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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-18
(45)【発行日】2023-04-26
(54)【発明の名称】反応性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20230419BHJP
   C08F 2/46 20060101ALI20230419BHJP
   C08F 290/00 20060101ALI20230419BHJP
【FI】
C08F2/44 B
C08F2/46
C08F290/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022539529
(86)(22)【出願日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 JP2021027903
(87)【国際公開番号】W WO2022025114
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2020130867
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000191755
【氏名又は名称】森下仁丹株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100088801
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 宗雄
(72)【発明者】
【氏名】西川 雄大
(72)【発明者】
【氏名】橋本 拓
(72)【発明者】
【氏名】向山 真平
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-302036(JP,A)
【文献】特表2019-500984(JP,A)
【文献】特表2018-510706(JP,A)
【文献】国際公開第2019/111752(WO,A1)
【文献】特表2015-528526(JP,A)
【文献】特開2021-088691(JP,A)
【文献】特開平07-328106(JP,A)
【文献】特開平05-039335(JP,A)
【文献】特開平01-315402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C19/00-19/44
C08F2/00-2/60、6/00-301/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)光照射によって重合可能な2種以上のモノマーと(b)揮散性物質を含有する反応性組成物であって、
前記モノマー(a)及び前記揮散性物質(b)のそれぞれにハンセン溶解度パラメータ(HSP)を計算し、前記モノマー(a)及び前記揮散性物質(b)間のHSP距離(Ra)が8MPa1/2以下であり、相対的エネルギー差RED(RED=Ra/揮散性物質溶解球半径R)が1未満となるように成分調整されており、
前記反応性組成物の反応後のポリマー(a’)及び前記揮散性物質(b)間のHSP距離(Ra’)が8MPa1/2以下であり、前記ポリマー(a’)との相対的エネルギー差RED’(RED1=Ra’/揮散性物質溶解球半径RかつRED2=Ra’/ポリマー溶解球半径R)がともに0.6以下である、
前記モノマー(a)が、分子鎖末端にエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物であり
前記反応性組成物中の前記揮散性物質(b)の含有量が0.5~30重量%であり、
前記反応性組成物の硬化物はゲル状物ではない、
ことを特徴とする反応性組成物。
【請求項2】
前記反応性組成物は液滴への光照射によって重合反応がなされることを特徴とする請求項1に記載の反応性組成物。
【請求項3】
前記ラジカル重合性化合物が、分子鎖末端にアクリロイル基もしくはメタアクリロイル基を有するアクリレート化合物であり前記アクリレート化合物がウレタンアクリレート化合物、エポキシアクリレート化合物、ポリエーテルアクリレート化合物、又はオリゴエステルアクリレート化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反応性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮散性物質を含有する高分子マトリックス体を製造するために用いる反応性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、揮散性物質を水等の溶媒に溶解させたものを水系溶剤に溶解又は可溶化させたり、有効成分を揮発性の溶媒に担持させた芳香剤、揮発型防虫剤、揮発型防かび剤等の揮発型製剤が知られている。
【0003】
このうち、例えば芳香剤は、家庭用と並んで自動車用にも広く利用されている。自動車用の芳香剤は、炎天下等における駐車中の車内日照部の温度は40~80℃近くになるため、車内に大量の揮発性物質が揮発される。揮発型製剤における揮発量は、揮発性物質それ自体もしくは担体である揮発性溶剤の揮発速度に依存するため、例えば高温の条件下では揮発速度が著しく増大し、すぐに消耗してしまう。その結果、一定の空間に必要量をはるかに越える量の揮散性物質が揮発するという問題点があった。
【0004】
このような高温条件下における揮散性物質の揮発量が著しく増大することを抑制するために、熱可逆的に凝集又はゲル化を起こす感熱性ポリマーを揮発性物質と組み合わせることにより、揮発速度をコントロールする揮発調整型リキッド芳香剤がある(特許文献1)。ただし、揮散性物質の初期の過度な放出を防ぐ為に、その障壁である包囲物やゲル化構造を設ける事は、後半の揮散性物質の放出量が必要以上に減少してしまい、その機能を果たさない恐れが有った。さらに揮散性物質がブリードアウトしやすく保存性が悪いという課題があった。
【0005】
高分子マトリックス体中に、香料、消臭剤、防虫剤、忌避剤、誘引剤、殺虫剤、殺菌剤、成長調節剤、除草剤、くん蒸剤等の揮散性物質を保持させ、室内その他の大気中に放置することにより、揮散性物質が徐々に大気中に揮散して、芳香、消臭等の効果を発揮するものも知られている。これらのものも、揮散性物質のブリードアウトが起こりやすく、保存性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平06-207162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、揮散性物質のブリードアウトを抑制して、かつ製造時に加熱が不要で揮散性物質の保存性が良く、また、低毒性、無臭性、透明性、通気性などの優れた特性を有する高分子マトリックス体を形成し得る反応性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の通りである。
[1](a)光照射によって重合可能な2種以上のモノマーと(b)揮散性物質を含有する反応性組成物であって、
モノマー(a)及び揮散性物質(b)のそれぞれにハンセン溶解度パラメータ(HSP)を計算し、モノマー(a)及び揮散性物質(b)間のHSP距離(Ra)が8MPa1/2以下であり、相対的エネルギー差RED(RED=Ra/揮散性物質溶解球半径R)が1未満となるように成分調整されており、
