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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ペット用ハーネス
(51)【国際特許分類】
   A01K 27/00 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
A01K27/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020113856
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012201
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】591230620
【氏名又は名称】株式会社ペッツルート
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中西 克司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】奥野 綾香
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-092183(JP,A)
【文献】特開2007-159440(JP,A)
【文献】特開2002-204629(JP,A)
【文献】特許第5346874(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットとして飼われる四足動物に装着するハーネス本体と前記ハーネス本体に取り付けられるリードとからなるペット用ハーネスであって、
前記ハーネス本体は、
前記ペットの腹部を長手方向に沿って覆う短冊状の腹帯体と、
前記腹帯体の後端側から当該腹帯体に交差するように左右方向に延び且つ前記ペットの胴部を包囲する後帯体と、
前記腹帯体の前端側から左右方向に延び、前記ペットの前腕の基端側を包囲するように周回状に延設され、先端が前記腹帯体の中途部に達する環状とされた前帯体と、
左右方向に延びる前記前帯体の夫々の先端を、当該前帯体が環状となるように前記腹帯体の中途部で係止すると共に、前記腹帯体の長手方向に移動自在となっている可動係止体と、
前記環状とされた前帯体の中途部に設けられていて、前記リードが取り付けられるリード取付具と、
を備えることを特徴とするペット用ハーネス。
【請求項2】
前記可動係止体は、前記腹帯体を覆う筒状の部材で形成され、当該腹帯体を長手方向にスライド可能に備えられている
ことを特徴とする請求項1に記載のペット用ハーネス。
【請求項3】
前記前帯体の内部には、弾力性を備えたクッション部材が装入されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のペット用ハーネス。
【請求項4】
前記前帯体の中途部には、右側の前帯体の中途部と左側の前帯体の中途部とを連結する連結手段が設けられており、
前記後帯体の先端部には、右側の後帯体の先端部と左側の後帯体の先端部とを連結する連結手段が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のペット用ハーネス。
【請求項5】
前記後帯体、前記腹帯体の長手方向に対する前側の角度が鈍角または直角となるよう
に、当該腹帯体の後端側から延設されている
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のペット用ハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットに装着されて使用されるペット用ハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、犬などのペットを散歩などに連れて行く際には、ペットの首に巻き付けられた首輪にリード(引き紐)を連結した上で、飼い主がリードの端部に設けられた取っ手などを持って、ペットを散歩させている。
近年では、単に首輪にリードを付けた構造のものではなく、ペットに対する装着性や飼い主の利便性を考えて、様々な形態を有するペット用ハーネス(首輪や胴輪)が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、ペットの首下から胸部までを覆うと共に、2本の前足を挿通する挿通孔を有するハーネス本体を備え、ハーネス本体の両端部に、ペットの背中部で互いに上下に重合して着脱自在に接続される上接続片と下接続片とを有するペット用ベストタイプハーネスを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許5346874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、近年の猫ブームに代表されるように、猫をペットとして飼う人は増えてきている。猫は、屋内・屋外を自由に行き来できるように飼う人も多いが、室内のみで飼う(部屋飼い)の形態をとる飼い主が増えてきている。
