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特許7265570強誘電体キャパシタ、強誘電体電界効果トランジスタ、並びに導電性材料及び強誘電体材料を含む電子部品の形成に用いられる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】強誘電体キャパシタ、強誘電体電界効果トランジスタ、並びに導電性材料及び強誘電体材料を含む電子部品の形成に用いられる方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 53/30 20230101AFI20230419BHJP
   H10B 51/30 20230101ALI20230419BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
H10B53/30
H10B51/30
H01L29/78 617T
H01L29/78 617U
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021023418
(22)【出願日】2021-02-17
(62)【分割の表示】P 2018527999の分割
【原出願日】2016-11-21
(65)【公開番号】P2021073747
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】14/958,182
(32)【優先日】2015-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595168543
【氏名又は名称】マイクロン テクノロジー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】チャヴァン,アショニタ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ラマスワミ,ドゥライ ヴィシャーク ニルマル
(72)【発明者】
【氏名】ナハール,マニュジ
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-110592(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141625(WO,A1)
【文献】特開2002-198495(JP,A)
【文献】特開2005-101517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 53/30
H10B 51/30
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間に半導体チャネルを有する一対のソース/ドレイン領域と、
ゲート構造物と、
を備える強誘電体電界効果トランジスタであって、
前記ゲート構造物は、
強誘電性ゲート絶縁体材料と、
導電性ゲート電極と、
基板の上面少なくとも2種の異なる組成の非強誘電性金属酸化物を含む複合積層物であって、該複合積層物は、第1の層、第2の層、及び第3の層を含む3つ以上の個別の層を有し、前記第2の層は、前記第1及び第3の層と物理的に直接接触し、前記複合積層物に含まれる前記層のうちの少なくとも1つ、ScO、Sc 、Y、Y、MgO、MgO、SrO、SrO、NbO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、CeO、SmO、及びLuO からなるグループの中から選択された金属酸化物を含む、複合積層物と、
を含む強誘電体電界効果トランジスタ
【請求項2】
前記複合積層物は、ZrO 、Ta 、HfO 、TiO 、AlO 、及びSiO のうちの1種以上を更に含む、請求項1に記載の強誘電体電界効果トランジスタ
【請求項3】
間に強誘電性金属酸化物材料を有する2つの導電性キャパシタ電極であって、前記強誘電性金属酸化物材料は、遷移金属酸化物、ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ハフニウム、酸化ハフニウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化タンタル、酸化ストロンチウム、酸化チタンストロンチウム、酸化チタン、及びチタン酸バリウムストロンチウムからなるグループのうちの1種以上を含み、かつ、その中にドーパントを有し得、該ドーパントは、シリコン、アルミニウム、ランタン、イットリウム、エルビウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、ルテチウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、プラセオジム、クロム、ニオブ、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、バナジウムマンガン、コバルト、ニッケル、炭素、及び任意のその他の希土類元素のうちの1種以上を含む、2つの導電性キャパシタ電極と、
前記導電性キャパシタ電極のうちの少なくとも一方と前記強誘電性金属酸化物材料との間の非強誘電性材料であって、該非強誘電性材料は、少なくとも3つの個別の層と、少なくとも2種の異なる非強誘電性金属酸化物組成物を含み、該少なくとも2種の異なる非強誘電性金属酸化物組成物は互いに物理的に直接接触し、かつ、ScO、Sc、MgO、MgO、SrO、SrO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、SmO、及びLuOからなるグループの中から選択され、前記非強誘電性材料は、前記非強誘電性材料に近い方の前記導電性キャパシタ電極の導電率よりも低い全体的な導電率を有する、非強誘電性材料と、
を含む強誘電体キャパシタ。
【請求項4】
前記導電性キャパシタ電極の各々は、個々に、IrO、SrRuO、RuO、LSCO、TiSi、TaSi、RuSi、WNSi、Ru、TiAlN、TaN、WN、TiSi、TaSi、RuSi、及びRuSiTiからなるグループの中から選択された1種以上の材料を含む、請求項3に記載の強誘電体キャパシタ。
【請求項5】
前記非強誘電性金属酸化物組成物は、Ta、YO、CeO、TiO、AlO、ZrO、MgO、HfO、及びNbOからなるグループの中から選択された少なくとも1種の組成物を更に含む、請求項3に記載の強誘電体キャパシタ。
【請求項6】
前記少なくとも1種の組成物はNbOである、請求項5に記載の強誘電体キャパシタ。
【請求項7】
