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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】軟骨細胞様細胞の分化誘導方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/12 20060101AFI20230420BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20230420BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230420BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALI20230420BHJP
   C12N 5/077 20100101ALI20230420BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C07K14/47
C12N5/10
C12N5/0775
C12N5/077
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019093344
(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公開番号】P2020184965
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(72)【発明者】
【氏名】福田 綾
(72)【発明者】
【氏名】関口 裕也
(72)【発明者】
【氏名】久武 幸司
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/071210(WO,A1)
【文献】Matrix Biology, 2005,Vol. 23, pp. 499-505
【文献】J.Biol.Chem., 2006, Vol.281, No. 20, pp. 14417-14428
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N、C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列において、Q117、H131、およびK398からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸{但し、Q117およびH131の2つのアミノ酸を含む場合を除く}、または、(i) Q117、(ii) H131、もしくは(iii) H131とK398に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸においてアミノ酸置換を有し、c-Mycタンパク質およびKlf4タンパク質の存在下における軟骨細胞様細胞への線維芽細胞からの分化誘導能において、配列番号1のアミノ酸配列を有するSOX9タンパク質よりも高い能力を有し、ここで、軟骨細胞様細胞は、軟骨マーカーであるII型コラーゲン(Col2a1)およびアグリカン(Acan)の発現を示す、SOX9の変異体タンパク質。
【請求項2】
配列番号1のアミノ酸配列においてQ117AおよびH131Aのいずれかのアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換を有する、請求項1に記載の変異体タンパク質。
【請求項3】
配列番号1のアミノ酸配列において、H131およびK398の2つのアミノ酸においてアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換を有する請求項1または2に記載の変異体タンパク質。
【請求項4】
配列番号1のアミノ酸配列においてH131およびK398に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸においてアミノ酸置換を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の変異体タンパク質。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の変異体タンパク質をコードする核酸。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の変異体タンパク質、および/または、請求項5に記載の核酸を有する、細胞。
【請求項7】
Klfファミリーのタンパク質およびMycファミリーのタンパク質からなる群から選択されるタンパク質またはこれをコードする核酸をさらに有する、請求項6に記載の細胞。
【請求項8】
線維芽細胞、間葉系幹細胞、または軟骨形成細胞である、請求項6または7に記載の細胞。
【請求項9】
