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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20230420BHJP
   F23L 17/02 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
F24H9/02 301B
F23L17/02 602F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018236240
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2020098063
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】山口 賢祐
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132259(JP,A)
【文献】特開2003-021320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
F23L 17/00-17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナからの燃焼排気の熱によって通水を加熱する熱交換器の上方に設けられ、前部が前記熱交換器よりも前方へ張り出し、前記熱交換器を上方に通過した前記燃焼排気を外部に排出する開口を前記前部に備えた排気ケーシングと、
前記開口に接続され、前方に筒状に突出し、前部に上下方向よりも左右方向に長い排気出口を備え、前記開口から排出された前記燃焼排気を前記排気出口から外部に排出する排気筒と、
前記排気ケーシング内に支持され、前記熱交換器を上方に通過した前記燃焼排気を前記開口に向けて整流する整流板と
を備え、
前記排気ケーシング内に形成される前記燃焼排気の排気通路の左右方向の幅が、前記排気筒の前記排気出口の左右方向の幅よりも広く形成された給湯器において、
前記排気出口の周縁部には、内側に向かって屈曲されたバーリング部が設けられ、
前記整流板は、前記排気ケーシング内から前記排気筒内に延びると共に、後方から前記排気出口に向かって斜め下方に傾斜する前側傾斜部を備え、
前記排気筒の内側で、且つ前記排気出口の前記周縁部のうち左右両縁部の前記燃焼排気が流れる方向の上流側に位置する前記前側傾斜部の前端部には、前記左右両縁部に前記燃焼排気が直接衝突するのを防止する左右一対の邪魔板部が設けられたこと
を特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記邪魔板部は、前方に向かうに従って左右方向の中央部側に傾斜すること
を特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記前側傾斜部は、後方から前記排気出口に向かって斜め下方に一直線状に傾斜すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体の上部に排気部を備えた給湯器が知られている(例えば、特許文献1参照)。排気部は、熱交換器のケーシングの上側に固定され、前面が開口して左右及び後部を覆うカバー状の排気ケーシングと、その排気ケーシングの内部に設けられる整流板とを備える。整流板は、排気ケーシングの内部に排気通路を形成する。排気ケーシングの前端部には、排気筒が前方に突出して形成され、その排気筒の前部には、排気出口が設けられる。排気筒及び排気出口は、上下方向に対して左右方向が長い形状に形成され、その排気出口の内縁部には、受傷防止用として、後方に折り曲げられたバーリング部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-31489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排気通路の左右方向の横幅に対し、排気出口の左右方向の横幅が狭い場合、排気出口の左右両端部から異音が生じ易い。これは、排気通路の左右両側に流れる空気が、排気出口に向けて中央側に編流するに際し、バーリング部に直接的に衝突することが考えられる。
【0005】
