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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】流量測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/684 20060101AFI20230419BHJP
【FI】
G01F1/684 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021555965
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2020039326
(87)【国際公開番号】W WO2021095454
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2019206013
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】余語 孝之
(72)【発明者】
【氏名】ファティン ファハナー ビンティ ハリダン
(72)【発明者】
【氏名】上ノ段 暁
(72)【発明者】
【氏名】阿部 博幸
(72)【発明者】
【氏名】伊集院 瑞紀
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/049513(WO,A1)
【文献】特開2019-066329(JP,A)
【文献】特表2018-538537(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0324990(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/68-1/699
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量検出素子を有し、通路壁が形成されている樹脂パッケージと、
前記樹脂パッケージを実装する回路基板と、を備え、
前記樹脂パッケージは、前記流量検出素子が前記回路基板の一部と対向するように配置されており、
前記樹脂パッケージの樹脂部の一部が前記回路基板と接触して実装されており、
前記流量検出素子は、ダイヤフラムを有し、
前記樹脂パッケージは、前記流量検出素子が実装されるリードフレームを有し、
前記ダイヤフラムが露出するように前記流量検出素子を樹脂で封止し、
前記通路壁の一部が前記回路基板と接触しており、
主通路を流れる被計測気体の一部を取り込む副通路と、該副通路に隣接して前記回路基板が収容される回路室とを有し、
前記回路基板は、前記回路室から前記副通路に突出する突出部を有し、
前記樹脂パッケージは、前記回路基板に実装されており、前記流量検出素子が前記回路基板の突出部に対向して配置されていることを特徴とする流量測定装置。
【請求項2】
前記樹脂パッケージは、前記回路室に配置される基端部と、前記副通路に配置される先端部とを有しており、
前記基端部に前記回路基板と接続される接続端子が設けられ、前記先端部に前記流量検出素子が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流量測定装置。
【請求項3】
前記樹脂パッケージは、前記先端部の前記回路基板に対向する面に前記副通路に沿って延在する凹溝を有しており、該凹溝に前記流量検出素子が露出して設けられていることを特徴とする請求項2に記載の流量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計測気体の流量を測定する流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「主通路内を流れる被計測気体の物理量を検出する物理量測定装置であって、前記被計測気体の流量を検出する流量センサと、前記流量センサを駆動するLSIと、前記流量センサと前記LSIを支持するリードフレームとを樹脂で封止して形成されるチップパッケージと、該チップパッケージが実装される回路基板と、を備え、前記チップパッケージは、流量センサを含む一部が前記回路基板の端部から側方に突出した状態で前記回路基板に固定されている物理量測定装置。」という記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2019/064887
