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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】水晶装置及び水晶アクセサリ
(51)【国際特許分類】
   H10N 30/80 20230101AFI20230420BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20230420BHJP
   A44C 25/00 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
H10N30/80
H10N30/30
A44C25/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021125721
(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2023020390
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2022-09-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518356844
【氏名又は名称】neten株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】七沢 賢治
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3028230(JP,U)
【文献】実開昭61-206308(JP,U)
【文献】実開昭52-119640(JP,U)
【文献】特開2022-159729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 30/80
H10N 30/30
H10N 30/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
右水晶を有する右水晶振動子と、
上記右水晶振動子の振動を信号として取り出す右水晶用発振回路と、
左水晶を有する左水晶振動子と、
上記左水晶振動子の振動を信号として取り出す左水晶用発振回路と、
上記右水晶用発振回路からの信号と上記左水晶用発振回路からの信号とが入力され、各入力の信号の振幅が逆位相となって互いに打ち消し合う相互作用状態を検出し、該相互作用状態に対応させてHi又はLowの信号を送り出し、上記振幅が正位相のときは、それとは逆のLow又はHiの信号を送り出す相互作用状態検出回路と、
LEDと、
上記相互作用状態検出回路からのHi又はLowの信号が入力され、該信号に合わせて上記LEDの点灯状態を変化させるLEDドライブ回路とを備えている
ことを特徴とする水晶装置。
【請求項2】
右水晶を有する右水晶振動子と、
上記右水晶振動子の振動を信号として取り出す右水晶用発振回路と、
左水晶を有する左水晶振動子と、
上記左水晶振動子の振動を信号として取り出す左水晶用発振回路と、
上記右水晶用発振回路からの信号と上記左水晶用発振回路からの信号とが入力され、各入力の信号の振幅が逆位相となるタイミングから互いに打ち消し合う相互作用状態を検出し、該相互作用状態に対応させてHi又はLowの信号を送り出し、上記振幅が正位相のときは、それとは逆のLow又はHiの信号を送り出す相互作用状態検出回路と、
LEDと、
上記相互作用状態検出回路からのHi又はLowの信号が入力され、該信号に合わせて上記LEDの点灯状態を変化させるLEDドライブ回路とを備えている
ことを特徴とする水晶装置。
【請求項3】
上記右水晶及び上記左水晶は、Z軸に垂直な面で切断された薄板状である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水晶装置。
【請求項4】
上記相互作用状態において上記LEDを点灯させる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の水晶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶装置及び水晶アクセサリに関する。
【背景技術】
【0002】