本発明の目的は、排気筒の排気出口における排気に伴う異音を軽減できる給湯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の給湯器は、バーナからの燃焼排気の熱によって通水を加熱する熱交換器の上方に設けられ、前部が前記熱交換器よりも前方へ張り出し、前記熱交換器を上方に通過した前記燃焼排気を外部に排出する開口を前記前部に備えた排気ケーシングと、前記開口に接続され、前方に筒状に突出し、前部に上下方向よりも左右方向に長い排気出口を備え、前記開口から排出された前記燃焼排気を前記排気出口から外部に排出する排気筒と、前記排気ケーシング内に支持され、前記熱交換器を上方に通過した前記燃焼排気を前記開口に向けて整流する整流板とを備え、前記排気ケーシング内に形成される前記燃焼排気の排気通路の左右方向の幅が、前記排気筒の前記排気出口の左右方向の幅よりも広く形成された給湯器において、前記排気出口の周縁部には、内側に向かって屈曲されたバーリング部が設けられ、前記整流板は、前記排気ケーシング内から前記排気筒内に延びると共に、後方から前記排気出口に向かって斜め下方に傾斜する前側傾斜部を備え、前記排気筒の内側で、且つ前記排気出口の前記周縁部のうち左右両縁部の前記燃焼排気が流れる方向の上流側に位置する前記前側傾斜部の前端部には、前記左右両縁部に前記燃焼排気が直接衝突するのを防止する左右一対の邪魔板部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の給湯器の前記邪魔板部は、前方に向かうに従って左右方向の中央部側に傾斜するとよい。
【0008】
請求項3の給湯器の前記前側傾斜部は、後方から前記排気出口に向かって斜め下方に一直線状に傾斜してもよい。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の給湯器によれば、排気筒の排気出口の左右両縁部に設けられたバーリング部に対して、燃焼排気が直接的に衝突するのを回避できるので、排気出口における排気に伴う異音を抑制できる。また、燃焼排気がバーリング部に対して直接的に接触しないので、バーリング部により、燃焼排気の流れが妨げられるのを防止できる。なお、バーリング部は、排気出口の周縁部が内側に屈曲され、その先端部が後側に向いているのがよい。これにより、バーリング部の先端部が排気出口から外側に出ないので、受傷を確実に防止できる。また、邪魔板部を整流板の一部として取り扱うことができるので、部品点数が増えるのを防止できる。よって、製造コストが上昇するのを防止できる。また、整流板と同時に邪魔板部を組み付けることができるので、作業効率を向上できる。
【0010】
請求項2の給湯器によれば、邪魔板部は、排気出口の左右両縁部に寄った位置の燃焼排気を中央部に円滑にガイドできるので、燃焼排気の排気性能を向上できる。また、排気出口の左右両縁部のバーリング部に対して、邪魔板部の先端部を無理なく近づけることができる。よって、邪魔板部を越えたところで回り込んだ燃焼排気がバーリング部に直接衝突するのを防止できる。
【0011】
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】給湯器1の断面図である。
図2】排気部30の右斜め前方から見た斜視図である。
図3】排気部30の右斜め後方から見た斜視図である。
図4】排気部30の正面図である。
図5図4に示すI-I線矢視方向断面図である。
図6図4に示すII-II線で切断した排気部30の右斜め後方から見下ろした断面斜視図である。
図7図4に示すII-II線矢視方向断面図である。
図8】整流板50の正面図である。
図9】整流板50の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0014】
図1図2を参照し、給湯器1の構造を説明する。給湯器1は、筐体2とフロントカバー8を備える。筐体2の前面には開口7が設けられる。フロントカバー8は、筐体2の前面に着脱可能であって、開口7を閉塞する。フロントカバー8の上部には、排気筒9が前方に突出し(図2参照)、下部には吸気口(図示略)が設けられる。筐体2の底板4には、外部の給湯栓へ繋がる出湯口11、外部から水道管が接続される入水口12、外部からガス管が接続されるガス入口(図示略)が夫々設けられる。筐体2の背板6の上部と下部には、壁取付用の金具16A、16Bが夫々設けられる。
【0015】
