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特許7265798超音波医療装置用カートリッジおよび超音波医療装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】超音波医療装置用カートリッジおよび超音波医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/02 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
A61N7/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021147405
(22)【出願日】2021-09-10
(65)【公開番号】P2022050335
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0119733
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520331970
【氏名又は名称】ジェイシス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミン・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,キュン・テ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,キ・ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウォン・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドン・ホワン
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0040909(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0015095(KR,A)
【文献】特表2020-505116(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1429002(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-2008869(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0061394(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドピースに着脱されるカートリッジハウジングと、前記カートリッジハウジングに収容され、第1移動体が第1軸方向に往復移動可能に形成された第1移動部と、前記第1移動部により前記第1軸方向の位置が変更される前記第1移動体の一側に結合され、前記第1軸方向に対して垂直な第2軸方向に第2移動体が往復移動可能に形成された第2移動部と、前記第2移動体に結合され、特定の集束距離を有する強力集束超音波を発生させる超音波発生部と、を含み、
前記第2移動部は、前記第1移動体の位置移動によりカートリッジ内の前記第1軸方向の配置位置が設定され、前記第2移動部は、電源による電気信号で駆動される圧電モータを含み、
前記第1移動部及び前記第2移動部は、前記ハンドピース又は前記ハンドピースが連結されている本体部に含まれている制御部により制御され
前記圧電モータは、前記第1移動体に結合される圧電回転モータであり、前記圧電回転モータは、第2軸方向に沿って配置される駆動軸を有し、前記第2移動体は、前記駆動軸の回動により第2軸方向に往復移動可能に設置され、
前記第1移動体は、前記第2移動体の回転を防止するために前記第2移動体を支持するガイド部を有し、前記駆動軸には、第2軸方向に沿って螺旋形のスクリューが形成され、前記第2移動体には、前記スクリューに螺合されるスクリュー孔が形成され、前記駆動軸の回動時に前記第2移動体が前記スクリューに沿って第2軸方向に移動することによって、前記第2移動体と前記超音波発生部の第2軸方向の位置が変更される、超音波医療装置用カートリッジ。
【請求項2】
前記第1移動部は、前記ハンドピースに結合され、前記ハンドピース内の駆動部から提供された動力により前記第1移動体の第1軸方向の位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の超音波医療装置用カートリッジ。
【請求項3】
前記駆動部は、超音波の出力による治療時に、前記第1移動部による第1移動体の第1軸方向の配置位置を変更すると同時に、前記第2軸方向の前記第2移動体の位置変更を行うことを特徴とする請求項2に記載の超音波医療装置用カートリッジ。
【請求項4】
前記電気信号は、RF信号であることを特徴とする請求項1に記載の超音波医療装置用カートリッジ。
【請求項5】
前記第2軸方向の前記超音波発生部の配置位置を算出する移動モジュール位置測定部を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の超音波医療装置用カートリッジ。
【請求項6】
前記第2軸方向の前記超音波発生部の配置位置を算出する移動モジュール位置測定部を更に含み、前記移動モジュール位置測定部は、前記第1軸方向と平行に位置し、前記超音波発生部までの距離を測定することを特徴とする請求項1に記載の超音波医療装置用カートリッジ。
【請求項7】
前記第2軸方向の前記超音波発生部の配置位置を算出する移動モジュール位置測定部を更に含み、前記移動モジュール位置測定部は、前記第2移動体から前記第2軸方向に沿って離間して設置され、前記第2軸方向に沿ってセンシング光を前記第2移動体に出力し、前記第2移動体で光を感知して、前記第2移動体までの相対的な距離を測定し、前記測定された距離値に基づいて前記超音波発生部の前記第2軸方向の位置を算出することを特徴とする請求項1に記載の超音波医療装置用カートリッジ。
【請求項8】
前記第2移動体は、中央に貫通孔を含み、前記第2移動部の移動軸が前記貫通孔を通過して結合されることを特徴とする請求項1に記載の超音波医療装置用カートリッジ。
【請求項9】
前記超音波発生部の第2軸方向の位置を検出する超音波発生部位置測定部を更に含むことを特徴とする請求項に記載の超音波医療装置用カートリッジ。
【請求項10】
前記超音波発生部位置測定部は、前記第2移動体から第2軸方向に沿って離間して設置され、センシング光を前記第2移動体に出力し、前記第2移動体で反射された反射光を感知して、前記第2移動体までの相対的な距離を測定し、前記測定された距離値に基づいて前記超音波発生部の第2軸方向の位置を算出することを特徴とする請求項に記載の超音波医療装置用カートリッジ。