散歩や動物病院への通院のために、部屋飼いの猫を屋外に連れ出す場合、猫が勝手に逃げ出さないように、猫にペット用ハーネスを装着する必要がある。
【0006】
そこで、特許文献1に開示されたペット用ハーネスを、猫に装着することを考えてみる。
この特許文献1に開示されたペット用ハーネスは、ハーネス本体の下接続片側端部と下接続片の基部との間にポケットが形成され、該ポケットに上接続片の先端部を挿入するように構成されており、ポケットに上接続片の先端部を挿入することにより、上接続片の先端部が捲れ上がるのを防止できて、外観上の体裁がよくなると共に、上接続片の先端部から捲れて上接続片と下接続片とが外れるのを防止できるものとされている。それ故、特許文献1に開示されたペット用ハーネスは、犬などのペットに使用するに際しては、大変好適なものである。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されたペット用ハーネスを、体の柔らかいペット用の動物である猫に装着した際には、以下に示すような若干の不具合が発生することが考えられる。
猫は、上に述べたように、体が非常に柔らかく、ハーネスを猫の体に装着しても、当該ハーネスが、猫の体にフィットしていなければ、例えば、ハーネスの挿入孔から前足をすり抜けるように外し、ひいてはハーネス自体を体から外してしまうような行動を起こすことが考えられる。
【0008】
また、昨今の猫ブームにより、様々な種類の猫がペットとして飼育されるようになっている。ところで、猫の種類によっては、例えばノルウェージャン フォレスト キャットのように胸部や肩部の周辺が張っていたり、またロシアンブルーのように胸部や肩部の周辺が張っていなかったりするものがいる。具体的には、猫の種類によって、鎖骨の位置など胸部及び肩部周辺の骨格が異なっている。つまり、一般に飼育されている猫は、様々な骨格を持っているのが実情である。
【0009】
このように、飼育されているペット(特に、猫など)は、種類によって様々な骨格を有するため、汎用的に装着できるペット用ハーネスの開発、言い換えれば、ペットの多少の骨格や体格差を吸収してピッタリとフィットし装着可能なペット用ハーネスの開発が望ま
れるものとなっている。
そこで、本発明は、猫などの体が柔らかいペットであっても、骨格や体型の差によらず、装着が容易でストレスなくジャストフィットし、且つ使用中に外れることがないペット用ハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明のペット用ハーネスは、ペットとして飼われる四足動物に装着するハーネス本体と前記ハーネス本体に取り付けられるリードとからなるペット用ハーネスであって、前記ハーネス本体は、前記ペットの腹部を長手方向に沿って覆う短冊状の腹帯体と、前記腹帯体の後端側から当該腹帯体に交差するように左右方向に延び且つ前記ペットの胴部を包囲する後帯体と、前記腹帯体の前端側から左右方向に延び、前記ペットの前腕の基端側を包囲するように周回状に延設され、先端が前記腹帯体の中途部に達する前帯体と、左右方向に延びる前記前帯体の夫々の先端を前記腹帯体の中途部で係止すると共に、前記腹帯体の長手方向に移動自在となっている可動係止体と、前記前帯体の中途部に設けられていて、前記リードが取り付けられるリード取付具と、を備えることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記可動係止体は、前記腹帯体を覆う筒状の部材で形成され、当該腹帯体を長手方向にスライド可能に備えられているとよい。
好ましくは、前記前帯体の内部には、弾力性を備えたクッション部材が装入されているとよい。
好ましくは、前記前帯体の中途部には、右側の前帯体の中途部と左側の前帯体の中途部とを連結する連結手段が設けられており、前記後帯体の先端部には、右側の後帯体の先端部と左側の後帯体の先端部とを連結する連結手段が設けられる構成とされているとよい。
【0012】
