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  • 特許-シートシャッター用シートの接地部構造 図1
  • 特許-シートシャッター用シートの接地部構造 図2
  • 特許-シートシャッター用シートの接地部構造 図3
  • 特許-シートシャッター用シートの接地部構造 図4
  • 特許-シートシャッター用シートの接地部構造 図5
  • 特許-シートシャッター用シートの接地部構造 図6
  • 特許-シートシャッター用シートの接地部構造 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】シートシャッター用シートの接地部構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
E06B9/17 U
E06B9/17 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019102769
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020197035
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】391020056
【氏名又は名称】小松電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】小松 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】堀江 好明
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-196140(JP,A)
【文献】特開2018-035563(JP,A)
【文献】特開2018-135708(JP,A)
【文献】実公平03-012952(JP,Y2)
【文献】実開平03-073383(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 - 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート状の本体フレーム(1)の上部にシート(4)を巻取り繰出しして昇降させる収納部(2)と、両側に昇降するシート(4)の両側端をガイドするガイド支柱(3)と、シート(4)の下端にシート下降時に下端を接地させる接地部(11)とを備え、該接地部(11)に多数のウェイト部材(17)を左右長手方向に連結し、隣接するウェイト部材(17)の端部同士を連結軸(19)により折り曲げ回動可能に連結したシートの接地部構造であって、隣接し合うウェイト部材(17)の間にウェイト部材(17)に対する上向きの外力に対しては山形の折り曲げ回動を許容する許容部(22)を、ウェイト部材(17)の自重又は下向きの外力に対しては谷形の折り曲げ回動を規制する規制部(23)を設け、隣接するウェイト部材(17)の両端面同士を突合せ、許容部(22)を連結軸(19)を中心としたウェイト部材(17)の回動時に相互に上向きの回動を許容する逃し面とし、規制部(23)を隣接するウェイト部材(17)の相互の干渉により下向きの回動を規制する規制面としたシートシャッター用シートの接地部構造。
【請求項2】
ウェイト部材(17)が横長の短冊状のプレート状であるウェイト板(17a),(17b)であり、隣接するウェイト板(17a),(17b)同士を連結プレート(18)を介して連結した請求項1に記載のシートシャッター用シートの接地部構造。
【請求項3】
隣接し合うウェイト部材(17)の許容部(22)を回動時に干渉せず連結軸(19)を中心とした円弧の半径内に納まる逃し面とし、規制部(23)を互に当接し合って回動を規制し相互に直線状の通直姿勢を保持させる規制面とした請求項1又は2に記載のシートシャッター用シートの接地部構造。
【請求項4】
規制面(23)がウェイト板(17a),(17b)の上下面に対して略直角な面である請求項1又は3に記載のシートシャッター用シートの接地部構造。
【請求項5】
連結軸(19)の中心を各ウェイト板(17a),(17b)の上下幅の中心より下側に設けた請求項2~のいずれかに記載のシートシャッター用シートの接地部構造。
【請求項6】
複数のウェイト板(17a),(17b)を前後方向にブロック状に重ね合せ、重ね合せた状態で連結軸(19)で軸支した請求項2~のいずれかに記載のシートシャッター用シートの接地部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシートシャッター用シートの接地部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来シートシャッター用シートの接地部構造としては、特許文献1に示すようにシート下端の接地部内に前後に重ね合わせた複数の短冊状のウェイト板の側端同士を連結プレートと連結軸で上下方向に折曲げ回動可能に左右方向に順次連結して収納したものが公知である。そして連結された隣接し合うウェイト板の突合せ端は、相互に上下方向の折曲げ回動を許容し合うように、多数の連結軸を結ぶ中心線上に中心を持つ円弧状のアール面に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-35563号公報(図6図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のシート接地構造は、左右方向に連結したウェイト板が、シート下降時に人や車輌又は各種製品等の障害物に当接した際(相対的に上向きの外力が作用した際)には山形に折曲がることにより緩衝作用をし、接地時には床面に沿って直線状に接地する構造となっている。
【0005】
