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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】車両およびそれに用いられる携帯端末
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230419BHJP
【FI】
G05D1/02 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022500256
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048761
(87)【国際公開番号】W WO2021161678
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】P 2020021836
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000201766
【氏名又は名称】ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101351
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】有宗 伸泰
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-123829(JP,A)
【文献】特開2005-339181(JP,A)
【文献】国際公開第2013/069147(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由走行可能な自由走行領域と代替走行可能な代替走行領域と遠隔走行可能な遠隔走行領域とを走行可能な車両であって、
当該車両の位置に関する位置情報に基づいて、当該車両が前記自由走行領域にあるか前記代替走行領域にあるか前記遠隔走行領域にあるかを判定する第1判定部と、
当該車両が前記自由走行領域にあると前記第1判定部が判定すれば運転者が当該車両の運転を自由に行なう自由走行モードに当該車両を設定し、当該車両が前記代替走行領域にあると前記第1判定部が判定すれば当該車両の運転を運転者に代わって自動で行なう代替走行モードに当該車両を設定し、当該車両が前記遠隔走行領域にあると前記第1判定部が判定すれば運転者に代わって遠隔操作で当該車両を運転する遠隔走行モードに当該車両を設定するモード設定部と、
前記モード設定部によって設定された走行モードに応じて当該車両の動作を制御する制御部とを備える、車両。
【請求項2】
前記位置情報として当該車両の位置を検出する位置検出部と、
前記自由走行領域と前記代替走行領域と前記遠隔走行領域とを含むエリア情報を記憶する記憶部とをさらに含み、
前記第1判定部は、前記位置検出部の検出結果と前記エリア情報とに基づいて、当該車両が前記自由走行領域にあるか前記代替走行領域にあるか前記遠隔走行領域にあるかを判定する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記位置情報として当該車両が前記自由走行領域にあるか前記代替走行領域にあるか前記遠隔走行領域にあるかを示す領域情報を検出する領域検出部をさらに含み、
前記第1判定部は、前記領域検出部の検出結果に基づいて、当該車両が前記自由走行領域にあるか前記代替走行領域にあるか前記遠隔走行領域にあるかを判定する、請求項1に記載の車両。
【請求項4】
当該車両の走行モードの信号を入力する入力部をさらに含み、
前記モード設定部は、前記入力部によって前記自由走行モードの信号が入力されたとき、当該車両が前記代替走行領域にあっても当該車両を前記自由走行モードに設定する、請求項1から3のいずれかに記載の車両。
【請求項5】
前記入力部は、当該車両の走行モードの信号として前記代替走行モードの信号を入力可能であり、
前記代替走行モードは、当該車両の操舵、速度設定および加減速を自動で行なう一部代替走行モードを含み、
前記モード設定部は、前記入力部によって前記代替走行モードの信号が入力されかつ当該車両が前記代替走行領域にあれば当該車両を前記一部代替走行モードに設定する、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記代替走行モードは、当該車両の操舵、速度設定、加減速、発進および停止を自動で行なう完全代替走行モードを含む、請求項1から3のいずれかに記載の車両。
【請求項7】
当該車両が正常に代替走行可能か否かを判定する第2判定部をさらに含み、
前記制御部は、前記代替走行モード時において当該車両が正常に代替走行できないと前記第2判定部が判定すれば前記代替走行モードを解除する、請求項1から6のいずれかに記載の車両。
【請求項8】
当該車両が正常に遠隔走行可能か否かを判定する第3判定部をさらに含み、
前記制御部は、前記遠隔走行モード時において当該車両が正常に遠隔走行できないと前記第3判定部が判定すれば前記遠隔走行モードを解除する、請求項1から7のいずれかに記載の車両。
【請求項9】
当該車両が正常に走行可能か否かを判定する第4判定部をさらに含み、
前記制御部は、当該車両が正常に走行できないと前記第4判定部が判定すれば当該車両を停止させる走行禁止モードに当該車両を設定する、請求項1からのいずれかに記載の車両。
【請求項10】
前記自由走行領域は、対面通行領域を含み、
前記代替走行領域は、一方通行領域を含む、請求項1からのいずれかに記載の車両。
【請求項11】
前記代替走行領域は、当該車両が自動走行可能な既定経路を含む、請求項1から10のいずれかに記載の車両。
【請求項12】
ゴルフカートである、請求項1から11のいずれかに記載の車両。
【請求項13】
自由走行可能な自由走行領域と代替走行可能な代替走行領域と遠隔走行可能な遠隔走行領域とを走行可能な車両と通信可能な携帯端末であって、
前記車両の位置に関する位置情報に基づいて、前記車両が前記自由走行領域にあるか前記代替走行領域にあるか前記遠隔走行領域にあるかを判定する第1判定部と、
