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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ヘルメットおよびグロメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/28 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
A42B3/28
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019102839
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020196968
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390005429
【氏名又は名称】株式会社SHOEI
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】福山 伴理
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2000-0047448(KR,A)
【文献】登録実用新案第3155192(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルの外部と内部とを繋ぐ貫通孔を備える前記シェルと、
前記シェルにおいて、前記貫通孔の位置に配設され、外気を前記シェルの内部に取り入れる通気口を構成するグロメットとを備え、
前記グロメットは、前記シェルにおいて前記貫通孔の位置に取り付けられるベースであって、前記貫通孔と重なる位置に第1開口部を備える前記ベースと、
前記ベースに対して回転可能に取り付けられる操作部材と、
前記ベースに対する前記操作部材の回転に連動して前記第1開口部を開閉する複数のシャッタとを備え
前記操作部材は、前記ベースを覆い、前記ベースに対して回転するカバーであって、
前記シャッタは、前記操作部材と前記ベースとの間に配置され、
前記操作部材は、前記第1開口部に対応する位置に第2開口部を備え、
前記シャッタは、
前記ベースの方向に突出する案内突起と、
前記操作部材の方向に突出する従動突起とを備え、
前記ベースは、前記案内突起が係合される案内溝を備え、
前記操作部材は、前記従動突起が係合されるカム溝を備え、
前記操作部材は、前記ベースに対する回転に応じて、前記シャッタを移動させる
ヘルメット。
【請求項2】
前記ベースは、前記操作部材の前記ベースに対する回転を案内する回転案内部を備え、
前記操作部材は、前記回転案内部に係合される係合部を備える
請求項1に記載のヘルメット。
【請求項3】
外気を内部に取り入れる通気口をヘルメットに構成するグロメットであって、
前記グロメットは、
前記ヘルメットを構成するシェルに設けられた貫通孔の位置に取り付けられるベースであって、前記貫通孔と重なる位置に第1開口部を備える前記ベースと、
前記ベースに対して回転可能に取り付けられる操作部材と、
前記ベースに対する前記操作部材の回転に連動して前記第1開口部を開閉する複数のシャッタとを備え
前記操作部材は、前記ベースを覆い、前記ベースに対して回転するカバーであって、
前記シャッタは、前記操作部材と前記ベースとの間に配置され、
前記操作部材は、前記第1開口部に対応する位置に第2開口部を備え、
前記シャッタは、
前記ベースの方向に突出する案内突起と、
前記操作部材の方向に突出する従動突起とを備え、
前記ベースは、前記案内突起が係合される案内溝を備え、
前記操作部材は、前記従動突起が係合されるカム溝を備え、
前記操作部材は、前記ベースに対する回転に応じて、前記シャッタを移動させる
グロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェルに開閉可能な通気口が設けられたヘルメットおよびヘルメットに開閉可能な通気口を構成するグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルメット内部の換気や、シールド板の内面の曇り止めのために、ヘルメットには、ヘルメット内部とヘルメット外表面を連通する開閉可能な通気口が設けられている。特許文献1のヘルメットは、ヘルメットのシェルを内側に窪ませて、その凹窪部に内・外を連通する通気口を開設し、さらに、その凹窪部に通気口と連通するための連絡孔を設けたベースを篏合固定している。そして、そのベースに上下に揺動するシャッタを取り付けることで、通気口を開閉することが記載されている。
【0003】
