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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20230420BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20230420BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20230420BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F28D9/00
F24H9/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019152172
(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公開番号】P2021032458
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】太田 弘逸
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0184350(US,A1)
【文献】実開昭61-170878(JP,U)
【文献】特開2002-122393(JP,A)
【文献】特開平11-030489(JP,A)
【文献】特開平11-037673(JP,A)
【文献】特表2019-504280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/00 - 13/00
F28F 1/00 - 99/00
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流通する第1流体と外部を流通する第2流体との間で熱交換を行う熱交換体を有する複数のブロックを備え、前記複数のブロックが積層されて構成されるプレート式熱交換器であって、
前記熱交換体は、前記熱交換体の内部を流通する前記第1流体の流路面と交差する方向に前記第2流体が前記熱交換体の外部を流通するように形成された複数の貫通孔を有し、
隣接する熱交換体は、前記第2流体の流路方向から見て、一方の熱交換体の前記貫通孔の投影面が、他方の熱交換体の前記貫通孔と重ならないように形成され、
前記各ブロックは、前記第1流体を前記各ブロック内部に導入する導入口と、前記第1流体を前記各ブロック外部に導出する導出口とを有し、
隣接するブロックは、一方のブロックを構成する前記各熱交換体の内部を流通する前記第1流体の流路方向が、他方のブロックを構成する前記各熱交換体の内部を流通する前記第1流体のそれと異なるように形成され、
前記隣接するブロック間には、前記一方のブロックの前記導出口と前記他方のブロックの前記導入口とを連通させる連絡通路が形成され、
前記複数のブロックのうち、前記第2流体の流路の最上流に位置する最上流ブロックは、少なくとも2つ以上の熱交換体が積層されて構成され、
前記最上流ブロックを構成する前記2つ以上の熱交換体は、前記第1流体が前記2つ以上の熱交換体の内部を並列に流通するように形成され、
前記最上流ブロックを構成する前記2つ以上の熱交換体のうち、前記第2流体の前記流路の前記最上流に位置する最上流熱交換体と、前記最上流熱交換体の前記第2流体の前記流路の下流側に隣接する第2熱交換体とは、前記第2熱交換体の内部を流通する前記第1流体の流量が、前記最上流熱交換体の内部を流通する前記第1流体のそれよりも多くなるように構成されているプレート式熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載のプレート式熱交換器において、
前記最上流ブロックは、3つ以上の熱交換体が積層されて構成されており、
前記最上流ブロックを構成する前記3つ以上の熱交換体は、前記第2熱交換体の内部を流通する前記第1流体の前記流量が最も多くなるように構成されているプレート式熱交換器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプレート式熱交換器において、
前記最上流熱交換体における前記第1流体の流入側流路及び流出側流路の少なくともいずれか一方に、前記最上流熱交換体の内部を流通する前記第1流体の前記流量を絞る絞り手段が形成されているプレート式熱交換器。
【請求項4】
請求項3に記載のプレート式熱交換器において、
前記第2流体の前記流路の最下流に位置する最下流熱交換体から前記最上流熱交換体まで導出管が挿通され、
前記導出管は、前記第1流体が前記最上流熱交換体及び前記第2熱交換体から前記導出管に流出するように構成されており、