前記強誘電性金属酸化物材料は、ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ハフニウム、酸化ハフニウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化タンタル、酸化ストロンチウム、及び酸化チタンストロンチウムからなるグループのうちの1種以上を含む、請求項6に記載の強誘電体キャパシタ。
【請求項8】
間に半導体チャネルを有する一対のソース/ドレイン領域と、
ゲート構造物と、
を備える強誘電体電界効果トランジスタであって、
前記ゲート構造物は、
ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ハフニウム、酸化ハフニウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化タンタル、酸化ストロンチウム、及び酸化チタンストロンチウムからなるグループのうちの1種以上を含む強誘電性ゲート絶縁体材料と、
導電性ゲート電極と、
少なくとも2種の非強誘電性金属酸化物組成物を含む少なくとも3つの個別の層を含む複合積層物であって、前記少なくとも2種の非強誘電性金属酸化物組成物は互いに物理的に直接接触し、かつ、ScO、Sc、MgO、MgO、SrO、SrO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、SmO、及びLuOからなるグループの中から選択され、前記複合積層物は、前記導電性ゲート電極の導電率よりも小さい全体的な導電率を有する、複合積層物と、
を含む、強誘電体電界効果トランジスタ。
【請求項9】
前記強誘電性ゲート絶縁体材料は、前記複合積層物に直接対向している、請求項8に記載の強誘電体電界効果トランジスタ。
【請求項10】
前記非強誘電性金属酸化物組成物は、Ta、YO、CeO、TiO、AlO、ZrO、MgO、HfO、及びNbOからなるグループの中から選択された少なくとも1種の組成物を更に含む、請求項8に記載の強誘電体電界効果トランジスタ。
【請求項11】
前記少なくとも1種の組成物はNbOである、請求項10に記載の強誘電体電界効果トランジスタ。
【請求項12】
導電性材料及び強誘電体材料を含む電子部品の形成に用いられる方法であって、
基板上にあって且つ前記基板の上面に物理的に直接接触している複合積層物を形成することであって、前記複合積層物は、第1の非強誘電性金属酸化物と、該第1の非強誘電性金属酸化物上の第2の非強誘電性金属酸化物とを含む少なくとも3つの個別の層を含み、前記第1及び第2の非強誘電性金属酸化物は、互いに異なる組成であり、かつ、その各々が、個々に、TiO、AlO、Al、ScO、Sc、ZrO、YO、Y、MgO、MgO、HfO、SrO、SrO、Ta、NbO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、CeO、SmO、及びLuOからなるグループの中から選択される、ことと、
前記複合積層物の直接上に非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料を形成することであって、前記非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料は、その最初の形成時に強誘電性になり、かつ、イットリウム・ジルコニウム酸化物、ハフニウム・ジルコニウム酸化物、ハフニウム・シリコン酸化物、及びハフニウム・ジルコニウム・シリコン酸化物からなるグループのうちの少なくとも1種を含む、ことと、
前記複合積層物及び前記絶縁体材料の上に導電性材料を形成することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態は、強誘電体キャパシタ、強誘電体電界効果トランジスタ、並びに導電性材料及び強誘電体材料を含む電子部品の形成に用いられる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリは、集積回路の1つの種類であり、データを格納するためのコンピュータシステムに用いられる。メモリは、個々のメモリセルの1つ以上のアレイに組み立てられる。メモリセルは、デジット線(ビット線、データ線、センス線、又はデータ/センス線とも称され得る)及びアクセス線(ワード線とも称され得る)を用いて書き込まれてもよく、読み出されてもよい。デジット線は、アレイの列に沿ってメモリセルを導電的に相互接続してもよく、アクセス線は、アレイの行に沿ってメモリセルを導電的に相互接続してもよい。各メモリセルは、デジット線及びアクセス線の組み合わせを介してユニークにアドレスされてもよい。
【0003】
メモリセルは、揮発性又は不揮発性であってもよい。不揮発性メモリセルは、コンピュータの電源遮断時を含む長時間、データを格納し得る。揮発性メモリは、消え、それ故、多くの場合毎秒複数回、リフレッシュ/再書き込みすることを要求する。とにかく、メモリセルは、少なくとも2つの異なる選択可能な状態で記憶を維持又は格納するように構成される。二進法では、該状態は、“0”又は“1”の何れかと考えられる。その他の系では、少なくとも幾つかの個々のメモリセルは、2つより多い情報のレベル又は状態を格納するように構成されてもよい。
【0004】
キャパシタは、メモリセルに用いられ得る電子部品の1つの種類である。キャパシタは、電気的な絶縁材料によって分離された2つの導電体を有する。電界としてのエネルギーは、そうした材料内に静電気的に格納されてもよい。1つの種類のキャパシタは、絶縁材料の少なくとも一部として強誘電体材料を有する強誘電体キャパシタである。強誘電体材料は、2つの安定した分極状態を有する特徴があり、それによってメモリセルのプログラム可能な材料を含み得る。強誘電体材料の分極状態は、適切なプログラミング電圧の印加によって変化し得、プログラミング電圧の除去後(少なくともしばらくの間)維持される。各分極状態は、互いに異なる蓄積電荷キャパシタンスを有し、それは、理想的には、反転が要望されるまで極性を反転することなくメモリ状態の書き込み(すなわち、格納)及び読み出しに用いられ得る。望ましくないことだが、強誘電体キャパシタを有する幾つかのメモリでは、メモリ状態の読み出し行為は分極を反転し得る。それ故、分極状態を判定すると、その判定後すぐにメモリセルを読み出し前の状態に置くためにメモリセルの再書き込みが行われる。にもかかわらず、強誘電体キャパシタを組み込むメモリセルは、理想的には、該キャパシタの一部を形成する強誘電体材料の双安定の特徴に起因して不揮発性である。1つの種類のメモリセルは、強誘電体キャパシタと直列に電気的に結合された選択デバイスを有する。