前記車両が前記自由走行領域にあると前記第1判定部が判定すれば運転者が前記車両の運転を自由に行なう自由走行モードに前記車両を設定し、前記車両が前記代替走行領域にあると前記第1判定部が判定すれば前記車両の運転を運転者に代わって自動で行なう代替走行モードに前記車両を設定し、前記車両が前記遠隔走行領域にあると前記第1判定部が判定すれば運転者に代わって遠隔操作で前記車両を運転する遠隔走行モードに前記車両を設定するモード設定部とを備える、携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両およびそれに用いられる携帯端末に関し、より特定的には、ゴルフカートなどの車両およびそれに用いられる携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術の一例が特許文献1において開示されている。特許文献1には、メモリから許可区域および制限区域を備えているローカルエリアの仮想地図を読み込む手段、ナビゲーション装置を用いて現在の車両の位置を決定する手段、およびマッピングプロセッサを現在の車両位置と合わせて用いて制限区域への侵入を予想する手段を備える、車両制御システムが開示されている。この車両制御システムでは、車両が制限区域に入ると、車両の運動能力を中断し、車両が制限区域内にいる間、車速を下げることができる。また、車両が所定時間制限区域内に残る場合、車両の前進運動能力を禁止し、さらに、車両が所定時間を超えて制限区域内に残る場合、車両の前進運動能力を恒久的に禁止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2005-521170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように特許文献1に示す車両制御システムでは、車両が制限区域に入ると、車両の運動能力に制限を加え、車両を制限区域から退去するようにユーザに促すことはできる。しかしながら、車両の運転自体は依然としてユーザに委ねられているので、車両を制限区域から即座に退去させなければならない場合であっても、ユーザに退去の意思がなければ、車両は制限区域内にとどまったままで制限区域から退去しない場合がある。このように、特許文献1の技術では、許可区域および制限区域のそれぞれに応じて適切に車両を走行させることができないおそれがある。
【0005】
それゆえにこの発明の主たる目的は、走行領域に応じて適切に走行させることができる、車両およびそれに用いられる携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の或る見地によれば、自由走行可能な自由走行領域と代替走行可能な代替走行領域とを走行可能な車両であって、当該車両の位置に関する位置情報に基づいて、当該車両が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるかを判定する第1判定部と、当該車両が自由走行領域にあると第1判定部が判定すれば運転者が当該車両の運転を自由に行なう自由走行モードに当該車両を設定し、その一方、当該車両が代替走行領域にあると第1判定部が判定すれば当該車両の運転を運転者に代わって自動で行なう代替走行モードに当該車両を設定するモード設定部と、モード設定部によって設定された走行モードに応じて当該車両の動作を制御する制御部とを備える、車両が提供される。
【0007】
また、自由走行可能な自由走行領域と代替走行可能な代替走行領域とを走行可能な車両と通信可能な携帯端末であって、車両の位置に関する位置情報に基づいて、車両が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるかを判定する第1判定部と、車両が自由走行領域にあると第1判定部が判定すれば運転者が車両の運転を自由に行なう自由走行モードに車両を設定し、その一方、車両が代替走行領域にあると第1判定部が判定すれば車両の運転を運転者に代わって自動で行なう代替走行モードに車両を設定するモード設定部とを備える、携帯端末が提供される。
【0008】
上述の発明では、車両が自由走行領域と代替走行領域とを含む領域を走行する場合、車両の位置に関する位置情報に基づいて、車両が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるかを判定する。車両が自由走行領域にあれば、運転者が車両の運転を自由に行なう自由走行モードに車両を設定し、その一方、車両が代替走行領域にあれば、車両の運転を運転者に代わって自動で行なう代替走行モードに車両を設定する。車両は、設定された走行モードに応じて動作する。したがって、走行領域に応じて適切に車両を走行させることができる。
【0009】
好ましくは、位置情報として当該車両の位置を検出する位置検出部と、自由走行領域と代替走行領域とを含むエリア情報を記憶する記憶部とをさらに含み、第1判定部は、位置検出部の検出結果とエリア情報とに基づいて、当該車両が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるかを判定する。この場合、位置検出部によって検出された車両の位置と、記憶部に記憶されたエリア情報との比較に基づいて、車両が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるかを容易に判定できる。
【0010】
また好ましくは、位置情報として当該車両が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるかを示す領域情報を検出する領域検出部をさらに含み、第1判定部は、領域検出部の検出結果に基づいて、当該車両が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるかを判定する。この場合、たとえば車両の走行領域に領域情報(自由走行領域か代替走行領域か)を表示(発信)する部材を予め設けておき、車両の走行時に領域検出部がその領域情報を検出するだけで、車両が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるかを容易に判定できる。また、走行領域のうち領域検出部が検出可能な箇所に、領域情報を表示(発信)する部材を配置すればよいので、地形や大きさの異なる様々な走行領域であっても容易に対応できる。