軟骨細胞様細胞を製造する方法であって、
請求項1~4のいずれか一項に記載の変異体タンパク質を細胞内に有する細胞を用意することと、
当該変異体タンパク質を細胞内に有する条件下で前記細胞を培養することと
を含む、方法。
【請求項10】
培養される細胞が、線維芽細胞である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
培養される細胞が、軟骨芽細胞または間葉系幹細胞である、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟骨細胞様細胞の分化誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SOX9タンパク質は、軟骨細胞の分化に必須の因子である。近年、皮膚線維芽細胞から軟骨形成細胞が得られることが明らかになった(特許文献1)。この手法では、皮膚の線維芽細胞にc-MYC、KLF4、および野生型SOX9を導入することによって約2週間で軟骨細胞に特徴的な細胞塊を生じ、II型コラーゲン(Col2a1)およびプロテオグリカンであるアグリカン(Acan)を発現し、動物への移植により軟骨組織(硝子軟骨)を形成させることができる(非特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2010/071210
【非特許文献】
【0004】
【文献】Outani H. et al., 2013, PLOS ONE, 8(10), e77365
【文献】Outani H. et al., 2011, BBRC, 411, 607-612
【文献】Hiramatsu K. et al., 2001, J. Clin. Invest., 121(2), 640-657
【文献】乾雅史、2017年、上原記念生命科学財団研究報告集、31、1-5
【発明の概要】
【0005】
本発明は、軟骨細胞様細胞の分化誘導方法を提供する。
【0006】
本発明者らは、SOX9タンパク質の発現によって線維芽細胞が、軟骨細胞マーカーを発現する細胞(軟骨細胞様細胞)に分化することを見出した。本発明者らはまた、SOX9タンパク質の特定のアミノ酸置換変異体が、線維芽細胞の軟骨細胞様細胞への分化を促進させることを見出した。
【0007】
本発明によれば、以下の産業上利用可能な発明が提供される。
(1)配列番号1のアミノ酸配列においてQ117、H131、およびK398からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸においてアミノ酸置換を有するSOX9の変異体タンパク質。
(2)配列番号1のアミノ酸配列においてQ117およびH131からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸においてアミノ酸置換を有する、上記(1)に記載の変異体タンパク質。
(3)配列番号1のアミノ酸配列においてQ117AおよびH131Aからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換を有する、上記(1)または(2)に記載の変異体タンパク質。
(4)配列番号1のアミノ酸配列においてQ117、H131、およびK398からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸においてアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換を有する上記(1)~(3)のいずれかに記載の変異体タンパク質。
(5)配列番号1のアミノ酸配列においてH131およびK398に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸においてアミノ酸置換を有する、上記(1)~(4)のいずれかに記載の変異体タンパク質。
(6)上記(1)~(5)のいずれかに記載の変異体タンパク質をコードする核酸。
(7)上記(1)~(5)のいずれかに記載の変異体タンパク質、および/または、上記(6)に記載の核酸を有する、細胞。
(8)Klfファミリーのタンパク質およびMycファミリーのタンパク質からなる群から選択されるタンパク質またはこれをコードする核酸をさらに有する上記(7)に記載の細胞。
(9)線維芽細胞、間葉系幹細胞、または軟骨細胞様細胞である、上記(7)または(8)に記載の細胞。
(10)軟骨形成細胞を製造する方法であって、
上記(1)~(5)のいずれかに記載の変異体タンパク質を細胞内に有する細胞を用意することと、
当該変異体タンパク質を細胞内に有する条件下で前記細胞を培養することと
を含む、方法。
(11)培養される細胞が、線維芽細胞である、上記(10)に記載の方法。
(12)培養される細胞が、軟骨芽細胞または間葉系幹細胞である、上記(10)に記載の方法。
【0008】