また、特許文献2のヘルメットは、ノブを上下にスライドさせることにより、連動するシャッタが通気口を開閉することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-121317号公報
【文献】実開昭62-194727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、ヘルメットの通気口は、シャッタによって開閉されるものであるから、シャッタの開閉機構をヘルメットに設ける必要がある。このシャッタの開閉機構は、できるだけ簡単な構造で、かつ、占有スペースが小さいことが望ましい。しかし、特許文献1のヘルメットでは、シャッタを揺動させる機構が複雑なために、部品点数が多く必要となり、ヘルメットへの組み付け作業が悪い。
【0006】
このようなシャッタ開閉機構は、修理や交換のために、構造の簡素化が求められる。
また、特許文献2のヘルメットでは、2つの通気口を1枚のシャッタによって開閉させるために、シャッタの開閉機構の占有スペースを必要以上に広く必要とする。このようなシャッタ開閉機構は、ヘルメットの外観デザインへも影響するので、省スペース化が求められる。
【0007】
本発明の目的は、通気口の開閉機構における構造の簡素化および省スペース化を可能としたヘルメットおよび通気口に用いられるグロメットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためのヘルメットは、シェルの外部と内部とを繋ぐ貫通孔を備える前記シェルと、前記シェルにおいて、前記貫通孔の位置に配設され、外気を前記シェルの内部に取り入れる通気口を構成するグロメットとを備え、前記グロメットは、前記シェルにおいて貫通孔の位置に取り付けられるベースであって、前記貫通孔と重なる位置に開口部を備える前記ベースと、前記ベースに対して回転可能に取り付けられる操作部材と、前記ベースに対する前記操作部材の回転に連動して前記開口部を開閉する複数のシャッタとを備える。上記構成によれば、操作部材を回転するだけで、開口部を開放することができ、これにより、ヘルメット内への通気を確保することができる。ここで、グロメットは、シャッタおよび操作部材を取り付けたベースという簡単な構造から構成されている。このため、グロメットの修理や交換が容易である。また、シャッタがベース上を回動することで通気口を開閉する機構のため、余分なスペースを必要としない。このため、シャッタ開閉機構を必要最小限度の大きさに設定することができるので、ヘルメットの外観デザインの自由度が増す。
【0009】
上記ヘルメットにおいて、前記開口部は第1開口部であって、前記操作部材は、前記ベースを覆い、前記ベースに対して回転するカバーであって、前記シャッタは、前記操作部材と前記ベースとの間に配置され、前記操作部材は、前記第1開口部に対応する位置に第2開口部を備える構成としてもよい。上記構成によれば、シャッタがベースおよび操作部材の間で移動するだけであるから、シャッタの開閉機構を故障しにくくできる。
【0010】
上記ヘルメットにおいて、前記シャッタは、前記ベースの方向に突出する案内突起と、前記操作部材の方向に突出する従動突起とを備え、前記ベースは、前記案内突起が係合される案内溝を備え、前記操作部材は、前記従動突起が係合されるカム溝を備え、前記操作部材は、前記ベースに対する回転に応じて、前記シャッタを移動させる構成としてもよい。
【0011】
上記構成によれば、シャッタの移動は、案内突起と案内溝の係合、および、カム溝と従動突起の係合とによって行われる。これにより、シャッタは、操作部材の回転に連動して安定して移動することができる。
【0012】
上記ヘルメットにおいて、前記ベースは、前記操作部材の前記ベースに対する回転を案内する回転案内部を備え、前記操作部材は、前記回転案内部に係合される係合部を備える構成としてもよい。上記構成によれば、操作部材は、回転案内部と係合部との係合によって安定して、ベースに対して回転することができる。
【0013】
上記課題を解決するためのグロメットは、外気を内部に取り入れる通気口をヘルメットに構成するグロメットであって、前記グロメットは、前記ヘルメットを構成するシェルに設けられた貫通孔の位置に取り付けられるベースであって、前記貫通孔と重なる位置に開口部を備える前記ベースと、前記ベースに対して回転可能に取り付けられる操作部材と、前記ベースに対する前記操作部材の回転に連動して前記開口部を開閉する複数のシャッタとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通気口の開閉機構を簡素化および省スペース化できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ヘルメットの斜視図。
図2】第1実施形態におけるグロメットの斜視図であって、シャッタが閉まった状態を示す。