【0005】
電界効果トランジスタは、メモリセルに用いられ得る別の種類の電子部品である。これらのトランジスタは、間に半導体チャネル領域を有する一対の導電性ソース/ドレイン領域を含む。導電性ゲートは、チャネル領域に隣接し、薄いゲート絶縁体材料によってそれから分離される。ゲートへの適切な電圧の印加は、チャネル領域を介してソース/ドレイン領域の一方から他方へ電流を流すことを可能にする。該電圧がゲートから除去されると、電流がチャネル領域を介して流れることの大部分が阻止される。電界効果トランジスタは、付加的な構造体、例えば、ゲート構造物の一部として可逆性のプログラム可能な電荷蓄積領域をも含んでもよい。電界効果トランジスタ以外のトランジスタ、例えば、バイポーラトランジスタが付加的又は代替的にメモリセルに用いられてもよい。
【0006】
1つの種類のトランジスタは、ゲート構造物の少なくとも幾つかの部分が強誘電体材料を含む強誘電体電界効果トランジスタ(FeFET)である。この場合も先と同様に、そうした材料は、2つの安定した分極状態を有する特徴がある。電界効果トランジスタのこれらの異なる状態は、該トランジスタに対する異なる閾値電圧(Vt)又は選択された動作電圧に対する異なるチャネル導電率によって特徴付けられてもよい。強誘電体材料の分極状態は、適切なプログラミング電圧の印加によって変化し得、それは、高チャネルコンダクタンス又は低チャネルコンダクタンスの一方をもたらす。強誘電分極状態によって引き起こされた高コンダクタンス又は低コンダクタンスは、プログラミングゲート電圧の除去後(少なくともしばらくの間)維持される。チャネルコンダクタンスの状態は、強誘電分極を乱さない小さなドレイン電圧を印加することによって読み出され得る。
【0007】
キャパシタ及びトランジスタは、メモリ回路以外の回路に用いられてもよい。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様に係る強誘電体キャパシタは、間に強誘電体材料を有する2つの導電性キャパシタ電極と、基板上の、異なる組成の複数の非強誘電性金属酸化物を含む複合積層物であって、前記異なる組成の複数の非強誘電性金属酸化物は、TiO、AlO、Al、ScO、Sc、ZrO、YO、Y、MgO、MgO、HfO、SrO、SrO、Ta、NbO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、CeO、SmO、及びLuOの中から選択される、複合積層物と、を含む。
【0009】
本発明の他の態様に係る強誘電体キャパシタは、間に強誘電性金属酸化物材料を有する2つの導電性キャパシタ電極であって、前記強誘電性金属酸化物材料は、遷移金属酸化物、ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ハフニウム、酸化ハフニウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化タンタル、酸化ストロンチウム、酸化チタンストロンチウム、酸化チタン、及びチタン酸バリウムストロンチウムからなるグループのうちの1種以上を含み、かつ、その中にドーパントを有し得、該ドーパントは、シリコン、アルミニウム、ランタン、イットリウム、エルビウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、ルテチウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、プラセオジム、クロム、ニオブ、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、バナジウムマンガン、コバルト、ニッケル、炭素、及び任意のその他の希土類元素のうちの1種以上を含む、2つの導電性キャパシタ電極と、前記導電性キャパシタ電極のうちの少なくとも一方と前記強誘電性金属酸化物材料との間の非強誘電性材料であって、該非強誘電性材料は、TiO、AlO、Al、ScO、Sc、ZrO、YO、Y、MgO、MgO、HfO、SrO、SrO、Ta、NbO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、CeO、SmO、及びLuOからなるグループの中から選択された少なくとも2種の異なる非強誘電性金属酸化物組成物を含む複合積層物を含み、前記非強誘電性材料は、前記非強誘電性材料に近い方の前記導電性キャパシタ電極の導電率よりも低い全体的な導電率を有する、非強誘電性材料と、を含む。
【0010】
本発明の一態様に係る強誘電体電界効果トランジスタは、間に半導体チャネルを有する一対のソース/ドレイン領域と、ゲート構造物とを備え、前記ゲート構造物は、ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ハフニウム、酸化ハフニウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化タンタル、酸化ストロンチウム、及び酸化チタンストロンチウムからなるグループのうちの1種以上を含む強誘電性ゲート絶縁体材料と、導電性ゲート電極と、TiO、AlO、Al、ScO、Sc、ZrO、YO、Y、MgO、MgO、HfO、SrO、SrO、Ta、NbO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、CeO、SmO、及びLuOからなるグループの中から選択された少なくとも2種の非強誘電性金属酸化物組成物を含む複合積層物であって、前記導電性ゲート電極の導電率よりも小さい全体的な導電率を有する複合積層物と、を含む。
【0011】
本発明の一態様に係る、導電性材料及び強誘電体材料を含む電子部品の形成に用いられる方法は、第1の非強誘電性金属酸化物と、該第1の非強誘電性金属酸化物上の第2の非強誘電性金属酸化物とを含む複合積層物を形成することであって、前記第1及び第2の非強誘電性金属酸化物は、互いに異なる組成であり、かつ、その各々が、個々に、TiO、AlO、Al、ScO、Sc、ZrO、YO、Y、MgO、MgO、HfO、SrO、SrO、Ta、NbO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、CeO、SmO、及びLuOからなるグループの中から選択される、ことと、前記複合積層物の直接上に非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料を形成することであって、前記非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料は、その最初の形成時に強誘電性になる絶縁体材料を含み、該絶縁体材料は、イットリウム・ジルコニウム酸化物、ハフニウム・ジルコニウム酸化物、ハフニウム・シリコン酸化物、及びハフニウム・ジルコニウム・シリコン酸化物からなるグループのうちの少なくとも1種を含む、ことと、前記複合積層物及び前記絶縁体材料の上に導電性材料を形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】発明の実施形態に従った工程における基板断片の断面図である。