好ましくは、前記後帯体、前記腹帯体の長手方向に対する前側の角度が鈍角または直角となるように、当該腹帯体の後端側から延設されているとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のペット用ハーネスによれば、猫などの体が柔らかいペットであっても、骨格や体型の差によらず、装着が容易でストレスなくジャストフィットし、且つ使用中に外れることもなく、好適な使用感を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のペット用ハーネスをペットに装着した状態を示した図である。
図2】ペット用ハーネスの展開状態を示した図である(Sサイズ)。
図3】ペット用ハーネスの展開状態を示した図である(LLサイズ)。
図4】ペット用ハーネスをペットに装着した状態(特に、ペットのお腹の部分)を示した図である。
図5】ペット用ハーネスをペットに装着した状態(特に、ペットの背中の部分)を示した図である。
図6】ペット用ハーネスをペットに装着する手順を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のペット用ハーネス1を図面に基づき説明する。また、本発明のペット用ハーネス1を装着するペットPとして「猫」を例示して説明するが、ペットPは猫に限定されず、様々な四足動物が想定される。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。また、本実施形態の説明において、本発明のペット用ハーネス1を、単にハーネス1と呼ぶこともある。
【0016】
以降、図2及び図3などに示した「前後」・「左右」などをもとに説明を進めることにする。
図1図6などに示すように、本発明のペット用ハーネス1は、猫に代表されるペットPを屋外に連れ出す際などにペットPに装着し、ペットPが飼い主から離れることを防止するためのものである。また、ペットPを散歩させるときにも好適なものである。なお、本実施形態のペット用ハーネス1は、ペットPの体格(例えば、S~LLサイズ)ごとに
用意される。
【0017】
図1図3などに示す如く、ペット用ハーネス1は、ペットP自身に装着されるハーネス本体2と、そのハーネス本体2に一方端が連結され、他方端を飼い主が持つように構成されたリード3(引き紐)からなるものである。
図1に示すように、ハーネス本体2は、ペットPをその腹部から支えるように装着される。ハーネス本体2の前側(後述する前帯体6)は、ペットPの前足の付け根(肩部と呼ぶこともある)を取り囲むように伸びている。そして、ハーネス本体2の後側(後述する後帯体5)は、ペットPの腹部から背部(言い換えれば、胴部)を巻き回すように伸びている。
【0018】
さて、本実施形態においては、S,M,L,LLサイズなど様々なサイズがあるが、Sサイズ用のハーネス本体2と、LLサイズ用のハーネス本体2と、を例に挙げて説明する。
図2に示す、ハーネス本体2は、小柄(Sサイズ)の猫Pを対象にしているものであり、例えば、首回りサイズが16cm以上、胴回りサイズが27cm~33cm、腹回りサイズが27cm~37cm程度の大きさの猫P用のものである。
【0019】
図3に示す、ハーネス本体2は、大柄(LLサイズ)の猫Pを対象にしているものであり、例えば、首回りサイズが20cm以上、胴回りサイズが40cm~46cm、腹回りサイズが47cm~57cm程度の大きさの猫P用のものである。なお、ハーネス本体2の形状、材質などについては、適宜変更可能である。
ハーネス本体2の前側、すなわち周回状となっている前帯体6の中途部には、リード取付具8が設けられている。そのリード取付具8には、リング体9(丸カン)が設けられている。このリング体9にリード3が取り付けられることにより、ハーネス本体2とリード3とが連結されるようになっている。
【0020】
本願発明は、このハーネス本体2に特徴を有するものである。以下、ハーネス本体2を主に説明を進める。
ハーネス本体2は、ペットPとして飼われる四足動物に装着されるものである。このハーネス本体2は、猫Pの腹部を長手方向(前後方向)に沿って覆う短冊状の腹帯体4と、腹帯体4の後端側から当該腹帯体4に交差するように左右方向(幅方向)に延び且つ猫Pの胴部を包囲する後帯体5と、腹帯体4の前端側から左右方向に延び、猫Pの前腕の基端側を包囲するように周回状に延設され、先端が腹帯体4の中途部に達する前帯体6と、左右方向に延びる前帯体6の夫々の先端を腹帯体4の中途部で係止すると共に、腹帯体4の長手方向に移動自在となっている可動係止体7と、前帯体6の中途部に設けられていて、リード3が取り付けられるリード取付具8と、を有している。
【0021】