前記導出管によって、前記第1流体が前記最上流熱交換体から前記導出管に流出する前記流出側流路が、前記第1流体が前記第2熱交換体から前記導出管に流出するそれよりも狭くなるように形成されているプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を流通する第1流体と外部を流通する第2流体との間で熱交換を行う熱交換体を有する複数のブロックを備え、複数のブロックが積層されて構成されるプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上熱交換プレートと下熱交換プレートとが接合された複数の熱交換体を備えるプレート式熱交換器が提案されている(例えば、特許文献1)。各熱交換体は、上熱交換プレートと下熱交換プレートとの間に第1流体である熱媒が流通する内部空間と、内部空間を非連通状態で貫通し、第2流体である燃焼排気が上下方向に流通する複数の貫通孔とを有する。
【0003】
上記プレート式熱交換器は、少なくとも1つの熱交換体を有する複数のブロックを上下方向に積層することにより構成されている。また、上下方向で隣接するブロックは、熱媒が流通するように互いに連通されている。さらに、隣接するブロックは、一方のブロックを流通する熱媒の流路方向が、他方のブロックを流通する熱媒のそれと異なるように構成されている。これにより、熱交換器内を流通する熱媒の流路がブロックの段数に応じて長くなり、熱効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国登録特許第10-1608149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の熱交換体が積層されるプレート式熱交換器では、燃焼排気の流路方向から見て、一方の熱交換体の貫通孔の投影面が他方の熱交換体の貫通孔と重ならないように隣接する熱交換体を形成すれば、熱交換器内の燃焼排気のガス流路が長くなり、熱効率を向上させることができる。
【0006】
しかしながら、上記のような貫通孔の配置構造を有する熱交換器では、上流側の熱交換体の貫通孔は下流側の熱交換体の貫通孔の形成されていない投影面と対向する。そのため、上流側の熱交換体の貫通孔を流通した燃焼排気は、まず上記の下流側の熱交換体の一面上の投影面に衝突し、その後、下流側の熱交換体の一面上に広がり、さらに下流側の熱交換体の貫通孔から下流側に流通する。従って、高温の燃焼排気が流通する燃焼排気のガス流路の上流域では、下流側の熱交換体における上流側の熱交換体の貫通孔と対向する部分が集中して加熱され、ローカルヒートが生じるという問題がある。特に、燃焼排気のガス流路の最上流の熱交換体に隣接する下流側の熱交換体には、最上流の熱交換体の内部を流通する熱媒と熱交換することなく、最上流の熱交換体の貫通孔を流通する高温の燃焼排気が衝突するため、ローカルヒートの問題が生じやすい。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、第2流体の流路の最上流の熱交換体の下流側に隣接する熱交換体のローカルヒートを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
内部を流通する第1流体と外部を流通する第2流体との間で熱交換を行う熱交換体を有する複数のブロックを備え、前記複数のブロックが積層されて構成されるプレート式熱交換器であって、
前記熱交換体は、前記熱交換体の内部を流通する前記第1流体の流路面と交差する方向に前記第2流体が前記熱交換体の外部を流通するように形成された複数の貫通孔を有し、
隣接する熱交換体は、前記第2流体の流路方向から見て、一方の熱交換体の前記貫通孔の投影面が、他方の熱交換体の前記貫通孔と重ならないように形成され、
前記各ブロックは、前記第1流体を前記各ブロック内部に導入する導入口と、前記第1流体を前記各ブロック外部に導出する導出口とを有し、
隣接するブロックは、一方のブロックを構成する前記各熱交換体の内部を流通する前記第1流体の流路方向が、他方のブロックを構成する前記各熱交換体の内部を流通する前記第1流体のそれと異なるように形成され、
前記隣接するブロック間には、前記一方のブロックの前記導出口と前記他方のブロックの前記導入口とを連通させる連絡通路が形成され、
前記複数のブロックのうち、前記第2流体の流路の最上流に位置する最上流ブロックは、少なくとも2つ以上の熱交換体が積層されて構成され、
前記最上流ブロックを構成する前記2つ以上の熱交換体は、前記第1流体が前記2つ以上の熱交換体の内部を並列に流通するように形成され、
前記最上流ブロックを構成する前記2つ以上の熱交換体のうち、前記第2流体の前記流路の前記最上流に位置する最上流熱交換体と、前記最上流熱交換体の前記第2流体の前記流路の下流側に隣接する第2熱交換体とは、前記第2熱交換体の内部を流通する前記第1流体の流量が、前記最上流熱交換体の内部を流通する前記第1流体のそれよりも多くなるように構成されているプレート式熱交換器が提供される。
【0009】
上記熱交換器によれば、最上流ブロックを構成する2つ以上の熱交換体は、第1流体が2つ以上の熱交換体の内部を並列に流通するように形成され、最上流熱交換体と第2熱交換体とは、最上流熱交換体の貫通孔を流通する第2流体が衝突する第2熱交換体の内部を流通する第1流体の流量が、最上流熱交換体の内部を流通する第1流体のそれよりも多くなるように構成されているから、最上流熱交換体の貫通孔を通過した第2流体が第2熱交換体の小面積の投影面に集中しても、第2熱交換体の局部過熱を防止することができる。