水晶の結晶に機械的に圧力をかけると、表面に電気が発生する圧電現象が起こり、逆に、電圧をかけると機械的に歪を発生する逆圧電現象が起こることが知られている。水晶は、三方晶系で電気軸X、機械軸Y及び光軸Zを有する。水晶振動子としては、結晶性及び圧電性によって種々の振動モードが存在する。水晶振動子は、回路中では発振素子として機能し得る。水晶振動子の発振周波数自体は、水晶振動子の特性(形状、結晶のどの方位で切り出したか等)によって決まる。
【0003】
水晶には、右巻きの水晶(以下、右水晶と言う)と左巻きの水晶(以下、左水晶と言う)がある。天然水晶では、右水晶と左水晶の割合は、ほぼ1:1と言われている。工業的に利用されている人工水晶は、ほとんどが右水晶である。右水晶と左水晶では、切断加工するときの切断方位が逆向きになっているので、切断方位を間違えて加工してしまうと、水晶振動子の温度特性が変わってしまうため、右水晶に統一して製造していると言われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ディスク状の複数の水晶が互いに積層されてなる圧電素子が開示されている。上記複数の水晶は、積層方向に隣り合うもの同士で、一方が右巻きであれば他方が左巻きであるように、結晶の対称性が異なっている。また、右水晶と左水晶とを交互に積層させることで、隣り合う水晶間で生じるせん断効果に起因する電荷の影響を除去できる効果を奏することが記載されている。
【0005】
特許文献2には、右水晶と左水晶とが互いに隣り合わせで配置されてなる偏光調整素子が開示されている。また、直線偏光の光が上記変更調整素子を通過するとき、光の電場ベクトルの回転が時計回りとなるか又は反時計回りとなるかは、右水晶か左水晶かによることが記載されている。
【0006】
特許文献3には、複数の第1領域と複数の第2領域とが交互に並ぶように積層されてなる、波長変換素子が開示されている。上記第1領域及び上記第2領域は、分極方向が互いに異なっている。また、水晶が右巻きか左巻きかによって、光の振動方向が時計回りに回転するか、反時計回りに回転するかが異なることが記載されている。
【0007】
なお、非特許文献1のように、直交配置の直線偏光板の間に左と右の水晶板(c軸に垂直な切片)を重ねて目を近づけてみると、4重渦巻きになることが知られている。非特許文献1では、c軸に平行に進む光は複屈折の影響は受けないが、右と左の結晶を両方通過するため、旋回性が打ち消されて偏光面の方位が元に戻り、検光子を通過できないため、渦巻きの中心部分が暗くなると述べられている。このように右水晶と左水晶とを重ねることにより、相互作用が発生することが分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第4902926号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0019179号明細書
【文献】米国特許第8264766号明細書
【文献】慶応技術大学日吉紀要、自然科学(The Hiyoshireview of the natural science)、No.46(2009.)、p.13-41
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように右水晶と左水晶については、種々の分野で注目されており、右水晶と左水晶を並べることにより生じる相互作用の効果を利用しようとする試みは行われている。
【0010】
しかしながら、その作用効果は、人間の五感では感じにくく、効果的に利用できるとは言えなかった。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、右水晶と左水晶の相互作用を効果的に利用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、この発明では、右水晶と左水晶からそれぞれ発生する振動の特性を利用した。
【0013】
具体的には、第1の発明では、
右水晶を有する右水晶振動子と、
上記右水晶振動子の振動を信号として取り出す右水晶用発振回路と、
左水晶を有する左水晶振動子と、
上記左水晶振動子の振動を信号として取り出す左水晶用発振回路と、
上記右水晶用発振回路からの信号と上記左水晶用発振回路からの信号とが入力され、各入力の信号レベルから互いに打ち消し合う相互作用状態を検出し、送り出す信号レベルを変化させる相互作用状態検出回路と、
