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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】連結構造体
(51)【国際特許分類】
   F16G 15/02 20060101AFI20230420BHJP
   E02B 5/08 20060101ALI20230420BHJP
   E02B 7/02 20060101ALI20230420BHJP
   F16G 15/12 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
F16G15/02
E02B5/08 101Z
E02B7/02 B
F16G15/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019019350
(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公開番号】P2020125830
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-01-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年11月15日シバタ工業株式会社のウェブサイトにて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000106955
【氏名又は名称】シバタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206195
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 宗一朗
(72)【発明者】
【氏名】綿野 洋介
(72)【発明者】
【氏名】浮島 徹
(72)【発明者】
【氏名】西本 安志
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-13746(JP,A)
【文献】特開2010-13836(JP,A)
【文献】特開2010-13838(JP,A)
【文献】特開2002-97607(JP,A)
【文献】実開平3-69732(JP,U)
【文献】実開昭54-142749(JP,U)
【文献】特開平6-249277(JP,A)
【文献】特開2002-13125(JP,A)
【文献】特開2015-175211(JP,A)
【文献】特開2009-30234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 15/02
E02B 5/08
E02B 7/02
F16G 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結構造体であって、
連結する少なくとも2つのリングと、
前記リングの各々の間に設けられ、前記リングの各々が伸びる方向に引張力が生じたとき、前記リングの各々に生じる反力の増加度合を抑制する第1の反力抑制手段と、
前記第1の反力抑制手段に設けられ、前記リングの各々に対する伸びが所定値以上になったとき、前記リングの各々に生じる反力の増加度合を更に抑制する第2の反力抑制手段とを備え、
前記第2の反力抑制手段は、前記第1の反力抑制手段内部に設けられた少なくとも1つの貫通孔を含む、連結構造体。
【請求項2】
前記第1の反力抑制手段は、弾性材である、請求項1記載の連結構造体
【請求項3】
前記第2の反力抑制手段は、前記貫通孔の内周にその側壁が嵌め込まれた鋼管を含む、請求項1又は請求項2記載の連結構造体。
【請求項4】
前記第2の反力抑制手段は、前記貫通孔の内方に設けられ、前記リングの各々に生じる反力が所定値となるまで抵抗し、前記リングの各々が破断する値より低い値で変形を開始する形状保持部材を含む、請求項記載の連結構造体。
【請求項5】
前記形状保持部材は、前記引張力による荷重方向を線対称軸とする多角柱状である、請求項記載の連結構造体。
【請求項6】
前記形状保持部材は、三角柱状である、請求項記載の連結構造体。
【請求項7】
前記形状保持部材は、中空柱状であって、その内部が前記引張力に対し撓むことのできる充填材で充填されている、請求項から請求項のいずれかに記載の連結構造体。
【請求項8】
前記貫通孔は、その内部が、前記引張力による荷重方向と交差する方向に配向された繊維材が積層した繊維積層体で充填されている、請求項から請求項のいずれかに記載の連結構造体。
【請求項9】
連結構造体であって、
連結する少なくとも2つのリングと、
前記リングの各々の間に設けられ、前記リングの各々が伸びる方向に引張力が生じたとき、前記リングの各々に生じる反力の増加度合を抑制する第1の反力抑制手段と、
前記第1の反力抑制手段に設けられ、前記リングの各々に対する伸びが所定値以上になったとき、前記リングの各々に生じる反力の増加度合を更に抑制する第2の反力抑制手段とを備え、
