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特許7265803電力印加用ニードルチップ、ハンドピース及び皮膚処置装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】電力印加用ニードルチップ、ハンドピース及び皮膚処置装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20230420BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/36
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021502779
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 KR2020009465
(87)【国際公開番号】W WO2021010796
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0086628
(32)【優先日】2019-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0088649
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520331970
【氏名又は名称】ジェイシス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】カン,ドン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】スン,ヒェ・ジン
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/059186(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0158100(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0142885(US,A1)
【文献】特表2015-528345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05 - 1/06
1/32
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の表面の目標部位を吸入するケーシングと、
前記ケーシングの一側に装着されるカートリッジと、
前記カートリッジの内部に配置される電力印加用ニードルチップと、
前記電力印加用ニードルチップを前記カートリッジの内側又は外側に往復移動させる駆動部と、
前記電力印加用ニードルチップに電力を提供する電気提供部と、
前記駆動部及び前記電気提供部を制御する制御部と、を含む皮膚処置装置であって、
前記電力印加用ニードルチップは、
ニードル固定部と、
末端に第1絶縁領域が形成され、残りの部分に少なくとも1つの活性領域と少なくとも1つの第2絶縁領域が形成され、前記ニードル固定部の一面に配置され、電力が印加される複数のニードルと、を含み、
前記活性領域は露出されて電磁気的に通電され、
前記第1絶縁領域及び前記第2絶縁領域は、絶縁体がコーティングされて形成され、
複数の前記ニードルは、同一の極性が出力されるモノポーラタイプのものであり、
複数の前記ニードルは、列と行の両方に沿って一つずつ交互に配列される複数の第1ニードルと複数の第2ニードルとを含み、
複数の前記第1ニードルと複数の前記第2ニードルには、前記電気提供部によってRF電力が交互に印加されることを特徴とする、皮膚処置装置
【請求項2】
各前記ニードル毎に1つ以上の前記活性領域が同一の高さに配置されることによって、各前記ニードルの前記活性領域の間に形成されるエネルギー伝達領域を介して皮膚の特定深さにのみ電気エネルギーを提供することを特徴とする、請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項3】
各前記活性領域は、同一の大きさに形成されることを特徴とする、請求項2に記載の皮膚処置装置。
【請求項4】
前記電気提供部は、前記複数のニードルに印加される電力の強度を調節することによって、前記エネルギー伝達領域が皮膚に形成される大きさを調節することが可能なように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の皮膚処置装置。
【請求項5】
前記複数のニードルが互いに離間した複数の活性領域を有する場合、
前記電気提供部は、前記複数のニードルに印加される電力の強度を20W~50Wに調節することによって、前記複数の活性領域の間に形成される複数のエネルギー伝達領域を拡散させることが可能なように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の皮膚処置装置。
【請求項6】
前記カートリッジは、皮膚に密着する密着面と前記電力印加用ニードルチップのニードル固定部との間に形成される第1空間を有し、
前記第1空間は、前記ニードルが皮膚に挿入される前に陰圧が形成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の皮膚処置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニードルの末端を除いた一部の領域が非絶縁状態のまま露出されることによって電磁気的に通電される活性領域(Active Region)が形成されたニードルが備えられた電力印加用ニードルチップ、ハンドピース及び皮膚処置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、人間の皮膚は太陽、寒さ、風などのような環境的影響から守る一次的な障壁としての役割を果たす。老化に伴い、皮膚は環境的影響により活力のある外観を失い、シワが生じる。
【0003】
皮膚は外側から内側に沿って、約100μm厚さの表皮と、表皮の下に位置する約4mm厚さの真皮層と、真皮層の下に位置する皮下層とで構成される。
【0004】
このような真皮層はコラーゲン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカンで構成され、皮下層は真皮層のコラーゲンと皮下の間を繋ぐ弾力繊維を有する。
【0005】
ここで、コラーゲン及び弾力繊維は皮膚に剛性及び弾性を提供するが、老化及び太陽光線に露出されることによって剛性及び弾性を失う恐れがある。その結果、皮膚の活力が低下するので、皮膚に活力を与えるための多くの皮膚処置装置が開発されているのが現状である。
【0006】
このような皮膚処置装置は、各種の傷跡又は皮膚病を治療する目的や、皮膚の改善又はシワの改善といった美容上の目的で皮膚を治療するものであって、多様なエネルギー源を皮膚に伝達することによって、皮膚の傷を誘導し、皮膚のコラーゲンを刺激してコラーゲンの再生作用を誘導する。
【0007】
皮膚処置装置は、超音波を伝達する方式(HIFU type)と、電気エネルギーを伝達する方式(RF type)と、レーザ光を伝達する方式(Optical type)など多様な種類が存在する。
【0008】
そのうち電気エネルギーを伝達する方式の皮膚処置装置は、絶縁ニードル又は非絶縁ニードルを皮膚に侵襲させた後、RF電力を印加させる。その結果、絶縁ニードル又は非絶縁ニードルによって電気エネルギーが皮膚の深部に伝達された。
【0009】
図1及び図2は、従来の皮膚処置装置に用いられたニードルを示す図である。
【0010】
従来は、図1の絶縁ニードル10と、図2の非絶縁ニードル30を皮膚20の表皮21及び真皮22に挿入させることによって、皮膚20の治療部位に電気(RF)エネルギーを印加する方式が用いられていた。しかし、電気エネルギーが尖っている終端に集中する特性によりニードルの終端にエネルギーが集中する傾向を示すことによって、末端部12を除いた全体が絶縁体11でコーティングされた絶縁ニードル10と非絶縁ニードル30の何れも末端部を中心に電気エネルギーが集中する傾向を示す。従って、末端部が位置する皮膚20部位のみ過度に裂傷が発生するという問題があった。
【0011】
また、絶縁ニードル10は、末端部12が位置する皮膚20にのみ電気エネルギーを伝達でき、ニードルの側面に位置する皮膚20には電気エネルギーを伝達できないという問題があった。
【0012】
更に、非絶縁ニードル30は、全ての部位31が絶縁体でコーティングされないので、ニードルの側面にも電気エネルギーを伝達することはできるが、ニードルが接している全ての面に電気エネルギーを伝達することによって、エネルギー全体が増加し、過剰なエネルギーが誘発されるという問題があった。また、前述したように、非絶縁ニードル30も末端部に電気エネルギーが集中する恐れがあり、これは不要な痛みを誘発する原因になり得るという問題もあった。
【0013】
その上、非絶縁ニードル30は、皮膚20のある特定の深さにのみ電気エネルギーを伝達できず、ニードルが挿入された全ての部位に電気エネルギーを伝達することによって、特定ターゲットの深さに対応する皮膚20のみを治療できないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものである。その目的は、電気エネルギーを皮膚の特定深さにのみ提供できる電力印加用ニードルチップを提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、ニードルの末端に集中する過度な電気エネルギーが皮膚に伝達されるのを防止できる電力印加用ニードルチップを提供することにある。
