IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中電技術コンサルタント株式会社の特許一覧

特許7265847電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法
<>
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図1
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図2
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図3
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図4
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図5
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図6
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図7
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図8
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図9
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図10
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図11
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図12
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図13
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図14
  • 特許-電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20230420BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J3/00 170
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018153766
(22)【出願日】2018-08-18
(65)【公開番号】P2020028208
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591260672
【氏名又は名称】中電技術コンサルタント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141427
【弁理士】
【氏名又は名称】飯村 重樹
(72)【発明者】
【氏名】岡村 幸壽
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-058029(JP,A)
【文献】特開2015-162229(JP,A)
【文献】国際公開第2014/126131(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/00-5/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に配電される電力量を計測するとともに計測した前記電力量を電力データとして外部に通信する通信ルートを有するスマートメータ、及び該スマートメータから通信される前記電力データを処理する処理手段を備える電力データ処理システムにおいて、
前記処理手段は、
一定期間の前記電力データを構成する前記電力量が計測された際の該電力量の属性に関する電力量属性データを前記電力データに付加して処理データを生成する前処理プログラムと、
該前処理プログラムで生成した前記処理データの前記一定期間と対応する一定期間内で任意に設定された特定期間においてユーザの活動状態を活動状態データとして取得する活動状態データ取得プログラムと、
該活動状態データ取得プログラムで取得した前記活動状態データと該活動状態データを取得した前記特定期間と対応する特定期間における前記処理データとによって生成される学習データによって前記処理データに対応する前記ユーザの活動状態を機械学習させた学習済みモデルに基づいて、前記一定期間から前記特定期間を減じた残余期間における前記ユーザの活動状態を推定する人工知能プログラムと、を備え、
前記人工知能プログラムは、
予め設定された単位時間及び該単位時間と時間帯を重複させつつ時間差を設けて予め設定された後続する複数の単位時間においてそれぞれ前記学習済みモデルを生成して、前記各単位時間に後続して前記残余期間内で予め設定された新たな単位時間のうち前記各単位時間と重複する時間帯において前記ユーザの活動状態を推定する、
ことを特徴とする電力データ処理システム。
【請求項2】
前記人工知能プログラムは、
前記各単位時間においてそれぞれ複数の前記学習済みモデルが生成される際に該学習済みモデルで学習された前記ユーザの活動状態が前記活動状態データに一致する割合が高いか否かを自律的に評価し、高いと評価した前記学習済みモデルに基づいて推定された前記ユーザの活動状態の推定結果が選択され、選択された前記推定結果に基づいて前記ユーザの活動状態を推定した活動状態推定データが生成されることを特徴とする請求項に記載の電力データ処理システム。
【請求項3】