【0010】
好ましくは、上記熱交換器において、
前記最上流ブロックは、3つ以上の熱交換体が積層されて構成されており、
前記最上流ブロックを構成する前記3つ以上の熱交換体は、前記第2熱交換体の内部を流通する前記第1流体の前記流量が最も多くなるように構成される。
【0011】
上記熱交換器によれば、最上流ブロックを構成する3つ以上の熱交換体のうち、第2熱交換体の内部に第1流体を最大流量で流通させるから、最上流熱交換体の貫通孔を通過した第2流体が第2熱交換体の小面積の投影面に集中しても、第2熱交換体の局部過熱を防止することができる。
【0012】
好ましくは、上記熱交換器において、
前記最上流熱交換体における前記第1流体の流入側流路及び流出側流路の少なくともいずれか一方に、前記最上流熱交換体の内部を流通する前記第1流体の前記流量を絞る絞り手段が形成される。
【0013】
上記熱交換器によれば、第1流体は最上流熱交換体及び第2熱交換体の内部を並列に流通するから、最上流熱交換体における第1流体の流入側流路及び流出側流路の少なくともいずれか一方に、第1流体の流量を絞る絞り手段を形成することにより、第2熱交換体の内部を流通する第1流体の流量を、最上流熱交換体の内部を流通する第1流体のそれよりも多くすることができる。また、上記熱交換器によれば、第1流体が最上流熱交換体の内部の中間部を流通しているときの第1流体の流路抵抗の変動を抑えることができる。これにより、第2流体によって加熱される最上流熱交換体の温度の偏りを低減することができる。
【0014】
好ましくは、上記熱交換器において、
前記第2流体の前記流路の最下流に位置する最下流熱交換体から前記最上流熱交換体まで導出管が挿通され、
前記導出管は、前記第1流体が前記最上流熱交換体及び前記第2熱交換体から前記導出管に流出するように構成されており、
前記導出管によって、前記第1流体が前記最上流熱交換体から前記導出管に流出する前記流出側流路が、前記第1流体が前記第2熱交換体から前記導出管に流出するそれよりも狭くなるように形成される。
【0015】
上記熱交換器によれば、第1流体は、最上流ブロックを構成する最上流熱交換体及び第2熱交換体から導出管に並列に流出する。また、第1流体が最上流熱交換体から導出管に流出する流出側流路は、第1流体が第2熱交換体から導出管に流出するそれよりも狭くなるように形成されているから、最上流熱交換体の内部を流通する第1流体の流路抵抗を、第2熱交換体の内部を流通する第1流体のそれよりも高くすることができる。これにより、第2熱交換体の内部を流通する第1流体の流量を、最上流熱交換体の内部を流通する第1流体のそれよりも多くすることができる。また、上記熱交換器によれば、第1流体が最上流熱交換体から導出管に流出する流出側流路が狭められているから、最上流熱交換体の内部を流通する第1流体の流路の最下流側で、第1流体の流路抵抗を増加させることができる。これにより、熱交換器内に供給される第1流体の流量が少ない場合でも、最上流熱交換体の内部に円滑に第1流体を流通させることができ、最上流熱交換体における局部過熱を防止することができる。また、導出管によって最上流熱交換体の内部を流通する第1流体の流量を減少させることができるから、最上流熱交換体及び第2熱交換体として専用の熱交換体を製造する必要がない。これにより、コストを低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、第1流体は、最上流熱交換体よりも、最上流熱交換体の第2流体の流路の下流側に隣接する第2熱交換体に多く流通する。従って、第2流体の流路方向から見て、隣接する熱交換体の一方の熱交換体の貫通孔の投影面が他方の熱交換体の貫通孔と重ならないように複数の熱交換体が積層されているプレート式熱交換器において、第2熱交換体のローカルヒートを防止することができる。これにより、第2熱交換体の内部を流通する第1流体の沸騰や変性を防止できるとともに、第2熱交換体の変形を防止できるから、優れた耐久性を有する熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る熱交換器を有する熱源機を示す概略部分切欠斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る熱交換器を示す概略部分分解斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る熱交換器を示す流入管側の概略要部拡大断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る熱交換器を示す流出管側の概略要部拡大断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る熱交換器における第1流体と第2流体の流れを説明する概略模式図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る導出管を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施の形態に係るプレート式熱交換器及びそれを備える熱源機について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る熱源機は、流入管20から熱交換器1内に流入する水(第1流体)を、バーナ31で生成される燃焼排気(第2流体)により加熱し、流出管21を通じてカランやシャワーなどの温水利用先(図示せず)に供給する給湯器である。図示しないが、給湯器は、ケーシング内に組み込まれる。なお、第1流体として、他の熱媒(例えば、不凍液)が用いられてもよい。