LEDと、
上記相互作用状態検出回路からの信号が入力され、該信号に合わせて上記LEDの点灯状態を変化させるLEDドライブ回路とを備えている。
【0014】
ここで、右水晶振動子の振動と左水晶振動子の振動とが互いに打ち消し合うタイミングを相互作用状態とする。上記構成によると、右水晶用発振回路からの信号と左水晶用発振回路からの信号とで、信号の振幅が逆位相になると、互いに打ち消し合う相互作用状態を相互作用状態検出回路が検出し、その相互作用状態の発生の有無をLEDで可視化することができる。
【0015】
第2の発明では、
右水晶を有する右水晶振動子と、
上記右水晶振動子の振動を信号として取り出す右水晶用発振回路と、
左水晶を有する左水晶振動子と、
上記左水晶振動子の振動を信号として取り出す左水晶用発振回路と、
上記右水晶用発振回路からの信号と上記左水晶用発振回路からの信号とが入力され、各入力の信号タイミングから互いに打ち消し合う相互作用状態を検出し、送り出す信号レベルを変化させる相互作用状態検出回路と、
LEDと、
上記相互作用状態検出回路からの信号が入力され、該信号に合わせて上記LEDの点灯状態を変化させるLEDドライブ回路とを備えている。
【0016】
上記構成によると、右水晶用発振回路からの信号と左水晶用発振回路からの信号とで、信号の振幅が逆位相になると、同時に発生した振動が同時にぶつかり合って相殺されるタイミングを相互作用状態検出回路が検出し、その相互作用状態の発生の有無をLEDで可視化することができる。
【0017】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記右水晶及び上記左水晶は、Z軸に垂直な面で切断された薄板状である。
【0018】
上記の構成によると、右水晶及び左水晶は、いずれもZ軸に垂直な面で切断されているので、X軸及びY軸に関する位置合わせも容易となる。
【0019】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記相互作用状態において上記LEDを点灯させる構成とする。
【0020】
上記の構成によると、相互作用状態を可視化できる。
【0021】
第5の発明の水晶アクセサリは、
右水晶と、
上記右水晶に重ねられる左水晶と、
上記右水晶及び上記左水晶を両側から挟み込む一対の電極と、
上記電極を両側から挟む導体よりなる一対の蓋体とを備えている。
【0022】
上記の構成によると、水晶アクセサリを身につけると導体よりなる蓋体から生体電流が内部の電極に流れる。すると、電極に挟まれた右水晶及び左水晶に電圧が加わって振動する。これによって、右水晶及び左水晶による振動などの物理的な相互作用の影響を受けやすい。
【0023】
第6の発明では、
右水晶と、
上記右水晶に重ねられる左水晶と、
上記右水晶及び上記左水晶を両側から挟み込む一対の電極と、
上記一対の電極を両側から挟み込む一対の検波回路と、
上記一対の検波回路を両側から挟む一対の蓋体とを備えており、
電波を利用して上記右水晶及び上記左水晶に電流が送り込まれるように構成されている。
【0024】
上記の構成によると、電波を受けると検波回路から電流が発生し、電極を介して右水晶及び左水晶に電流が送り込まれ、電極に挟まれた右水晶及び左水晶に電圧が加わって振動する。
【0025】
第7の発明では、第5又は第6の発明において、
上記右水晶及び上記左水晶は、Z軸に垂直な面で切断されており、鏡像異性体となるように重ねられている。
【0026】
上記の構成によると、右水晶及び左水晶の振動が打ち消し合う相互作用状態を実現しやすい。なお、「鏡像異性体」は、右手と左手のように、鏡に写すと一方の構造が他方と一致するものであり、ここでは、右水晶と左水晶で、X軸とY軸とが一致するように重なり合わせる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、右水晶と左水晶による相互作用状態を可視化できるようにしたので、右水晶と左水晶の相互作用をできるだけ効果的に利用できる。また、右水晶と左水晶を重ね合わせて身につけることにより、生体電流を利用して相互作用状態を体感しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】水晶装置の構成の概要を示す図である。
図2】相互作用状態検出回路の入力と出力の関係を示す図である。