【0011】
さらに好ましくは、当該車両の走行モードの信号を入力する入力部をさらに含み、モード設定部は、入力部によって自由走行モードの信号が入力されたとき、当該車両が代替走行領域にあっても当該車両を自由走行モードに設定する。この場合、車両が代替走行領域にあっても車両を自由走行させる必要があれば、入力部によって自由走行モードの信号を入力するだけで容易に対応でき、車両が代替走行領域にあっても適切に車両を自由走行させることができる。
【0012】
好ましくは、入力部は、当該車両の走行モードの信号として代替走行モードの信号を入力可能であり、代替走行モードは、当該車両の操舵、速度設定および加減速を自動で行なう一部代替走行モードを含み、モード設定部は、入力部によって代替走行モードの信号が入力されかつ当該車両が代替走行領域にあれば当該車両を一部代替走行モードに設定する。この場合、代替走行領域にある車両について、操舵、速度設定および加減速を自動で行なう一部代替走行モードを選択することが望ましいとき、入力部によって代替走行モードの信号が入力されるだけで、容易に当該モードに設定できる。
【0013】
また好ましくは、代替走行モードは、当該車両の操舵、速度設定、加減速、発進および停止を自動で行なう完全代替走行モードを含む。この場合、車両の操舵、速度設定、加減速、発進および停止を自動で行なう完全代替走行モードを用いることによって、車両の運転の一切を運転者に代わって制御部が自動で行なうことができる。代替走行領域が車両の進入禁止領域であり、車両が直ちに当該領域から退去する必要がある場合に好適となる。
【0014】
さらに好ましくは、当該車両が正常に代替走行可能か否かを判定する第2判定部をさらに含み、制御部は、代替走行モード時において当該車両が正常に代替走行できないと第2判定部が判定すれば代替走行モードを解除する。この場合、代替走行モード時において車両が正常に代替走行できないとき代替走行モードを解除することによって、他の走行モードで当該車両の動作を制御することができる。
【0015】
好ましくは、第1判定部は、当該車両が遠隔走行可能な遠隔走行領域にあるか否かをさらに判定可能であり、モード設定部は、当該車両が遠隔走行領域にあると第1判定部が判定すれば運転者に代わって遠隔操作で当該車両を運転する遠隔走行モードに当該車両を設定する。この場合、車両が遠隔走行領域にあれば運転者に代わって遠隔操作で車両を運転する遠隔走行モードに車両を設定し、車両は、遠隔走行モードに応じて動作する。したがって、走行領域に応じてさらに適切に車両を走行させることができる。
【0016】
また好ましくは、当該車両が正常に遠隔走行可能か否かを判定する第3判定部をさらに含み、制御部は、遠隔走行モード時において当該車両が正常に遠隔走行できないと第3判定部が判定すれば遠隔走行モードを解除する。この場合、遠隔走行モード時において車両が正常に遠隔走行できないとき遠隔走行モードを解除することによって、他の走行モードで当該車両の動作を制御することができる。
【0017】
さらに好ましくは、当該車両が正常に走行可能か否かを判定する第4判定部をさらに含み、制御部は、当該車両が正常に走行できないと第4判定部が判定すれば当該車両を停止させる走行禁止モードに当該車両を設定する。この場合、車両が正常に走行できないとき車両を走行禁止モードに設定することによって、当該車両を停止させることができる。
【0018】
好ましくは、自由走行領域は、対面通行領域を含み、代替走行領域は、一方通行領域を含む。この場合、運転者が車両の運転を自由に行なう自由走行モードは、車両が対面通行する対面通行領域に好適となり、その一方、車両の運転を運転者に代わって自動で行なう代替走行モードは、一方通行領域に好適となる。
【0019】
また好ましくは、代替走行領域は、当該車両が自動走行可能な既定経路を含む。この場合、車両の運転を運転者に代わって自動で行なう代替走行モードは、車両が自動走行可能な既定経路に好適となる。
【0020】
ゴルフ場は、自由走行可能な領域と、自由走行が制限され代替走行が好ましい領域とを有するので、この発明は、ゴルフカートに好適に用いられる。
【0021】
なお、「自由走行モード」では、典型的には、運転者が車両の操舵、速度設定、加減速、発進および停止を自由に行なう。
【0022】
「代替走行モード」は、一部代替走行モードと完全代替走行モードとを含む。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、走行領域に応じて車両を適切に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の一実施形態に係る車両および基地局等の電気的構成を示すブロック図である。
図2】(a)はメインキーの一例を示す図解図であり、(b)はメインキーの他の例を示す図解図である。
図3】走行モードとして一部代替走行モード、自由走行モードおよび遠隔走行モードを含む場合の状態遷移図である。
図4】走行モードとして一部代替走行モード、自由走行モードおよび遠隔走行モードを含む場合の動作を説明するための図解図である。
図5】走行モードとして完全代替走行モード、自由走行モードおよび遠隔走行モードを含む場合の状態遷移図である。
図6】走行モードとして完全代替走行モード、自由走行モードおよび遠隔走行モードを含む場合の動作を説明するための図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照してこの発明の好ましい実施形態について説明する。ここでは、この発明の一実施形態に係る車両10をゴルフカートに適用した場合について説明する。
【0026】
図1を参照して、車両10は、車両本体11を含む。
