと、それらの製品を第1のコンベアから下流コンベアに送り渡すステップであって、それらの製品を搬送方向Tに受入端から送出端まで搬送する下流コンベアに送り渡すステップと、光学カメラによって、下流コンベア上の各々の製品に関する製品固有データを取得するステップであって、制御ユニットにより受信されて、各々の製品を識別するために制御ユニットにより分析される第4のデータセットをなす製品固有データを取得するステップと、制御ユニットによって、2つのコンベア上の各々の製品の相対的な製品位置を計算するために、受信したデータセットをマッチングおよび分析するステップと、制御ユニットにより制御される切断ユニットによって、それらの製品を、前に決定されて個々の製品に割り当てられた切断経路に沿って切断するステップと、を含む。
【背景技術】
【0004】
このような装置は、特に食品加工産業において使用される。多くの製品にとって、例えば、分類、包装、特に不適切な部分の切断除去、および/またはポーショニングなど、下流ステーションでのさらなる処理のために、製品固有データを取得することが重要である。製品固有のデータおよび情報を取得することは、特に、外側輪郭、トポグラフィ、外形寸法の長さおよび幅、重量、厚さを取得すること、ならびに、例えば、血斑、骨、骨の取り残し、骨部位などの形態の欠陥、および製品におけるそれらの位置、さらに組織構造な
どを取得すること、を含み得る。その取得は、検出、推定、走査、取り込みなどによって行うことができる。製品固有データを取得するための専用に設定された、従来知られている一般的なタイプの装置では、製品固有データを取得するためにX線ユニットが使用される。X線ユニットは、第1のデータセットを、例えば(CPUとも呼ばれる)画像処理コンピュータである制御ユニットに供給する。このデータセットから、それらの製品を切断により処理する例の場合には、制御ユニットを用いて、個々の製品の例えば切断経路を、切断すべき例えば骨部位ついて生成する。さらに、X線ユニットで特定されて制御ユニットに転送されるデータセットを用いて、例えば、処理対象の製品の外側輪郭を特定することができる。その外側輪郭および切断経路から、例えば、下流ステーションに転送するためのデータセットを生成する。すなわち、制御ユニットは、製品の外側輪郭および切断経路の位置に関する情報を伝えるメッセージとして、例えばX線画像を提供する。
【0005】
X線ユニットを使用する場合に、最適な画像品質を実現するには、可能な限り平滑でテクスチャおよび隙間がなく、X線透過性であるコンベアが必要である。特に、そのコンベアは、搬送面が閉じて隙間なく設計される。これは、受入端から送出端までの搬送中に製品固有データを取得および分析するための装置のコンベア上の製品の連続的かつ全面での支持を確保するために、特に、コンベアの搬送面において搬送方向Tを横切る方向に、製品処理用として一般的ではない装置において例えば刃および特に切断用ウォータジェットなどの切断手段を収容するために構成される隙間を省くことを意味する。特に分析は、計算、変換なども含む。
【0006】
装置によって提供されるX線画像のさらなる処理、および特に他の光学系である例えば下流の処理ステーションの光学カメラによるデータセットとのマッチングは、これらの撮像法が異なるため、複雑で不正確である。周知の装置におけるその他の問題は、製品における例えば骨、骨の取り残し、筋などの硬組織を越えた向こうの例えば血斑、脂肪斑、寄生虫などの不適切な部分の検出、ならびに外形、輪郭などの検出は、X線ユニットによると実現できないか、または不正確にしか実現できないことである。すなわち、X線ユニットを備えた既存の装置の使用分野、およびそのX線画像のデータ内容は、限られている。
【0007】
この問題は、上記のタイプの装置が使用される食品加工産業のシステムおよび方法に特に当てはまる。冒頭で述べたタイプのシステムおよび方法を用いて処理される例えば家禽の切り身または特に魚の切り身などの製品では、内部の骨、魚骨、骨部位などのような個々の部分を製品から切り出す。さらに、血斑、脂肪斑などのような他の欠陥も除去することができる。製品から不適切な部分を切り離すまたは切り出すことに加えて、製品の処理は、さらに製品のポーショニングも含む。特に骨などのような固形組織成分である欠陥を検出するために、それらの欠陥を製品内で識別するために用いるX線ユニットが設けられる。そのX線ユニットを機能させるためには、前述のように、最適な画像品質を実現するために、可能な限り平滑でテクスチャがないコンベアベルトを使用するコンベアを提供する必要がある。製品を処理するために、すなわち、特にウォータジェットユニットによる切断のために、ウォータジェットユニットによる応力に耐えるテクスチャ付き金属メッシュベルトはコンベアとして有用であるが、X線ユニットに対しては適していない。コンベアに対する要求が多様であるため、周知の一般的なシステムは、個々の要求に合わせて調整された少なくとも2つのコンベア、すなわち、その装置用の第1のコンベアと、処理ステーション用の他のコンベアと、を備える。これは、周知のシステムが、第1のコンベアから下流コンベアへの少なくとも1回の製品の移行を伴うことを意味する。この移行の結果として、コンベア上の製品の姿勢/位置に変化、変位、ひずみなどが生じることがあり、特に製品の圧縮および伸張が生じることもある。このような問題にもかかわらず、処理ステーションのコンベアへの移行後に、それらの製品の処理すなわち特に製品の切断が個々に正確に実施できるように、それらの製品がコンベア上でのそれらの相対位置に関して識別およびマッチングされることが保証されなければならない。すなわち、第1のコンベ
ア上の製品に関して決定された切断経路は、必要に応じて、第2のコンベア上の同じ製品に合わせて調整されなければならず、または切断ユニットは、必要に応じて、製品の変化した位置/姿勢に合わせて調整されなければならず、ひいては切断経路も調整されなければならない。
【0008】
この目的のため、周知のシステムおよび方法では、一方で、コンベア上で搬送中の製品の追跡が必要であり、これにより、製品を識別可能であるか、または制御ユニットで受信したデータセットを割り当て可能である。他方で、X線ユニットで生成されたデータセットを、処理ステーションの光学カメラで生成されたデータセットとマッチングさせなければならない。周知のシステムおよび方法では、例えば、X線カメラ、またはX線ユニットの検出器は、その画像データを画像ストリップとして制御ユニットに送信する。X線の照射中に、各々の製品は、X線源とX線カメラとの間のコンベア上を運ばれる。制御ユニットでは、受信した画像ストリップにおいて、製品がないかどうか調べる。画像ストリップ内に製品または製品片が存在するときには、それらの画像ストリップをまとめて編成することにより、製品全体の完全なX線画像を生成する。編成されたX線画像の製品領域において、骨または他の硬組織がないかどうか調べる。制御ユニットのメモリ内に、推定された骨を表すラインの座標を用いてデータ構造を構築する。そのラインデータに基づいて骨部位を推定し、さらにこれにより、切断経路を計算する。この切断経路も、同じくラインセグメントで構成されて、X線画像およびコンベア上の位置に対する座標で保存される。同じX線画像において、制御ユニットにより、さらに製品の外側輪郭を特定し、これも同じくラインセグメントの形式で保存される。その外側輪郭と、その切断経路または各々の切断経路から、メッセージすなわち第1のデータセットを転送画像として生成する。この第1のデータセットは、同じくシステムの制御ユニットであり得る下流の処理ステーションの制御ユニットに転送される。
