(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】加熱装置および加熱装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/02 20060101AFI20230420BHJP
H05B 3/74 20060101ALI20230420BHJP
H05B 3/06 20060101ALI20230420BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
H05B3/02 B
H05B3/74
H05B3/06 B
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019095077
(22)【出願日】2019-05-21
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 和孝
(72)【発明者】
【氏名】駒津 貴久
(72)【発明者】
【氏名】辻他 雅夫
【審査官】八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-179897(JP,A)
【文献】特開2008-130609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に略直交する第1の表面および第2の表面を有する板状であり、発熱抵抗体を有する保持体と、
前記第1の方向に延びる柱状であり、前記保持体の前記第2の表面に接合された柱状支持体と、
前記保持体の前記第2の表面に配置された複数の給電電極と、
前記第1の方向に延びる複数の端子部材であって、それぞれ、前記複数の給電電極に電気的に接続された複数の端子部材と、
前記端子部材の一方の端部に接合され、前記端子部材と前記給電電極とを電気的に接続する接続部と、
を備え、前記保持体の前記第1の表面上に保持された対象物を加熱する加熱装置において、さらに、
前記柱状支持体の内部に、前記柱状支持体とは別体として設けられた収容部材、を備え、
前記収容部材には、前記第1の方向に延びる複数の貫通孔が形成されており、
前記貫通孔の数は、前記端子部材の数と同数以上であり、
前記複数の端子部材は、それぞれ、前記複数の貫通孔の内の異なる貫通孔に収容され、
前記貫通孔の少なくとも一部の径は、前記端子部材のうちの前記収容部材に収容された部分の少なくとも一部の径と同径であ
り、
前記保持体は、前記第2の表面に凹部を有し、
前記収容部材は、前記保持体の前記第2の表面に対向する表面に、前記凹部と係合し、かつ、前記第1の方向に略直交する第2の方向への相対移動が規制されるように設けられた凸部を有する、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
第1の方向に略直交する第1の表面および第2の表面を有する板状であり、発熱抵抗体を有する保持体と、
前記第1の方向に延びる柱状であり、前記保持体の前記第2の表面に接合された柱状支持体と、
前記保持体の前記第2の表面に配置された複数の給電電極と、
前記第1の方向に延びる複数の端子部材であって、それぞれ、前記複数の給電電極に電気的に接続された複数の端子部材と、
前記端子部材の一方の端部に接合され、前記端子部材と前記給電電極とを電気的に接続する接続部と、
を備え、前記保持体の前記第1の表面上に保持された対象物を加熱する加熱装置において、さらに、
前記柱状支持体の内部に、前記柱状支持体とは別体として設けられた収容部材、を備え、
前記収容部材には、前記第1の方向に延びる複数の貫通孔が形成されており、
前記貫通孔の数は、前記端子部材の数と同数以上であり、
前記複数の端子部材は、それぞれ、前記複数の貫通孔の内の異なる貫通孔に収容され、
前記貫通孔の少なくとも一部の径は、前記端子部材のうちの前記収容部材に収容された部分の少なくとも一部の径と同径であり、
前記収容部材に形成された前記貫通孔の、前記保持体の前記第2の表面に対向する側の端部は、径が拡大された拡径部、を備え、
前記接続部の少なくとも一部分は、前記拡径部を画定する内面と、前記収容部材における前記保持体の前記第2の表面に対向する表面で形成される拡径空間内に配置されている、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項3】
第1の方向に略直交する第1の表面および第2の表面を有する板状であり、発熱抵抗体を有する保持体と、
前記第1の方向に延びる柱状であり、前記保持体の前記第2の表面に接合された柱状支持体と、
前記保持体の前記第2の表面に配置された複数の給電電極と、
前記第1の方向に延びる複数の端子部材であって、それぞれ、前記複数の給電電極に電気的に接続された複数の端子部材と、
前記端子部材の一方の端部に接合され、前記端子部材と前記給電電極とを電気的に接続する接続部と、
を備え、前記保持体の前記第1の表面上に保持された対象物を加熱する加熱装置において、さらに、
前記柱状支持体の内部に、前記柱状支持体とは別体として設けられた収容部材、を備え、
前記収容部材には、前記第1の方向に延びる複数の貫通孔が形成されており、
前記貫通孔の数は、前記端子部材の数と同数以上であり、
前記複数の端子部材は、それぞれ、前記複数の貫通孔の内の異なる貫通孔に収容され、
前記貫通孔の少なくとも一部の径は、前記端子部材のうちの前記収容部材に収容された部分の少なくとも一部の径と同径であり、
前記収容部材の形成材料における熱伝導率は、前記保持体の形成材料における熱伝導率より低い、
ことを特徴とする加熱装置。
【請求項4】
第1の方向に略直交する第1の表面および第2の表面を有する板状であり、発熱抵抗体を有する保持体、を備え、前記保持体の前記第1の表面上に保持された対象物を加熱する加熱装置の製造方法において、
複数の給電電極が前記第2の表面に配置された前記保持体を準備する第1の工程と、
前記保持体と、柱状支持体と、前記保持体と前記柱状支持体との間に配置された接合前接合部とを配置し、かつ、加熱することにより、前記保持体と前記柱状支持体とを接合する接合部を形成する第2の工程と、
前記複数の給電電極の、前記保持体における前記第2の表面に対向する表面とは反対側の表面に、複数の接続前接続部を配置する第3の工程と、
前記第1の方向に延びる複数の貫通孔が形成された収容部材を、前記第1の方向において、前記複数の貫通孔と前記複数の給電電極とがそれぞれ重なるように、前記柱状支持体の内部に配置する第4の工程と、
前記複数の貫通孔内へ複数の端子部材をそれぞれ挿入し、加熱することにより、前記複数の端子部材と前記複数の給電電極とを接続する複数の接続部を形成する第5の工程と、を備え、
前記収容部材に形成された前記貫通孔の少なくとも一部の径は、前記端子部材のうちの前記収容部材に収容される部分の少なくとも一部の径と同径である、
ことを特徴とする加熱装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物(例えば、半導体ウェハ)を保持しつつ所定の処理温度(例えば、400~650℃程度)に加熱する加熱装置(「サセプタ」とも呼ばれる)が知られている。加熱装置は、例えば、成膜装置(CVD成膜装置やスパッタリング成膜装置等)やエッチング装置(プラズマエッチング装置等)といった半導体製造装置の一部として使用される。
【0003】