前記第2の反力抑制手段は、前記引張力に対し所定荷重で破断する変位拘束部材である、連結構造体。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれかに記載の連結構造体を用いた、流木捕捉工。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は連結構造体に関し、特に、河川等へ流入した流木や土砂礫等を捕捉する流木捕捉工や砂防堰堤等で用いられ、複数のチェーン等と鎖状に連結される連結構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図13は従来の連結構造体を用いた流木捕捉工の構造を示す概略図である。
【0003】
同図を参照して、河川に設けられコンクリート等からなる堰堤82において、対向する袖部83a、83bを横断するように流木捕捉工81が設置されている。
【0004】
流木捕捉工81は、後述する鋼製のリングが鎖状に連結され横方向(水平方向)に延びる複数のチェーン84a、84bと、隣接するチェーン84a、84b同士を連結し縦方向(鉛直方向)に延びるチェーン84cと、チェーン84a、84bの両端部を袖部83a、83bに固定するためのアンカー等を用いた固定具85a~85dとから主に構成されている。
【0005】
河川へ流入した流木や土砂礫等は、堰堤82まで到達すると流木捕捉工81に衝突して捕捉され、下流へ流下することを防止される。このような衝突によってチェーン84a、84bに破断が発生することを防止するため、流木捕捉工81のチェーン84a、84bの両端部には、衝撃を緩衝する機能を有する連結構造体71a~71dが設けられている。換言すれば、チェーン84a、84bは、その両端部において連結構造体71a~71dを介して固定具85a、85bと連結され、袖部83a、83bに固定されている。
【0006】
次に、連結構造体71aの構造について説明する。
【0007】
図14図13で示したA部分の拡大図であり、図15図14で示したXV-XVラインの中央端面図である。
【0008】
これらの図を参照して、連結構造体71aには、連結する金属製のリング72a~72cが含まれ、リング72a、72bの間(リング72aの内周面とリング72bの内周面との間隔)には、第1の反力抑制手段としてのゴム製の弾性材73が設けられている。弾性材73は、リング72aの内周面のリング72b側の略半周をカバーするように固着されており、その幅方向中央部には、リング72bの位置を誘導するようにリング72b方向への凹部74が設けられている。
【0009】
このような連結構造体71a~71dを備えることにより、流木捕捉工81のチェーン84a~84cに流木等が衝突すると、矢印60a、60bで示した横方向、即ちリング72a、72bの各々が伸びる方向に引張力が生じる。すると、弾性材73が圧縮されて弾性変形し、弾性材73が無い場合と比べて伸び(変位)が増大することで、リング72a、72bの各々に生じる反力の増加度合を抑制する。そのため、リング72a、72bに破断が発生するのを防止することができる。
【0010】
以上のような従来の連結構造体として、特許文献1には、ゴム製防舷材のような大型構造物を相互に連結するために用いられる比較的大型のチェーンに関し、チェーンを構成する各リンクの連結相互間にゴム製の緩衝部材を介装するものが提案されている。
【0011】
又、特許文献2には、船舶や浮遊式海洋構造物等の浮体の係留装置に関し、リンク同士の連結部分に緩衝材が取り付けられたものが提案されている。
【0012】
更に、特許文献3には、高速道路等の桁間に接続される緩衝用チェーンに関し、チェーンの両端リングが緩衝部材を係入したものが提案されている。緩衝部材の係止孔には係止ボルトが挿入され、係止ボルトの周囲は緩衝部材で覆われた状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】実開昭61-58752号公報
【文献】実開昭61-81039号公報
【文献】特開2002-97607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した従来の連結構造体はいずれも、連結する複数のリング間には単一の反力抑制手段(緩衝材、緩衝部材)が設けられているばかりであり、引張力が生じたときの反力は、増加度合は抑制されるものの増加し続けるものであった。そのため、連結構造体の信頼性の向上には改善の余地があった。尚、特許文献3の緩衝部材も、上述したように係止孔には係止ボルトが挿入されるため、使用時には隣接するリング及び係止ボルト間に緩衝部材が存在して孔は存在しないこととなる。
【0015】
又、従来の連結構造体が用いられるのは大型構造物に対するチェーンにおけるものが多く、反力抑制手段の緩衝機能が弱くともリングを大型化するなどして強度を向上させることができたが、河川の流木捕捉工のような比較的小型のチェーンが用いられる箇所ではリングの小型化の要求が高かった。
【0016】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、信頼性が向上した連結構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、連結構造体であって、連結する少なくとも2つのリングと、リングの各々の間に設けられ、リングの各々が伸びる方向に引張力が生じたとき、リングの各々に生じる反力の増加度合を抑制する第1の反力抑制手段と、第1の反力抑制手段に設けられ、リングの各々に対する伸びが所定値以上になったとき、リングの各々に生じる反力の増加度合を更に抑制する第2の反力抑制手段とを備え、第2の反力抑制手段は、第1の反力抑制手段内部に設けられた少なくとも1つの貫通孔を含むものである。