【請求項11】
前記第2移動体で前記センシング光が入射される地点で前記センシング光の反射率を向上させる反射板を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の超音波医療装置用カートリッジ。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の超音波医療装置用カートリッジと、前記超音波医療装置用カートリッジが着脱され、前記超音波医療装置用カートリッジにRF信号及び第1軸方向の駆動のための動力を伝達するハンドピースと、を含む、超音波医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波医療装置用カートリッジおよび超音波医療装置に関し、より詳細には、ハンドピースと、当該ハンドピースに着脱し、超音波を発生する超音波医療装置用カートリッジと、を有する超音波医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の真皮と表皮層の下には、脂肪組織層が存在する。セルライトは皮下脂肪層で発生し易く、連結されている組織のストランドにより取り囲まれた特定のチャンバ内に皮下脂肪が組織化され得るため、これは他の脂肪層に比べて独特な点である。過度な脂肪組織は肥満、セルライト、弛んだ皮膚、そしてシワの原因になり得る。
【0003】
脂肪組織のうち大半を占める皮下脂肪は、浅い脂肪層と深い脂肪層とに分けられる。深い脂肪は腹部、腰部、臀部及び大腿部で皮下膜と筋膜との間にあり、深い脂肪区画をなす。この深い脂肪層は、局所地域に蓄積される顕著な傾向が見られる。年を取るにつれて生成された局所的脂肪の蓄積は、繊維質性の隔壁が薄くなり、欠損により、その限られた空間内で体積が大きくなる。従って、腰の下部位から突出する傾向が見られる。
【0004】
過度な脂肪の局部的集中により突き出るように皮膚が膨脹し、好ましくない皮膚の輪郭は、脂質の豊富な脂肪層を除去することによって皮膚の外部層の形状が改善され得る。
【0005】
近年は、皮下脂肪層又は脂肪組織を低減する非侵襲的な方法として、超音波を用いた施術が広く知られている。
【0006】
超音波は、20kHz以上の周波数を有する波動をいうものであって、医療分野における患部に対する診断及び治療はもちろん、皮膚美容にまで多様に活用されている。
【0007】
特に、超音波を高強度で集束した形である強力集束超音波(HIFU、High Intensity Focused Ultrasound)は、レーザ及びRF(Radio Frequency)高周波装備とは異なり、皮膚の表面に何らの損傷を発生させないながらも非侵襲的に選択された部分にエネルギーを集中させる。即ち、放出された超音波を特定の一地点である焦点に集束して熱を発生させることによって施術部位に急激な温度上昇を誘発させる。このような温熱機能によって各種の患部に副作用を残さず、脂肪細胞の凝固壊死が起きるように誘導し、施術を行う。
【0008】
一方、このような超音波を通じた治療は、治療しようとする皮膚部位が変わると、超音波の焦点位置を調整して使用することが最も効果的である。即ち、トランスデューサから照射された超音波の焦点位置が治療部位である皮下脂肪層に合うように、トランスデューサの焦点位置の調節が要求される。
【0009】
ところが、従来の超音波発生装置は、超音波を発生するトランスデューサのZ軸方向の位置が固定されており、即ち、トランスデューサから照射される超音波の焦点位置が固定されており、治療しようとする皮膚部位によって超音波の集束深さを調節できないという問題がある。従って、治療しようとする皮膚部位による超音波の集束深さを有する複数のカートリッジを備えなければならないという問題がある。
【0010】
これにより、本出願人は、ハンドピースに交換可能に着脱されるカートリッジに超音波発生部(即ち、トランスデューサ)を内蔵し、カートリッジに内蔵された超音波発生部から照射される超音波の焦点位置を皮膚内の均一な深さまで移動させることができるだけでなく、超音波の集束深さも可変調節できる超音波医療装置を開発するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0106361号公報(発明の名称:HIFUアプリケーター、公開日:2013.09.27.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、超音波を発生する超音波医療装置用カートリッジ、および、カートリッジの内部体積に影響を与えず、超音波発生部の深さ方向の位置を調節して、皮膚内の超音波集束深さを多様に設定して水平方向に移動する超音波医療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施例に係る超音波医療装置用カートリッジは、ハンドピースに着脱されるカートリッジハウジングと、前記カートリッジハウジングに収容され、第1移動体が第1軸方向に往復移動可能に形成された第1移動部と、前記第1移動部により前記第1軸方向の位置が変更される前記第1移動体の一側に結合され、前記第1軸方向に対して垂直な第2軸方向に第2移動体が往復移動可能に形成された第2移動部と、前記第2移動体に結合され、特定の集束距離を有する強力集束超音波を発生させる超音波発生部と、を含み、前記第2移動部は、前記第1移動体の位置移動によりカートリッジ内の前記第1軸方向の配置位置が設定され、前記第2移動部は、電源による電気信号で駆動される圧電モータを含み、前記第1移動部及び前記第2移動部は、前記ハンドピース又は前記ハンドピースが連結されている本体部に含まれている制御部により制御される。
【0014】
また、前記第1移動部は、前記ハンドピースに結合され、前記ハンドピース内の駆動部から提供された動力により前記第1移動体の第1軸方向の位置を変更できる。
【0015】
更に、前記駆動部は、超音波の出力による治療時に、前記第1移動部による第1移動体の第1軸方向の配置位置を変更すると同時に、前記第2軸方向の前記第2移動体の位置変更を行うことができる。
【0016】
また、前記電気信号は、RF信号であり得る。
【0017】
更に、前記第2軸方向の前記超音波発生部の配置位置を算出する移動モジュール位置測定部を更に含むことができる。
【0018】
また、前記第2軸方向の前記超音波発生部の配置位置を算出する移動モジュール位置測定部を更に含み、前記移動モジュール位置測定部は、前記第2移動体の横軸と平行して前記第1軸方向と平行に前記超音波発生部に距離測定のための超音波を出力できる。