【0020】
この給湯器では、上方から順に、バーナ31の外郭を構成するバーナボディ3、燃焼室2、熱交換器1、及びドレン受け40が配設される。また、バーナボディ3の一方側方(図1では、右側)には、バーナボディ3内に燃料ガスと空気との混合ガスを送り込む燃焼ファンを備えるファンケース4が配設される。また、バーナボディ3の他方側方(図1では、左側)には、ドレン受け40と連通する排気ダクト41が配設される。排気ダクト41は、ドレン受け40に排出される燃焼排気を給湯器の外部に排出する。
【0021】
なお、本明細書では、ファンケース4及び排気ダクト41がバーナボディ3の側方にそれぞれ配置された状態で給湯器を見たとき、奥行方向が前後方向に対応し、幅方向が左右方向に対応し、高さ方向が上下方向に対応する。
【0022】
バーナボディ3は、平面視略小判形状を有し、例えば、ステンレス系金属で形成される。図示しないが、バーナボディ3は、下方に開放している。
【0023】
ファンケース4と連通するガス導入部は、バーナボディ3の中央部から上方に突出している。バーナボディ3は、下向きの燃焼面30を有する平面状のバーナ31を備える。燃焼ファンを作動させることにより、混合ガスがバーナボディ3内に供給される。
【0024】
バーナ31は、全一次空気燃焼式であり、例えば、下向きに開口する多数の炎孔(図示せず)を有するセラミックス製の燃焼プレート、または金属繊維をネット状に編み込んだ燃焼マットからなる。バーナボディ3内に供給された混合ガスが、燃焼ファンの給気圧によって、下向きの燃焼面30から下方へ向けて噴出される。この混合ガスを着火させることにより、バーナ31の燃焼面30に火炎が形成され、燃焼排気が生成される。従って、バーナ31から噴出される燃焼排気は、燃焼室2を介して熱交換器1に送り込まれる。次いで、熱交換器1を通過した燃焼排気は、ドレン受け40及び排気ダクト41を通って給湯器の外部に排出される。
【0025】
すなわち、この熱交換器1では、バーナ31が設けられている上方側が燃焼排気のガス流路の上流側に対応し、バーナ31が設けられている側と反対側の下方側が燃焼排気のガス流路の下流側に対応する。
【0026】
燃焼室2は、平面視略小判形状を有する。燃焼室2は、例えば、ステンレス系金属で形成される。燃焼室2は、上下に開放するように、一枚の略長方形状の金属板を湾曲させて両端部を接合することにより形成される。
【0027】
図2に示すように、熱交換器1は、平面視略小判形状を有する。熱交換器1は、複数(ここでは、10層)の薄板状の熱交換体10が積層されたプレート式熱交換器である。なお、熱交換器1は、その周囲を覆う筐体を有してもよい。
【0028】
図2図5に示すように、熱交換器1は、複数の熱交換体10を有する複数(ここでは、3段)のブロック5を上下方向に積み重ねて構成されている(以下、これらのブロック5を総称する場合、単に「ブロック5」という。また、燃焼排気のガス流路に従って、最上段のブロック5を、「最上流ブロック5a」、中段のブロック5を、「中流ブロック5b」、及び最下段のブロック5を、「最下流ブロック5c」という)。最上流ブロック5aは、2つの熱交換体10が積層されて構成され、中流ブロック5bは、3つの熱交換体10が積層されて構成され、最下流ブロック5cは、5つの熱交換体10が積層されて構成されている。なお、最上流ブロック5aを除いて、各ブロック5は、1つの熱交換体10から構成されてもよい。また、熱交換器1は、2つ以下または4つ以上のブロック5から構成されてもよい。後述するように、1つのブロック5が複数の熱交換体10から構成される場合、水は、その1つのブロック5を構成する各熱交換体10の内部を同一方向に並列に流れる。また、各ブロック5における隣接する熱交換体10は、水が下方から上方に向かって流れるように相互に連通されている。また、隣接するブロック5は、水が下方から上方に向かって流れるように相互に連通されている。また、隣接するブロック5は、一方のブロック5における各熱交換体10の内部を流れる水の流路方向が、他方のブロック5における各熱交換体10の内部を流れる水の流路方向と逆方向となるように構成されている。従って、この熱交換器1では、熱交換器1内の水の流路はブロック5の段数に応じて3パスとなるように、ブロック5ごとに水の流路方向が折り返されている。これにより、熱交換器1内に長い水の流路が形成され、熱効率を向上させることができる。
【0029】