【0018】
このように構成すると、所定値以上の伸びの増加に対して反力の増加度合が更に抑制される。又、所定値以上の伸びの増加に対して貫通孔の形状が荷重方向に圧縮されることで反力の増加度合が更に抑制される。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第1の反力抑制手段は、弾性材であるものである。
【0020】
このように構成すると、引張力に対して弾性材が弾性変形する。
【0023】
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、第2の反力抑制手段は、貫通孔の内周にその側壁が嵌め込まれた鋼管を含むものである。
【0024】
このように構成すると、鋼管の強度により所定値までは反力が上昇し、所定値を超えると鋼管が変形することで反力の増加度合が抑制される。
【0025】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明の構成において、第2の反力抑制手段は、貫通孔の内方に設けられ、リングの各々に生じる反力が所定値となるまで抵抗し、リングの各々が破断する値より低い値で変形を開始する形状保持部材を含むものである。
【0026】
このように構成すると、形状保持部材の強度や設置角度により所定値までは反力が上昇し、所定値を超えると形状保持部材が変形することで反力の増加度合が抑制される。
【0027】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明の構成において、形状保持部材は、引張力による荷重方向を線対称軸とする多角柱状であるものである。
【0028】
このように構成すると、形状保持部材の形状や設置角度を調整することで形状保持部材の強度が調整可能となる。
【0029】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明の構成において、形状保持部材は、三角柱状であるものである。
【0030】
このように構成すると、形状保持部材の強度が安定する。
【0031】
請求項記載の発明は、請求項から請求項のいずれかに記載の発明の構成において、形状保持部材は、中空柱状であって、その内部が引張力に対し撓むことのできる充填材で充填されているものである。
【0032】
このように構成すると、伸びが所定値を超えた場合でも形状保持部材が急激に変形することを防止する。
【0033】
請求項記載の発明は、請求項から請求項のいずれかに記載の発明の構成において、貫通孔は、その内部が、引張力による荷重方向と交差する方向に配向された繊維材が積層した繊維積層体で充填されているものである。
【0034】
このように構成すると、伸びが所定値を超えた場合でも貫通孔が急激に変形することを防止し、更に反力が増すと繊維材が破断することで反力の増加度合を抑制することができる。
【0035】
請求項記載の発明は、連結構造体であって、連結する少なくとも2つのリングと、リングの各々の間に設けられ、リングの各々が伸びる方向に引張力が生じたとき、リングの各々に生じる反力の増加度合を抑制する第1の反力抑制手段と、第1の反力抑制手段に設けられ、リングの各々に対する伸びが所定値以上になったとき、リングの各々に生じる反力の増加度合を更に抑制する第2の反力抑制手段とを備え、第2の反力抑制手段は、引張力に対し所定荷重で破断する変位拘束部材であるものである。
【0036】
このように構成すると、所定値以上の伸びの増加に対して反力の増加度合が更に抑制される。又、引張力が変位拘束部材が破断する所定値となるまで反力が維持される。
【0037】
請求項10記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の連結構造体を用いた、流木捕捉工である。
【0038】
このように構成すると、流木や土砂礫等が衝突した際の衝撃を安定して緩衝する。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、所定値以上の伸びの増加に対して反力の増加度合が更に抑制されるため、伸びに対する許容範囲が拡大し、信頼性が向上する。そのため、同一の伸びに対してリングに生じる反力が抑制され、リングの小型化が可能となる。又、所定値以上の伸びの増加に対して貫通孔の形状が荷重方向に圧縮されることで反力の増加度合が更に抑制されるため、貫通孔の形状の圧縮が完了するまで反力の増加が遅れるので、伸びに対する許容範囲が拡大し、信頼性が向上する。
【0040】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、引張力に対して弾性材が弾性変形するため、安定して反力の増加度合を抑制することができる。
【0042】
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、鋼管の強度により所定値までは反力が上昇し、所定値を超えると鋼管が変形することで反力の増加度合が抑制されるため、伸びに対する許容範囲が更に拡大し、信頼性が更に向上する。