図2図1に示した処理ステップの後の処理ステップにおける図1の基板の図である。
図3図2に示した処理ステップの後の処理ステップにおける図2の基板の図である。
図4】発明の実施形態に従った工程における基板断片の断面図である。
図5】発明の実施形態に従った工程における基板断片の断面図であり、発明の実施形態に従った基板断片の断面図である。
図6】発明の実施形態に従った工程における基板断片の断面図であり、発明の実施形態に従った基板断片の断面図である。
図7】発明の実施形態に従った工程における基板断片の断面図であり、発明の実施形態に従った基板断片の断面図である。
図8】発明の実施形態に従った工程における基板断片の断面図であり、発明の実施形態に従った基板断片の断面図である。
図9】発明の実施形態に従った工程における基板断片の断面図であり、発明の実施形態に従った基板断片の断面図である。
図10】発明の実施形態に従った工程における基板断片の断面図であり、発明の実施形態に従った基板断片の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の実施形態は、導電性材料及び強誘電体材料を含む電子部品を形成するために用いられる方法を含む。発明の実施形態は、製造方法とは無関係の強誘電体キャパシタをも含む。発明の実施形態は、製造方法とは無関係の強誘電体電界効果トランジスタをも含む。
【0014】
図1を参照すると、方法の実施形態は、ベース基板12を含む例示的基板断片10に関してまず記述され、それは、半導体基板を含んでもよい。この文書との関連では、用語“半導体基板”又は“半導体性基板”は、半導体ウェハ等のバルク半導体材料(単体又はその上に他の材料を含むアセンブリの何れか)、及び半導体材料層(単体又は他の材料をその上に含むアセンブリの何れか)を含むがそれらに限定されない半導体材料を含む任意の構造物の意味に定義される。用語“基板”は、上述した半導体基板を含むがこれに限定されない任意の支持基板を称する。材料は、図1に示された材料の脇にあってもよく、高さ方向内側にあってもよく、高さ方向外側にあってもよい。例えば、集積回路のその他の部分的又は完全な組み立て部品は、断片10の辺り又は断片10内に提供されてもよい。
【0015】
基板12は、導電性/導体の(すなわち、本明細書では電気的に)、半導体性の、又は絶縁性/絶縁体の(すなわち、本明細書では電気的に)材料の内の任意の1つ以上を含んでもよい。この文書との関連では、半導体/半導体性材料は、さもなければ本質的に絶縁性である薄い材料を介した正又は負の電荷の移動によって生じ得る導電率とは対照的に、少なくとも3×10ジーメンス/cmの(すなわち、本明細書ではあらゆる場所で20°Cで)組成上の固有の導電率を有する。絶縁体/絶縁性材料は、1×10-9ジーメンス/cmよりも大きくない組成上の固有の導電率を有する(すなわち、導電性又は半導体性であることとは対照的に電気的に抵抗性である)。本明細書で記述される材料、領域、及び構造体のいずれもが、均質又は不均質であってもよく、とにかく、それらが上に横たわる任意の材料上で連続的又は非連続的であってもよい。更に、特段述べない限り、各材料は、例示である原子層堆積、化学蒸着、物理蒸着、エピタキシャル成長、拡散ドーピング、及びイオン注入と共に、任意の適切な又は未開発の技術を用いて形成されてもよい。
【0016】
非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料14は、基板12の上に形成されている。任意の適切な既存の又は未開発の非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料が用いられてもよい。一実施形態では、この非強誘電性の絶縁体材料は、遷移金属酸化物、ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ハフニウム、酸化ハフニウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化タンタル、酸化ストロンチウム、酸化チタンストロンチウム、酸化チタン、及びチタン酸バリウムストロンチウムの内の1つ以上を含み、シリコン、アルミニウム、ランタン、イットリウム、エルビウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、ルテチウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、プラセオジム、クロム、ニオブ、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、バナジウムマンガン、コバルト、ニッケル、炭素、及び任意のその他の希土類元素の1つ以上を含むドーパントをその中に有してもよい。1つの具体例は、適切なドーパントをその中に有するハフニウム及びジルコニウム系の酸化物を含む。他の例は、適切なドーパントをその中に有するハフニウム及びシリコン系の酸化物、適切なドーパントをその中に有するイットリウム及びジルコニウム系の酸化物、並びにハフニウム、シリコン、及びジルコニウム系の酸化物を含む。絶縁体材料14は、任意の相(例えば、アモルファス又は結晶質)で堆積されてもよく、該相は、後続の処理中に維持してもよく、又は変化してもよい。例として、Boeske等へ付与された米国特許第7,709,359号及び/又はBoeskeへ付与された米国特許第8,304,823号に記載された非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料のいずれかが用いられてもよく、そうした参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0017】