前記人工知能プログラムで推定された前記ユーザの活動状態がデータとして前記ユーザの端末に通信されることを特徴とする請求項1または2に記載の電力データ処理システム。
【請求項4】
前記活動状態データ取得プログラムは、
前記ユーザの前記端末に格納されることを特徴とする請求項に記載の電力データ処理システム。
【請求項5】
電気機器に配電される電力量を計測するとともに計測した前記電力量を電力データとして外部に通信する通信ルートを有するスマートメータ、及び該スマートメータから通信される前記電力データを処理する処理手段を備える電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法において、
一定期間の前記電力データを構成する前記電力量が計測された際の該電力量の属性に関する電力量属性データを前記電力データに付加して処理データを生成する前処理工程と、
該前処理工程で生成した前記処理データの前記一定期間と対応する一定期間内で任意に設定された特定期間においてユーザの活動状態を活動状態データとして取得する活動状態データ取得工程と、
該活動状態データ取得工程で取得した前記活動状態データと該活動状態データを取得した前記特定期間と対応する特定期間における前記処理データとによって生成される学習データによって前記処理データに対応する前記ユーザの活動状態を機械学習させた学習済みモデルに基づいて、前記一定期間から前記特定期間を減じた残余期間における前記ユーザの活動状態を推定する活動状態推定工程と、を備え、
前記活動状態推定工程は、
予め設定された単位時間及び該単位時間と時間帯を重複させつつ時間差を設けて予め設定された後続する複数の単位時間においてそれぞれ前記学習済みモデルを生成して、前記各単位時間に後続して前記残余期間内で予め設定された新たな単位時間のうち前記各単位時間と重複する時間帯において前記ユーザの活動状態を推定する、
ことを特徴とする電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に配電される電力量を計測するとともに計測した電力量を電力データとして外部に通信する通信ルートを有するスマートメータ、及びスマートメータから通信される電力データを処理する処理手段を備える電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スマートメータは、配電設備内の電気機器の電力量や電力値を検知する機能を具備するとともに、検知した電力量等を電力データとして外部に通信する機能を具備する。
【0003】
スマートメータで検知した電気機器の電力量等が、電力データとして外部に通信されると、電気事業者あるいは他の事業者は、この電力データに基づいて、ユーザによる電気機器の使用状態を検知し、ユーザの活動状態の概要を把握することができる。
【0004】
特許文献1には、スマートメータで取得したユーザの消費電力量に基づいて、ユーザの生活行動パターンを抽出する生活行動パターン抽出装置が開示されている。
【0005】
この特許文献1の生活行動パターン抽出装置によれば、消費電力量が閾値を超えた場合に生活行動が生じたか否かを判定し、生活行動が発生したと判定した場合に、その時間帯に応じた生活イベントを関連づけて生活イベントが発生したと判定し、この生活イベントを蓄積した生活イベントセットに基づいて、対象期間における生活イベントの発生の頻度や確率等を推定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-185040公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の生活行動パターン抽出装置では、ユーザの消費電力量の変化を把握して生活イベントが発生したか否かを判定するものであって、個別の電気機器の消費電力量の変化に基づいて生活イベントが発生したか否かを判定するものではないことから、生活イベント、すなわちユーザの活動状態を適切に判定することができないことが懸念される。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの活動状態を適切に推定することができる電力データ処理システム及び電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための電力データ処理システムは、電気機器に配電される電力量を計測するとともに計測した電力量を電力データとして外部に通信する通信ルートを有するスマートメータ、及びスマートメータから通信される電力データを処理する処理手段を備える電力データ処理システムにおいて、処理手段は、一定期間の電力データを構成する電力量が計測された際の電力量の属性に関する電力量属性データを電力データに付加して処理データを生成する前処理プログラムと、前処理プログラムで生成した処理データの一定期間と対応する一定期間内で任意に設定された特定期間においてユーザの活動状態を活動状態データとして取得する活動状態データ取得プログラムと、活動状態データ取得プログラムで取得した活動状態データと活動状態データを取得した特定期間と対応する特定期間における処理データとによって生成される学習データによって処理データに対応するユーザの活動状態を機械学習させた学習済みモデルに基づいて、一定期間から特定期間を減じた残余期間におけるユーザの活動状態を推定する人工知能プログラムと、を備えることを特徴としている。
【0010】
この電力データ処理システムによれば、スマートメータを介して通信される電力量に基づいて構成された一定期間の電力データに電力量属性データを付加して処理データを生成する前処理プログラムを備えることから、電力データ及び電力量属性データに基づいて処理データの解析が可能となるように情報量が複合的に増大される。