(13)上記(7)または(8)の細胞を含む細胞製剤。
(14)上記(7)または(8)の細胞を含む細胞集団。
【0009】
(15)配列番号1のアミノ酸配列においてQ117A、H131A、およびK398AまたはK398Qからなる群から選択されるアミノ酸置換に対応するアミノ酸置換を有するSOX9タンパク質の変異体。
(16)配列番号1のアミノ酸配列においてH131Aに対応するアミノ酸置換およびK398AまたはK398Qに対応するアミノ酸置換を有するSOX9タンパク質の変異体。
(17)上記(15)または(16)に記載の変異体をコードする核酸。
(18)上記(17)に記載の核酸を含む、遺伝子発現ベクター。
(19)上記(15)または(16)に記載の変異体および/または上記(17)に記載の核酸を含む、細胞。
(20)上記(19)の細胞を含む、細胞集団。
(21)上記(19)の細胞を含む、細胞製剤。
【0010】
(22)KLFファミリーのタンパク質および当該タンパク質をコードする核酸、並びにMYCファミリーのタンパク質および当該タンパク質をコードする核酸からなる群から選択されるタンパク質または核酸を有する、上記(7)、(8)、(9)、または(19)に記載の細胞。
(23)上記(22)の細胞を含む、細胞集団。
(24)上記(22)の細胞を含む、細胞製剤。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、野生型ヒトSOX9(hSOX9(WT))が単独で、およびヒトc-MYC(hc-MYC)およびヒトKLF4(hKLF4)と組み合わせて線維芽細胞に発現させて、軟骨細胞に特徴的な細胞塊を生じさせることを示す写真である。
図2図2は、野生型ヒトSOX9(hSOX9(WT))が単独で、およびヒトc-MYC(hc-MYC)およびヒトKLF4(hKLF4)と組み合わせて線維芽細胞に発現させて、軟骨細胞マーカーであるII型コラーゲン(Col2a1)およびアグリカン(Acan)の発現が向上することを示す図である。
図3図3は、hSOX9のアミノ酸の網羅的なアミノ酸置換の導入とそれによる軟骨細胞マーカーであるII型コラーゲン(Col2a1)およびアグリカン(Acan)の発現の向上を示す。
図4図4は、hSOX9の特定の変異体をヒトc-MYC(hc-MYC)およびヒトKLF4(hKLF4)と組み合わせて発現させた線維芽細胞の形態を示す写真である。
図5図5は、K398のアミノ酸のSOX9タンパク質中での位置と、当該アミノ酸の変異K398AおよびK398Qによる軟骨細胞マーカーであるII型コラーゲン(Col2a1)およびアグリカン(Acan)の発現の向上を示す。
図6図6は、hSOX9の特定の変異体をヒトc-MYC(hc-MYC)およびヒトKLF4(hKLF4)と組み合わせて発現させた線維芽細胞の形態を示す写真である。
図7図7は、2つの置換変異を有するSOX9の置換アミノ酸の1つと、当該アミノ酸変異による軟骨細胞マーカーであるII型コラーゲン(Col2a1)およびアグリカン(Acan)の発現の向上を示す。
図8図8は、hSOX9の特定の変異体をヒトc-MYC(hc-MYC)およびヒトKLF4(hKLF4)と組み合わせて発現させた線維芽細胞の形態を示す写真である。
【発明の具体的内容】
【0012】
本明細書では、「細胞」とは、軟骨を有する脊椎動物の細胞を意味する。細胞は、単数形で記載された場合であっても、単一の細胞、複数の細胞、および細胞集団を意味しうる。本明細書において「軟骨細胞」とは、軟骨において認められる細胞であり、コラーゲンおよびプロテオグリカンにより構成される軟骨基質の形成能を有する。本明細書では、「軟骨細胞様細胞」とは、軟骨細胞の分化マーカーの少なくとも1つを発現する細胞を意味する。軟骨細胞様細胞は、軟骨形成能を有し得る。軟骨細胞様細胞は、軟骨幹細胞または軟骨形成細胞であり得る。本明細書では、「軟骨形成細胞」とは、軟骨芽細胞および軟骨細胞などの軟骨形成能を有する細胞を意味する。軟骨細胞は、コロニー形成単位線維芽細胞(CFU-F)、間葉系幹細胞(MSC)および軟骨芽細胞を経て軟骨細胞へと分化する。軟骨細胞は、軟骨基質(II型コラーゲンおよびアグリカンなどから構成される)を含む軟骨組織を形成する。線維芽細胞や間葉系幹細胞では、I型コラーゲンの発現を示すが、軟骨芽細胞、および軟骨細胞は、II型コラーゲン(Col2a1)およびプロテオグリカンであるアグリカン(Acan)の発現を示し、II型コラーゲン(Col2a1)およびプロテオグリカンであるアグリカン(Acan)は、軟骨細胞の分化マーカーとされている。II型コラーゲン(Col2a1)およびプロテオグリカンであるアグリカン(Acan)の発現を示す軟骨細胞は、動物に移植すると軟骨組織を形成する。