詳しくは、図2図4などに示すように、猫Pに装着する前のハーネス本体2は、床面上に広げて置くことができるものである。このハーネス本体2は、平面視で前後方向に延びる腹帯体4を有している。この腹帯体4は、長尺の矩形状であって、およそ猫Pの腹部の中央から胸部までを覆うものとなっている。
例えば、本実施形態においては、腹帯体4は、長さがSサイズで約145mm、LLサイズで約160mm、また幅は約60mmである。なお、腹帯体4の幅、長さ、厚みなどのサイズや形状については、適宜変更可能である。
【0022】
腹帯体4の後端側からは、後帯体5が左右方向に延びるように形成されている。また、後帯体5の長さは、腹帯体4の長さより長尺とされている。これら後帯体5及び腹帯体4は、一体に形成(縫製)されている。それ故、ハーネス本体2は、平面視で略「丁の字」を逆さにした形状を呈するものとなっている。
具体的には、腹帯体4の後端の右縁からは、右後帯体5Rが、図2及び図3における右斜め下(右後方)を向くように延設されている。また、腹帯体4の後端の左縁からは、左後帯体5Lが、図2及び図3における左斜め下(左後方)を向くように延設されている。
【0023】
すなわち、後帯体5は、腹帯体4の長手方向に対して先端が後退するように、当該腹帯体4の後端側から延設されている。これら右後帯体5Rと左後帯体5Lは、長手方向において、反転(鏡像反転)させて所定の間隔で配置したものともいえる。
右後帯体5R及び左後帯体5Lの長さと幅はほぼ同じである。例えば、本実施形態においては、Sサイズにおける右後帯体5R及び左後帯体5Lの長さは、約220mmであり、腹帯体4の約1.3倍~1.5倍程度である。
【0024】
また、本実施形態では、LLサイズにおける右後帯体5R及び左後帯体5Lの長さは、約320mmであり、腹帯体4の約2倍程度である。なお、後帯体5全体の長さは、Sサイズで約440mm、LLサイズで約640mmである。
また、右後帯体5R及び左後帯体5Lの幅は、約45mmであり、腹帯体4とほぼ同じである(Sサイズ、LLサイズ共通)。
【0025】
ところで、左後帯体5Lと右後帯体5Rを、腹帯体4の前後方向に対して直交するように配置すると、猫Pの腹部が締め付けられてしまい、不快感を与えてしまう可能性がある。
そこで、本実施形態では、腹帯体4の長手方向と右後帯体5Rの長手方向との成す前側の角度を、鈍角としている。例えば、本実施形態においては、腹帯体4と右後帯体5Rとの成す前側の角度は、約120°である。
【0026】
また、腹帯体4の長手方向と左後帯体5Lの長手方向との成す前側の角度も、鈍角としている。例えば、本実施形態においては、腹帯体4と左後帯体5Lとの成す前側の角度も、約120°である。すなわち、本実施形態では、右後帯体5Rと左後帯体5Lとの成す角度は、例えば、約120°である。
左後帯体5Lと右後帯体5Rは、腹帯体4の長手方向に対して前側において鈍角に配置されることにより、猫Pの胴部のサイズに合わせて、背中に回り込みやすくなり且つ、腹部を包み込むように空間を形成することができる。なお、後帯体5の幅、長さ、厚み、角度などのサイズや形状については、適宜変更可能である。また例えば、後帯体5が、腹帯体4の長手方向に対して直角となるように、当該腹帯体4の後端側から延設されていてもよい。
【0027】
後帯体5の先端には、右側の後帯体5Rの先端と、左側の後帯体5Lの先端とを連結する係合部材10(所謂、連結手段)が設けられている。係合部材10は、右後帯体5Rの先端に設けられた右係合体10Rと、左後帯体5Lの先端に設けられた左係合体10Lと、を有している。その右係合体10Rと左係合体10Lとが係合することで、右後帯体5Rの先端と左後帯体5Lの先端とが、装着時に猫Pの背部後側にて連結される構成とされている。
【0028】
本実施形態においては、係合部材10として、面ファスナーが採用されている。具体的には、右係合体10Rとして、右後帯体5Rの先端側で且つ裏面(図2図3の紙面裏側面)に、面ファスナーが取り付けられている。また、左係合体10Lとして、左後帯体5Lの先端側で且つ表面(図2図3の紙面表側面)に、面ファスナーが取り付けられている。
【0029】
例えば、右側の面ファスナー10R(右係合体)がメスの場合、左側の面ファスナー10L(左係合体)はオスとなる。逆に、右側の面ファスナー10R(右係合体)がオスの場合、左側の面ファスナー10L(左係合体)はメスとなる。
なお、左側の面ファスナー10Lは、猫Pの胴回りサイズに合わせることができるように、右側の面ファスナー10Rより長いもの(先端~長手方向中途部まで)とされている。
【0030】
左側の面ファスナー10L、乃至は、右側の面ファスナー10Rのいずれか一方を長くするとよい。この面ファスナー10については、左側より右側を長くするというように、左右の長さを入れ替えてもよい。