【0019】
更に、前記第2軸方向の前記超音波発生部の配置位置を算出する移動モジュール位置測定部を更に含み、前記移動モジュール位置測定部は、前記第2移動体から前記第2軸方向に沿って離間して設置され、前記第2軸方向に沿ってセンシング光を前記第2移動体に出力し、前記第2移動体で光を感知して、前記第2移動体までの相対的な距離を測定し、前記測定された距離値に基づいて前記超音波発生部の前記第2軸方向の位置を算出できる。
【0020】
また、前記第2移動体は中央に貫通孔を含み、前記第2移動部の移動軸が前記貫通孔を通過して結合することができる。
【0021】
更に、前記第2移動部は、前記第1移動体に結合される圧電回転モータを含み、前記圧電回転モータは、第2軸方向に沿って配置される駆動軸を有し、前記第2移動体は、前記駆動軸の回動により第2軸方向に往復移動可能に設置されることができる。
【0022】
また、前記第1移動体は、前記第2移動体の回転を防止するために前記第2移動体を支持するガイド部を有し、前記駆動軸には、第2軸方向に沿って螺旋形のスクリューが形成され、前記第2移動体には、前記スクリューに螺合されるスクリュー孔が形成され、前記駆動軸の回動時に前記第2移動体が前記スクリューに沿って第2軸方向に移動することによって、前記第2移動体と前記超音波発生部の第2軸方向の位置を変更することができる。
【0023】
更に、前記超音波発生部の第2軸方向の位置を検出する超音波発生部位置測定部を更に含むことができる。
【0024】
また、前記超音波発生部位置測定部は、前記第2移動体から第2軸方向に沿って離間して設置され、前記第2軸方向に沿ってセンシング光を前記第2移動体に出力し、前記第2移動体で反射された反射光を感知して、前記第2移動体までの相対的な距離を測定し、前記測定された距離値に基づいて前記超音波発生部の第2軸方向の位置を算出できる。
【0025】
更に、前記第2移動体で前記センシング光が入射される地点で前記センシング光の反射率を向上させる反射板を更に含むことができる。
【0026】
本発明の一実施例に係る超音波医療装置は、超音波医療装置用カートリッジと、前記超音波医療装置用カートリッジが着脱され、前記超音波医療装置用カートリッジにRF信号及び第1軸方向の駆動のための動力を伝達するハンドピースと、を含む。
【0027】
一方、圧電モータの場合、従来用いられていた電動モータよりもサイズが小さくて軽量であり、第1軸の移動に影響を及ぼさない。従来の電動モータの場合、サイズが大きくて重量であるため、第1軸の移動時に軸に負荷を与え、複数の信号及び電源ケーブルによって軸の移動に干渉が発生してしまい、軸の移動が不自由になるという問題がある。
【0028】
また、従来の電動モータの場合は水に弱いのに対し、圧電モータは防水能が高いため、超音波医療用カートリッジへの使用が容易である。
【0029】
前記圧電モータは、圧電線形モータ又は圧電回転モータであることができ、好ましくは圧電回転モータであり得る。
【0030】
圧電線形モータの場合、超音波発生部が移動軸の摩擦力によってのみ固定されているため、超音波発生部が重力の影響を受けて位置変動が発生する可能性があって、所望の治療位置から外れる恐れがある。一方、圧電回転モータの場合、重力の影響を受けず、精密な深さ調節が可能であり、第1軸の移動及び第2軸の移動に干渉することなく動作可能にするという長所がある。
【0031】
本発明の一実施例に係る超音波医療装置は、上述した超音波医療装置用カートリッジと、前記超音波医療装置用カートリッジが着脱され、前記超音波医療装置用カートリッジにRF信号及び第1軸方向の駆動のための動力を伝達するハンドピースと、を含む。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、超音波発生部の超音波の焦点位置を皮膚内の均一な深さまで平面移動させることができるだけでなく、超音波の焦点深さも可変調節できる。
【0033】
また、深さ方向の超音波発生部の移動において、圧電モータを用いる場合、カートリッジ内部の脱気水空間に影響を与えず、超音波発生部の位置を変更できる。これにより、カートリッジの構造をより簡単に製作でき、カートリッジ内部の超音波発生部の位置を電気的に制御できるため、使用者の集束深さの調節をより簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施例に係る圧電モータで深さ調節を行う超音波医療装置の断面図である。
図2】本発明の一実施例に係る超音波発生部の位置を測定する距離測定センサを更に含む超音波医療装置の断面図である。
図3】本発明の一実施例に係る磁石が結合された超音波発生部の位置を測定するホールセンサを含む超音波医療装置の断面図である。
図4】本発明の超音波発生部の移動を具現する圧電モータの電気的連結構成図である。
図5】本発明の実施例に含まれる圧電モータの例示図である。
図6】本発明の一実施例に係る超音波医療装置用カートリッジの断面図である。
図7A】本発明の一実施例に係る超音波医療装置用カートリッジの超音波発生部の第2軸方向への移動状態を示す断面図である。
図7B】本発明の一実施例に係る超音波医療装置用カートリッジの超音波発生部の第2軸方向への移動状態を示す断面図である。
図8】本発明の一実施例に係る超音波医療装置用カートリッジの超音波発生部位置測定部が超音波発生部の第2軸方向の位置を検出する状態を示す断面図である。
図9】本発明の一実施例に係る超音波医療装置用カートリッジの超音波発生部位置測定部が超音波発生部の第2軸方向の位置を検出する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現することができる。但し、本実施例は本発明の開示を完全なものにし、本発明が属する技術分野における通常の技術者に本発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものである。
【0036】
本明細書で用いられた用語は、実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数型は特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素以外に1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。明細書全体に亘って同一の図面符号は同一の構成要素を示し、「及び/又は」は言及された構成要素のそれぞれ及び1つ以上の全ての組み合わせを含む。たとえ、「第1」、「第2」などが多様な構成要素を叙述するために用いられていても、これらの構成要素はこれらの用語により制限されないのはもちろんである。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために用いる。従って、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得るのは言うまでもない。