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及していない更に他の課題は、以下の記載から通常の技術者が明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップは、ニードル固定部と、末端は第1絶縁領域が形成され、残りの部分は少なくとも1つの活性領域と少なくとも1つの第2絶縁領域が形成され、前記ニードル固定部の一面に配置され、電力が印加される複数のニードルを含み、前記活性領域は露出されて電磁気的に通電され、前記第1絶縁領域及び前記第2絶縁領域は、絶縁体がコーティングされることができる。
【0018】
また、前記複数のニードルは、互いに交互に異なるか、同一の極性を出力し、各前記ニードル毎に1つ以上の前記活性領域が同一の高さに配置されることによって、各前記ニードルの前記活性領域の間に形成されるエネルギー伝達領域を介して皮膚の特定深さにのみ電気エネルギーを提供できる。
【0019】
更に、各前記活性領域は、同一の大きさに形成されることができる。
【0020】
また、前記複数のニードルに印加される電力の強度を調節することによって、前記エネルギー伝達領域が皮膚に形成される大きさを調節できる。
【0021】
更に、前記複数のニードルが互いに離間した複数の活性領域を有する場合、前記複数のニードルに印加される電力の強度を20W~50Wに調節することによって、前記複数の活性領域の間に形成される複数のエネルギー伝達領域を拡散させることができる。
【0022】
また、前記複数のニードルのうち、互いに隣接する2つのニードルは、一方が(+)極性を出力し、他方が(-)極性を出力することができる。
【0023】
本発明の一実施例に係るハンドピースは、前述した電力印加用ニードルチップが装着されることができる。
【0024】
本発明の一実施例に係る皮膚処置装置は、皮膚の表面の目標部位を吸入するケーシングと、前記ケーシングの一側に装着されるカートリッジと、前記カートリッジの内部に配置される請求項1の電力印加用ニードルチップと、前記電力印加用ニードルチップを前記カートリッジの内側又は外側に往復移動させる駆動部と、前記電力印加用ニードルチップの複数のニードルに電力を印加する電気提供部と、前記駆動部及び前記電気提供部を制御する制御部とを含むことができる。
【0025】
また、前記カートリッジは、皮膚に密着する密着面と前記電力印加用ニードルチップのニードル固定部との間に形成される第1空間を有し、前記第1空間は、前記ニードルが皮膚に挿入される前に陰圧が形成されることができる。
【0026】
本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップの製造方法は、非絶縁部位に該当する活性領域として生成する厚さの導電性物質を設けるステップと、ニードル固定部に複数のニードルを結合するステップと、活性領域を形成しようとする前記複数のニードルの位置まで複数のニードルを前記導電性物質に挿入するステップと、前記導電性物質に前記複数のニードルが挿入された状態で絶縁物質を噴射して第1絶縁領域及び第2絶縁領域を形成するステップとを含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
これにより、本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップは、複数のニードルに対して、各ニードル毎に活性領域が同一の高さに配置されることによって、各ニードルの活性領域の間に形成されるエネルギー伝達領域を介して皮膚の特定深さにのみ電気エネルギーを提供できる。
【0028】
また、本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップは、ニードルの末端が絶縁されることによって、ニードルの末端に集中する過度な電気エネルギーが皮膚に伝達されるのを防止できる。
【0029】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及していない更に他の効果は、以下の記載から通常の技術者が明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来の皮膚処置装置に用いられたニードルを示す図である。
図2】従来の皮膚処置装置に用いられたニードルを示す図である。
図3】本発明の一実施例に係る皮膚処置装置を示す分解斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る皮膚処置装置を示す断面図である。
図5】本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップに対して、ニードル固定部にニードルが配置された状態を示す平面図(バイポーラタイプ)である。
図6】本発明の一実施例に係るニードルを示す概略図である。
図7】本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップのエネルギー伝達領域を示す概略図(バイポーラタイプ)である。
図8a】本発明の一実施例に係るニードルの電気エネルギー伝達効果を説明する比較図(バイポーラタイプ)である。
図8b】本発明の一実施例に係るニードルの電気エネルギー伝達効果を説明する比較図(バイポーラタイプ)である。
図9】本発明の一実施例に係る複数の第1ニードルによって皮膚に形成された表皮から凝固ゾーンまでの深さを示すグラフ、凝固ゾーンの長さを示すグラフ及び凝固ゾーンの幅を示すグラフである。
図10a】本発明の一実施例に係るニードルの電気エネルギー伝達効果を説明する比較図(モノポーラタイプ)である。
図10b】本発明の一実施例に係るニードルの電気エネルギー伝達効果を説明する比較図(モノポーラタイプ)である。
図11】本発明の一実施例に係る第1ニードルと第2ニードルのエネルギー伝達領域を示す概略図である。
図12】本発明の一実施例に係るハンドピースを示す斜視図である。
図13】本発明の一実施例に係るハンドピースに装着された電力印加用ニードルチップを示す断面図である。
図14】本発明の一実施例に係るハンドピースに装着された電力印加用ニードルチップにポンピング効果が発生した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている一実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される一実施例に制限されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現することができる。但し、本実施例は本発明の開示を完全なものにし、本発明が属する技術分野における通常の技術者に本発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇により定義されるに過ぎない。
【0032】
本明細書で用いられた用語は、一実施例を説明するものであり、本発明を制限するものではない。本明細書において、単数型は特に言及しない限り複数型も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」は、言及した構成要素以外に1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。
明細書全体に亘って同一の図面符号は同一の構成要素を示し、「及び/又は」は言及した構成要素のそれぞれ及び1つ以上の全ての組み合わせを含む。たとえ、「第1」、「第2」などが多様な構成要素を叙述するために用いられていても、これらの構成要素はこれらの用語により制限されないのは、もちろんである。これらの用語は、単に1つの構成要素を他の構成要素と区別するために用いる。従って、以下で言及する第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得るのは言うまでもない。
【0033】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の技術者が共通して理解できる意味として用いられる。また、一般に用いられる辞典に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的に又は過度に解釈されない。
【0034】
空間的に相対的な用語である「下(below)」、「真下(beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは図示されているように、1つの構成要素と他の構成要素との相関関係を容易に記述するために使用され得る。空間的に相対的な用語は図示されている方向に加えて使用時又は動作時に構成要素の互いに異なる方向を含む用語として理解されるべきである。例えば、図示されている構成要素をひっくり返す場合、他の構成要素の「下(below)」又は「真下(beneath)」と記述されている構成要素は、他の構成要素の「上(above)」に置かれることができる。従って、例示的な用語である「下」は下と上の方向を何れも含むことができる。構成要素は他の方向にも配向されることができ、これにより空間的に相対的な用語は配向によって解釈されることができる。
【0035】