図3】LEDドライブ回路の入力と出力の関係を示す図である。
図4】右水晶用発振回路からの信号、左水晶用発振回路からの信号及び相互作用状態検出回路からの信号の波形を一部拡大して示すグラフである。
図5】信号処理を示すフローチャートである。
図6】水晶アクセサリの構成を示す分解斜視図である。
図7】水晶アクセサリの変形例の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の水晶装置1を示し、この水晶装置1は、直流電流を発生させるDC電源供給回路2を備えている。DC電源供給回路2は、例えば、バッテリ、ACアダプタ等よりなる。
【0031】
また、水晶装置1は、右水晶の薄板よりなる右水晶チップ21を有する右水晶振動子3を備えている。右水晶チップ21は、例えば、Z軸に垂直な面で切断された厚さ0.5mmの略矩形状の水晶よりなる。厚さや形状はこれに限定されない。右水晶振動子3は、その振動を信号として取り出す右水晶用発振回路4に設けられている。この右水晶用発振回路4は、例えば、コンデンサ、抵抗、ロジックIC等を主要部品に用いた発振及び信号生成回路よりなる。
【0032】
同様に水晶装置1は、左水晶の薄板よりなる左水晶チップ22を有する左水晶振動子5を備えている。左水晶チップ22も、例えば、Z軸に垂直な面で切断された厚さ0.5mmの略矩形状の水晶よりなる。厚さや形状はこれに限定されない。例えば、右水晶チップ21と左水晶チップとは、鏡像異性体となるようにカットするとよい。左水晶振動子5は、その振動を信号として取り出す左水晶用発振回路6に設けられている。この左水晶用発振回路6は、例えば、コンデンサ、抵抗、ロジックIC等を主要部品に用いた発振及び信号生成回路よりなる。
【0033】
例えば、右水晶チップ21と左水晶チップ22とは、Z軸を真向かいに配置して、X軸及びY軸を揃えるように所定の距離を開けて配置する。互いの距離は特に限定されないが、装置の規模、用途などによって変更するとよい。
【0034】
右水晶用発振回路4及び左水晶用発振回路6は、相互作用状態検出回路7に接続されている。相互作用状態検出回路7は、抵抗、ロジックIC等を主要部品とする信号状態を検出する回路である。具体的には、右水晶用発振回路4の信号出力端子が相互作用状態検出回路7のR信号入力端子に接続され、左水晶用発振回路6の信号出力端子が相互作用状態検出回路7のL信号入力端子に接続されている。詳細は後述するが、相互作用状態検出回路7は、各入力の信号レベルから互いに打ち消し合う相互作用状態を検出し、送り出す信号(第2の信号)のレベルを変化させるように構成されている。
【0035】
相互作用状態検出回路7のLED信号出力端子は、LEDドライブ回路8の信号入力端子に接続されている。LEDドライブ回路8は、LEDドライバを有し、その出力端子は、LED9に接続されている。LEDドライブ回路8には、相互作用状態検出回路7からの信号が入力され、この入力信号に合わせてLED9の点灯状態を変化させるように構成されている。
【0036】
相互作用状態においてLED9を点灯させる構成とする。
【0037】
-水晶装置の作動-
次に、本実施形態に係る水晶装置1の作動について説明する。まず、DC電源供給回路2をONにすると、その電流が各回路4,6,7,8に流れる。
【0038】
すると、右水晶振動子3の固有振動が右水晶用発振回路4によって電気信号に変換され、相互作用状態検出回路7のR信号入力ポートへ送信される。同様に、左水晶振動子5の固有振動が左水晶用発振回路6によって電気信号に変換され、相互作用状態検出回路7のL信号入力ポートへ送信される。
【0039】
相互作用状態検出回路7は、これらの入力信号の信号レベルから相互作用発生状態を検出し、LEDドライブ回路8への信号レベルを変化させる。
【0040】
具体的には、図2に示すように、相互作用状態検出回路7は、R信号及びL信号の入力がいずれもHiの場合、Low信号をLEDドライブ回路8へ出力する。
【0041】
相互作用状態検出回路7は、R信号の入力がHiでL信号の入力がLowの場合、Hi信号をLEDドライブ回路8へ出力し、逆に、R信号の入力がLowでL信号の入力がHiの場合、Hi信号をLEDドライブ回路8へ出力する。いずれの場合も、右水晶チップ21と左水晶チップ22とが互いに打ち消し合う相互作用状態であることを示す。
【0042】