一般に、加熱装置は、所定の方向に略直交する表面(以下、「保持面」という。)と、保持面とは反対側の表面(以下、「裏面」という。)とを有する保持体を備える。保持体には、発熱抵抗体であるヒータ電極が配置されている。ヒータ電極には、ビア導体等を介して給電電極(「電極パッド」とも呼ばれる。)が電気的に接続されている。給電電極は、保持体の裏面に配置されている。給電電極には、接続部(例えばロウ付け)により端子部材が接合されている。端子部材および給電電極を介してヒータ電極に電圧が印加されると、ヒータ電極が発熱し、保持体の保持面上に保持された対象物が加熱される。また、柱状支持体には、保持体の裏面側に開口する複数の貫通孔が形成されており、各貫通孔には、各給電電極に対して例えばロウ付けにより接続された端子部材が収容されている。端子部材および給電電極を介して発熱抵抗体に電圧が印加されると、発熱抵抗体が発熱し、保持体の保持面上に保持された対象物(例えば、半導体ウェハ)が例えば400~650℃程度に加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
端子部材は、比較的長尺であるため、揺動することにより端子部材と給電電極とを接合する接続部(例えばロウ付け部)に発生する応力(モーメント)によって、該接続部(例えばロウ付け部)付近(換言すれば、給電電極付近)において保持体にクラックが発生したり、端子部材が給電電極から脱離したりするおそれがある。このため、上記従来の加熱装置のように、複数の端子部材のそれぞれを貫通孔に個別に収容することにより、端子部材を支持することが好ましい。
【0006】
上記従来の加熱装置においては、柱状支持体自体に貫通孔が形成されている。このような構成では、柱状支持体において、貫通孔のある部分と、貫通孔のない部分とで、保持体からの熱引きの大きさが異なり、保持面上に温度特異点が発生する原因となる。このため、当該貫通孔の大きさ(例えば、貫通孔の径)をできるだけ小さくすることが好ましい。貫通孔の大きさを小さくすることに応じて、貫通孔に収容される端子部材の大きさ(例えば、端子部材の径)も小さくすることが必要である。しかしながら、端子部材と給電電極との接続強度を確保するためには、十分な大きさの(例えば、第1の方向視において、接続部の径が端子部材の径より大きい)接続部が必要である。
【0007】
ここで、従来の加熱装置においては、柱状支持体を保持体に接合後、接続部を柱状支持体に形成された貫通孔内に挿通し、当該接続部を介して、端子部材を給電電極に接合している。そのため、第1の方向視において、端子部材の径より大きい径を有する接続部を上記貫通孔内に挿通するためには、当該貫通孔の全体において、当該貫通孔の大きさ(例えば、貫通孔の径)を接続部の大きさ(例えば、接続部の径)よりも大きい径とする必要がある。しかしながら、上記貫通孔の径を接続部の径より大きくすると、貫通孔の径は端子部材の径より大きくなる。このため、当該貫通孔の内部で端子部材が揺動し、給電電極付近において保持体にクラックが発生したり、端子部材が給電電極から脱離したりするおそれがある。
【0008】
また、上記貫通孔の全体における径を、端子部材の径および接続部の径よりも大きくすることが必要であると、換言すれば、貫通孔の全体における径を十分に小さくすることができないと、柱状支持体において、貫通孔のある部分と、貫通孔のない部分とで、保持体からの熱引きの大きさが異なるため、保持面上に温度特異点が発生する原因となり、ひいては、保持面の温度が不均一になるおそれがある。このように、従来の加熱装置では、給電電極付近の保持体におけるクラック発生の抑制、または、端子部材の給電電極からの脱離の抑制と、保持面の均熱性との両立の点で、向上の余地がある。
【0009】
なお、このような課題は、保持体と、保持体に配置された発熱抵抗体と、発熱抵抗体と電気的に接続された給電電極と、端子部材と、端子部材の一方の端部に接合され、当該端子部材と給電電極とを電気的に接続する接続部とを備え、保持体の表面上に対象物を保持する加熱装置一般に共通の課題である。
【0010】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0012】
(1)本明細書に開示される加熱装置は、第1の方向に略直交する第1の表面および第2の表面を有する板状であり、発熱抵抗体を有する保持体と、前記第1の方向に延びる柱状であり、前記保持体の前記第2の表面に接合された柱状支持体と、前記保持体の前記第2の表面に配置された複数の給電電極と、前記第1の方向に延びる複数の端子部材であって、それぞれ、前記複数の給電電極に電気的に接続された複数の端子部材と、前記端子部材の一方の端部に接合され、前記端子部材と前記給電電極とを電気的に接続する接続部と、を備え、前記保持体の前記第1の表面上に保持された対象物を加熱する加熱装置において、さらに、前記柱状支持体の内部に、前記柱状支持体とは別体として設けられた収容部材、を備え、前記収容部材には、前記第1の方向に延びる複数の貫通孔が形成されており、前記貫通孔の数は、前記端子部材の数と同数以上であり、前記複数の端子部材は、それぞれ、前記複数の貫通孔の内の異なる貫通孔に収容され、前記貫通孔の少なくとも一部の径は、前記端子部材のうちの前記収容部材に収容された部分の少なくとも一部の径と同径である。
【0013】
このように、本加熱装置では、上記収容部材が柱状支持体とは別体であるため、柱状支持体と収容部材とが一体である構成と比較して、柱状支持体の製造が容易である。また、収容部材が柱状支持体とは別体であることにより、柱状支持体を保持体に接合し、接続部(端子部材との接続前の状態である接続前接続部)を配置した後に、収容部材を配置することができる。すなわち、本加熱装置では、上記接続前接続部を収容部材に形成された貫通孔に挿通することを要しないため、貫通孔の全体に亘って当該貫通孔の径を接続部(接続前接続部)の大きさに合わせる必要がなく、接続部(接続前接続部)の大きさ(例えば、径)を十分に確保できる。換言すれば、貫通孔のうち接続部に対応する必要な部分のみ、接続部に対応する大きさ(径)とすることができる。このため、接続部に対応する必要な部分以外は、端子部材の大きさ(例えば、径)に合わせて貫通孔の大きさ(例えば、径)を小さくすることができる。このように、本加熱装置では、接続部の大きさ(例えば、径)を十分に確保できるため、端子部材と給電電極との間の接続強度を向上させ、ひいては、端子部材の給電電極からの脱離を抑制することができる。また、貫通孔の大きさ(例えば、径)を小さくすることができるため、保持面上に温度特異点が発生することを抑制することができ、ひいては、保持面の均熱性を確保することができる。
【0014】
また、本加熱装置における収容部材には、第1の方向に延びる複数の貫通孔が形成されており、上記複数の端子部材が、それぞれ、当該複数の貫通孔のうちの異なる貫通孔に収容されている。更には、当該貫通孔の少なくとも一部の径は、上記端子部材のうちの収容部材に収容された部分の少なくとも一部の径と同径である。このため、収容部材に形成された貫通孔の少なくとも一部の内周面、すなわち、端子部材のうちの収容部材に収容された部分の少なくとも一部の径と同径である貫通孔の内周面によって、端子部材を支持することができる。従って、本加熱装置によれば、保持面の均熱性を確保するとともに、端子部材の揺動を抑制しつつ、端子部材と給電電極との間の接続強度を向上させ、ひいては、給電電極付近の保持体におけるクラック発生を抑制し、または、端子部材の給電電極からの脱離の抑制することができる。
【0015】
(2)上記加熱装置において、前記保持体は、前記第2の表面に凹部を有し、前記収容部材は、前記保持体の前記第2の表面に対向する表面に、前記凹部と係合し、かつ、前記第1の方向に略直交する第2の方向への相対移動が規制されるように設けられた凸部を有する構成としてもよい。本加熱装置によれば、保持体の第2の表面に形成された給電電極に対する端子部材の第2の方向への相対移動が規制される。従って、本加熱装置によれば、端子部材と給電電極との間に位置する接続部に第2の方向の応力が集中することを抑制することができ、ひいては、給電電極付近の保持体におけるクラック発生の抑制、または、端子部材の給電電極からの脱離の抑制をより効果的に抑制することができる。