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の流量測定装置は、チップパッケージの基端部に設けられている接続端子を基板にはんだ固定し、チップパッケージの先端部に形成されている凹溝を基板に対向して配置し、基板と凹溝によって形成される通路を流れる被計測気体の流量を凹溝内に設けられた流量センサによって検出する構造を有している。チップパッケージは、はんだ固定により基板に片持ち支持される構造を有しているので、はんだ固定する際のチップパッケージの姿勢が不安定になりやすい。したがって、基板に対してチップパッケージが基準よりも傾いた姿勢ではんだ固定された場合に、通路の大きさが変化するおそれがあり、各個体の流量検出精度にばらつきが生じることが懸念される。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基板に対するチップパッケージの傾きを抑制し、流量検出精度のばらつきを低減できる流量測定装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の流量測定装置は、流量検出素子を有し、通路壁が形成されている樹脂パッケージと、前記樹脂パッケージを実装する基板と、を備え、前記樹脂パッケージは、前記流量検出素子が前記基板の一部と対向するように配置されており、前記樹脂パッケージの樹脂部の一部が前記基板と接触して実装されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板に対するチップパッケージの傾きを抑制し、流量検出精度のばらつきを低減することができる。本発明に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】内燃機関制御システムに本発明に係る流量測定装置を使用した一実施例を示すシステム図。
図2】第1実施形態における流量測定装置の正面図。
図3】第1実施形態におけるチップパッケージが実装された回路基板の正面図。
図4図3のA-A線断面を矢視した模式図。
図5】他の変形例を説明する図であって図4に対応する図。
図6】他の変形例を説明する図であって図4に対応する図。
図7】他の変形例を説明する図であって図4に対応する図。
図8】第1実施形態におけるチップパッケージの背面図。
図9】他の変形例を説明する図であって、図8に対応する図。
図10】他の変形例を説明する図であって、図8に対応する図。
図11】他の変形例を説明する図であって、図8に対応する図。
図12】第2実施形態におけるチップパッケージが実装された回路基板の正面図であり、図3に対応する図。
図13】比較例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する、本発明を実施するための形態は、実際の製品として要望されている種々の課題を解決しており、特に車両の吸入空気の物理量を検出する検出装置として使用するために望ましい色々な課題を解決し、種々の効果を奏している。下記実施例が解決している色々な課題の内の一つが、上述した発明が解決しようとする課題の欄に記載した内容であり、また下記実施例が奏する種々の効果のうちの1つが、発明の効果の欄に記載された効果である。下記実施例が解決している色々な課題について、さらに下記実施例により奏される種々の効果について、下記実施例の説明の中で述べる。従って、下記実施例の中で述べる、実施例が解決している課題や効果は、発明が解決しようとする課題の欄や発明の効果の欄の内容以外の内容についても記載されている。
【0010】
以下の実施例で、同一の参照符号は、図番が異なっていても同一の構成を示しており、同じ作用効果を成す。既に説明済みの構成について、図に参照符号のみを付し、説明を省略する場合がある。
【0011】
図1は、電子燃料噴射方式の内燃機関制御システム1に、本発明に係る流量測定装置を使用した一実施例を示すシステム図である。エンジンシリンダ11とエンジンピストン12を備える内燃機関10の動作に基づき、吸入空気が被計測気体2としてエアクリーナ21から吸入され、主通路22である例えば吸気ボディと、スロットルボディ23と、吸気マニホールド24を介してエンジンシリンダ11の燃焼室に導かれる。燃焼室に導かれる吸入空気である被計測気体2の物理量は、本発明に係る流量測定装置20で検出され、その検出された物理量に基づいて燃料噴射弁14より燃料が供給され、被計測気体2と共に混合気の状態で燃焼室に導かれる。なお、本実施例では、燃料噴射弁14は内燃機関の吸気ポートに設けられ、吸気ポートに噴射された燃料が被計測気体2と共に混合気を成形し、吸気弁15を介して燃焼室に導かれ、燃焼して機械エネルギを発生する。
【0012】
燃焼室に導かれた燃料および空気は、燃料と空気の混合状態を成しており、点火プラグ13の火花着火により、爆発的に燃焼し、機械エネルギを発生する。燃焼後の気体は排気弁16から排気管に導かれ、排気ガス3として排気管から車外に排出される。前記燃焼室に導かれる吸入空気である被計測気体2の流量は、アクセルペダルの操作に基づいてその開度が変化するスロットルバルブ25により制御される。前記燃焼室に導かれる吸入空気の流量に基づいて燃料供給量が制御され、運転者はスロットルバルブ25の開度を制御して前記燃焼室に導かれる吸入空気の流量を制御することにより、内燃機関が発生する機械エネルギを制御することができる。
