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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】角底紙袋の製造装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/81 20170101AFI20230420BHJP
   B31B 160/20 20170101ALN20230420BHJP
【FI】
B31B70/81
B31B160:20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019213533
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021084270
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】519422555
【氏名又は名称】株式会社車産技研
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】居城 達也
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0111712(US,A1)
【文献】特開2000-108224(JP,A)
【文献】特開平09-188312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/81
B31B 160/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部が糊付けされる前の角底紙袋を供給する袋供給部と、
前記底部を開き底部補強材を挿入する挿入部と、
前記底部補強材が挿入された前記底部に糊付けする糊付部とを備え、
前記挿入部は、
前記底部補強材を吸着する吸着手段と、
前記底部補強材を曲げる曲げ手段と、
前記底部補強材を前記角底紙袋の前記底部に挿入する送り手段とを備え、
前記袋供給部は、
前記角底紙袋を前記角底紙袋の把手を一方向に揃えた横向きの縦置きの状態にまとめて収容する収容部と、
前記収容部から前記角底紙袋を回転させて前記縦置きの状態から1個ずつ水平にして取り出すことで、前記把手が絡まらないように取り出して次の工程へ搬送する搬送部とを備えたことを特徴とする角底紙袋の製造装置。
【請求項2】
前記搬送部は、
前記収容部の前記角底紙袋に吸着させる吸着手段と、
前記吸着手段を回動させる回動手段とを備えたことを特徴とする請求項記載の角底紙袋の製造装置。
【請求項3】
底部が糊付けされる前の角底紙袋を供給する袋供給部と、
前記底部を開き底部補強材を挿入する挿入部と、
前記底部補強材が挿入された前記底部に糊付けする糊付部とを備え、
前記挿入部は、
前記底部補強材を吸着する吸着手段と、
前記底部補強材を曲げる曲げ手段と、
前記底部補強材を前記角底紙袋の前記底部に挿入する送り手段とを備え、
前記曲げ手段は、
前記吸着手段を中央にして開閉可能に備えた一対のアーム部材と、
前記一対のアーム部材の先端に備えた転動手段を備え、
前記底部補強材を前記吸着手段および前記転動手段で保持することを特徴とする角底紙袋の製造装置。
【請求項4】
底部が糊付けされる前の角底紙袋を供給するステップと、
前記底部を開き底部補強材を挿入するステップと、
前記底部補強材が挿入された前記底部に糊付けするステップとを備え、
前記底部を開き前記底部補強材を挿入するステップは、
糊付け前の前記底部を開いた状態に保持するステップと、
吸着手段に前記底部補強材を吸着させるステップと、
前記底部補強材を曲げるステップと、
曲げたままの前記底部補強材を前記底部に挿入するステップとを備え
前記底部が糊付けされる前の前記角底紙袋を供給するステップは、