反応性組成物の反応後のポリマー(a’)及び揮散性物質(b)間のHSP距離Ra’ が8MPa1/2以下であり、ポリマー(a’)との相対的エネルギー差RED’(RED1=Ra’/揮散性物質溶解球半径RかつRED2=Ra’/ポリマー溶解球半径R)がともに0.6以下である、ことを特徴とする反応性組成物。
[2]前記反応性組成物は液滴への光照射によって重合反応がなされることを特徴とする[1]に記載の反応性組成物。
[3]前記モノマーが、分子鎖末端にエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物もしくはエチレン性不飽和結合とエポキシ基の両方を有する化合物である[1]または[2]に記載の反応性組成物。
[4]前記ラジカル重合性化合物が、分子鎖末端にアクリロイル基もしくはメタアクリロイル基を有するアクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、エポキシアクリレート化合物、ポリエーテルアクリレート化合物、オリゴエステルアクリレート化合物であることを特徴とする[3]に記載の反応性組成物。
[5]前記反応性組成物中の揮散性物質の含有量が0.5~30重量%である[1]~[4]のいずれかに記載の反応性組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、重合性材料(モノマー材料)と揮散性物質との間のハンセン溶解度パラメータの差分を減じる方向で配合調整し、光照射による重合方法によって揮散性物質含有高分子マトリックス体を得ることで、揮散性物質の含有量を増やして揮散性物質の揮発速度を所望のレベルに調整しても、ブリードアウトに至る事は無いまま、所望の揮発速度が得られる高分子マトリックス体を提供することでできる。ハンセン溶解度パラメータを制御することは、それぞれの材料の相溶性を高め、ブリードアウトを防ぐだけでなく、充填しうる揮散性物質を増量できることにもつながる。
【0010】
また、常温硬化性のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物を含有しているマトリックス基材を用いて光照射により常温で重合させて短時間で硬化させたものであり、重合の際に揮散性物質の揮散、変質による損失がない。更に、エチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物は低毒性で無臭であり、人体に害を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1はハンセン空間の揮散性物質及びラジカル重合性モノマーまたはオリゴマーのハンセン溶解度パラメータを示す図である。
図2図2はハンセン空間中の揮散性物質とラジカル重合性モノマーまたはオリゴマー間のHSP距離(Ra)と相互作用半径(R)の関係性を示す概略図である。
図3図3は本発明の滴下法におけるビーズの製造装置を示す模式的概略図である。
図4図4は滴下法により得られたビーズの概略図である。
図5図5はハンセン空間中の揮散性物質溶解球(s)と反応後ポリマー溶解球(s’)の重なり合いを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の反応性組成物は、光照射によって、重合反応が進行して、高分子マトリックス体を形成する。本明細書中で「高分子マトリックス体」とは、重合ポリマーが3次元的に連なった状態であり、全体の形状としては、マトリックス体は特定の形状に限定されるものではないが、不定形のゲルの塊であったり、粒状物もしくはビーズであったり、一定の厚みを有したシートなど利用目的・利用形態に応じた形状に成形される。本明細書中では、主にビーズの形状による実施例が示されているが、その他の形状においても、その重合方法から同様な発明の効果が得られることが容易に予想されうる。この高分子マトリックス体中には、各種揮発性物質と該揮発性物質に、必要に応じて可溶化剤、揮発保留剤、充填剤が溶解もしくは均一分散させられた、油状液体成分が含まれている。
【0013】
本発明の反応性組成物は、(a)光照射によって重合可能な2種以上のモノマーと(b)揮散性物質を含有するものあって、モノマー(a)及び揮散性物質(b)のそれぞれにハンセン溶解度パラメータ(HSP)を計算し、モノマー(a)及び揮散性物質(b)間のHSP距離(Ra)が8MPa1/2以下であり、相対的エネルギー差RED(RED=Ra/揮散性物質溶解球半径R)が1未満となるように成分調整されており、反応性組成物中のポリマー(a’)及び揮散性物質(b)間のHSP距離をRa’として、ポリマー(a’)との相対的エネルギー差RED’(RED1=Ra’/揮散性物質溶解球半径RかつRED2=Ra’/ポリマー溶解球半径R)がともに0.6以下である、ことを特徴としている。
以下その内容を説明する。
【0014】
本発明の高分子マトリックス体を構成する光照射によって重合可能な2種以上のモノマー(a)とは、分子末端にエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性化合物が例示され、具体的には、分子鎖末端にアクリロイル基もしくはメタアクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物、フマール酸、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸とエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコールとからなる不飽和ポリエステルが好適に用いられる。尚、本明細書において、「モノマー」は、重合性の官能基を有する低分子量の化合物を意味するが、一般にオリゴマーと言われるモノマーの多量体も含む。また、「2種以上のモノマー」と規定しているので、2種の異なるモノマーの混合体を意味している。
【0015】
なお、本明細書中、用語「(メタ)アクリロイル基」はアクリロイル基またはメタクリロイル基のいずれか一方を示し、用語「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方を示す。本発明に用いられる(メタ)アクリレート化合物としては、1分子中に1個以上のウレタン結合を有し、末端に(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂より合成されるエポキシ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンを主骨格とするポリブタジエン(メタ)アクリレート、エステル結合を主鎖とするオリゴエステル(メタ)アクリレート、エーテル結合を主鎖とするポリエーテル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系オリゴマー、(メタ)アクリロイル基を1個有するモノ(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートモノマーが好適に用いられる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えばポリオール成分とイソシアナート成分と、末端アクリロイル基を導入するヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート成分とから合成することができる。