【0013】
エアクリーナ21から取り込まれ主通路22を流れる吸入空気である被計測気体2の流量、温度、湿度、圧力などの物理量が流量測定装置20により検出され、流量測定装置20から吸入空気の物理量を表す電気信号が制御装置4に入力される。また、スロットルバルブ25の開度を計測するスロットル角度センサ26の出力が制御装置4に入力され、さらに内燃機関のエンジンピストン12や吸気弁15や排気弁16の位置や状態、さらに内燃機関の回転速度を計測するために、回転角度センサ17の出力が、制御装置4に入力される。排気ガス3の状態から燃料量と空気量との混合比の状態を計測するために、酸素センサ28の出力が制御装置4に入力される。
【0014】
制御装置4は、流量測定装置20の出力である吸入空気の物理量と、回転角度センサ17の出力に基づき計測された内燃機関の回転速度とに基づいて、燃料噴射量や点火時期を演算する。これら演算結果に基づいて、燃料噴射弁14から供給される燃料量、また点火プラグ13により点火される点火時期が制御される。燃料供給量や点火時期は、実際にはさらに流量測定装置20で検出される温度やスロットル角度の変化状態、エンジン回転速度の変化状態、酸素センサ28で計測された空燃比の状態に基づいて、きめ細かく制御されている。制御装置4は、さらに内燃機関のアイドル運転状態において、スロットルバルブ25をバイパスする空気量をアイドルエアコントロールバルブ27により制御し、アイドル運転状態での内燃機関の回転速度を制御する。
【0015】
内燃機関の主要な制御量である燃料供給量や点火時期はいずれも流量測定装置20の出力を主パラメータとして演算される。従って、流量測定装置20の検出精度の向上や、経時変化の抑制、信頼性の向上が、車両の制御精度の向上や信頼性の確保に関して重要である。
【0016】
特に近年、車両の省燃費に関する要望が非常に高く、また排気ガス浄化に関する要望が非常に高い。これらの要望に応えるには、流量測定装置20により検出される吸入空気の物理量の検出精度の向上が極めて重要である。また、流量測定装置20が高い信頼性を維持していることも大切である。
【0017】
流量測定装置20が搭載される車両は、温度や湿度の変化が大きい環境で使用される。流量測定装置20は、その使用環境における温度や湿度の変化への対応や、塵埃や汚染物質などへの対応も、考慮されていることが望ましい。
【0018】
また、流量測定装置20は、内燃機関からの発熱の影響を受ける吸気管に装着される。このため、内燃機関の発熱が吸気管を介して流量測定装置20に伝わる。流量測定装置20は、被計測気体2と熱伝達を行うことにより被計測気体2の流量を検出するので、外部からの熱の影響をできるだけ抑制することが重要である。
【0019】
車に搭載される流量測定装置20は、以下で説明するように、単に発明が解決しようとする課題の欄に記載された課題を解決し、発明の効果の欄に記載された効果を奏するのみでなく、以下で説明するように、上述した色々な課題を十分に考慮し、製品として求められている色々な課題を解決し、色々な効果を奏している。流量測定装置20が解決する具体的な課題や奏する具体的な効果は、以下の実施例の記載の中で説明する。
【0020】
<第1実施形態> 図2は、第1実施形態における流量測定装置の正面図であり、ハウジングからカバーが取り外された状態を示している。なお、以下の説明では、主通路22の中心軸22aに沿って被計測気体が流れるものとする。
【0021】
流量測定装置20は、主通路22の通路壁に設けられた取り付け孔から主通路22の内部に挿入して主通路22に固定された状態で使用される。流量測定装置20は、被計測気体2が流れる主通路22に配置される筐体を備えている。流量測定装置20の筐体は、ハウジング100と、ハウジング100の正面に取り付けられる不図示のカバーとを有している。ハウジング100は、例えば合成樹脂製材料を射出成形することによって構成されている。そして、カバーは、例えば金属材料や合成樹脂材料からなる板状部材によって構成されており、本実施形態では、アルミニウム合金あるいは合成樹脂材料の射出成形品によって構成されている。カバーは、ハウジング100の正面を全面的に覆う大きさを有している。
【0022】
ハウジング100は、流量測定装置20を主通路22である吸気ボディに固定するためのフランジ111と、フランジ111から突出して外部機器との電気的な接続を行うために吸気ボディから外部に露出するコネクタ112と、フランジ111から主通路22の中心に向かって突出するように延びる計測部113とを有している。