相互作用状態検出回路7は、R信号及びL信号の入力がいずれもLowの場合、Low信号をLEDドライブ回路8へ出力する。
【0043】
図3に示すように、LEDドライブ回路8は、入力信号がHiの場合にLED9を点灯させ、Lowの場合にLED9を消灯させる。
【0044】
このように、相互作用状態においてLED9を点灯させることにより、ユーザは、点灯時に右水晶チップ21と左水晶チップ22とが相互作用を発揮していることを目で見て体感できるので、人によって異なるが、五感では感じられないような特別な作用効果を感じ取ることができるようになる。
【0045】
なお、逆に相互作用状態においてLED9を消灯し、それ以外のときにLED9を点灯させるようにしてもよい。
【0046】
図4に、右水晶用発振回路4及び左水晶用発振回路6それぞれの信号波形の一例を示す。
【0047】
一部拡大して示すように、右水晶用発振回路4と左水晶用発振回路6とでは、波の凹凸のタイミングがずれている。それらの信号を受け、相互作用状態検出回路7で出力する信号は、そのずれている時間帯(図4でハッチングで示す)においてオンとなる。
【0048】
図4で示す波形例では、右水晶及び左水晶からの両信号のXORでLED9を光らせる信号を送っている。
【0049】
例えば、この実施例では、生成された信号を量子化し、有線、無線等で伝送する際の訂正符号(パリティ)や、暗号化鍵として用いることができる。
【0050】
本実施形態では、右水晶振動子3の振動と左水晶振動子5の振動とが互いに打ち消し合うタイミングを相互作用状態とし、その相互作用状態の発生の有無をLED9で可視化することができる。
【0051】
本実施形態では、右水晶チップ21及び左水晶チップ22は、いずれもZ軸に垂直な面で切断されており、鏡像異性体となるように重ねられているので、LED9を見ながら適切に相互作用状態を作り出せる配置等の調整ができる。
【0052】
本実施形態では、LED9の点灯タイミングにより、相互作用状態を可視化できるので、その作用効果の体感が得られやすくなる。
【0053】
したがって、本実施形態に係る水晶装置1によると、相互作用状態を可視化できるようにしたので、右水晶と左水晶の相互作用をできるだけ効果的に利用できる。
【0054】
また、メディア等へ記録・保管する際の訂正符号(パリティ)や、暗号化鍵としても用いることができる。
【0055】
図4に示した波形において、右水晶及び左水晶から両信号の立ち上がりエッジが一致した場合のみLED9を光らせる信号を送るようにしてもよい。この場合、同時に発生した振動が同時にぶつかり合って相殺されるタイミングを検出している。サブチャンネルデータとして、出力はしないか、又は、バスを増やしてLEDドライブ回路8に接続してもよい。
【0056】
具体的には、図5に示すように、相互作用状態検出回路7は、ステップS01において、右水晶用発振回路4からの右水晶信号のエッジを検出したかを判定し、検出した場合には、ステップS02に進み、検出しなかった場合には、ステップS05に進む。
【0057】
ステップS02では、左水晶用発振回路6からの左水晶信号のエッジを検出したかを判定し、検出した場合には、ステップS03において、エッジ検出信号を出力し、ステップS01に戻る。検出しなかった場合には、ステップS04に進む。
【0058】
ステップS04では、右水晶のエッジ検出から閾値時間経過したかが判定され、閾値時間経過した場合には、ステップS01に戻り、経過していない場合には、ステップS02に戻る。
【0059】
一方、ステップS05では、左水晶用発振回路6からの左水晶信号のエッジを検出したかを判定し、検出した場合には、ステップS06に進み、検出しなかった場合には、ステップS01に戻る。
【0060】
ステップS06では、再び、右水晶用発振回路4からの右水晶信号のエッジを検出したかを判定し、検出した場合には、ステップS03に進み、検出しなかった場合には、ステップS07に進む。
【0061】
ステップS07では、左水晶のエッジ検出から閾値時間経過したかが判定され、閾値時間経過した場合には、ステップS01に戻り、経過していない場合には、ステップS06に戻る。
【0062】
(実施形態2)
図6は本発明の実施形態2を示し、アクセサリとして実現している点で上記実施形態1と異なる。
【0063】