【0043】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明の効果に加えて、形状保持部材の強度や設置角度により所定値までは反力が上昇し、所定値を超えると形状保持部材が変形することで反力の増加度合が抑制されるため、伸びに対する許容範囲が更に拡大し、信頼性が更に向上する。
【0044】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明の効果に加えて、形状保持部材の形状や設置角度を調整することで形状保持部材の強度が調整可能となるため、伸びに対する許容範囲を所望のものに調整し易くなる。
【0045】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明の効果に加えて、形状保持部材の強度が安定するため、連結構造体の信頼性が安定して向上する。
【0046】
請求項記載の発明は、請求項から請求項のいずれかに記載の発明の効果に加えて、伸びが所定値を超えた場合でも形状保持部材が急激に変形することを防止するため、反力を所定値付近で比較的長く維持することができる。
【0047】
請求項記載の発明は、請求項から請求項のいずれかに記載の発明の効果に加えて、伸びが所定値を超えた場合でも貫通孔が急激に変形することを防止し、更に反力が増すと繊維材が破断することで反力の増加度合を抑制することができるため、反力を所定値付近で比較的長く維持することができる。
【0048】
請求項記載の発明は、所定値以上の伸びの増加に対して反力の増加度合が更に抑制されるため、伸びに対する許容範囲が拡大し、信頼性が向上する。そのため、同一の伸びに対してリングに生じる反力が抑制され、リングの小型化が可能となる。又、引張力が変位拘束部材が破断する所定値となるまで反力が維持されるため、伸びに対する許容範囲が拡大し、信頼性が向上する。
【0049】
請求項10記載の発明は、流木や土砂礫等が衝突した際の衝撃を安定して緩衝するため、流木捕捉工の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】この発明の第1の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
図2図1で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。
図3】この発明の第2の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
図4図3で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。
図5】この発明の第3の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
図6図5で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。
図7】この発明の第4の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
図8図7で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。
図9】この発明の第5の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
図10図9で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。
図11】この発明の第6の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
図12図11で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。
図13】従来の連結構造体を用いた流木捕捉工の構造を示す概略図である。
図14図13で示したA部分の拡大図である。
図15図14で示したXV-XVラインの中央端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1はこの発明の第1の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
【0052】
尚、この発明の第1の実施の形態による連結構造体1の基本的な構造は、上述した従来の連結構造体71(図13図15)と同様であるため、以下相違点を中心に説明する。
【0053】
図1を参照して、連結構造体1は、連結するリング2a~2cと、リング2a、2bの間に設けられ、リングの各々が伸びる方向(矢印60a、60bで示すリング2a、2bが接近する方向)に引張力が生じたとき、リング2a、2bに生じる反力の増加度合を抑制する第1の反力抑制手段としての弾性材3と、弾性材3内部に設けられた第2の反力抑制手段としての貫通孔4とから主に構成されている。貫通孔4は、その中心が、弾性材3内部におけるリング2a、2bの間の引張力による荷重方向の直線上に位置するように設けられている。又、貫通孔4の外縁は図1に示す中央断面形状において円形であり、全体として円柱状である。
【0054】
図2図1で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。