次に、熱交換体10の構成について説明する。各熱交換体10は、上下貫通孔の位置やコーナ部の通水孔の有無などの一部の構成が相違する以外は、共通の構成を有する一組の上熱交換プレート11と下熱交換プレート12とを上下方向に重ね合わせて、後述する所定箇所をロウ材等の接合手段で接合することにより形成される。このため、以下では、1つの熱交換体10の構成を主に説明する。なお、各図面は、必ずしも実際の寸法を示したものでなく、実施形態を限定するものではない。
【0030】
図2図4に示すように、上下熱交換プレート11,12は、平面視略小判形状を有する。上下熱交換プレート11,12は、例えば、所定の厚さを有するステンレス製の金属板から形成される。上下熱交換プレート11,12はそれぞれ、コーナ部を除くプレートの略全面に多数の略円形状の上下貫通孔11a,12aと、上下貫通孔11a,12aの周縁に形成された上下貫通孔フランジ部11c,12cとを有する。なお、上下貫通孔11a,12aは、略楕円形状などの他の形状を有してもよい。
【0031】
上下熱交換プレート11,12の周縁にはそれぞれ、上方に向かって突出する上下周縁接合部W1,W2が形成されている。下熱交換プレート12の下周縁接合部W2は、下周縁接合部W2と上熱交換プレート11の下面周縁とを接合させたときに、上下熱交換プレート11,12が所定高さの間隙を存して離間するように設定されている。
【0032】
また、上熱交換プレート11の上周縁接合部W1は、上周縁接合部W1と上方に隣接する熱交換体10の下熱交換プレート12の下面周縁とを接合させたときに、下方の熱交換体10の上熱交換プレート11と、上方の熱交換体10の下熱交換プレート12とが所定高さの間隙を存して離間するように設定されている。
【0033】
従って、下熱交換プレート12の下周縁接合部W2と上熱交換プレート11の下面周縁とを接合させることにより、所定の高さの内部空間14が形成される(図3及び図4参照)。また、複数の熱交換体10を接合させることにより、上下に隣接する熱交換体10の間には、所定の高さの排気空間15が形成される(図3及び図4参照)。
【0034】
上下貫通孔11a,12aはそれぞれ、4つのコーナ部を除いた上下熱交換プレート11,12の略全面にわたって前後及び左右方向に所定の間隔で格子状に開設されている。また、上下貫通孔フランジ部11c,12cは、上下貫通孔11a,12aの開口縁から周方向外方に略水平に広がり、平面視略正八角形状の外形を有するように形成されている。なお、本実施の形態では、各熱交換体10の上下貫通孔11a,12aは、同一の大きさ及び形状を有する。しかしながら、各熱交換体10の上下貫通孔11a,12aは、上下方向で対向する一対の上下貫通孔11a,12aが同一の大きさ及び形状に形成されていれば、他の一対の上下貫通孔11a,12aのそれらと異なってもよい。
【0035】
上下貫通孔11a,12a及び上下貫通孔フランジ部11c,12cはそれぞれ、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされたときに相互に対応する位置に形成されている。また、上下貫通孔11a,12a及び上下貫通孔フランジ部11c,12cは、絞り加工により、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされたときに対向する上下貫通孔フランジ部11c,12cが面接触するように、内方に突出する段差部の底面に形成されている。
【0036】
従って、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされた状態で、上下貫通孔フランジ部11c,12cがロウ材等の接合手段により接合されると、上下貫通孔フランジ部11c,12cによって内部空間14を閉塞するフランジ部が形成される。また、上下貫通孔11a,12aによって内部空間14を非連通状態で貫通する貫通孔13が形成される。
【0037】
上下貫通孔11a,12aや上下貫通孔フランジ部11c,12cを除く上下熱交換プレート11,12の略全面には、複数の上下凹部及び複数の上下凸部がそれぞれ所定の間隔で形成されている。これらの上下凹部及び上下凸部はそれぞれ、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされたときに相互に対応する位置に形成されている。従って、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされると、上下凹部によって熱交換体10の内部空間14の高さを減少させる内向き段差部が形成され、上下凸部によって熱交換体10の内部空間14の高さを増加させる外向き段差部が形成される。なお、これらの凹凸部は、形成されなくてもよい。
【0038】