近年、皮膚線維芽細胞から軟骨形成細胞が得られることが明らかになっている(WO2010/071210)。この手法では、皮膚の線維芽細胞にc-MYC、KLF4、および野生型SOX9を導入することによって約2週間で軟骨細胞に特徴的な細胞塊を生じ、この細胞がII型コラーゲン(Col2a1)およびプロテオグリカンであるアグリカン(Acan)を発現し、動物への移植により軟骨組織(硝子軟骨)を形成したというものである。このように、軟骨細胞様細胞は、線維芽細胞に対してSox9、c-Myc、およびKlf4を導入することによって得られ得る。
【0013】
本明細書では、「SOX9タンパク質」は、SOX9遺伝子によってコードされるタンパク質である。SOX9タンパク質は、HMG-BOX型のDNA結合タンパク質であり、CCTGAGの塩基配列に結合する。SOX9は、軟骨細胞分化に必須の因子である。SOX9タンパク質のドメイン構造は、図3の上段に示される通りである。HMGドメインを介してSOX9タンパク質はDNAに結合し、転写活性化ドメイン(transactivation domain)を介して下流遺伝子の転写を活性化する。ヒトSOX9タンパク質のアミノ酸配列は、例えば、NCBI Reference Sequence: NP_000337.1において登録されたアミノ酸配列(配列番号1)であり得る。本明細書では、タンパク質には、その機能的かつ構造的ホモログが含まれ得、例えば、天然に見出される遺伝子多型による機能的バリアントは除外されない。
【0014】
本明細書では、「配列番号1においてX位のアミノ酸に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸」とは、配列番号1のアミノ酸配列中のX位のアミノ酸に加えて、他のアミノ酸配列を有するSOX9タンパク質における対応する位置のアミノ酸を意味する。配列番号1においてX位のアミノ酸は、アミノ酸の1文字表記とそれに次ぐXで表される。例えば、117位のグルタミン(Q)は、Q117と表される。また、当該アミノ酸の他のアミノ酸への置換は、元のアミノ酸の1文字表記、それに次ぐX、およびそれに次ぐ置換後のアミノ酸の1文字表記で表される。例えば、117位のグルタミン(Q)のアラニン(A)への置換は、Q117Aと表される。また、当該アミノ酸置換を有するSOX9タンパク質は、SOX9 Q117A変異体または単にQ117A変異体と表される。
【0015】
本明細書では、タンパク質および核酸は、由来する種を明示するときは、例えば、ヒト由来である場合には頭にhを加え、マウス由来である場合には頭にmを加える。具体的には、ヒトのSOX9は、hSOX9と表され、マウスのSOX9はmSOX9と表される。
【0016】
本明細書では、「核酸」は、DNAおよびRNAであり得る。タンパク質をコードする核酸としては、タンパク質をコードするDNAおよびmRNAが挙げられる。
【0017】
本発明では、配列番号1のアミノ酸配列においてQ117、H131、およびK398からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸においてアミノ酸置換を有するSOX9の変異体タンパク質(例えば、配列番号1、2、3、4、または5のアミノ酸配列を有するSOX9の変異体タンパク質)、並びに当該変異体タンパク質をコードする核酸、および制御配列に作動可能に連結した当該核酸を含む遺伝子発現ベクターが提供される。
【0018】
アミノ酸置換は、保存的置換および非保存的置換であり得、好ましくは非保存的置換であり得る。保存的置換とは、
酸性アミノ酸(アスパラギン酸(D)、およびグルタミン酸(E))の群、
塩基性アミノ酸(アルギニン(R)、リジン(K)、およびヒスチジン(H))の群、
非電荷極性アミノ酸(アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、およびチロシン(Y))の群、および
非極性アミノ酸(アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、トリプトファン(W)、およびシステイン(C))の群
の各群内のアミノ酸の置換であり、非保存的置換は、保存的置換ではないアミノ酸置換を意味する。
【0019】
例えば、アミノ酸置換は、グルタミン酸(Q)から非極性アミノ酸(例えば、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、およびシステイン)へのアミノ酸置換であり得、例えば、アラニンへの置換であり得る。
例えば、アミノ酸置換は、ヒスチジン(H)から非極性アミノ酸(例えば、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、およびシステイン)へのアミノ酸置換であり得、例えば、アラニンへの置換であり得る。