【0055】
図1図2を併せて参照して、グラフ5の横軸はチェーンの伸び(変位)を示し、縦軸はリング2a、2bの各々に生じる反力を示す。又、一点鎖線で示した値6は、リング2a又はリング2bが破断する値を示す。更に、一点鎖線で示した線10は直接的にリング2a、2bが接触する場合(即ち、第1の反力抑制手段及び第2の反力抑制手段のいずれも備えない場合、図示せず)のデータを示し、破線で示した線12は従来の連結構造体の場合(即ち、第1の反力抑制手段(弾性材)のみを備える場合)のデータを示し、実線で示した線16は連結構造体1の場合(即ち、第1の反力抑制手段(弾性材3)及び第2の反力抑制手段(貫通孔4)を備える場合)のデータを示す。
【0056】
まず線10を参照して、引張力が生じるとリング2a、2bは直接的に接触するため、伸びに応じて反力は急激に増加し、相対的に最も小さい伸びの値7で反力が値6に到達し、リング2a、2bは破断する。
【0057】
次に線12を参照して、引張力が生じたとき上述した弾性材の緩衝機能により伸びに応じた反力の増加度合(グラフ5における傾き)は抑制されて線10の場合より緩やかに増加し、線10の場合より大きい伸びの値8で反力が値6に到達することとなる。
【0058】
次に線16を参照して、引張力が生じたとき、上述した弾性材3の緩衝機能により伸びが所定値としての値9aとなるまでは線12の場合と同程度の反力の増加度合となる。ここで、値9aは貫通孔4の形状の圧縮が開始される値であり、値9bは貫通孔4の形状の圧縮が完了する値である。そのため、伸びが値9aから値9bに至るまでは反力が低下するほどに反力の増加度合が更に抑制される。伸びの値9bからはリング2a、2b間には弾性体3のみが存在する場合とほぼ同じ状態となるため、線12と同程度の反力の増加度合となり、伸びの値9cにおいて反力が値6に到達する。
【0059】
以上のように、連結構造体1によれば、貫通孔4によって、所定値以上の伸びの増加に対して貫通孔4の形状が荷重方向に圧縮されることで反力の増加度合が更に抑制されるため、貫通孔4の形状の圧縮が完了するまで反力の増加が遅れるので、伸びに対する許容範囲が拡大し、信頼性が向上する。
【0060】
次に、図3はこの発明の第2の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
【0061】
尚、この発明の第2の実施の形態による連結構造体11の基本的な構造は、上述した連結構造体1(図1)と同様であるため、以下相違点を中心に説明する。
【0062】
図3を参照して、連結構造体11は、弾性材13における貫通孔14の内面にその側壁が嵌め込まれた鋼管15を備える。そのため、矢印60a、60bで示す横方向に引張力が生じたとき、貫通孔14の形状の圧縮に対し鋼管15が抵抗する。鋼管15は図3に示す中央断面形状が円形であり、全体として貫通孔14の貫通方向に沿って延びる中空の円柱状である。
【0063】
図4図3で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。尚、グラフ19の縦軸及び横軸の関係は上記図2で述べたグラフ5と同様である。
【0064】
図4を参照して、破線で示した線12は第1の反力抑制手段(弾性材)のみを備える場合のデータを示し、二点鎖線で示した線16は第1の反力抑制手段(弾性材)及び第2の反力抑制手段(貫通孔)を備える場合のデータを示し、実線で示した線18は連結構造体11(即ち、第1の反力抑制手段(弾性材13)並びに第2の反力抑制手段(貫通孔14及び鋼管15)を備える場合)のデータを示す。
【0065】
線18を参照して、引張力が生じたとき、伸びが所定値としての値17aに到達するまでは、貫通孔14の形状の圧縮に対し鋼管15の強度により反力は上昇する。そして、伸びが値17aに到達した以降は、鋼管15が変形を始め、反力の増加度合が抑制される。又、伸びが値17bに到達すると、鋼管15は変形が完了し、荷重方向に対向する内周面同士が接触することとなるため、値17b以降は線12の場合と同程度の反力の増加度合となり、上述した線16の場合の伸びの値9cより大きい値である伸びの値17cにおいて反力が値6に到達する。
【0066】
以上のように、連結構造体11によれば、鋼管15の強度により所定値までは反力が上昇し、所定値を超えると鋼管15が変形することで反力の増加度合が抑制されるため、伸びに対する許容範囲が更に拡大し、信頼性が更に向上する。
【0067】
次に、図5はこの発明の第3の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
【0068】
尚、この発明の第3の実施の形態による連結構造体21の基本的な構造は、上述した連結構造体11(図3)と同様であるため、以下相違点を中心に説明する。
【0069】
図5を参照して、連結構造体21は、弾性材23における貫通孔24の内面にその側壁が嵌め込まれた鋼管25を備える。又、鋼管25の内部には、金属又は合成樹脂からなる形状保持部材26が嵌め込まれている。形状保持部材26は、その中央断面形状が、矢印60a、60bで示す引張力による荷重方向を線対称軸とする三角形状であり、貫通孔24の形成された方向と同一方向に延びる中実の三角柱状である。そして、形状保持部材26は、引張力が生じたとき、反力が後述する所定値となるまで変形に抵抗する。