以下、添付の図面を参照して本発明の一実施例を詳細に説明する。
【0036】
図3は、本発明の一実施例に係る皮膚処置装置を示す分解斜視図あり、図4は、本発明の一実施例に係る皮膚処置装置を示す断面図である。
【0037】
図3及び図4に示されるように、本発明の一実施例に係る皮膚処置装置はケーシング110、電力印加用ニードルチップ、駆動部140、電気提供部150、コネクタ160、カートリッジ170、連結部材180及び制御部(図示せず)を含むことができる。
【0038】
ケーシング110は駆動部140と電気提供部150を収容するものであって、ケーシング110の一側はカートリッジ170が交換可能に結合され、ケーシング110の他側は連結部材180によってコネクタ160が結合される。
【0039】
ケーシング110は、左側ケーシングと右側ケーシングとに分離されることができる。
このような左側ケーシング及び右側ケーシングはボルト113、挿入部材114、第1結合部材111及び第2結合部材112によって脱着可能に結合されることができる。ここで、ボルト113は左側ケーシング及び右側ケーシングを螺合でき、挿入部材114はボルト113のヘッドを覆うことができ、第1結合部材111及び第2結合部材112は一端及び他端にそれぞれ左側ケーシング110及び右側ケーシング110を嵌合できる。
【0040】
ケーシング110の他側は、第3結合部材115及び第4結合部材によって連結部材180と結合されることができる。第3結合部材115、第4結合部材116及び連結部材180の内部は、コネクタ160の電線が貫通するために連通されることができる。
【0041】
電力印加用ニードルチップは、電気提供部150から印加された電力により発生する電気エネルギーを皮膚の目標部位に伝達して、皮膚の目標部位で損傷したコラーゲン、弾力繊維などを除去して新しい形成を促進させる役割を果たすものであって、ニードル固定部120及び複数のニードル130を含むことができる。
【0042】
ニードル固定部120はカートリッジ170の内部に配置され、駆動部140によりカートリッジ170の内側又は外側に往復移動可能に設置され、複数のニードル130を固定する役割を果たす。従って、ニードル固定部120が駆動部140によりカートリッジ170の内側又は外側に往復移動する場合、複数のニードル130も駆動部140によりカートリッジ170の内側又は外側に往復移動できる。
【0043】
一例として、ニードル固定部120の一面には、複数のニードル130が1つ以上の行と1つ以上の列のうちの少なくとも1つを有するように配列されて固定されることができる。
【0044】
また、ニードル固定部120の一面には、複数のニードル130が貫通して固定される多数の貫通ホールが形成されることができる。
【0045】
複数のニードル130は、皮膚に侵襲されて電気提供部150から印加された電力により発生する電気エネルギーを皮膚の目標部位に伝達する役割を果たす。
【0046】
具体的に、複数のニードル130は、カートリッジ170の密着面に皮膚の表面が密着した状態で駆動部140によりニードル固定部120と共にカートリッジ170の外側へ移動及び突出して皮膚に侵襲された後、電気提供部150から印加された電力により発生する電気エネルギーを皮膚の目標部位に伝達する。
【0047】
一方、皮膚に侵襲された複数のニードル130は、速かに排出されなければ、事故の危険を防止できず、皮膚の痛みを減少させることができない。従って、後述する制御部は、皮膚に侵襲された複数のニードル130が速かに排出されるように駆動部140を駆動させて皮膚に侵襲された複数のニードル130を速かに排出させることができる。
【0048】
複数のニードル130は、(+)極性のニードル130と(-)極性のニードル130を何れも含むバイポーラ(Bipolar)方式で実現できる。このようなバイポーラタイプでは(+)極性のニードル130に印加された電力が(-)極性のニードル130に還流される。その結果、複数のニードル130の後述する活性領域132a、132bの間に電気エネルギーが伝達されるエネルギー伝達領域が形成されることができる。一方、(+)極性は陽極であり、(-)極性は陰極であり得る。
【0049】
ニードル130は内部が中孔になり、ニードル130の材質は金属、シリコンなどの導電性物質又は非導電性物質からなることができる。ニードル130の材質が非導電性物質からなる場合、非導電性物質に伝導性物質がメッキされた構造で形成されることができる。
【0050】
ニードル130は、末端を含む一部の領域が絶縁体でコーティングされることができ、末端が尖っている構造で形成されることができる。絶縁体のコーティング方式は、パリレンコーティング、テフロン(登録商標)コーティング又はセラミックコーティングで実現できる。一方、ニードル130で絶縁体がコーティングされた末端を含む一部の領域(即ち、第1絶縁領域及び第2絶縁領域)については後述する。
【0051】
更に、ニードル130で絶縁体がコーティングされていない活性領域は、電磁気的に通電される。従って、(+)極性のニードル130の活性領域に印加された電力が(-)極性のニードル130の活性領域に還流される。その結果、複数のニードル130の活性領域の間に電気エネルギーが伝達されることができる。このような活性領域については後述する。
【0052】
駆動部140はケーシング110の内部に設置され、ニードル固定部120と複数のニードル130をカートリッジ170の内側又は外側に往復移動させる。このとき、駆動部140は電気信号によって動く電磁気力、油圧力、空気圧力、ソレノイドバルブのうちの何れか1つで駆動されることができる。
【0053】
電気提供部150は、ケーシング110の内部に設置され、複数のニードル130に電力を印加する。このとき、電気提供部150から複数のニードル130に印加される電力はRF電力であり、電気提供部から複数のニードル130に印加される電力の強度は制御部により制御されることができる。
【0054】
コネクタ160は、外部電源に電気的に接続でき、外部電源と駆動部140、制御部及び電気提供部150を電気的に接続する電線を有することができる。
【0055】
連結部材180は、コネクタ160とケーシング110の他側を接続し、内部にコネクタ160の電線が貫通される。
【0056】
カートリッジ170は電力印加用ニードルチップであり、電力印加用ニードルチップを収容するハウジングであり得る。以下では、カートリッジ170を電力印加用ニードルチップを収容するハウジングと定義する。
【0057】
カートリッジ170は、複数のニードル130が侵襲される皮膚の表面に密着する密着面を有することができ、ケーシング110の一側に脱着可能に設置されることができる。
前述したように、カートリッジ170の内部には、駆動部140によりカートリッジ170の内側又は外側に往復移動するニードル固定部120に固定される複数のニードル130が設置される。
【0058】
このようなカートリッジ170の密着面は、平面に形成されることができる。従って、カートリッジ170の密着面に密着した皮膚の表面が平らな状態になることができ、それにより、複数のニードル130が平らな状態の皮膚の表面に侵襲し得るので、複数のニードル130が皮膚に侵襲される深さが何れも同一になる。その結果、複数のニードル130の間には皮膚の特定深さのみ均一に配置されることによって、複数のニードル130の間に伝達される電気エネルギーが皮膚の特定深さにのみ伝達されることができる。
【0059】
カートリッジ170の密着面には、各ニードル130が通過するための複数の通過ホールが形成されることができる。従って、各ニードル130は、複数の通過ホールを通してカートリッジ170の外側に突出できる。
【0060】
カートリッジ170の密着面の材質は、皮膚の表面との密着が容易なようにゴム又はシリコンからなることができる。また、カートリッジ170の密着面は、円形又は多角形に形成されることができる。
【0061】
一方、カートリッジ170は、カートリッジ170の皮膚の表面に密着する密着面とニードル固定部120との間に形成される第1空間を有することができ、このような第1空間は、複数のニードル130が皮膚に挿入される前に陰圧が形成されることができる。このような陰圧は、制御部によりカートリッジ170の密着面に皮膚の表面が密着した場合又は駆動部140によりニードル固定部120と複数のニードル130がカートリッジ170の外側に移動する場合に形成されることができる。また、陰圧は第1空間の空気を吸入するポンプ(図示せず)により形成されることができ、ポンプはケーシング110の内部に設置されることができる。
【0062】
これにより、カートリッジ170の密着面に皮膚の表面が密着した場合、第1空間に陰圧が形成されることによって、カートリッジ170の密着面に皮膚の表面が吸入される。
その結果、カートリッジ170の密着面に密着した皮膚の表面が平らな状態になり得る。
【0063】
制御部は、駆動部140及び電気提供部150を制御する役割を果たす。
【0064】
一例として、制御部は、カートリッジ170の密着面に皮膚の表面が密着した状態で、複数のニードル130が皮膚の目標部位に侵襲されるように駆動部140がニードル固定部120と複数のニードル130を往復移動させる距離を制御できる。
【0065】
また、制御部は、複数のニードル130が皮膚に侵襲された状態で電気エネルギーが複数のニードル130によって皮膚に伝達されるように電気提供部150を作動させることができる。
【0066】