【0037】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の技術者が共通して理解できる意味として用いられる。また、一般に用いられる辞典上に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的に又は過度に解釈されない。
【0038】
以下、添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明の一実施例に係る圧電モータで深さ調節を行う超音波医療装置の断面図である。
【0040】
図2は、本発明の一実施例に係る超音波発生部の位置を測定する距離測定センサを更に含む超音波医療装置の断面図である。
【0041】
図3は、本発明の一実施例に係る磁石が結合された超音波発生部の位置を測定するホールセンサを含む超音波医療装置の断面図である。
【0042】
図4は、本発明の超音波発生部の移動を具現する圧電モータの電気的連結構成図である。
【0043】
図5は、本発明の実施例に含まれる圧電モータの例示図である。
【0044】
図1図3を参照すれば、超音波医療装置1は、ハンドピース10と超音波医療装置用カートリッジ100とを含む。
【0045】
ハンドピース10は、手で把持できるように一定の長さを有する棒状の取っ手11と、取っ手11の一端部から突出して超音波医療装置用カートリッジ100が着脱されるヘッド21と、を含む。
【0046】
本発明の方向表示において、第1軸方向はハンドピース10の長手方向及びX軸方向と定義し、第1軸方向に垂直な第2軸方向はZ軸方向、上下方向及び深さ方向と定義する。
【0047】
取っ手11には、超音波医療装置用カートリッジ100の後述する第1移動部130を第1軸方向に沿って移動させるための駆動アクチュエータ31が収容されている。
【0048】
具体的に、駆動部は、後述する第1移動体132の第1軸方向への移動のための駆動を提供する第1駆動部と、後述する第2移動体152を第2軸方向への移動のための駆動を提供する第2駆動部と、を含むことができる。
【0049】
第1駆動部は、第1移動体132を第1軸方向に移動させることができる駆動アクチュエータ31又はモータであり得るが、特に限定されるわけではない。
【0050】
第2駆動部は、後述する第2移動体152を第2軸方向に移動させる圧電モータにRF信号を提供するRF発生モジュール(図示せず)であり得るが、特に限定されるわけではない。
【0051】
また、取っ手11には、駆動アクチュエータ31と後述する超音波発生部211の位置(即ち、トランスデューサの位置)を制御するための制御部(図示せず)が収容されている。
【0052】
制御部は、カートリッジ100の内部に電気的な制御が必要な構成が追加される場合、追加される構成も制御できる。
【0053】
ヘッド21には、超音波医療装置用カートリッジ100が着脱される着脱部が形成されている。
【0054】
一方、超音波医療装置用カートリッジ100は、カートリッジハウジング101、第1移動部130、第2移動部150、超音波発生部211を含む。
【0055】
カートリッジハウジング101は、中空の筒状を有し、ハンドピース10の着脱部に着脱される。カートリッジハウジング101は、下部に透明窓を備えながら、密閉された内部空間を備える。カートリッジハウジング101には、超音波発生部211から照射される超音波の損失がないように超音波損失係数の低い媒質、一例として、カートリッジハウジング101は脱気水を密閉された内部空間に収容する。
【0056】
前記超音波発生部211は、ハンドピース10から受信したRF信号に基づいて特定の深さに集束される超音波を出力する役割を果たす。即ち、前記超音波発生部211は、超音波医療装置用カートリッジ100を結合してハンドピース10の端子とカートリッジ100の端子とが接触することによって、RF信号を受信して強力集束超音波(HIFU)を出力する。例えば、超音波発生部211は、特定のR値を有することによって、超音波を皮膚内の特定の集束深さを形成できる。また、前記超音波発生部211は、半球状からなってもよく、半円筒状からなってもよい。
【0057】
前記超音波発生部211は、後述する第2移動部150の第2移動体152に結合され、第2移動体152の第2軸方向への移動によって第2軸方向に移動し、それにより、第2軸方向の位置を変更することができる。従って、超音波発生部211は、第2移動部150により第2軸方向に移動しながら、超音波を提供することもでき、第2移動部150により設定位置に移動した後、超音波を提供できる。
【0058】
一方、超音波発生部211が第2移動体152に結合されて移動する場合、前記超音波発生部211は、中央に貫通孔を含み、前記第2移動部150の移動軸が前記貫通孔を通過して前記第2移動体152に結合されることができる。
【0059】
前記第1移動部130は、第1軸方向(即ち、X軸方向)に超音波発生部211を移動させる役割を果たす。前記第1移動部130は、前記カートリッジハウジング101に収容され、第1軸方向に第1移動体132が移動可能に設けられる。
【0060】
一実施例として、第1移動体132は、第1駆動部により第1軸方向に移動して第1軸方向の位置を調節することができる。例えば、第1駆動部が駆動アクチュエータ31の場合、第1移動体132は、駆動アクチュエータ31のロッドに連結されて、駆動アクチュエータ31のロッドの第1軸方向への移動によって第1軸方向に移動できる。また、第1駆動部がモータの場合、第1移動体132は、モータの回転スクリューに連結され、回転スクリューの回動により第1軸方向に移動できる。
【0061】
また、他の実施例として、第1移動部130は、圧電モータで構成されることができ、圧電モータは、ハンドピース10から受信した電流に基づいて第1移動体132を自ら第1軸方向に移動させて第1移動体132の第1軸方向の位置を変更させることができる。
【0062】
前記第2移動部150は、第2軸方向(即ち、深さ方向)に超音波発生部211を移動させるための役割を果たす。
【0063】
一実施例として、前記第2移動部150は、前記第1移動部により第1軸方向の位置が変更される第1移動体132の一側に結合され、前記第1軸方向に対して垂直な第2軸方向に第2移動体152が往復移動可能に設けられる。前記第2移動部は、前記第1移動体132の位置移動により前記カートリッジ100内の第1軸方向の配置位置が設定される。