【0016】
(3)上記加熱装置において、さらに、前記接続部は、前記給電電極と前記端子部材との間に配置された、導電性を有する緩衝部材と、前記端子部材と前記緩衝部材とを接合する第1のロウ付け部と、前記給電電極と前記緩衝部材とを接合する第2のロウ付け部と、を備え、前記緩衝部材の形成材料における熱膨張係数は、前記給電電極の形成材料における熱膨張係数以上であり、かつ、前記端子部材の形成材料における熱膨張係数以下である構成としてもよい。本加熱装置によれば、緩衝部材が、給電電極と端子部材との間の熱膨張差を緩和する機能を担うことができる。従って、本加熱装置によれば、給電電極付近の保持体におけるクラック発生の抑制、または、端子部材の給電電極からの脱離の抑制をより効果的に抑制することができる。
【0017】
(4)上記加熱装置において、前記収容部材に形成された前記貫通孔の、前記保持体の前記第2の表面に対向する側の端部は、径が拡大された拡径部、を備え、前記接続部の少なくとも一部分は、前記拡径部を画定する内面と、前記収容部材における前記保持体の前記第2の表面に対向する表面で形成される拡径空間内に配置されている構成としてもよい。本加熱装置によれば、充分な量の接続部を配置することができ、ひいては、給電電極と端子部材との間の接合をより強固にすることができる。従って、本加熱装置によれば、給電電極付近の保持体におけるクラック発生の抑制、または、端子部材の給電電極からの脱離の抑制をより効果的に抑制することができる。
【0018】
(5)上記加熱装置において、前記収容部材の形成材料における熱伝導率は、前記保持体の形成材料における熱伝導率より低い構成としてもよい。本加熱装置によれば、収容部材の形成材料における熱伝導率が、保持体の形成材料における熱伝導率と同等以上である構成と比較して、保持体からの収容部材を介した熱引きを抑制することができる。
【0019】
(6)本明細書に開示される加熱装置の製造方法は、第1の方向に略直交する第1の表面および第2の表面を有する板状であり、発熱抵抗体を有する保持体、を備え、前記保持体の前記第1の表面上に保持された対象物を加熱する加熱装置の製造方法において、複数の給電電極が前記第2の表面に配置された前記保持体を準備する第1の工程と、前記保持体と、柱状支持体と、前記保持体と前記柱状支持体との間に配置された接合前接合部とを配置し、かつ、加熱することにより、前記保持体と前記柱状支持体とを接合する接合部を形成する第2の工程と、前記複数の給電電極の、前記保持体における前記第2の表面に対向する表面とは反対側の表面に、複数の接続前接続部を配置する第3の工程と、前記第1の方向に延びる複数の貫通孔が形成された収容部材を、前記第1の方向において、前記複数の貫通孔と前記複数の給電電極とがそれぞれ重なるように、前記柱状支持体の内部に配置する第4の工程と、前記複数の貫通孔内へ複数の端子部材をそれぞれ挿入し、加熱することにより、前記複数の端子部材と前記複数の給電電極とを前記接続する複数の接続部を介してそれぞれ接続する形成する第5の工程と、を備え、前記収容部材に形成された前記貫通孔の少なくとも一部の径は、前記端子部材のうちの前記収容部材に収容される部分の少なくとも一部の径と同径である構成としてもよい。
【0020】
本加熱装置の製造方法では、上記本加熱装置による効果と同様に、柱状支持体と収容部材とが一体である構成と比較して、柱状支持体の製造が容易である。また、上記本加熱装置による効果と同様に、接続部の大きさ(例えば、径)を十分に確保できるため、端子部材と給電電極との間の接続強度を向上させ、ひいては、端子部材の給電電極からの脱離を抑制することが可能な加熱装置を製造することができる。また、上記本加熱装置による効果と同様に、貫通孔の大きさ(例えば、径)を小さくすることができるため、保持面上に温度特異点が発生することを抑制することができ、ひいては、保持面の均熱性を確保することが可能な加熱装置を製造することができる。更には、本加熱装置の製造方法では、収容部材に形成された貫通孔の少なくとも一部の径は、端子部材のうちの収容部材に収容される部分の少なくとも一部の径と同径である。このため、収容部材に形成された貫通孔の少なくとも一部の内周面、すなわち、端子部材のうちの収容部材に収容された部分の少なくとも一部の径と同径である貫通孔の内周面によって、端子部材を支持することが可能な加熱装置を製造することができる。従って、本加熱装置の製造方法によれば、端子部材の揺動を抑制しつつ、端子部材と給電電極との間の接続強度を向上させ、ひいては、給電電極付近の保持体におけるクラック発生を抑制し、または、端子部材の給電電極からの脱離の抑制することが可能な加熱装置を製造することができる。
【0021】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、加熱装置、半導体製造装置、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態における加熱装置100の外観構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態における加熱装置100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。
【
図3】第1実施形態における加熱装置100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。
【
図4】第1実施形態における加熱装置100のX1部を拡大して示す説明図である。
【
図5】第1実施形態における加熱装置100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。
【
図6】第1実施形態における加熱装置100の製造方法を示すフローチャートである。
【
図7】第1実施形態における加熱装置100の製造方法の概要を示す説明図である。
【
図8】第2実施形態における加熱装置100aのXZ断面構成を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
A.第1実施形態:
A-1.加熱装置100の構成:
図1は、第1実施形態における加熱装置100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、
図2から
図5は、第1実施形態における加熱装置100の断面構成を概略的に示す説明図である。
図2には、
図3および
図5のII-IIの位置における加熱装置100のXZ断面構成が示されており、
図3には、
図2のIII-IIIの位置における加熱装置100のXY断面構成が示されており、
図4には、
図2のX1部が拡大して示されており、
図5には、
図2のV-Vの位置における加熱装置100のXY断面構成が示されている。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、加熱装置100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
【0024】
加熱装置100は、対象物(例えば、半導体ウェハW)を保持しつつ所定の処理温度(例えば、400~650℃程度)に加熱する装置であり、サセプタとも呼ばれる。加熱装置100は、例えば、成膜装置(CVD成膜装置やスパッタリング成膜装置等)やエッチング装置(プラズマエッチング装置等)といった半導体製造装置の一部として使用される。
【0025】
図1および
図2に示すように、加熱装置100は、保持体10と柱状支持体20とを備える。
【0026】