このようなウレタン(メタ)アクリレートの合成に適用されるポリオール成分とは、分子内に2個以上の水酸基を有する合成高分子化合物であり、例えばポリエーテルポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物、ポリウレタンポリオール化合物、ポリヒドロキシポリオレフィン化合物等が例示される。エポキシ(メタ)アクリレートは、エピクロルヒドリン、ポリオール成分およびヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート成分とから合成される。(メタ)アクリロイル基を1個有するモノ(メタ)アクリレートモノマーは通常のアクリル酸、メタクリル酸、それらの酸エステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等)が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートモノマーは、これまでに説明してポリオール成分の両末端のヒドロキシル基に(メタ)アクリロイル基を導入したものである。本発明の高分子マトリックス体に好ましい(メタ)アクリレート化合物としては、(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)や、そのウレタン変性物であるウレタン(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)、エポキシ変性物であるエポキシ(メタ)アクリレートモノマー(オリゴマー)が挙げられる。
【0016】
上記の(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリグリセリンモノエチレンオキサイドポリ(メタ)アクリレート、ポリグリセリンポリエチレングリコールポリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0017】
上記ポリエーテルポリオール化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、あるいはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドを、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールに付加せしめて得られるポリエーテルポリオール等が例示される。
【0018】
上記のポリエステルポリオール化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸等の多塩基酸またはその無水物と、前記の多価アルコールとの縮合反応により得られるポリエステルポリオールが例示される。
【0019】
また、ポリウレタンポリオール化合物としては、ポリイソシアナート化合物またはその多量体と、これらに対して過剰の多価アルコールとの付加反応によって得られるポリウレタンポリオール;前記のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールと、ポリイソシアナート化合物によって得られるポリウレタンポリオールが例示される。
【0020】
さらに、ポリヒドロキシポリオレフィン化合物としては、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール等が例示される。
【0021】
また、ウレタン(メタ)アクリレートの合成に適用されるイソシアナート成分としては、エチレンジイソシアナート、プロピレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、2,4-トリレンジイソシアナート、2,6-トリレンジイソシアナート、フェニレンジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアナート、ナフチレン-1,5-ジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、1-メチル-2,4-ジイソシアナートシクロヘキサン、1-メチル-2,6-ジイソシアナートシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート等が例示される。
【0022】
さらに、ウレタン(メタ)アクリレートの合成に適用される末端(メタ)アクリロイル基を導入するヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル成分としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート等が例示される。
【0023】
<光重合開始剤>
本発明の光重合開始剤としては、ホスフィンオキサイド化合物、ベンゾイルホルメート化合物、チオキサントン化合物、オキシムエステル化合物、ヒドロキシベンゾイル化合物、ベンゾフェノン化合物、ケタール化合物、α-アミノアルキルフェノン化合物等が挙げられる。ホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド及び2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。ベンゾイルホルメート化合物としては、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。チオキサントン化合物としては、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。ヒドロキシベンゾイル化合物としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びベンゾインアルキルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン化合物としては、ミヒラーズケトン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0024】
これらの内、硬化性及び硬化物の着色の観点から好ましいのは、ホスフィンオキサイド化合物、ヒドロキシベンゾイル化合物及びα-アミノアルキルフェノン化合物である。光重合開始剤は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0025】
光重合開始剤の使用量は、硬化性及び硬化物の着色の観点から、好ましくはモノマー成分重量に対して2~15重量%、更に好ましくは2~10重量%である。
【0026】
<揮散性物質>
本発明に用いる揮散性物質としては、大気中に放置することにより、大気中に徐々に揮散して芳香、消臭等の所望の有効成分としての効果を発揮するもので、通常芳香剤としての香料、消臭剤、防虫剤、忌避剤、誘引剤、殺虫剤、殺菌剤、くん蒸剤等が用いられる。
【0027】
好適に用いられる香料としては、シトロネロール、ゲラニオール、ターピネオール、ベンジルアルコール、ジヒドロミルセノール、ジベンジルエーテル、ベンズアルデヒド、シクラメンアルデヒト、リリアール、ベンジルアセテート、リモネン、ベンジルベンゾエート、ターピニルアセテート等のテルペン系、アルコール系、アルデヒド系、ケトン系、エステル系、フェノール系の天然及び合成香料とそれらの混合物である調合香料等が例示される。