【0027】
車両本体11は、メインキー12、バッテリ14、電源回路16およびコントローラ18を含む。
【0028】
図2(a)を参照して、メインキー12は、車両10の電源をオフする「OFF」、車両10の電源をオンし自由走行モードに設定する「ON」、および車両10の電源をオンし一部代替走行モードに設定する「AUTO」のいずれかに切り替えられる。バッテリ14は、たとえば12Vバッテリである。メインキー12がオンされると、バッテリ14からの電力が電源回路16に入力され、電力回路16から必要な電力がコントローラ18へ出力される。
【0029】
コントローラ18は、CPU20と、メモリ22とを含む。
【0030】
CPU20は、車両10の各部の動作を制御する。CPU20には、バッテリ14からバッテリ残量等を示す情報が与えられる。メモリ22には、図3に示す動作を行なうためのプログラム等が記憶される。メインキー12によって入力された走行モードの信号は、CPU20を介して、後述する車載制御器50のCPU62に与えられる。
【0031】
車両本体11はさらに、モータ24、ブレーキユニット26、駆動輪28、アクセルペダル30およびブレーキペダル32を含む。
【0032】
モータ24には、バッテリ14からの電力が供給され、モータ24によって駆動輪28が駆動される。ブレーキユニット26は、モータ24と駆動輪28との間に設けられ、ブレーキユニット26によって駆動輪28が制動される。自由走行モードでは、アクセルペダル30の操作量に応じて、モータ24の出力が調節され、ブレーキペダル32の操作量に応じて、ブレーキユニット26による制動力が調節され、駆動輪28の動作が制御される。
【0033】
車両本体11はさらに、ハンドル34、操舵ユニット36および操舵輪38を含む。
【0034】
ハンドル34は操舵ユニット36に接続され、操舵ユニット36は、操舵輪38に接続される。自由走行モードでは、ハンドル34によって操舵ユニット36が駆動され、それに応じて操舵輪38が操舵される。
【0035】
車両本体11はさらに、誘導センサ40および定点センサ42を含む。
【0036】
図4を参照して、誘導センサ40は、既定経路Pに設けられた誘導線Lが発する磁界を検出可能に地面に対向するように車両10の下部に設けられる。定点センサ42は、既定経路Pに設けられた定点部材Aからの信号を読取可能に地面に対向するように車両10の下部に設けられる。
【0037】
一部代替走行モードでは、車両10は、既定経路Pの中央に設けられた誘導線Lに沿って自動走行する。一部代替走行可能な代替走行領域では、誘導線Lは既定経路Pの地中に埋め込まれており、誘導センサ40は、誘導線Lが発する磁界を受信して、CPU20に検出信号を出力する。CPU20は、誘導線Lが誘導センサ40の中央から車幅方向の所定範囲内に収まるように、操舵ユニット36を制御する。これにより、車両10は、誘導線Lに沿って既定経路P上を一部代替走行(自動走行)する。
【0038】
また、誘導線Lに沿って予め定められた複数の位置に定点部材Aが埋設される。定点部材Aは、たとえば複数の磁石の組み合わせで構成される。定点センサ42は、定点部材Aからの磁極情報を読取可能に構成され、たとえば磁極センサからなる。定点部材Aは、たとえば、車両10への指示車速を指示する指示信号等を発信する。車両10が定点部材A上を通過すると、定点センサ42は、当該通過した定点部材Aからの指示信号を受信し、当該指示信号をCPU20に対して出力する。CPU20は、指示信号に応じて、車両10の走行、停止、減速等を制御する。
【0039】
図1に戻って、このように一部代替走行モードでは、CPU20には、誘導センサ40および定点センサ42からの信号や情報が入力される。CPU20は、これらの信号や情報に基づいて、操舵ユニット36、モータ24およびブレーキユニット26に指示信号を出力し、車両10の操舵、駆動および制動を制御する。
【0040】
車両本体11はさらに、通信器44、受信アンテナ46および送受信アンテナ48を含む。車両10はさらに、車載制御器50および発進・停止リモコン52を含む。
【0041】
車両本体11は、通信器44を介して、車両本体11に搭載される車載制御器50に通信可能に接続され、受信アンテナ46を介して、発進・停止リモコン52からの信号を受信し、送受信アンテナ48を介して、基地局54との間で信号を送受信する。
【0042】
車載制御器50は、コントローラ56、測位センサ58および通信器60を含む。コントローラ56は、CPU62とメモリ64とを含む。メモリ64には、自由走行可能な自由走行領域、代替走行可能な代替走行領域および遠隔走行可能な遠隔走行領域を含むエリア情報が記憶される。測位センサ58は、たとえばGPS信号を受信してCPU62に与える。CPU62は、GPS信号に基づいて、車両10の位置に関する位置情報として、車両10の現在の位置を検出し、その検出結果とメモリ64に記憶されたエリア情報とに基づいて、車両10が自由走行領域、代替走行領域および遠隔走行領域のいずれにあるかを判定する。CPU62には、メインキー12によって選択された走行モードの信号が、CPU20、通信器44および通信器60を介して与えられ、CPU62は、当該走行モードの信号と、車両10がどの走行領域に位置するかを示す情報とに基づいて、走行モードを、自由走行モード、一部代替走行モードおよび遠隔走行モードのいずれかに設定する。CPU62によって設定された走行モードを示す信号は、通信器60を介して車両本体11の通信器44に送信され、車両本体11のCPU20に与えられる。
【0043】
発進・停止リモコン52は、スイッチ66と送信アンテナ68とを含む。スイッチ66の操作に応じた発進信号または停止信号は、送信アンテナ68から送信され、車両本体11の受信アンテナ46で受信され、車両本体11のCPU20に与えられて、車両10が発進または停止される。
【0044】