保持体10は、所定の方向(本実施形態ではZ軸方向)に略直交する表面(以下、「保持面S1」という。)と、保持面S1とは反対側の表面(以下、「裏面S2」という。)と、を有する略円板状の部材である。保持体10は、窒化アルミニウム(AlN)を主成分とするセラミックス焼結体により形成されている。なお、ここでいう主成分とは、含有割合(重量割合)の最も多い成分を意味する。保持体10の直径は、例えば100mm以上、500mm以下程度であり、保持体10の厚さ(上下方向における長さ)は、例えば3mm以上、20mm以下程度である。保持面S1は、特許請求の範囲における第1の表面に相当し、裏面S2は、特許請求の範囲における第2の表面に相当し、Z軸方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
【0027】
図2および
図3に示すように、保持体10の内部には、発熱抵抗体であるヒータ電極50が配置されている。ヒータ電極50は、例えば、タングステンまたはモリブデン等の金属を含む材料により形成されている。本実施形態では、ヒータ電極50は、Z軸方向視で略同心円状に延びる線状のパターンを構成している。ヒータ電極50の線状パターンの両端部は、保持体10の中心部近傍に配置されており、各端部にはビア導体52の上端部が接続されている。
図2および
図4に示すように、保持体10の裏面S2には、一対の第1の凹部12が形成されており、各第1の凹部12の位置には、導電性の給電電極54が設けられている。Y軸方向視において、第1の凹部12の深さは、0.5mm以上、5mm以下である。本実施形態では、給電電極54は、Z軸方向視で略円形であり、タングステンを含む材料(例えば、タングステンと窒化アルミニウムとの混合材料)により形成されている。また、本実施形態では、給電電極54の全体が、保持体10の裏面S2に露出している。ただし、給電電極54の少なくとも一部が保持体10の裏面S2に露出している限りにおいて、給電電極54の一部が保持体10の内部に埋設されていてもよい。ビア導体52の下端部は、給電電極54に接続されている。その結果、ヒータ電極50と給電電極54とがビア導体52を介して電気的に接続された状態となっている。なお、給電電極54の形成材料における熱膨張係数は、例えば、4X10
-6/℃以上、6X10
-6/℃以下である。ヒータ電極50は、特許請求の範囲における発熱抵抗体に相当する。
【0028】
図2および
図5に示すように、本実施形態では、保持体10の裏面S2には、複数の(3つの)第2の凹部14が形成されている。本実施形態において、各第2の凹部14は、Z軸方向において、第1の凹部12よりも外側に形成されている。Z軸方向視において、第2の凹部14の径は、1mm以上、5mm以下である。また、Y軸方向視において、第2の凹部14の深さは、0.5mm以上、5mm以下である。各第2の凹部14の機能については、後述する。第2の凹部14は、特許請求の範囲における凹部に相当する。
【0029】
柱状支持体20は、上記所定の方向(上下方向)に延びる略円柱状部材である。柱状支持体20は、保持体10と同様に、窒化アルミニウムを主成分とするセラミックス焼結体により形成されている。柱状支持体20の外径は、例えば30mm以上、90mm以下程度であり、柱状支持体20の高さ(上下方向における長さ)は、例えば100mm以上、300mm以下程度である。
【0030】
保持体10と柱状支持体20とは、保持体10の裏面S2と柱状支持体20の上面S3とが上下方向に対向するように配置されている。柱状支持体20は、保持体10の裏面S2の中心部付近に、公知の接合材料により形成された接合部30を介して接合されている。
【0031】
図2に示すように、柱状支持体20には、保持体10の裏面S2側に開口する収容空間22が形成されている。収容空間22内(柱状支持体20の内部)には、柱状支持体20とは別体として設けられた、上記所定の方向(上下方向)に延びる収容部材90が備えられている。本実施形態において、収容部材90の形成材料における熱伝導率は、保持体10の形成材料における熱伝導率より低い。また、収容部材90の形成材料としては、例えばアルミナ等のセラミックスを用いることができる。収容部材90の外径は、柱状支持体20の内径と略同一(クリアランス:1mm以下)であり、例えば15mm以上、80mm以下程度であり、収容部材90の高さ(上下方向における長さ、部分Pに相当)は、例えば10mm以上、50mm以下程度である。
【0032】
図2および
図5に示すように、収容部材90には、Z軸方向に延びる複数の(本実施形態では4つの)貫通孔92が形成されている。複数の貫通孔92には、複数の(本実施形態では4つの(
図5参照))端子部材70が収容されている。本実施形態において、貫通孔92の数は、端子部材70の数と同じであるため、一の貫通孔92に対して、一の端子部材70が収容される。
図2および
図4に示すように、本実施形態において、貫通孔92の内径Dhは、貫通孔92の長手方向の全体に亘って、同径であり、当該貫通孔92に収容されている端子部材70のうちの収容部材90に収容された部分Pの外径Dtと同径である。このため、貫通孔92の全内周面S7で、端子部材70を支持することができ、端子部材70の揺動を抑制することができる。ここで、「同径」とは、両者の径が完全に一致する構成のみでなく、略同径である構成を含むことを意味する。すなわち、貫通孔92の内径Dhが、端子部材70のうちの部分Pの外径Dtより僅かに大きい(例えば200μm以内)構成であってもよい。貫通孔92の内径Dhは、端子部材70における部分Pの外径Dtに依存するが、例えば、1mm以上、7mm以下である。貫通孔92の内径Dhは、特許請求の範囲における貫通孔92の少なくとも一部の径に相当し、端子部材70における部分Pの外径Dtは、特許請求の範囲における端子部材70のうちの収容部材90に収容された部分Pの少なくとも一部の径に相当する。
【0033】
図2および
図5に示すように、本実施形態では、収容部材90の上面S4(保持体10の裏面S2に対向する表面)には、複数の(3つの)凸部94が形成されている。Z軸方向視において、各凸部94は、上述の保持体10の裏面S2に形成された複数の(3つの)第2の凹部14と重なるように形成されている。具体的には、本実施形態において、各凸部94は、Z軸方向視において、収容部材90の上面S4の外周部において、等間隔に配置されている。また、本実施形態において、Z軸方向視において、凸部94の外径は、第2の凹部14の内径と略同一であり、1mm以上、5mm以下である。また、Y軸方向視において、凸部94の高さは、第2の凹部14の深さと略同一であり、0.5mm以上、5mm以下である。収容部材90に形成された各凸部94と、保持体10の裏面S2に形成された各第2の凹部14とが、係合することにより、保持体10に対する収容部材90の面方向への相対移動(例えば、Z軸を中心とした相対回転)が規制される。なお、
図5において、第2の凹部14および凸部94として図示された点線は、収容部材90における位置関係を説明するために便宜上図示された点線である。
【0034】
上述の端子部材70は、例えばZ軸方向視で略円形の柱状部材であり、ニッケル(Ni)含む材料(例えば、純ニッケルやニッケルを含む合金(例えばコバール))により形成されている。端子部材70の形成材料における熱膨張係数は、例えば、5X10
-6/℃以上、18X10
-6/℃以下である。また、端子部材70における部分Pの外径Dtは、収容部材90の貫通孔92の内径Dhに依存するが、例えば、1mm以上、7mm以下である。また、