【0064】
また、一実施例として、第2移動部150は、圧電モータであり得る。圧電モータは、RF周波数が提供されることによって、第2移動体152を線形移動させる。
【0065】
例えば、圧電モータは、圧電アクチュエータ150-1と、圧電アクチュエータ150-1から第2軸方向に延びた移動軸150-2と、移動軸150-2の外周面を取り囲む形に形成され、移動軸150-2の外周面との摩擦により固定される第2移動体152と、を含むことができ、第2移動体152の下部には、超音波発生部211が結合することができる(図1図3参照)。
【0066】
このような圧電モータは、電圧が印加された周波数発生器からRF信号を受信した圧電アクチュエータ150-1の形状の変化(収縮又は膨脹)により移動軸150-2に振動が加えられると、それにより、第2移動体152が移動軸150-2に沿って移動する。このように、第2移動体152が移動軸150-2に沿って第2軸方向に移動する場合、第2移動体152と結合された超音波発生部211も第2軸方向に移動する。超音波発生部211および圧電モータは、個別又は同一のRFモジュールからRF信号を受信して駆動することができ、好ましくは、個別のRFモジュールからRF信号を受信することが好ましい。
【0067】
更に、第2移動体152に移動軸150-2が貫通した状態で結合され、超音波発生部211は、第2移動体152の第2軸方向への移動によって第2軸方向に移動して超音波(即ち、強力集束超音波)の集束深さを変更できる。
【0068】
第2移動部150は、ハンドピース10内の制御部の制御により第1移動部130の駆動中に第2軸方向への移動を行うこともでき、第1移動部130の駆動が行われる前に特定の第2軸方向の位置を設定することもできる。
【0069】
前記駆動部は、超音波の出力による治療時に、前記第1移動部130による第1移動体132の第1軸方向の配置位置を変更すると同時に、前記第2軸方向の前記第2移動体152の位置を変更することもできる。
【0070】
前記第1移動部130及び前記第2移動部150は、前記ハンドピース10又は前記ハンドピース10に含まれている制御部により制御される。このような制御部は、第1駆動部の駆動を制御して第1移動体132の第1軸方向への移動を制御でき、第2駆動部の駆動を制御して第2移動体152の第2軸方向への移動を制御できる。
【0071】
一実施例として、制御部は、超音波発生部211の目標位置が設定されると、第1移動体132の第1軸方向への移動と第2移動体152の第2軸方向への移動とのうちの少なくとも1つを遂行させて、超音波発生部211を目標位置に移動させることができる。その結果、超音波発生部211の強力集束超音波は、皮膚面の下の目標焦点に提供されることができる。
【0072】
その後、制御部は、第1移動体132の第1軸方向への移動を遂行させて、超音波発生部211を第1軸方向の直線経路に沿って移動させることができる。従って、超音波発生部211の強力集束超音波は、皮膚面の下で第1軸方向の直線経路(即ち、X軸経路)に沿って提供されることができる。
【0073】
また、制御部は、第2移動体152の第2軸方向への移動を遂行させて、超音波発生部211を第2軸方向の直線経路に沿って移動させることができる。従って、超音波発生部211の強力集束超音波は、皮膚面の下で第2軸方向の直線経路(即ち、Z軸経路)に沿って提供することができる。
【0074】
更に、制御部は、第1移動体132の第1軸方向への移動と第2移動体152の第2軸方向への移動とを同時に遂行させて、超音波発生部211を曲線経路に沿って移動させることができる。従って、超音波発生部211の強力集束超音波は、皮膚面の下で曲線経路に沿って提供することができる。
【0075】
このように、超音波発生部211は、直線経路や曲線経路への移動中に強力集束超音波を連続的又は周期的に出力できる。
【0076】
以下、第2軸方向(即ち、Z軸方向)に超音波発生部211の位置を調節して皮膚内部の超音波集束深さを設定する多様な実施例を説明する。
【0077】
本発明の一実施例に係る集束超音波カートリッジ100で、前記第2移動部150は、第1移動部130に結合されて移動する。例えば、第2移動部150である圧電モータは、ハンドピース10の駆動部から提供される動力により線形移動される第1移動部130の第1移動体132の一側(例えば、下部面又は側面)に結合される。
【0078】
具体的に、前記圧電モータは、図1に示すように、第1移動体132の下部面に結合され、第1移動部130の位置変更によってカートリッジ100の内部で配置位置を変更することができる。即ち、第1移動部130がハンドピース10の駆動部により駆動されることによって、圧電モータは、第1移動体132が移動することによって結合されて共に移動する。即ち、Z軸駆動を生成する第2駆動部が第1移動部130の第1移動体132と一体になってカートリッジ100内の空間で移動する。
【0079】
前記圧電モータは、超音波の出力を通じてZ軸の移動経路に該当する柱に結合された超音波発生部211を移動させる。前記圧電モータは、提供されるRFの強度と時間に基づいて超音波発生部211が結合される移動モジュールの位置を変更する。例えば、圧電モータは、提供されるRFの強度を高めると、移動モジュールの移動を迅速に行うことができる。
【0080】
これにより、カートリッジ100内で超音波発生部211のZ軸方向への移動は、脱気水が満たされた空間の体積の変化を形成しないので、カートリッジ100が密閉された状態で具現できる。即ち、X軸の位置変化を形成する第1駆動部とZ軸の位置変化を形成する第2駆動部がカートリッジ100の内部空間に含まれている状態で、ハンドピース10の駆動部の駆動による第1移動体132の位置変化及び圧電モータの駆動による第2移動体152の位置変化のみ発生するので、超音波による施術時にカートリッジ100内に含まれている全体構成の体積の変化が発生しない。従って、本発明の一実施例に係る超音波治療装置は、内部の体積が固定されたカートリッジ100に定められている量の脱気水を満たした状態で、第1軸方向及び第2軸方向の超音波発生部211の移動を具現できる。
【0081】