例えば、アミノ酸置換は、リジン(K)から非電荷極性アミノ酸(例えば、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、およびチロシン(Y))または非極性アミノ酸(アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、トリプトファン(W)、およびシステイン(C))への置換であり得、例えば、グルタミン(Q)またはアラニン(A)への置換であり得る。
【0020】
本発明によれば、配列番号1のアミノ酸配列においてQ117、H131、およびK398からなる群から選択される少なくとも2つのアミノ酸に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸においてアミノ酸置換を有するSOX9の変異体タンパク質(例えば、配列番号4または5のアミノ酸配列を有するタンパク質)、並びに当該変異体タンパク質をコードする核酸、および制御配列に作動可能に連結した当該核酸を含む遺伝子発現ベクターが提供される。
本発明によればまた、SOX9の変異体タンパク質は、例えば、H131とK398の2つのアミノ酸に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸においてアミノ酸置換を有しうる(例えば、配列番号4または5のアミノ酸配列を有するタンパク質)。本発明によれば、配列番号1のアミノ酸配列において、H131に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸とK398に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸においてアミノ酸置換を有するSOX9変異体、並びに当該変異体タンパク質をコードする核酸、および制御配列に作動可能に連結した当該核酸を含む遺伝子発現ベクターが提供される。本発明によれば、配列番号1のアミノ酸配列においてH131に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸が非極性アミノ酸(例えば、アデニン)に置換され、K398に対応するSOX9タンパク質のアミノ酸が、非電荷極性アミノ酸または非極性アミノ酸に置換されたSOX9の変異体タンパク質、並びに当該変異体タンパク質をコードする核酸、および制御配列に作動可能に連結した当該核酸を含む遺伝子発現ベクターが提供される。
【0021】
本発明によれば、SOX9タンパク質の上記変異体を発現した細胞が提供される。本発明によれば、上記変異体をコードする核酸および/または制御配列に作動可能に連結した当該核酸を含む遺伝子発現ベクターを含む細胞が提供される。細胞は、軟骨細胞様細胞であり得、軟骨形成細胞であり得る。軟骨細胞様細胞および軟骨形成細胞は、軟骨細胞と同様に軟骨形成能を有し得、および/または軟骨細胞と同様に細胞増殖能を有し得る。
【0022】
本発明によれば、SOX9タンパク質の上記変異体を発現した細胞は、MYCファミリーのタンパク質およびKLFファミリーのタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つのタンパク質をさらに発現していてもよく、例えば、c-MYCタンパク質およびKLF4タンパク質からなる群から選択される1つまたは2つをさらに発現していてもよい。
MYCファミリーのタンパク質としては、c-MYC、L-MYC、およびN-MYCが挙げられる。c-MYCの塩基配列は、NCBI参照配列:NM_002467.6で登録された核酸配列であり得、N-MYCの核酸配列は、NCBI参照配列:NM_005378で登録された核酸配列であり得、L-MYCの核酸配列は、NCBI参照配列:NM_005376で登録されたアミノ酸配列であり得る。
また、KLFファミリーのタンパク質としては、KLF2、KLF4、およびKLF5が挙げられる。KLF4の核酸配列は、NM_001314052で登録された核酸配列であり得、KLF2の核酸配列は、NM_016270で登録された核酸配列であり得、KLF5の核酸配列は、NM_001730であり得る。
細胞に導入するSOX9、MYCファミリーのタンパク質、およびKLFファミリーのタンパク質は、ヒトを含む哺乳動物において共通しており、任意のほ乳動物由来のタンパク質とし得るが、導入する細胞の種と同種とすることが好ましい。例えば、導入する細胞がヒト細胞である場合には、SOX9、MYCファミリーのタンパク質、およびKLFファミリーのタンパク質は、ヒト由来とすることができる。
【0023】