絶縁体材料14に対する例示的厚さは、約10オングストロームから約200オングストロームであり、一実施形態では、約30オングストロームから約90オングストロームである。この文書では、(その前に、方向を示す形容詞がない)それ自体の“厚さ”は、異なる組成の直接隣接する材料又は直接隣接する領域の最も近い表面から垂直に所与の材料又は領域を通る直線距離の平均値として定義される。また、本明細書で記述される様々な材料及び領域は、実質的に一定の厚さ又は可変の厚さのものであってもよい。可変の厚さのものである場合、厚さは、別段の示唆がない限り平均の厚さを指し、そうした材料又は領域は、厚さの変化に起因して幾つかの最小の厚さと幾つかの最大の厚さとを有する。本明細書で用いられるように、“異なる組成”は、例えばそうした材料又は領域が均質でない場合に、化学的及び/又は物理的に異なるように相互に直接対向し得る定めた2つの材料又は領域のそれらの部分にのみ要求される。定めた2つの材料又は領域が相互に直接対向しない場合、“異なる組成”は、そうした材料又は領域が均質でない場合に化学的及び/又は物理的に異なるように相互に最も近い定めた2つの材料又は領域のそれらの部分にのみ要求される。この文書では、材料、領域、又は構造体は、定めた材料、領域、又は構造体の少なくとも幾つかの相互に物理的に触れる接触がある場合に、他方に“直接対向(directly against)”する。一方、“直接”が先行しない“上方に”、“上に”、“隣接して”、“沿って”、及び“対向して”は、材料、領域、又は構造体を介在させることで、定めた材料、領域、又は構造体が相互に物理的に接触しないような構成を含むだけでなく、“直接対向して”をも含む。
【0018】
図2を参照すると、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物を含む複合積層物16が基板12の上(上方)に形成されており、一実施形態では、金属酸化物含有絶縁体材料14の上に示される。この文書との関連では、“複合積層物(composite stack)”は、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物の個々が異なる層中にあって且つ該層の少なくとも直接隣接する幾つかの混合を排除しない、複数の層を含む構造を意味している。“層”及び“複数の層”の使用は、下方の材料の上方を一面覆うこと又は完全に被覆することを要求せず、下方の材料の上方に不連続であってもよく、又は部分的にのみ受け取られてもよい。とにかく、複合積層物は、少なくとも1×10ジーメンス/cmの全体的な導電率を有する。一実施形態では、複合積層物は、1×10ジーメンス/cmよりも大きくない全体的な導電率を有する。複合積層物16に対する例示的な全体の厚さは、約5オングストロームから約50オングストロームであり、一実施形態では、約10オングストロームから約20オングストロームである。
【0019】
一理想的な実施形態では図示されるように、複合積層物16及び金属酸化物含有絶縁体材料14は、互いに直接対向して形成される。一実施形態では、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物の各々は、少なくとも1×10ジーメンス/cmの導電率を有する。一実施形態では、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物の少なくとも1つは、少なくとも1×10ジーメンス/cmの導電率を有しない(すなわち、他の非強誘電性金属酸化物材料の組成及び量は、複合積層物全体が少なくとも1×10ジーメンス/cmの導電率を有するに十分である)。一実施形態では、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物は、TiO、AlO、Al、ScO、Sc、ZrO、YO、Y、MgO、MgO、HfO、SrO、SrO、Ta、NbO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、CeO、SmO、及びLuO(本明細書内の実験式中で酸化物に対して用いられる“x”は、材料の少なくとも幾つかが分子の酸化物を含むのに適した任意の数である)の中から選択されるが、必ずしも材料全体を通じて全体的に正規組成でなくてもよく、そうした材料の大部分が正規組成であってもよい。所望の導電性/抵抗性は、組成物中の金属原子及び酸素原子の量に従って達成され得る。
【0020】
図2は、例示目的のみで各々は同じ一定の厚さであるものとして示される4つの層18、20、22、及び24を含む複合積層物16を示す。夫々同じ厚さのものであるか、夫々異なる厚さのものであるか、同じ又は異なる可変の厚さのものであるか等に係わらず、より少数の層が用いられてもよく(すなわち、異なる組成の少なくとも2つの層)、又は4つより多い層が用いられてもよい。一実施形態では、複合積層物は、2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物のみを含むように構成されてもよい(例えば、2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物のみは、上記につき、TiO、AlO、Al、ScO、Sc、ZrO、YO、Y、MgO、MgO、HfO、SrO、SrO、Ta、NbO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、CeO、SmO、及びLuOの中から選択される)。一実施形態では、複合積層物は、2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物の各々の、2つの交互層を含むように構成され、一実施形態では、該各々の2つの交互層のみを含むように構成される(例えば、A/B/A/Bであり、A及びBは、TiO、AlO、Al、ScO、Sc、ZrO、YO、Y、MgO、MgO、HfO、SrO、SrO、Ta、NbO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、CeO、SmO、及びLuOの内の異なる2つのみである)。一実施形態では、複合積層物は、基本的に、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物から構成されるように形成される。しかしながら、別の実施形態では、複合積層物は、付加的な材料を含むように形成され、例えば、(例えば、複合積層物の高さ方向の最も外側又は最も内側の層内に、及び/又は該層として)SiOを付加的に含む。
【0021】