図5に示すように、隣接する熱交換体10の貫通孔13は、上流側の熱交換体10の貫通孔13の投影面が下流側の熱交換体10の貫通孔13と重ならないように、燃焼排気の流路方向に対して垂直に交差する左右方向にずれている。従って、上流側から流れてきた燃焼排気は、1つの熱交換体10の貫通孔13を通過した後、その熱交換体10と下流側に隣接する熱交換体10との間の排気空間15に流れ出る。そして、排気空間15に流れ出た燃焼排気は、下流側に隣接する熱交換体10の上熱交換プレート11に衝突し、下流側に隣接する熱交換体10の貫通孔13からさらに下流側に流れる。すなわち、燃焼排気が熱交換器1内を上流側から下流側に向かって流れるとき、熱交換器1内にはジグザグ状のガス流路が形成される。これにより、熱交換器1内における燃焼排気と上下熱交換プレート11,12との接触時間が増加する。
【0039】
最上流ブロック5aの燃焼排気のガス流路の最上流の熱交換体10(以下、「最上流熱交換体10a」という)を形成する上熱交換プレート11を除いて、各熱交換体10の上下熱交換プレート11,12はそれぞれ、少なくとも1つのコーナ部に、通水孔63と、通水孔63の周縁から外方に向かって突出する通水孔フランジ部とを有する。1つの熱交換体10を形成する上下熱交換プレート11,12の少なくとも1つのコーナ部に設けられた通水孔63は、上下熱交換プレート11,12が重ね合わされたとき、上下熱交換プレート11,12の間に形成される内部空間14と連通するように開口している。
【0040】
次に、ブロック5の構成について説明する。図3図5に示すように、各ブロック5は、水をブロック5内部に導入する導入口71と、水をブロック5外部に導出する導出口72とを有する。これらの導入口71及び導出口72はそれぞれ、各ブロック5の燃焼排気のガス流路の最下流及び最上流に位置する熱交換体10の所定の通水孔63により構成される。
【0041】
最下流ブロック5cにおける燃焼排気のガス流路の最下流に位置する熱交換体10(以下、「最下流熱交換体10s」という)を形成する下熱交換プレート12の左側後方及び右側前方のコーナ部には、通水孔63が形成されている。左側後方のコーナ部の通水孔63には、流入管20が接続されている。従って、この通水孔63が、導入口71を形成する。また、右側前方のコーナ部の通水孔63には、最下流熱交換体10sから最上流熱交換体10aまで上方に向かって延びる導出管23が挿通されている。導出管23の外周面は、最下流熱交換体10sを形成する下熱交換プレート12の右側前方のコーナ部の通水孔63の内周縁とロウ材等の接合手段により接合されている。最下流ブロック5cの燃焼排気のガス流路の最上流に位置する熱交換体10(以下、「第1最上流熱交換体10e」という)を形成する上熱交換プレート11の右側後方のコーナ部には、通水孔63が形成されている。従って、この通水孔63が、導出口72を形成する。
【0042】
中流ブロック5bにおける燃焼排気のガス流路の最下流に位置する熱交換体10(以下、「第1最下流熱交換体10d」という)を形成する下熱交換プレート12の右側後方のコーナ部には、通水孔63が形成されている。この通水孔63は、第1最上流熱交換体10eの通水孔63と対向している。従って、この通水孔63が、導入口71を形成する。また、中流ブロック5bを構成する各熱交換体10の右側前方のコーナ部の通水孔63には、導出管23が挿通されている。中流ブロック5bの燃焼排気のガス流路の最上流に位置する熱交換体10(以下、「第2最上流熱交換体10c」という)を形成する上熱交換プレート11の左側前後両方のコーナ部には、通水孔63が形成されている。従って、これらの通水孔63が、導出口72を形成する。最下流ブロック5cと中流ブロック5bとの間には、最下流ブロック5cの導出口72及び中流ブロック5bの導入口71の周縁の通水孔フランジ部相互を接合することによって、これらの導出口72と導入口71とを連通させる連絡通路7が形成されている。
【0043】
最上流ブロック5aにおける燃焼排気のガス流路の最下流に位置する熱交換体10(すなわち、最上流熱交換体10aの燃焼排気のガス流路の下流側に隣接する熱交換体10(以下、「第2熱交換体10b」という))を形成する下熱交換プレート12の左側前後両方のコーナ部には、通水孔63が形成されている。これらの通水孔63は、第2最上流熱交換体10cの通水孔63と対向している。従って、これらの通水孔63が、導入口71を形成する。また、最上流ブロック5aを構成する各熱交換体10の右側前方のコーナ部の通水孔63には、導出管23が挿通されている。最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bに挿通されている導出管23の上流側端部24は、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bの内部空間14と連通している。従って、第2熱交換体10bを形成する下熱交換プレート12の右側前方のコーナ部の通水孔63が、導出口72を形成する。中流ブロック5bと最上流ブロック5aとの間には、中流ブロック5bの導出口72及び最上流ブロック5aの導入口71の周縁の通水孔フランジ部相互を接合することによって、これらの導出口72と導入口71とを連通させる連絡通路7が形成されている。
【0044】
各ブロック5の導入口71及び導出口72を形成する通水孔63や導出管23が挿通されている通水孔63を除いて、上下熱交換プレート11,12に形成されている通水孔63は、上下に隣接する熱交換体10の同軸上に位置する通水孔63の周縁の通水孔フランジ部相互を接合させることにより、連通路64を形成している。これらの連通路64及び既述した連絡通路7は、排気空間15を非連通状態で貫通している。