【0023】
流量測定装置20の計測部113は、主通路22に設けられた取り付け孔から内部に挿入され、流量測定装置20のフランジ111が主通路22に当接され、ねじで主通路22に固定される。
【0024】
計測部113は、フランジ111から真っ直ぐ延びる薄くて長い形状を成し、幅広な正面121と背面、及び幅狭な一対の側面123、124を有している。計測部113は、流量測定装置20を主通路22に取り付けた状態で、主通路22の内壁から主通路22の通路中心に向かって突出する。そして、正面121と背面が主通路22の中心軸に沿って平行に配置され、計測部113の幅狭な側面123、124のうち計測部113の短手方向一方側の側面123が主通路22の上流側に対向配置され、計測部113の短手方向他方側の側面124が主通路22の下流側に対向配置される。
【0025】
本実施形態では、流量測定装置20を主通路22に取り付けた状態で、計測部113の基端部が上側に配置され、計測部113の先端部が下側に配置される。ただし、流量測定装置20が使用される姿勢状態は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の姿勢状態とすることができ、例えば計測部113の基端部と先端部とが同じ高さとなるように水平に取り付けられる姿勢状態であってもよい。
【0026】
以下の説明では、フランジ111から計測部113が延びる方向である計測部113の長手方向をZ軸、計測部113の副通路入口131から第1出口132に向かって延びる方向である計測部113の短手方向をX軸、計測部113の正面121から背面122に向かう方向である計測部113の厚さ方向をY軸と称する場合がある。
【0027】
計測部113は、側面123に副通路入口131が設けられ、側面124に第1出口132及び第2出口133が設けられている。副通路入口131と第1出口132及び第2出口133は、フランジ111から主通路22の中心方向に向かって延びる計測部113の先端部に設けられている。したがって、主通路22の内壁面から離れた中央部に近い部分の気体を副通路134に取り込むことができる。このため、流量測定装置20は、主通路22の内壁面から離れた部分の気体の流量を測定することができ、熱などの影響による計測精度の低下を抑制できる。
【0028】
流量測定装置20は、計測部113が主通路22の外壁から中央に向かう軸に沿って長く伸びる形状を成しているが、側面123、124の幅は、狭い形状を成している。これにより、流量測定装置20は、被計測気体2に対しては流体抵抗を小さい値に抑えることができる。
【0029】
流量測定装置20の計測部113には、流量検出素子である流量センサ311と、吸気温度センサ321と、湿度センサ322が設けられている。流量センサ311は、ダイヤフラム構造を有しており、副通路134の通路途中に配置されている。流量センサ311は、主通路を流れる被計測気体2の流量を検出する。吸気温度センサ321は、側面123の副通路入口131近傍に一端が開口し、他端が計測部113の正面121と背面の両方に開口する温度検出通路136の通路途中に配置されている。吸気温度センサ321は、主通路を流れる被計測気体2の温度を検出する。湿度センサ322は、計測部113の湿度計測室137に配置されている。湿度センサ322は、計測部113の背面に開口する窓部138から湿度計測室137に取り入れられた被計測気体2の湿度を計測する。
【0030】
ハウジング100には、副通路134を形成するための副通路溝150と、回路基板300を収容するための回路室135が設けられている。回路室135と副通路溝150は、計測部113の正面に凹設されており、計測部113の正面に不図示のカバーを取り付けることによって覆われる構造となっている。回路室135は、主通路22において被計測気体2の流れ方向上流側の位置となるX軸方向一方側(側面123側)の領域に設けられている。そして、副通路溝150は、回路室135よりも計測部113のZ軸方向先端側(下面125側)の領域と、回路室135よりも主通路22における被計測気体2の流れ方向下流側の位置となるX軸方向他方側(側面124側)の領域に亘って設けられている。
【0031】
副通路溝150は、計測部113の正面を覆う不図示のカバーとの協働によって副通路134を形成する。副通路溝150は、第1副通路溝151と、第1副通路溝151の途中で分岐する第2副通路溝152とを有している。第1副通路溝151は、計測部113の一方側の側面123に開口する副通路入口131と、計測部113の他方側の側面124に開口する第1出口132との間に亘って、計測部113のX軸方向に沿って延在するように形成されている。第1副通路溝151は、主通路22内を流れる被計測気体2を副通路入口131から取り込み、その取り込んだ被計測気体2を第1出口132から主通路22に戻す第1副通路134Aを、カバーとの協働により形成する。第1副通路134Aは、副通路入口131から主通路22内における被計測気体2の流れ方向に沿って延在し、第1出口132までつながる流路を有する。