図3を参照すると、導電性材料26は、複合積層物16及び絶縁体材料14の上に形成されており、一実施形態では図示されるように複合積層物16に直接対向している。一実施形態では、複合積層物16は、導電性材料26よりも低導電率のものである。導電性材料26に対する例示的厚さは、50オングストロームである。任意の適切な導電性材料が用いられてもよく、その一例が、元素金属、2つ以上の元素金属の合金、導電性金属化合物、及び導電的にドープされた半導体材料である。
【0022】
方法の実施形態に従って、複合積層物16は、非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料14を強誘電性にするために用いられる。複合積層物16は、完成した回路構造物において非強誘電性を維持する。材料14は、非強誘電性から強誘電性への変化の前及び後の両方において絶縁性である。少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物を含む複合積層物は、非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料14を強誘電性にすることを可能にする。一実施形態では、金属酸化物含有絶縁体材料14は、導電性材料26の何れかを形成する前に強誘電性にされる。或いは、金属酸化物含有絶縁体材料14は、導電性材料26の一部又は全てを形成した後に強誘電性にされる。
【0023】
一実施形態では、複合積層物16は、絶縁体材料14の上に複合積層物16を堆積する間に非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料14を強誘電性にするために用いられる。ほんの一例として、化学蒸着法においてTiO及びZrOの交互層になるように複合積層物16を堆積する際、ペンタメチル・シクロペンタジエニル・チタン・トリメトキシド、トリス(ジメチルアミノ)・シクロペンタジエニル・ジルコニウム、及びオゾンは、チタン、ジルコニウム、及び酸素に対する前駆体として夫々用いられてもよい。例示的な夫々の流量は、100から2,000sccm、100から2,000sccm、及び1,000から20,000sccmである。例示的な温度及び圧力範囲は、200°Cから350°C及び0.1Torrから5Torrである。(直接か遠隔かの何れかを問わず)プラズマが用いられてもよく、用いられなくてもよい。こうした例示的な堆積条件は、複合積層物16の堆積中に非強誘電体材料14を強誘電性にするのに十分であろう。代替の条件(異なる前駆体を含む幾つか)が熟練者よって決定及び選択されてもよい。
【0024】
一実施形態では、複合積層物16は、絶縁体材料14の上に複合積層物16を堆積した後に非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料14を強誘電性にするために用いられる。そうした例示的条件は、少なくとも350°Cの大気又は基板温度と、0.1Torrから7,600Torrの圧力とを有する不活性雰囲気を用いて、少なくとも5秒間、炉内でアニーリングすることを含む。複合積層物16は、非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料14を、一部は複合積層物16の堆積中に、そして一部はその後に、強誘電性にするために用いられてもよい。
【0025】
図1図3に関連して上述し示した電子部品を形成するために用いられる実施形態の方法の代わりの実施形態の方法が図4及び基板断片10aを参照しながら次に記述される。必要に応じて、幾つかの構造の違いが添え字“a”又は異なる数字で示されつつ、上述した実施形態から同様の数字が用いられている。基板断片10aは、電子部品を含む完成した回路構造物において非強誘電性である非強誘電性金属酸化物含有絶縁材料28を含む。したがって、図1を参照しながら上述した処理は、非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料14が絶縁材料28の上に、一実施形態では直接対向して形成される点で多少異なるであろう。例示的な非強誘電性絶縁材料28は、段落[0020]の任意の絶縁性非強誘電性金属酸化物を含む。絶縁材料28に対する例示的厚さの範囲は、約1オングストロームから約10オングストロームであり、一実施形態では約2オングストロームから約5オングストロームである。絶縁材料28は、最初に形成された非強誘電性金属酸化物含有の絶縁体材料14の中に、及び/又は強誘電性にされた金属酸化物含有絶縁体材料14の中に(すなわち、強誘電性になっているときに)、所望の結晶構造体を生じさせるために支援し又は用いられてもよい。図1図3で上述及び/又は示したような任意のその他の特質又は側面が図4の実施形態に用いられてもよい。
【0026】
以下で記述するような後続の処理は、基板断片10/10aについて行われてもよい。例えば、図5は、ゲート絶縁体として機能する強誘電体材料14を備えた、強誘電体電界効果トランジスタ35の強誘電性ゲート構造物30を形成するために、絶縁体材料14、複合積層物16、及び導電性材料26に対して行われたパターニングを示す。ベース基板12は、ゲート構造物30に動作可能に近接する半導体チャネル32と、その相対する側の一対のソース/ドレイン領域34とを提供するために、適切にドープされた半導体材料を含む。非強誘電体材料14を強誘電性にすることは、図5により示されたパターニングの前又は後に生じてもよい。また、とにかく、単純な平面型及び水平型の強誘電体電界効果トランジスタ35が図示されているが、垂直型、埋め込み型、非直線型等のチャネル構造物が形成されてもよく、既存か未開発かを問わない。この文書では、”水平”は、製造中に基板が処理される主面に沿った一般的な方向を指し、“垂直”は、それに一般的に直交する方向である。更に、本明細で使用される“垂直”及び“水平”は、3次元空間中の基板の向きに無関係の互いに対して一般的に直角をなす方向である。また、この文書では、“高さ方向の(elevational)”、“上部の”、“下部の”、“最上部の”、“最下部の”、及び“真下に”は、回路が組み立てられるベース基板に対して垂直方向に関連する。
【0027】