【0028】
消臭剤としては、フマール酸、クロトン酸、シトラコン酸等のα,β-不飽和カルボン酸及びそのエステル、又アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、マロン酸等の活性メチレン化合物等が例示される。また、防虫剤としては、ナフタリン、ショウ脳、p-ジクロロベンゼン等が例示される。また、忌避剤としては、ニーム抽出物、1,8-シネオール、フタル酸エステル等が例示される。
【0029】
防虫剤としては、上記の他に、エンペントリン、トランスフルスリン、プロフルトリン、等が好ましく用いられる。
【0030】
忌避剤としては、上記の他に、エンペントリン、トランスフルスリン、アレスリン、フェノトリン、プロフルトリン、メトフルトリン、エミネンス、ジクロルボス、ダイアジノン、フェニトロチオン、マラチオン、N,N-ジエチル-m-トルアミド(DEET)、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジ-n-プロピルイソシンコメロネート、p-ジクロロベンゼン、ジ-n-ブチルサクシネート、カラン-3,4-ジオール、1-メチルプロピル-2-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジンカルボキシラート、ミリスチン酸イソプロピル、チオシアノ酢酸イソボルニル、ジフェニル、ジフェニルメタン、ジベンジル、ベンジルフェニルエーテル、ベンジルフェニルエチルエーテル、ベンゾフェノン、ベンジルフェニルケトン、ジベンジルケトン、ベンザルアセトフェノン、β-フェニルエチルベンゾエイト、γ-フェニルプロピルベンゾエイト、フェニル酢酸フェニル、ベンジルフェニルアセテート、β-フェニルエチルフェニルアセテート、フェニルシンナメート、ベンジルシンナメート、β-フェニルエチルシンナメート、β-フェニルプロピルシンナメート、シンナミルシンナメート、ジフェニルカルビノール、フェニルベンジルカルビノール、ジベンジルカルビノール、n-アミルベンゾエート、イソアミルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート、ヘプチルベンゾエート、オクチルベンゾエート、ノニルベンゾエート、シス-3-へキセニールベンゾエート、n-アミルサリシレート、イソアミルサリシレート、ヘキシルサリシレート、シス-3-へキセニールサリシレート、ベンジルプロピオネート、ベンジル-n-ブチレート、ベンゾルーイソ-ブチレート、ベンジル-n-バレレート、ベンジルイソバレレート、ベンジルカプロエート、ベンジルヘプタノエート、ベンジルカプリレート、ペンジルダニレート、オイゲノール、メチルオイゲノール、イソオイゲノール、α、β-ピネン、α、β-テルピンオール、リモネン、シトロネラール、リナロール、シトラール等のテルペン化合物;メントール、ベチバー油、パチョウリ油、クローブ油、スギ、ヒノキ、タイワンヒノキ、ヒバの精油などの植物精油、マツ科モミ属に属する植物の圧搾液、抽出物または蒸留物等が挙げられ、これらの1種を単独で使用しても良く、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0031】
誘引剤としては煮干し粉末・削り節粉末・ビール酵母・パン粉等を混合して煮込んで得たエキス、ココナッツオイル、アセトイン、ジアセチル、アセトン、酢酸エチル、フェネチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール等が例示される。
【0032】
殺虫剤としてはカルボン酸ヒドラジド、1-ナフチル-N-カルバミン酸メチル、4-ブロム-2-(4-クロルフェニル)-1-エトキシメチル-5-トリフルオロメチルピロール-3-カルボニトリル、ピレトリン等、及びこれらの混合物が例示される。
【0033】
殺菌剤としては、カルバミン酸等が例示される。
【0034】
くん蒸剤としてはクロルピクリン、1,3-ジクロルプロペン、ジクロルジイソプロピルエーテル、メチルイソチオシアネート等が例示される。
【0035】
揮散性物質は必要に応じて溶媒に溶解して使用する。揮発性物質の性質に応じて、溶媒を選択する。溶剤としては、アルコール系、ケトン系、エステル系等、揮散性物質と硬化性樹脂との相溶性のよいものを適宜用いることが出来る。これらの溶剤の中には、香料としても用いられるものもある。
【0036】
溶剤の例としてはベンジルアルコール、ジベンジルエーテル、ベンジルアセテート、メチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、ジエチルフタレート、ジプロピレングリコール、エチルカルビトール、ヘキシレングリコール、3-メトキシー3-メチルブタノール、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、シトロネロール、ジヒドロミルセノール、ジヒドロターピネオール、ゲラニオール、ターピネオール、ベンズアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、ゲラニルアセテート、リナリルアセテート、リモネン等が挙げられる。これらのなかでは、ベンジルベンゾエート、ジエチルフタレート、ジプロピレングリコール、エチルカルビトール、ヘキシレングリコール等がより好適に用いられる。
【0037】
本発明の高分子マトリックス体において揮散性物質の量は、高分子マトリックス体全体の重量に基づいて0.5~30重量%、より好ましくは0.5~20重量%を用いることがよい。揮散性物質が高分子マトリックス体全体の重量に基づいて0.5重量%未満では揮散性物質の特性、具体的には芳香性、消臭性、防虫性等の効果を得ることが困難であり、30重量%を越えて配合すると、相対的に高分子マトリックス体の量が少なくなって、好適なマトリックス状物を得難くなる。30重量%までであれば本発明の範囲で成分調整された高分子マトリックス体が得られる。
【0038】
揮散性物質の分子量は、例えば200~1000、好ましくは、200~500である。揮散性物質の分子量が上記範囲を超える場合には、揮散性物質の重合体に対する相溶性が低下する場合がある。一方、揮散性物質の分子量が上記範囲に満たない場合には、製造工程中に、揮散性物質が反応液中に残存してしまい、揮散性物質が析出して、固化する場合がある。
【0039】
<その他の成分>
本発明においては、重合後の高分子マトリックス体について、静電気での凝集を抑制する為に、適宜帯電防止剤あるいは防曇剤をモノマー組成物および/またはポリマー組成物に添加しておいてもよい。
【0040】
帯電防止剤あるいは防曇剤としては、シリカゲルや例えば、ポリオキシアルキレンエーテル、多価アルコールの部分エステル、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の部分エステル、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミド、高級アルコール硫酸エステルアルカリ金属塩、アルキルアリールスルホネート、四級アンモニウム塩等を挙げることができる。より具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ジグリセリンモノオレート、トリグリセリンジオレート、ラウリルジエタノールアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)ステアリルアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミンカプリールエステル、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート、ナトリウムラウリルサルフェート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルセチルアンモニウムイオダイド、ドデシルアミン塩酸塩、ラウリン酸ラウリルアミドエチルリン酸塩、オレイルアミノジエチルアミン塩酸塩、ドデシルピリジニウム硫酸塩などを挙げることができる。