図3】第1実施形態におけるグロメットの分解斜視図。
図4】第1実施形態におけるベースの斜視図。
図5】第1実施形態における操作部材とシャッタの関係を示す斜視図。
図6】第1実施形態におけるシャッタが開いた状態を示す斜視図。
図7】第2実施形態におけるグロメットの斜視図。
図8】第2実施形態におけるグロメットの分解斜視図。
図9】第3実施形態におけるグロメットの分解斜視図。
図10】第3実施形態におけるグロメットの斜視図であって、(a)はシャッタが閉じた状態、(b)はシャッタが開いた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から図10を参照して、本発明が適用されたヘルメットを説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、ヘルメット1は、球体状を有したシェル2を備える。シェル2は、ヘルメットの外殻を構成する。シェル2は半球状を有した樹脂部材である。シェル2を構成する材料は、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート(PC)、および、強化繊維を含浸させた熱硬化性樹脂などから選択される。シェル2は、例えば、衝撃を吸収するための内装部材である衝撃吸収ライナーを収容してもよい。また、シェル2は、例えば、頭部に対するクッション性を得るために、衝撃吸収ライナーよりも低い反発力を有した各種のパッドを収容してもよい。シェル2は、視界を確保するための開口部3を備えている。なお、ヘルメット1は、光透過性を有した無色で透明の板部材であるシールドを備えていてもよい。シールドは、前方から飛来する異物や雨、風がヘルメット1内に入ることを閉位置において妨げて、着用者の視認性を向上させる。
【0017】
図2および図3に示すように、開口部3の上部には、シェル2の内部の換気のために、シェル2の内部とシェル2の外表面を連通する通気口であって、シャッタを備えた通気口が設けられている。通気口は、シェル2の貫通孔4に挿入されるグロメット10によって構成されている。
【0018】
グロメット10は、シェル2の貫通孔4に取り付けられるベース11と、ベース11に対して回転可能に取り付けられる操作部材12と、操作部材12の回転に連動して移動する第1シャッタ13および第2シャッタ14とを備えている。貫通孔4は、シェル2を厚さ方向に貫通した孔である。そして、シェル2には、貫通孔4およびその周囲にベース11が取り付けられる。
【0019】
ベース11は、貫通孔4より大径の円形板であって、中央部に、貫通孔4に対応する第1開口部16を備えている。第1開口部16は、円形孔であって、貫通孔4とほぼ同じ大きさの貫通孔である。ベース11は、シェル2に対する取付面となる裏面11aと、裏面11aと反対側の面であってシャッタ13,14が配置される側の表面11bとを備えている。図4に示すように、裏面11aには、第1開口部16の周囲に嵌合壁17が立設されている。第1開口部16は、嵌合壁17の内側に設けられており、嵌合壁17は貫通孔4に嵌合される。また、裏面11aの外周縁には、操作部材12のベース11に対する回転を案内するとともに回転範囲を規定する回転案内部18を備えている。回転案内部18は、凹形状を有した溝であって、操作部材12の回転の範囲、すなわち第1および第2シャッタ13,14の開閉を可能とする範囲に亘って周回方向に沿って設けられている。
【0020】
図3に示すように、ベース11の表面11bは、第1シャッタ13の開閉を案内する第1主案内溝21および第2シャッタ14の開閉を案内する第2主案内溝22を備えている。第1および第2主案内溝21,22は、第1および第2シャッタ13,14の一端部に設けられた第1および第2主案内突起36,37が係合される凹部形状の溝であって、第1開口部16の外側において、第1開口部16の周回方向に沿うように細長い円弧形状を有している。
【0021】
また、ベース11の表面11bは、第1シャッタ13の開閉を案内する第1副案内溝23および第2シャッタ14の開閉を案内する第2副案内溝24を備えている。第1および第2副案内溝23,24は、第1および第2シャッタ13,14の他端部に設けられた第1および第2副案内突起38,39が係合される溝であって、第1および第2主案内溝21,22に対して交差する方向に延びる凹部によって構成されている。
【0022】