図2に示すように、各端子部材70における部分Pの下側には、支持部72が形成されている。支持部72の上面S6は、収容部材90の下面S5に当接している。このように、端子部材70の支持部72により、収容部材90は、下方向への移動が規制されている。Z軸方向視において、支持部72は、例えば、貫通孔92の内径Dhより2mm程度大きい径を有する円形状である。なお、Z軸方向において、端子部材70における、保持体10の裏面S2から支持部72の上面S6までの長さは、収容部材90における、凸部94の上面から下面S5までの長さより短い。収容部材90の凸部94を、保持体10の第2の凹部14に、確実に係合させるためである。
【0035】
端子部材70の上端部には、端子部材70と給電電極54とを電気的に接続する接続部65が接合されている。本実施形態において、接続部65は、緩衝部材60と、電極側ロウ付け部81と、端子側ロウ付け部82とから構成されている。
【0036】
緩衝部材60は、Z軸方向において各端子部材70の上端部と各給電電極54との間に配置されている。緩衝部材60は、例えばZ軸方向視で略円形の板状部材であり、タングステンを含む導電性を有する材料(例えば、純タングステンやタングステンを含む合金)により形成されている。緩衝部材60は、端子部材70と給電電極54との間の熱膨張差を緩和する機能を担う部材である。本実施形態において、緩衝部材60の形成材料における熱膨張係数は、給電電極54の形成材料における熱膨張係数と等しく、かつ、端子部材70の形成材料における熱膨張係数より小さい。具体的には、緩衝部材60の形成材料における熱膨張係数は、4X10-6/℃以上、6X10-6/℃以下であることが好ましい。緩衝部材60の直径は、例えば4.5mm~10.0mmである。本実施形態において、緩衝部材60の厚さtは、第1の凹部12の深さより小さく、例えば0.5mm~2mmである。
【0037】
緩衝部材60の上面は、電極側ロウ付け部81により、給電電極54の下面(露出面)と接合(ロウ付け)されている。また、緩衝部材60の下面は、端子側ロウ付け部82により、端子部材70と接合されている。電極側ロウ付け部81および端子側ロウ付け部82は、例えば、Ni系(Ni-Cr系合金等)、Au系(純Au、Au-Ni系合金等)、Ag系(純Ag等)のロウ材である。電極側ロウ付け部81は、特許請求の範囲における第2のロウ付け部に相当し、端子側ロウ付け部82は、特許請求の範囲における第1のロウ付け部に相当する。
【0038】
本実施形態において、接続部65を構成する緩衝部材60、電極側ロウ付け部81および端子側ロウ付け部82のうち、端子側ロウ付け部82は、Z軸方向視における外径が最も小さい(
図4参照)。従って、
図5の拡大図に示すように、本実施形態において、Z軸方向視において、この端子側ロウ付け部82の最外縁Ebは、貫通孔92の最内縁Enを取り囲んでいる。換言すれば、本実施形態において、Z軸方向視において、接続部65の最外縁は、収容部材90における貫通孔92の最内縁Enを取り囲んでいる。なお、
図5において、端子側ロウ付け部82として図示された点線は、収容部材90の貫通孔92と比較するために便宜上図示された点線である。
【0039】
図示しない電源から各端子部材70、各緩衝部材60、各給電電極54、各ビア導体52を介してヒータ電極50に電圧が印加されると、ヒータ電極50が発熱し、保持体10の保持面S1上に保持された対象物(例えば、半導体ウェハW)が所定の温度(例えば、400~650℃程度)に加熱される。
【0040】
A-2.加熱装置100の製造方法:
次に、第1実施形態における加熱装置100の製造方法について説明する。
図6は、第1実施形態における加熱装置100の製造方法を示すフローチャートである。また、
図7は、第1実施形態における加熱装置100の製造方法の概要を示す説明図である。
【0041】
加熱装置100(保持体10および柱状支持体20)の製造方法は、例えば以下の通りである。初めに、保持体10を準備する(S110)。
【0042】
保持体10の作製方法は、例えば以下の通りである。まず、窒化アルミニウム粉末100重量部に、酸化イットリウム(Y2O3)粉末1重量部と、アクリル系バインダ20重量部と、適量の分散剤および可塑剤とを加えた混合物に、トルエン等の有機溶剤を加え、ボールミルにて混合し、グリーンシート用スラリーを作製する。このグリーンシート用スラリーをキャスティング装置でシート状に成形した後に乾燥させ、グリーンシートを複数枚作製する。
【0043】
また、窒化アルミニウム粉末、アクリル系バインダ、有機溶剤の混合物に、タングステンやモリブデン等の導電性粉末を添加して混練することにより、メタライズペーストを作製する。このメタライズペーストを例えばスクリーン印刷装置を用いて印刷することにより、特定のグリーンシートに、後にヒータ電極50や給電電極54等となる未焼結導体層を形成する。また、グリーンシートにあらかじめビア孔を設けた状態でメタライズペーストを印刷することにより、後にビア導体52となる未焼結導体部を形成する。
【0044】
次に、これらのグリーンシートを複数枚(例えば20枚)熱圧着し、必要に応じて外周を切断して、グリーンシート積層体を作製する。このグリーンシート積層体をマシニングによって切削加工して円板状の成形体を作製し、この成形体を脱脂し、さらにこの脱脂体を焼成して焼成体を作製する。この焼成体の表面を研磨加工する。以上の工程により、保持体10を準備することができる。ステップS110は、特許請求の範囲における第1の工程に相当する。
【0045】
次に、保持体10と、予め準備した柱状支持体20とを、接合部30を介して接合する(S120、
図7(A)参照)。すなわち、保持体10の裏面S2および柱状支持体20の上面S3に対して必要によりラッピング加工を行った後、保持体10の裏面S2と柱状支持体20の上面S3との少なくとも一方に、例えば希土類や有機溶剤等を混合してペースト状にした公知の接合剤(接合前接合部30P)を均一に塗布した後、脱脂処理する。次いで、保持体10の裏面S2と柱状支持体20の上面S3とを重ね合わせ、真空中または減圧した窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス中で、所定の条件(例えば、第1の温度T1:1400℃~1850℃程度、圧力:0.5MPa~10MPa程度)でホットプレス焼成することにより、保持体10と柱状支持体20とを接合する接合部30を形成する。ステップS120は、特許請求の範囲における第2の工程に相当する。
【0046】
なお、柱状支持体20の作製方法は、例えば以下の通りである。まず、窒化アルミニウム粉末100重量部に、酸化イットリウム粉末1重量部と、PVAバインダ3重量部と、適量の分散剤および可塑剤とを加えた混合物に、メタノール等の有機溶剤を加え、ボールミルにて混合し、スラリーを得る。このスラリーをスプレードライヤーにて顆粒化し、原料粉末を作製する。次に、収容空間22に対応する中子が配置されたゴム型に原料粉末を充填し、冷間静水圧プレスして成形体を得る。得られた成形体を脱脂し、さらにこの脱脂体を焼成する。以上の工程により、柱状支持体20が作製される。
【0047】
保持体10と柱状支持体20との接合の後、各給電電極54の下面に、各接続前接続部65Pの上面を配置する(S130、
図7(B)参照)。具体的には、各接続前接続部65Pを構成する各緩衝部材60の上面および下面に、ロウ材(例えば、Ni系、Au系、Ag系のロウ材)を配置し、当該ロウ材が配置された各接続前接続部65Pの上面を、各給電電極54の下面に配置する。なお、後述のステップS150において、各緩衝部材60の上面に配置されたロウ材から電極側ロウ付け部81が形成され、各緩衝部材60の下面に配置されたロウ材から端子側ロウ付け部82が形成される。ステップS130は、特許請求の範囲における第3の工程に相当する。
【0048】
次に、柱状支持体20の内部へ、予め準備された収容部材90を配置する(S140、