本発明によれば、SOX9タンパク質の上記変異体をコードする核酸と、MYCファミリーのタンパク質をコードする核酸および/またはKLFファミリーのタンパク質をコードする核酸との組合せが提供される。本発明によれば、SOX9タンパク質の上記変異体をコードする核酸と、MYCファミリーのタンパク質をコードする核酸および/またはKLFファミリーのタンパク質をコードする核酸の組合せを細胞に発現させるための遺伝子発現ベクターが提供される。これらの核酸は、一つの遺伝子発現ベクターに搭載されていても、別々の遺伝子発現ベクターに搭載されていてもよい。これらの核酸は、モノシストロニックであってもポリシストロニックであってもよい。また、これらの核酸は、リボソームエントリー部位(IRES)を介して一つの核酸としてベクターに搭載することができる。また、これらの核酸は、2Aペプチドを用いて細胞に発現させることもできる。2Aペプチドは、ウイルス由来の20アミノ酸前後のペプチド配列であり、おそらく翻訳調節を介して2Aペプチドの前後に繋げたタンパク質を別々にほぼ同等の量で発現させることができる。そのため、2Aペプチドを用いると、一つの核酸としてベクターに搭載することができるうえ、2つのタンパク質をバラバラにかつ同等の量で細胞に発現させることができると期待される。
【0024】
遺伝子発現ベクターは、制御配列と、当該制御配列に作動可能に連結されたSOX9タンパク質の上記変異体をコードする核酸とを含む。遺伝子発現ベクターは、ウイルスベクター、およびプラスミドベクター等のベクターであり得る。制御配列は、当該ベクターが導入された細胞内で上記変異体をコードする核酸が転写されるに適した制御配列であり得る。遺伝子発現ベクターは、導入細胞の選択の観点で、第二の制御配列と第二の制御配列に作動可能に連結された薬剤耐性遺伝子をさらに含んでいてもよい。遺伝子発現ベクターは、ベクターの増幅の観点で、複製起点をさらに含んでいてもよい。
【0025】
本発明によれば、SOX9タンパク質の上記変異体を発現する細胞(MYCファミリーのタンパク質および/またはKLFファミリーのタンパク質をさらに発現していてもよい)は、体細胞、例えば、線維芽細胞、間葉系幹細胞、軟骨細胞様細胞、および軟骨形成細胞(例えば、軟骨芽細胞、および軟骨細胞)から選択されるいずれかの細胞であり得る。
本発明によれば、SOX9タンパク質の上記変異体をコードする核酸を含む細胞(MYCファミリーのタンパク質および/またはKLFファミリーのタンパク質をコードする核酸をさらに含んでいてもよい)は、体細胞、例えば、線維芽細胞、間葉系幹細胞、軟骨細胞様細胞、および軟骨形成細胞(例えば、軟骨芽細胞および軟骨細胞)から選択されるいずれかの細胞であり得る。
【0026】
本発明によれば、SOX9タンパク質の上記変異体を発現する細胞(MYCファミリーのタンパク質および/またはKLFファミリーのタンパク質をさらに発現していてもよい)を含む、細胞製剤が提供される。細胞製剤は、上記細胞に加えて、薬学的に許容可能な賦形剤を含んでいてもよい。賦形剤としては、緩衝剤、塩、等張化剤、安定化剤、保存剤が挙げられる。
【0027】
本発明によれば、SOX9タンパク質の上記変異体を発現する軟骨細胞(MYCファミリーのタンパク質および/またはKLFファミリーのタンパク質をさらに発現していてもよい)を含む軟骨組織および足場が提供される。
【0028】
本発明によれば、
軟骨細胞様細胞(例えば、軟骨形成細胞)を製造する方法であって、
本発明の上記変異体タンパク質を細胞内に有する細胞を用意することと、
本発明の上記変異体タンパク質を細胞内に有する条件下で前記細胞を培養することと
を含む、方法
が提供される。本発明の方法において、本発明の上記変異体タンパク質を細胞内に有する条件下は、軟骨形成細胞の分化誘導に適した条件であり得る。本発明の方法において、培養は、細胞が、軟骨細胞マーカーの発現が陽性になるまで、または、軟骨細胞様細胞若しくは軟骨形成細胞に分化するまで行われ得る。軟骨細胞様細胞または軟骨形成細胞に分化したかどうかの評価は、軟骨細胞マーカーの発現が陽性であるか否かにより行うことができる。軟骨細胞マーカーの少なくとも1つが陽性である場合、細胞は、軟骨細胞様細胞または軟骨形成細胞に分化している可能性があると評価することができる。
【0029】
本発明の上記変異体タンパク質を細胞内に有する細胞(MYCファミリーのタンパク質および/またはKLFファミリーのタンパク質をさらに発現していてもよい)は、線維芽細胞、間葉系幹細胞、軟骨細胞様細胞(例えば、軟骨形成細胞)、および軟骨芽細胞、並びに軟骨細胞からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。線維芽細胞は、結合組織を構成する細胞の1つとして知られ、I型コラーゲンを分泌しうる。線維芽細胞は、成体線維芽細胞であっても、胎児線維芽細胞であってもよい。間葉系幹細胞は、軟骨細胞、骨芽細胞、脂肪細胞および筋細胞などの間葉系に属する細胞に分化できる能力を有する細胞である。間葉系幹細胞としては、例えば、骨髄由来間葉系幹細胞、脂肪由来間葉系幹細胞、歯髄由来間葉系幹細胞、さい帯血由来間葉系幹細胞、および胎盤由来間葉系幹細胞が挙げられ、本発明に用いることができる。細胞を自家細胞とする場合には、線維芽細胞、または成体から得られる間葉系幹細胞(例えば、骨髄由来間葉系幹細胞、脂肪由来間葉系幹細胞、および歯髄由来間葉系幹細胞)を常法により組織から得て本発明で用いることができる。