一方、カートリッジ170の密着面に皮膚の表面が密着した状態で複数のニードル130の皮膚侵襲時に複数のニードル130が皮膚の表面に与える圧力によってカートリッジ170の密着面に密着した皮膚の表面が傾いた状態になる恐れがある。これの補償のために、ニードル固定部120に固定された各ニードル130の長さを異なるように形成させることが好ましい。
【0067】
例えば、複数のニードル130の皮膚侵襲時に複数のニードル130のうちのニードル固定部120の中央に配置されたニードル130がニードル固定部120の枠に配置されたニードル130よりも弛んでいる状態で侵襲されることができる。
【0068】
これの補償のために、ニードル固定部120の中央に配置されたニードル130は、ニードル固定部120の枠に配置されたニードル130よりも大きい長さを有することができる。即ち、ニードル固定部120の中央に配置されたニードル130がニードル固定部120の枠に配置されたニードル130よりもニードル固定部120から突出している。
【0069】
図5は、本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップに対して、ニードル固定部にニードルが配置された状態を示す平面図(バイポーラタイプ)であり、図6は、本発明の一実施例に係るニードルを示す概略図であり、図7は、本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップのエネルギー伝達領域を示す概略図(バイポーラタイプ)であり、図8a及び図8bは、本発明の一実施例に係るニードルの電気エネルギー伝達効果を説明する図(バイポーラタイプ)である。
【0070】
図5を参照すれば、本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップは、外部電源から印加された電力(即ち、RF電力)により発生する電気エネルギーを皮膚の目標部位に伝達する役割を果たすものであって、ニードル固定部120及び複数のニードル130を含むことができる。
【0071】
ニードル固定部120は、前述した皮膚処置装置のニードル固定部120と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0072】
複数のニードル130は皮膚に侵襲された後、外部電源から印加された電力により発生する電気エネルギーを皮膚の目標部位に伝達する役割を果たす。ここで、複数のニードル130の皮膚侵襲は、前述した皮膚処置装置の駆動部と制御部により実行されることができる。
【0073】
このような複数のニードル130は、ニードル固定部120の一面に配置されて固定されることができる。
【0074】
例えば、複数のニードル130は、ニードル固定部120の一面に1つ以上の行と1つ以上の列のうちの少なくとも1つを有するように配列されて固定されることができる。
【0075】
そして、複数のニードル130は、行と列毎に互いに交互に異なる極性を出力するものであって、(+)極性のニードル130と(-)極性のニードル130を何れも含むバイポーラタイプ(Bipolartype)に実現できる。
【0076】
図5を参照すれば、複数のニードル130は、各ニードル130の行毎に(+)極性と(-)極性が交互に出力されることができ、各ニードル130の列毎に(+)極性と(-)極性が交互に出力されることができる。
【0077】
従って、行又は列によって互いに隣接する2つのニードル130は、(+)極性のニードル130及び(-)極性のニードル130で構成される。
【0078】
このようなバイポーラタイプの複数のニードル130に電力が印加された場合、(+)極性のニードル130に印加された電力が(-)極性のニードル130に還流されるか、又は(-)極性のニードル130に印加された電力が(+)極性のニードル130に還流される。その結果、電気エネルギーが複数のニードル130の後述する活性領域132a、132bの間に伝達されるエネルギー伝達領域A、Cによって皮膚の特定の深さに損傷領域を形成できる。
【0079】
本発明は、後述する複数のニードル130の活性領域132a、132bの間に電気エネルギーが伝達されるエネルギー伝達領域A、Cによって皮膚の特定の深さに損傷領域を形成できる。
【0080】
一方、複数のニードル130は、1つのニードル130に隣接する少なくとも2つ以上のニードル130のうちの少なくとも1つは、1つのニードル130と同一の極性を有することができる。
【0081】
図6及び図7を参照すれば、複数のニードル130は、末端に第1絶縁領域131a、131bが形成されることができ、残りの部分に少なくとも1つの活性領域132a、132bと少なくとも1つの第2絶縁領域132a、133aが形成されることができる。
【0082】
第1絶縁領域131a、131bは、各ニードル130の末端が絶縁体でコーティングされたものである。
【0083】
活性領域132a、132bは、各ニードル130の末端を除いた所定領域が露出されたものである。具体的に、活性領域132a、132bは、各ニードル130の末端を除いた所定領域に絶縁体がコーティングされずに露出されたものである。このような活性領域132a、132bは、各ニードル130に印加される電力により電磁気的に通電される。
【0084】
一方、バイポーラタイプの複数のニードル130の皮膚侵襲及び電力印加時に、(+)極性のニードル130の活性領域132a、132bに印加された電力が(-)極性のニードル130の132a、132bに還流されることによって、複数のニードル130の活性領域132a、132bの間に電気エネルギーが伝達されるエネルギー伝達領域A、Cが形成され、これにより皮膚部位に均一な厚さの損傷領域Dが形成される。
【0085】
このとき、複数のニードル130の末端は、第1絶縁領域131a、131bにより絶縁されており、複数のニードル130のRF電力が集中した末端から皮膚部位に電気エネルギーが伝達されないので、末端に隣接する皮膚部位に従来のニードル(即ち、末端が絶縁体でコーティングされていないニードル)のようにベル状の損傷領域が発生するのを防止できる。
【0086】
実際に、図8aを参照すれば、複数のニードル130の末端に隣接する皮膚部位に従来のニードル(即ち、末端が絶縁体でコーティングされていないニードル)のようにベル状の損傷領域と裂傷が発生しないことが確認できる。
【0087】
また、複数のニードル130のエネルギー伝達領域A、Cは、複数のニードル130の側壁の活性領域132a、132bに隣接する皮膚部位から発生することによって、複数のニードル130の側壁に隣接する皮膚部位から損傷領域Dが優先的に発生する。
【0088】
反面、図8bを参照すれば、バイポーラタイプの従来の複数のニードル(即ち、末端が絶縁体でコーティングされていないニードル)はRF電力の特性上、RF電力が末端に集中すると、末端から皮膚部位に過度な電気エネルギーが伝達されることによって、末端に隣接する皮膚部位にベル状の第1損傷領域22aと裂傷が発生する。
【0089】
また、従来の複数のニードルの電気エネルギーが伝達されるエネルギー伝達領域は、複数のニードルの末端に隣接する皮膚部位に優先的に発生した後、複数のニードルの側壁に隣接する皮膚部位に後で発生することによって、複数のニードルの末端に隣接する皮膚部位に第1損傷領域22aが優先的に発生した後、複数のニードルの側壁に隣接する皮膚部位に第2損傷領域22bが後で発生する。
【0090】
従って、従来の複数のニードルは、側壁に隣接する皮膚部位から第2損傷領域22bを優先的に発生させようとする場合にも、末端に隣接する皮膚部位から第1損傷領域22aが発生した後、側壁に隣接する皮膚部位に第2損傷領域22bが発生することによって、不要な電気エネルギーが提供され、治療時間が遅延される。
【0091】
図6及び図7を参照すれば、複数のニードル130は、第1ニードル130a及び第2ニードル130bを含むことができ、以下では説明の便宜上、複数のニードル130に対して、第1ニードル130a及び第2ニードル130bを例示として説明する。
【0092】
第1ニードル130aは、末端に第1絶縁領域131aが形成され、残りの部分に長手方向に沿って複数の活性領域132aと複数の第2絶縁領域133aが交互に形成されることができる。例えば、第1ニードル130aは、単一の第1絶縁領域131a、2つ以上の活性領域132a及び2つ以上の第2絶縁領域133aが交互に形成されることができる。(図6の左側参照)
【0093】
これにより、複数のニードル130が第1ニードル130aのみで構成される場合、複数の第1ニードル130aの皮膚侵襲時に複数の第1ニードル130aの間に互いに離間した複数のエネルギー伝達領域Aが形成されることによって、このように互いに離間した複数のエネルギー伝達領域Aを介して複数の皮膚部位に電気エネルギーを提供できる。
【0094】
第2ニードル130bは単一の第1絶縁領域131b、単一の活性領域132b及び単一の第2絶縁領域133bを有することができる。即ち、第2ニードル130bは、末端に第2絶縁領域133bが形成され、残りの部分に長手方向に沿って単一の活性領域132b及び単一の第2絶縁領域133bが形成されることができる。(図6の右側参照)
【0095】
図7を参照すれば、複数のニードル130は、各ニードル130毎に1つ以上の活性領域132a、132bが同一の高さに配置されることによって、複数のニードル130の皮膚侵襲時に各ニードル130の活性領域132a、132bの間に形成されるエネルギー伝達領域A、Cは、皮膚の特定深さにのみ配置される。従って、皮膚の特定深さに配置されるエネルギー伝達領域A、Cを介して皮膚の特定深さにのみ電気エネルギーを提供できる。