筐体2内の上部には、下方から順に、燃焼部18、熱交換器19、排気部30が設けられる。燃焼部18はバーナ側ケーシング21内に設けられ、複数のバーナ181を左右方向に並べて備える。燃焼部18の下方には、複数のバーナ181に燃焼用空気を供給する給気ファン25が設けられる。
【0016】
熱交換器19は、熱交換器側ケーシング26内に設けられる。熱交換器側ケーシング26は、バーナ側ケーシング21の上部に固定される。熱交換器19は、左右方向に所定間隔をおいて複数枚積層したフィン20を左右方向に貫通し、互いに平行に配設される複数の伝熱管19Aを有する。隣接する伝熱管19A同士は、U字状の接続管(図示略)によって連結されることで、蛇行状に繋がる一連の管体を形成する。熱交換器19の管体の上流端には、入水口12と接続される入水管27の下流端が接続され、当該管体の下流端には、出湯口11に接続される出湯管(図示略)が接続される。燃焼部18からの燃焼排気が伝熱管19A同士の隙間を通過することによって、伝熱管19Aの通水との間で熱交換が行われ、伝熱管19Aの通水が加熱される。
【0017】
排気部30は、排気ケーシング40と整流板50を備える。排気ケーシング40は、熱交換器側ケーシング26の上部に固定され、排気筒9と連通する。排気ケーシング40は、前部が熱交換器19よりも前方へ張り出す。整流板50は、排気ケーシング40内に支持され、熱交換器19から排気ケーシング40内に流入した燃焼排気の排気通路を形成する。
【0018】
図2図5を参照し、排気ケーシング40の形状を説明する。図2図3図5に示すように、排気ケーシング40は、後部において上方に膨出し、前方へ向かうに従って徐々に低くなる形状を備える。排気ケーシング40は前部に開口400(図5参照)を有する。開口400は、正面視下側に開口する略コの字型である。排気ケーシング40は、後方から前方にかけて順に、湾曲部41、最上部42、急傾斜部43、緩傾斜部44を備え、それらの左右両側に一対の側面部45を備える。湾曲部41は、上方に立ち上がりつつ前方に湾曲する。最上部42は、湾曲部41の前端部から前方に向けて略水平に延びる。急傾斜部43は、最上部42の前端部から急な角度で斜め下方に傾斜する。緩傾斜部44は、急傾斜部43の前端部から急傾斜部43よりも緩い角度で傾斜し、前方に延びる。一対の側面部45は、湾曲部41、最上部42、急傾斜部43、緩傾斜部44の左右両端部から垂下し、排気ケーシング40の左右の両側面を形成する。
【0019】
排気ケーシング40は、取付フランジ部46、上側フランジ部47、外側折返部48、複数の加締め部49を更に備える。取付フランジ部46は、排気ケーシング40の前端部であって、緩傾斜部44の前端部と、一対の側面部45の夫々の前端部とに沿って設けられる。取付フランジ部46(図3図5参照)は、外側に向かってフランジ状に突出し、正面視下方に開口する略コの字型に形成される。上側フランジ部47は、湾曲部41の下端部と、一対の側面部45の夫々の下端部とに沿って設けられる。上側フランジ部47は、外側に向かってフランジ状に突出し、底面視前方に開口する略コの字型に形成される。外側折返部48は、上側フランジ部47の外周部に沿って設けられ、下方に折り返して突出する。加締め部49は、外側折返部48の下端部に沿って設けられる。上側フランジ部47の下側に、熱交換器側ケーシング26の上端部に設けられた下側フランジ部261を配置し、複数の加締め部49の夫々を内側に折り曲げて加締め固定する。これにより、熱交換器側ケーシング26の上部に、排気ケーシング40が固定される。
【0020】
一対の側面部45の夫々には、上側挟持部451と下側挟持部452が設けられる。上側挟持部451は、側面部45における最上部42の近傍に設けられ、内側に向けて略矩形状に突出する。上側挟持部451の下面には、整流板50の後述する上板部52の上面が接触する。なお、上側挟持部451は絞り加工で形成するとよい。下側挟持部452は、上側挟持部451の下方で且つ後方寄りに設けられ、内側に向けて略矩形状に突出する。下側挟持部452の上面は、前側に下り傾斜する。下側挟持部452の上面には、整流板50の後述する下板部51の下面が接触する。これにより、上側挟持部451と下側挟持部452は、整流板50の後部を上下両側から挟み込んで支持する。
【0021】
最上部42の上面には、側面視略L字状のブラケット55の一端部がネジ38で固定される。ブラケット55の他端部は、筐体2の背板6にネジ(図示略)で固定される。これにより、排気ケーシング40は、筐体2の背面に固定される。