把手を一方向に揃えた横向きの縦置きの状態で収容された前記角底紙袋を回転させて横置きの状態で前記把手が絡まらないように取り出すステップを備えたことを特徴とする角底紙袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角底紙袋の底部に重ね合わせる底部補強材を自動的に組み付ける角底紙袋の製造装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から底部を角底とした角底紙袋が知られているが、この種の角底紙袋は、製袋機により機械的に折曲げ加工され、自動的に成型される。ところで、製袋機により成型される角底紙袋は、底部を内側に折り畳んで貼り合わせることから、紙袋内の収容物によって紙袋底部が破損などしないように紙袋の底部を補強する必要がある。このため、従来、例えばボール紙などの比較的厚い底部補強材を角底紙袋の内底部に敷いて角底紙袋の底部を二重構造としていた。
【0003】
しかし、角底紙袋は、製袋機により自動的に成型できるものの、角底紙袋に組み込む底部補強材は、角底紙袋と別途、角底紙袋の底部の大きさに合わせて切断し、これを完成した角底紙袋の内部に1枚毎手作業で挿入していた。
【0004】
しかし、手作業で底部補強材を挿入する作業に時間を要するため、底部を折曲げ加工時に袋内部に底部補強材を予め糊付けしておき、底部補強材の挿入を機械的に行うものがあった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-91012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のようにボール紙からなる底部補強材を紙袋に糊付けする場合は、底部補強材を紙袋から取り外す際に底部補強材が糊付け部分でちぎれてしまい、ちぎれた底部補強材の破片が紙袋に付着又は混入し、紙袋を古紙として再利用するときに問題が生じる虞があった。
【0007】
例えば、紙袋にFSC(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)やPEFC(Pan European Forest Certification)などによる森林認証を受けた紙を使用した場合、古紙として再利用しようとする際に、森林認証を受けていない紙が混入するとその古紙は森林認証から外れてしまう。このため、紙袋に底部補強材を糊付けした場合は、再生紙の森林認証を受けることができないという問題があった。一方で、底部補強材に森林認証を受けた紙を使用すれば、紙袋に底部補強材を糊付けしても森林認証を受けられるが、この場合は底部補強材のコストが増加するという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、紙袋の成型時において、紙袋に底部補強材を自動的に組み込むとともに、底部補強材を紙袋に糊付けしない角底紙袋の製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、底部が糊付けされる前の角底紙袋を供給する袋供給部と、前記底部を開き底部補強材を挿入する挿入部と、前記底部補強材が挿入された前記底部に糊付けする糊付部とを備え、前記挿入部は、前記底部補強材を吸着する吸着手段と、前記底部補強材を曲げる曲げ手段と、前記底部補強材を前記角底紙袋の前記底部に挿入する送り手段とを備え、前記袋供給部は、前記角底紙袋を前記角底紙袋の把手を一方向に揃えた横向きの縦置きの状態にまとめて収容する収容部と、前記収容部から前記角底紙袋を回転させて前記縦置きの状態から1個ずつ水平にして取り出すことで、前記把手が絡まらないように取り出して次の工程へ搬送する搬送部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、前記搬送部は、前記収容部の前記角底紙袋に吸着させる吸着手段と、前記吸着手段を回動させる回動手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、底部が糊付けされる前の角底紙袋を供給する袋供給部と、前記底部を開き底部補強材を挿入する挿入部と、前記底部補強材が挿入された前記底部に糊付けする糊付部とを備え、前記挿入部は、前記底部補強材を吸着する吸着手段と、前記底部補強材を曲げる曲げ手段と、前記底部補強材を前記角底紙袋の前記底部に挿入する送り手段とを備え、前記曲げ手段は、前記吸着手段を中央にして開閉可能に備えた一対のアーム部材と、前記一対のアーム