【0009】
第1のコンベアから処理ステーションの下流コンベアに製品を移行させた後に、光学カメラによって製品固有データを取得する。取得したデータは、第4のデータセットを構成する。処理ステーションが製品を識別および記録したら直ちに、制御ユニットによって、前に受信して未だ処理していないすべての第1のデータセットを探索する。最適にマッチした第1のデータセットを選択する。第4のデータセットと第1のデータセットとをマッチングおよび分析することで、それらの製品を識別するとともに、2つのコンベア上の各々の製品の相対的な製品位置を計算する。これらのデータセットの番号付けに、論理的意味または実質的意味はなく、単に、そのデータセットのデータ源を示す目的のものにすぎない。
【0010】
周知のシステムおよび方法は、識別ならびにデータセットのマッチングおよび評価を、異なる撮像法によるものに基づいて、すなわち、一方で装置によるX線画像(第1のデータセット)と、他方で処理ステーションによる光学画像(第4のデータセット)とに基づいて行うという欠点がある。つまり、マッチングは、処理ステーションの光学カメラによる光学画像と、装置のX線カメラによるX線画像と、を比較することにより行われる。一方で、このマッチングプロセスは、異なる撮像法によるものであることから、極めて複雑である。他方で、このマッチングは、必要な精度を欠いている。すなわち、この従来のマッチングは、所望の必要な精度を欠いている。さらなる欠点は、X線ユニットでは、切除すべき不適切な部分のすべての識別はできないか、または不十分にしか識別できないことである。すなわち、X線ユニットによって、骨、骨部位、およびその他の硬組織を越えた向こうの欠陥を識別することは難しい。その他の欠点は、システムを通して搬送中に製品を追跡しなければならないことであり、これは、一方でコストがかかり、他方で不正確な結果につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
よって、本発明の目的は、より高度かつより正確なデータ内容のデータセットを生成することができる単純な装置を提供することである。その目的は、さらに、製品を処理するための改良されたシステムを提供することにあり、これにより、より容易かつより正確な、識別、ならびに受信したデータセットのマッチングおよび評価、を可能とする。その目的は、さらに、対応する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、冒頭で述べた特徴を有する装置によって達成され、この装置では、その受入端と送出端との間の同じコンベアに対して、少なくとも1つの光学カメラが割り付けられており、X線ユニットに加えて、この少なくとも1つの光学カメラにより、コンベア上を搬送される製品の製品固有データを取得することができ、光学カメラは、この光学カメラで取得された第2のデータセットをなす製品固有データを受信および分析するように設計および構成された制御ユニットに接続されている。本発明によるこの実施形態によれば、この装置は、可能性のあるさらなる処理のために、より正確なデータ、特に、より意味のあるデータを供給することができる。一方でX線ユニット、他方で少なくとも1つの光学カメラを設けることによって、より多くのデータ、特により正確でもあるデータを生成することが可能であり、そのデータは、個々の個別のデータセットの形で、または個々のデータセットを相互に連結して構成されたデータセットの形で、処理することができる。本発明による装置によれば、より正確かつより高精度な画像レジストレーションが可能であり、これにより、特に、製品内に偏在する圧縮/伸張も、より良好に反映される。
【0013】
好ましくは、コンベアの上方に少なくとも1つの光学カメラが配置される。これは、このカメラが反射された光線を捉えることができるように、例えば、製品に照射する光線が上方からある角度でコンベアに当たるか、またはコンベア上にある製品に当たることを意味する。簡単に言えば、「上方」という用語は、カメラおよび好ましくは少なくとも1つの光源が上方から製品に対して斜めまたは垂直に向けられていることを意味する。特に効果的なのは、光学カメラにより製品の平面視が確保されるように、光学カメラがコンベアの垂直方向上方に配置される構成である。当然のことながら、コンベアの下方に配置することも可能である。
【0014】
この装置の好ましい発展形態は、そのコンベアに、異なる撮像法を備える少なくとも2つの光学カメラを割り付けていることを特徴とする。この実施形態の特に効果的な態様は、画像レジストレーションのために製品の完全な画像(写真)である例えば外側輪郭を(製品固有データとして)取得するための、例えばグレースケールカメラのような例えば簡易な光学カメラ、ならびに血斑、脂肪斑などのような不適切な部分を(製品固有データとして)取得するための例えばマルチスペクトルカメラのような特殊カメラ、を使用できることである。
【0015】
効果的には、この場合の適切な少なくとも1つの光学カメラは、マルチスペクトルカメラまたはハイパースペクトルカメラである。このようなカメラを使用することで、取得される製品固有データの品質を最適化するために、X線ユニットで検出可能な製品固有データに加えて、特にX線ユニットでは検出不可能であるかまたは不十分にしか検出できないさらなる不適切な部分を取得することが可能となる。
【0016】
好ましくは、この場合の適切な少なくとも1つの光学カメラは、グレースケールカメラおよび/またはRGBカメラおよび/またはIRカメラおよび/またはUVカメラとして構成される。この好ましい実施形態により、取得される製品固有データの帯域幅が大幅に改善されるとともに、下流ステーションでの光学カメラによる光学画像との可能性のあるマッチングが単純化される。
【0017】
そのコンベアは、好ましくは、プラスチック製で搬送面が低テクスチャの周回駆動されるX線用コンベアベルトであり、上側走行路としての送りベルトと下側走行路としての戻りベルトとを有する。製品は搬送面に載置される。この搬送面は、一方で、非常に平滑であり、すなわち、X線画像が干渉なく取得されるように、特に割れ目、開口などがないように構成されている。この搬送面は、他方で、コンベア上の製品の滑り/ずれを防ぐために、ミリメートル程度のわずかな表面粗さを呈する。よって、搬送面は低テクスチャであるように構成される。前述のように、コンベアは、搬送面内に隙間がない搬送面を有する。これは、搬送面上の製品が、常にどの位置でも、その全面で支持されることを意味する。すなわち、コンベアは、その送りベルトの搬送面によって、製品のための連続的な支持面を形成している。これにより、最適化されたX線画像を確保する。
【0018】
好ましい発展形態は、コンベアが、このコンベアの動作データを受信および分析するように設計および構成された制御ユニットに接続されていることを特徴とする。コンベアが制御ユニットに接続されていることで、個々の製品の割り当てが単純化される。すなわち、請求項に係るソリューションによって、X線ユニットおよび各々の光学カメラで取得された製品固有データを製品に対して割り当てることが、改善されて、より正確に可能にとなる。X線カメラと光学カメラは同じコンベアの上方に配置されることで、互いに非常に接近しているので、画像データすなわちデータセットは、マッチングを伴うことなく直接、コンベアの速度に依存する時間差に基づいて重ね合わせることができる。
【0019】