【0041】
本発明の反応性組成物の重合反応によって得られる成形体は、隔壁のないビーズ、粒状物、シート、棒状、不定形の塊状物質等どのような形状のものであってもよい。
【0042】
ビーズの場合平均粒径は、通常、0.5~20mmであり、特に本発明の最適な効果を得るためには、粒径は、0.5~5mmであることが好ましい。
【0043】
<滴下法による光重合反応でのビーズ形成方法>
本発明の反応性組成物は、いわゆる滴下法による光重合反応で、小球(即ち、ビーズ状)を形成すること可能である。図3には、本発明の滴下法におけるビーズの製造装置を示す模式的概略図を示す。図3に示すように、単層ノズル(1)を備えた従来公知のカプセル製造技術装置を用いて液中滴下法によって製造することができる。具体的には図3に示す通り、単層ノズル(1)から本発明に用いられるモノマー(a)および揮散性物質(b)の混合液(2)を通過させてキャリア流体(6)中に滴下する工程を包含する方法などによってビーズを製造することができる。
【0044】
なお、キャリア流体(6)は、形成組成物の極性とは異なる極性を有していることが望ましく、形成組成物が油性の場合には、水性(親水性)物質(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、(化工)デンプン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ペクチン、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、ザンサンガム、グリセロール、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコールなど)の水溶液または水であることが好ましい。形成組成物が水性(親水性)の場合には、液状の油性(疎水性)物質(液状油)であることが好ましく、例えば、オリーブ油、ホホバ油、コーン油、ナタネ油、豚脂、牛脂、鯨油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、アボガド油、マカデミアナッツ油、スクワラン、ミンク油、タートル油、炭素数が8~30の炭化水素類、ラノリン、流動パラフィン、ワセリン、シリコーンオイル、炭素数が4~30の脂肪酸、炭素数が4~30の脂肪酸とショ糖とのエステル、炭素数が4~30の脂肪酸とグリセロールとのエステル、炭素数が4~30の脂肪族アルコール、炭素数が4~30の脂肪酸と炭素数が4~30の脂肪族アルコールとのエステル(例えば、パルミチン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソトリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリルなど)、およびこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0045】
図3を参照しながら、第1の実施形態のビーズ形成方法を具体的に説明する。単層ビーズの製造方法は図3に示す単層ノズル(1)を備えたカプセル製造装置を用いて液中滴下法によって製造することができる。単層ノズル(1)は吐出口を垂直方向下向きに配置することが望ましい。またノズルの吐出口は形成管内に配置することが望ましい。キャリア液(6)はポンプ(8)などの駆動手段によって、望ましくは一定速度で装置内を循環する。単層ノズル(1)を通してラジカル重合性モノマー又はオリゴマーの混合物(重合開始剤添加済み溶液)と揮散性物質を十分に撹拌した後、ノズル孔(2)から同時にキャリア流体中に押出す(射出する)。このとき、キャリア流体(6)と形成組成物との間に作用する界面張力によって、単層のジェット流が形成される。ジェット流はその後、重力の作用によって球状の液滴(ビーズ前駆体)を形成する。このとき、ジェット流に振動を加えることによって、液滴の粒径を均一にすることが可能となる。
【0046】
次いで、光源(4)を用いてビーズ前駆体に光を照射する。ビーズ前駆体への光照射はいずれの段階で行ってもよく、例えばキャリア流体(6)中であっても、ネットなどの分離手段(5)を介してビーズ前駆体とキャリア流体(6)とを分離した後であってもよい。このようにして図4に示すビーズ(9)を得ることができる。このビーズは揮散性物質(10)が反応性組成物中に均一に保持されていることを特徴とする。
【0047】
光源(4)としては例えば、水銀灯、蛍光灯、ゼノン灯、カーボンアーク灯、メタルハライド灯などの約200nm~約800nmの波長の光を照射することのできる光源であれば特に限定はなく、使用する光硬化性成分に応じて適宜選択することができる。また、上述の形成組成物に光増感剤を配合すると、可視光によって光硬化性分を硬化させることができる。照射時間は光源の強さや距離により異なるが、一般には1秒間から10分間で形成が可能だが、内部まで硬化をさせるためには48時間~96時間程度の照射を有する実施形態も存在する。粒径や揮散性物質の含有量などの実施形態によって必要照射時間は大きく異なるため、必要に応じて系外装置にて照射時間を延長することで完全に硬化させることができる。
【0048】
前記反応性組成物は滴下前にモノマー(a)と揮散性物質(b)の混合液を十分に混合した後、ダマや見た目のムラがない組成が好ましい。所望する組成設計のために具体的にはハンセン溶解度パラメータを使用する。
【0049】
<ハンセン溶解性パラメータの説明>
ハンセン溶解度パラメータは、Charles M.Hansen氏により発表され、物質同士の溶解性の指標として知られている。ハンセン溶解度パラメータは、次のD、P、Hの3つの数値で構成され、これら3つのパラメータが3次元空間(ハンセン空間)中の座標として表される。
D:(原子の)分散力
P:(分子の)分極力
H:(分子の)水素結合力
物質同士の溶解性は、各物質のハンセン溶解度パラメータを示す座標間の距離により推定され、座標が互いに近いほど溶解しやすく、遠いほど溶解しにくいとされる。また、ハンセン溶解度パラメータは溶解性の判断だけでなく、ある物質が他のある物質中にどの程度存在しやすいか、すなわち分散性がどの程度良いかの判断指標ともなり得る。
【0050】
モノマー(a)、揮散性物質(b)、重合で形成されたポリマー(a’)のハンセン溶解度パラメータは、既知溶剤に対する溶解もしくは膨潤実験結果から算出することができる。その場合、Hansen氏らにより開発されたソフトウェアHSPiP(Hansen Solubility Parameters in Practice:HSPを効率よく扱うためのWindows〔登録商標〕用ソフト)を用いて求めることができる。
【0051】