上述した処理では、複合積層物16を形成する前に絶縁体材料14を形成した。代わりに、複合積層物16は、材料14の形成前に形成されてもよい。そうした一実施形態では、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物を含む複合積層物が基板の上に形成される。複合積層物は、少なくとも1×10ジーメンス/cmの全体的な導電率を有する。金属酸化物含有絶縁体材料は、複合積層物の上に形成され、一実施形態では、さもなければ複合積層物の存在なしに(すなわち、複合積層物がなければ)同じ条件(例えば、同じプロセッサ製作モデル、前駆体、流量、温度、圧力、時間等の全ての条件)下で形成された非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料となるであろうものを、複合積層物を用いて強誘電性にすることにより、その最初の形成時に強誘電性になるように形成される。そうした強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料の形成のほんの一例として、任意の適切な前駆体と、200°Cから350°Cの範囲の温度と0.1Torrから5Torrの範囲の圧力とを用い、プラズマあり又はなしで化学蒸着が行われてもよい。導電性材料は、複合積層物及び絶縁体材料の上に形成される。上述及び/又は上で示したような任意のその他の特質又は側面が用いられてもよい。
【0028】
図6は、強誘電体電界効果トランジスタ35bの例示的な代わりの強誘電体ゲート構造物30bを示す。必要に応じて、幾つかの構造の違いが添え字“b”で示されつつ、上述した実施形態から同様の数字が用いられている。複合積層物16は、チャネル32の上に、一実施形態ではチャネル32に直接対向して、絶縁体材料14の形成前に形成されて示されている。導電性材料26は、絶縁体材料14の上に、一実施形態では絶縁体材料14に直接対向して形成される。上述及び/又は上で示したような任意のその他の特質又は側面が用いられてもよい。
【0029】
発明の方法の実施形態で組み立てられ得る代わりの例示的構造物が基板断片10cに関する図7に示されている。必要に応じて、幾つかの構造の違いが添え字“c”又は異なる数字で示されつつで示されつつ、上述した実施形態から同様の数字が用いられている。基板10cは強誘電体キャパシタ40を含む。こうしたものは、図1のベース基板12の上に非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料14を形成するのに先立ち、ベース基板12の上に導電体材料42を形成することによって組み立てられてもよい。導電体材料42は、導電性材料26に対して上述した任意の材料を含んでもよく、導電体材料42及び導電性材料26は、相互に同じ組成のものであってもよいし、異なる組成のものであってもよい(また、同じ厚さであってもよいし異なる厚さであってもよい)。さもなければ、上述した任意の方法で処理が発生してもよい。導電性材料26、複合積層物16、絶縁体材料14、及び導電体材料42は、その後、パターニングされて強誘電体キャパシタ構造40にされることが示されている。複合積層物16は、図7により示される例示的パターニングの前、後、最中、又はそれら両方において絶縁体材料14を強誘電体にするために用いられる。
【0030】
図8は、絶縁体材料14の形成前に複合積層物16が形成されている上述の例示的方法の実施形態に従って製造された代わりの実施形態の強誘電体キャパシタ40dを示す。必要に応じて、幾つかの構造の違いが添え字“d”で示されつつ、上述した実施形態から同様の数字が用いられている。上述及び/又は上で示したような任意のその他の特質又は側面が用いられてもよい。
【0031】
上述した実施形態は、単一の複合積層物16を形成する。図9は、2つの複合積層物16を含む代わりの例示的強誘電体キャパシタ構造物40eを示す。必要に応じて、幾つかの構造の違いが添え字“e”で示されつつ、上述した実施形態から同様の数字が用いられている。複合積層物16は、互いに同じ構造及び/又は組成のものである必要はなく、理想的には互いに異なる構造及び/又は組成のものであってもよい。上述及び/又は上で示したような任意のその他の特質又は側面が用いられてもよい。
【0032】
図10に示されるように、1つ以上の複合積層物領域16を備えたゲート構造物35fを有する強誘電体電界効果トランジスタ30fも組み立てられてもよい。必要に応じて、幾つかの構造の違いが図10中で添え字“f”で示されつつ、上述した実施形態から同様の数字が用いられている。上述及び/又は上で示したような任意のその他の特質又は側面が用いられてもよい。
【0033】
発明の実施形態は、例えば、図7図9に示したような強誘電体キャパシタ40、40d、及び40eに加えて、製造方法とは無関係の強誘電体キャパシタを含む。発明の装置の実施形態に従ったそうした強誘電体キャパシタは、それらの間の強誘電体材料(例えば、強誘電性絶縁材料14であって、それが酸化物材料を含むか否かに係わらない)を有する2つの導電性キャパシタ電極を含む。非強誘電体材料は、導電性キャパシタ電極の内の少なくとも1つと強誘電体材料との間にある。非強誘電体材料は、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物の複合積層物(例えば、複合積層物16)を含む。非強誘電体材料は、少なくとも1×10ジーメンス/cmの全体的な導電率を有し、非強誘電体材料がより近接する導電性キャパシタ電極(例えば、図7の電極26及び図8の電極42)よりも低い導電率のものである。強誘電体材料は、導電性キャパシタ電極の内の1つのみと強誘電体材料の間にあってもよく(例えば、図7又は図8)、又は導電性キャパシタ電極の各々と強誘電体材料の間にあってもよい(例えば、図9)。方法の実施形態で上述したような任意のその他の特質は、製造の実施形態とは無関係の発明の実施形態に従った強誘電体キャパシタデバイス構造物に用いてもよく、又は適用してもよい。
【0034】
発明の実施形態は、製造方法とは無関係の強誘電体電界効果トランジスタを含む。そうしたトランジスタは、間に半導体チャネル(例えば、チャネル32)を有する一対のソース/ドレイン領域(例えば、領域34)を含む。そうした強誘電体電界効果トランジスタは、強誘電性ゲート絶縁体材料(例えば、材料14であって、酸化物材料を含むか否かに係わらない)と導電性ゲート電極(例えば、材料26)とを含むゲート構造物(例えば、構造物30/30b/30f)をも含む。強誘電体電界効果トランジスタは、a)強誘電性ゲート絶縁体材料及び導電性ゲート電極の間と、b)強誘電性ゲート絶縁体材料及びチャネルの間との内の少なくとも一方の間の非強誘電体材料をも含む。非強誘電体材料は、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物の複合積層物(例えば、複合積層物16)を含む。非強誘電体材料は、少なくとも1×10ジーメンス/cmの全体的な導電率を有し、ゲート電極よりも低導電率のものである。図5図6、及び図10は、3つのそうした例示的実施形態を示すが、方法の実施形態に関して上述したような任意のその他の特質が、製造方法とは無関係の発明に従った強誘電体電界効果トランジスタデバイス構造物に用いられてもよい。