また、面ファスナー10については、右後帯体5Rの先端側で且つ表面(図2図3の紙面表側面)に、面ファスナー10Rを設け且つ、左後帯体5Lの先端側で且つ裏面(図2図3の紙面裏側面)に、面ファスナー10Lを設けるようにしてもよい。
【0031】
例えば、本実施形態においては、右側の面ファスナー10R(右係合体)の大きさは、約15mm×50mm(Sサイズ、LLサイズ共通)である。また、本実施形態では、左側の面ファスナー10L(左係合体)の大きさは、約15mm×110mmである(Sサイズ、LLサイズ共通)。
なお、面ファスナー10の幅、長さ、厚み、角度などのサイズや形状については、適宜変更可能である。また、係合部材10について、確実に係合できるものであれば、例示した面ファスナーに限定しない。
【0032】
左後帯体5Lと右後帯体5Rが猫Pの胴部を包囲し、猫Pの背中側に達した際に、左右の面ファスナー10R,10L(右係合体と左係合体)を係合することにより、左後帯体5Lと右後帯体5Rが互いに係止される。
左右の面ファスナー10R,10L(右係合体と左係合体)は、後帯体5の長手方向に所定の長さで設けられているため、左後帯体5Lと右後帯体5Rとによる猫Pの胴部の包囲長、言い換えれば、左後帯体5Lと右後帯体5Rとにより形成される輪の径が可変なもの(大きな輪から小さな輪まで対応可)となり、様々な体型の猫P(ペット)に対応可能なものとなる。
【0033】
一方、腹帯体4の前端部からは、前帯体6が左右方向に延びるように形成されている。具体的には、腹帯体4の前端の右縁からは、右前帯体6Rが、図2における右斜め上を向くように延設されている。
延設された右前帯体6Rは、左右方向で右後帯体5Rの先端を超えない範囲で、後方へ折れ曲がり、後方向きとなり、円を描きつつ内側へ(腹帯体4側へ)曲がるものとなっている。曲がりつつある右前帯体6Rは、先端が腹帯体4を略直交するように延び、腹帯体4の右縁側へ達する。
【0034】
つまり、右前帯体6Rは、内側に丸い空間を形成しながら、右側へ大きく湾曲した部材である。また、右前帯体6Rは、基端が腹帯体4の右前縁に縫い合わされると共に、先端が後述する可動係止体7の右縁に縫い合わされている。
この右前帯体6Rが画く円の直径は、猫Pの右肩部が入り込む大きさとされている。後述する可動係止体7により、右前帯体6Rが画く円の直径は少しだけ変化するようになっている。
【0035】
同様に、腹帯体4の前端の左縁からは、左前帯体6Lが、図2における左斜め上を向くように延設されている。延設された左前帯体6Lは、左右方向で左後帯体5Lの先端を超えない範囲で、後方へ折れ曲がり、後方向きとなり、円を描きつつ内側へ(腹帯体4側へ)曲がるものとなっている。
曲がりつつある左前帯体6Lは、先端が腹帯体4を略直交するように延び、腹帯体4の左縁側へ達する。つまり、左前帯体6Lは、内側に丸い空間を形成しながら、左側へ大きく湾曲した部材である。また、左前帯体6Lは、基端が腹帯体4の左前縁に縫い合わされると共に、先端が後述する可動係止体7の左縁に縫い合わされている。
【0036】
この左前帯体6Lが画く円の直径は、猫Pの左肩部が入り込む大きさとされている。後述する可動係止体7により、右前帯体6Lが画く円の直径は少しだけ変化するようになっている。
これら右前帯体5Rと左前帯体6Lは、長手方向において、反転(鏡像反転)させて所定の間隔で配置したものともいえる。例えば、本実施形態においては、右前帯体6R及び左前帯体6Lの幅は、約20mmであって、腹帯体4や後帯体5の幅より幅狭とされている。すなわち、右前帯体6R及び左前帯体6Lの幅は、猫Pの肩部に巻き付きやすい幅長とされている。なお、前帯体6の幅、長さ、厚み、丸みなどのサイズや形状については、適宜変更可能である。
【0037】
さて、本発明のペット用ハーネス1には、その腹帯体4に左前帯体6L及び右前帯体6Rの夫々の先端を腹帯体4の中途部で係止すると共に、腹帯体4の長手方向に移動自在となっている可動係止体7が設けられていることが大きな特徴となっている。つまり、右前帯体6Rと左前帯体6Lは、腹帯体4の前後方向に移動可能である可動係止体7を介して、腹帯体4に取り付けられているといえる。
【0038】
図2及び図3に示すように、可動係止体7は、腹帯体4を幅方向に取り囲むように覆う筒状の部材で形成され、その腹帯体4を長手方向(前後方向)にスライド可能に備えられている。とはいえ、可動係止体7は、腹帯体4に対して少し強く締め付けるように備えられているため、その腹帯体4との間に摩擦が生じることにより、腹帯体4の所定位置で固
定可能なものとなっている。
【0039】
