(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】一重部分と二重部分とを有するシート材の画像処理装置及びシート材の画像処理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/898 20060101AFI20230420BHJP
D06H 3/08 20060101ALI20230420BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20230420BHJP
G06T 7/136 20170101ALI20230420BHJP
【FI】
G01N21/898 A
D06H3/08
G01N21/88 J
G06T7/136
(21)【出願番号】P 2018214085
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2021-05-31
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】597090907
【氏名又は名称】東都フォルダー工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 祐介
(72)【発明者】
【氏名】西尾 貴志
【合議体】
【審判長】樋口 宗彦
【審判官】松本 隆彦
【審判官】伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-128822(JP,A)
【文献】特開2003-57490(JP,A)
【文献】ウルトラアイ Master SCZ-4 取扱説明書,日本,株式会社プレックス,2013年,1~54頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/84-21/958
G01B11/0-11/30
D06H3/00-3/16
G06T1/00-1/60
G06T7/00-7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状素材が一重の一重部分と面状素材が二重の二重部分とを有するシート材を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されてきた前記シート材を撮像してシート材画像を得る撮像部と、
前記シート材画像から前記一重部分と前記二重部分との境界をマスクしたマスク付画像を得るマスク付与部と、
前記マスク付画像に基づいて前記シート材の欠陥を検出する検査部と、
を備え、
前記マスク付与部は、前記シート材画像の中で、重心付近の明るさより所定の閾値以上の明るい領域又は所定の閾値以下の暗い領域を前記二重部分の領域として抽出し、
前記二重部分の領域以外の領域を前記一重部分の領域として抽出し、
前記二重部分の領域と前記一重部分の領域との境界形状を検出し、
前記境界形状を構成する画素を基に膨張処理を施し、前記境界形状を構成する画素から所定範囲にわたるマスク領域を作成して、前記シート材画像に前記マスク領域を付加したマスク付画像を得る、
一重部分と二重部分とを有するシート材の画像処理装置。
【請求項2】
前記撮像部は、拡散反射光による画像を得る、請求項1に記載のシート材の画像処理装置。
【請求項3】
面状素材が一重の一重部分と面状素材が二重の二重部分とを有するシート材画像を得るステップと、
前記シート材画像の重心付近の明るさを算出するステップと、
前記重心付近の明るさより所定の閾値以上の明るい領域又は所定の閾値以下の暗い領域を前記二重部分の領域として抽出するステップと、
前記シート材画像の中で、前記二重部分の領域以外の領域を前記一重部分の領域とするステップと、
前記二重部分の領域と前記一重部分の領域との境界形状を検出するステップと、
前記境界形状を構成する画素を基に膨張処理を施し、前記境界形状を構成する画素から所定範囲にわたるマスク領域を作成して、前記シート材画像に前記マスク領域を付加したマスク付画像を得るステップと、
前記マスク付画像に基づいて前記シート材の欠陥を検出するステップと、