基地局54は、ハンドル70、アクセルペダル72、ブレーキペダル74、コントローラ76、モニタ78および送受信アンテナ80を含む。車両10を遠隔走行モードで走行させるとき、基地局54のオペレータがハンドル70、アクセルペダル72およびブレーキペダル74を操作する。コントローラ76は、CPU82を含む。CPU82は、ハンドル70、アクセルペダル72およびブレーキペダル74から与えられた指示信号に基づいて、車両10の遠隔操縦用の指示信号を、送受信アンテナ80から送信する。すると、車両本体11の送受信アンテナ48が当該指示信号を受信し、車両本体11のCPU20に与え、車両10が遠隔操縦される。モニタ78には、車両10の位置などの各種情報が表示される。
【0045】
この実施形態では、メインキー12が入力部に対応する。CPU20が、制御部、第2判定部、第3判定部および第4判定部に対応する。測位センサ58およびCPU62が位置検出部に対応する。CPU62が、第1判定部およびモード設定部に対応する。メモリ64がエリア情報を記憶する記憶部に対応する。
【0046】
このような車両10では、一部代替走行モードに設定された場合、CPU20は、誘導センサ40および定点センサ42からの情報に基づいて、操舵ユニット36、モータ24およびブレーキユニット26を制御し、車両10の操舵、速度設定および加減速を自動で行なう。車両10の発進および停止は、たとえば発進・停止リモコン52の操作によって行われる。
【0047】
自由走行モードに設定された場合には、操舵ユニット36、モータ24およびブレーキユニット26はそれぞれ、CPU20からの制御信号に基づいて動作されるのではなく、ハンドル34、アクセルペダル30およびブレーキペダル32の操作に応じて動作される。
【0048】
遠隔走行モードに設定された場合には、CPU20は、基地局54から無線で与えられる遠隔操縦用の指示信号に基づいて、操舵ユニット36、モータ24およびブレーキユニット26を制御し、車両10の操舵、速度設定、加減速、発進および停止は、遠隔操作で行なわれる。
【0049】
なお、CPU20は、走行許可状態の車両10について一つ以上の走行機能が不全になれば、車両10の走行を禁止する。たとえば、CPU20は、バッテリ14から与えられる情報に基づいて、バッテリ残量が所定値未満であることを検出すると、走行機能が不全であるとして、車両10の走行を禁止する。
【0050】
このような車両10の状態遷移について説明する。
【0051】
図3を参照して、まず、メインキー12が一部代替走行モードを示す「AUTO」に合わせられ電源回路16がオンされると、CPU20によって、車両10はデフォルトで走行禁止状態とされ、車両10の走行機能が確認される。車両10の走行機能がすべて健全であれば、CPU20によって、車両10の走行が許可され、デフォルトで一部代替走行モードに設定される。
【0052】
車両10は、メインキー12が「AUTO」を指し、かつ車両10が代替走行領域に位置する限り、一部代替走行モードで走行する。すなわち、CPU62は、メインキー12によって代替走行モードの信号が入力されかつ車両10が代替走行領域にあれば、車両10を一部代替走行モードに設定し、CPU20は、設定された一部代替走行モードにしたがって車両10を走行させる。
【0053】
しかし、一部代替走行モードで走行中の車両10において、メインキー12が自由走行モードを示す「ON」に切り替えられたときや、車両10が自由走行領域に侵入したときには、CPU62によって車両10の走行モードは自由走行モードに切り替えられる。したがって、CPU62は、メインキー12から自由走行モードの信号が入力されたとき、車両10が代替走行領域にあっても車両10を自由走行モードに設定する。CPU20は、設定された自由走行モードにしたがって車両10を走行させる。
【0054】
また、一部代替走行モードで走行中の車両10において一つ以上の一部代替走行機能が不全になれば、CPU20によって自由走行モードに切り替えられる。すなわち、CPU20は、一部代替走行モード時において車両10が正常に一部代替走行できないと判定すれば、一部代替走行モードを解除する。たとえば、誘導線Lや定点部材Aが破損していたり、誘導線Lや定点部材A上に障害物があったり、誘導センサ40や定点センサ42自体が破損している結果、CPU20が、誘導センサ40や定点センサ42からの信号を良好に受信できず、一部代替走行に支障をきたす場合が挙げられる。
【0055】
一部代替走行モードまたは自由走行モードで走行中に車両10が遠隔走行領域に侵入すると、CPU62によって遠隔走行モードに切り替えられる。CPU20は、設定された遠隔走行モードにしたがって車両10を走行させる。一方、遠隔走行モードで走行中に車両10が遠隔走行領域から脱すると、CPU62によって自由走行モードに切り替えられる。
【0056】
また、遠隔走行モードで走行中の車両10において一つ以上の遠隔走行機能が不全になれば、CPU20によって自由走行モードに切り替えられる。すなわち、CPU20は、遠隔走行モード時において車両10が正常に遠隔走行できないと判定すれば、遠隔走行モードを解除する。たとえば、CPU20が、基地局54からの遠隔操縦用の指示信号を良好に受信できない場合が挙げられる。
【0057】
また、走行許可状態の車両10において一つ以上の走行機能が不全になれば、CPU20によって走行禁止状態に戻される。すなわち、CPU20は、車両10が正常に走行できないと判定すれば、車両10を停止させる走行禁止モードに車両10を設定する。
【0058】
図4を参照して、このような車両10の動作を具体的に説明する。
【0059】
ここでは、ゴルフ場のクラブハウス側エリアとゴルフコース側エリアとが狭い橋によって繋がれ、ゴルフカートである車両10が、クラブハウス側エリアから橋を渡ってゴルフコース側エリアに入り各ホールを回った後、再び橋を渡ってクラブハウス側エリアに戻る場合を想定する。この場合、クラブハウス側エリアおよびゴルフコース側エリアは代替走行領域を含み、橋が自由走行領域を含む。当該代替走行領域は、一方通行領域を含み、車両10が一部代替走行(自動走行)可能な既定経路Pを含む。当該自由走行領域は、対面通行領域を含む。また、クラブハウス側エリア、ゴルフコース側エリアおよび橋はそれぞれ、河川に近い縁部に、遠隔走行領域を含む。