圧電モータから提供される超音波の振動によりトラック上の移動する移動モジュールに、超音波発生部211は多様な方式で結合することができる。一実施例として、図1図3に示すように、超音波発生部211は、中心に孔が形成され、Z軸移動モジュールの下端に直接結合されて移動モジュールの位置変更によって、所望の集束深さを提供できる特定の深さに配置することができる。このとき、超音波発生部211の配置位置によって、移動トラックに該当する圧電モータの柱を超音波発生部211の下に配置することができるが、超音波集束距離(即ち、超音波発生部211の曲率による集束点の位置)を設定することによって柱に影響を受けないように具現できる。
【0082】
また、他の実施例として、圧電モータの移動モジュールが側面に延びて超音波発生部211を配置することができる。このとき、超音波発生部のZ軸上の位置は移動モジュールと同一であるが、X軸上の超音波発生部211の平面上の位置は異なる。例えば、圧電モータの移動モジュールの位置と比較して、超音波発生部211は、X軸方向又はY軸方向に移動モジュールの側面に結合することによって、離れた距離だけ差が発生し得る。
【0083】
更に、一実施例として、カートリッジ100がハンドピース10に結着されながら、電気的に連結されることによって、圧電モータとこれに結合された超音波発生部211がそれぞれRF信号を受信する。即ち、前記圧電モータと超音波発生部211は、ハンドピース10からRF信号をそれぞれ受信して駆動される。
【0084】
例えば、Z軸方向の位置変更のために必要なRF信号値と、皮膚に強力集束超音波を提供するためのRF信号値が各時点で異なり得るので、圧電モータは、皮膚に超音波を出力する超音波発生部211と異なるRF発生モジュールからRF信号を受信できる。例えば、圧電モータがハンドピース10に配置されたRF回路から提供された電流を受信し、超音波発生部211は、医療装置の本体に備えられたRF回路から電流を受信できる。
【0085】
また、図1図3に示すように、圧電素子は、脱気水が流入しないようにパッケージングされた状態で配置される。即ち、周波数の提供によって振動を発生させて第2移動体152の位置を変更するので、圧電モジュールの振動ユニット(図5の151)がカートリッジ100内に満たされた脱気水に影響を受けないようにパッケージングされた状態で、制御のための電線のみ連結することができる。
【0086】
また、他の実施例として、カートリッジ100は、移動モジュール位置測定部を含む。移動モジュール位置測定部は、皮膚内の超音波集束深さを設定するために超音波発生部211が結合された前記移動モジュールの位置を測定する。即ち、移動モジュール位置測定部は、所望の集束深さを形成できる第2軸方向の位置に第2移動体152が配置されたか否かを判断する役割を果たす。
【0087】
特に、前記第2移動部150が圧電モータであり、第2軸方向の位置変更のために圧電モータを駆動し続けると、圧電モータの素子特性が変形されることによって同一のRF信号を提供した際に第2軸方向に移動する距離が変わり得る。従って、圧電モータの特性変形にも影響を受けず、正確な集束深さを設定するための第2軸方向の第2移動体の位置を測定する移動モジュール位置測定部が必要である。
【0088】
前記移動モジュール位置測定部は、多様な方式で具現することができる。一実施例として、移動モジュール位置測定部は、図3に示すように、圧電モータの側面に複数のホールセンサ155を特定間隔に配置したトラック154である。移動モジュール(即ち、第2移動体)又は超音波発生部211の側面に磁石(図示せず)を備えることによって、第2移動体152がZ軸方向に移動時に磁石により影響を受けるホールセンサ155に基づいて深さ方向の位置を判断できる。具体的に、圧電モータの駆動により超音波発生部211のZ軸方向の位置が変更されるとき、本体部又はハンドピース10の制御部は、複数のホールセンサのうち超音波発生部211に結合された磁石(図示せず)の磁性(又は磁場)が感知されるホールセンサ155の位置をZ軸方向(即ち、第2軸方向)の配置位置と判断できる。
【0089】
一例として、図3に示すように、第1移動体132によりX軸方向(即ち、第1軸方向)への移動時にホールセンサ155が配置されたトラック154が共に移動することによって、X軸方向の配置位置に関係なく測定できる。このとき、ホールセンサトラックがX軸方向に圧電モータと共に移動時に内部に影響を及ぼさない構造に形成することができる。具体的に、前記トラックは、前記第1移動体132の一側に結合され、前記第2移動部150の移動軸に平行に配置され、前記第1移動体132による前記第2移動部150の第1軸方向への移動時に一体に移動できる。
【0090】
また、他の例として、治療時にZ軸方向の位置をカートリッジ100の両側端で設定した後、同一の深さの移動のみ行う場合、ホールセンサ155を備えたトラック154は、治療開始時に深さの初期設定のためにカートリッジ100の一側面に備えることもできる。具体的に、前記トラック154は、前記カートリッジの内部の一側面に配置され、前記制御部は、超音波治療の開始前に第1移動体132を前記トラック154が配置された一側面に移動した後、第2軸方向の配置位置を設定できる。
【0091】
更に、移動モジュール位置測定部は、他の実施例として、超音波発生部211が結合される第2移動体152とは別個に第2移動体152とZ軸駆動部との間で短い距離を移動する第3移動体を備えることができる。即ち、第3移動体は、第2移動体152の移動距離を特定の割合で縮小した距離だけ移動して、第3移動体の位置に基づいて第2移動体152の位置を算出できる。
【0092】
また、移動モジュール位置測定部は、他の実施例として、赤外線発光部及び赤外線受光部であり得る。例えば、移動モジュールは、赤外線発光部を備え、カートリッジハウジング101の側面に複数の受光部を特定間隔に配置して所望の深さまで到達したか否かを測定できる。
【0093】
更に、移動モジュール位置測定部は、他の実施例として、超音波距離測定モジュール153であり得る。超音波距離測定モジュール153は、圧電モータの駆動部から超音波発生部211までの距離を測定する。超音波距離測定モジュール153は、図2に示すように、圧電モータパッケージングの内部に備えられて超音波発生部211側に距離測定のための超音波を出力する。このとき、超音波距離測定モジュール153は、前記第2移動体の移動軸と平行に前記超音波発生部211に距離測定のための超音波を出力して、正確な第2軸方向の直線距離を測定できる。
【0094】
これにより、超音波距離測定モジュール153は、超音波発生部211で反射されて戻ってきた超音波に基づいて超音波発生部211のZ軸方向の位置を測定できる。これにより、圧電モータを用いることによって、特性が変形してもZ軸方向の正確な位置を算出できる。
【0095】