【0032】
第2副通路溝152は、第1副通路溝151の途中位置で分岐して計測部113の基端部側(フランジ側)に向かって屈曲され、計測部113のZ軸方向に沿って延在する。そして、計測部113の基端部で計測部113のX軸方向他方側(側面124側)に向かって折れ曲がり、計測部113の先端部に向かってUターンし、再び計測部113のZ軸方向に沿って延在する。そして、第1出口132の手前で計測部113のX軸方向他方側(側面124側)に向かって屈曲され、計測部113の側面124に開口する第2出口133に連続するように設けられている。第2出口133は、主通路22における被計測気体2の流れ方向下流側に向かって対向配置される。第2出口133は、第1出口132よりも若干大きい開口面積を有しており、第1出口132よりも計測部113の長手方向基端部側に隣接した位置に形成されている。
【0033】
第2副通路溝152は、第1副通路134Aから分岐されて流れ込んだ被計測気体2を通過させて第2出口133から主通路22に戻す第2副通路134Bを、カバー200との協働により形成する。第2副通路134Bは、計測部113のZ軸方向に沿って往復する流路を有する。つまり、第2副通路134Bは、第1副通路134Aの途中で分岐して、計測部113の基端部側(第1副通路134Aから離れる方向)に向かって延在する往通路部134B1と、計測部113の基端部側(往通路部134B1の端部)で折り返されてUターンし、計測部113の先端部側(第1副通路134Aに接近する方向)に向かって延在する復通路部134B2を有している。復通路部134B2は、副通路入口131よりも主通路22内における被計測気体2の流れ方向下流側の位置において被計測気体2の流れ方向下流側に向かって開口する第2出口133につながる流路を有する。
【0034】
第2副通路134Bは、往通路部134B1の途中位置に流量センサ311が配置されている。第2副通路134Bは、計測部113の長手方向に沿って延在して往復するように通路が形成されているので、通路長さをより長く確保することができ、主通路内に脈動が生じた場合に、流量センサ311への影響を小さくすることができる。流量センサ311は、チップパッケージ310に設けられており、チップパッケージ310は、回路基板300に実装されている。
【0035】
図3は、第1実施形態におけるチップパッケージが実装された回路基板の正面図、図4は、図3のA-A線断面を矢視した模式図、図8は、第1実施形態におけるチップパッケージの背面図である。
【0036】
回路基板300は、実装面に、チップパッケージ310、圧力センサ320、吸気温度センサ321、湿度センサ322等の回路部品が実装されている。回路基板300は、平面視で略長方形状を有しており、図2に示すように、回路基板300の長手方向が計測部113の基端部から先端部に向かって延在し、回路基板300の短手方向が計測部113の側面123から側面124に向かって延在するように計測部113内に配置される。
【0037】
回路基板300は、回路室135内に配置される本体部301を有しており、温度検出通路136に配置される第1突出部302と、湿度計測室137に配置される第2突出部303と、第2副通路134Bの往通路部134B1に配置される第3突出部304とがそれぞれ本体部301から面一に延びるように設けられている。第1突出部302の先端部には、吸気温度センサ321が実装され、第2突出部303には湿度センサ322が実装されている。第3突出部304は、第2副通路134Bの往通路部134B1においてチップパッケージ310と対向して配置される。
【0038】
チップパッケージ310は、流量センサ311とLSIとリードフレームを樹脂でモールドした樹脂パッケージの構造を有している。流量センサ311とLSIは、リードフレームに実装されている。チップパッケージ310は、流量センサ311のダイヤフラムが露出するように流量センサ311を樹脂で封止することによって形成されている。チップパッケージ310は、モールド樹脂によって形成された所定の板厚を有する平板形状のパッケージ本体312を有している。チップパッケージ310は、パッケージ本体312の基端部312Aが回路室135内に配置され、パッケージ本体312の先端部312Bが第2副通路溝152に突出して配置される。チップパッケージ310は、固定部によって、回路基板300に電気的に接続され、かつ、機械的に固定される。