【0060】
まず、図4に示すように、車両10は、メインキー12を「AUTO」に合わせた状態で、クラブハウス側エリアから出発する。車両10は、クラブハウス側エリア(代替走行領域)では既定経路P上を一部代替走行モードによって自動走行し、橋に入ると自由走行モードに変更され、自由走行する。そして、車両10は、橋を渡り切り、ゴルフコース側エリアに入ると、再び一部代替走行モードに変更され自動走行する。ゴルフコース側エリアでは、メインキー12を「ON」に切り替えたり、一つ以上の一部代替走行機能が不全にならない限り、一部代替走行モードでの走行が継続される。その後、全ホールを回ってクラブハウスに戻るとき、車両10は、ゴルフコース側エリアから再び橋に入る。すると、車両10は、自由走行モードに変更され、自由走行する。そして、車両10は、橋を渡り切り、クラブハウス側エリアに入ると、再び一部代替走行モードに変更され自動走行する。
【0061】
ここで、車両10が何らかの事情により、自由走行領域または一部代替走行領域から河川に向かい、遠隔走行領域に入ると、河川に落ちる危険を回避するために基地局54による遠隔走行モードに切り替えられる。遠隔走行モードにより車両10が遠隔走行領域から脱出すると、車両10は、一旦自由走行モードに切り替えられ、その後、車両10が位置する領域に応じた走行モードで走行する。
【0062】
このような車両10によれば、車両10が自由走行領域と代替走行領域と遠隔走行領域とを含む領域を走行する場合、メインキー12を「AUTO」に合わせた状態では、車両10の位置に関する位置情報に基づいて、車両10が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるか遠隔走行領域にあるかを判定する。車両10が自由走行領域にあれば、運転者が車両10の運転を自由に行なう自由走行モードに車両10を設定し、車両10が代替走行領域にあれば、車両10の運転を運転者に代わって自動で行なう代替走行モード(一部代替走行モード)に車両10を設定し、車両10が遠隔走行領域にあれば、運転者に代わって遠隔操作で車両10を運転する遠隔走行モードに車両10を設定する。車両10は、設定された走行モードに応じて動作する。したがって、走行領域に応じて適切に車両10を走行させることができる。
【0063】
車両10が代替走行領域にあっても車両10を自由走行させる必要があれば、メインキー12によって自由走行モードの信号を入力するだけで容易に対応でき、車両10が代替走行領域にあっても適切に車両10を自由走行させることができる。
【0064】
代替走行領域にある車両10について、操舵、速度設定および加減速を自動で行なう一部代替走行モードを選択することが望ましいとき、メインキー12によって代替走行モードの信号が入力されるだけで、容易に当該モードに設定できる。
【0065】
運転者が車両10の運転を自由に行なう自由走行モードは、車両10が対面通行する対面通行領域に好適となり、その一方、車両10の運転を運転者に代わって自動で行なう代替走行モード(特に、一部代替走行モード)は、一方通行領域に好適となる。
【0066】
車両10の運転を運転者に代わって自動で行なう代替走行モード(特に、一部代替走行モード)は、車両10が自動走行可能な既定経路Pに好適となる。
【0067】
また、以下に述べるこの実施形態における効果は、図5および図6を参照する後述の変形例においても同様に奏することができる。
【0068】
測位センサ58およびCPU62によって検出された車両10の位置と、メモリ64に記憶されたエリア情報との比較に基づいて、車両10が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるか遠隔走行領域にあるかを容易に判定できる。
【0069】
代替走行モード時において車両10が正常に代替走行できないとき代替走行モードを解除することによって、他の走行モードで車両10の動作を制御することができる。
【0070】
遠隔走行モード時において車両10が正常に遠隔走行できないとき遠隔走行モードを解除することによって、他の走行モードで車両10の動作を制御することができる。
【0071】
車両10が正常に走行できないとき車両10を走行禁止モードに設定することによって、車両10を停止させることができる。
【0072】
ゴルフ場は、自由走行可能な領域と、自由走行が制限され代替走行が好ましい領域とを有するので、この発明は、ゴルフカートに好適に用いられる。
【0073】
ついで、車両10の変形例について説明する。
【0074】
この例では、図2(a)に示すメインキー12ではなく、図2(b)に示すメインキー12aが用いられる。メインキー12aには、一部代替走行モードを示す「AUTO」はなく、メインキー12aは、車両10の電源をオフする「OFF」、および車両10の電源をオンし自由走行モードに設定する「ON」のいずれかに切り替えられる。この例では、走行モードとして、自由走行モード、完全代替走行モードおよび遠隔走行モードが含まれる。一部代替走行モードは含まれないので、誘導センサ40および定点センサ42は必ずしも必要ではない。メモリ22には、図5に示す動作を行なうためのプログラム等が記憶される。この実施形態では、メインキー12aが入力部に対応する。その他の構成については先の実施形態と同様である。
【0075】
このような車両10では、動作時にはメインキー12aが「ON」に切り替えられ、CPU62は、車両10がどの走行領域に位置するかを示す情報に基づいて、走行モードを、自由走行モード、完全代替走行モードおよび遠隔走行モードのいずれかに設定する。
【0076】
完全代替走行モードに設定された場合、CPU20は、メモリ22に格納されたプログラムに基づいて、車両10の操舵、速度設定、加減速、発進および停止を自動で行なう。自由走行モードや遠隔走行モードに設定された場合の動作は、先の実施形態と同様である。
【0077】