部材の先端に備えた転動手段を備え、前記底部補強材を前記吸着手段および前記転動手段で保持することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、底部が糊付けされる前の角底紙袋を供給するステップと、前記底部を開き底部補強材を挿入するステップと、前記底部補強材が挿入された前記底部に糊付けするステップとを備え、前記底部を開き前記底部補強材を挿入するステップは、糊付け前の前記底部を開いた状態に保持するステップと、吸着手段に前記底部補強材を吸着させるステップと、前記底部補強材を曲げるステップと、曲げたままの前記底部補強材を前記底部に挿入するステップとを備え、前記底部が糊付けされる前の前記角底紙袋を供給するステップは、把手を一方向に揃えた横向きの縦置きの状態で収容された前記角底紙袋を回転させて横置きの状態で前記把手が絡まらないように取り出すステップを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、折り癖がついている角底紙袋の底部を四角形状に開いた時、底部に底部補強材を曲げて挿入することで、底部に底部補強材が衝突することを防ぎ、スムーズに底部補強材を挿入することができる。また、底部補強材は底部に糊付け接着がされないため、角底紙袋の完成後に底部補強材のみ分離、取り外しが可能となり、紙袋と底部補強材の古紙再利用の分別が容易となる。また、把手の絡まりを防いで安定した角底紙袋の供給が可能になる。
【0014】
請求項2の発明によれば、角底紙袋を簡単な構造で確実に回転させることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、折り癖がついている角底紙袋の底部を四角形状に開いた時、底部に底部補強材を曲げて挿入することで、底部に底部補強材が衝突することを防ぎ、スムーズに底部補強材を挿入することができる。また、底部補強材は底部に糊付け接着がされないため、角底紙袋の完成後に底部補強材のみ分離、取り外しが可能となり、紙袋と底部補強材の古紙再利用の分別が容易となる。また、吸着手段を中心として底部補強材の両端を一対のアーム部材で押し下げることで、底部補強材をくの字に折り曲げることができる。また、底部補強材を傷付けることなく変形させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、折り癖がついている角底紙袋の底部を四角形状に開いた時、底部に底部補強材を曲げて挿入することで、底部に底部補強材が衝突することを防ぎ、スムーズに底部補強材を挿入することができる。また、底部補強材は底部に糊付け接着がされないため、角底紙袋の完成後に底部補強材のみ分離、取り外しが可能となり、紙袋と底部補強材の古紙再利用の分別が容易となる。また、把手の絡まりを防いで安定した角底紙袋の供給が可能になる。また、角底紙袋を縦置きの状態で横並びに収容することで積載性に優れ、さらに角底紙袋を回転させて横置きに取り出すことで、横置きの状態で行われる後工程にもスムーズに移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1における角底紙袋の製造装置の側面図である。
図2】同上、製造装置の平面図である。
図3】同上、角底紙袋の製造工程の流れを示す説明図である。
図4】同上、袋供給部において袋に吸着部を吸着した状態を示す斜視図である。
図5】同上、図4の状態から袋を引き抜いた状態を示す斜視図である。
図6】同上、図5の状態から袋を水平に回動させた状態を示す斜視図である。
図7】同上、図6の状態から袋を次の工程に搬送した状態を示す斜視図である。
図8】同上、底部補強材を開放された底部上で待機させた状態を示す側面図である。
図9】同上、底部補強材を開放された底部上で待機させた状態を示す斜視図である。
図10】同上、底部補強材を曲げた状態を示す側面図である。
図11】同上、底部補強材を曲げた状態を示す斜視図である。
図12】同上、底部補強材を底部に通過させた状態を示す側面図である。
図13】同上、底部補強材を底部に通過させた状態を示す斜視図である。
図14】同上、底部補強材を底部に設置させた状態を示す側面図である。