好ましい実施形態では、X線源は送りベルトの上方に配置され、X線カメラは送りベルトと戻りベルトとの間に配置される。これにより、特に明瞭で意味のあるX線画像が取得可能となることで、例えば、製品内の骨、骨部位などの向きおよび位置などの製品固有データの検出または取得が改善される。
【0020】
本発明の特に好ましい発展形態は、X線ユニットおよび各々の光学カメラならびにコンベアが、それらのデータセットを受信および分析するための制御ユニットに接続されていることを特徴とし、その制御ユニットは、少なくとも1つのプロセッサを備え、その少なくとも1つのプロセッサは、第3のデータセットをなす光学転送画像を生成するために、X線ユニットで取得された製品の製品固有データの少なくとも部分を、その同じ製品に関する光学カメラによる光学画像に統合する/組み込むように構成されている。X線ユニットおよび各々の光学カメラで生成された画像または画像データは、データセットとして、制御ユニットで受信されて、分析される。特に効果的には、(X線ユニットによる結果である)第1のデータセットを、(光学カメラによる結果である)第2のデータセットに統合する/組み込むことで、第3のデータセットを形成する。この第3のデータセットは、光学転送画像である。特に好ましくは、(X線ユニットで取得された製品固有データ=第1のデータセットとしての)骨、骨部位、およびその他の硬組織部位の向き/位置/範囲を、例えば製品の全体または外側輪郭を示す光学画像(=第2のデータセット)に重ね合わせることで、その結果としての光学画像(=第3のデータセット)すなわち転送画像を生成する。第3のデータセットとしてのこの光学画像は、よって、製品の例えば外側輪郭などの形状/形態に関するデータ、ならびに切除すべき例えば骨部位などの欠陥に関するデータ、を供給する。この実施形態により、可能性のある製品固有データのさらなる処理は簡単化および単純化される。この装置のX線ユニットと光学カメラまたは各々の光学カメラが、1つの同じコンベアに割り付けられていることによって、画像のマッチング、すなわちX線画像と光学カメラによる画像とのマッチングを、省くことが可能である。つまり、特に、コンベアの動作データに基づいて、個々の製品の位置を特定できれば、製品への製品固有データの割り当ては容易かつ正確に確保される。オプションとして、追加の光学カメラで、欠陥に関するデータを供給することもでき、それを制御ユニットで取得および分析することができる。
【0021】
特に好ましくは、この発展形態は、プロセッサを有する制御ユニットが、光学カメラで取得された製品固有データおよびX線ユニットで取得された製品固有データから、切断経路を規定するように構成されていることを特徴とし、X線ユニットで取得された製品の製品固有データからの切断経路を、その同じ製品に関する光学カメラによる光学画像に直接重ね合わせて、これにより、制御ユニットは、さらなる処理のために、光学カメラによる光学画像すなわち転送画像を供給する。X線ユニットに加えて1つのみの光学カメラを設けている場合には、X線ユニットは制御ユニットを介して、例えば切断経路のみを供給することができ、一方、光学カメラは制御ユニットを介して、製品の全体または外側輪郭と、さらに必要に応じてX線画像からの切断経路の品質を補償する追加の切断経路と、を供給することができる。次に、これらのデータ(切断経路および製品写真および/または外側輪郭)を互いに合成して、これにより、共通の第3のデータセットを、すなわち光学画像に基づくデータセットを生成することができる。X線ユニットに加えて2つの光学カメラを設けている場合には、X線ユニットは制御ユニットを介して、例えば切断経路のみを供給することができ、一方、第1の光学カメラは制御ユニットを介して、製品写真および/または外側輪郭を供給し、そして第2の光学カメラは制御ユニットを介して、切断経路を供給する。
【0022】
本発明による装置は、独立したソリューションとして用いることができる。しかしながら、好ましくは、この装置は下流の処理ステーションに結合される。これは、上記の装置から得られた知識、データ、情報などを、処理ステーションにおけるさらなる処理のために使用できることを意味する。このさらなる処理は、分類、包装、特に不適切な部分の除去および/またはポーショニングを目的とした切断、を含み得る。
【0023】
よって、本目的は、さらに、冒頭で述べた特徴を有するシステムによって達成され、このシステムでは、それらの製品の製品固有データを取得および分析するように設計および構成された装置は、本願の請求項の1つに従って構成される。その結果として得られる効果については、装置に関して既に説明したので、繰り返しを避けるために、関連部分を参照する。特に効果的であるのは、それらの製品を識別ならびにマッチングおよび分析するために、光学カメラからの光学画像を互いに重ね合わせることができることである。すなわち、マッチングは、同じ撮像法または少なくとも類似の撮像法を用いた光学画像の間で行われ、これにより、マッチングプロセスは単純化されて、その品質は向上する。
【0024】
よって、特に好ましい発展形態は、このシステムのすべての制御ユニットが互いに作用的に接続されていることを特徴とし、少なくとも1つの制御ユニットはプロセッサを有し、そのプロセッサは、一方でその装置の光学カメラによる光学画像と、他方で処理ステーションの光学カメラによる光学画像と、を重ね合わせるように構成されており、これにより、それらの製品の識別、および一方で装置と他方で処理ステーションの2つのコンベア上の各々の製品の相対位置のマッチングは、光学カメラの光学画像のみに基づいて行われる。
【0025】
特に効果的な発展形態では、装置および処理ステーションは、プロセッサを有する制御ユニットに接続されており、そのプロセッサは、この装置のX線ユニットで取得された製品固有データによって強化された、装置の光学カメラによる光学画像で構成された光学転送画像と、処理ステーションの光学カメラによる光学画像と、を重ね合わせるように構成されており、これにより、制御ユニットによって、各々の製品のために、個々に決定された切断経路に基づいて、切断ユニットを制御可能である。つまり、第3のデータセットと第4のデータセットとをマッチングに用いる。
【0026】
好ましくは、切断ユニットは、少なくとも1つのノズルを有するウォータジェットユニ
ットを含む。この実施形態によれば、不適切な部分を切除するため、および/またはポーショニングのために、特に迅速かつ正確に個々の分離切断およびトリミング切断を実施することができる。
【0027】
特に好ましくは、一方で装置内の、他方で処理ステーション内の、それぞれ少なくとも1つの光学カメラは、同じ撮像法を備える。これにより、マッチングは、さらに単純化される。
【0028】
効果的には、少なくとも1つの制御ユニットは、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置と、を有する。
【0029】
本目的は、さらに、冒頭で述べた方法ステップを有する方法によって達成され、この方法では、第1のコンベア上で、X線ユニットで取得される製品固有データに加えて、各々の製品に関する製品固有データを光学カメラで取得し、第1のコンベアに割り付けられた光学カメラで取得される第2のデータセットをなすデータは、制御ユニットにより受信および分析されて、それらの製品の識別、およびそれらのデータセットのマッチングおよび分析は、光学カメラで生成された2つのデータセットすなわち第2のデータセットと第4のデータセットに基づいて行われる。その結果として得られる効果については、システムに関して既に説明したので、繰り返しを避けるために、関連部分を参照する。