操作部材12は、ベース11を覆いベース11に対して回転可能に配置される部材であって、円形の頂板26と、頂板26の外周縁に立設された周壁27とを備えている。頂板26には、その中央部に窪み部を備えその中央にベース11の第1開口部16に対応する第2開口部28が設けられている。第2開口部28は、第1開口部16と同じ大きさの円形孔であって、操作部材12がベース11に取り付けられたとき、ベース11の第1開口部16と同位置に位置する。第1および第2開口部16,28は、ヘルメット1の内外を繋ぐ通気口として機能する。図5に示すように、頂板26の内面には、第2開口部28の外周領域であって、第2開口部の中心を通る直線上に第1カム溝31および第2カム溝32が設けられている。第1カム溝31は、第1シャッタ13の第1従動突起41が係合される凹状の溝部である。第2カム溝32は、第2シャッタ14の第2従動突起が42係合される凹状の溝部である。第1カム溝31および第2カム溝32の各々は、操作部材12が回転可能なように、長孔で構成されている。
【0023】
周壁27の外周面には、高さ方向に凹凸溝が形成されており、操作部材12をベース11に対して回転する際の操作部29が構成されている。操作部29は、指が滑りにくくなるようにして、操作部材12の回転操作を行い易くする。また、周壁27の先端部には、対抗する位置に回転案内部18に係合する係合部33を備える。係合部33は、周壁27より内側に突出した係合片であって、操作部材12は、係合部33がベースの回転案内部18を構成する溝に係合することによって、回転が案内されるとともに、第1および第2シャッタ13,14の開閉動作を可能とする回転範囲が規定される。
【0024】
第1および第2シャッタ13,14の各々は、細長形状を有しており、突き合わされたときに第1開口部16および第2開口部28を閉塞する大きさを有している。また、第1開口部16および第2開口部28を開放するとき、第1開口部16および第2開口部28のよりも外周側に位置する形状を有している。すなわち、第1および第2シャッタ13,14の各々は、長手方向における一辺が直線部であり、他のシャッタとの突き合わせ部13a,14aとなる。そして、長手方向における他辺が弓型形状を有している。
【0025】
第1シャッタ13は、長手方向の一端部において、ベース11側の面に突出して第1主案内溝21に係合する第1主案内突起36を備え、第2シャッタ14は、長手方向の一端部において、ベース11側の面に突出して第2主案内溝22に係合する第2主案内突起37を備えている。また、第1シャッタ13は、長手方向の他端部において、ベース11側の面に突出して第1副案内溝23に係合する第1副案内突起38を備え、第2シャッタ14は、長手方向の他端部において、ベース11側の面に突出して第2副案内溝24に係合する第2副案内突起39を備えている。
【0026】
さらに、図5に示すように、第1シャッタ13は、長手方向の一端部において、操作部材12側の面に突出して第1カム溝31に係合する第1従動突起41を備え、第2シャッタ14は、長手方向の他端部において、操作部材12側の面に突出して第2カム溝32に係合する第2従動突起42を備えている。
【0027】
すなわち、第1および第2主案内突起36,37と第1および第2主案内溝21,22、第1および第2副案内突起38,39と第1および第2副案内溝23,24、第1カム溝31および第2カム溝32と第1および第2従動突起41,42は、第1および第2シャッタ13,14の開閉機構を構成する。
【0028】
以上のように構成されたグロメット10は、以下のような作用を有する。
グロメット10は、例えば、貫通孔4にベース11の嵌合壁17を嵌合させてシェル2に取り付けられている。第1および第2開口部16,28を第1および第2シャッタ13,14が閉じているときは、ヘルメット1内に外気が流入することを禁止している状態である。このような状態のとき、第1および第2シャッタ13,14の突き合わせ部13a,14a同士が第1および第2開口部16,28の上で突き合わせ状態にあって、第1開口部16および第2開口部28を閉塞している。この際、第1および第2シャッタ13,14の第1および第2主案内突起36,37は、第1および第2主案内溝21,22の一端部に位置している。また、第1および第2シャッタ13,14の第1および第2副案内突起38,39は、第1および第2副案内溝23,24の一端部に位置している。
【0029】
図6に示すように、ヘルメット1内に外気を流入させるときには、第1および第2開口部16,28を開放する操作を行う。すなわち、ユーザは、操作部材12の操作部29の部分を摘んで、操作部材12を一方向(図2中矢印D方向)に回転させる。すると、第1シャッタ13は、第1従動突起41および第1カム溝31を通じて、第1および第2開口部16,28を開放する方向に移動される。第2シャッタ14も、第2従動突起42および第2カム溝32を通じて、第1および第2開口部16,28を開放する方向に移動される。この際、第1および第2シャッタ13,14の第1および第2主案内突起36,37は、第1および第2主案内溝21,22の一端部から他端部に移動する。また、第1および第2シャッタ13,14の第1および第2副案内突起38,39も、第1および第2副案内溝23,24の一端部から他端部に移動する。これにより、第1および第2シャッタ13,14は、ベース11上であって第1開口部16の外周部に移動する。そして、全開の状態では、第1および第2シャッタ13,14が第1および第2開口部16,28から退避した状態となり、シェル2の内部に通気可能な状態となる。