図5を参照して、まず、メインキー12aが自由走行モードを示す「ON」に合わせられ電源回路16がオンされると、CPU20によって、車両10はデフォルトで走行禁止状態とされ、車両10の走行機能が確認される。車両10の走行機能がすべて健全であれば、CPU20によって、車両10の走行が許可され、デフォルトで自由走行モードに設定される。
【0078】
車両10が自由走行領域に位置する限り、車両10は自由走行モードで走行する。すなわち、CPU62は、メインキー12aによって自由走行モードの信号が入力されかつ車両10が自由走行領域にあれば、車両10を自由走行モードに設定し、CPU20は、設定された自由走行モードにしたがって車両10を走行させる。
【0079】
しかし、自由走行モードで走行中の車両10が代替走行領域に侵入したときには、CPU62によって車両10の走行モードは完全代替走行モードに切り替えられる。CPU20は、設定された完全代替走行モードにしたがって車両10を走行させる。
【0080】
一方、完全代替走行モードで走行中の車両10が自由走行領域に侵入すると、CPU62によって車両10の走行モードは自由走行モードに切り替えられる。また、完全代替走行モードで走行中の車両10において一つ以上の完全代替走行機能が不全になれば、CPU20によって自由走行モードに切り替えられる。すなわち、CPU20は、完全代替走行モード時において車両10が正常に代替走行できないと判定すれば、完全代替走行モードを解除する。
【0081】
完全代替走行モードまたは自由走行モードで走行中に車両10が遠隔走行領域に侵入すると、CPU62によって遠隔走行モードに切り替えられる。CPU20は、設定された遠隔走行モードにしたがって車両10を走行させる。一方、遠隔走行モードで走行中に車両10が遠隔走行領域から脱すると、CPU62によって完全代替走行モードに切り替えられる。また、遠隔走行モードで走行中の車両10において一つ以上の遠隔走行機能が不全になれば、CPU20によって完全代替走行モードに切り替えられる。
【0082】
また、走行許可状態の車両10において一つ以上の走行機能が不全になれば、CPU20によって走行禁止状態に戻される。
【0083】
図6を参照して、このような車両10の動作を具体的に説明する。
【0084】
ここでは、ゴルフコースのグリーン近傍のフェアウェイまで、ゴルフカートである車両10が走行可能な場合を想定する。この例では、グリーンの手前にフェアウェイがあり、グリーンの右側に池がある。フェアウェイが自由走行領域を含み、グリーンとフェアウェイとの間の緩衝地帯において、フェアウェイ側が代替走行領域となり、グリーン側が遠隔走行領域となる。また、フェアウェイと池との間の緩衝地帯が、遠隔走行領域となる。代替走行領域では、完全代替走行モードによって、車両10の操舵、速度設定、加減速、発進および停止の全てが自動で行なわれる。
【0085】
まず、車両10は、メインキー12aを「ON」に合わせた状態で、フェアウェイを含めてゴルフコースを自由走行する。そして、車両10が、フェアウェイからグリーンに向かっていき、フェアウェイの自由走行領域から緩衝地帯の代替走行領域に侵入すると、CPU62によって、車両10は完全代替走行モードに切り替えられ、CPU20によって、車両10がフェアウェイ側に戻るように操縦される。代替走行領域では、完全代替走行機能が正常であれば、完全代替走行モードでの走行が継続される。完全代替走行モードでは、予め決められた方法により車両10を代替走行領域から退避させる。たとえば、真後ろに後退、来た道をそのまま後退、代替走行領域の中心から遠ざかる方向に操舵、最短距離で代替走行領域から退避できるように操舵、指定出口方向に操舵等の方法で、車両10を自動的に移動させる。ここで、車両10が何らかの事情により、代替走行領域からさらにグリーン側に向かい、遠隔走行領域に入ると、グリーンに侵入することを回避するために、基地局54による遠隔走行モードに切り替えられる。遠隔走行モードにより、車両10はグリーンに入らないように基地局54によって操縦され、遠隔走行領域から代替走行領域に戻され、完全代替走行モードに切り替えられる。さらに、完全代替走行モードにより、フェアウェイの自由走行領域まで戻される。
【0086】
また、車両10が、フェアウェイから池に向かっていき、フェアウェイの自由走行領域から遠隔走行領域に入ると、池に落ちることを回避するために、基地局54による遠隔走行モードに切り替えられる。遠隔走行モードにより、車両10は池に入らないように基地局54によって操縦され、遠隔走行領域からフェアウェイの自由走行領域まで戻される。この場合、一旦完全代替走行モードに切り替えられるが、車両10は自由走行領域に位置するので、速やかに自由走行モードに切り替えられる。
【0087】
このような車両10によれば、車両10が自由走行領域と代替走行領域と遠隔走行領域とを含む領域を走行する場合、メインキー12を「ON」に合わせた状態で、車両10の位置に関する位置情報に基づいて、車両10が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるか遠隔走行領域にあるかを判定する。車両10が自由走行領域にあれば、運転者が車両10の運転を自由に行なう自由走行モードに車両10を設定し、車両10が代替走行領域にあれば、車両10の運転を運転者に代わって自動で行なう代替走行モード(完全代替走行モード)に車両10を設定し、車両10が遠隔走行領域にあれば、運転者に代わって遠隔操作で車両10を運転する遠隔走行モードに車両10を設定する。車両10は、設定された走行モードに応じて動作する。したがって、走行領域に応じて適切に車両10を走行させることができる。
【0088】
車両10の操舵、速度設定、加減速、発進および停止を自動で行なう完全代替走行モードを用いることによって、車両10の運転の一切を運転者に代わってCPU20が自動で行なうことができる。代替走行領域が車両10の進入禁止領域であり、車両10が直ちに当該領域から退去する必要がある場合に好適となる。
【0089】