また、一実施例として、ハンドピース10の制御部は、圧電モータの変形特性を判断できる。超音波出力モジュールを用いることによって特性の変形が発生する恐れがあるため、同一のRF信号の提供時に圧電モータの移動モジュールが移動する距離が変わり得る。従って、正確なZ軸方向の深さ設定のために変形した特性を判断し、これを基にして移動モジュールの制御のためのRF信号を提供する必要がある。例えば、制御部は、始点から終点まで特定値のRF信号を提供した際に到達する時間に基づいて変更された特性の判断及び設定を行える。制御部は、該当時間値に基づいて深さ設定のためのRF信号の提供条件を設定できる。
【0096】
図6は、本発明の一実施例に係る超音波医療装置用カートリッジ100の断面図である。
【0097】
図7A及び図7Bは、本発明の一実施例に係る超音波医療装置用カートリッジ100の超音波発生部の第2軸方向への移動状態を示す断面図である。
【0098】
図8及び図9は、本発明の一実施例に係る超音波医療装置用カートリッジ100の超音波発生部位置測定部が超音波発生部211の第2軸方向の位置を検出する状態を示す断面図である。
【0099】
図6を参照すれば、本実施例において、第2移動部150は、第1移動体132に結合される圧電回転モータ156を含むことができ、圧電回転モータ156は、第2軸方向に沿って配置される駆動軸156aを有することができ、第2移動体152’は駆動軸156aの回動により第2軸方向に往復移動可能に設置されることができ、超音波発生部211は、第2移動体152’に結合されることができる。
【0100】
本実施例において、圧電回転モータ156は、第1移動体132に結合されることができ、圧電材料が内蔵されることができる。このような圧電材料はRF発生モジュールから受信したRF信号により形状が微細に変化し、圧電回転モータ156は、圧電材料の微細な形状の変化を通じて駆動軸156aを微細に回動させることができる。
【0101】
このように、駆動軸156aが微細に回動することによって、駆動軸156aの回動により第2軸方向に移動する第2移動体152’および超音波発生部211の第2軸方向の位置は精密に変更することができる。その結果、超音波発生部211の第2軸方向の位置によって変更される超音波発生部211の強力集束超音波の集束深さも精密に変更できる。
【0102】
一例として、圧電回転モータ156は、RF発生モジュールから提供されるRF信号の強度に基づいて第2移動体152’と超音波発生部211の第2軸方向への移動速度を変更できる。例えば、圧電回転モータ156に提供されるRF信号の強度が高まるほど駆動軸156aの回動速度は増加し、それにより第2移動体152’と超音波発生部211の第2軸方向への移動速度も増加する。その反対に、圧電回転モータ156に提供されるRF信号の強度が低まるほど、駆動軸156aの回動速度は減少し、それにより第2移動体152’と超音波発生部211の第2軸方向への移動速度は減少する。
【0103】
他の例として、圧電回転モータ156は、RF発生モジュールからRF信号が提供される時間に基づいて超音波発生部211の第2軸方向への移動距離を変更できる。例えば、圧電回転モータ156にRF信号が提供される時間が長くなるほど、駆動軸156aの回動時間は増加し、それにより超音波発生部211の第2軸方向への移動距離も増加する。その反対に、圧電回転モータ156にRF信号が提供される時間が短くなるほど、駆動軸156aの回動時間は減少し、それにより超音波発生部211の第2軸方向への移動距離も減少する。
【0104】
前述した圧電回転モータ156に提供されるRF信号の強度及び圧電回転モータ156にRF信号が提供される時間は、制御部により制御されることができる。
【0105】
駆動軸156aは、圧電回転モータ156から第2軸方向に沿って突出する形に配置され、駆動軸156aの外周には第2軸方向に沿って螺旋形のスクリュー156bが形成される。このようなスクリュー156bには、後述する第2移動体152’のスクリュー孔152aが螺合される。そして、第2移動体152’は、後述する第1移動体132のガイド部132aにより支持されて回転を防止することができる。
【0106】
従って、駆動軸156aの回動時に第2移動体152’のスクリュー孔152aが駆動軸156aのスクリュー156bに沿って第2軸方向に移動することによって、第2移動体152’の第2軸方向の位置を変更することができる。
【0107】
このように、第2移動体152’の第2軸方向の位置が変更されると、第2移動体152’と結合された超音波発生部211の第2軸方向の位置も変更することができ、それにより、超音波発生部211の強力集束超音波の集束深さも変更することができる。
【0108】
一例として、図7A及び図7Bを参照すれば、駆動軸156aのスクリュー156bは右ねじ状を有することができる。このように、スクリュー156bが右ねじ状を有する場合、図7Aを基準として、駆動軸156aが時計回り方向に回動すると、第2移動体152’が右ねじ状のスクリュー156bに沿って上昇し、図7Bを基準として、駆動軸156aが反時計回り方向に回動すると、第2移動体152’が右ねじ状のスクリュー156bに沿って下降し得る。
【0109】
他の例として、駆動軸156aのスクリュー156bは左ねじ状を有することができる。このように、スクリュー156bが左ねじ状を有する場合、駆動軸156aの時計回り方向に回動すると、第2移動体152’が左ねじ状のスクリュー156bに沿って下降し、駆動軸156aの反時計回り方向に回動時に第2移動体152’が左ねじ状のスクリュー156bに沿って上昇し得る。
【0110】
本実施例に係る超音波医療装置用カートリッジは、第2移動体152’の第2軸方向への移動時や停止時、第2移動体152’が駆動軸156aに螺合された状態が維持されることによって、第2移動体152’が重力の影響により弛む現象を防止できる。
【0111】
本実施例において、第2移動体152’は、後述するガイド部132aの内部に第2軸方向に沿って往復移動可能に挿入することができ、第2移動体152’の中心軸には、駆動軸156aのスクリュー156bに螺合されるスクリュー孔152aが形成される。
【0112】
スクリュー孔152aは、駆動軸156aに対応する直径を有し、スクリュー孔152aの内周面には、スクリュー156bに対応する螺旋形の螺糸山が形成される。
【0113】
第1移動体132は、前述したように、第2移動体152’の回転を防止するために第2移動体152’を支持するガイド部132aを有する。
【0114】
ガイド部132aは、第1移動体132の下部に形成することができる。ガイド部132aは、下部が開口された形状であり、ガイド部の内部には、第2移動体152’を第2軸方向に沿って往復移動可能に挿入することができる。
【0115】