しかし、シートシャッターのシート幅が広くなるに伴いウェイト板の自重も大きくなり、横幅内で特に中央部付近で撓みが生じ、シート昇降時に中央部が垂れ下がって湾曲し又はシートの経時変化や使用頻度の多寡による部分的な伸縮変化等に応じた接地部の部分的な湾曲が生じる場合もある。
【0006】
上記のような接地部内のウェイト板の下向きの湾曲は、左右幅の両端のたるみを生じ、昇降時に両端の円滑なガイドを妨げ、振動や振動音を発生させたり、両端に余分な引張り負荷を与えたりする他、シート下降時の安全センサーによる両端の下端位置の検出と、実際の中央部の下降位置との間にずれが生じる等の問題を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明のシート接地部構造は、第1にゲート状の本体フレーム1の上部にシート4を巻取り繰出しして昇降させる収納部2と、両側に昇降するシート4の両側端をガイドするガイド支柱3と、シート4の下端にシート下降時に下端を接地させる接地部11とを備え、該接地部11に多数のウェイト部材17を左右長手方向に連結し、隣接するウェイト部材17の端部同士を連結軸19により折り曲げ回動可能に連結したシート接地構造であって、隣接し合うウェイト部材17の間にウェイト部材17に対する上向きの外力に対しては山形の折り曲げ回動を許容する許容部22を、ウェイト部材17の自重又は下向きの外力に対しては谷形の折り曲げ回動を規制する規制部23を設け、隣接するウェイト部材17の両端面同士を突合せ、許容部22を連結軸19を中心としたウェイト部材17の回動時に相互に上向きの回動を許容する逃し面とし、規制部23を隣接するウェイト部材17の相互の干渉により下向きの回動を規制する規制面としたことを特徴としている。
【0008】
第2に、ウェイト部材17が横長の短冊状のプレート状であるウェイト板17a,17bであり、隣接するウェイト板17a,17b同士を連結プレート18を介して連結したことを特徴としている。
【0009】
に、隣接し合うウェイト部材17の許容部22を回動時に干渉せず連結軸19を中心とした円弧の半径内に納まる逃し面とし、規制部23を互に当接し合って回動を規制し相互に直線状の通直姿勢を保持させる規制面としたことを特徴としている。
【0010】
に、規制面23がウェイト板17a,17bの上下面に対して略直角な面であることを特徴としている。
【0011】
に、連結軸19の中心を各ウェイト板17a,17bの上下幅の中心より下側に設けたことを特徴としている。
【0012】
に、複数のウェイト板17a,17bを前後方向にブロック状に重ね合せ、重ね合せた状態で連結軸19で軸支したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成される本発明のシートの接地部構造によれば、次のような効果を生じる。
(1)シート昇降時又は中途停止時に、接地部が下方の物に当接する等の部分的に上向きの外力が作用した際は、その形状等に応じて折れ曲がって緩衝作用をし、通常の接地時に床面に沿って左右方向の直線的な通直性を保つほか、昇降時や中途停止時には連結部においても隣接するウェイト部材同士が水平状態を維持し折曲りが防止される結果、シートへの不均一な引張り負荷が防止されるとともに、そのことによる左右両側端の昇降ガイドの不安定性や円滑性が妨げられることはない。
【0014】
(2)ウェイト部材を短冊状のプレートからなるウェイト板にし、連結プレートで連結することにより、ウェイト部材やその連結機構が簡単になるほか、ウェイト板の前後厚み(重ね枚数)の調節によるウェイト調節も容易になる。
【0015】
(3)隣接するウェイト部材の突合せ端面に、ウェイト部材の折曲がり回動を許容し且つ逃し面を設けることにより、折曲がりがスムースにでき、他方接地部への下向きの力が作用した時は互に規制面同士が当接し、干渉し合ってウェイト部材同士の回動を規制するので、接地部の水平方向の通直性を保つことができ、形状や構造も簡単にできる利点がある。
その他の発明の効果は実施の形態の説明中で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の接地部構造を備えたシートシャッターの全体正面図である。
図2】ガイド支柱とシートガイド機構を示す水平断面図である。
図3】通直状態のシート接地部の全体拡大正面図である。
図4】中央が物に当接して上向きの力が作用した際の折曲がり状態のシート接地部の全体正面図である。
図5】接地部構造の詳細を示す部分拡大図である。
図6】(A)はシート接地部の水平断面図、(B)はその詳細を示す水平部分拡大図である。
図7】(A)~(C)はそれぞれ接地部構造の異なる実施形態を示す部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の接地部構造を備えたシートシャッターの全体正面図で、シートシャッターのゲート状の本体フレーム1は、上端にC型断面の箱筒状のシートケース2を、両サイドにサイドフレームを兼ね内向きに開口するC型断面のガイド支柱3をそれぞれ備えており、シートケース2内にはシート4を巻取り繰出しするシートドラム6とその収納部中心で連結される回転駆動用モーター7とからなる巻取り装置が回転自在に軸支されてシートの収納部を構成している。
【0018】
シート4はシートドラム6に上端を固定され、シートケース2の後方下端から繰出され、巻取り装置の駆動によりその両側端をガイド支柱3の内部に設けられたシートガイド機構8(図2参照)に収容される係合部材9を介して係合案内されて昇降駆動される。シート4はシートガイド機構8により、弾力的に外向きに張り広げられている。
【0019】