【0011】
一方、電力データ処理システムは、特定期間に取得された活動状態データと、この特定期間と対応する特定期間の処理データとによって学習データが生成されることから、人工知能プログラムが機械学習を行う学習データを精密に生成することができる。
【0012】
このように、精密に生成される学習データに基づいて、人工知能プログラムが機械学習を行って学習済みモデルを生成することから、人工知能プログラムは、この学習済みモデルに基づいて、残余期間の処理データに対応するユーザの活動状態を適切かつ詳細に推定することができる。
【0013】
さらに、この電力データ処理システムの人工知能プログラムは、予め設定された単位時間及び単位時間と時間帯を重複させつつ時間差を設けて予め設定された後続する複数の単位時間においてそれぞれ学習済みモデルを生成して、各単位時間に後続して残余期間内で予め設定された新たな単位時間のうち各単位時間と重複する時間帯においてユーザの活動状態を推定することを特徴としている。
【0014】
このように、予め設定された単位時間と新たな単位時間との間に複数の単位時間が設定され、予め設定された単位時間及び複数の単位時間のそれぞれで学習済みモデルが生成され、この各学習済みモデルに基づいて、新たな単位時間のうち予め設定された単位時間及び複数の単位時間と重複する時間帯において、ユーザの活動状態が推定される。したがって、新たな単位時間におけるユーザの活動状態が早期に推定される。
【0015】
特に、電力データ処理システムの人工知能プログラムは、各単位時間においてそれぞれ複数の学習済みモデルが生成される際に学習済みモデルで学習されたユーザの活動状態が活動状態データに一致する割合が高いか否かを自律的に評価し、高いと評価した学習済みモデルに基づいて推定されたユーザの活動状態の推定結果が選択され、選択された推定結果に基づいてユーザの活動状態を推定した活動状態推定データが生成されることを特徴としている。
【0016】
したがって、各単位時間においてそれぞれ生成された複数の学習済みモデルのうち、学習精度の高い学習済みモデルに基づいてユーザの活動状態が推定結果として選択されることから、推定結果としての活動状態推定データも精度が高められることが期待される。
【0017】
さらに、電力データ処理システムの人工知能プログラムで推定されたユーザの活動状態がデータとしてユーザの端末に通信されることを特徴としている。したがって、ユーザは、その活動状態の概略を把握することができる。
【0018】
しかも、電力データ処理システムの活動状態データ取得プログラムは、ユーザの端末に格納されることを特徴としている。したがって、ユーザの端末によって、活動状態データがオンサイトで容易に取得される。
【0019】
上記目的を達成するための電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法は、電気機器に配電される電力量を計測するとともに計測した電力量を電力データとして外部に通信する通信ルートを有するスマートメータ、及びスマートメータから通信される電力データを処理する処理手段を備える電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法において、一定期間の電力データを構成する電力量が計測された際の電力量の属性に関する電力量属性データを電力データに付加して処理データを生成する前処理工程と、前処理工程で生成した処理データの一定期間と対応する一定期間内で任意に設定された特定期間においてユーザの活動状態を活動状態データとして取得する活動状態データ取得工程と、活動状態データ取得工程で取得した活動状態データと活動状態データを取得した特定期間と対応する特定期間における処理データとによって生成される学習データによって処理データに対応するユーザの活動状態を機械学習させた学習済みモデルに基づいて、一定期間から特定期間を減じた残余期間におけるユーザの活動状態を推定する活動状態推定工程と、を備えることを特徴としている。
【0020】
この電力データ処理システムを用いて電力データを処理する方法によれば、残余期間の処理データに対応するユーザの活動状態を適切かつ詳細に推定することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、ユーザの活動状態を適切かつ詳細に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係る電力データ処理システムが配備される配備環境の概略を説明するブロック図である。
図2】同じく、本実施の形態に係る電力データ処理システムの概略を説明するブロック図である。
図3】同じく、本実施の形態に係る電力データ処理システムのサーバのストレージの概略を説明する図である。
図4】同じく、本実施の形態に係る電力データ処理システムのスマートフォンの概略を説明する図である。
図5】同じく、本実施の形態に係る電力データ処理システムの前処理プログラムにおけるデータ処理の概略を説明する図である。
図6】同じく、本実施の形態に係る電力データ処理システムのプロフィール入力インターフェースに入力されるプロフィールデータの概略を説明する図である。
図7】同じく、本実施の形態に係る電力データ処理システムの活動状態データ取得プログラムで取得する活動状態データの概略を説明する図である。
図8】同じく、本実施の形態に係る電力データ処理システムの人工知能プログラムにおけるデータ処理の概略を説明するブロック図である。
図9】同じく、人工知能プログラムで生成される学習データを模式的に表した図である。
図10】同じく、人工知能プログラムで生成される学習データに基づいて生成された学習済みモデルの概略を説明する図である。