【0045】
既述したように、導出管23は、最下流熱交換体10sから最上流熱交換体10aまでの全ての熱交換体10の右側前方のコーナ部の通水孔63に挿通されている。また、図6に示すように、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bに挿通される導出管23の上流側端部24には、周壁が切り欠かれた切欠部が形成されている。従って、導出管23が最下流熱交換体10sから最上流熱交換体10aまで挿通されると、導出管23は、切欠部によって形成される上流側及び下流側開口部25,26を介して最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bの内部空間14と連通する。また、導出管23は、第2熱交換体10bより燃焼排気のガス流路の下流側の熱交換体10の内部空間14及び全ての排気空間15を非連通状態で貫通する。
【0046】
図5に示すように、流入管20から導入口71を介して最下流ブロック5cに導入される水は、左側2列の連通路64を通って上方に向かって流れ、各熱交換体10に分流される。各熱交換体10に流入する水は、各内部空間14を左右方向で同一方向(図中、左側から右側)に並列に流れる。従って、最下流ブロック5c内には、5つの水の平行流路が形成される。各内部空間14を流通する水は、右側1列の連通路64に流出して合流し、連通路64を通って上方に向かって流れる。そして、水は、最下流ブロック5cの導出口72から連絡通路7を介して中流ブロック5bの導入口71に導出される。
【0047】
中流ブロック5bに導入される水は、右側1列の連通路64を通って、各熱交換体10に分流される。各熱交換体10に流入する水は、各内部空間14を左右方向で同一の方向(図中、右側から左側)に並列に流れる。従って、中流ブロック5b内には、3つの水の平行流路が形成される。この中流ブロック5bの各熱交換体10の内部空間14を流通する水の流路方向は、最下流ブロック5cのそれと反対になる。各内部空間14を流通する水は、左側2列の連通路64に流出して合流し、連通路64を通って上方に向かって流れる。そして、水は、中流ブロック5bの導出口72から連絡通路7を介して最上流ブロック5aの導入口71に導出される。
【0048】
最上流ブロック5aに導入される水は、左側2列の連通路64を通って、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bに分流される。最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bに流入する水は、各内部空間14を左右方向で同一の方向(図中、左側から右側)に並列に流れる。従って、最上流ブロック5a内には、2つの水の平行流路が形成される。この最上流ブロック5aの各熱交換体10の内部空間14を流通する水の流路方向は、中流ブロック5bのそれと反対になる。最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bの内部空間14を流通する水は、導出管23の上流側端部24の切欠部によって形成される上流側及び下流側開口部25,26を介して導出管23に並列に流出する。導出管23は、最上流ブロック5aの導出口72に挿通されているため、導出管23に流出する水は、導出管23を流下し、最下流熱交換体10sに接続された流出管21から熱交換器1の外部に流出する。
【0049】
図5及び図6に示すように、導出管23の上流側端部24は、導出管23が最下流熱交換体10sから最上流熱交換体10aまで挿通されたとき、最上流熱交換体10aの内部空間14と連通する上流側開口部25が、第2熱交換体10bの内部空間14と連通する下流側開口部26よりも小さな開口面積を有するように略逆T字状に2箇所、切り欠かれている(例えば、下流側開口部26の20%~50%)。このため、導出管23の上流側端部24によって、最上流熱交換体10aから導出管23に流出する水の流出側流路8aは、第2熱交換体10bから導出管23に流出する水の流出側流路8bよりも狭められている。
【0050】
本実施の形態によれば、燃焼排気は各熱交換体10を貫通する貫通孔13を上下方向に流通する。従って、各熱交換体10の貫通孔13は、燃焼排気が各熱交換体10の内部を流通する水の流路面に対して略垂直に交差する方向に熱交換体10の外部を流通するように形成されている。また、貫通孔13は、各熱交換体10の略全面に前後及び左右方向に略一定の間隔で形成されている。そのため、ガス流路の上流側から流れてくる燃焼排気は、貫通孔13を除いた最上流熱交換体10aの一面全体に衝突し、最上流熱交換体10aを加熱する。すなわち、最上流熱交換体10aでは、貫通孔13を除いた部分が受熱面となる。一方、隣接する熱交換体10は、上流側の熱交換体10の貫通孔13の投影面が下流側の熱交換体10の貫通孔13と重ならないように形成されている。そのため、最上流熱交換体10aの貫通孔13を流通する燃焼排気は、第2熱交換体10b上の小面積の投影面にまず衝突する。この第2熱交換体10bに衝突する燃焼排気は、最上流熱交換体10aと接触していない高温の燃焼排気(すなわち、最上流熱交換体10aの内部空間14内を流通する水と熱交換が行われていない燃焼排気)も含んでいる。その結果、最上流熱交換体10aの下流側に隣接する第2熱交換体10bで局部過熱が生じやすい。