を含む、シート材の画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚布部分と2枚布部分とを有する額縁包布等の一重部分と二重部分とを有するシート材の画像処理装置及びシート材の画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リネンサプライ業界では、タオル(バスタオル、フェイスタオル)、シーツ等の大量の洗濯物が処理される。この洗濯物は、使用された結果、穴が開いたり汚れが付着した場合には人によってチェックされて不良品として除外される。また、この洗濯物のチェックを自動化することが試みられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シーツには1枚布で構成されたフラットシーツの他に、一部が2枚布地部分(二重部分)で構成された袋状シーツが存在する。例えば、二重部分が額縁状になったいわゆるボックスシーツやフィットシーツと呼ばれる構造や、少なくとも一縁部が袋状になったクイックシーツ、ポケットシーツ、Mシーツ等と呼ばれる構造がある。
しかし、上記特許文献1に記載の検査装置では、上記のように1枚布部分(一重部分)と2枚布部分(二重部分)とを有する袋状シーツの場合に、一重部分と二重部分との間の境界の陰影を汚れとして誤検出することがある。
【0005】
そこで、本発明は、一重部分と二重部分とを有するシート材であっても、その一重部分と二重部分との間の境界を汚れ等とする誤検出を抑制できる画像が得られる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一重部分と二重部分とを有するシート材の画像処理装置は、面状素材が一重の一重部分と面状素材が二重の二重部分とを有するシート材を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されてきた前記シート材を撮像してシート材画像を得る撮像部と、
前記シート材画像から前記一重部分と前記二重部分との境界をマスクしたマスク付画像を得るマスク付与部と、
を備える。
【0007】
本発明に係るシート材の画像処理方法は、面状素材が一重の一重部分と面状素材が二重の二重部分とを有するシート材の画像を得るステップと、
前記シート材画像の重心付近の明るさを算出するステップと、
前記重心付近の明るさより所定の閾値以上の明るい領域を前記二重部分の領域として抽出するステップと、
前記シート材画像の中で、前記二重部分の領域以外の領域を前記一重部分の領域とするステップと、
前記二重部分の領域と前記一重部分の領域との境界を検出するステップと、
前記境界から所定範囲にわたるマスク領域を作成して、前記シート材画像に前記マスク領域を付加したマスク付画像を得るステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るシート材の画像処理装置及びシート材の画像処理方法によれば、一重部分と二重部分とを有するシート材であっても、その一重部分と二重部分との間の境界を汚れ等とする誤検出を抑制できる画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示す平面図である。
【
図2】
図1の画像処理装置の鉛直方向とシート材の搬送方向とに垂直な方向から見た撮像光学系の構成を示す概略図である。
【
図3】実施の形態1に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3の画像処理装置のマスク付与部によって実行されるマスク付与方法のフローチャートである。
【
図5A】実施例1における一重部分と二重部分とを有するシート材の画像の一例である。
【
図6】
図5Aの画像において、一重部分と二重部分との境界をマスクしたマスク付画像を示す図である。
【
図7A】実施例2における一重部分と二重部分とを有するシート材の画像の一例である。
【
図7B】
図7Aの画像において、一重部分と二重部分との境界をマスクしたマスク付画像を示す図である。
【
図8A】実施例3における一重部分と二重部分とを有するシート材の画像の一例である。
【
図8B】
図8Aの画像において、一重部分と二重部分との境界をマスクしたマスク付画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の態様に係る一重部分と二重部分とを有するシート材の画像処理装置は、面状素材が一重の一重部分と面状素材が二重の二重部分とを有するシート材を搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送されてきた前記シート材を撮像してシート材画像を得る撮像部と、