【0030】
なお、第1および第2開口部16,28の開口量は、操作部材12の回転量で、その回転量に応じて第1および第2シャッタ13,14が移動する。これにより、シェル2への通気量が調整される。また、第1および第2開口部16,28を閉じるときには、操作部材12を他方向(図6中反矢印D方向)に回転することによって第1および第2シャッタ13,14を閉じる方向に移動させればよい。操作部材12は、第1および第2シャッタ13,14の突き合わせ部13a,14a同士が第1および第2開口部16,28の上で突き合わされた状態となる。
【0031】
以上、上記実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1-1)第1および第2シャッタ13,14は、ベース11および操作部材12の間で移動するだけであるから、その開閉機構を故障しにくくできる。また、第1および第2シャッタ13,14は、ベース11および操作部材12の外側まではみ出すことはない。したがって、グロメット10は、全体が小型化され、シェル2におけるグロメット10の取付位置の自由度を高めることができる。
【0032】
(1-2)操作部材12を回転するだけで、第1および第2開口部16,28を開放することができ、これにより、ヘルメット1内への通気を確保することができる。また、操作部材12の回転量を調整することで、通気量を調整することができる。
【0033】
(1-3)グロメット10は、第1および第2シャッタ13,14および操作部材12を取り付けたベース11という簡単な構造から構成されている。このため、グロメット10の修理や交換が容易である。また、第1および第2シャッタ13,14がベース11上を回動することで通気口を開閉する機構のため、余分なスペースを必要としない。このため、シャッタ開閉機構を必要最小限度の大きさに設定することができるので、ヘルメット1の外観デザインの自由度が増す。
【0034】
(1-4)第1および第2シャッタ13,14の移動は、第1および第2主案内突起36,37と第1および第2主案内溝21,22との係合、ならびに、第1および第2副案内突起38,39と第1および第2副案内溝23,24との係合とによって行われる。また、第1および第2従動突起41,42と第1および第2カム溝31,32との係合によって行われる。これにより、第1および第2シャッタ13,14は、操作部材12の回転に連動して安定して移動することができる。
【0035】
(1-5)操作部材12は、回転案内部18と係合部33との係合によって安定して、ベース11に対して回転することができる。
〔第2実施形態〕
図7および図8に示すように、第2実施形態におけるグロメット50は、ベース11と操作部材12の形状が異なっている。ベース11は、底板11cと、周壁11dを備えている。そして、底板11cに、第1開口部16が設けられ、その周囲に、第1主案内溝21、第2主案内溝22、第1副案内溝23、第2副案内溝24が設けられている。また、周壁11dには、周回方向に延びる貫通した溝形状の回転案内部18が設けられている。
【0036】
操作部材12は、中央部に窪み部を備えその中央にベース11の第1開口部16に対応する第2開口部28が設けられている。窪み部の外側は、外周に向かって下る傾斜面が設けられ、円周方向に、凹凸溝が形成されており、操作部材12をベース11に対して回転する際の操作部29が構成されている。
【0037】
第1および第2シャッタ13,14の第1および第2主案内突起36,37は、ベース11の第1および第2主案内溝21,22に係合し、第1および第2副案内突起38,39は、第1および第2副案内溝23,24に係合する。また、第1および第2シャッタ13,14の第1および第2従動突起41,42は、操作部材12の第1および第2カム溝31,32に係合する。以上のようなグロメット50によっても、第1実施形態のグロメット10と同様な作用効果を得ることができる。
【0038】
〔第3実施形態〕
シャッタは、複数枚であれば、2枚に限定されるものではない。図9および図10(a)(b)は、第3実施形態のグロメット60であって、シャッタを4枚用いた例である。このグロメット60は、ベース62を備えている。ベース62は、貫通孔4より大径の円形版であって、中央部に、貫通孔4に対応する第1開口部63を備えている。