図11】同じく、人工知能プログラムで生成される学習済みモデルに基づいてユーザの活動状態を推定する手順の概略を説明する図である。
図12】同じく、人工知能プログラムで生成される活動状態推定データの概略を説明する図である。
図13】同じく、人工知能プログラムで生成される学習済みモデルに基づいてユーザの活動状態を推定する手順の概略を説明する図である。
図14】同じく、人工知能プログラムで生成される学習済みモデルに基づいてユーザの活動状態を推定する手順の概略を説明する図である。
図15】同じく、本実施の形態に係る電力データ処理システムの運用の概略を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について、図1図15に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る電力データ処理システムが配備される配備環境の概略を説明するブロック図である。図示のように、配備環境100は、住宅10、住宅10に電力を供給する電気事業者20、及び電気事業者20が住宅10に供給する電力に関するサービスを住宅10に関連するユーザUに提供するサービス事業者30によって構成される。
【0025】
住宅10には、住宅10内の電気機器12に配電される電力を計測及び通信する計測通信設備11が配設されている。この計測通信設備11は、本実施の形態では、電気機器12の一定期間の電力量及び電力値を計測するとともに計測した電力量等を電力データとして外部に通信するスマートメータ11aを備える。
【0026】
さらに計測通信設備11は、スマートメータ11aが計測した全ての電気機器12の電力量等を電力データとして収集するHEMS(Home Energy Management System)11b、HEMS11bを介して電力データをサービス事業者30に通信するルータ11cを備える。
【0027】
電気事業者20には、スマートメータ11aと通信して電力データを受信するとともに受信した電力データをサービス事業者30と通信するMDMシステム21が配設される。
【0028】
一方、サービス事業者30には、住宅10の計測通信設備11に配設されたルータ11cを介してスマートメータ11aと通信して電力データを受信するとともに、電気事業者20に配備されたMDMシステム21と通信して電力データを受信するサーバ31が配設される。
【0029】
本実施の形態では、スマートメータ11aと電気事業者20のMDMシステム121との間の通信はAルート101を介して実行され、ルータ11cを介したスマートメータ11aとサービス事業者30のサーバ31との間の通信はBルート102aとインターネット102bとからなるBルート経路102を介して実行され、電気事業者20のMDMシステム21とサービス事業者30のサーバ31との間の通信はCルート103を介して実行される。
【0030】
これらAルート101、Bルート経路102及びCルート103で通信される電力データは、本実施の形態では、30分単位で検知される電力量(kWh)に基づいて構成される。
【0031】
このような配備環境100において、ユーザUが所有する端末であるスマートフォン40は、電気事業者20のMDMシステム21及びサービス事業者30のサーバ31にアクセス可能に形成されている。
【0032】
電力データ処理システムは、このような配備環境100に配備されるものであり、電力データ処理システム1の概略を説明する図2のブロック図で示すように、スマートメータ11a、サービス事業者30のサーバ31及びユーザUの保有するスマートフォン40に分散して構成される。
【0033】
スマートメータ11aは、本実施の形態では、Bルート経路102を介してサーバ31に電力データを通信する。
【0034】
サーバ31は、プロセッサ32、メモリ33、ストレージ34、送受信部35、及び入出力部36を主要構成として備え、これらが互いにバス37を介して電気的に接続される。
【0035】
プロセッサ32は、サーバ31の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御や、アプリケーションプログラムの実行に必要な処理等を行う演算装置である。
【0036】
このプロセッサ32は、本実施の形態では例えばCPU(Central Processing Unit)であり、後述するストレージ34に格納されてメモリ33に展開されたアプリケーションプログラムを実行して各処理を行う。
【0037】
メモリ33は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶装置、及びフラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶装置を備える。
【0038】
このメモリ33は、プロセッサ32の作業領域として使用される一方、サーバ31の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種の設定情報等が格納される。
【0039】
ストレージ34は、アプリケーションプログラムや各種の処理に用いられるデータ等が格納されている。
【0040】
送受信部35は、サーバ31をネットワークに接続する。この送受信部35は、Bluetooth(登録商標)やBLE(Bluetooth Low Energy)といった近距離通信インターフェースを具備するものであってもよい。
【0041】
入出力部36には、必要に応じて、キーボードやマウスといった情報入力機器やディスプレイ等の出力機器が接続される。
【0042】
バス37は、接続したプロセッサ32、メモリ33、ストレージ34、送受信部35及び入出力部36の間において、例えばアドレス信号、データ信号及び各種の制御信号を伝達する。