例えば、本実施形態においては、可動係止体7の幅(横縁)は、約60mmであり、腹帯体4の幅より大きなものとなっている(Sサイズ、LLサイズ共通)。また、本実施形態では、可動係止体7の前後方向の長さ(縦縁)は、約40mmであり、前帯体6の先端の幅と同じ長さを持つものとなっている。なお、可動係止体7の幅、長さ、厚みなどのサイズや形状については、適宜変更可能である。
【0040】
可動係止体7の右縁には、右前帯体6Rの先端が縫い付けられている。また、可動係止体7の左縁には、左前帯体6Lの先端が縫い付けられている。
すなわち、腹帯体4の前後方向に移動可能である可動係止体7に、右前帯体6Rの先端と左前帯体6Lの先端が縫い付けられているという構成により、腹帯体4に対する前帯体6の位置が少し変わるようになっている。
【0041】
ところで、猫Pの種類によって、胸部が張っているなど、胸部の骨格が異なる。例えば、猫Pは、種類によって鎖骨の位置などが異なっている。そこで、可動係止体7は、ハーネス本端2を装着した時に、腹帯体4の前後方向に少しスライドすることができるようになっている。この可動係止体7のスライドにより、猫Pの胸部周辺に少し空間ができるので、その胸部周辺にゆとりを持たせることができる。つまり、可動係止体7は、猫Pの胸部等の骨格差に対応することができる。また、猫Pは、背筋を丸めたり、背筋を伸ばしたりするので、その動きにも可動係止体7は対応することができる。
【0042】
すなわち、可動係止体7は、胸部周辺の骨格の差があっても、猫Pの胸部周辺にゆとりを持たせ、前帯体の締め付け感を猫Pに与えないものである。このような、スライド可能な可動係止体7を備えることにより、例えば、様々な骨格の猫Pにもジャストフィットする前帯体6、言い換えれば、ストレスなくジャストフィットするハーネス1を実現することができるようになる。
【0043】
前帯体6の内部には、弾力性を備えたクッション部材11が装入されている。好ましくは、前帯体6の長手方向中途部から先端側の内部に、クッション部材11が装入されているとよい。つまり、このクッション部材11が装入された前帯体6は、猫Pの肩パッドとなる。
また、クッション部材11として、例えば、低反発ウレタンが好ましい。クッション部材11の厚みとしては、厚手が好ましい。例えば、本実施形態においては、クッション部材11の厚みは、約25mmである。また、クッション部材11は、例えば、約15mmや約30mmの厚みであってもよい。
【0044】
なお、クッション部材11の幅、長さ、厚み、材質などについては、適宜変更可能である。このように、前帯体6にクッション部材11を内装することにより、猫Pにハーネス1を装着した時の前帯体6の締め付けによる不快感を与えないものとなる。
さて、前述した前帯体6の長手方向中途部には、右前帯体6Rの中途部と左前帯体6Lの中途部とを左右方向で連結する連結手段12が設けられている。
【0045】
連結手段12は、右前帯体6Rの中途部に設けられた右連結体12Rと、左前帯体6Lの中途部に設けられた左連結体12Lと、を有している。その右連結体12Rと左連結体12Lとが係合することで、右前帯体6Rの中途部と左前帯体6Lの中途部とが、装着時に猫Pの背部前側にて連結される構成とされている。
具体的には、右前帯体6Rの中途部からは、右連結体12Rが、図2及び図3における右斜め上(右前方)を向くように延設されている。この右連結体12Rは、基端が右前帯体6Rの中途部に縫い付けられている。
【0046】
また、左前帯体6Lの中途部からは、左連結体12Lが、図2及び図3における左斜め上(左前方)を向くように延設されている。この左連結体12Lは、基端が左前帯体6Lの中途部に縫い付けられている。
すなわち、連結手段12は、前帯体6の中途部から先端が前進するように、当該前帯体6の中途部から延設されている。これら右連結体12Rと左連結体12Lは、長手方向において、反転(鏡像反転)させて所定の間隔で配置したものともいえる。
【0047】
右連結体12R及び左連結体12Lの長さと幅はほぼ同じである。例えば、本実施形態
においては、右連結体12R及び左連結体12Lの大きさは、約30mm×50mm(Sサイズ、LLサイズ共通)である。
また、本実施形態では、猫Pの胸部及び肩部を締め付けないように、腹帯体4の長手方向と右連結体12Rの長手方向との成す角度を、鈍角としている。同様に、腹帯体4の長手方向と左連結体12Lの長手方向との成す角度も、鈍角としている。なお、連結体12の幅、長さ、厚み、角度などのサイズや形状については、適宜変更可能である。
【0048】