【0039】
ベース62には、4枚のシャッタ64がベース62に対する回転軸となるビス65によって回動可能に取り付けられている。そして、4枚のシャッタ64は、それぞれ回動することにより、第1開口部63が開閉する。4枚のシャッタ64は、操作部材66によって回動操作される。操作部材66は、環状部67と、環状部67に設けられた棒状の操作部68とを備えている。環状部67の内側は、第2開口部67aであって、その内径は、第1開口部63に対して同径、大径または小径である。環状部67には、シャッタ64が環状部67に対する回動軸となるビス69により回動可能に取り付けられている。そして、操作部68を上下に移動させることによって、各シャッタ64が回動し、第1開口部63が開閉する。この例では、操作部68を下へ下げると第1開口部63が閉じ、上へ上げると第1開口部63が開く。この例では、シャッタ64が全開の状態において、矩形形状を有した通気口を構成する。
【0040】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・ベース11に対する操作部材12の回転案内は、回転案内部および係合部などを設けなくてもよい。例えば、ベース11の周壁の内側に操作部材12の周壁を嵌合させて回転案内を行うようにしてもよいし、ベース11の周壁の外側に操作部材12の周壁を嵌合させて回転案内を行うようにしてもよい。
【0041】
・ベース11に対する操作部材12の回転案内は、操作部材12のベース11に対する回転範囲を規定する機能を備えていなくてもよい。
・シャッタは、操作部材12に完全に覆われていなくてもよい(図9および図10参照)。
【0042】
・操作部材は、第1開口部16を避けた位置に配置されているのであれば、第2開口部28を備えていなくてもよい。
・シャッタは、全開状態であっても、第1開口部16の一部と重なっていてもよい。
【0043】
・第1および第2シャッタ13,14において、第1および第2主案内突起36,37、第1および第2副案内突起38,39、および、第1および第2従動突起41,42の位置は特に限定されるものではない。例えば、第1および第2主案内突起36,37の中心軸線と第1および第2従動突起41,42の中心軸線は、一致していなくてもよい。一例として、第1および第2主案内突起36,37と第1および第2従動突起41,42の何れか一方は、第1および第2シャッタ13,14の一端部に設け、他方は、一端部と他端部との間に設けてもよい。また、第1および第2副案内突起38,39も、第1および第2シャッタ13,14の他端部ではなく、一端部と他端部との間に設けてもよい。
【0044】
・第1および第2シャッタ13,14の案内が可能であれば、第1および第2副案内突起38,39を省略し、第1および第2主案内突起36,37だけとしてもよい。
・グロメットによって構成された通気口の数は、図1のように2つに限定されるものではない。すなわち、1つであっても、3つ以上であってもよい。数が多ければ、通気性は向上される。また、ヘルメットは、グロメットで構成された通気口の他に、他の機構により構成された通気口を備えていてもよい。
【0045】
・ヘルメット1は、光透過性を有した無色で透明の板部材であるシールドを備えていてもよい。シールドは、前方から飛来する異物や雨、風がヘルメット1内に入ることを閉位置において妨げて、着用者の視認性を向上させることができる。
【0046】
・ヘルメッとしては、オートバイ用ヘルメットの他、自転車用ヘルメット、自動車用ヘルメット、土木作業用ヘルメット、軽作業用ヘルメット、電気作業用ヘルメットなどであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…ヘルメット、2…シェル、3…開口部、4…貫通孔、10…グロメット、11…ベース、11a…裏面、11b…表面、11c…底板、11d…周壁、12…操作部材、13…第1シャッタ、13a…突き合わせ部、14…第2シャッタ、14a…突き合わせ部、16…第1開口部、17…嵌合壁、18…回転案内部、21…第1主案内溝、22…第2主案内溝、23…第1副案内溝、24…第2副案内溝、26…頂板、27…周壁、28…第2開口部、29…操作部、31…第1カム溝、32…第2カム溝、33…係合部、36…第1主案内突起、37…第2主案内突起、38…第1副案内突起、39…第2副案内突起、41…第1従動突起、42…第2従動突起、50…グロメット、60…グロメット、62…ベース、63…第1開口部、64…シャッタ、65…ビス、66…操作部材、67…環状部、67a…第2開口部、68…操作部、69…ビス。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10