【0043】
図3は、本実施の形態に係る電力データ処理システム1のサーバ31のストレージ34の概略を説明する図である。
【0044】
図示のように、ストレージ34には、スマートメータ11aから入力される電力データを処理して処理データを生成する前処理プログラム34a、及び処理データと後述する活動状態データとによってユーザUの活動状況を推定する人工知能プログラム34bが格納される。
【0045】
さらにストレージ34には、人工知能プログラム34bの推定に基づいて、後述のユーザ活動状態データを生成する後処理プログラム34cが格納される。
【0046】
図4は、本実施の形態に係る電力データ処理システム1のスマートフォン40の概略を説明する図である。
【0047】
図示のように、スマートフォン40には、ユーザUの属性に関するプロフィールが後述するプロフィールデータとして入力されるプロフィール入力インターフェース41、及びユーザUの活動状態が活動状態データとして入力されることによって活動状態データを取得する活動状態データ取得プログラム42が格納される。
【0048】
これら前処理プログラム34a、人工知能プログラム34b、後処理プログラム34c、プロフィール入力インターフェース41及び活動状態データ取得プログラム42によって、本実施の形態では、処理手段が構成される。
【0049】
次に、電力データ処理システム1の各部の具体的な構成について説明する。
【0050】
なお、説明の便宜上、各部の説明に際しては、前処理プログラム34a、プロフィール入力インターフェース41、活動状態データ取得プログラム42、人工知能プログラム34b、後処理プログラム34cの順に説明する。
【0051】
図5は、本実施の形態に係る電力データ処理システム1の前処理プログラム34aにおけるデータ処理の概略を説明する図である。
【0052】
図5(a)で示すように、前処理プログラム34aで処理される一定期間Xの電力データD1は、本実施の形態では、電力量を計測した年月日d1a、及び30分単位で計測される30分電力量d1bによって構成される。
【0053】
この電力データD1は、一定期間Xの電力データD1のうち任意に設定された特定期間Yの電力データが電力データD1aとして設定され、一定期間Xの電力データD1から特定期間Yの電力データD1aを減じた残余期間Zの電力データが電力データD1bとして設定される。
【0054】
前処理プログラム34aは、本実施の形態では、電力データD1を構成する30分電力量d1bが計測された際の30分電力量d1bの属性に関する電力量属性データD2を電力データD1に付加して、図5(b)で示すように、処理データD3を生成する。
【0055】
電力量属性データD2は、本実施の形態では、曜日d2を有して構成される。さらに電力量属性データD2としては、例えば30分電力量d1bが検知された際の天気や気温といった各種の与件が含まれることが想定される。
【0056】
この電力量属性データD2が付加された処理データD3は、本実施の形態では、電力データD1において設定される一定期間X、特定期間Y及び残余期間Zと対応して一定期間X、特定期間Y及び残余期間Zが設定され、一定期間Xの処理データD3のうち任意に設定された特定期間Yの処理データが処理データD3aとして設定され、一定期間Xの処理データD3から特定期間Yの処理データD3aを減じた残余期間Zの処理データが処理データD3bとして設定される。
【0057】
プロフィール入力インターフェース41は、ユーザUの属性に関するプロフィールが、ユーザUによってプロフィールデータとして入力されるものである。
【0058】
図6は、本実施の形態に係る電力データ処理システム1のプロフィール入力インターフェース41に入力されるプロフィールデータの概略を説明する図である。
【0059】
図示のように、プロフィールデータD4は、本実施の形態では、ユーザU及び複数の他のユーザU1~UnのIDであるユーザIDd4a、及び居住人数や住居構成といったユーザU及び複数の他のユーザU1~Unのプロフィールd4bによって構成される。
【0060】
活動状態データ取得プログラム42は、処理データD3に設定された一定期間X内で任意に設定された特定期間Yにおいて、ユーザUの活動状態が活動状態データとしてユーザUに入力されることによって活動状態データを取得するプログラムである。
【0061】
図7は、本実施の形態に係る電力データ処理システム1の活動状態データ取得プログラム42で取得する活動状態データの概略を説明する図である。図示のように、活動状態データD5は、ユーザUが活動状態を把握した年月日d5a、及び起床、調理、就寝といったユーザUの活動状態d5bによって構成される。
【0062】
本実施の形態では、活動状態データ取得プログラム42によって、例えば「2018年4月1日に、ユーザUは午前6時に起床し、同午前8時に調理をし、同午後11時30分に就寝した」こと等が活動状態データD5として取得される。
【0063】
図8は、本実施の形態に係る電力データ処理システム1の人工知能プログラム34bにおけるデータ処理の概略を説明するブロック図、図9は、人工知能プログラム34bで生成される学習データを模式的に表した図である。
【0064】
図8で示すように、人工知能プログラム34bは、本実施の形態では、活動状態データ取得プログラム42で取得した活動状態データD5と、特定期間Yの処理データD3aとによって、学習データD6を生成する。
【0065】
一方、活動状態データD5が存在しないような場合、例えばユーザUが特定期間Yに活動状態d5bを入力していなかったような場合には、ユーザUのプロフィールd4bと近似するプロフィールd4bを有する複数の他のユーザU1~UnのプロフィールデータD4が参照される。