【0096】
各ニードル130の活性領域132a、132bは、同一の大きさに形成されることができる。具体的に、各ニードル130の活性領域132aは、同一の長さ及び厚さを有することができる。
【0097】
一方、複数のニードル130に印加される電力の強度を調節することによって、エネルギー伝達領域A、Cが皮膚に形成される大きさ(例えば、深さと幅)を調節できる。ここで、電力の強度の調節は、前述した皮膚処置装置の電気提供部や制御部を使用でき、これについての詳細な事項は、下記実験例で説明する。
【0098】
図7の左側を参照すれば、複数のニードル130が互いに離間した複数の活性領域132aを有する複数の第1ニードル130aで構成され、このような複数の第1ニードル130aの間に複数のエネルギー伝達領域Aが形成される場合、複数の第1ニードル130aの皮膚侵襲時に複数のエネルギー伝達領域Aを介して複数の皮膚部位に電気エネルギーを提供できる。
【0099】
ところが、ユ-ザの必要に応じて、各エネルギー伝達領域Aの間まで電気エネルギーの伝達が必要になり得る。
【0100】
このために、複数の第1ニードル130aに印加される電力の強度を特定数値の範囲に調節することによって、複数の第1ニードル130aの間に形成された複数のエネルギー伝達領域Aをそれぞれ長手方向に拡散させることができる。その結果、電気エネルギーが複数のエネルギー伝達領域Aの間まで伝達されることができる。
【0101】
この場合、各第1ニードル130aの直径は0.23mm~0.27mmであり、各第1ニードル130aの第1絶縁領域131aの長さt1は0.28mm~0.32mmであり、各第1ニードル130aの活性領域132aの長さt1は0.23mm~0.27mmであり、各第1ニードル130aの活性領域132a間の離間距離(t2、即ち、各第1ニードル130aの活性領域132aの間に位置する第2絶縁領域133aの長さ)は0.28mm~0.32mmであり、第1ニードル130aで最上端に位置する第2絶縁領域133aの長さは特に制限されない。更に、複数の第1ニードル130a間の間隔は1mm~2.4mmであるが、本発明はこれに限定されない。
【0102】
上述した数値の理由について、実験例を挙げて説明する。
【実施例
【0103】
図9は、本発明の一実施例に係る複数の第1ニードルの間に形成されたエネルギー伝達領域によって皮膚に形成された表皮から凝固ゾーンまでの深さを示すグラフであり、凝固ゾーンの長さを示すグラフ及び凝固ゾーンの幅を示すグラフである。
【0104】
上述した数値を有する第1絶縁領域131aと、上述した数値を有する2つの活性領域132aの間に介在された第2絶縁領域133aで構成された複数の第1ニードル130aを皮膚に侵襲させて電力を印加させた後、複数の第1ニードル130aの2つの活性領域132aの間にそれぞれ形成された2つのエネルギー伝達領域Aによって皮膚に形成された表皮から凝固ゾーンまでの深さ、皮膚に形成される凝固ゾーンの長さ及び幅を測定した。
【0105】
ここで、複数の第1ニードル130aに印加される電力の強度を20W~60Wに調節した。電力の強度の調節は、前述した皮膚処置装置の電気提供部や制御部を用いた。
【0106】
その結果、複数の第1ニードル130aに20W~60Wの電力を印加した場合、表皮から凝固ゾーンまでの深さ(即ち、皮膚にエネルギー伝達領域が形成された深さ)は、0.71~1.00mmに調節された。即ち、複数の第1ニードル130aに印加される電力の強度を調節することによって、エネルギー伝達領域Aが皮膚に形成される深さを調節できることが確認できた。(図9に示された表皮から凝固ゾーンまでの深さを示すグラフ参照)
【0107】
また、複数の第1ニードル130aに20W~60Wの電力を印加した場合、凝固ゾーンの幅(即ち、皮膚にエネルギー伝達領域が形成された幅)は、0.18m~0.48mmに調節された。即ち、複数の第1ニードル130aに印加される電力の強度を調節することによって、エネルギー伝達領域Aが皮膚に形成される幅を調節できることが確認できた。(図9に示された凝固ゾーンの幅を示すグラフ参照)
【0108】
また、複数の第1ニードル130aに印加された電力の強度が20W~50Wである場合、2つの活性領域132aを合せた最大長さは0.54mm(即ち、0.27mm×2)であり、2つのエネルギー伝達領域Aによって皮膚に形成された凝固ゾーンの長さは0.542mm~0.790mmであった。
【0109】
即ち、2つのエネルギー伝達領域Aによって皮膚に形成された凝固ゾーンの長さは、2つの活性領域132aを合せた最大長さよりも大きいことが確認できた。従って、2つのエネルギー伝達領域Aがそれぞれ長手方向に広がっていることが確認できた。
【0110】
但し、複数のニードル130aに印加される電力の強度が20Wよりも小さいか、50Wよりも大きい場合、2つのエネルギー伝達領域が長手方向に広がらなかった。従って、第1ニードル130aに印加される電力の強度は、20W~50Wであることが好ましい。(図9に示された凝固ゾーンの長さを示すグラフ参照)
【0111】
また、複数の第1ニードル130aに印加された電力の強度が42Wである場合、2つの活性領域132aと第2絶縁領域133aを合せた最小長さは0.74mm(即ち、0.23mm×2+0.28mm)であり、2つのエネルギー伝達領域Aによって皮膚に形成された凝固ゾーンの長さは0.790mmであった。
【0112】
即ち、2つのエネルギー伝達領域Aによって皮膚に形成された凝固ゾーンの長さは、2つの活性領域132aと第2絶縁領域133aを合せた最小長さよりも大きいことが確認できた。従って、2つのエネルギー伝達領域Aには、2つの数値の差値である0.05mm(0.790mm-0.74mm)の長さを有し、一部分が重なった重複領域Bが発生することが確認できた。(図7及び図9に示された凝固ゾーンの長さを示すグラフ参照)
【0113】
このような重複領域Bの概念は、図7の左側に示した通りである。
【0114】
前述したように、複数の第1ニードル130aの間には、長手方向に離間した複数のエネルギー伝達領域Aが形成されることができる。
【0115】
このとき、複数の第1ニードル130aに印加された電力の強度が42Wである場合、複数の第1ニードル130aの間に形成される複数のエネルギー伝達領域Aがそれぞれ長手方向に沿って広がり、第2絶縁領域133aの長さの半分よりも大きく広がることによって、複数のエネルギー伝達領域Aには、一部分が重なっている重複領域Bが形成される。
【0116】
このように複数のエネルギー伝達領域Aがそれぞれ長手方向に広がる長さt5は0.23mm~0.25mmであり、このように広がった複数のエネルギー伝達領域Aのうち、互いに隣接する2つのエネルギー伝達領域Aの総長さt6は1.25mm~1.32mmであり得る。
【0117】
図7の右側を参照すれば、一例として、複数のニードル130が複数の第2ニードル130bからなる場合、複数の第2ニードル130bの活性領域132bの間には、エネルギー伝達領域Cが形成されることができる。このような複数の第2ニードル130bの皮膚侵襲時に、エネルギー伝達領域Cを介して単一の皮膚部位に電気エネルギーを提供できる。
【0118】
図6の左側及び図7の右側を参照すれば、一例として、第2ニードル130bの直径は0.23mm~0.27mmであり、第2ニードル130bの第1絶縁領域131bの長さt3は0.18mm~0.22mmであり、第2ニードル130bの活性領域132bの長さt4は0.48mm~0.52mmであり、第2ニードル130bで最上端に位置する第2絶縁領域133bの長さは特に制限されない。
【0119】
更に、第2ニードル130b間の間隔は1mm~2.4mmであるが、本発明はこれに限定されない。
【0120】
一方、複数の第2ニードル130bに印加される電力の強度が20W~50Wである場合、複数の第2ニードル130bの活性領域132bの間に形成されるエネルギー伝達領域Cは長手方向に広がり、このようなエネルギー伝達領域Cが広がる長さは0.23~0.25であり、エネルギー伝達領域Cの全体の長さは0.98mm~1.02mmであり得る。
【0121】
これにより、本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップは、ニードルの末端に絶縁された第1絶縁領域が形成されることによって、ニードルの末端に集中している電気エネルギーが皮膚に伝達されてベル状の損傷領域が発生するのを防止できる。
【0122】
また、本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップは、複数のニードルに対して、各ニードル毎に活性領域が同一の高さに配置されることによって、各ニードルの活性領域の間に形成されるエネルギー伝達領域を介して皮膚の特定深さにのみ電気エネルギーを提供できる。
【0123】
一例として、複数のニードル130は、1つ以上のRFソース(例えば、皮膚処置装置の電気提供部)に接続され、縦方向及び横方向のうちの少なくとも1つの方向に配列される複数のニードル130がそれぞれ又はグループ化されて交互に同一の極性が出力されることができ、これと反対になる極性のグラウンド電極が設けられるモノポーラタイプ(Monopolar type)に実現できる。例えば、複数のニードル130は何れも(+)極性に出力され、グラウンド電極は(-)極性に実現できる。また、複数のニードル130は何れも(-)極性に出力され、グラウンド電極は(+)極性に実現できる。