ハンセン溶解度パラメータを求めるには、ハンセン溶解度パラメータが既知の複数の溶媒に求めたい対象物質を溶解(混合)させ、対象物質が溶解する溶媒と溶解しない溶媒のハンセン溶解度パラメータをハンセン空間にプロットする。溶解する溶媒のプロットの集まりで形成される球(ハンセンの溶解球)の中心が対象物質のハンセン溶解度パラメータとされる。これらはソフトウェアHSPiPを用いて算出することができる。
【0052】
モノマー(a)の揮散性物質(b)に対するRED値(相対的エネルギー差;Relative Energy Difference)は、2物質間のハンセン溶解度パラメータの距離をRa、揮散性物質溶解球の半径である相互作用半径をRとしたとき、RED=Ra/Rで表される。図1はハンセン空間にモノマー(a)のハンセン溶解度パラメータa、揮散性物質(b)のハンセン溶解度パラメータbをプロットした図である。揮散性物質に対するモノマー(又はオリゴマー)の混合物のRED値が1より小さい場合、図1に示されるように、揮散性物質(b)の溶解球sの内部にモノマー(a)のハンセン溶解度パラメータaが位置しており、揮散性物質(b)とモノマー(a)とは互いに溶けやすい。図2ではさらにこれらの関係性をわかりやすく図示している。図2はRED値が1より小さい場合の状況を示している。RED値が小さくなると2点間の距離が縮まり、2物質の相溶性が高まることがいえる。
【0053】
<揮散性物質のハンセン溶解度パラメータと相互作用半径の算出>
揮散性物質の相互作用半径R及びハンセン溶解度パラメータを次の手順にて算出した。
(1)溶解試験
表1に示されるハンセン溶解度パラメータが既知である試験用溶媒13種類を準備し、容量10mlのスクリュー管に試験用溶媒と揮散性物質を体積比1:1の割合で添加し、十分に撹拌した後5分静置し、液の状態を確認しスコアを付けた。
1:溶解(無色透明、透明)
0:白濁、分離
(2)ハンセン溶解度パラメータと揮散性物質溶解球半径である相互作用半径Rの算出
ソフトウェアHSPiPを用い、(1)の評価結果に基づいてハンセン溶解度パラメータと相互作用半径Rを算出できる。
【表1】
【0054】
<モノマー又はオリゴマーの混合物のハンセン溶解度パラメータ算出>
前述と同様の方法でモノマー(a)のそれぞれ単体のハンセン溶解度パラメータを算出した。実際の組成として使用するモノマー(又はオリゴマー)の混合物(モノマー(a))のハンセン溶解度パラメータは混合時の体積比率を算出し、それぞれの成分のハンセン溶解度パラメータに掛け合わせ、成分ごとに算出した値を足した値(体積加重平均値)を使用した。
【0055】
<HSP距離Raの算出方法>
HSP距離Raはモノマー(a)から揮散性物質(b)を隔てる距離とする。下記にHSP距離の算出式を記載した。
Ra={4×(δa d-δ d+(δa p-δb p+(δa h-δb h0.5
δa d、δa p、δa hはラジカル重合反応前モノマー(又はオリゴマー)の混合物(a)のハンセン溶解度パラメータ、δ d、δb p、δb hは揮散性物質(b)のハンセン溶解度パラメータとする。この数式に各パラメータ値を代入し、2点間のHSP距離を算出した。
【0056】
<相対的エネルギー差(RED値)の算出方法>
前述で算出したそれぞれのハンセン溶解度パラメータの距離であるHSP距離Raと相互作用半径として算出した揮散性物質の溶解球半径Rを用いる。下記にRED値の算出式を記載した。
RED=Ra/R
この値が小さいほどモノマー(a)と揮散性物質(b)が溶けやすいことがいえる。RED値>1の範囲では2物質間の相溶性が悪いことがいえる。
【0057】
モノマー(a)と揮散性物質(b)を表2に記載した条件になるような成分比に調整した混合液を作製し、混合液撹拌後の状態やUV硬化後の状態(硬化性、30日間静置によるブリードアウト発生有無)を確認した。揮散性物質は全体100重量部に対し30重量部配合した。
【表2】
【0058】
前述結果より、ラジカル重合前の揮散性物質とモノマー(又はオリゴマー)の混合液中にダマや見た目のムラが発生しない条件はRED値<1となることが確認できた。しかしRa>8MPa1/2かつRED値<1となった場合、UV硬化後に揮散性物質をポリマー内に保持できず、いわゆるブリードアウトが発生する。これら現象が発生しない条件としてRa≦8MPa1/2を設定することで硬化性が良好かつブリードアウトが発生しないラジカル重合反応性組成物を作製できることがわかった。
【0059】
次に表2で作製した4条件のUV硬化後のポリマー(a’)と揮散性物質(b)との相溶性を、ハンセン溶解度パラメータを用いて確認した。試験方法は以下の通りである。
【0060】
<ラジカル重合性反応性組成物(ポリマー)のハンセン溶解度パラメータとRED値算出>
ラジカル重合化合物のハンセン溶解度パラメータRa’を次の手順にて算出した。
(1) 溶解(膨潤)試験
各条件に成分調整されたモノマー(又はオリゴマー)の混合物をUV照射機(HOYA社製LED H-16VCII-C)で出力100%、照射距離4.5cm、照射時間10秒の条件で照射し、縦1.5mm×横3mm×厚み1mmのフィルムを得た。
【0061】
得られたフィルムを表1の試験用溶媒に浸漬させた。5日間常温静置し、各試験溶媒に対する試験用サンプルの溶解程度を初期重量からの変化で確認した。
【0062】
重量測定の際には表面に付着している溶媒を完全にワイプでふき取った後、重量測定を行った。初期重量から±5%以上変化したものをスコア1(溶解する)、変化していないものをスコア0(溶解しない)とした。
【0063】
(2) ハンセン溶解度パラメータの算出
ソフトウェアHSPiPを用い、(1)の評価結果に基づいてハンセン溶解度パラメータを算出した。
(2)で算出したポリマーのハンセン溶解度パラメータを使用し、揮散性物質とのHSP距離、RED値を算出した。表3にUV硬化後のポリマー(a’)と揮散性物質(b)とのHSP距離、RED値の関係を記載した。
【表3】
【0064】
表3記載の通り、UV硬化後のポリマー(a’)、揮散性物質(b)においてもRa’≦8MPa1/2、RED<1の範囲で成分調整した水準では相溶性は良好、硬化後のブリードアウト抑制ができた。またUV硬化後の最適な条件として、Ra’≦8MPa1/2、RED1≦0.6、RED2≦0.6の範囲で硬化性が良好で硬化後のブリードアウト抑制効果が高いことが確認できた。
【0065】
硬化前に硬化後のブリードアウト抑制範囲を予測して成分調整ができ、効率的に揮散性物質の増量やブリードアウトを抑制した反応性組成物を得られる手段といえる。
【実施例
【0066】
本発明を以下の実施例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
<揮散性物質を含有したラジカル重合性反応性組成物作製手順>
実施例、比較例で説明するラジカル重合性モノマー(又はオリゴマー)の混合物と揮散性物質の混合液を作製する。スーパーミキサーを用いてモノマー(又はオリゴマー)の混合物とアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤A(IGM Resins B.V.社製、製品名:Omnirad 907)0.5重量部、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤B(IGM Resins B.V.社製、製品名:Omnipol TX)2重量部を撹拌し、重合開始剤が完全に溶解した後、揮散性物質を加えてさらに撹拌を続けた。撹拌は均一な液(ダマや見た目のムラがなくなる状態)となるまで続けた。50mm×50mm×2mmの型に流し込み、UV照射機(HOYA製LED H-16VC2-C、最大波長365nm、照射距離4.5cm、照度150mW/cm)を用いて出力100%条件で片面5秒ずつ計10秒照射を行い、それぞれ試験片を得た。