【0030】
本方法は、さらに、第3のデータセットとしての光学転送画像がマッチングおよび分析のために制御ユニットに転送されるように、X線ユニットで生成された切断経路を含む第1のデータセットを、第2のデータセットに、すなわち第1のコンベアに割り付けられた光学カメラで生成された光学画像に、統合する/組み込むことを特徴とし、それらの製品の識別、およびそれらのデータセットのマッチングおよび分析は、第3のデータセットと第4のデータセットに基づいて行われる。
【0031】
好ましくは、X線ユニットで生成された不適切な部分の位置を、ベクトルデータ、画素データなどとして、第1のコンベアに割り付けられた光学カメラによる光学画像に統合し/組み込み、第1のコンベアに割り付けられた光学カメラによる光学画像と、第2のコンベアに割り付けられた光学カメラによる光学画像に基づいて、マッチングおよび分析を行う。任意選択的に、この装置の他の光学カメラで生成された不適切な部分を、ベクトルデータ、画素データなどとして、マッチングに使用される光学画像に統合する/組み込むこともできる。
【0032】
効果的には、それらの製品を識別するために、下流のコンベアに割り付けられた光学カメラで取得されたすべての光学画像を、第1のコンベアに割り付けられた光学カメラによる光学画像であって制御ユニットのメモリに保存されている光学画像と比較し、そして最もマッチする画像を選択する。
【0033】
特に好ましくは、本方法は、本願の請求項の1つによるシステムを用いて実施する。
【0034】
さらなる適切かつ/または効果的な特徴およびさらなる改良ならびに好ましい方法ステップは、従属請求項および本説明から明らかとなる。装置およびシステムならびに方法の特に好ましい実施形態について、添付の図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、X線ユニットおよび光学カメラを備えた、本発明による装置の第1の実施形態の概略図である。
図2図2は、X線ユニットおよび2つの光学カメラを備えた、本発明による装置のさらなる実施形態の概略図である。
図3図3は、本発明によるシステムの第1の実施形態の概略図である。
図4図4は、本発明によるシステムのさらなる実施形態の概略図である。
図5図5は、本発明によるシステムのさらなる実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面に示す装置は、魚の切り身の製品固有データを取得および分析するように構成されている。従って、図示のシステムは、魚の切り身を加工すなわち切断するように構成されている。しかしながら、同様にして、本装置および本システムは、食肉、家禽など、食品加工産業のその他の製品の製品固有データを取得および分析するとともに、その製品を処理するように構成される。
【0037】
図1は、製品固有データを取得および分析するように設計および構成された装置10を示しており、この装置10は、個別の製品12を搬送方向Tに受入端Eから送出端Aまで搬送するための、搬送面に隙間がないコンベア11と、製品固有データを取得するための、少なくとも1つのX線源14および少なくとも1つのX線カメラ15または少なくとも1つのX線検出器を含むX線ユニット13と、を有し、X線源14とX線カメラ15との間に沿って製品12を誘導可能であるように、X線源14とX線カメラ15はコンベア11に割り付けられている。さらに、この装置10は、X線ユニット13に接続された制御ユニット16を有し、この制御ユニット16は、X線ユニット13で取得された第1のデータセットをなす製品固有データを受信および分析するように設計および構成されている。従って、X線ユニット13は、制御ユニット16に情報/データを供給する。
【0038】
制御ユニット16により、X線ユニット13で取得された骨、骨部位の向き/位置などの製品固有データまたはそのデータ部分を分析して、データセットとして供給する。X線ユニット13と制御ユニット16との間の接続は、様々な方法で実現することができ、すなわち、例えば有線/ケーブルで、または例えば無線インタフェースもしくはBluetooth(登録商標)インタフェースなどによる無線で、実現することができる。
【0039】
本発明によれば、この装置10は、その受入端Eと送出端Aとの間の同じコンベア11に対して、少なくとも1つの光学カメラ17が割り付けられており、X線ユニット13に加えて、この少なくとも1つの光学カメラ17により、コンベア11上を搬送される製品12の製品固有データを取得することができ、この光学カメラ17は、光学カメラ17で取得された第2のデータセットをなす製品固有データを受信および分析するように設計および構成された制御ユニット18に接続されている、ことを特徴とする。
【0040】
例えば製品の外側輪郭、長さ、幅、厚さ、プロファイル、重量、体積などのような製品のサイズおよび形状だけではなく、例えば血斑、脂肪斑などの欠陥のような、光学カメラ17で取得された製品固有データまたはそのデータ部分を、制御ユニット18により分析して、第2のデータセットとして供給する。光学カメラ17と制御ユニット18との間の接続は、様々な方法で実現することができ、すなわち、例えば有線/ケーブルで、または例えば無線インタフェースもしくはBluetoothインタフェースなどによる無線で、実現することができる。
【0041】
以下で記載する特徴および改良ならびに方法ステップは、個々に単独で、または互いに組み合わせて捉えることで、好ましい実施形態を構成する。明確に指摘されるのは、請求項および/または明細書および/または図面に記載された特徴および方法ステップ、あるいは共通の実施形態に記載された特徴および方法ステップは、機能的に独立に、上記の装置ならびに以下で記載するシステムおよび方法をさらに発展せることも可能であるということである。
【0042】
光学カメラ17は、製品12の搬送方向Tに、X線ユニット13の上流に配置することができ、または図1に示すように、X線ユニット13の下流に配置することができる。X線ユニット13と光学カメラ17は、それぞれ、別々の制御ユニット16、18に接続することができる。例えば図2による他の実施形態では、X線ユニット13と光学カメラ17を共通の制御ユニット19に接続することもできる。
【0043】
コンベア11に対するX線ユニット13および/または光学カメラ17の位置は様々であり得る。X線ユニット13および/または光学カメラ17をコンベア11の下方に配置することに加えて、コンベア11の上方に配置することが好ましい。図1には、そのような実施形態を例として示しており、この場合、コンベア11の上方に、X線ユニット13だけではなく、光学カメラ17も配置している。この文脈での「上方」とは、X線源14および光学カメラ17の光源が製品12に上方から当たることを意味する。これは、製品12の平面視を確保するために、上方から斜めの角度で、さらに好ましくは上方から垂直に、当てることができる。
【0044】
好ましい実施形態では、図2に示すように、少なくとも2つの光学カメラ17、20がコンベア11に割り付けられる。これらの2つの光学カメラ17、20は、同じ撮像法を備え得る。しかしながら、好ましくは、これらの2つの光学カメラ17、20は、異なる撮像法を備える。本発明における意味の範囲内での光学カメラは、グレースケールカメラ/センサ、RGBカメラ/センサ、および赤外線もしくは紫外線カメラ/センサであり得る。各々の光学カメラは、例えば、エリアカメラまたはラインカメラとして構成することができる。グレースケールカメラまたはセンサでは、光能動素子である例えばフォトダイオード、フォトトランジスタによって、可視域の電磁波をセンサでの電気信号に変換する。RGBカメラまたはセンサでは、入射光波を画素の手前でプレフィルタリングすることにより、光を、位置に応じて赤/緑/青チャネルに分割する。赤外線もしくは紫外線カメラまたはセンサでは、光能動素子の選択によって、可視光と比較して長い波長(IR)または短い波長(UV)の範囲に感度をシフトさせる。