【0039】
パッケージ本体312の基端部312Aには、複数本の接続端子313が設けられている。複数の接続端子313は、パッケージ本体312の基端部312Aの幅方向両端部からパッケージ本体312の幅方向に沿って互いに離反する方向に向かって突出して設けられており、各接続端子313の先端は、基端部312Aの厚さ方向に折曲されて基端部312Aの背面318よりも突出した位置に配置されている。
【0040】
パッケージ本体312の先端部312Bは、第2副通路134Bの往通路部134B1内において回路基板300の第3突出部304に対向して配置される。パッケージ本体312の先端部312Bには、一対の通路壁314によって間に凹溝が形成されている。一対の通路壁314は、パッケージ本体312の先端部312Bの背面315においてパッケージ本体312の幅方向に亘って延在するように形成されており、延在する方向の中間位置でかつ凹溝の底面には流量センサ311が露出して配置されている。
【0041】
チップパッケージ310は、第2副通路134Bの往通路部134B1に沿って一対の通路壁314が延在するようにハウジング100に対して配置される。チップパッケージ310は、流量センサ311が回路基板300の一部である第3突出部304と対向するように配置される。これにより、パッケージ本体312の凹溝と回路基板300の第3突出部304との間には通路Dが形成されている。通路Dには、第2副通路134Bを流れる被計測気体2が通過し、流量センサ311によって被計測気体2の流量が検出される。
【0042】
チップパッケージ310は、接続端子313を回路基板300にはんだ付けすることによって回路基板300に固定される。つまり、はんだ付けされた部分が、チップパッケージ310を回路基板300に電気的に接続し、かつ、機械的に固定する固定部を構成する。ただし、チップパッケージ310を回路基板300に固定する固定方法としては、はんだ付けに限定されるものではない。例えば、複数の接続端子をプレスフィット端子によって構成し、これらのプレスフィット端子を回路基板300に穿設されたスルーホールに挿入することによって接続するプレスフィットや、銀ペーストなどの導電性接着剤を塗布して複数の接続端子313を回路基板300の接続パッドに接着して固定する方法を採用してもよい。
【0043】
チップパッケージ310は、接続端子313の端部がパッケージ本体312の基端部312Aの背面318よりも厚さ方向に突出して配置されているので、接続端子313を回路基板300にはんだ付けすることによって、パッケージ本体312の基端部312Aの背面318と回路基板300の本体部301の実装面との間に所定の間隙が形成された状態で、回路基板300に固定される。
【0044】
本実施形態のチップパッケージ310は、図4に示すように通路壁314の両側の面、つまり、パッケージ本体312の基端部312Aの背面318と、パッケージ本体312の先端部312Bの背面315とが面一の構成となっており、パッケージ本体312の先端部312Bの背面315には、背面315から突出する突起部316が設けられている。突起部316は、パッケージ本体312を形成するモールド樹脂によって形成されており、樹脂部である通路壁314の一部を突出させることによって形成されている。
【0045】
突起部316は、チップパッケージ310の基端部312Aを回路基板300の本体部301に配置した状態で、回路基板300の第3突出部304に接触してチップパッケージ310の先端部312Bを支持する形状を有している。突起部316が回路基板300と接触する箇所は、チップパッケージ310が回路基板300に固定される固定部よりも流量センサ311側に位置している。特に、図4に示す実施例では、突起部316は、パッケージ本体312の先端部312Bの背面315のうち、凹溝よりもパッケージ本体312の先端側の面に突出して設けられている。流量センサ311は、チップパッケージ310を回路基板300に固定する固定部と、回路基板300に接触する突起部316との間に位置している。
【0046】
したがって、チップパッケージ310を回路基板300にはんだ固定する際に、パッケージ本体312の基端部312Aを接続端子313で支持し、パッケージ本体312の先端部312Bを突起部316で支持して、パッケージ本体312を回路基板300に両端支持し、回路基板300に対するパッケージ本体312の姿勢状態を安定させることができる。したがって、パッケージ本体312の先端部312B側が回路基板300に接近または離反する方向に動いて回路基板300に対してチップパッケージ310が基準よりも傾いた姿勢ではんだ固定されるのを防ぐことができる。
【0047】