【0022】
図2図6を参照し、排気筒9の構造を説明する。図2図4に示すように、排気筒9は、排気ケーシング40の前部に固定され、前方に突出する略四角筒状に形成される。排気筒9の前部には、左右方向に長い環状の開口端部90が設けられ、開口端部90の内側に排気出口92が設けられる。排気出口92は、正面視左右方向に長い長円状に形成される。排気出口92の周縁部には、内側後方に向けて屈曲された受傷防止用のバーリング部91が設けられる。バーリング部91は、右バーリング部911と左バーリング部912を備える。右バーリング部911は、排気出口92の周縁部のうち右縁部に設けられ、バーリング部91の右側部を形成する。左バーリング部912は、排気出口92の周縁部のうち左縁部に設けられ、バーリング部91の左側部を形成する。開口端部90の下側部の左右両側には、二つの抜け穴95が設けられる。これにより、排気筒9内に降り込んだ雨水は、抜け穴95から外部に排出される。
【0023】
図2図3に示すように、排気筒9の後端部には、外方に向けてフランジ状に突出するフランジ部93が設けられる。フランジ部93は、左右方向に長い正面視略矩形リング状に形成される(図4参照)。フランジ部93の外周部には、内側に折り返された加締め片94が設けられる(図3図5参照)。フランジ部93の後面に対して、排気ケーシング40の前端部に設けられた取付フランジ部46と、整流板50の後述する下板部51の前端部に設けられた取付片512が配置され、加締め片94で加締められる。これにより、排気ケーシング40の前端部と、整流板50の下板部51の前端部に対し、排気筒9が固定される。
【0024】
排気ケーシング40の開口400の前方に、排気筒9の排気出口92が配置される。これにより、排気筒9は、排気ケーシング40の開口400から流れる燃焼排気を排気出口92から良好に排出できる。排気筒9は、フロントカバー8の上部に設けられた筒用固定穴(図示略)に対して背面側から挿入される(図1参照)。よって、排気筒9がフロントカバー8の上部において前方に突出する状態で固定される。
【0025】
図5図9を参照し、整流板50の形状を説明する。図5に示すように、整流板50は、下板部51、上板部52、雨除け部80を備える。下板部51は、平面視略矩形状に形成され、前側から後側になるにつれて斜め上方に傾斜する。下板部51の後端部には、上方に略直角に屈曲する下側係合部511が設けられる。下板部51の前端部には、前方に向けて略水平に延び、その先端側が下方に略直角に折り返した側面視略逆L字状の取付片512が設けられる。下板部51の前側の領域には、三つの支持部513(図6参照)が左右方向に間隔をあけて設けられる。支持部513は、平面視略矩形状で上方に突出する。支持部513の上面には、後述する上板部52の下面が接触する。これにより、支持部513は、上板部52を支持する。
【0026】
上板部52は、下板部51の上側に支持され、平面視略矩形状に形成される。上板部52の後端部には、下方に屈曲する上側係合部521が設けられる。上側係合部521は、下板部51の下側係合部511と係合する。上板部52は、後方から順に、傾斜部61、水平部62、後側傾斜部63、前側傾斜部64を備える。傾斜部61は平面視左右方向に長い略矩形状であって、上側係合部521の上端部から前側に向かって上り傾斜する。水平部62は平面視左右方向に長い略矩形状であって、傾斜部61の上端部から前側に向かって略水平に延び、排気ケーシング40の最上部42の下面と対向する。後側傾斜部63は平面視左右方向に長い略矩形状であって、水平部62の前端部から急な角度で斜め下方に傾斜する。後側傾斜部63の傾斜角度は、排気ケーシング40の急傾斜部43の傾斜角度と略同一である。後側傾斜部63は、排気ケーシング40の急傾斜部43の下方に位置し、且つその下面と対向する。
【0027】
前側傾斜部64は平面視左右方向に長い略矩形状であって、後側傾斜部63の前端部から後側傾斜部63よりも緩い角度で傾斜する。前側傾斜部64の前端部641の長手方向の略中央部には、後方に向けて平面視略矩形状に凹む凹部642が設けられる。凹部642の左右方向の長さは、排気筒9の排気出口92の左右方向の長さと略同一である(図7参照)。前端部641において、凹部642の右側には、前方に突出する平面視略台形状の右側突出部66が設けられ、凹部642の左側には、前方に突出する平面視略台形状の左側突出部67が設けられる。