【0030】
本発明の上記変異体タンパク質を細胞内に有する軟骨芽細胞(MYCファミリーのタンパク質および/またはKLFファミリーのタンパク質をさらに発現していてもよい)は、軟骨芽細胞を単離し、これに対して本発明の上記変異体タンパク質を導入して作製することができる。あるいは、本発明の上記変異体タンパク質を細胞内に有する軟骨芽細胞(MYCファミリーのタンパク質および/またはKLFファミリーのタンパク質をさらに発現していてもよい)は、本発明の上記変異体タンパク質を細胞内に有する間葉系幹細胞を本発明の上記変異体タンパク質を細胞内に有する条件下で培養して得てもよい。
【0031】
本発明では、本発明の上記変異体タンパク質を細胞内に有する軟骨芽細胞(MYCファミリーのタンパク質および/またはKLFファミリーのタンパク質をさらに発現していてもよい)を、軟骨再生が必要な箇所に導入することによって、軟骨の再生を促進させ得る。
【実施例
【0032】
実施例1:SOX9を用いた軟骨細胞の分化誘導
本実施例では、SOX9を胚性線維芽細胞に導入して軟骨細胞様細胞を形成させた。
【0033】
胚性線維芽細胞としては、マウス胚性線維芽細胞(MEF)を用いた。MEFには、SOX9単独またはSOX9とc-MYCとKLF4との組合せをレトロウイルスベクターを用いて導入し、発現させた。
【0034】
発現ベクターの作製
c-MYC、KLF4およびSOX9を別々のウイルスベクターから発現させると不完全な感染が起こる確率が高くなるため、c-MYCとKLF4を2Aペプチド配列を介して連結させて得られるタンパク質をコードするDNAを1つのウイルスベクターから発現するようにベクターを構築した。SOX9 cDNAは単独でレトロウイルスベクターに挿入した。
SOX9変異体を用いる実験では、SOX9の各変異体をコードするcDNAを目的の変異配列を含むプライマーセットを用いてPCRでそれぞれ増幅させ、レトロウイルスベクターに挿入した。挿入されたDNA断片の配列を確認し、Midi PlusTM Ultrapure Plasmid DNA Extraction system (Viogene) を用いてトランスフェクションに使用可能なグレードのプラスミドを調製した。
【0035】
レトロウイルスの調製
レトロウイルスの作製にはPLAT-Eパッケージング細胞を用いた。上記で作製したレトロウイルスベクターをPLAT-E細胞にトランスフェクションし、5% CO2インキュベーター内において37℃で2日間培養した。細胞培養には特に記載がない限り、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(高グルコース)に10% ウシ胎児血清 (FBS)、100単位/ml ペニシリンおよび100μg/ml ストレプトマイシンを添加した培地を用いた。2日後に培養上清を回収し、0.45μmのフィルターを通したものをウイルス溶液として用いた。
【0036】
軟骨細胞への分化およびマーカー遺伝子の発現確認
マウス胚性線維芽細胞(MEF)を6ウェルプレートに撒き(8.5x104 細胞/ウェル)、5% O2および5% CO2条件下でインキュベーター内において37℃で一晩培養した。翌日、6ウェルプレートから培地を除去し、SOX9単独、またはc-MYC、KLF4、およびSOX9(野生型SOX9またはSOX9変異体)の組合せを発現するレトロウイルス溶液を添加して37℃で一晩感染させた。培養上清を除去した後、ウイルスを含まない新鮮な培地を添加し、2日おきに培地交換しながら、37℃で継続培養した。2週間後に位相差顕微鏡を用いて細胞の形態を観察し、写真撮影した。また、得られた細胞が軟骨細胞に分化しているかを評価するため、細胞を回収し、軟骨マーカー遺伝子の発現を調べた。細胞から全RNAを抽出して逆転写反応を行い、得られたcDNAを用いて定量PCRを行った。定量PCRの内部標準にはNon-POU domain-containing octamer-binding protein(Nono)を用いた。
【0037】
図1に示されるように、野生型SOX9は、単独で発現させた場合、胚性線維芽細胞の形態を軟骨細胞様に変化させた。また、図2に示されるように、SOX9は、単独で発現させた場合、軟骨マーカーであるCol2a1およびAcanの発現を顕著に増大させた。これにより、SOX9は、単独で胚性線維芽細胞を軟骨に分化誘導させる能力を有することが明らかとなった。
なお、WO2010/071210によれば、c-MYC、KLF4および野生型SOX9を共発現させた細胞が軟骨細胞に分化することが示されているが、本実施例においても、c-MYC、KLF4および野生型SOX9を共発現させた胚性線維芽細胞は形態を軟骨細胞様に変化させ(図1参照)、軟骨マーカーの発現を増強させた(図2参照)。このことから、野生型SOX9を単独で線維芽細胞に発現させた場合であっても、c-MYC、KLF4および野生型SOX9を共発現させた場合と同様に、線維芽細胞を軟骨細胞様細胞に分化させることができることが明らかである。