なお、突起部316は、モールド樹脂に限定されるものではなく、回路基板300の第3突出部304に接触してチップパッケージ310の先端部312Bを支持することができるものであればよく、例えば、リードフレームの一部をパッケージ本体312から突出させることによって構成してもよい。
【0048】
図13は、比較例を説明する図であり、図4に対応する図である。
図13に示す比較例の場合、図4に示す構成と比較して、パッケージ本体312の先端部312Bの背面315に突起部316が設けられておらず、パッケージ本体312の先端部312Bが回路基板300から浮いた状態となっている。つまり、比較例のチップパッケージ310’は、回路基板300に対してパッケージ本体312の基端部312Aが片持ち支持された状態となっている。
【0049】
したがって、チップパッケージ310’を回路基板300にはんだ固定する際にパッケージ本体312の姿勢が不安定で、図13に矢印で示すように、パッケージ本体312の先端部312B側が回路基板300に接近または離反する方向に動く可能性がある。そして、回路基板300に対してチップパッケージ310が基準よりも傾いた姿勢ではんだ固定された場合に、通路Dの大きさが変化して、各個体の流量検出精度にばらつきが生じるおそれがある。
【0050】
これに対し、本実施形態では、図4に示すように、パッケージ本体312の先端部312Bに突起部316を設けて、突起部316を回路基板300に接触させて先端部312Bを支持しているので、パッケージ本体312の基端部312Aと先端部312Bの両方を支持することができる。したがって、回路基板300に対するパッケージ本体312の姿勢状態を安定させることができ、チップパッケージ310を回路基板300にはんだ固定する際に、回路基板300に対してチップパッケージ310が傾いた姿勢状態ではんだ固定されるのを防ぐことができる。したがって、通路Dの大きさを一定にすることができ、各個体の流量検出精度にばらつきが生じるのを防ぐことができる。
【0051】
図5から図7は、他の変形例を説明する図であって図4に対応する図である。
図5に示す変形例は、突起部316を設ける代わりに、パッケージ本体312の先端部312Bの背面315のうち、通路壁314の片側の面である先端部312B側の対向面315’を、基端部312Aの背面318よりも突出した位置に形成して、回路基板300の第3突出部304に面接触させる構成を有する。本変形例によれば、パッケージ本体312のパッケージ本体312の先端部312B側が基端部312Aよりも回路基板300に接近または離反する方向に傾くのを抑制することができ、パッケージ本体312を安定した姿勢状態で回路基板300に支持させることができる。
【0052】
図6に示す変形例は、突起部316を設ける代わりに、パッケージ本体312の先端部312Bの背面315のうち、通路壁314よりも基端部312A側の部分に突出する突起部317を設けて、回路基板300の第3突出部304に接触させる構成を有する。本変形例によれば、図5に示す変形例と同様に、パッケージ本体312の先端部312B側が基端部312Aよりも回路基板300に接近または離反する方向に傾くのを抑制することができ、パッケージ本体312を安定した姿勢状態で回路基板300に支持させることができる。
【0053】
図7に示す変形例は、図5に示す構成と図6に示す構成を合わせて、上述した対向面315’と突起部317を回路基板300と接触させたものである。つまり、パッケージ本体312の先端部312Bの背面315のうち、通路壁314よりも先端部312B側の対向面315’を、基端部312Aの背面318よりも突出した位置に形成して、回路基板300の第3突出部304に面接触させる構成と、パッケージ本体312の先端部312Bの背面315のうち、通路壁314よりも基端部312A側の部分に突出する突起部317を設けて、回路基板300の第3突出部304に接触させる構成とを有する。
本変形例によれば、通路壁314の両側の面である、対向面315’と突起部317の両方を回路基板300にそれぞれ接触させる構成を有しているので、パッケージ本体312の先端部312B側が基端部312Aよりも回路基板300に接近または離反する方向に傾くのを、より確実に抑制することができ、パッケージ本体312を安定した姿勢状態で回路基板300に支持させることができる。
【0054】
図9から図11は、他の変形例を説明する図であって、図8に対応する図である。
図9に示す変形例は、パッケージ本体312の先端部312Bの背面315のうち、通路壁314よりも先端部312B側に突起部316を2つ設けたものである。2つの突起部316は、パッケージ本体312の幅方向に離隔した位置に分かれて配置されており、パッケージ本体312の幅方向の傾きを抑制してパッケージ本体312を安定した姿勢状態で回路基板300に支持させることができる。