前記シート材画像から前記一重部分と前記二重部分との境界をマスクしたマスク付画像を得るマスク付与部と、
を備える。
【0011】
通常、シート材の二重の袋状になった口の部分は折り返して縫って三重になっている。この厚くなった三重部分の影響で一重部分と二重部分の境界が周囲に比べて黒く影のように撮像される。従って、上記構成のように、この三重部分の影をエッジ強調フィルタ等で抽出することで境界を検出し、境界をマスクすることができる。
【0012】
第2の態様に係る画像処理装置は、上記第1の態様において、前記マスク付与部は、前記シート材画像から前記二重部分の領域を抽出し、
前記得られた画像の中で、前記二重部分以外の領域を一重部分として検出し、
前記二重部分の領域と前記一重部分の領域との境界を検出し、
前記境界から所定範囲にわたるマスク領域を作成して、前記シート材画像に前記マスク領域を付加したマスク付画像を得てもよい。
【0013】
第3の態様に係る画像処理装置は、上記第2の態様において、前記シート材画像の中で、重心付近の明るさより所定の閾値以上の明るい領域又は所定の閾値以下の暗い領域を二重部分の領域として検出してもよい。
【0014】
上記三重部分の影はシート材のシワ等との判別が難しい場合がある。そこで、上記構成のように、重心付近の明るさと比較で二重部を検出するほうが、よりロバストに境界をマスクすることができる。
【0015】
第4の態様に係る画像処理装置は、上記第1から第3のいずれかの態様において、前記撮像部は、拡散反射光による画像を得てもよい。
【0016】
第5の態様に係る画像処理装置は、上記第1から第4のいずれかの態様において、前記マスク付画像に基づいて前記シート材の欠陥を検出する検査部をさらに備えてもよい。
【0017】
第6の態様に係るシート材の画像処理方法は、面状素材が一重の一重部分と面状素材が二重の二重部分とを有するシート材画像を得るステップと、
前記シート材画像の重心付近の明るさを算出するステップと、
前記重心付近の明るさより所定の閾値以上の明るい領域を前記二重部分の領域として抽出するステップと、
前記シート材画像の中で、前記二重部分の領域以外の領域を前記一重部分の領域とするステップと、
前記二重部分の領域と前記一重部分の領域との境界を検出するステップと、
前記境界から所定範囲にわたるマスク領域を作成して、前記シート材画像に前記マスク領域を付加したマスク付画像を得るステップと、
を含む。
【0018】
以下、実施の形態に係る一重部分と二重部分とを有するシート材の画像処理装置及びシート材の画像処理方法について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0019】
(実施の形態1)
<シート材の画像処理装置>
図1は、実施の形態1に係る画像処理装置10の構成を示す平面図である。
図2は、
図1の画像処理装置の鉛直方向とシート材の搬送方向とに垂直な方向から見た撮像光学系の構成を示す概略図である。
図3は、実施の形態1に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。なお、図では、便宜上、シート材1の搬送方向をX方向、シート材の搬送方向に垂直な幅方向をY方向、鉛直上方をZ方向として示している。
【0020】
実施の形態1に係る画像処理装置10は、一重部分と二重部分とを有するシート材1を搬送する搬送部11と、搬送部11によって搬送されてきたシート材1を撮像してシート材画像を得る撮像部14と、マスク付画像を得るマスク付与部35aと、を備える。シート材1は、例えば、
図5Aに示すように、面状素材が一重の一重部分2と面状素材が二重の二重部分4とを有する。二重部分4は両側部(
図5Aでいう上下の縁部)が閉じられて袋状になっている。マスク付与部35aは、得られた画像から二重部分の領域を検出し、一重部分の領域と二重部分の領域との境界をマスクしたマスク付画像を得る。なお、マスク付与部35aは、後述するようにコンピュータ装置で実行可能なプログラムであってもよい。
これによって、
図5A等に示すように、一重部分2と二重部分4とを有するシート材1であっても、その一重部分2と二重部分4との間の境界3を汚れ等とする誤検出を抑制できる画像が得られる。
【0021】
以下に、この画像処理装置10を構成する構成部材について説明する。
【0022】
<搬送部>