【0028】
右側突出部66の前側には、前端部641に接続する一端部から、前方に向かうに従って凹部642側に傾斜して延びる斜辺部661が設けられる。斜辺部661には、右邪魔板部68が立設される。右邪魔板部68は略矩形板状に形成され、その右端部には、排気筒9のフランジ部93の内面との隙間を閉塞する略三角形状の閉塞板68Aが屈曲して設けられる。右邪魔板部68は、平面視、前方に向かうに従って凹部642の中央部側に傾斜する。
【0029】
左側突出部67の前側にも、前端部641に接続する一端部から、前方に向かうに従って凹部642側に傾斜して延びる斜辺部671が設けられる。斜辺部671には、左邪魔板部69が立設される。左邪魔板部69は、右邪魔板部68と同様に略矩形板状に形成され、その左端部には、排気筒9のフランジ部93の内面との隙間を閉塞する略三角形状の閉塞板69Aが屈曲して設けられる。左邪魔板部69は、平面視、前方に向かうに従って凹部642の中央部側に傾斜する。よって、右邪魔板部68及び左邪魔板部69は、平面視、後方から排気出口92側に向かうに従ってその離間幅は狭くなっている。
【0030】
雨除け部80は、前側傾斜部64の上面に固定される。雨除け部80は、平面視左右方向に長い略矩形状に形成され、排気筒9から排気ケーシング40内の整流板50に向かって勢いよく入射する雨水を受ける。雨除け部80に当たって後方に跳ね返った雨水は、排気ケーシング40の緩傾斜部44の下面に衝突するようになっている。緩傾斜部44の下面に衝突した雨水は、整流板50の前側傾斜部64上に落下し、排気出口92側に流れる。これにより、排気ケーシング40内において、雨水が整流板50の後部を超えて、筐体2内に侵入するのを防止できる。なお、排気出口92側に流れた雨水は、開口端部90の二つの抜け穴95から外部に排出される。
【0031】
図6図7を参照し、排気出口92と、右邪魔板部68及び左邪魔板部69との位置関係を説明する。排気部30において、整流板50の前端部641に設けられた右側突出部66と左側突出部67は、排気ケーシング40の開口400から前方に突出し、排気筒9内に配置される。右側突出部66と左側突出部67の夫々の前端部は、排気出口92の右縁部と左縁部に近接して配置される。そして、右邪魔板部68は、排気筒9の内部の右側において、排気筒9の後端部とフランジ部93が接続する角部と排気出口92の右縁部との間であって、後方から排気出口92側に向かうに従って左右方向の中央部側に傾斜して配置される。さらに、右邪魔板部68は、排気出口92を後方から見たときに、右バーリング部911を覆い隠すように配置される。それ故、右邪魔板部68の先端部は、右バーリング部911よりも排気出口92の中央側に配置される(図4参照)。
【0032】
左邪魔板部69は、排気筒9の内部の左側において、排気筒9の後端部とフランジ部93が接続する角部と排気出口92の左縁部との間であって、後方から排気出口92側に向かうに従って左右方向の中央部側に傾斜して配置される。さらに、左邪魔板部69は、排気出口92を後方から見たときに、左バーリング部912を覆い隠すように配置される。それ故、左邪魔板部69の先端部は、左バーリング部912よりも排気出口92の中央側に配置される(図4参照)。
【0033】
図5図7を参照し、右邪魔板部68と左邪魔板部69による排気に伴う異音軽減効果を説明する。図5に示すように、排気ケーシング40内には、整流板50の下方で、下板部51の傾斜に沿って後方へ移動した後、整流板50の後部の折り返し部に沿って上方へ回り込んで前方へUターンし、上板部52の上方で前方へ移動して開口400に達する排気通路が形成される(図5中二点鎖線が示す燃焼排気の流れ参照)。
【0034】
排気筒9の内部の排気通路の左右方向の幅は、排気ケーシング40内の排気通路の左右方向の幅よりも狭く、排気出口92の左右方向の幅は、排気筒9の内部の排気通路の左右方向の幅よりもさらに狭い。このような排気部30において、排気ケーシング40内の排気通路の中央を流れる燃焼排気P1は、排気筒9内の中央を流れ、排気出口92からそのまま排出される。一方、排気ケーシング40内の排気通路の左右両側を流れる燃焼排気P2、P3は、排気筒9内に向けて左右方向の中央側に編流され、さらに、排気出口92に向けて左右方向の中央側に編流される。
【0035】