【0045】
光学カメラ17、20の少なくとも1つは、マルチスペクトルカメラまたはハイパースペクトルカメラである。光学カメラ17、20の少なくとも1つは、グレースケールカメラおよび/またはRGBカメラおよび/またはIRカメラおよび/またはUVカメラとして構成される。図2による実施形態では、一方の光学カメラである例えば光学カメラ17は、簡易カメラであり、すなわち、例えばグレースケールカメラである。この光学カメラ17によって、例えば外側輪郭を製品固有データとして取得して、制御ユニット19に転送することができる。他方の光学カメラ20は、複雑なカメラ、すなわち、例えばハイパースペクトルカメラであり得る。この光学カメラ20によって、不適切な部分である例えば血斑、骨(取り残し)、軟骨、脂肪などの形態の欠陥、さらには例えばガラス、プラスチックなどの異物も、製品固有データとして取得して、制御ユニット19に転送することができる。カメラ/センサの台数およびそれらのコンベア11に沿った位置は様々であり得る。
【0046】
装置10のコンベア11は、コンベアベルトを支持するためのフレーム21を備える。コンベアベルトは、好ましくは、プラスチック製で搬送面TFが低テクスチャの周回駆動
されるX線用コンベアベルト22であり、上側走行路としての送りベルト23と下側走行路としての戻りベルト24とを有する。その上向きの搬送面TFを有するX線用コンベア
ベルト22には、開口、割れ目、隙間などがない。すなわち、搬送面TFは、その長さと
幅の全体にわたって閉じたものとして構成されている。好ましくはエンドレスに構成されるX線用コンベアベルト22は、ゴム、プラスチック、または他の合成材料で構成されて、X線透過性であり、少なくとも2つの変向要素25、26の周りに案内されて、そのう
ちの1つの変向要素25または26は駆動ローラとして構成されており、他方の変向要素26または25は変向ローラとして構成されている。特に、駆動手段で駆動可能な駆動ローラの領域に、オプションとしてエンコーダ27を設けることができ、これにより、コンベア11の長さに沿ったX線用コンベアベルト22の位置、ひいてはコンベア11上の製品12の位置を、特定または監視することができる。製品12のほうに向いたX線用コンベアベルト22の搬送面TFは、低テクスチャであるように構成される。これは、閉じた
搬送面TFがわずかな粗さを有することを意味する。しかしながら、完全に平滑な搬送面
を用いることもできる。
【0047】
図示の実施形態では、X線源14は、コンベア11の上方かつ送りベルト23の上方に配置されている。X線カメラ15は、送りベルト23と戻りベルト24との間に配置されている。任意選択的に、X線カメラ15を、戻りベルト24の下方に配置することもできる。送りベルト23または戻りベルト24に対してX線源14およびX線カメラ15を他の配置とすることも可能である。
【0048】
任意選択的に、コンベア11は、コンベア11の動作データを受信および分析するように設計および構成された制御ユニット19に接続される。図2による実施形態では、コンベア11またはエンコーダ27は、X線ユニット13および光学カメラ17、20も接続されている共通の制御ユニット19に接続されている。しかしながら、他の制御ユニット16、18に作用的に接続されている別個の制御ユニットに接続することも可能である。
【0049】
1つの制御ユニットまたは各々の制御ユニット16、18、19は、少なくとも1つのプロセッサ(CPU)28を有する。好ましくは、X線ユニット13および各々の光学カメラ17、20ならびにコンベア11は、それらのデータセットを受信および分析するための共通の制御ユニットまたは上位の制御ユニット19に接続されて、その場合、制御ユニット19は、第3のデータセットをなす光学転送画像を生成するために、X線ユニット13で取得された製品の製品固有データの少なくとも部分を、その同じ製品に関する光学カメラ17、20による光学画像に統合する/組み込むように構成された少なくとも1つのプロセッサ(CPU)28を備える。この好ましい実施形態を図2に示している。他の実施形態では、X線ユニット13および/または個々の光学カメラ17、20および/またはコンベア11のみを、共通の制御ユニット19に接続することができる。制御ユニット19は、そして必要に応じて他のいずれかの制御ユニット16、18も、少なくとも1つのプロセッサ28に加えて、オプションとして、メモリ、入力装置、出力装置、およびインタフェースを有する。さらに、装置10は、制御ユニット19を介して、内部でネットワーク化できるネットワーク(イントラネット)または外部にネットワーク化できるネットワーク(インタネット)に接続することが可能である。また、X線ユニット13、光学カメラ17、20、およびコンベア11を、上位の制御ユニットと連携する別々の制御ユニット16、18に接続することもできる。
【0050】
すべての制御ユニット16、18、19、特に制御ユニット19は、すなわち産業用コントローラ、コンピュータなどであって、前述のように、X線ユニット13および各々の光学カメラ17、20からデータセットを取得するように設計および構成された少なくとも1つのプロセッサ28(CPU)を有する。好ましくは、X線ユニット13で取得された製品固有データの選択されたものである例えば魚の切り身のピンボーン列の向き(例えば、第1のデータセット)を、プロセッサ28によって、製品12の外側輪郭を示す光学カメラ17、20による光学画像(例えば、第2のデータセット)に組み込む/統合する。すなわち、X線ユニット13からの利用できる製品固有データを、光学カメラ17、20による光学画像に重ね合わせる。その結果として得られる転送画像(例えば、第3のデータセット)は、最終的には、X線ユニット13および各々の光学カメラ17、20から得られた、後続の処理のために必要なすべてのデータを含むデータパケットであり、その
転送画像は光学画像である。
【0051】
特に好ましくは、プロセッサ28を有する制御ユニット19は、光学カメラ17、20で取得された製品固有データおよびX線ユニット13で取得された製品固有データから、切断経路を規定するように構成されており、その場合、X線ユニット13で取得された製品12の製品固有データからの切断経路を、その同じ製品12に関する光学カメラ17、20による光学画像に直接重ね合わせて、これにより、制御ユニット19は、さらなる処理のために、光学カメラ17、20による光学画像すなわち転送画像を供給する。さらなる処理のための別個のデータセットを供給することもでき、それらのデータセットを下流の処理ステーションの制御ユニットにより処理することができる。
【0052】