【0070】
図6図5で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。尚、グラフ27の縦軸及び横軸の関係は上記図2で述べたグラフ5と同様である。
【0071】
図6を参照して、破線で示した線12は第1の反力抑制手段(弾性材)のみを備える場合のデータを示し、密な二点鎖線で示した線16は第1の反力抑制手段(弾性材)及び第2の反力抑制手段(貫通孔)を備える場合のデータを示し、粗い二点鎖線で示した線18は第1の反力抑制手段(弾性材)並びに第2の反力抑制手段(貫通孔及び鋼管)を備える場合のデータを示し、実線で示した線28は連結構造体21(即ち、第1の反力抑制手段(弾性材23)並びに第2の反力抑制手段(貫通孔24、鋼管25及び形状保持部材26)を備える場合)のデータを示す。
【0072】
線28を参照して、引張力が生じたとき、伸びが所定値としての値29aに到達するまでは、貫通孔24の形状の圧縮に対し鋼管25及び形状保持部材26の強度により反力は上昇する。この値29aは、形状保持部材26の存在により、上述した線18の場合の所定値17aより大きい値となる。そして、伸びが値29aに到達した以降は、形状保持部材26も変形し始めることで鋼管25が変形を始め、反力の増加度合が抑制される。
【0073】
このとき、反力は最大でも、リングの各々が破断する値6より低い値30となるように形状保持部材26の強度や設置角度が調整されているため、リングの各々に破断が生じることはない。
【0074】
又、伸びが値29bに到達すると、鋼管25及び形状保持部材26は変形が完了し、値29b以降は線12の場合と同程度の反力の増加度合となり、上述した線16の場合の伸びの値9cより大きい値である伸びの値29cにおいて反力が値6に到達する。
【0075】
以上のように、連結構造体21によれば、形状保持部材26の強度や設置角度により伸びが所定値となるまでは反力が上昇し、所定値を超えると形状保持部材26が変形することで反力の増加度合が抑制されるため、伸びに対する許容範囲が更に拡大し、信頼性が更に向上する。
【0076】
次に、図7はこの発明の第4の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
【0077】
尚、この発明の第4の実施の形態による連結構造体31の基本的な構造は、上述した連結構造体21(図5)と同様であるため、以下相違点を中心に説明する。
【0078】
図7を参照して、連結構造体31は、弾性材33における貫通孔34の内面にその側壁が嵌め込まれた鋼管35を備える。又、鋼管35の内部には、中空三角柱状の形状保持部材36が嵌め込まれている。更に、形状保持部材36の内部は、矢印60a、60bで示す引張力に対し撓むことのできる充填材37で充填されている。
【0079】
尚、形状保持部材36の形状は、中空である以外は上述した形状保持部材26の構造と基本的に同様である。
【0080】
又、充填材37は、所定荷重で破断する繊維を束ねたものや、可撓性のあるゴムチップ、又はこのような繊維とゴムとを荷重方向に交互に積層したもの等が挙げられる。
【0081】
そして、連結構造体31に引張力が生じたとき、充填材37の存在により、形状保持部材36が急激に変形することが防止される。
【0082】
図8図7で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。尚、グラフ38の縦軸及び横軸の関係は上記図2で述べたグラフ5と同様である。
【0083】
図8を参照して、破線で示した線12は第1の反力抑制手段(弾性材)のみを備える場合のデータを示し、密な二点鎖線で示した線16は第1の反力抑制手段(弾性材)及び第2の反力抑制手段(貫通孔)を備える場合のデータを示し、粗い二点鎖線で示した線28は第1の反力抑制手段(弾性材)並びに第2の反力抑制手段(貫通孔、鋼管及び形状保持部材)を備える場合のデータを示し、実線で示した線39は連結構造体31(第1の反力抑制手段(弾性材33)並びに第2の反力抑制手段(貫通孔34、鋼管35、形状保持部材36及び充填材37)を備える場合)のデータを示す。
【0084】
線39を参照して、引張力が生じたとき、第2の反力抑制手段が変形を開始する所定値としての値40aに伸びが到達するまでは、貫通孔34の形状の圧縮に対し鋼管35及び形状保持部材36の強度により反力は上昇する。そして、伸びが値29aに到達した以降は、形状保持部材36も変形し始めることで鋼管35が変形を始め、反力の増加度合が抑制される。
【0085】
このとき、上述した充填材37の存在により、形状保持部材36が急激に変形することが防止されるため、反力の低減度合も線28の場合より緩やかとなる。
【0086】
又、伸びが値40bに到達すると、鋼管35及び形状保持部材36は変形が完了し、値40b以降は充填材37の存在により線12の場合よりはやや低い増加度合で反力が増加し、上述した線16の場合の伸びの値9cより大きい値である伸びの値40cにおいて反力が値6に到達する。
【0087】
以上のように、連結構造体31によれば、伸びが所定値を超えた場合でも形状保持部材36が急激に変形することを防止するため、反力を所定値付近で比較的長く維持することができる。