【0124】
図10a及び図10bは、本発明の一実施例に係るニードルの電気エネルギー伝達効果を説明する比較図(モノポーラタイプ)である。
【0125】
以下では説明の便宜上、モノポーラタイプのニードル130をモノポーラタイプの第1ニードル130aを基準として説明する。但し、モノポーラタイプの第1ニードル130aが有する機能と効果は、モノポーラタイプの第2ニードル130bも有することが当然である。
【0126】
図10aを参照すれば、モノポーラタイプの第1ニードル130aの皮膚侵襲及びRF電力の印加時にRF電力の特性上、RF電力が第1ニードル130aの末端に集中するが、第1ニードル130aは末端が絶縁され、側壁の活性領域132aが露出されるので、第1ニードル130aに印加されたRF電力は、第1ニードル130aの側壁の活性領域132aから非ターゲット地点(例えば、皮膚の外側)に配置されるグラウンド電極に還流される。
【0127】
その結果、第1ニードル130aの側壁の活性領域132aから電気エネルギーが伝達されるエネルギー伝達領域Eが広い範囲に亘って形成され、このようなエネルギー伝達領域Eによって広い範囲の皮膚部位を治療できる。
【0128】
即ち、第1ニードル130aは、皮膚部位の治療範囲が向上する。
【0129】
この後、第1ニードル130aの皮膚侵襲及びRF電力の印加が持続されても、第1ニードル130aのRF電力が集中する末端から皮膚部位に電気エネルギーが伝達されないので、第1ニードル130aの末端に隣接する皮膚部位にベル状の損傷領域と裂傷が発生するのを防止できる。
【0130】
また、第1ニードル130aのエネルギー伝達領域Eは、第1ニードル130aの側壁の活性領域132aに隣接する皮膚部位から発生することによって、第1ニードル130aの側壁に隣接する皮膚部位から損傷領域が優先的に発生する。
【0131】
反面、図10bを参照すれば、モノポーラタイプの従来のニードル(30、即ち、末端が絶縁体でコーティングされていないニードル)の皮膚侵襲及びRF電力の印加時にRF電力の特性上、RF電力が従来のニードル30の末端に集中するが、従来のニードル30は末端が露出されるので、従来のニードル30に印加された電力は、従来のニードル30の末端を中心に非ターゲット地点(例えば、皮膚の外側)に配置されるグラウンド電極に還流される。
【0132】
その結果、従来のニードル30の末端を中心に電気エネルギーが伝達されるエネルギー伝達領域30aが狭い範囲に亘って形成され、このようなエネルギー伝達領域30aによって狭い範囲の皮膚部位を治療できる。
【0133】
即ち、従来のニードル30は、皮膚部位の治療範囲が制限的である。
【0134】
その後、従来のニードル30の皮膚侵襲及びRF電力の印加が持続すると、従来のニードル30のRF電力が集中する末端から皮膚部位に過度な電気エネルギーが伝達されるので、従来のニードル30の末端に隣接する皮膚部位にベル状の損傷領域と裂傷が発生する。
【0135】
また、従来のニードル30のエネルギー伝達領域30aは、従来のニードル30の末端に隣接する皮膚部位に優先的に発生した後、従来のニードル30の側壁に隣接する皮膚部位に後で発生することによって、末端に隣接する皮膚部位に第1損傷領域が優先的に発生した後、側壁に隣接する皮膚部位に第2損傷領域が後で発生する。
【0136】
従って、従来のニードル30は、側壁に隣接する皮膚部位から第2損傷領域を優先的に発生させようとする場合にも、末端に隣接する皮膚部位から第1損傷領域が発生した後、側壁に隣接する皮膚部位に第2損傷領域が発生することによって、不要な電気エネルギーが提供され、治療時間が遅延される。
【0137】
一方、モノポーラタイプの複数のニードル130は、列と行に沿って交互に配列される第1ニードル130aと第2ニードル130bからなることができ、このとき、第1ニードル130aを第1ニードル130aグループにグルーピングし、第2ニードル130bを第2ニードル130bグループにグルーピングできる。
【0138】
例えば、図5を基準として(+)で示されたニードル130は第1ニードル130aグループであり、(-)で示されたニードル130は第2ニードル130bグループにグルーピングされる。
【0139】
このような第1ニードル130aグループと第2ニードル130bグループには、RF電力が交互に印加されることができる。
【0140】
一例として、第1ニードル130aグループと第2ニードル130bグループは、同一のRFソースに並列に接続でき、同一のRFソースのスイッチングによりRF電力が第1ニードル130aグループと第2ニードル130bグループに交互に印加されることができる。
【0141】
他の例として、第1ニードル130aグループと第2ニードル130bグループは、互いに異なるRFソースに個別に接続でき、互いに異なるRFソースが互いに異なる時間にRF電力を印加することによって、RF電力が第1ニードル130aグループと第2ニードル130bグループに交互に印加されることができる。
【0142】
このように、RF電力が第1ニードル130aグループと第2ニードル130bグループに互いに異なる時間に印加されると、このような第1ニードル130aグループと第2ニードル130bグループを有するモノポーラタイプの複数のニードル130に発生する近接効果を防止できる。
【0143】
ここで、近接効果とは、モノポーラタイプの複数のニードル130に印加されたRF電力がモノポーラタイプの複数のニードル130のうちの一部にのみ流れることをいう。例えば、近接効果は、RF電力がモノポーラタイプの複数のニードル130のうちの縁に位置するものにのみ流れるか、又はRF電力がモノポーラタイプの複数のニードル130のうちの中央に位置するものにのみ流れる。
【0144】
図11は、本発明の一実施例に係る第1ニードルと第2ニードルのエネルギー伝達領域を示す概略図である。
【0145】
図11に示されるように、シミを治療するために電気エネルギーの伝達が必要な皮膚の深さC1は0.5mm以下であり、スキントン、スキンテキスチャ、皮膚タイタニングのために電気エネルギーの伝達が必要な皮膚の深さC2は1mm以下であり、毛穴及び酒さ(Rosacea)を治療するために電気エネルギーの伝達が必要な皮膚の深さC3は1.25mm以下であり得る。
【0146】
即ち、治療の対象によって電気エネルギーの伝達が必要な皮膚の深さが変化し得るので、本発明の第1ニードル130a及び第2ニードル130bは、互いに異なる皮膚深さにエネルギー伝達領域を形成できる。
【0147】
また、第1ニードル130aはシミ、スキントン、スキンテキスチャ、タイタニング、毛穴、 酒さの治療のための皮膚深さにエネルギー伝達領域を形成でき、第2ニードル130bはシミ、スキントン、スキンテキスチャ、タイタニング治療のための皮膚深さにエネルギー伝達領域を形成できる。
【0148】
図12は、本発明の一実施例に係るハンドピースを示す斜視図であり、図13は、本発明の一実施例に係るハンドピースに装着された電力印加用ニードルチップを示す断面図であり、図14は、本発明の実施例に係るハンドピースに装着された電力印加用ニードルチップにポンピング効果が発生した状態を示す断面図である。
【0149】
図12ないし図14に示されるように、ハンドピース500を含むことができる。
【0150】
ハンドピース500は医師が把持する部分であって、医師はハンドピース500を対象者の皮膚に接触させた状態でこれを移動させて、ターゲット地点(一例として、顔面の一部分)を変更できる。ハンドピース500は、ケーブルを介して皮膚処置装置に接続できる。
【0151】
ハンドピース500には、駆動モジュール700及び電源モジュールが内蔵されることができる。従って、ケーブルは、ハンドピース500に内蔵された駆動モジュール700及び電源モジュールのそれぞれを皮膚処置装置に内蔵された電子制御モジュールと電気的に接続できる。ハンドピース500の端部には、電力印加用チップ600が装着されることができる。この場合、電力印加用ニードルチップ600は、ハンドピース500の端部にカートリッジ状に交換可能に装着されることができる。
【0152】
ハンドピース500の外側には、電力印加用ニードルチップ600のニードルユニット620と電源モジュールを電気的に接続するための第1導電部材501と、ケーブルコネクタ503にドッキングされて電源モジュールとケーブルを電気的に接続するための第2導電部材502が配置されることができる。この場合、第1導電部材501と第2導電部材502は、フィルム状に製作されることができる。一例として、第1導電部材501と第2導電部材502は、軟性印刷回路基板(FPCB、Flexible printed circuit board)であり得る。後述するが、電力印加用ニードルチップ600のニードルユニット620は、往復移動(駆動)するので、電力印加用ニードルチップ600のニードルユニット620の往復移動過程で導電ラインが接触しないように、電力印加用ニードルチップ600のニードルユニット620と電源モジュールの導電ラインと電源モジュールとケーブルの導電ラインをハンドピース500の外側に設ける。
【0153】