単なる例として、2通りの可能な実施形態について、図1および2に基づいて、さらに詳細に説明する。図1による装置10では、例えば、光学カメラ17および接続された制御ユニット18によって、製品12の外側輪郭(例えば、第2のデータセット)を生成または表現することができ、一方、X線ユニット13および接続された制御ユニット16によって、製品12から切除すべき領域に対する切断経路(例えば、第1のデータセット)を生成または表現することができる。第1のデータセットを第2のデータセットに重ね合わせることによって、すなわち何らかのマッチングを伴うことなく、第3のデータセットを光学画像として生成または表現する。この重ね合わせは、例えば、コンベア11の搬送速度の関数としての、X線画像の生成と光学画像の生成との間の時間差のみに基づいて、行うことができる。
【0053】
図2による装置10では、例えばグレースケールカメラである光学カメラ17および接続された制御ユニット19によって、例えば、製品12の外側輪郭を生成または表現することができる。例えばハイパースペクトルカメラである光学カメラ20および接続された制御ユニット19によって、簡易な光学カメラ17またはX線ユニット13のいずれかでは確実かつ正確に識別されない血斑、変色、切れ端などのような欠陥であって、製品12から切除すべき欠陥に対する、切断経路を生成または表現することができる。これらのデータセットから、制御ユニット19は、第3のデータとしての転送画像を形成する。この転送画像は、グレースケールカメラによる光学画像および/またはハイパースペクトルカメラによる光学画像に基づいて生成することができ、これにより、切断経路に加えて、特に製品12の外側輪郭を生成または表現することもできる。その転送画像は、任意選択的にX線ユニットが提供するデータセットによって強化されて、その後、下流の光学カメラによる光学画像との可能性のあるマッチングに使用可能となり得る。しかしながら、X線ユニットが提供するデータセットを、そのカメラまたは各々のカメラが提供するデータセットとは別に独立に、さらなる処理のために供給することもできる。
【0054】
前述のように、装置10は、製品固有データを取得および分析するための別個の移動式装置として使用することができる。しかしながら、好ましくは、装置10は、食品加工産業の製品12を処理するためのシステム29の一部である(特に図3を参照)。製品12の処理は、分類および包装に加えて、特に切断も含み、この切断は、一方で製品12の不適切な部分の切除、および/または他方で製品12の分割/ポーショニング、を含む。
【0055】
システム29は、それらの製品12の製品固有データを取得および分析するように設計および構成された装置10と、製品12の搬送方向Tにおいて装置10の下流に配置された処理ステーション30と、を備え、処理ステーション30は、それらの製品12を搬送方向Tに受入端Eから送出端Aまで搬送するためのコンベア31と、処理ステーション30のコンベア31で搬送される製品12の製品固有データを取得可能である少なくとも1つの光学カメラ32と、切断ユニット33と、を有する。光学カメラ32は、この光学カメラ32で取得した製品固有データを受信および分析するように設計および構成された制
御ユニット34に接続されている。切断ユニット33は、それらの製品12の不適切な部分を切断および除去するように、さらに/またはそれらの製品12をポーショニングするように設計および構成されており、この切断ユニット33は、前に取得および分析された製品固有データに基づいて切断ユニット33を制御するための制御ユニット34に接続されている。
【0056】
このシステム29は、本発明によれば、それらの製品12の製品固有データを取得および分析するように設計および構成された装置10が、上述のように、または上述のような実施形態の1つで、構成されていることを特徴とする。
【0057】
図3は、システム29の第1の実施形態を示している。装置10は、コンベア11に加えて、X線ユニット13および光学カメラ17を有する。X線ユニット13および光学カメラ17は、この実施形態では、制御ユニット34に接続されている。任意選択的に、コンベア11を制御ユニット34に接続することもできる(例えば図4を参照)。システム29内のすべてのケーブル/信号接続は、様々な方法で実現することができ、すなわち、例えば有線/ケーブルで、または例えば無線インタフェースもしくはBluetoothインタフェースなどによる無線で、実現することができる。処理ステーション30は、コンベア31に加えて、光学カメラ32および切断ユニット33を有する。処理ステーション30は、さらに、オプションとして、コンベア31から製品12またはその部分を取り出すための取出ステーション35を有する。光学カメラ32、切断ユニット33、および取出ステーション35は、この例示的な実施形態では、制御ユニット34に接続されている。任意選択的に、コンベア31を、制御ユニット34に接続することもできる(例えば図4を参照)。また、すべての構成要素を、上位の制御ユニットに作用的に接続された別々の制御ユニットに接続することもできる。さらに、装置10の個々の構成要素またはすべての構成要素を、処理ステーション30の制御ユニットに作用的に接続されている制御ユニットにリンクさせることも可能である。
【0058】
処理ステーション30のコンベア31は、コンベアベルトを支持するためのフレーム36を備える。コンベアベルトは、好ましくは、開構造またはメッシュ状構造の周回駆動されるコンベアベルト37である。このコンベアベルト37は、好ましくは、ステンレス鋼または他の強固かつ非錆性の材料で構成される。コンベアベルト37は、上側走行路としての送りベルト区間38と下側走行路としての戻りベルト区間39とを有する。その上向きの搬送面TFを有するコンベアベルト37は、開口、割れ目、隙間などを含む。すなわ
ち、搬送面TFは、好ましくは、その長さと幅の全体にわたって特に水に対して透過性で
あるように構成されている。好ましくはエンドレスに構成されるコンベアベルト37は、少なくとも2つの変向要素40、41の周りに案内されて、そのうちの1つの変向要素40または41は駆動ローラとして構成されており、他方の変向要素41または40は変向ローラとして構成されている。特に、駆動手段で駆動可能な駆動ローラの領域に、オプションとしてエンコーダ42を設けることができ、これにより、コンベア31の長さに沿ったコンベアベルト37の位置、ひいてはコンベア31上の製品12の位置を、特定または監視することができる。
【0059】
図4によるシステム29は、図3によるシステム29に類似しているので、同等の構成要素に対して同じ参照番号を用いている。図3によるシステム29に追加して、図4によるシステム29は、同様に制御ユニット34に接続された第2の光学カメラ20を、装置10のために備える。さらに、前述のようなコンベア11、31は、制御ユニット34に接続されている。
【0060】
好ましくは、1つの実施形態もしくは各々の実施形態において、システム29の制御ユニットのすべては、互いに作用的に接続されているか、または共通の制御ユニット34を
形成している。この制御ユニット34は、少なくとも1つのプロセッサ43を有し、この少なくとも1つのプロセッサ43は、一方で装置10の光学カメラ17、20による光学画像と、他方で処理ステーション30の光学カメラ32による光学画像と、を重ね合わせるように構成されており、これにより、それらの製品12の識別、および一方で装置10と他方で処理ステーション30の2つのコンベア11、31上の各々の製品12の相対位置のマッチングは、光学カメラ17、20、32の光学画像のみに基づいて行われる。制御ユニット34は、少なくとも1つのプロセッサ43に加えて、オプションとして、メモリ44、入力装置45、出力装置46、およびインタフェース47を有する。さらに、システム29は、制御ユニット34を介して、内部でネットワーク化できるネットワーク48(イントラネット)または外部にネットワーク化できるネットワーク48(インタネット)に接続することが可能である。従って、制御ユニット34およびプロセッサ43により、一方で装置10の光学画像と他方で処理ステーション30の光学画像の画像データを、識別のために比較することができるとともに、2つのコンベア11、31上の各々の製品12の相対位置を特定するために、それらの画像データをマッチングおよび分析することが可能である。制御ユニット34によって、さらに、プロセッサ43の構成により、それらの画像データ間の変換を実施することができる。