【0066】
本実施の形態では、ユーザUのプロフィールd4bと近似するプロフィールd4bを有する他のユーザU1のプロフィールデータD4が参照され、ユーザU1の活動状態データD5に基づいて生成された学習データD6によって、これ以降の処理が進められる。
【0067】
学習データD6は、図9(a)で模式的に示すように、特定期間Y内で予め設定された単位時間、本実施の形態では24時間において検知された処理データD3に含まれる電力データD1aに、この特定期間Yと対応する特定期間Yにおいて入力された活動状態データD5の活動状態d5bが重ね合わせられることによって構成される。
【0068】
本実施の形態では、ユーザUが特定期間Yにおいて入力した「午前0時に就寝」、「午前7時に起床」、「午前10時に掃除」等といった活動状態d5bが、特定期間Yの処理データD3に含まれる電力データD1aに重ね合わせられる。これによって、図9(b)に示すような学習データD6が生成される。
【0069】
さらに、人工知能プログラム34bは、生成した学習データD6で機械学習をすることによって、学習済みモデルD7を生成する。
【0070】
機械学習を行う手法としては、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、SVM(support vector machine)等、各種のアルゴリズムが適宜用いられる。
【0071】
図10は、人工知能プログラム34bで生成された学習データD6に基づいて学習済みモデルD7を生成する場合の概略を説明する図である。図示のように、学習済みモデルD7は、ユーザUの活動状態を機械学習したものであり、プロフィールデータD4及び処理データD3aを入力とし、活動状態d5bを出力する機械学習モデルにおいて、入力と出力との関係を満たすように自律的に調整することにより、学習済みモデルD7を生成する。
【0072】
学習済みモデルD7の生成に続いて、人工知能プログラム34bは、生成した学習済みモデルD7に基づいて、残余期間Zの処理データD3bに対応するユーザUの活動状態を推定する。
【0073】
図11は、学習済みモデルD7に基づいてユーザUの活動状態を推定する手順の概略を説明する図である。図示のように、例えば、2018年4月27日の24時間が単位時間T1として予め設定されている場合において、単位時間T1に対応する学習済みモデルD7aにより、単位時間T1が経過した時点で推定処理が行われる。
【0074】
一方、人工知能プログラム34bには、残余期間Z内の2018年4月28日の24時間が、単位時間T1に後続する新たな単位時間T2として予め設定されており、単位時間T2の経過後である時間t1に、単位時間T2に対応する学習済みモデルD7bにより、単位時間T2におけるユーザUの活動状態が推定される。
【0075】
人工知能プログラム34bにおいてユーザUの活動状態が推定されると、活動状態推定データD8が生成される。
【0076】
この活動状態推定データD8は、図12で示すように、残余期間Zの処理データD3bに、推定結果として活動状態d8が付加されることによって構成されており、本実施の形態では、例えば、残余期間Z内の2018年4月28日の午前7時にユーザUが起床したと推定されている。
【0077】
ところで、本実施の形態では、人工知能プログラム34bにおいて単位時間T1と単位時間T2との間に複数の単位時間が設定され、これら各単位時間において学習済みモデルD7が生成され、これらの学習済みモデルD7に基づいてユーザUの活動状態がそれぞれ推定される。
【0078】
この場合におけるユーザUの活動状態を推定する際の手順の概略を、図13及び図14に基づいて説明する。図示のように、本実施の形態では、人工知能プログラム34bにおいて、単位時間T1と単位時間T2との間に複数の単位時間が設定されている。
【0079】
例えば、2018年4月27日の24時間が単位時間T1として設定されている場合において、単位時間T1と時間帯を重複させつつ8時間の時間差が設けられて単位時間T1に後続する単位時間T1a(2018年4月27日~28日)が設定され、単位時間T1aと時間帯を重複させつつ8時間の時間差が設けられて単位時間T1aに後続する単位時間T1b(2018年4月27日~28日)が設定される。
【0080】
この単位時間T1bは、単位時間T2と時間帯が重複して8時間の時間差が設けられて設定されている。
【0081】
これら各単位時間T1~T2が経過した時点において、それぞれ学習済みモデルD7a~D7dが生成される。
【0082】
本実施の形態では、生成された学習済みモデルD7a~D7cに基づいて、単位時間T2のうち各単位時間T1~T1bと重複する時間帯におけるユーザUの活動状態がそれぞれ推定される。
【0083】
単位時間T2におけるユーザUの活動状態の推定に際しては、単位時間T1aにおいて生成された学習済みモデルD7aに基づいた推定結果、あるいは単位時間T1bにおいて生成された学習済みモデルD7bに基づいた推定結果が用いられる。
【0084】
例えば、単位時間T2の任意の時間t2(午前7時)においてユーザUの活動状態が推定されるに際しては、単位時間T1aに対応する学習済みモデルD7cにより、単位時間T1aの経過後である単位時間T2の時間t2において、ユーザUの活動状態が推定される。
【0085】
したがって、単位時間T1と単位時間T2との間に複数の単位時間T1a及びT1bが設定されない場合に対して、単位時間T2の任意の時間におけるユーザUの活動状態が早期に推定される。
【0086】
人工知能プログラム34bにおいてユーザUの活動状態が推定されると、活動状態推定データD8が生成される。