本実施形態では、排気筒9内において、開口400と排気出口92の間の左右両側に、右邪魔板部68と左邪魔板部69が夫々配置される。燃焼排気P2、P3は、右邪魔板部68と左邪魔板部69に沿って流れ、排気出口92の中央部に向けて円滑にガイドされる。これにより、燃焼排気P2、P3は、右バーリング部911及び左バーリング部912に直接的に衝突することなく、排気出口92から前方に排出される。よって、給湯器1は、排気筒9の排気出口92において、燃焼排気の排気性能を向上できると共に、燃焼排気の排出に伴う異音を軽減できる。
【0036】
また、右邪魔板部68と左邪魔板部69は、排気出口92側に向かうに従って左右方向の中央部側に傾斜していることから、右バーリング部911及び左バーリング部912に対して、夫々の先端部を無理なく容易に近づけることができる。よって、右邪魔板部68及び左邪魔板部69を越えたところで回り込んだ燃焼排気が右バーリング部911と左バーリング部912に直接的に衝突するのを回避できる。
【0037】
また、右邪魔板部68と左邪魔板部69は、整流板50の上板部52の前端部に一体して設けられるので、右邪魔板部68と左邪魔板部69を整流板50の一部として取り扱うことができる。これにより、部品点数が増えるのを防止できるので、製造コストが上昇するのを防止できる。さらに、排気ケーシング40及び排気筒9に対して、整流板50と同時に、右邪魔板部68と左邪魔板部69を組み付けることができるので、排気部30の組立時の作業効率を向上できる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の給湯器1は、排気ケーシング40、排気筒9、整流板50を備える。排気ケーシング40は、熱交換器19の上方に設けられ、前部が熱交換器19よりも前方へ張り出し、熱交換器19を上方に通過した燃焼排気を外部に排出する開口400を前部に備える。排気筒9は、開口400に接続され、前方に筒状に突出する。排気筒9は、前部に上下方向よりも左右方向に長い排気出口92を備え、開口400から排出された燃焼排気を外部に排出する。整流板50は、排気ケーシング40内に支持され、熱交換器19を上方に通過した燃焼排気を開口400に向けて整流する。排気ケーシング40内に形成される燃焼排気の排気通路の左右方向の幅は、排気筒9の排気出口92の左右方向の幅よりも広い。
【0039】
上記構成を備える給湯器1において、排気出口92の周縁部には、内側に向かって屈曲されたバーリング部91が設けられる。排気筒9の内側で、且つ排気出口92の周縁部のうち左右両縁部の燃焼排気が流れる方向の上流側には、左右両縁部に燃焼排気が直接衝突するのを防止する右邪魔板部68及び左邪魔板部69が夫々設けられる。これにより、排気筒9の排気出口92の左右両縁部に設けられたバーリング部91に対して、燃焼排気が直接衝突するのを回避できるので、異音を抑制できる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、右邪魔板部68及び左邪魔板部69は、整流板50の上板部52の前端部641に一体して設けられるが、整流板50と別体としてもよい。右邪魔板部68及び左邪魔板部69は、上板部52に一体して設けられるが、下板部51に一体して設けてもよい。
【0041】
右邪魔板部68及び左邪魔板部69は、前方に向かうに従って左右方向の中央部側に傾斜するが、少なくとも、排気出口92を後方から見たときに、右バーリング部911及び左バーリング部912を覆い隠すことができれば、傾斜していなくてもよく、例えば、左右方向に延びるようにして配置してもよい。右邪魔板部68及び左邪魔板部69の形状についても、上記実施形態に限定されない。
【0042】
整流板50の形状についても上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、下板部51と上板部52の二部材で構成されるが、一部材で構成してもよい。整流板50の上板部52の上面に固定される雨除け部80は省略してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 給湯器
9 排気筒
40 排気ケーシング
50 整流板
68 右邪魔板部
69 左邪魔板部
91 バーリング部
92 排気出口
911 右バーリング部
912 左バーリング部
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9