【0061】
好ましい実施形態では、装置10および処理ステーション30は、プロセッサ43を有する制御ユニット34に接続されており、そのプロセッサ43は、装置10のX線ユニット13で取得された製品固有データによって強化された、装置10の光学カメラ17および/または20による少なくとも1つの光学画像で構成された光学転送画像と、処理ステーション30の光学カメラ32による光学画像と、を重ね合わせるように構成されており、これにより、制御ユニット34によって、各々の製品12のために、個々に決定された切断経路に基づいて、切断ユニット33を制御可能である。
【0062】
好ましい実施形態では、切断ユニット33は、少なくとも1つのノズル50を有するウォータジェットユニット49を含む。任意選択的に、このノズル50または各々のノズル50は、任意の切断経路をたどることができるように、空間内で自由に制御可能である。ウォータジェットユニット49に代えて、切断用のナイフ、刃、バンドナイフなどのような、他の切断手段を制御することもできる。この目的で、切断ユニット33は、1つのナイフまたは複数のナイフを含むことができる。
【0063】
好ましくは、一方で装置10と他方で処理ステーション30の少なくとも1つの光学カメラ17、20、32のそれぞれは、同じ撮像法を備える。特に好ましい実施形態では、装置10は、外側輪郭を記録するための例えばグレースケールカメラである簡易な光学カメラ17と、欠陥を記録するための例えばハイパースペクトルカメラである複雑な光学カメラ20と、を有し、処理ステーション30は、例えば同じくグレースケールカメラである簡易な光学カメラ32を有する。このとき、マッピングは、2つの同じ撮像システムの間で特に簡単な方法(グレースケール法)で行うことができる。この場合、装置10の光学カメラ17による光学画像は、転送画像(第3のデータセット)の基礎をなし、これに対して、装置10のX線ユニット13および第2の光学カメラ20のデータ(切断経路)が組み込まれる。また、マッチングは、例えば光学カメラ17の光学画像のみに基づいて行うこともでき、一方、切断経路を示すためのX線ユニット13および他の光学カメラ20のデータセットは、処理ステーション30のカメラ32による光学画像に直接重ね合わせる。
【0064】
図示していないさらなる実施形態では、装置10のコンベア11から処理ステーション30のコンベア31への移行部に、追加の光学カメラを配置することができる。この光学カメラは、装置10のコンベア11の送出端と、処理ステーション30のコンベア31の受入端を同時に記録する。この光学カメラも、好ましくは、制御ユニット34に接続され
ている。このような光学カメラを用いることで、2つの画像データ(すなわち、処理ステーション30の光学カメラ32の画像データと、装置10の光学カメラ17および/または20の画像データ)の間のマッチングを省略するとともに、1つのコンベア11から下流のコンベア31に移行する間の製品の動きを光学カメラで観測することにより変換規則を計算することが可能である。
【0065】
図5は、図3および4の実施形態に構成が基本的に類似した、システム29のさらなる実施形態を示している。ただし、図5による実施形態のシステム29は、装置10のコンベア11と処理ステーション30のコンベア31との間に、装置10から処理ステーション30への製品12の移行を最適化するための中間コンベア51を備える。この中間コンベア51は、2つよりも多くの変向要素53の周りに案内されるエンドレスコンベアベルト52を有する。変向要素53の少なくとも1つは、駆動ローラとして構成されている。さらなる変向要素53は、コンベアベルト52の張力の調整を可能とするために用いられる。中間コンベア51の受入端Eと送出端Aに配置されている変向要素53は、その外径が隣接するコンベア11、31の変向要素25、41の外径と比較して相応に小さい変向ローラである。これにより、コンベアベルト52と一方の側の送りベルト23および他方の側の送りベルト38との間の間隙を減少させることで、装置10のコンベア11と中間コンベア51と処理ステーションのコンベア31によって、略連続的で隙間がない搬送面を形成している。好ましくは、コンベア11、31および中間コンベア51はすべて同じ速度で駆動される。任意選択的に、中間コンベア51は、装置10のコンベア11と処理ステーション30のコンベア31との間に存在する高低差を補償することもできる。
【0066】
好ましくは、中間コンベア51も、制御ユニット34に接続される。本実施形態の発展形態では、少なくとも1つの光学カメラ54を中間コンベア51に割り付けることができる。図5は、コンベア11から中間コンベア51への移行部と、中間コンベア51からコンベア31への移行部と、その両方を光学カメラ54で記録する選択肢を示している。これらの光学カメラの他の配置および構成も可能である。
【0067】
当然のことながら、撮像システムとして詳述したシステム29の光学カメラに加えて、例えば、3Dシステムおよび他の撮像システムを用いることもできる。
【0068】
本方法の原理について、以下で図面に基づいて、さらに詳細に説明する。本方法は、食品加工産業の製品12を処理するために用いられる。魚の切り身の切断の場合について説明する。しかしながら、本方法は、製品固有データに従って、鶏肉の切り身などのような他の製品12を切断するため、ならびに分類または包装するため、に同様に用いることもできる。
【0069】
それらの製品12を、最初に第1のコンベア11によって、受入端Eから送出端Aまで搬送方向Tに搬送する。X線ユニット13によって、第1のコンベア11上の各々の製品12に関して、特に骨、骨部位、およびその他の硬組織の形態の欠陥である製品固有データを取得し、このとき、第1のデータセットをなす取得されたデータは、制御ユニット34により受信されて、例えば魚の切り身である製品12から不適切な部分を切除するため、および/または製品12のポーショニングのための、切断経路を決定するために制御ユニット34により分析される。次に、それらの製品12を、第1のコンベア11から下流コンベア31に送り渡し、その下流コンベア31によって、それらの製品12を搬送方向Tに受入端から送出端まで搬送する。光学カメラ32によって、下流コンベア31上で製品固有データを取得し、このとき、特に外側輪郭である第4のデータセットをなす取得されたデータは、制御ユニット34により受信されて、各々の製品を識別するために制御ユニット34により分析される。本発明によれば、第1のコンベア11上で、X線ユニット13で取得される製品固有データに加えて、各々の製品12に関する製品固有データを、