右連結体12Rと左連結体12Lは、腹帯体4の長手方向に対して鈍角に配置されることにより、猫Pの胸部及び肩部のサイズに合わせて、背中に回り込みやすくなり且つ、胸部及び肩部を締め付けずに、包み込むように空間を形成することができる。
本実施形態においては、連結手段12には、係合部材13が取り付けられている。また、本実施形態においては、係合部材13として、面ファスナー13が採用されている。
【0049】
具体的には、右連結体12Rの裏面(図2図3の紙面裏側面)に、面ファスナー13Rが取り付けられている。一方、左連結体12Lの表面(図2図3の紙面表側面)に、面ファスナー13Lが取り付けられている。
例えば、右連結体12Rの面ファスナー13Rがメスの場合、左連結体12Lの面ファスナー13Lはオスとなる。逆に、右連結体12Rの面ファスナー12Rがオスの場合、左連結体12Lの面ファスナー13Lはメスとなる。
【0050】
なお、左連結体12Lの面ファスナー13Lは、猫Pの肩部サイズに合わせることができるように、右連結体12Rの面ファスナー13Rより長いもの(先端~左前帯体6Lまで)とされている。左連結体12Lの面ファスナー13L、乃至は、右連結体12Rの面ファスナー13Rのいずれか一方を長くするとよい。この面ファスナー13L,13Rについては、左側より右側を長くするというように、左右の長さを入れ替えてもよい。
【0051】
また、面ファスナー13L,13Rについては、右連結体12Rの表面(図2図3の紙面表側面)に、面ファスナー13Rを設け且つ、左連結体12Lの裏面(図2図3の紙面裏側面)に、面ファスナー13Lを設けるようにしてもよい。
例えば、本実施形態においては、右連結体12Rの面ファスナー13Rの大きさは、15mm×45mm(Sサイズ、LLサイズ共通)である。また、例えば、左連結体12Lの面ファスナー13Lの大きさは、15mm×75mm(Sサイズ、LLサイズ共通)である。なお、面ファスナー13の幅、長さ、厚みなどのサイズや形状については、適宜変更可能である。また、面ファスナー13について、確実に係合できるものであれば、面ファスナー13に限定しない。
【0052】
図5に示すように、右前帯体6Rと左前帯体6Lが猫Pの肩部を包囲し、猫Pの背中側に右連結体10Rと左連結体10Lが達した際に、右側の面ファスナー13Rと左側の面ファスナー13Lを係合することにより、右前帯体6Rと左前帯体6Lが互いに係止される。
右側の面ファスナー13Rと左側の面ファスナー13Lは、連結手段12の長手方向に所定の長さで設けられているため、右前帯体6Rと左前帯体6Lとによる猫Pの胸部及び肩部の包囲、言い換えれば、右前帯体6Rと左前帯体6Lとにより形成される輪の径が少し変わることができるものとなり、様々な骨格の猫P(ペット)に対応可能なものとなる。
【0053】
右側の面ファスナー13Rと左側の面ファスナー13Lは、腹帯体4の長手方向に対して鈍角に配置されることにより、猫Pの胸部及び肩部のサイズに合わせて、背中に回り込みやすくなり且つ、胸部及び肩部を包み込むように空間を形成することができる。
前帯体6の中途部には、リード取付具8が取り付けられている。具体的には、右前帯体6Rに、右側のリード取付具8Rが取り付けられている。また、左前帯体6Lに、左側のリード取付具8Lが取り付けられている。
【0054】
右側のリード取付具8Rは、長尺の紐体からなるものであり、その基端は右前帯体6Rの基端側に縫い付けられると共に、先端は右前帯体6Rの先端側に縫い付けられている。右側のリード取付具8Rの長手方向中途部は、右前帯体6Rから右側へ突出すると共に、折り返されて配備されている。右側のリード取付具8Rは、平面視で、三角形状となって
いる。
【0055】
その右側のリード取付具8Rの長手方向中途部(三角形状の頂点付近)には、リード3が取り付けられるリング体9(丸カン)が設けられている。また、右側のリード取付具8Rの長手方向中途部であって、リング体9の近傍には、ストッパ14が取り付けられている。ストッパ14は、右側のリード取付具8Rを束ねるものである。なお、ストッパ14としては、例えば、プラスチック製のループカンなどがよい。
【0056】
一方で、左側のリード取付具8Lは、右側のリード取付具8Rを長手方向において、反転(鏡像反転)させて所定の間隔で配置したものであり、構成が同じであるので、詳細な説明は省略する。
以上述べた、本発明のペット用ハーネス1の各部(腹帯体4、後帯体5、前帯体6、可動係止体7など)については、猫Pにフィットしやすい柔らかい布地で構成されることが望ましい。例えば、内部に芯体とシート面を有し、周りがニットで包まれた布材で構成されるとよい。このような素材であれば、通気性を有するものとなり、装着感を格段に向上させることができる。