図7(C)参照)。具体的には、Z軸方向において、収容部材90に形成された各貫通孔92と、各給電電極54とがそれぞれ重なるように、収容部材90を柱状支持体20の収容空間22へ配置する。本実施形態では、更に、収容部材90に形成された凸部94と、保持体10の裏面S2に形成された第2の凹部14とが係合するように、収容部材90を配置する。ステップS140は、特許請求の範囲における第4の工程に相当する。
【0049】
なお、収容部材90の作製方法は、例えば以下の通りである。まず、柱状支持体20の作製方法と同様に、窒化アルミニウム粉末100重量部に、酸化イットリウム粉末1重量部と、PVAバインダ3重量部と、適量の分散剤および可塑剤とを加えた混合物に、メタノール等の有機溶剤を加え、ボールミルにて混合し、スラリーを得る。このスラリーをスプレードライヤーにて顆粒化し、原料粉末を作製する。次に、収容部材90が型取られたゴム型に原料粉末を充填し、冷間静水圧プレスして成形体を得る。得られた成形体を脱脂し、さらにこの脱脂体を焼成する。以上の工程により、収容部材90が作製される。
【0050】
柱状支持体20の収容空間22へ、収容部材90を配置した後、各端子部材70を、収容部材90に形成された各貫通孔92内に挿入し、各接続部65を介して各給電電極54と接続する(S150、
図7(D)参照)。具体的には、各端子部材70を各貫通孔92内に挿入し、各端子部材70の上端部を各緩衝部材60の下面に配置されたロウ材へ配置する。その後、真空中または減圧した窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス中で、所定の条件(例えば、第2の温度T2:600℃~1000℃程度)で加熱することにより、各端子部材70と、各給電電極54とを接続する接続部65を形成する。これにより、各給電電極54と各緩衝部材60とをロウ付けする電極側ロウ付け部81が形成され、各緩衝部材60と各端子部材70とをロウ付けする端子側ロウ付け部82が形成される。なお、電極側ロウ付け部81および端子側ロウ付け部82を形成するための第2の温度T2は、接合部30を形成するための第1の温度T1より低い温度を要する。ステップS150は、特許請求の範囲における第5の工程に相当する。主として以上の製造方法により、上述した構成の加熱装置100が製造される。
【0051】
A-3.第1実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の加熱装置100は、保持面S1および裏面S2を有する板状であり、ヒータ電極50を有する保持体10と、保持体10の裏面S2に接合された柱状支持体20と、保持体10の裏面S2に配置された複数の給電電極54と、複数の給電電極54にそれぞれ電気的に接続された複数の端子部材70と、端子部材70の一方の端部に接合され、端子部材70と給電電極54とを電気的に接続する接続部65と、を備え、保持体10の保持面S1上に保持された半導体ウェハWといった対象物を加熱する加熱装置である。本実施形態の加熱装置100は、さらに、柱状支持体20の内部に、柱状支持体20とは別体として設けられた収容部材90を備える。
【0052】
このように、本実施形態の加熱装置100では、収容部材90が柱状支持体20とは別体であるため、柱状支持体20と収容部材90とが一体である構成と比較して、柱状支持体20の製造が容易である。また、収容部材90が柱状支持体20とは別体であることにより、柱状支持体20を保持体10に接合し、接続部65の端子部材70との接続前の状態である接続前接続部65Pを配置した後に、収容部材90を配置することができる。すなわち、本実施形態の加熱装置100では、接続前接続部65Pを収容部材90に形成された貫通孔92に挿通することを要しないため、貫通孔92の全体に亘って当該貫通孔92の内径Dhを接続前接続部65Pの大きさに合わせる必要がなく、接続前接続部65Pひいては接続部65の大きさ(例えば、径)を十分に確保できる。換言すれば、貫通孔92のうち接続部65に対応する必要な部分のみ、接続部65に対応する大きさ(径)とすることができる。このため、接続部65に対応する必要な部分以外は、端子部材70の大きさ(例えば、外径Dt)に合わせて貫通孔92の大きさ(例えば、内径Dh)を小さくすることができる。このように、本実施形態の加熱装置100では、接続部65の大きさ(例えば、径)を十分に確保できるため、端子部材70と給電電極54との間の接続強度を向上させ、ひいては、端子部材70の給電電極54からの脱離を抑制することができる。また、貫通孔92の大きさ(例えば、内径Dh)を小さくすることができるため、保持面S1上に温度特異点が発生することを抑制することができ、ひいては、保持面S1の均熱性を確保することができる。
【0053】
また、収容部材90には、Z軸方向に延びる複数の貫通孔92が形成されている。本実施形態において、貫通孔92の数は、端子部材70の数と同数であり、複数の端子部材70は、それぞれ、複数の貫通孔92の内の異なる貫通孔92に収容されている。また、貫通孔92の内径Dhは、端子部材70のうちの収容部材90に収容された部分Pの外径Dtと同径である。このため、収容部材90に形成された貫通孔92の内周面S7、すなわち、端子部材70のうちの収容部材90に収容された部分Pの外径Dtと同径である貫通孔92の内周面S7によって、端子部材70を支持することができる。従って、本実施形態の加熱装置100によれば、端子部材70の揺動を抑制しつつ、端子部材70と給電電極54との間の接続強度を向上させ、ひいては、給電電極54付近の保持体10におけるクラック発生を抑制し、または、端子部材70の給電電極54からの脱離の抑制することができる。
【0054】
本実施形態の加熱装置100では、保持体10は、裏面S2に第2の凹部14を有し、収容部材90は、上面に第2の凹部14と係合し、かつ、面方向への相対移動が規制されるように設けられた凸部94を有する。これにより、保持体10の裏面S2に形成された給電電極54に対する端子部材70の面方向への相対移動が規制される。従って、本実施形態の加熱装置100によれば、端子部材70と給電電極54との間に位置する接続部65に面方向の応力が集中することを抑制することができ、ひいては、給電電極54付近の保持体10におけるクラック発生の抑制、または、端子部材70の給電電極54からの脱離の抑制をより効果的に抑制することができる。
【0055】
本実施形態の加熱装置100では、接続部65は、緩衝部材60と、電極側ロウ付け部81と、端子側ロウ付け部82とを備える。緩衝部材60は、給電電極54と端子部材70との間に配置され、導電性を有する。電極側ロウ付け部81は、給電電極54と緩衝部材60とを接合し、端子側ロウ付け部82は、端子部材70と緩衝部材60とを接合する。また、緩衝部材60の形成材料における熱膨張係数は、給電電極54の形成材料における熱膨張係数以上であり、かつ、端子部材70の形成材料における熱膨張係数以下である。このため、緩衝部材60が、給電電極54と端子部材70との間の熱膨張差を緩和する機能を担うことができる。従って、本実施形態の加熱装置100によれば、給電電極54付近の保持体10におけるクラック発生の抑制、または、端子部材70の給電電極54からの脱離の抑制をより効果的に抑制することができる。
【0056】
本実施形態の加熱装置100では、収容部材90の形成材料における熱伝導率は、保持体10の形成材料における熱伝導率より低い。このため、収容部材90の形成材料における熱伝導率が、保持体10の形成材料における熱伝導率と同等以上である構成と比較して、保持体10からの収容部材90を介した熱引きを抑制することができる。
【0057】