【0088】
次に、図9はこの発明の第5の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
【0089】
尚、この発明の第5の実施の形態による連結構造体41の基本的な構造は、上述した連結構造体11(図3)と同様であるため、以下相違点を中心に説明する。
【0090】
図9を参照して、連結構造体41は、弾性材43における貫通孔44の内面にその側壁が嵌め込まれた鋼管45を備える。又、貫通孔44(鋼管45)の内部は、矢印60a、60bで示す引張力による荷重方向と交差する方向に配向された繊維材が荷重方向に積層した繊維積層体46で充填されている。
【0091】
そして、連結構造体41に引張力が生じたとき、繊維積層体46が引張力に対し所定荷重で徐々に破断することで、貫通孔44が急激に変形することを防止する。
【0092】
図10図9で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。尚、グラフ47の縦軸及び横軸の関係は上記図2で述べたグラフ5と同様である。
【0093】
図10を参照して、破線で示した線12は第1の反力抑制手段(弾性材)のみを備える場合のデータを示し、密な二点鎖線で示した線16は第1の反力抑制手段(弾性材)及び第2の反力抑制手段(貫通孔)を備える場合のデータを示し、粗い二点鎖線で示した線18は第1の反力抑制手段(弾性材)並びに第2の反力抑制手段(貫通孔、鋼管)を備える場合のデータを示し、実線で示した線48は連結構造体41(第1の反力抑制手段(弾性材43)並びに第2の反力抑制手段(貫通孔44、鋼管45及び繊維積層体46)を備える場合)のデータを示す。
【0094】
線48を参照して、引張力が生じたとき、第2の反力抑制手段が変形を開始する所定値としての値49aに伸びが到達するまでは、貫通孔44の形状の圧縮に対し鋼管45の強度により反力は上昇する。そして、伸びが値49aに到達した以降は、鋼管45が変形を始め、反力の増加度合が抑制される。
【0095】
このとき、上述した繊維積層体46の存在により、貫通孔44(鋼管45)が急激に変形することが防止されるため、反力が所定値付近で維持される時間が線18の場合より長くなる。
【0096】
又、伸びが値49bに到達すると、貫通孔44(鋼管45)は変形が完了し、値49b以降は線12の場合とほぼ同程度の増加度合で反力が増加し、上述した線16の場合の伸びの値9cより大きい値である伸びの値49cにおいて反力が値6に到達する。
【0097】
以上のように、連結構造体41によれば、伸びが所定値を超えた場合でも貫通孔44が急激に変形することを防止し、更に反力が増すと繊維材が破断することで反力の増加度合を抑制することができるため、反力を所定値付近で比較的長く維持することができる。
【0098】
次に、図11はこの発明の第6の実施の形態による連結構造体の中央端面図であって、図15に対応するものである。
【0099】
尚、この発明の第6の実施の形態による連結構造体51の基本的な構造は、上述した従来の連結構造体71(図13図15)と同様であるため、以下相違点を中心に説明する。
【0100】
図11を参照して、連結構造体51は、第2の反力抑制手段として、弾性材53の内部に設けられ、矢印60a、60bで示す引張力に対し所定荷重で破断する変位拘束部材54を備える。変位拘束部材54は、引張力による荷重方向と交差する方向に配向された繊維材が積層した繊維積層体の織布や、該繊維材とゴムとを荷重方向に交互に積層したものや、部分的に脆弱部(切り込み、貫通孔、ミシン目など)が設けられた金属板等が挙げられる。
【0101】
そして、連結構造体51に引張力が生じたとき、変位拘束部材54が引張力に対し所定荷重となるまで徐々に破断する。
【0102】
図12図11で示した連結構造体に引張力が生じたときのリングの伸びと反力の関係を示すグラフである。尚、グラフ57の縦軸及び横軸の関係は上記図2で述べたグラフ5と同様である。
【0103】
図12を参照して、破線で示した線12は第1の反力抑制手段(弾性材)のみを備える場合のデータを示し、実線で示した線58は連結構造体51(第1の反力抑制手段(弾性材53)及び第2の反力抑制手段(変位拘束部材54)を備える場合)のデータを示す。
【0104】
線58を参照して、引張力が生じたとき、第2の反力抑制手段が破断による変形を開始する所定値としての値59aに伸びが到達するまで反力は上昇する。そして、伸びが値59aに到達した以降は、変位拘束部材54が破断を開始し、反力の増加度合が抑制されるため、反力が所定値付近で維持される。
【0105】
又、伸びが値59bに到達すると、変位拘束部材54は破断が完了し、値59b以降は線12の場合とほぼ同程度の増加度合で反力が増加し、線12の場合の伸びの値8より大きい値である伸びの値59cにおいて反力が値6に到達する。
【0106】
以上のように、連結構造体51によれば、引張力が変位拘束部材54が破断する所定値となるまで反力が維持されるため、伸びに対する許容範囲が拡大し、信頼性が向上する。
【0107】
以上説明したように、本発明の連結構造体によれば、第1の反力抑制手段に加えて、リングの各々に対する伸びが所定値以上になったとき、リングの各々に生じる反力の増加度合を更に抑制する第2の反力抑制手段を備えることで、所定値以上の伸びの増加に対して反力の増加度合が更に抑制されるため、伸びに対する許容範囲が拡大し、信頼性が向上するものである。