図15】同上、図1における袋供給部の拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明における好適な実施の形態について添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須条件であるとは限らない。
【実施例1】
【0019】
図1乃至図15は、本発明の角底紙袋の製造装置及びその製造方法の一実施形態について示している。図1に示すように本実施例における製造装置1は、底部B1が糊付けされる前の角底紙袋B(以下、袋Bという)を供給する袋供給部2と、供給された袋Bの底部B1を開き底部補強材3を挿入する挿入部4と、底部補強材3が挿入された底部B1に糊付けする糊付部5と、袋供給部2から挿入部4を経て糊付部5まで袋Bを搬送する搬送手段6とを備えている。
【0020】
図1図7図12に示すように袋供給部2は、複数の袋Bを備えた収容部7と、収容部7から袋Bを次の工程に搬送する搬送部8とを備えている。
【0021】
図1図4図7に示すように収容部7は、袋Bを保持する枠部9と、枠部9内の袋Bを搬送部8へと送る送り手段10とを備えている。
【0022】
図1図4図7に示すように枠部9は、前側フレーム部11と、前側フレーム部11の一側面から垂直後方に延設された側面フレーム部12とを備え、平面視L型状に形成されている。前側フレーム部11は、上側フレーム体13と、下側フレーム体14とを備えており、上側フレーム体13と下側フレーム体14の上下方向の間隔は袋Bの幅より小さく形成されている。側面フレーム部12は、前側フレーム部11の上側フレーム体13の一側面と下側フレーム体14の一側面とを連結する板材からなる。また、枠部9の下部には図示しないベルト又はフレーム等の下部支持部を備え、この下部支持部によって袋Bの下部を支持している。尚、この下部支持部は後述する下側ガイド体32の昇降や水平移動等の各種動作を阻害しない構成となっている。
【0023】
図1図4図7に示すように送り手段10は、上側送り手段15と、下側送り手段16とを備えている。上側送り手段15は、上側押しガイド体17と、上側押しガイド体17を昇降させる上側昇降手段18と、上側押しガイド体17を水平移動させる上側水平移動手段19とを備えている。
【0024】
図1に示すように上側押しガイド体17は、水平な基端フレーム20と、基端フレーム20から下方へ向けて垂直方向と平行に並設された一対の押し棒体21、21とを備えている。
【0025】
上側昇降手段18は、基端フレーム20から上方へ垂直方向と平行に取り付けられたピストンロッド22と、ピストンロッド22を垂直方向に進退可能とするシリンダ23と、ピストンロッド22を進退方向に案内する垂直方向側ガイド手段24とを備えている。
【0026】
垂直方向側ガイド手段24は、シリンダ23の下部に取り付けられた基端プレート25と、基端プレート25の下面にピストンロッド22と平行に取り付けられた一対の垂直ガイド棒26、26とを備えている。一対の垂直ガイド棒26、26は、ピストンロッド22の両側に配置されている。
【0027】
上側水平移動手段19は、基端プレート25の上部に取り付けられた一対の移動用ブロック27、27と、一対の移動用ブロック27、27を水平方向に案内する一対の水平ガイド棒28、28とを備えている。一対の移動用ブロック27、27には、それぞれ水平方向と平行に形成された挿通部29、29を備えている。一対の水平ガイド棒28、28は、それぞれ移動用ブロック27、27の挿通部29、29に挿通されている。
【0028】
一対の移動用ブロック27、27は、一対の水平ガイド棒28、28に沿って水平移動可能としており、一対の移動用ブロック27、27の移動形式については、エアー駆動式、油圧駆動式、螺子駆動式等の各種駆動形式が適宜採用可能である。尚、油漏れによる袋Bの汚れ防止の観点から、エアー駆動式が好ましい。
【0029】
一対の水平ガイド棒28、28の両端同士は、それぞれ前側ストッパー片30と後側ストッパー片31によって連結されており、一対の移動用ブロック27、27の動作範囲を前側ストッパー片30と後側ストッパー片31間に規制している。