電力印加用ニードルチップ600は、ターゲット地点の皮膚深部に高周波を印加する部材であり得る。電力印加用ニードルチップ600は、ハンドピース500の端部に分離可能に装着されることができる。電力印加用ニードルチップ600は、シリンダ610及びニードルユニット620を含むことができる。シリンダ610は「固定子」であって、ハンドピース500の端部に分離可能に装着される部材であり得る。ニードルユニット620は「可動子(垂直方向へ移動)」であって、1つ以上のニードル621を含んでターゲット地点の皮膚深部に一定周期(駆動モジュールの駆動周期)で侵襲することができ、必要に応じて皮膚の真皮層に高周波(RF、Radio Frequency)を印加する部材であり得る。
【0154】
シリンダ610は、垂直方向に中孔が形成されることができる。シリンダ610の内部空間には、ニードルユニット620が配置されることができる。シリンダ610の下面は開放されることができ、シリンダ610の下端部は、ターゲット地点の皮膚の表面に配置されることができる。従って、シリンダ610の開放部分は、ターゲット地点の皮膚の表面により閉鎖できる。
【0155】
シリンダ610は、第1シリンダ611及び第2シリンダ612を含むことができる。
この場合、第1シリンダ611は上側に位置し、第2シリンダ612は下側に位置し得る。第1シリンダ611の下端と第2シリンダ612の上端は連結されることができる。第2シリンダ612の下面は開放できる。
【0156】
第1シリンダ611及び第2シリンダ612の内部には、ニードルユニット620が配置されることができ、第1シリンダ611と第2シリンダ612の連結部分は、ニードルユニット620により閉鎖できる。
【0157】
第1シリンダ611の上面には、ニードルユニット620のコネクティングロッド625が貫通できる。第1シリンダ611には、ニードルユニット620の第1プランジャ623-1により、第1空間1と剰余空間1-1が形成されることができる。即ち、第1シリンダ611の内部空間は、ニードルユニット620の第1プランジャ623-1により垂直方向に閉鎖でき、上側に位置する第1空間1と下側に位置する剰余空間1-1とに区分できる。
【0158】
第1シリンダ611の第1空間1の気密性を維持するために、第1シリンダ611の上面とニードルユニット620のコネクティングロッド625との間には、ガスケット626が配置されることができる。また、第1シリンダ611の内周面とニードルユニット620の第1プランジャ623-1の外周面との間には、ガスケット626が配置されることができる。
【0159】
第2シリンダ612の下端は、ターゲット地点の皮膚の表面に配置されることができる。従って、第2シリンダ612の下面の開放部分は、ターゲット地点の皮膚の表面により閉鎖できる。第2シリンダ612には、ニードルユニット620の第2プランジャ623-2により、下面が開放された第2空間2が形成されることができる。第2シリンダ612の内部空間は、ニードルユニット620の第2プランジャ623-2により垂直方向に閉鎖でき、上側にはニードルユニット620のホルダ622とニードルユニット620の第2プランジャ623-2が配置されることができ、下側には下面が開放された第2空間2が位置し得る。
【0160】
第2シリンダ612の下面には、1つ以上の溝612-1が形成されることができる(図3参照)。第2シリンダ612の1つ以上の溝612-1は、第2シリンダ612の外周面から第2シリンダ612の内周面に形成されることができる。即ち、第2シリンダ612の1つ以上の溝612-1は、第2シリンダ612を貫通して形成され得る。また、第2シリンダ612の1つ以上の溝612-1は、第2シリンダ612の下面の周囲に沿って互いに離間して配列されることができる。即ち、第2シリンダ612の1つ以上の溝612-1は、円周方向に互いに離間して形成されることができる。
【0161】
一方、上述したように、第2空間2の下面の開放部分は、ターゲット地点の皮膚の表面により閉鎖できる。この場合、第2空間2の気密性を維持するために、第2シリンダ612の内周面とニードルユニット620の第2プランジャ623-2の外周面との間には、ガスケット626が配置されることができる。一方、第2空間2は気密性を維持している状態で、第2シリンダ612の1つ以上の溝612-1により下端部分のみ選択的に外部と連結され、後述するポンピング効果をアップさせることができる。
【0162】
第2空間2には、ニードルユニット620の1つ以上のニードル621が配置されることができる。上述したように、第2空間2の下面は開放されているので、1つ以上のニードル621は、第2空間2の開放部分を通過してターゲット地点の皮膚の表面に進入できる。
【0163】
第1シリンダ611の垂直方向と垂直な断面積は、第2シリンダ612の垂直方向と垂直な断面積よりも大きくなり得る。従って、ニードルユニット620のプランジャ623の垂直方向への往復移動により、第1シリンダ611の第1空間1の体積の変化量は、第2シリンダ612の第2空間2の体積の変化量よりも大きくなり得る。
【0164】
シリンダ610は、シート613を追加で含むことができる(図11参照)。シート613は、第2空間2に位置し得る。シート613は、第2シリンダ612の内周面から内側に向かって下側に傾斜するように配置されることができる。シート613はリング状であって、第2シリンダ612の内周面に沿って配置されることができる。この場合、本発明のシート613は「バルブシート」状と同様、ニードルユニット620の1つ以上のニードル621の周囲に沿って配置されることができる。即ち、シート613は、ニードルユニット620の1つ以上のニードル621の周囲をカバーできる。
【0165】
シート613の外側端部は固定端であって、シート613の内側端部は自由端であり得る。従って、シート613の下方傾斜の角度は、シート613周辺の空気の流れにより可変し得る。傾斜角度の可変作用を向上させるために、シート613は弾性材質で形成されることができる。
【0166】
シート613の外側端部は、第2シリンダ612の1つ以上の溝612-1よりも上側に配置されることができる。その結果、シート613の傾斜角度は、第2シリンダ612の1つ以上の溝612-1を通して流れる空気の流れによって可変し得る。シート613は、第2シリンダ612の1つ以上の溝612-1と相互作用して後述するポンピング効果をアップさせることができる。
【0167】
ニードルユニット620は、シリンダ610の内部に配置されることができる。ニードルユニット620は、駆動モジュール700により垂直方向に往復移動できる。即ち、ニードルユニット620は、第1シリンダ611と第2シリンダ612の内部に配置されることができ、まるで「ピストン(Piston)」のように往復運動できる。更に、プランジャ623を備えて第1シリンダ611と第2シリンダ612の内部空間を区画でき、第1シリンダ611と第2シリンダ612の内部空間の体積を変化させることができる。
【0168】
ニードルユニット620は、垂直方向への往復移動によりターゲット地点の皮膚を反復的(周期的)に侵襲することができる。更に、ニードルユニット620は、ターゲット地点の皮膚深部で高周波を発生させ、高周波による熱エネルギーにより損傷したコラーゲン及び弾力繊維などは時間が経って再生され、皮膚のハリを増加させることができる。
【0169】
ニードルユニット620は1つ以上のニードル621、ホルダ622、プランジャ623及びコネクティングロッド625を含むことができる。ニードル621は前述したニードル130であり、ホルダ622は前述したニードル固定部120であり得る。
【0170】
1つ以上のニードル621は、プランジャ623と共に往復移動し、皮膚に挿入及び排出されることを交互に繰り返すことができる。1つ以上のニードル621には高周波が印加され、ターゲット地点の皮膚の深部に熱エネルギーを発生させることができる。
【0171】
但し、これに限定されるものではなく、1つ以上のニードル621には、高周波の他に多様な波長帯域の電気エネルギー及び超音波などが印加されることができる。更に、上述したように、1つ以上のニードル621に電気エネルギーや超音波などが印加されないことも可能である。
【0172】
1つ以上のニードル621に高周波などの電気エネルギーが印加される場合、電源モジュールと電気的に接続されて電源の印加を受けることができる。このために、1つ以上のニードル621は、上述した第1導電部材501により電源モジュールと電気的に接続できる。
【0173】
一方、1つ以上のニードル621は、複数の電極が2つの極性を有し、隣接する電極の間に高周波が生成されるバイポーラタイプ(Bipolar type)の電極ユニットであってもよく、複数の電極が何れも同一の極性を有するモノポーラタイプ(Monopolar type)の電極ユニットであってもよい。一方、1つ以上のニードル621がモノポーラタイプ(Monopolar type)である場合、1つ以上のニードル621で発生する高周波を還流するためのグラウンド電極モジュール(図示せず)が追加で備えられることができる。
【0174】
1つ以上のニードル621は、ホルダ622により支持されることができる。1つ以上のニードル621は、ホルダ622から下方へ延びることができる。1つ以上のニードル621は、第2シリンダ612の第2空間2に配置されることができる。
【0175】
1つ以上のニードル621は、駆動モジュール700の駆動力により垂直方向に往復移動できる。ニードルユニット620の下死点で1つ以上のニードル621の下端部は、ターゲット地点の皮膚の深部に配置されることができ、ニードルユニット620の上死点で1つ以上のニードル621の下端部は、ターゲット地点の皮膚表面の上側に配置されることができる。