【0087】
一方、本実施の形態の人工知能プログラム34bでは、各単位時間T1~T1bにそれぞれ対応する学習済みモデルD7a、D7c及びD7dにより生成された推定結果のうち、任意の推定結果が選択されて、選択された推定結果に基づいて活動状態推定データD8が生成される。
【0088】
推定結果の選択は、まず、人工知能プログラム34bにおいて、各単位時間T1~T1bに対応する各学習済みモデルD7a、D7c及びD7dにより推定結果が生成される際に、これら各学習済みモデルD7a、D7c及びD7dで推定されたユーザUの活動状態推定d8が、活動状態d5bに一致する割合が高いか否かを自律的に評価する。
【0089】
しかる後、活動状態d5bに一致する割合が高いと自律的に評価した学習済みモデルに基づいて推定された推定結果を選択し、選択した推定結果に基づいて単位時間T2におけるユーザUの活動状態に関する活動状態推定データD8が生成される。
【0090】
したがって、複数の学習済みモデルD7a、D7c及びD7dのうち、学習精度の高い学習済みモデルD7に基づいて推定されたユーザUの活動状態が推定結果として選択されることから、推定結果も精度が高められることが期待される。
【0091】
活動状態推定データD8が生成されると、図8で示すように、ユーザ活動状態データD9が生成される。このユーザ活動状態データD9は、本実施の形態では、後処理プログラム34cによって生成される。
【0092】
このユーザ活動状態データD9は、本実施の形態では、ユーザUが見やすい各種の図表(例えば棒グラフや線グラフ等)を用いたインターフェースによって表現される。
【0093】
次に、本実施の形態に係る電力データ処理システム1の運用について説明する。
【0094】
なお、本実施の形態では、単位時間T1とT2との間に、単位時間T1a及び単位時間T1bが設定されている場合を例として説明する。
【0095】
図15は、本実施の形態に係る電力データ処理システム1の運用の概略を説明するフローチャートである。
【0096】
図示のように、ステップS1において、Bルート経路102を介してサーバ31に通信された一定期間Xの電力データD1が、サーバ31に格納された前処理プログラム34aに入力される。
【0097】
前処理プログラム34aに一定期間Xの電力データD1が入力されると、ステップS2において、前処理プログラム34aでは、電力データD1に含まれる年月日d1aに基づいて電力量属性データD2を付加して、処理データD3を生成する(前処理工程)。
【0098】
生成した処理データD3は、本実施の形態では、人工知能プログラム34bに入力される。
【0099】
一方、ステップS3において、活動状態データD5が活動状態データ取得プログラム42によって取得される場合(活動状態データ取得工程)は、取得された活動状態データD5がサーバ31の送受信部35を介して人工知能プログラム34bに入力される。
【0100】
このように、人工知能プログラム34bに入力された処理データD3と活動状態データD5とによって、ステップS4において、学習データD6が生成される。
【0101】
学習データD6が生成されると、人工知能プログラム34bは、ステップS5において、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、SVM等の各種のアルゴリズムが適宜用いられて、学習データD6に基づいて機械学習を行って、学習済みモデルD7を生成する。
【0102】
本実施の形態では、予め設定された単位時間T1に対応する学習済みモデルD7aが生成される。
【0103】
続いて、生成された学習済みモデルD7aに基づいて、人工知能プログラム34bは、ステップS6において、単位時間T1におけるユーザUの活動状態を自律的に推定する(活動状態推定工程)。
【0104】
次に、ステップS7において、単位時間が3回経過したか否か、すなわち単位時間T1bが経過したか否かが判定される。
【0105】
本実施の形態では、単位時間T1が経過した8時間後に、単位時間T1aが経過する。単位時間T1aが経過すると、ステップS2からステップS6までが繰り返される。
【0106】
このとき、ステップS5において、単位時間T1aが経過した時点において、学習済みモデルD7cが生成され、生成された学習済みモデルD7cに基づいて、人工知能プログラム34bは、ステップS6において、単位時間T1aにおけるユーザUの活動状態を自律的に推定する。
【0107】
同様に、単位時間T1aが経過した8時間後に、単位時間T1bが経過する。単位時間T1bが経過すると、ステップS2からステップS6までが繰り返される。
【0108】
このとき、ステップS5において、単位時間T1bが経過した時点において、学習済みモデルD7dが生成され、生成された学習済みモデルD7dに基づいて、人工知能プログラム34bは、ステップS6において、単位時間T1bにおけるユーザUの活動状態を自律的に推定する。
【0109】
ステップS7において、単位時間T1bに対応する推定処理が完了したと判定されると、ステップS8において、単位時間T1~T1bにそれぞれ生成された学習済みモデルD7a、D7c及びD7dに基づいた推定結果のうち、任意の推定結果(活動状態データD5に一致する割合が高いと自律的に評価した学習済みモデルに基づいたユーザUの活動状態の推定結果)が選択されて、選択された推定結果に基づいて、活動状態推定データD8が生成される。
【0110】
生成された活動状態推定データD8は、後処理プログラム34cによって処理されて、後処理プログラム34cによってユーザ活動状態データD9が生成される。
【0111】
このユーザ活動状態データD9は、本実施の形態では、ステップS9において、サーバ31の送受信部35を介してユーザUのスマートフォン40に通信される。