搬送部11によってシート材1を検査台12に搬送する。搬送部11は、例えば、ベルトコンベアを用いることができる。
【0023】
<検査台>
検査台12は、例えば黒色の検査台を用いることができる。
【0024】
<光源部>
光源部13には、例えば、ランプ、LED等の通常の光源であれば使用できる。好ましくは均一な拡散光を照射する拡散照明がよい。
【0025】
<撮像部>
撮像部14は、
図2に示すように、光源13a、13bと同じ上方に配置される。また、撮像部14は、光源13a、13bに対して正反射位置にはなく、拡散反射光による画像を得ることができる。撮像部14によって、シート材1の画像を得ることができる。
撮像部14は、ラインカメラ又はエリアカメラを用いることができる。また、撮像部14は、例えば、CCD、CMOS等の撮像素子と、撮像素子を制御する撮像制御手段とを含んでもよい。
なお、撮像部14は、シート材1に対して光源13a、13bの反対側に設置してもよい。この場合は、光源13a、13bは透過光照明として機能する。透過光照明で撮像する場合は、検査台12は照明に干渉しない位置(シート材1から離れた位置、例えば
図2の撮像部14の位置)に設置すればよい。
【0026】
<制御部(コンピュータ装置)>
制御部30は、例えば、コンピュータ装置である。このコンピュータ装置としては、汎用的なコンピュータ装置を用いることができ、例えば、
図3に示すように、処理部31、記憶部32、表示部33を含む。なお、さらに、入力装置、記憶装置、インタフェース等を含んでもよい。
制御部30によって、搬送部11と、光源部13と、撮像部14と、を制御する。
【0027】
<処理部>
処理部31は、例えば、中央処理演算子(CPU)、マイクロコンピュータ、又は、コンピュータで実行可能な命令を実行できる処理装置であればよい。
【0028】
<記憶部>
記憶部32は、例えば、ROM、EEPROM、RAM、フラッシュSSD、ハードディスク、USBメモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の少なくとも一つであってもよい。
記憶部32には、プログラム35を含む。なお、制御部30がネットワークに接続されている場合には、必要に応じてプログラム35をネットワークからダウンロードしてもよい。
【0029】
<プログラム>
プログラム35には、マスク付与部35aを含んでいればよい。マスク付与部35aは、実行時には、記憶部32から読み出されて処理部31にて実行される。このマスク付与部35aによって、マスク付画像を得ることができる。
<マスク付与部(マスク付与方法)>
図4は、
図3の画像処理装置のマスク付与部によって実行されるマスク付与方法のフローチャートである。このマスク付与部35aのプログラムについて、
図4のフローチャートを用いて説明する。
(1)まず、検査台が黒バックである場合のシート材の黒バックの画像を得る(S01)。例えば、
図5A、
図7A、
図8Aに示すような画像が得られる。
(2)次に、得られた黒バックの画像のシート材の重心付近の明るさとして、例えば平均明度(平均濃度)を算出する(S02)。なお、ここでは、シート材の重心、つまり中心には、通常、一枚布しかない一重部分が存在することを前提としている。つまり、ここでいう「平均明度」とは、一枚布の一重部分の平均濃度である。そこで、中心に二枚布の二重部分が存在する場合には、重心ではなく、一枚布しかない一重部分である箇所から平均明度を算出するようにすればよい。平均明度を算出する領域は一重部分全体でもよいし、所定の一部分の領域でもよい。
(3)次いで、シート材の重心付近の平均明度より所定の閾値以上の明るい領域を抽出する(S03、
図5B)。この抽出した領域がシート材の2重部分である。つまり、黒バックであるので、一枚布の一重部分よりも二枚布の二重部分の明度がより高くなる。なお、透過光照明で撮像している場合は、シート材の重心付近の平均明度より所定の閾値以下の暗い領域を抽出する。透過光照明であるので、一枚布の一重部分よりも二枚布の二重部分の明度が低くなるからである。
(4)黒バックの画像の中で、上記二重部分以外の領域を一重部分の領域とする(S04)。
(5)さらに、抽出した二重部分の領域とそれ以外の一重部分の領域との境界を抽出する(S05)。この場合、境界は、二重部分と一重部分との間である。
(6)次いで、その境界から所定範囲にわたるマスク領域を作成して、上記画像に上記マスク領域を付加したマスク付画像を得る(S06、