ガイド部132aは、第2移動体152’の外周に対応する周囲面を有し、このような周囲面を通じて第2移動体152’の外周を支持して第2移動体152’の回転を防止し、第2移動体152’の第2軸方向への移動をガイドする役割を果たすことができる。
【0116】
ガイド部132aには、ガイド部132aと第2移動体152’との間の間隙とカートリッジハウジング101の内部を連通する連通ホール(図示せず)を形成することができる。
【0117】
連通孔は、カートリッジハウジング101の内部に満たされていた脱気水がガイド部132aと第2移動体152’との間の間隙に満たされるようにする通路としての役割を果たす。
【0118】
連通孔を介してガイド部132aと第2移動体152’との間の間隙に満たされた脱気水は、第2移動体152’の第2軸方向への移動による超音波発生部211の第2軸方向への移動によって満たされるか、排出することができるが、このような間隙での脱気水の補充と排出が超音波医療装置用カートリッジ100の内部体積全体の変化を招くことはない。
【0119】
従って、本実施例では、超音波発生部211の第2軸方向の位置調節時にも、超音波医療装置用カートリッジ100の内部体積全体の変化が発生しないので、超音波医療装置用カートリッジ100の構造を単純化でき、超音波医療装置用カートリッジ100を簡単に製作できる。
【0120】
一方、圧電回転モータ156の圧電材料は、RF信号によって良く変形されることにより、同一のRF信号を提供しても、駆動軸156aの回転速度が異なり、それにより、超音波発生部211の第2軸方向の位置が予め設定された位置から外れる恐れがある。従って、圧電材料の特性変形にも影響を受けず、超音波発生部211の第2軸方向の位置を正確に設定するために、超音波発生部211の第2軸方向の位置を検出する超音波発生部位置測定部310が必要である。
【0121】
このために、本発明の一実施例に係る超音波医療装置用カートリッジ100は、超音波発生部位置測定部310を含むことができる。本実施例において、超音波発生部位置測定部310は、超音波発生部211の第2軸方向の位置を検出する役割を果たす。
【0122】
超音波発生部位置測定部310は、第2移動体152’から第2軸方向に離間して設置されるところ、例えば、ガイド部132aの内部の天井面に設置することができる。このように、超音波発生部位置測定部310がガイド部132aの内部の天井面に設置された場合、第2移動体152’の第2軸方向への移動時に第2移動体152’及び超音波発生部位置測定部310間の干渉を防止できる。
【0123】
超音波発生部位置測定部310は、第2軸方向に沿ってセンシング光を第2移動体152’に出力し、第2移動体152’で反射された反射光を感知して、第2軸方向を基準として第2移動体152’までの相対的な距離を測定し、このように測定された距離値に対して、第2移動体152’でセンシング光が入射された地点で超音波発生部211の下端までの第2軸方向の距離値を合算して、超音波発生部211の第2軸方向の位置を算出できる。
【0124】
例えば、図8を参照すれば、超音波発生部位置測定部310の発光部と受光部は、ガイド部132aの天井面に並んで配置されることができる。このような発光部は、第2軸方向に沿ってセンシング光を第2移動体152’の上面に発光し、受光部は、第2移動体152’の上面で反射される反射光を受光できる。
【0125】
また、図9を参照すれば、超音波発生部位置測定部310の発光部は、ガイド部132aの天井面に配置され、超音波発生部位置測定部310の発光部は、第2移動体152’の上面に配置されることができる。このような発光部は、第2軸方向に沿ってセンシング光を受光部に発光し、受光部は発光部から出力されたセンシング光を受光できる。
【0126】
更に、超音波発生部位置測定部310は、第2移動体152’までの相対的な距離によって変動する反射光の強度を感知して、第2移動体152’までの相対的な距離を測定できる。特に、超音波発生部位置測定部310は、反射光を電圧信号に変換して、反射光の強度によって変動する電圧信号のレベル差を通じて第2移動体152’までの相対的な距離を測定できる。
【0127】
他の例として、超音波発生部位置測定部310は、センシング光の出力時間及び反射光の感知時間の時間差を通じて第2移動体152’までの相対的な距離を測定できる。
【0128】
超音波発生部位置測定部310から出力されるセンシング光は、赤外線、レーザ、紫外線、LEDのうちの少なくとも1つを含むことができ、超音波発生部位置測定部310は、センシング光を感知する赤外線センサ、レーザセンサ、紫外線センサ、光センサのうちの少なくとも1つを含むことができるが、これに特に限定されるわけではない。
【0129】
一方、超音波発生部位置測定部310から第2移動体152’までの相対的な距離が一定水準以上に遠ざかった場合、第2移動体152’で反射された反射光の強度が非常に弱まることによって、超音波発生部位置測定部310で反射光を感知できなくなる恐れがある。
【0130】
これを防止するために、第2移動体152’でセンシング光が入射される地点には、センシング光の反射率を向上させるための反射板(図示せず)を設置することができる。
【0131】
反射板(図示せず)は、超音波発生部位置測定部310と平行に配置されて超音波発生部位置測定部310から入射したセンシング光を垂直に反射させることができる。
【0132】
一例として、反射板(図示せず)は、センシング光の反射率を向上させるためのグラスビーズやミラーなどが使用され得るが、特に限定されるわけではない。
【0133】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の技術者は、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施できるということが理解できるだろう。従って、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、制限的ではないものとして理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、超音波医療装置用カートリッジおよび超音波医療装置に利用できる。
【符号の説明】
【0135】
1 超音波医療装置
10 ハンドピース
100 超音波医療装置用カートリッジ
101 カートリッジハウジング
130 第1移動部
132 第1移動体
150 第2移動部
152 第2移動体
211 超音波発生部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9