【0030】
下側送り手段16は、下側押しガイド体32と、下側押しガイド体32を昇降させる下側昇降手段33と、下側押しガイド体32を水平移動させる下側水平移動手段34とを備えている。
【0031】
図1に示すように下側押しガイド体32は、水平な基端フレーム35と、基端フレーム35から上方へ向けて垂直方向と平行に並設された一対の押し棒体36、36とを備えている。
【0032】
下側昇降手段33は、基端フレーム35から下方へ垂直方向と平行に取り付けられたピストンロッド37と、ピストンロッド37を垂直方向に進退可能とするシリンダ38と、ピストンロッド37を進退方向に案内する垂直方向側ガイド手段39とを備えている。
【0033】
垂直方向側ガイド手段39は、シリンダ38の上部に取り付けられた基端プレート40と、基端プレート40の上面にピストンロッド37と平行に取り付けられた一対の垂直ガイド棒41、41とを備えている。一対の垂直ガイド棒41、41は、ピストンロッド37の両側に配置されている。
【0034】
下側水平移動手段34は、基端プレート40の下部に取り付けられた一対の移動用ブロック42、42と、一対の移動用ブロック42、42を水平方向に案内する一対の水平ガイド棒43、43とを備えている。一対の移動用ブロック42、42には、それぞれ水平方向と平行に形成された挿通部44、44を備えている。一対の水平ガイド棒43、43は、それぞれ移動用ブロック42、42の挿通部44、44に挿通されている。
【0035】
一対の移動用ブロック42、42は、一対の水平ガイド棒43、43に沿って水平移動可能としており、一対の移動用ブロック42、42の移動形式については、エアー駆動式、油圧駆動式、螺子駆動式等の各種駆動形式が適宜採用可能である。尚、油漏れによる袋Bの汚れ防止の観点から、エアー駆動式が好ましい。
【0036】
一対の水平ガイド棒43、43の両端同士は、それぞれ前側ストッパー片45と後側ストッパー片46によって連結されており、一対の移動用ブロック42、42の動作範囲を前側ストッパー片45と後側ストッパー片46間に規制している。
【0037】
図15に示すように下降状態の上側押しガイド体17と上昇状態の下側押しガイド体32は、各水平ガイド棒28、28、43、43に沿った水平移動時にすれ違い可能となるように、下降状態の上側押しガイド体17の一対の押し棒体21、21と上昇状態の下側押しガイド体32の一対の押し棒体36、36は水平方向にずらして備えるとともに、下降状態の上側押しガイド体17の一対の押し棒体21、21の下端と上昇状態の下側押しガイド体32の基端フレーム35には上下方向の隙間を備え、上昇状態の下側押しガイド体32の一対の押し棒体36、36の上端と下降状態の上側押しガイド体17の基端フレーム20には上下方向の隙間を備えている。
【0038】
搬送部8は、吸着手段47と、回動手段48と、次工程搬送手段49と備えている。吸着手段47は、前側フレーム11の開口面積より小さく形成された矩形状の板部材からなる本体50と、本体50の表面四隅に配置された吸盤状の吸着部51と、本体50を袋Bの平面に対して平行移動させる吸着部移動手段(図示せず)を備えている。吸着部51は、図示しないチューブを介してポンプ等の負圧手段に接続されており、吸着面に負圧を付与する構成となっている。
【0039】
回動手段48は、本体50の裏面に取り付けられた軸部材52と、軸部材52を回動軸として本体50を回動させる回転駆動手段(図示せず)とを備えている。尚、次工程搬送手段49は、ベルトコンベア等の搬送手段からなる。
【0040】
挿入部4は、底部補強材収容部53と、挿入手段54とを備えている。図1に示すように底部補強材収容部53は、底部補強材3の長手方向の向きが搬送手段6の進行方向(図中、X方向)と直交するように底部補強材3が縦置きに並べられて収容される第1の収容部55と第2の収容部56を備えている。第1の収容部55と第2の収容部56は、挿入手段54の上部で搬送手段6の進行方向に分けて並設されている。
【0041】