なお、図4に示すように、たとえば走行領域にビーコンBを設け、車載制御器50に領域検出部としてのビーコンユニット(図示せず)を設けるようにしてもよい。この場合、ビーコンBから、車両10の位置に関する位置情報として、車両10が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるか遠隔走行領域にあるかを示す領域情報が発信され、車載制御器50のビーコンユニットが当該領域情報を検出する。車載制御器50のCPU62は、ビーコンユニットの検出結果に基づいて、車両10が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるか遠隔走行領域にあるかを判定できる。
【0090】
また、たとえば、各走行領域に、領域情報を表示する標識を立て、車載制御器50に領域検出部としてのビジョンセンサ(図示せず)を設けるようにしてもよい。この場合、ビジョンセンサが当該標識が示す領域情報を視覚的に検出する。車載制御器50のCPU62は、ビジョンセンサの検出結果に基づいて、車両10が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるか遠隔走行領域にあるかを判定できる。
【0091】
このように、車両10の走行領域に領域情報(自由走行領域か代替走行領域か遠隔走行領域か)を表示(発信)する部材を予め設けておき、車両10の走行時に領域検出部がその領域情報を検出するだけで、車両10が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるか遠隔走行領域にあるかを容易に判定できる。また、走行領域のうち領域検出部が検出可能な箇所に、領域情報を表示(発信)する部材を配置すればよいので、地形や大きさの異なる様々な走行領域であっても容易に対応できる。
【0092】
上述の実施形態では、車載制御器50は、車両本体11に搭載されたが、これに限定されない。車載制御器50は、車両本体11に搭載されることなく、車両10とは別体のタブレット等の携帯端末として用いられてもよい。この場合、当該携帯端末は、車両10に対して信号を無線で送受信することが好ましい。また、測位センサ58は、車両本体11に設けられ、その検出結果がCPU20、通信器44および通信器60を介してCPU62に与えられるようにすることが好ましい。
【0093】
このような携帯端末においても、車載制御器50が車両本体11に搭載される場合と同様の効果が得られる。
【0094】
上述の実施形態では、メインキー12または12aによって、車両10の電源をオンするとともに走行モードを設定できる場合について説明したが、これに限定されない。メインキーは、走行モードを設定することなく、車両10の電源のオンオフを切り替えるだけの入力部であってもよい。この場合、メインキーが車両10の電源をオンした状態で、CPU62は、車両10の位置に関する位置情報に基づいて、車両10が自由走行領域にあるか代替走行領域にあるか遠隔走行領域にあるかを判定する。車両10が自由走行領域にあるとCPU62が判定すれば、CPU62は自由走行モードに車両10を設定し、車両10が代替走行領域にあるとCPU62が判定すれば、CPU62は代替走行モード(一部代替走行モードまたは完全代替走行モード)に車両10を設定し、車両10が遠隔走行領域にあるとCPU62が判定すれば、CPU62は遠隔走行モードに車両10を設定する。すると、CPU20は、設定された走行モードに応じて車両10の動作を制御する。
【0095】
上述の実施形態では、走行領域が自由走行領域と代替走行領域と遠隔走行領域とを含む場合について説明したが、これに限定されない。走行領域が、遠隔走行領域を含まず、自由走行領域と代替走行領域とを含む場合にも、この発明を適用できる。
【0096】
上述の実施形態では、一部代替走行モードにおいて、既定経路Pの中央に設けられた誘導線Lが発する磁界を誘導センサ40が受信して、車両10が誘導線Lに沿って既定経路P上を一部代替走行するようにしたが、これに限定されない。車両10は、それ以外の手段で既定経路P上を一部代替走行してもよい。
【0097】
上述の実施形態では、車両10は、既定経路P上を一部代替走行モードによって自動走行する場合について説明したが、これに限定されない。車両10は、既定経路P上を完全代替走行モードによって自動走行してもよい。
【0098】
上述の実施形態では、車両10は、一方通行領域を一部代替走行モードによって自動走行する場合について説明したが、これに限定されない。車両10は、一方通行領域を完全代替走行モードによって自動走行してもよい。
【0099】
既定経路Pに設けられた定点部材Aは、磁石に限定されず、RFID(Radio Frequency IDentification)タグであってもよい。
【0100】
上述の実施形態では、この発明に係る車両10をゴルフカートに適用した場合について説明したが、これに限定されない。この発明は、LSM(Low Speed Mobility)などの任意の車両に適用される。
【0101】
以上、この発明の好ましい実施形態について説明されたが、この発明の範囲および精神を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能であることは明らかである。この発明の範囲は、添付された請求の範囲のみによって限定される。
【符号の説明】
【0102】
10 車両
12,12a メインキー
14 バッテリ
16 電源回路
18,56,76 コントローラ
20,62,82 CPU
22,64 メモリ
24 モータ
26 ブレーキユニット
28 駆動輪
30,72 アクセルペダル
32,74 ブレーキペダル
34,70 ハンドル
36 操舵ユニット
38 操舵輪
40 誘導センサ
42 定点センサ
50 車載制御器
52 発進・停止リモコン
54 基地局
58 測位センサ
66 スイッチ
78 モニタ
A 定点部材
B ビーコン
L 誘導線
P 既定経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6