【0112】
これにより、ユーザUは、残余期間Zにおける活動状態の推定結果が通信されることから、一定期間XにおけるユーザUの活動状態の概略を把握することができる。
【0113】
サービス事業者30は、一定期間XにおけるユーザUの活動状態をユーザ活動状態データD9としてユーザUに提供することによって、サービス事業者30がユーザUに提供するサービスのレベルが向上する。
【0114】
一方、ステップS3において、活動状態データD5が活動状態データ取得プログラム42によって取得されない場合(活動状態データ取得工程)は、ステップS10において、ユーザUのプロフィールd4bと近似するプロフィールd4bを有する他のユーザU1の活動状態データD5が参照される。
【0115】
その後、ステップS11において、ユーザU1の活動状態データD5に基づいて生成された学習データD6によって生成された複数の学習済みモデルD7a、D7c及びD7dが適用され、単位時間T1~T1bにおけるユーザUの活動状態を自律的に推定する。
【0116】
このように、本実施の形態の電力データ処理システム1は、スマートメータ11aのBルート経路102を介して通信される30分電力量d1bに基づいて構成された一定期間Xの電力データD1に電力量属性データD2を付加して処理データD3を生成する前処理プログラム34aを備えることから、電力データD1及び電力量属性データD2に基づいて処理データD3の解析が可能となるように情報量が複合的に増大される。
【0117】
一方、電力データ処理システム1は、特定期間Yに取得された活動状態データD5と、この特定期間Yと対応する特定期間Yの処理データD3aとによって学習データD6が生成されることから、人工知能プログラム34bが機械学習を行う学習データD6を精密に生成することができる。
【0118】
このように、精密に生成される学習データD6に基づいて、本実施の形態の人工知能プログラム34bが機械学習を行って学習済みモデルD7を生成することから、人工知能プログラム34bは、この学習済みモデルD7に基づいて、残余期間Zの処理データD3bに対応するユーザUの活動状態を適切かつ詳細に推定することができる。
【0119】
特に、本実施の形態の電力データ処理システム1は、単位時間T1と単位時間T2との間に複数の単位時間T1a及びT1bが設定され、各単位時間T1~T2のそれぞれにおいて学習済みモデルD7a~D7dが生成される。
【0120】
この学習済みモデルD7a~D7dのうち、単位時間T2において各単位時間T1~T1bと重複する時間帯に生成された各学習済みモデルD7a、D7c及びD7dに基づいて、単位時間T2の任意の時間においてユーザUの活動状態が推定される。
【0121】
したがって、単位時間T2の任意の時間(本実施の形態では、例えば図13で示した時間t2)においてユーザUの活動状態が早期に推定される。
【0122】
しかも、本実施の形態の電力データ処理システム1は、各学習済みモデルD7a、D7c及びD7dのうち、活動状態データD5に一致する割合が高いと自律的に評価した学習済みモデルに基づいたユーザUの活動状態の推定結果が選択され、選択された推定結果に基づいて、活動状態推定データD8が生成される。
【0123】
したがって、複数の学習済みモデルD7a、D7c及びD7dのうち、学習精度の高い学習済みモデルに基づいてユーザUの活動状態が推定結果として選択されることから、推定結果も精度が高められることが期待される。
【0124】
さらに、本実施の形態では、活動状態データ取得プログラム42は、ユーザUの保有するスマートフォン40に格納されることから、配電設備11のユーザUがオンサイトである住宅10での活動状態を入力することができる。したがって、オンサイトの活動状態データD5が容易に取得される。
【0125】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。上記実施の形態では、「起床」、「調理」あるいは「就寝」といったように、ユーザUの複数の活動状態に基づいて学習済みモデルD7が生成される場合を説明したが、例えば「起床」についての学習済みモデルD7が生成されたり、「調理」についての学習済みモデルD7が生成されたりといったように、個別の活動ごとに学習済みモデルD7が生成されるように構成してもよい。
【0126】
上記実施の形態では、単位時間T1と単位時間T2との間に8時間の時間差を設けて単位時間T1a及びT1bが設定される場合を説明したが、8時間の時間差を変更することによって、単位時間の数を、要望に応じた単位時間の数に増減させることが可能である。
【0127】
上記実施の形態では、ユーザ活動状態データD9がユーザUのスマートフォン40に通信される場合を説明したが、ユーザUのコンピュータに通信されるように構成してもよいし、住宅10に備え付けられたHEMS11bのコントローラに通信されるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 電力データ処理システム
10 住宅
11 計測通信設備
11a スマートメータ
20 電気事業者
30 サービス事業者
31 サーバ
34 ストレージ
34a 前処理プログラム
34b 人口知能プログラム
40 スマートフォン(端末)
42 活動状態データ取得プログラム
D1 電力データ
d1b 30分電力量(電力量)
D3 処理データ
D5 活動状態データ
D6 学習データ
D7 学習済みモデル
D8 活動状態推定データ
X 一定期間
Y 特定期間
Z 残余期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15