【0176】
従って、1つ以上のニードル621は、反復的にターゲット地点の皮膚の深部に侵襲できる。この場合、1つ以上のニードル621は、第2シリンダ612の第2空間2の下面に形成された開放部分を通過して下側に突出した後に上側に復帰(再帰)できる。一方、1つ以上のニードル621の侵襲深さは、略2.1mmであり得る。
【0177】
ホルダ622は、1つ以上のニードル621を支持する部材であり得る。ホルダ622は1つ以上のニードル621と同様、第2シリンダ612の第2空間2に配置されることができる。また、ホルダ622は、第2プランジャ623-2の下面に配置され、第2プランジャ623-2と結合できる。更に、場合によってホルダ622は省略でき、この場合、1つ以上のニードル621は、プランジャ623に直接配置されることができる。
【0178】
プランジャ623は下側と上側に往復移動し、シリンダ610の内部に第1空間1と第2空間2を形成できる。また、プランジャ623には、第1空間1と第2空間2を連結する第1チャネル3が形成されることができる。
【0179】
プランジャ623の往復移動による第1空間1の体積の変化量は、第2空間2の体積の変化量よりも大きいため、プランジャ623の下側移動時に第2空間2の気体が第1チャネル3を介して第1空間1に移動でき、プランジャ623の上側移動時に第1空間1の気体が第1チャネル3を介して第2空間2に移動できる。
【0180】
従って、プランジャ623の下側移動時に1つ以上のニードル621が皮膚に侵襲し、第2空間2に陰圧状態が形成(圧力の減少)されることができ、プランジャ623の上側移動時に1つ以上のニードル621が皮膚から排出され、第2空間2に陽圧状態が形成(圧力の増加)されることができる。
【0181】
プランジャ623は、第1プランジャ623-1と第2プランジャ623-2を含むことができる。第1プランジャ623-1は、第1シリンダ611の内部空間に配置されることができる。第1プランジャ623-1は、第1シリンダ611の内部空間を垂直方向に閉鎖して第1シリンダ611に上側に位置する第1空間1と下側に位置する剰余空間1-1を形成できる。
【0182】
第1プランジャ623-1は、駆動モジュール700の駆動力により垂直方向に往復移動できる。第1プランジャ623-1が下側に移動する場合、第1空間1の体積は増加し、剰余空間1-1の体積は減少し得る(図14の1参照)。第1プランジャ623-1が上側へ移動する場合、第1空間1の体積は減少し、剰余空間3の体積は増加し得る(図14の2参照)。
【0183】
第2プランジャ623-2は、第2シリンダ612の内部空間に位置し得る。第2プランジャ623-2は、第2シリンダ612の内部空間を垂直方向に閉鎖して第2シリンダ612に第2空間2を形成できる。
【0184】
第2プランジャ623-2は、駆動モジュール700の駆動力により垂直方向に往復移動できる。第2プランジャ623-2が下側に移動する場合、第2空間2の体積は減少し得る(図5の1参照)。第2プランジャ623-2が上側に移動する場合、第2空間2の体積は増加し得る。
【0185】
第1プランジャ623-1と第2プランジャ623-2には、第1空間1と第2空間2を連結する第1チャネル3が形成されることができる。この場合、第1プランジャ623-1と第2プランジャ623-2に形成される第1チャネル3は、垂直方向に第1プランジャ623-1と第2プランジャ623-2を貫通する(第1プランジャと第2プランジャに形成されている)1つ以上の流路3-1であり得る。
【0186】
コネクティングロッド625は、第1プランジャ623-1の上側に配置されることができる。コネクティングロッド625は、駆動モジュール700の駆動力により垂直方向に移動できる。コネクティングロッド625は、駆動モジュール700及び第1プランジャ623-1と連結され、駆動モジュール700の駆動力を第1プランジャ623-1に伝達する機能を行える。
【0187】
以下、図14を参照して電力印加用ニードルチップ600の作動(ポンピング効果)について説明する。本発明の皮膚処置装置を作動させると、ニードルユニット620は、垂直方向(上下方向)に往復運動し、ターゲット地点の皮膚を反復的に侵襲できる(高周波が印加される場合、皮膚深部に熱エネルギーが発生)。一方、ターゲット地点の皮膚の表面には、侵襲による痛みを緩和させるか、傷の再生を促進させる薬物が塗布されることができる。
【0188】
ニードルユニット620の下側移動時に第1空間1の体積は増加し、第2空間2の体積は減少し得る。この場合、第1空間1と第2空間2の垂直方向と垂直な断面積の差により、第1空間1の体積の変化量は、第2空間2の体積の変化量よりも大きくなり得る。即ち、第1空間1の体積の増加量は、第2空間2の体積の減少量よりも大きくなり得る。一方、第1空間1と第2空間2は、第1チャネル3により連結されているので、第2空間2の気体は、第1チャネル3を介して第1空間1に移動できる(図11の1参照、体積の変化量の差による圧力差による移動)。従って、第2空間2は「陰圧状態(圧力の減少;これとは反対に第1空間は圧力が増加して陽圧状態)」になってターゲット地点の皮膚の表面を吸入し、ターゲット地点の表面の皮膚の高さを均等にさせることができる。その結果、1つ以上のニードル621は、均一な深さに侵襲できる(均等な深さに侵襲する効果、複数のニードルの何れも医学的設計条件に合う侵襲深さ(既に設定された深さ)で高周波を照射するため)。
【0189】
ニードルユニット620が上側移動時に第1空間1の体積は減少し、第2空間2の体積は増加し得る。この場合、第1空間1と第2空間2の垂直方向と垂直な断面積の差により、第1空間1の体積の変化量は、第2空間2の体積の変化量よりも大きくなり得る。即ち、第1空間1の体積の減少量は、第2シリンダ612の第2空間2の体積の増加量よりも大きくなり得る。一方、第1空間1と第2空間2は、第1チャネル3により連結されているので、第1空間1の気体は、第1チャネル3を介して第2空間2へ移動できる(図5の2参照、体積の変化量の差による圧力差による移動)。その結果、第2空間2は「陽圧状態(圧力の増加;これとは反対に第1空間は圧力が減少して陰圧状態)」になってターゲット地点の皮膚の表面に塗布された薬物を侵襲部位(ニードル電極の挿入と排出により形成されたホール)の内部に深く注入できる(薬物を皮膚深部に深く注入する効果)。
【0190】
一方、第1シリンダ611には、剰余空間1-1と外部とを連結する第2チャネル4が形成されることができる。第2チャンル4は、剰余空間1-1の気体の圧力が第1プランジャ623-1の垂直方向への往復移動を妨げるのを防止できる。即ち、ニードルユニット620の下側移動時に剰余空間1-1の空気を外部に流出させて抵抗力を除去できる。
【0191】
一実施例において、本発明のニードルは以下のように製作されることができる。まず、非絶縁部位に該当する活性領域として生成する厚さのシリコンを設け、カートリッジにニードルを結合し、ニードルの活性領域を形成しようとする位置までシリコンに挿入し、シリコンにニードルが挿入された状態で絶縁物質を噴射して第1絶縁領域及び第2絶縁領域を形成できる。一方、ニードルをそれぞれ一部の領域が絶縁されないように製作した後、最終的に組み立てることもでき、ニードルを製作した後にシリコン層に挿入して絶縁処理を行うこともできる。
【0192】
具体的に、特定の同一の位置に同一数の活性領域を含む電力印加用ニードルチップを製作する場合、カートリッジに絶縁処理が行われていないニードルをまず固定し、活性領域の範囲に相応する厚さのシリコンにニードルを挿入する。このとき、複数のニードルが同時に一定深さに配置され得るように、特定の厚さのシリコンパッドは、ニードルの挿入時に弛まないように両側から引っ張られることができる。また、複数の活性領域を各ニードルの同一の位置に形成する場合、各活性領域の範囲に相応する厚さのシリコンパッドを活性領域間の距離だけ維持した状態で複数のニードルを挿入する。その後、シリコンが活性領域を形成しようとする位置に配置された状態で、複数のニードルに絶縁処理を行う。これにより、複数のニードルが同一の位置に活性領域を形成できるようになる。
【0193】
ここで、シリコンは、ニードルが貫通して所望の位置に配置されることができ、活性領域を形成しようとする範囲の厚さに生成できる多様な材料に替わって用いられる。例えば、シリコン、ゴムなどの軟性材質の素材が何れも使用され得る。
【0194】
本発明の一実施例に係る電力印加用ニードルチップの製造方法は、非絶縁部位に該当する活性領域として生成する厚さのシリコンを設けるステップと、ニードル固定部に複数のニードルを結合するステップと、活性領域を形成しようとする前記複数のニードルの位置まで複数のニードルを前記シリコンに挿入するステップと、前記シリコンに前記複数のニードルが挿入された状態で絶縁物質を噴射して末端部及び絶縁領域を形成するステップとを含むことができる。
【0195】
以上、添付の図面を参照して本発明の一実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の技術者は、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施され得るということが理解できるだろう。従って、以上で述べた一実施例は全ての面で例示的なものであり、制限的ではないものとして理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13
図14