【0108】
更に言うと、第1の反力抑制手段が弾性変形する一方で、第2の反力抑制手段がリングの許容引張力よりも低い荷重で塑性変形することで、連結構造体に作用する外力を吸収することができ、信頼性を更に向上させたものである。第2の反力抑制手段を備えることにより、リングの大型化とは異なる手段で強度を向上させており、リングの小型化に貢献する。
【0109】
尚、上記の各実施の形態では、チェーン、リング、弾性材等の各構成要素が特定の素材からなる特定形状のものであったが、他の素材からなるものであっても良い。又、他の形状であっても良い。
【0110】
又、上記の各実施の形態では、連結構造体に3つのリングが連結されていたが、少なくとも2つのリングであれば本発明を適用することができる。尚、その場合、リングの弾性材が設けられていない側は、ロープ材等で固定具や岸壁に固定されても良い。又、連結されるリングは、従来の連結構造体のようにシャックルや係止ボルトであるものを含む。
【0111】
更に、上記の各実施の形態では、連結構造体がチェーンの端部にのみ設けられていたが、他の箇所の少なくとも一部に設けられていれば良いし、チェーンの全リングに設けられていても良い。
【0112】
更に、上記の各実施の形態では、リングが断面楕円形の環状であったが、断面形状が円形や長円形等の他の形状であっても良い。
【0113】
更に、上記の各実施の形態では、流木捕捉工において連結構造体を用いていたが、使用場面はこれらに限定されない。但し、リングを大型化し難い流木捕捉工において用いることで、流木や土砂礫等が衝突した際の衝撃を安定して緩衝するため、流木捕捉工の信頼性が向上するので好適である。
【0114】
更に、上記の各実施の形態では、第1の反力抑制手段は弾性材であったが、反力の増加度合を抑制するものであれば他のものであっても良い。尚、弾性材であれば、引張力に対して弾性材が弾性変形するため、安定して反力の増加度合を抑制することができる観点から好ましい。
【0115】
更に、上記の各実施の形態では、弾性材はリングの内周面のうち連結されるリングが接近する側の略半分程度の領域に設けられていたが、従来の連結構造体のようにより少ない領域であっても良いし、内周全面を覆うように設けられていても良い。
【0116】
更に、上記の各実施の形態では、第2の反力抑制手段が第1の反力抑制手段(弾性材)の内部に設けられていたが、凹部の表面や、弾性材とリングとの間に設けられていても良い。
【0117】
更に、上記の各実施の形態では、第2の反力抑制手段は貫通孔、鋼管、形状保持部材、充填材、繊維積層体、変位拘束部材又はこれらの組み合わせであったが、伸びが所定値以上になったとき反力の増加度合を更に抑制することができるものであれば他のものであっても良い。尚、反力の増加度合を抑制とは、伸び(変位)の増加に対する反力の増加度合が、伸びが所定値未満のときよりも低くなることを言い、反力が低下するもの、維持されるもの、及び増加するがその度合が緩やかになるものを含む。このとき、反力が低下するように塑性変形を起こすものであることが好ましい。
【0118】
更に、上記の各実施の形態では、貫通孔の中央断面(リングの厚みを半分にする断面)形状は円形であったが、他の形状であっても良い。但し、円形、楕円形、長円形等の角が無い形状であることが、引張力が生じたときに切れ目等が発生し難いため好ましい。
【0119】
更に、上記の各実施の形態では、貫通孔は1つであったが、2つ以上であっても良い。又、このとき、複数の貫通孔の位置は適宜調整することができる。
【0120】
更に、上記の各実施の形態では、形状保持部材は中実又は中空の三角柱状であったが、他の形状であっても良い。このとき、荷重方向を線対称軸とする多角柱状とすることで、形状保持部材の形状や設置角度を調整することで形状保持部材の強度が調整可能となるため、伸びに対する許容範囲を所望のものに調整し易くなる。但し、三角柱状であれば、形状保持部材の強度が安定するため、連結構造体の信頼性が安定して向上するので好ましい。
【0121】
更に、上記の各実施の形態では、形状保持部材は特定のものであったが、リングの各々に生じる反力が所定値となるまで抵抗し、リングの各々が破断する値より低い値で変形を開始するものであれば他のものであっても良い。
【0122】
更に、上記の各実施の形態では、形状保持部材と鋼管との間は空間となっていたが、この空間が充填材や繊維積層体で充填されていても良い。
【0123】
更に、上記の各実施の形態において、図14で示したような連結構造体の外観において弾性材の表面を覆う布製や樹脂製等のカバーを更に備え、貫通孔等が視認できない状態となっていても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0124】
1、11、21、31、41、51…連結構造体
2…リング
3、13、23、33、43、53…弾性材
4、14、24、34、44…貫通孔
15、25、35、45…鋼管
26、36…形状保持部材
37…充填材
46…繊維積層体
54…変位拘束部材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15