本実施形態の水晶アクセサリ20は、その内部に右水晶チップ21と、左水晶チップ22とを備えている。右水晶チップ21及び左水晶チップ22は、Z軸に垂直な面で切断されており、鏡像異性体となるように重ねられている。
【0064】
右水晶チップ21及び左水晶チップ22は、一対の電極23で挟み込まれている。電極23は、例えば、銅箔よりなる。
【0065】
これら一対の電極23の外側から右水晶チップ21及び左水晶チップ22は、導体よりなる一対の蓋体24,25で密閉状に挟み込まれている。例えば、一対の蓋体24,25には、それぞれ矩形状の収容凹部24a,25aが凹陥されており、これらの収容凹部24a,25aで形成される密閉空間に電極23で覆われた右水晶チップ21及び左水晶チップ22が、収容凹部24a,25aの内面に接するように収容されている。
【0066】
水晶アクセサリ20は、一対の蓋体24,25を突き合わせた状態で、内容物が密閉されている。図示しないが、革紐やチェーンをつないで首にかけられるようにしてもよいし、手首などに嵌められるようにしてもよい。
【0067】
一対の蓋体24,25の形状は、本実施形態のような矩形板状体に限定されず、一対の半球体などでもよい。また、一対の蓋体24,25は、導体であれば特に限定されないが、チタン、金、銀、プラチナなどでもよい。
【0068】
次に、本実施形態に係る水晶アクセサリ20の作動について説明する。
【0069】
上記水晶アクセサリ20を特に肌に触れるように身につけると、非常に微弱ではあるが、生体電流が導電体としての蓋体24,25からその内部の電極23に伝わる。
【0070】
すると、電極23に挟まれた右水晶チップ21及び左水晶チップ22に電流が流れ、振動する。感じられる震動としては、振動は、右水晶チップ21及び左水晶チップ22自身の振動でもよいし、空気の振動でもよい。
【0071】
このため、本実施形態では、右水晶チップ21及び左水晶チップ22の振動が打ち消し合う相互作用状態を再現しやすい。
【0072】
したがって、本実施形態に係る水晶アクセサリ20によると、右水晶と左水晶を重ね合わせて身につけることにより、生体電流を利用して相互作用状態の有無による影響を受けやすい。
【0073】
-実施形態2の変形例-
図7に示すように、本変形例の水晶アクセサリ120では、一対の電極23には、それぞれ検波回路(アンテナ)126が接続されている。これらの検波回路126の外側から一対の蓋体124,125で密閉状に挟み込まれている。
【0074】
本変形例では、一対の蓋体124,125は、上記実施形態2と違って電波を通せばよいので、導体でもよいが、樹脂成形品などの不導体でもよい。
【0075】
このようにすることで、電波を受けたときに、検波回路126に電流が流れ、その電流により、右水晶チップ21及び左水晶チップ22が振動する。この水晶アクセサリ120を身につけることにより、右水晶チップ21及び左水晶チップ22による振動などの物理的な相互作用を感じられやすくなる。
【0076】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0077】
すなわち、上記実施形態では、右水晶チップ21と左水晶チップ22を利用したが、水晶は、場合によっては、ある程度厚さのあるものや球体などの立体形状のものでもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、水晶装置1は、例えば、右水晶用発振回路4と左水晶用発振回路6を1組のみ有しているが、複数組、例えば、5組設けてもよい。
【0079】
上記実施形態1では、相互作用状態をLED9の点灯によって可視化したが、右水晶チップ21及び左水晶チップ22自身の振動やその周りの空気の振動を感じされるようにしてもよい。
【0080】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0081】
1 水晶装置
2 DC電源供給回路
3 右水晶振動子
4 右水晶用発振回路
5 左水晶振動子
6 左水晶用発振回路
7 作用状態検出回路
8 LEDドライブ回路
9 LED
20,120 水晶アクセサリ
21 右水晶チップ
22 左水晶チップ
23 電極
24,25 蓋体
24a,25a 収容凹部
120 水晶アクセサリ
124,125 蓋体
126 検波回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7