図1図3図8図14に示すように挿入手段54は、吸着手段57と、曲げ手段58と、送り手段59と、回動手段60とを備えている。吸着手段57は、直方体状の本体61と、本体61の底面に並設された複数の吸盤状の吸着部63、63とを備えている。吸着部63、63は、図示しないチューブを介してポンプ等の負圧手段に接続されており、吸着面に負圧を付与する構成となっている。
【0042】
曲げ手段58は、本体61の一対の側面に揺動自在に軸支された一対の曲げ用フレーム65、65と、一対の曲げ用フレーム65、65の先端に備えた転動手段66を備えている。曲げ用フレーム65、65は、本体61の対向する側面にそれぞれ軸支された一対のアーム部材67、67と、一対のアーム部材67、67の先端同士を連結する連結部材68とを備えている。転動手段66は、一対のアーム部材67、67の先端間に配置されたローラ部材からなり、転動手段66には連結部材68が回動軸として挿通されている。
【0043】
一対の曲げ用フレーム65、65の開閉動作は、図示しない回動機構によって一対の曲げ用フレーム65、65の開度θ1、θ2が吸着部63、63に対して互いに等しい角度となるように同期して回動させる構成となっている。
【0044】
送り手段59は、本体61の上面に取り付けられたピストンロッド70と、ピストンロッド70を進退可能とするシリンダ71とを備えている。
【0045】
回動手段60は、シリンダ71を後述する搬送手段6の袋Bの進行方向と平面視方向で直交する回動軸72によって軸支して、吸着手段57を吸着部63、63が真下に向けられた挿入位置から、第1の収容部55又は第2の収容部56へ向けた補給位置へと回動自在にする。
【0046】
挿入部4には、袋Bの底部B1を開放する開き手段4Aを備えている。開き手段4Aは、一対の開放フレーム73、73と、吸着手段74とを備えている。一対の開放フレーム73、73は、搬送手段6の両側に配置された側面視L型の板部材からなり、一対の開放フレーム73、73は袋Bの進行方向と平行な回動軸75によって互いに向けて揺動自在に軸支されている。そして、一対の開放フレーム73、73は図示しない回動機構によって同期して回動する構成となっている。
【0047】
吸着手段74は、一対の開放フレーム73、73の回動端の内側に袋Bの進行方向と平行に並設された複数の吸盤状の吸着部76、76を備えている。吸着部76、76は、図示しないチューブを介してポンプ等の負圧手段に接続されており、吸着面に負圧を付与する構成となっている。
【0048】
搬送手段6は、袋供給部2から挿入部4を経て次工程まで袋Bを横置きの状態で搬送するベルトコンベアやローラコンベアからなる。
【0049】
糊付部5は、糊付手段77と、底閉じ手段78と、プレス手段79とを備えている。糊付手段77は、図1に示すように澱粉糊若しくは化学糊系接着剤を収容するタンク80と、外周面にスポンジや合成ゴムなどからなる糊付面81を有する糊付けローラ82と、前記タンク80の下面開口部に臨ませてタンク80と糊付けローラ82との間に設けた中継ローラ83とを備えている。タンク80内の接着剤を中継ローラ83を介して糊付けローラ82の糊付面81に付着させ、糊付けローラ82の回転により後述する表面側折込みフラップF1,裏面側折込みF2に糊付けする。
【0050】
底閉じ手段78は、図1に示すように底折杆84によって表面側折込みフラップF1を、底折板85 によって裏面側折込みフラップF2をそれぞれ内側に折り込むものである。
【0051】
プレス手段79は、図1に示すように上側プレス用ローラ86と下側プレス用ローラ87間で袋Bをプレスして搬送するものである。
【0052】
以上の構成の製造装置1を用いた角底紙袋Bの製造方法について説明する。袋供給部2へ供給される袋Bについて説明すると、製筒工程で二折りされた紙筒に、底折りのための2本の平行した折目L1,L2が紙筒の底口寄り刻設される。そして下部側の折目L2と紙筒の下端縁との間に底折りの際の表面側折込みフラップF1,裏面側折込みフラップF2を形成し、その折目L2は袋Bの成型後、袋Bの底縁となる。また、上部側の折目L1は底折りの際の折り返しとなる。表面側折込みフラップF1を折目L1部分から裏返に折り返した後、表面側折込みフラップF1,裏面側折込みフラップF2をそれぞれ裏面側折込みフラップF2から表面側折込みフラップF1の順に内側に内側片F3、F4の上から折り畳んで、袋Bの底部B1を形成する。