【0057】
次に、以上述べた本発明のペット用ハーネス1の使用態様について述べる。
まず、図6(a)に示すように、ハーネス本体2を床面上に広げ、平面視で図2及び図3の形状に載置する。このとき、前側にリング状となった前帯体6を配備し、後側に後帯体5を配備する。また、腹帯体4は、前後方向に延びるように載置する。
その後、図6(b)に示すように、広げたハーネス本体2の上に、装着対象である猫P(ペット)をおく。このとき、猫Pの頭部が前帯体6の方を向くようにし、右前帯体6Rが形成する輪の中に、猫Pの右前足をおく。同様に、左前帯体6Lが形成する輪の中に、猫Pの左前足をおく。
【0058】
次に、図6(c)に示すように、右前帯体6Rと左前帯体6Lとを持ち上げて、右前帯体6Rが猫Pの右肩部周りにかかるように配設すると共に、左前帯体6Lが猫Pの左肩部周りにかかるように配設する。そして、右連結体12Rの中途部と左連結体12Lの中途部とを猫Pの背中の前側に引き上げて、右側の面ファスナー13Rと左側の面ファスナー13Lを係合させる。
【0059】
このとき、可動係止体7は、腹帯体4を前後方向に少しスライドすることにより、猫Pの胸部周辺に空間ができる。これにより、腹帯体4と前帯体6が猫Pの胸部及び肩部(骨格)に沿うようになり、ハーネス本体2の前側が猫Pの胸部及び肩部に対し、強い締め付け感なく、密着するように巻き付けることで、ストレスなくピッタリとフィットするようになる。
【0060】
図6(c)の状態を維持しつつ、図6(d)に示すように、猫Pの胴部右側から右後帯体5Rを巻き上げると共に、猫Pの胴部左側から左後帯体5Lを巻き上げてきて、猫Pの胴部の上頂部(背中の後側)にて、右後帯体5Rの先端にある面ファスナー10R(右連結体)と左後帯体5Lの先端にある面ファスナー10L(左連結体)を係合させる。
このとき、後帯体5が猫Pの胴部に対し、強い締め付け感なく、密着するように巻き付けることで、ハーネス本体2が猫Pの体にストレスなく密着するようになる。そのため、猫Pなどの体が柔らかい動物であっても、ハーネス本体2からすり抜けたりしたり、ハーネス1が猫Pから外れるといった不都合が生じることがなくなる。
【0061】
最後に、図6(e)に示すように、リード取付具8の先端に取り付けられたリング体9に、リード3を取り付ける。
以上、本発明のペット用ハーネス1によれば、猫などの体が柔らかいペットPであっても、骨格や体型の差によらず、装着が容易でストレスなくジャストフィットし、且つ使用中に外れることもなく、好適な使用感を維持することが可能となる。
【0062】
なお、今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された各実施形態において、明示的に開示されていない事項は、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
例えば、本実施形態の説明においては、ペットPとして猫を例示しているが、他の動物
、例えばフェレットなどに、本発明のハーネス1を装着しても何ら問題はない。
【0063】
また、本願発明は、猫などの体の柔らかい動物を対象としているが、比較的猫などより体が硬いとされている、犬など四足動物に適用しても構わない。つまり、犬などを対象にしたペット用ハーネス1に、本発明の構成を備えても構わない。
なお、ハーネス本体2(腹帯体4、後帯体5、前帯体6、可動係止体7など)の形状や寸法に関しては、一例であり、ペットPの大きさによって、適宜変更可能である。
【0064】
また、リード3について、本実施形態の場合、その種類や形態は問わない。図2図3などに示すように、リード取付具8のリング体9に、リード3の先端が結ばれ、基端を飼い主が把持できるようなものであればよい。このリード3は固定長のものであっても良く、中途部に巻き取り部を備えた長さ伸縮自在のものであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 ペット用ハーネス
2 ハーネス本体
3 リード
4 腹帯体
5 後帯体
5R 後帯体(右側)
5L 後帯体(左側)
6 前帯体
6R 前帯体(右側)
6L 前帯体(左側)
7 可動係止体
8 リード取付具
8R リード取付具(右側)
8L リード取付具(左側)
9 リング体
10 係合部材(後帯体)
10R 右係合体(右側の面ファスナー)
10L 左係合体(左側の面ファスナー)
11 クッション部材
12 連結手段(前帯体)
12R 右連結体
12L 左連結体
13 係合部材
13R 面ファスナー
13L 面ファスナー
14 ストッパ
P ペット(猫)
図1
図2
図3
図4
図5
図6