【0038】
実施例2:SOX9変異体の作製とc-MYC、KLF4、および当該変異体による軟骨細胞分化誘導
次に、SOX9の様々な変異体を作製した。図3に示されるように、HMGドメイン(HMG domain)のアミノ酸の一部(下線および二重下線)を一つずつアラニンに置換した変異体を作製した。図では、変異体をアミノ酸の1文字表記とそのアミノ酸の番号によって示す。例えば、「H104」は、SOX9の104位のヒスチジン(H)がアラニンに置換された変異体を示す。各種SOX9変異体を発現するレトロウイルスベクターを上記の通り作製して、c-MYCとKLF4を2Aペプチド配列を介して連結させて得られるタンパク質を発現するレトロウイルスベクターと胚性線維芽細胞に共感染させて、細胞の軟骨細胞様細胞への分化を観察した。
その結果、図3に示されるように、野生型SOX9を共感染させた細胞と比較して、Q117およびH131の変異体を共感染させた細胞が、軟骨細胞マーカーの発現を増強させた。
軟骨細胞マーカーを発現した細胞を光学顕微鏡により観察すると、図4に示されるようにQ117およびH131の変異体のどちらをc-MYCおよびKLF4と共発現させても、軟骨細胞様形態を示す軟骨細胞様細胞が出現した。
【0039】
さらに、追加のSOX9変異体を作製した。具体的には、図5に示されるように、SOX9分子の様々な領域に変異を導入して各種SOX9変異体を作製し、当該変異体のそれぞれを発現するレトロウイルスベクターを作製した。c-MYCとKLF4を2Aペプチド配列を介して連結させて得られるタンパク質を発現するレトロウイルスベクターと胚性線維芽細胞に共感染させて、細胞の軟骨細胞への分化を観察した。すると、図5に示されるように、SOX9のK398AおよびK398Q変異体において、軟骨マーカーの発現の増強が確認された。K398Aは、SOX9の398位のリジン(K)がアラニン(A)に置換された変異体を示し、K398Qは、SOX9の398位のリジン(K)がグルタミン(Q)に置換された変異体を示す。
軟骨細胞マーカーを発現した細胞を光学顕微鏡により観察すると、図6に示されるようにK398AおよびK398Qの変異体のどちらをc-MYCおよびKLF4と共発現させても、軟骨細胞様形態を示す軟骨細胞様細胞が出現した。
【0040】
さらに、2箇所のアミノ酸の変異を有するSOX9変異体を作製し、当該変異体のそれぞれを発現するレトロウイルスベクター(具体的には、H131AおよびK398Aを有するSOX9変異体と、H131AおよびK398Qを有するSOX9変異体を作製した。これらの変異体の片方を発現するレトロウイルスベクター)を作製した。c-MYCとKLF4を2Aペプチド配列を介して連結させて得られるタンパク質を発現するレトロウイルスベクターと胚性線維芽細胞に共感染させて、細胞の軟骨細胞への分化を観察した。すると、図7に示されるように、これらの変異体を共発現させた細胞は、野生型、H131A、K398A、およびK398Qのいずれを共発現させた細胞と比較しても、顕著に高い軟骨マーカーの発現が認められた。
また、軟骨細胞マーカーを発現した細胞を光学顕微鏡により観察すると、図8に示されるように、H131AおよびK398Aを有するSOX9変異体並びにH131AおよびK398Qを有するSOX9変異体のどちらの変異体を発現させても、軟骨細胞様形態を示す軟骨細胞様細胞が出現した。
【0041】
このように、本実施例により得られた軟骨細胞様細胞は、WO2010/071210で作製された軟骨細胞様細胞と同様の形態的特徴を有し、同様の軟骨細胞マーカーを発現する軟骨細胞様細胞であることが確認された。これらの結果から、SOX9は、単独でも胚性線維芽細胞を軟骨細胞様細胞に分化誘導する能力を有すること、いくつかのSOX9変異体は、SOX9よりも胚性線維芽細胞を軟骨細胞様細胞に分化誘導する能力を高めていることが明らかとなった。これらのことから、本発明のSOX9タンパク質の変異体は、軟骨形成細胞の分化誘導を促進する能力を有することが明らかとなった。
【0042】
配列表の説明
配列番号1:ヒトSOX9タンパク質のアミノ酸配列の一例
配列番号2:ヒトSOX9タンパク質のQ117A変異体のアミノ酸配列の一例
配列番号3:ヒトSOX9タンパク質のH131A変異体のアミノ酸配列の一例
配列番号4:ヒトSOX9タンパク質のH131A、K398A二重変異体のアミノ酸配列の一例
配列番号5:ヒトSOX9タンパク質のH131A、K398Q二重変異体のアミノ酸配列の一例
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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