少なくとも1つの光学カメラ17および/または20で取得し、このとき、第1のコンベア11に割り付けられた光学カメラ17および/または20で取得される第2のデータセットをなすデータは、制御ユニット34により受信および分析される。さらに、制御ユニット34によって、2つのコンベア11、31上の各々の製品12の相対的な製品位置を計算するために、受信したデータセットをマッチングおよび分析する。最後に、切断ユニット33によって、それらの製品12を、前に決定されて個々の製品12に割り当てられた切断経路に沿って切断し、このとき、切断ユニット33は、制御ユニット34により制御される。受信したデータセットをさらに用いて、製品12を1つのコンベア11から他のコンベア31に移行させる間の製品12の変位、動き、ひずみなどに起因して生じる可能性のある変換を実行する。
【0070】
前述のように、識別のため、および収集された情報のマッチングおよび分析のための、いくつかの選択肢がある。製品の識別およびマッチングは、例えば、装置10の光学カメラ17、20の1つによる画像と、処理ステーション30の光学カメラ32による画像のみに基づいて行うことができる。製品12を識別するとともに、第2のコンベア31上での製品の姿勢/位置を、必要に応じて変換した後に把握したら、X線ユニット13によるデータセットおよび装置10の光学カメラ17の1つによるデータセットから生成された切断経路を、処理ステーション30の光学カメラ32による画像に統合する/組み込むことができる。装置10の光学カメラ17、20の1つによる画像を、処理ステーション30の光学カメラ32による画像と比較/マッチングする前に、X線ユニット13によるデータセットおよび装置10の光学カメラ17、20の1つによるデータセットから生成された切断経路を、装置10の他方の光学カメラ17、20による画像に統合する/組み込むことができる。
【0071】
それらの製品12の識別、およびそれらのデータセットのマッチングおよび分析は、光学カメラ17および/または20および32で生成されたデータセットに基づいて、すなわち好ましくは第2のデータセットと第4のデータセットに基づいて行われる。この場合、受信したデータセットは、切断ユニット33の制御のために、処理ステーション30のコンベア31上にあって識別された個々の製品12に関して、その製品12から除去すべき部分の位置および/または製品12のポーショニングのための切断線を示すためにも用いられる。
【0072】
つまり、本発明によれば、光学画像が、マッチングのために、装置10から制御ユニット34に送信されて、装置10のこの光学画像は、処理ステーション30の光学画像とマッチングされる。これは、第1のコンベア11上の製品12から取得されたすべての画像データ(X線画像および光学画像)の処理後に、そのデータをマッチングプロセスのために制御ユニット34(CPU)に送信することを意味する。好ましくは、それぞれの製品12に固有のこれらの画像データは、リストに格納される。第2のコンベア31上の各々の製品12を光学カメラ32で取得した後に、光学カメラ32による光学画像を、リストからの画像データと比較する。最もマッチする画像(群)をリストから選択する。光学カメラ32による光学画像とリストからの画像/画像データとのマッチングに成功したら、その後、その画像/それらの画像データをリストから削除する。すなわち、製品12を識別するために、下流コンベア31に割り付けられた光学カメラ32で取得されたすべての光学画像をそれぞれ、第1のコンベア11に割り付けられた光学カメラ17および/または20により取得されて制御ユニット34の(リストとも呼ばれる)メモリ44に格納されている光学画像と比較し、そして最もマッチする画像を選択する。識別に成功し、さらに必要に応じてマッチングおよび分析を行った後に、当該の光学画像をメモリから削除する。
【0073】
(マッチする適切な)画像/(マッチする適切な)画像データがリストもしくはメモリ
44に存在しない場合、またはメモリ44からの画像/画像データがいずれも十分なマッチング結果を達成しない場合には、その処理において、その製品12をスキップして、例えば手動処理に移すことができる。任意選択的に、妥当な時間よりも長くメモリ44内に留まっている画像/画像データを、メモリ44から自動的に削除することができる。
【0074】
好ましくは、第3のデータセットとしての光学転送画像がマッチングおよび分析のために制御ユニット34に転送されるように、X線ユニット13で生成された切断経路を含む第1のデータセットを、第2のデータセットに、すなわち第1のコンベア11に割り付けられた光学カメラ17または20で生成された光学画像に、統合し/組み込み、この場合、それらの製品12の識別、およびそれらのデータセットのマッチングおよび分析は、第3のデータセットと第4のデータセットに基づいて行われる。これは、光学カメラ17または20による画像データが(X線ユニット13で取得したデータと共に)、制御ユニット34に送信されることを意味する。さらに、制御ユニット34は、光学カメラ32による画像データを受信して、切断ユニット33の制御のために、製品12に割り当てた後にすべての画像データを処理する。任意選択的に、X線ユニット13によるデータ、光学カメラ17または20による画像データ、および光学カメラ32による画像データを、個別に、制御ユニット34に送信することができる。この場合、X線ユニット13のデータを、処理ステーション30の光学カメラ32による画像データに重ね合わせることができる。その後、その製品12が同一のものであることを保証するために、装置10の光学カメラ17または20による画像データを、処理ステーション30の光学カメラ32による画像データと比較することができる。このとき、必要に応じて、例えば、装置10のカメラ17または20の光学画像から処理ステーション30のカメラ32の光学画像へのX-Y平行移動変換、回転変換、X-Y剪断変換、X-Y変位変換などによる、X線ユニット13のデータおよび/または装置10の光学カメラ17、20のデータの変換を行うことができる。これらのステップの順序は様々であり得る。
【0075】
マッチング自体は、例えば、以下で説明するようにして行うことができる。光学カメラ17または20および32の光学画像において特徴点を探索して、それらを相対位置に基づいて、相対位置/近接度が最適に複製されるように相互に割り当てる。この場合、装置10の光学カメラ17または20による光学画像上の矩形格子を、処理ステーション30の光学カメラ32による光学画像上のスプライン格子にマッピングする変換関数を決定する。この変換関数によって、処理ステーション30の光学カメラ32による光学画像の座標系における一意の点が、装置10の光学カメラ17または20による光学画像の座標系における各点にマッピングされる。そのマッチング結果は、光学カメラ17または20および32の画像データにおける製品12の画像データ全体の類似度によって決定され、このとき、その変換関数を用いて、それらの点は相互に割り当てられる。この場合の類似度は、当該の撮像法に関して偏差が最小限であるという意味で理解されるべきである。
【0076】
好ましくは、X線ユニット13および/または他の光学カメラ17、20で生成された不適切な部分の位置を、ベクトルデータ、画素データなどとして、第1のコンベア11に割り付けられた光学カメラ17、20による光学画像に統合し/組み込み、この場合、第1のコンベア11に割り付けられた光学カメラ17、20による光学画像と、第2のコンベア31に割り付けられた光学カメラ32による光学画像に基づいて、マッチングおよび分析を行う。このように、光学画像は、(例えば、製品の外側輪郭によって)識別することに加えて、切断経路を生成するためにも使用することができる。
【0077】
記載した方法は、上記のようなシステム29を用いて実施することが特に好ましい。
図1
図2
図3
図4
図5