シートガイド機構8はガイド支柱3内に係脱可能に挿入係止される内向きのU字形断面のアウターレール8a,その内部に左右スライド可能に収容されてシート4側の係合部材9を弾力的に係止する内向きのインナーレール8b,インナーレール8bをアウターレール8a内に外向きにスプリングで付勢しながら係止する弾力機構8cを備えている。アウターレール8a,インナーレール8bは共に一定の弾力性を備えたプラスチック製である。
【0020】
シート4の下端には袋状に形成されたウェイト部材入りの接地部11が形成されており、接地部11はシート下降時には床面に沿って水平方向に接地する。12はシートシャッター操作用の操作盤である。以上のシートシャッターの機構は特許文献1のものと共通で且つ公知であるので他の詳細機構の説明は省略する。
【0021】
図4図6は本発明の1実施例を示し、シート4は合成樹脂製の長方形の幕体からなり、その左右両端には樹脂製の端部材4aが縦方向に接合され、平面視クローバ型断面の係合部材9はその外側端に形成されている。
【0022】
シート4の下端に設けられる接地部11は、図3に示すように両ガイド支柱3の間に納まる幅に形成され、図7に示すようにシート4の下端を折返してその折返し端をシート4の片面に溶着等により固着して、中空のチューブ状に形成され、さらにその外周は耐摩性シートよりなる保護カバー13で被覆されてウェイト収納部14を構成している。そしてウェイト収納部14の両端は、図3図6(A)に示すように前後両側から押えプレート16とリベット,ビス等で封止されている。
【0023】
上記ウェイト収納部14には、図3以下に示すように左右方向に多数の横長ブロック状の鉄製のウェイト部材17を前後両側でリンク状の連結プレート18をボルト又はリベットからなる連結軸19によって折曲げ回動可能に連結した鎖状のウェイトを収容している。この例ではウェイト部材17は、例えば板厚1.6mm横長300mmの短冊状のウェイト板が前後4枚ブロック状に重ね合わされて、その隣接端同士を順次連結して構成されている。
【0024】
ウェイト部材17であるウェイト板17a,17bは、収納部14で中高断面となるように前後の中央に、幅広のウェイト板17aが、外側にそれぞれ幅狭のウェイト板17bがブロック状に重ね合わされ、さらに左右全長にわたり、チューブ状に貼り合わせ形成された弾力性を有する発泡材からなるラバー21を被せて被覆されており、収納部14の保護と共に弾力的な接地が行われる構造になっている。ウェイト板17a,17bは下端面が同一平面に揃えられ、接地時にはラバー21,保護カバー13を介して全体が同時に接地する。
【0025】
図3図6に示すようにウェイト板17a,17bは、すべて同一長さで端面と底面が同一平面となるようにブロック状に組合わされ、さらに図5に示すように各連結軸19の中心Oはそれぞれの端面からの寸法と底面からの寸法を互に共通にしており、図示する例では各ウェイト板17a,17bの端部に上下コーナーは半径rのアール面に面取り形成されており、その他の端面はウェイト板17a,17bの上下面と直角な突合せ面となっている。
【0026】
さらにこの例では、上記連結軸19の中心Oを結ぶ水平方向の中心線O・Lを、ウェイト板17a,17bの上下幅の中心線L1及びL2より下方となる位置にしており、上記面取りのアールの半径rの中心も上記中心線O・L上にあり且つ隣接するウェイト板17a,17bの突合せ面の下端も上記中心線O・Lとの交点Pで終了し、それ以下はアール面となっている。
【0027】
その結果、シート下降時に接地部11に車や荷物,人等が当接した際は、ウェイト部材17に上向きの力(矢印A)が作用し、隣接し合うウェイト部材17は連結軸19の中心Oを中心として、交点Pは回動軌跡P・Lの円弧上を上向きに回動、この時ウェイト板17a,17bの端部下側のアール面はウェイト板17a,17bの回動を許容する逃し面22となり、折曲り回動の許容部となる。この回動により接地部11は例えば図4に示すように山形の折曲りが可能となる。
【0028】
また、隣接するウェイト板17a,17bの互に接触又は近接した突合せ面23は、接地部11(ウェイト部材17)に下向き(矢印B方向)の力が作用した際は、上記突合せ面23が押接し合って干渉し、ウェイト板17a,17bは回動を規制する規制面、即ち規制部として作用し、下向きの力に対してはウェイト部材17は互に水平状態を保ち、全体が水平方向の通直性を保持する。
【0029】
上記逃し面22は、ウェイト部材17の回動時、連結軸19を中心とした回動半径Rの軌跡P・Lの内側にあれば(即ちr<Rであれば)良く、必ずしもアールである必要はなく、規制面23も必ずしもウェイト板17a,17bの上下面に直角な面である必要はなく、通直状態で連結されたウェイト部材17同士の回動を規制すれば足りる。さらに回動の規制部としては必ずしも面同士の干渉である必要はなく、ストッパー爪その他の構造(図示しない)であっても良い。
【0030】
但し、図示する例のように突合せ端面として形成する方が、構造が簡単で製造コストも安く同種の部品を同一形状のもので調達できる利点がある。その他図示する例では、組立てや取扱い上の便宜からウェイト部材17としてプレート状のウェイト板17a,17bをブロック状に重ね合わせる構造にしたが、突合せ端同士に許容部と規制部を設けた単体のブロック状又は角柱状の部材等を用いることも可能である。
【0031】
図7(A)~(C)は、接地部11内のウェイト部材17のウェイト板の組合せ及び構造例を示し、いずれの組合せ構造の採用も可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 本体フレーム
2 収納部(シートケース)
3 ガイド支柱
4 シート
11 接地部
17 ウェイト部材
17a,17b ウェイト板
18 連結プレート
19 連結軸
22 許容部(逃し面)
23 規制部(規制面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7