【0053】
そして、図3図7に示すように袋供給部2の収容部7へ運ばれた袋Bは、袋Bの把手Tを一方向に揃えた横向きの縦置きの状態にまとめて収容されており、前側フレーム部11と下側押しガイド体32との間に所定数の袋Bが収容され、さらに下側押しガイド体32と上側押しガイド体17との間にも所定数の袋Bが収容されている。
【0054】
前側フレーム部11に直近の袋Bは、下側押しガイド体32又は上側押しガイド体17によって前側フレーム部11と当接するように押圧されている。尚、図示しない各種センサ等からなる検知手段によって袋Bの距離や位置等を計測し、図示しない制御手段によって袋Bと前側フレーム11との隙間が大きいと判断されると、制御手段からの指示により下側押しガイド体32又は上側押しガイド体17を前側フレーム部11へ向けて移動させて、間断なく袋Bが前側フレーム部11へ送られる構成となっている。
【0055】
また、袋Bを前側フレーム部11へ送り終えた下側押しガイド体32は、降下した後に上側押しガイド体17の後方へ水平移動して上昇し、上側押しガイド体17との間に袋Bが補充される。また、袋Bを前側フレーム部11へ送り終えた上側押しガイド体17は、上昇した後に下側押しガイド体32の後方へ水平移動して降下し、下側押しガイド体32との間に袋Bが補充される。このように、収容部7には間断なく袋Bが補充されて前側フレーム部11へ送られる構成となっている。
【0056】
そして、その前側フレーム部11に当接している袋Bに、図4に示すように本体50を近づけ吸着部51を袋Bの平面に吸着させ、図5に示すようにそのまま本体50を水平移動させて袋Bを前側フレーム部11の開口部分から引き抜き、図6に示すように本体50は軸部材52を回動軸として水平状態に回転させられて、図7に示すように袋Bを次工程搬送手段49に載置して搬送手段6へ送る。
【0057】
ここで、袋Bを縦置きとすることで収容部7への積載枚数を多くとることができる。また、袋Bを縦置きの状態から1個ずつ水平にして取り出すことで、把手Tの絡まりを防いで安定した袋Bの供給が可能になる。
【0058】
搬送手段6へ送られた袋Bは、図示しない開きユニットを経て底部B1の表面側折込みフラップF1,裏面側折込みフラップF2が開かれた状態で挿入部4へ送られる。
【0059】
挿入部4へ送られた袋Bは、まず開き手段4Aによって底部B1の表面側折込みフラップF1,裏面側折込みフラップF2の内側に折り込まれる内側片F3、F4が立ち上げられる。詳しくは、吸着部76を内側片F3、F4に吸着させて、一対の開放フレーム73、73を回動させて内側片F3、F4を袋Bに対して垂直に立ちあげて、底部B1を上向きに開放させる。
【0060】
図8及び図9に示すように、上向きに開放された底部B1に対して、第1の収容部55又は第2の収容部56から底部補強材3が供給された本体61を位置決め待機させる。ここで、吸着部63を底部補強材3の中央に吸着させる。
【0061】
図10及び図11に示すように、一対の曲げ用フレーム65をそれぞれ開度θ1、θ2が小さくなる方向に回転させて底部補強材3を長手方向にくの字に折り曲げると、折り曲げられた底部補強材3は内側片F3、F4間の間隔より小さくなる。開度θ1、θ2はピストンロッドから垂下した基準線に対する一対の曲げ用フレーム65、65の開き角度とする。
【0062】
図12及び図13に示すように、ピストンロッド70を進出させて底部補強材3を降下させて、底部補強材3を底部B1に挿入する。
【0063】
図14に示すように、底部補強材3を底部B1を通過後、袋Bの内面に当接したら、吸着部63の吸引を解除後、ピストンロッド70を後退上昇させて本体61を底部B1から離脱させる。
【0064】
底部補強材3が設置された袋Bは、開き手段4Aによって内側片F3、F4を折り畳まれた状態で、糊付部5へ搬送され、糊付手段77で底部B1の糊付けがされ、底閉じ手段78で底部B1の裏面側折込みフラップF2から表面側折込みフラップF1の順に内側に折り畳まれ、プレス手段79で袋Bのプレスが行われる。
【0065】