本実施形態の加熱装置100の製造方法では、Z軸方向に略直交する保持面S1および裏面S2を有する板状であり、ヒータ電極50を有する保持体10を備え、保持体10の保持面S1上に保持された半導体ウェハWといった対象物を加熱する加熱装置100の製造方法において、複数の給電電極54が裏面S2に配置された保持体10を準備する第1の工程(S110)と、保持体10と、柱状支持体20と、保持体10と柱状支持体20との間に配置された接合前接合部30Pとを配置し、かつ、加熱することにより、保持体10と柱状支持体20とを接合する接合部30を形成する第2の工程(S120)と、複数の給電電極54の下面に、複数の接続前接続部65Pを配置する第3の工程(S130)と、Z軸方向に延びる複数の貫通孔92が形成された収容部材90を、Z軸方向において、複数の貫通孔92と複数の給電電極54とがそれぞれ重なるように、柱状支持体20の内部(収容空間22)に配置する第4の工程(S140)と、複数の貫通孔92内へ複数の端子部材70をそれぞれ挿入し、加熱することにより、複数の端子部材70と複数の給電電極54とを接続する複数の接続部65を形成する第5の工程(S150)とを備える。また、収容部材90に形成された貫通孔92の少なくとも一部の内径Dhは、端子部材70のうちの収容部材90に収容される部分Pの少なくとも一部の外径Dtと同径である。
【0058】
このため、本実施形態の加熱装置100の製造方法では、上記本実施形態の加熱装置100による効果と同様に、柱状支持体20と収容部材90とが一体である構成と比較して、柱状支持体20の製造が容易である。また、上記本実施形態の加熱装置100による効果と同様に、接続部65の大きさ(例えば、径)を十分に確保できるため、端子部材70と給電電極54との間の接続強度を向上させ、ひいては、端子部材70の給電電極54からの脱離を抑制することが可能な加熱装置100を製造することができる。また、上記本実施形態の加熱装置100による効果と同様に、貫通孔92の大きさ(例えば、内径Dh)を小さくすることができるため、保持面S1上に温度特異点が発生することを抑制することができ、ひいては、保持面S1の均熱性を確保することが可能な加熱装置100を製造することができる。更には、本実施形態の加熱装置100の製造方法では、収容部材90に形成された貫通孔92の内径Dhは、端子部材70のうちの収容部材90に収容される部分の外径Dtと同径である。このため、収容部材90に形成された貫通孔92の内周面S7、すなわち、端子部材70のうちの収容部材90に収容された部分Pの外径Dtと同径である貫通孔92の内周面S7によって、端子部材70を支持することが可能な加熱装置100を製造することができる。従って、本実施形態の加熱装置100の製造方法によれば、端子部材70の揺動を抑制しつつ、端子部材70と給電電極54との間の接続強度を向上させ、ひいては、給電電極54付近の保持体10におけるクラック発生を抑制し、または、端子部材70の給電電極54からの脱離の抑制することが可能な加熱装置100を製造することができる。
【0059】
本実施形態では、保持体10と柱状支持体20とを接合する接合部30を形成した(S120、第1の温度T1)後、複数の接続前接続部65Pを配置し(S130)、複数の端子部材70と複数の給電電極54とを接続する複数の接続部65を形成している(S150、第2の温度T2)。接続部65を形成するための第2の温度T2は、接合部30を形成するための第1の温度T1より低い温度を要する。第2の温度T2が第1の温度T1以上であると、接続部65が軟化し、給電電極54から剥がれるおそれがあるためである。従って、本実施形態の加熱装置100の製造方法によれば、さらに、接続部65の給電電極54からの剥がれを抑制することができる。
【0060】
B.第2実施形態:
図8は、第2実施形態の加熱装置100aの構成を概略的に示す説明図である。
図8には、第2実施形態の加熱装置100aの構成のうち
図4に示す部分(X1部)と同等の部分の構成が拡大して示されている。
図8に示すように、第2実施形態の加熱装置100aは、接続部65に代えて接続部65aを、収容部材90に代えて収容部材90aを備えている点で、上述した第1実施形態の加熱装置100の構成と異なる。以下では、第2実施形態の加熱装置100aの構成のうち、上述した第1実施形態の加熱装置100aの構成(
図4等参照)と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0061】
本実施形態の接続部65aは、第1実施形態の接続部65と同様に、端子部材70と給電電極54とを電気的に接続し、端子部材70の上端部に接合されている。本実施形態において、接続部65aは、緩衝部材60aと、電極側ロウ付け部81と、端子側ロウ付け部82とから構成されている。第1実施形態の緩衝部材60と同様に、緩衝部材60aは、Z軸方向において各端子部材70の上端部と各給電電極54との間に配置されている。緩衝部材60aは、例えば板状部材であり、タングステンを含む導電性を有する材料により形成されている。第1実施形態の緩衝部材60と同様に、緩衝部材60aの形成材料における熱膨張係数は、給電電極54の形成材料における熱膨張係数以上であり、かつ、端子部材70の形成材料における熱膨張係数以下である。緩衝部材60aの直径は、例えば4.5mm~10.0mmである。本実施形態において、緩衝部材60aの厚さtaは、第1の凹部12の深さより大きく、例えば2mm~5mmである。
【0062】
本実施形態では、柱状支持体20の収容空間22内(柱状支持体20の内部)には、収容部材90aが備えられている。収容部材90aは、第1実施形態の収容部材90と同様に、柱状支持体20とは別体として設けられた、上記所定の方向(上下方向)に延びる部材である。収容部材90aの形成材料については、第1実施形態の収容部材90と同様である。すなわち、収容部材90aの形成材料における熱伝導率は、柱状支持体20の形成材料における熱伝導率より低い。また、収容部材90の形成材料としては、例えばアルミナ等のセラミックスを用いることができる。また、第1実施形態の収容部材90と同様に、収容部材90aの外径は、柱状支持体20の内径と略同一であり、例えば15mm以上、80mm以下程度であり、収容部材90の高さ(上下方向における長さ、部分Pに相当)は、例えば10mm以上、50mm以下程度である。また、第1実施形態の収容部材90と同様に、収容部材90aには、Z軸方向に延びる複数の(本実施形態では4つの)貫通孔92が形成されており、一の貫通孔92に対して、一の端子部材70が収容される。
【0063】
図8に示すように、本実施形態では、収容部材90aに形成された貫通孔92は、その上端部(すなわち、保持体10の裏面S2に対向する側の端部)に、拡径部96を備えている。本実施形態において、拡径部96の内径Deは、貫通孔92の内径Dhより大きい。換言すれば、拡径部96は、貫通孔92と比較して、拡大された径を有している。また、拡径部96の内径Deは、保持体10の裏面S2に形成された第1の凹部12の内径Ddより大きい。
【0064】
本実施形態では、貫通孔92の上端部が拡径部96を備えていることにより、当該上端部付近において、拡径空間98を有している。本実施形態において、拡径空間98内には、接続部65aの一部分が配置されている。このように、本実施形態の加熱装置100aでは、貫通孔92が拡径部96を備えているため、第1実施形態における緩衝部材60の厚さtより厚い厚さtaを有する緩衝部材60aを第1の凹部12内に配置することができる。このため、本実施形態では、緩衝部材60aが緩衝部材60と比較して、給電電極54と端子部材70との間の熱膨張差を緩和する機能をより効果的に発揮することができる。なお、拡径空間98は、拡径部96を画定する内周面S8および底面S9と、収容部材90aの上面S4a(保持体10の裏面S2に対向する表面)で形成される空間である。ここで、拡径部96を画定する底面S9は、当該底面S9を面方向に延長した面を含む面であり、収容部材90aの上面S4aは、当該上面S4aを面方向に延長した面を含む面である。拡径部96を画定する内周面S8および底面S9は、特許請求の範囲における拡径部を画定する内面に相当し、収容部材90aの上面S4aは、特許請求の範囲における収容部材における保持体の第2の表面に対向する表面に相当する。