【0068】
<ブリードアウト評価手順>
前記試験片を用いて揮散性物質のブリードアウト評価を行った。
なおブリードアウト評価はプレートサンプルの先端に穴をあげて吊り下げフックを取り付け40℃の恒温エアオーブン中に入れ、所定日数ごとに取り出しブリードアウト状況を確認した。ブリードアウト状況は4段階評価し、次の基準で示した。
4:ブリードアウトが全く見られない。
3:表面に微量ブリードアウトが見られた。
2:ブリードアウトが少し見られた。
1:非常に多くのブリードアウトが見られた。
【0069】
(実施例1)
モノマーとしてアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:ライトアクリレート14EG-A)、オリゴマーとしてウレタンアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:UA-306H)、揮散性物質として(小川香料(株)製 製品名:ペパーミントオイルAA13094)を選択した。48:32:20の重量比率で混合し、硬化させラジカル重合性反応性組成物を得た。モノマーとオリゴマーの混合物と揮散性物質とのHSP間距離Ra=0.79、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.07だった。硬化後のポリマーとのHSP距離Ra’=0.07、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.07、ポリマー溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.09だった。
【0070】
(実施例2)
モノマーとしてアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:ライトアクリレートDCP-A)、オリゴマーとしてウレタンアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:UA-510H)、揮散性物質として(小川香料(株)製 製品名:ペパーミントオイルAA13094)を選択した。65:15:20の重量比率で混合し、硬化させラジカル重合性反応性組成物を得た。モノマーとオリゴマーの混合物と揮散性物質とのHSP間距離Ra=2.64、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.22だった。硬化後のポリマーとのHSP距離Ra’=3.65、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.25、ポリマー溶解球半径R1を相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.36だった。
【0071】
(実施例3)
モノマーとしてアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:ライトアクリレート14EG-A)、オリゴマーとしてウレタンアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:UA-306H)、揮散性物質として(富士フィルム和光純薬(株)製 製品名:d-リモネン)を選択した。48:32:20の重量比率で混合し、硬化させラジカル重合性反応性組成物を得た。モノマーとオリゴマーの混合物と揮散性物質とのHSP間距離Ra=7.82、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.73だった。硬化後のポリマーとのHSP距離Ra’=7.12、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.58、ポリマー溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.59だった。
【0072】
(実施例4)
モノマーとしてアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:ライトアクリレート14EG-A)、オリゴマーとしてウレタンアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:UA-306H)、揮散性物質として(富士フィルム和光純薬(株)製 製品名:d-リモネン)を選択した。42:28:30の重量比率で混合し、硬化させラジカル重合性反応性組成物を得た。モノマーとオリゴマーの混合物と揮散性物質とのHSP間距離Ra=7.82、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.73だった。硬化後のポリマーとのHSP距離Ra’=7.12、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.58、ポリマー溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.59だった。
【0073】
(実施例5)
モノマーとしてアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:ライトアクリレート14EG-A)、エポキシアクリレートとしてグリシジルアクリレート、オリゴマーとしてウレタンアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:UA-306H)、揮散性物質として(富士フィルム和光純薬(株)製 製品名:d-リモネン)を選択した。35:7:28:30の重量比率で混合し、硬化させラジカル重合性反応性組成物を得た。モノマーとオリゴマーの混合物と揮散性物質とのHSP間距離Ra=7.80、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.69だった。硬化後のポリマーとのHSP距離Ra’=7.09、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.55、ポリマー溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.55だった。
【0074】
(比較例1)
モノマーとしてアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:ライトアクリレート14EG-A)、オリゴマーとしてウレタンアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:UA-306H)、揮散性物質として(小川香料(株)製 製品名:バニラオイルGL53038)を選択した。48:32:20の重量比率で混合し、硬化させラジカル重合性反応性組成物を得た。モノマーとオリゴマーの混合物と揮散性物質とのHSP間距離Ra=6.99、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=1.21だった。硬化後のポリマーとのHSP距離Ra’=7.33、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.59、ポリマー溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=1.1だった。