以上の構成の製造装置1は、底部B1が糊付けされる前の袋Bを供給する袋供給部2と、底部B1を開き底部補強材3を挿入する挿入部4と、底部補強材3が挿入された底部B1に糊付けする糊付部5とを備え、挿入部4は、底部補強材3を吸着する吸着手段57と、前記底部補強材3を曲げる曲げ手段58と、前記底部補強材3を角底紙袋Bの底部B1に挿入する送り手段59とを備えている。
【0066】
この場合、折り癖がついている袋Bの底部B1を四角形状に開いた時、底部B1に底部補強材3を曲げて挿入することで、底部B1に底部補強材3が衝突することを防ぎ、スムーズに底部補強材3を挿入することができる。また、底部補強材3は底部B1に糊付け接着がされないため、袋Bの完成後に底部補強材3のみ分離、取り外しが可能となり、紙袋Bと底部補強材3の古紙再利用の分別が容易となる。
【0067】
また、曲げ手段58は、吸着手段57を中央にして開閉可能に備えた一対のアーム部材67、67を備えたことにより、吸着手段57を中心として底部補強材3の両端を一対のアーム部材67、67で押し下げることで、底部補強材3をくの字に折り曲げることができる。
【0068】
また、一対のアーム部材67、67に転動手段66を備えたことにより、底部補強材3を傷付けることなく変形させることができる。
【0069】
また、袋供給部2は、袋Bを収容する収容部7と、収容部7から袋Bを回転させて取り出して次の工程へ搬送する搬送部8とを備えることで、把手Tの絡まりを防いで安定した袋Bの供給が可能になる。
【0070】
また、搬送部8は、収容部7の袋Bに吸着させる吸着手段47と、吸着手段47を回動させる回動手段48とを備えることで、袋Bを簡単な構造で確実に回転させることができる。
【0071】
また、袋Bの製造方法は、底部B1が糊付けされる前の袋Bを供給するステップと、底部B1を開き底部補強材3を挿入するステップと、底部補強材3が挿入された底部B1に糊付けするステップとを備え、底部B1を開き底部補強材3を挿入するステップは、糊付け前の底部B1を開いた状態に保持するステップと、吸着手段57に底部補強材3を吸着させるステップと、底部補強材3を曲げるステップと、曲げたままの底部補強材3をB1底部に挿入するステップとを備えている。
【0072】
この場合、折り癖がついている袋Bの底部B1を四角形状に開いた時、底部B1に底部補強材3を曲げて挿入することで、底部B1に底部補強材3が衝突することを防ぎ、スムーズに底部補強材3を挿入することができる。また、底部補強材3は底部B1に糊付け接着がされないため、袋Bの完成後に底部補強材3のみ分離、取り外しが可能となり、紙袋Bと底部補強材3の古紙再利用の分別が容易となる。
【0073】
また、底部B1が糊付けされる前の袋Bを供給するステップは、収容された袋Bを回転させて取り出すステップを備えたことにより、把手Tの絡まりを防いで安定した袋Bの供給が可能になる。
【0074】
また、底部B1が糊付けされる前の袋Bを供給するステップは、縦置きの状態で収容された袋Bを回転させて横置きの状態で取り出すステップを備えたことにより、把手Tの絡まりを防いで安定した袋Bの供給が可能になる。また、袋Bを縦置きの状態で横並びに収容することで積載性に優れ、さらに袋Bを回転させて横置きに取り出すことで、横置きの状態で行われる後工程にもスムーズに移行することができる。
【0075】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、一対のアーム部材67、67を固定式として、中央の吸着手段57の昇降で底部補強材3を曲げることとしてもよいものとする。また、底部材収容部53の構成、挿入手段54への底部補強材3の供給方法、糊付部5については適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 製造装置
2 袋供給部
3 底部補強材
4 挿入部
5 糊付部
7 収容部
8 搬送部
47 吸着手段
48 回動手段
57 吸着手段
58 曲げ手段
59 送り手段
66 転動手段
67 一対のアーム部材
B 角底紙袋
B1 底部
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