【0065】
本実施形態の加熱装置100aでは、収容部材90aに形成された貫通孔92の上端部(保持体10の裏面S2に対向する側の端部)が、拡径部96を備えていることにより、当該上端部付近において、拡径空間98を有している。また、端子部材70に接合された接続部65aの少なくとも一部分(本実施形態において、緩衝部材60aの一部分および端子側ロウ付け部82)が、上記拡径空間98内に配置されている。このため、本実施形態の加熱装置100aでは、充分な量の接続部65a(本実施形態において、例えば、厚さの厚い緩衝部材60a)を配置することができ、ひいては、給電電極54と端子部材70との間の熱膨張差をより効果的に担うことができる。また、従って、本実施形態の加熱装置100aによれば、給電電極54付近の保持体10におけるクラック発生の抑制、または、端子部材70の給電電極54からの脱離の抑制をより効果的に抑制することができる。
【0066】
また、一般的な加熱装置100では、保持体10の厚さが薄い。このため、保持体10の裏面S2に形成される第1の凹部12の深さを深くしないことが好ましい。保持体10内において、保持面S1とヒータ電極50との間の距離を確保しつつ、第1の凹部12の底面とヒータ電極50との間の距離を確保するためである。本実施形態の加熱装置100では、収容部材90aに形成された貫通孔92の上端部が拡径部96を備えているため、第1の凹部12の深さを深くすることなく、上記充分な量の接続部65aを配置することができる。
【0067】
C.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0068】
上記実施形態では、収容部材90に形成された貫通孔92の数が、端子部材70の数と同数としたが、これに限定されない。例えば、貫通孔92の数は、端子部材70の数より多くてもよい。また、上記実施形態では、端子部材70は、間接的にヒータ電極50に接続しているが、これに限定されない。例えば、端子部材70は、ヒータ電極50以外の内部電極(RF電極等)に接続していてもよい。
【0069】
上記実施形態では、収容部材90に形成された貫通孔92の内径Dh、および、端子部材70のうちの収容部材90に収容された部分Pの外径Dtは、貫通孔92の長手方向の全体に亘ってそれぞれ同径であり、かつ、内径Dhと外径Dtとは同径であることとしたが、これに限定されない。例えば、端子部材70のうちの収容部材90に収容された部分Pの少なくとも一部分における外径Dtが、貫通孔92の内径Dhと同径である構成であってもよい。すなわち、端子部材70のうちの収容部材90に収容された部分Pの上記少なくとも一部分以外の部分、貫通孔92の内径Dhより小さい径であってもよい。
【0070】
上記実施形態では、Z軸方向において、接続部65の最外縁は、収容部材90における貫通孔92の最内縁Enを取り囲んでいるとしたが、これに限定されない。例えば、貫通孔92の最内縁Enが、接続部65の最外縁を取り囲んでいてもよい。また、接続部65を構成する緩衝部材60と、電極側ロウ付け部81と、端子側ロウ付け部82との少なくとも1つの最外縁が、貫通孔92の最内縁Enを取り囲んでいるとしてもよい。
【0071】
上記実施形態では、保持体10の裏面S2には3つの第2の凹部14が形成され、収容部材90の上面S4には3つの凸部94が形成されているがこれに限定されない。例えば、保持体10の裏面S2および収容部材90の上面S4には、それぞれ第2の凹部14および凸部94が形成されていなくてもよい。または、例えば、それぞれ2つ以下の、または、4つ以上の第2の凹部14および凸部94が形成されていてもよい。また、第2の凹部14は、第1の凹部12よりも外側に形成されていなくてもよく、凸部94は、収容部材90の上面S4の外周部において等間隔に配置されていなくてもよい。例えば、第2の凹部14および凸部94は、それぞれ保持体10の裏面S2および収容部材90の上面S4のそれぞれ中央部に配置されていてもよい。また、例えば、第2の凹部14は、Z軸方向視において、第1の凹部12で形成される円周上に形成されていてもよい。
【0072】
上記実施形態では、接続部65(接続部65a)は、緩衝部材60(緩衝部材60a)と、電極側ロウ付け部81と、端子側ロウ付け部82とを備えているが、これに限定されない。例えば、接続部65(接続部65a)が、端子側ロウ付け部82のみから構成されていてもよい。この構成において、端子側ロウ付け部82の上面は、給電電極54に接合(ロウ付け)される。
【0073】
上記実施形態において、緩衝部材60(緩衝部材60a)の形成材料における熱膨張係数は、給電電極54の形成材料における熱膨張係数を超えてもよく、または、給電電極54の形成材料における熱膨張係数未満であってもよい。また、緩衝部材60(緩衝部材60a)の形成材料における熱膨張係数は、端子部材70の形成材料における熱膨張係数以上であってもよい。
【0074】
上記実施形態において、収容部材90の形成材料における熱伝導率が、柱状支持体20の形成材料における熱伝導率と同等以上であってもよい。
【0075】
上記実施形態において、端子部材70に形成された支持部72は、Z軸方向視において、円形状でなくてもよく、例えば、矩形状や、複数の突起から形成される歯車状であってもよい。
【0076】
第2実施形態において、収容部材90aの貫通孔92aに形成された拡径部96の内径Deは、保持体10の裏面S2に形成された第1の凹部12の内径Ddと同等であってもよい。
【0077】
第2実施形態において、保持体10の裏面S2には第1の凹部12が形成されていなくてもよい。このような構成においても、収容部材90aに形成された貫通孔92の上端部が拡径部96を備えていることにより、充分な量の接続部65a(緩衝部材60a、電極側ロウ付け部81および端子側ロウ付け部82)を配置することができる。このため、接続部65aと給電電極54(または端子部材70)との接合をより強固にすることができる。このため、端子部材70と給電電極54との接続強度を向上させることができる。
【0078】
また、上記実施形態の加熱装置100が、さらに、熱電対や白金抵抗体等の測温体や、高周波電極(RF電極)等の他の構成部材を備えるとしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態の加熱装置100における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。また、上記実施形態における加熱装置100の製造方法は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
【符号の説明】
【0080】
10:保持体 12:第1の凹部 14:第2の凹部 20:柱状支持体 22:収容空間 30:接合部 30P:接合前接合部 50:ヒータ電極 52:ビア導体 54:給電電極 60:緩衝部材 60a:緩衝部材 65:接続部 65P:接続前接続部 65a:接続部 70:端子部材 72:支持部 81:電極側ロウ付け部 82:端子側ロウ付け部 90:収容部材 90a:収容部材 92:貫通孔 92a:貫通孔 94:凸部 96:拡径部 98:拡径空間 100:加熱装置 100a:加熱装置 P:部分 S1:保持面 S2:裏面 S3:上面 S4:上面 S4a:上面 S5:下面 S6:上面 S7:内周面 S8:内周面 S9:底面 W:半導体ウェハ