【0075】
(比較例2)
モノマーとしてアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:ライトアクリレート4EG-A)、オリゴマーとしてウレタンアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:UA-510H)、揮散性物質として(小川香料(株)製 製品名:バニラオイルGL53038)を選択した。40:40:20の重量比率で混合し、硬化させラジカル重合性反応性組成物を得た。モノマーとオリゴマーの混合物と揮散性物質とのHSP間距離Ra=9.06、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=1.56だった。硬化後のポリマーとのHSP距離Ra’=9.80、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.78、ポリマー溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=1.51だった。
【0076】
(比較例3)
モノマーとしてアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:ライトアクリレートDCP-A)、オリゴマーとしてウレタンアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:UA-510H)、揮散性物質として(小川香料(株)製 製品名:バニラオイルGL53038)を選択した。15:65:20の重量比率で混合し、硬化させラジカル重合性反応性組成物を得た。モノマーとオリゴマーの混合物と揮散性物質とのHSP間距離Ra=10.04、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.90だった。硬化後のポリマーとのHSP距離Ra’=10.6、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.78、ポリマー溶解球半径R1を相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.91だった。
【0077】
(比較例4)
モノマーとしてアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:ライトアクリレート14EG-A)、オリゴマーとしてウレタンアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:UA-306H)、揮散性物質として(小川香料(株)製 製品名:バニラオイルGL53038)を選択した。54:36:10の重量比率で混合し、硬化させラジカル重合性反応性組成物を得た。モノマーとオリゴマーの混合物と揮散性物質とのHSP間距離Ra=6.99、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=1.21だった。硬化後のポリマーとのHSP距離Ra’=7.33、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.59、ポリマー溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=1.1だった。
【0078】
(比較例5)
モノマーとしてアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:ライトアクリレート14EG-A)、オリゴマーとしてウレタンアクリレート化合物(共栄社化学(株)製 製品名:UA-306H)、揮散性物質として(富士フィルム和光純薬(株)製 製品名:d-リモネン)を選択した。41:27:32の重量比率で混合し、硬化させラジカル重合性反応性組成物を得た。モノマーとオリゴマーの混合物と揮散性物質とのHSP間距離Ra=7.82、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.73だった。硬化後のポリマーとのHSP距離Ra’=7.12、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.58、ポリマー溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)=0.59だった。
【0079】
実施例1~実施例5及び比較例1~比較例5における硬化前のHSP間距離Ra、揮散性物質溶解球半径とした場合の相対的エネルギー差RED値、全組成物中の香料の配合率(重量%)、硬化後のポリマーとのHSP距離Ra’、揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)、ポリマー溶解球半径Rを相互作用半径とした場合の相対的エネルギー差(RED値)を表4に記載した。
【表4】
【0080】
表4の結果から、硬化前条件ではHSP間距離Ra≦8MPa1/2かつRED値(揮散性物質溶解球半径Rを相互作用半径とした値)<1、反応性組成物条件ではHSP間距離Ra’≦8MPa1/2かつRED’値(揮散性物質溶解球R、ポリマー溶解球半径Rそれぞれを相互作用半径とした値)≦0.6の範囲でブリードアウト抑制効果があることがわかった。特に実施例1では良好な結果が得られた。
【0081】
本発明により、図5に示すような揮散性物質溶解球sとポリマー溶解球s’の重なりあいが大きい場合(R、Rを相互作用半径としたRED’値≦0.6)に揮散性物質の保持性に優れ、長期間ブリードアウトや変色が発生しない反応性組成物を得られることが確認できた。
【0082】
本発明の反応性組成物は長期間にわたりブリードアウトが抑制でき、美観に優れていることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の揮散性物質を含有した反応性組成物は、所望の揮散性物質を含有でき優れた保持力があり、美観に優れた反応性組成物を提供することができる。
【0084】
また、本発明では必要に応じて反応性組成物全体を100重量%とした場合、揮散性物質を最大30重量%配合することができ、揮散性物質高含有の反応性組成物を簡便提供できるという利点がある。
【0085】
さらに、本発明の揮散性物質を含有した反応性組成物はブリードアウトを抑制でき、長期間にわたり流動性を保持できるという利点も有する。
【0086】
従って、本発明の揮散性物質を含有した反応性組成物は利用価値が高く、産業上のあらゆる分野で活用できるアプリケーションツールとして提供できる可能性がある。
【符号の説明】
【0087】
a モノマー(及びオリゴマー)の混合物のHSP値、
b 揮散性物質のHSP値、
s 揮散性物質溶解球、
s’ 反応後ポリマー溶解球、
1 単層ノズル、
2 2種以上のモノマー(又はオリゴマー)及び揮散性物質の混合液、
3 形成管、
4 光源、
5 分離手段、
6 キャリア流体、
7 キャリア流体回収液、
8 駆動手段、
9 ラジカル重合後反応性組成物、
10 揮散性物質
図1
図2
図3
図4
図5