【0055】
図10に示す変形例は、パッケージ本体312の先端部312Bの背面315のうち、通路壁314よりも先端部312B側に突起部316を設けるとともに、通路壁314よりも基端部312A側に突起部317を設けたものである。突起部316、317は、パッケージ本体312の幅方向中央の位置に配置されており、パッケージ本体312のパッケージ本体312の先端部312B側が基端部312Aよりも回路基板300に接近または離反する方向に傾くのを抑制してパッケージ本体312を安定した姿勢状態で回路基板300に支持させることができる。
【0056】
図11に示す変形例は、図10に示す突起部316、317をそれぞれ2つ設けたものである。2つの突起部316、317は、パッケージ本体312の幅方向に離隔した位置に分かれて配置されており、パッケージ本体312の幅方向の傾きと、パッケージ本体312のパッケージ本体312の先端部312B側が基端部312Aよりも回路基板300に接近または離反する方向に傾くのを抑制してパッケージ本体312を安定した姿勢状態で回路基板300に支持させることができる。
【0057】
上述の本実施形態における流量測定装置20によれば、パッケージ本体312の基端部312Aと先端部312Bの両方を回路基板300に支持させることができ、回路基板300に対するパッケージ本体312の姿勢状態を安定させることができる。したがって、チップパッケージ310を回路基板300にはんだ固定する際に、回路基板300に対してチップパッケージ310が傾いた姿勢状態ではんだ固定されるのを防ぐことができ、通路Dの大きさを一定にすることができ、各個体の流量検出精度にばらつきが生じるのを防ぐことができる。
【0058】
<第2実施形態> 図12は、第2実施形態におけるチップパッケージが実装された回路基板の正面図であり、図3に対応する図である。
【0059】
本実施例において特徴的なことは、チップパッケージ310の代わりに、流量センサ311が実装される実装基板330を用いたことである。上述の各実施例では、流量センサ311を有するチップパッケージ310を回路基板300に実装する場合を例に説明したが、流量センサ311が回路基板300の第3突出部304と対向するように回路基板300に固定されていればよく、チップパッケージ310は必須の要素ではない。
【0060】
実装基板330は、回路基板300の本体部301に基板本体331の基端部が固定され、先端部が突出して第2副通路134Bに配置されるようになっている。流量センサ311は、実装基板330の背面に設けられており、第2副通路134Bに流れ込んだ被計測気体2が通過できるように、回路基板300の第3突出部304との間に所定の間隔を空けて対向して配置されている。そして、基板本体331の先端部には、基板本体331の背面から回路基板300に向かって突出する突起部333が設けられている。突起部333は、回路基板300の第3突出部304に接触して、基板本体331の先端部を支持するように構成されている。
【0061】
なお、本実施形態では、突起部333を実装基板330の基板本体331に設ける場合を例に説明したが、実装基板330の先端部を支持して回路基板300の第3突出部304に対する基板本体331の傾きを抑制することができるものであればよい。例えば、回路基板300の第3突出部304から実装基板330に向かって突出して実装基板330の基板本体331の背面に接触させて、実装基板330の先端部を支持する構成としてもよい。
【0062】
実装基板330は、基板本体331と基板本体331から突出する複数の接続端子332を有している。実装基板330は、複数の接続端子332を回路基板300に接続することによって固定される。複数の接続端子332を回路基板300に固定する固定方法としては、例えばはんだを用いることができる。但し、固定方法は、はんだに限定されるものではなく、複数の接続端子をプレスフィット端子によって構成し、これらのプレスフィット端子を回路基板300に穿設されたスルーホールに挿入することによって接続するプレスフィットや、銀ペーストなどの導電性接着剤を塗布して複数の接続端子332を回路基板300の接続パッドに接着して固定する方法を採用してもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
300 回路基板(基板)
304 第3突出部(基板の一部)
310 チップパッケージ(樹脂パッケージ)
311 流量センサ(流量検出素子)
312 パッケージ本体
312A 基端部
312B 先端部
313 接続端子
314 通路壁
315 背面
316 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13