図6、
図7B、
図8B)。この場合、境界の形状(境界形状)に基づいてマスク領域を作成する。例えば、境界形状を構成する画素から所定数の画素までをマスク領域としてもよいし、境界形状を構成する画素を基に膨張処理を施してマスク領域を作成してもよい。なお、マスク領域は、一重部分と二重部分との境界から所定範囲にわたる領域である。そこで、二重部分がシート部分の一端にある場合に限られず、両端にある場合、周囲にある場合であってもマスク領域を付加できる。
以上によって、一重部分と二重部分との境界をマスクしたマスク付画像を得ることができる。これによって、一重部分と二重部分との間の境界を汚れ等とする誤検出を抑制できる。
【0030】
なお、必要に応じて検査部35bを含んでいてもよい。検査部35bによって、例えば、マスク付与部35aによって得られたマスク付画像8に基づいて、シート材の欠陥を検査できる。シート材の欠陥としては、例えば、穴、汚れ等である。この検査部35bも、実行時には、記憶部32から読み出されて処理部31にて実行される。
本発明は、一重部分と二重部分の境界形状を正確に抽出できるため、境界形状に基づいてマスク領域を作成することで、マスク領域を最小限に抑えることができ、より高精度な検査が可能となる。
【0031】
<表示部>
表示部33は、例えば、マスク付与部35aによって得られたマスク付画像8を表示できればよい。
【0032】
(実施例1)
図5Aは、実施例1における一重部分2と二重部分4とを有するシート材1の画像の一例である。
図5Bは、
図5Aの画像から抽出した二重部分4を示す図である。
図6は、
図5Aの画像において、一重部分2と二重部分4との境界をマスク領域6でマスクしたマスク付画像8を示す図である。
図5Aに示すように、一重部分2と二重部分4とを有するシート材1は、黒バックで撮像すると、一重部分2より二重部分4がより明るい画像が得られる。これは、反射光で撮像した場合に、一枚布の一重部分の方が背景の色がより透過して見えるためである。特に黒バックの画像で両者の間で所定の閾値を超える明度差が生じる。透過光で撮像した場合は、その逆で二重部分4より一重部分2がより明るい画像が得られる。一重部分の方が透過率が高いからである。
そこで、シート材画像のシート材1の重心付近の平均明度を算出し、平均明度より所定の閾値以上の明るい領域を二重部分4の領域として抽出する。
次いで、シート材画像の中で、上記二重部分4の領域以外の領域を一重部分2とし、一重部分2と二重部分4との境界3を検出する。
その境界3から所定範囲にわたるマスク領域6を作成して、上記シート材画像に上記マスク領域6を付加したマスク付画像8を得る。
【0033】
(実施例2)
図7Aは、実施例2における一重部分2と二重部分4とを有するシート材1の画像の一例である。
図7Bは、
図7Aの画像において、一重部分2と二重部分4との境界をマスク領域6でマスクしたマスク付画像を示す図である。
この実施例2においても実施例1と同様に一重部分2と二重部分4との境界をマスク領域6でマスクしたマスク付画像8aを得ることができる。
【0034】
(実施例3)
図8Aは、実施例3における一重部分2と二重部分4とを有するシート材1の画像の一例である。
図8Bは、
図8Aの画像において、一重部分2と二重部分4との境界をマスク領域6でマスクしたマスク付画像を示す図である。
実施例3においても実施例1及び2と同様に一重部分2と二重部分4との境界をマスク領域6でマスクしたマスク付画像8bを得ることができる。
【0035】
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係るシート材の画像処理装置及びシート材の画像処理方法によれば、一重部分と二重部分とを有するシート材であっても、その一重部分と二重部分との間の境界を汚れ等とする誤検出を抑制できる画像が得られる。そこで、1枚布部分と2枚布部分とを有する額縁包布等の一重部分と二重部分とを有するシート材の画像処理に有用である。
【符号の説明】
【0037】
1、1a、1b シート材
2 一重部分
3 境界
4 二重部分
6 マスク領域
8、8a、8b マスク付画像
10 画像処理装置
11 搬送部
12 検査台
13、13a、13b 光源部
14、14a、14b、14c 撮像部
30 制御部(コンピュータ装置)
31 処理部
32 記憶部
33 表示部
35 プログラム
35a マスク付与部
35b 検査部