【0035】
複合積層物16を含まない構造物を形成する先行技術の工程は、導電性材料26の組成がTiNであることを要求した。それは、堆積された非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料14を、その後に、すなわちTiNの形成中又は形成後に、強誘電性にするためである。TiNは、全ての完成した回路構造物において望ましくなく、複合積層物16の提供は、導電性材料26に対して、TiN以外の組成(例えば、IrO、SrRuO、RuO、及びLSCO等の導電性金属酸化物;TiSi、TaSi、及びRuSi等のシリサイド;WNSi;Ru;並びにTiAlN、TaN、WN、TiSi、TaSi、RuSi、及びRuSiTi等のその他の導電性金属窒化物)の使用を可能にする。TiN以外の導電性材料を用いることは、要求される基板の熱処理全体を削減し得る。更に、TiN以外の導電性電極材料を用いることは、電子部品全体における強誘電体材料の性能を向上させ得る。しかしながら、一実施形態の導電性材料26は、TiNを含み、別の実施形態ではTiNを欠く。導電性材料26と絶縁体材料14との間に非強誘電性金属酸化物材料の単一の組成のみを提供することは、この発明の範囲外にあるが、特化した堆積後のアニールを要求すること、及び/又は当初非結晶質であるか当初不要な結晶相であるかに係わらず所望の結晶質へのより低度の変換を生み出すことを欠く。
【0036】
本明細書で記述したような複合積層物の使用は、デューティサイクルの性能を向上し得る。例えば、先行技術に従って製造されたそれらの間に65オングストロームの強誘電体キャパシタ絶縁体を有する上部及び下部のTiN電極を含む強誘電体キャパシタ(すなわち、本明細書で記述したような複合積層物を欠く電極間の単一の均質な絶縁構造物)を考えられたい。同じ65オングストロームの強誘電体キャパシタ絶縁体を含み、上部のTiNキャパシタ電極と65オングストロームの強誘電体キャパシタ絶縁体との間に材料A及び材料B(材料A及びBは、TiO、AlO、ScO、ZrO、YO、MgO、HfO、SrO、Ta、NbO、GdO、MoO、RuO、LaO、V、IrO、CrO、ZnO、PrO、CeO、SmO、及びLuOの内の異なる2つのみである)の4つの交互層を含む複合積層物(厚さの合計が約15オングストローム)を付加的に有する、本発明に従って製造された構造物を考えられたい。表示された発明に従って製造されたこうした構造物は、デューティサイクルの性能が向上された。
【0037】
[結論]
幾つかの実施形態では、導電性材料及び強誘電体材料を含む電子部品を形成するのに用いられる方法は、基板の上に非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料を形成することを含む。少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物を含む複合積層物は、基板の上に形成される。複合積層物は、少なくとも×10ジーメンス/cmの全体的な導電率を有する。複合積層物は、非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料を強誘電性にするために用いられる。導電性材料は、複合積層物及び絶縁体材料の上に形成される。
【0038】
幾つかの実施形態では、導電性材料及び強誘電体材料を含む電子部品を形成するのに用いられる方法は、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物を含む複合積層物を基板の上に形成することを含む。複合積層物は、少なくとも×10ジーメンス/cmの全体的な導電率を有する。金属酸化物含有絶縁体材料は、複合積層物の上に形成され、さもなければ複合積層物の存在なしに同じ条件下で形成された非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料になるであろうものを、複合積層物を用いて強誘電性にすることにより、その最初の形成時に強誘電性になるように形成される。導電性材料は、複合積層物及び絶縁体材料の上に形成される。
【0039】
幾つかの実施形態では、強誘電体キャパシタは、間に強誘電体材料を有する2つの導電性キャパシタ電極を含む。非強誘電体材料は、導電性キャパシタ電極の内の少なくとも1つと強誘電体材料との間にある。非強誘電体材料は、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物を含む複合積層物を含む。非強誘電体材料は、少なくとも1×10ジーメンス/cmの全体的な導電率を有し、非強誘電体材料がより近接する導電性キャパシタ電極よりも低導電率のものである。
【0040】
幾つかの実施形態では、強誘電体電界効果トランジスタは、間に半導体チャネルを有する一対のソース/ドレイン領域を含む。また、そのゲート構造物は、強誘電性ゲート絶縁体材料及び導電性ゲート電極を含む。ゲート構造物は、a)強誘電性ゲート絶縁体材料及び導電性ゲート電極の間と、b)強誘電性ゲート絶縁体材料及びチャネルの間との内の少なくとも一方の間の非強誘電体材料をも含む。非強誘電体材料は、少なくとも2つの異なる組成の非強誘電性金属酸化物を含む複合積層物を含む。非強誘電体材料は、少なくとも1×10ジーメンス/cmの全体的な導電率を有し、ゲート電極よりも低導電率のものである。
【0041】
法律に従って、本明細書に開示された主題は、構造上及び方法上の特徴として概ね具体的な言葉で記述されている。しかしながら、本明細書に開示された手段は例示的な実施形態にすぎないので、請求項は、図示及び記述された具体的な特徴に限定されないことを理解すべきである。請求項は、それ故、文字通り表現されたような全範囲に与えられるべきであり、均等論に従って適切に解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0042】
10 断片(基板断片)
12 ベース基板
14 非強誘電性金属酸化物含有絶縁体材料
16 複合積層物
18、20、22、24 層
26 導電性材料
28 非強誘電性金属酸化物含有絶縁材料
30 強誘電性ゲート構造物
32 半導体チャネル
34 ソース/ドレイン領域
35 強誘電体電界効果トランジスタ
40 強誘電体キャパシタ
42 導電体材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10