【0051】
しかしながら、本実施の形態によれば、最上流ブロック5aを構成する最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bは、導入口71から最上流ブロック5aに流入する水が最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bに分流され、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bの内部を並列に流通するように構成されている。従って、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bの内部を流通する水の流量は、一方を増加させれば、他方が減少する相関関係にある。また、導出管23の上流側端部24は、上流側開口部25の開口面積が下流側開口部26のそれよりも小さくなるように形成されているため、最上流熱交換体10aから導出管23に流出する水の流出側流路8aは第2熱交換体10bから導出管23に流出する水の流出側流路8bよりも狭くなる。そのため、導出管23の上流側端部24によって、最上流熱交換体10aの内部を流通する水の流路抵抗は、第2熱交換体10bの内部を流通する水のそれよりも高くなる。その結果、導出管23の上流側端部24は、最上流熱交換体10aの内部を流通する水の流量を絞る絞り手段として機能し、最上流ブロック5aにおいて、第2熱交換体10bの内部を流通する水の流量は、最上流熱交換体10aの内部を流通する水のそれよりも多くなる。これにより、最上流熱交換体10aの貫通孔13を通過した第2流体が第2熱交換体10bの小面積の投影面に集中しても、第2熱交換体10bの局部過熱を防止することができる。なお、導出管23の上流側端部24には、切欠部以外に、周壁を貫通する孔部を設けてもよい。
【0052】
また、本実施の形態によれば、最上流熱交換体10aから導出管23に流出する水の流出側流路8aが導出管23の上流側端部24によって絞られているから、最上流熱交換体10aの内部を流通する水の流路の最下流側で、水の流路抵抗を増加させることができる。これにより、熱交換器1内に供給される水の流量が少ない場合でも、最上流熱交換体10aの内部に円滑に水を流通させることができ、最上流熱交換体10aにおける局部過熱を防止することができる。また、水が最上流熱交換体10aの内部空間14の中間部を流通しているときの水の流路抵抗の変動を抑えることができる。これにより、燃焼排気によって加熱される最上流熱交換体10aの温度の偏りを低減することができ、熱効率を向上させることができる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、導出管23によって最上流熱交換体10aの内部を流通する水の流路抵抗を増加させることができるから、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bとして、専用の熱交換体10を製造する必要がない。従って、他の熱交換体10と略同一の構成を有する熱交換体10を最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bに使用することができる。これにより、コストを低減することができる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、導出管23の上流側端部24には、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bの内部空間14と連通する上流側及び下流側開口部25,26がそれぞれ、複数形成されている。そのため、導出管23の上流側端部24周辺で水の滞留が生じ難く、円滑に内部空間14から導出管23に水を流出させることができる。これにより、熱交換器1内に供給される水の流量が少ない場合でも、最上流熱交換体10a及び第2熱交換体10bにおけるローカルヒートを防止することができる。
【0055】
以上のように、本実施の形態によれば、最上流熱交換体10aの貫通孔13を流通して第2熱交換体10bに高温の燃焼排気が衝突することによる第2熱交換体10bのローカルヒートを防止することができる。従って、第2熱交換体10bの内部を流れる水の局部的な沸騰を防止できるとともに、第2熱交換体10bの内部の圧力の増加による第2熱交換体10bの損傷を防止でき、熱交換器1の耐久性を向上させることできる。
【0056】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、最上流ブロックは、2つの熱交換体が積層されて構成されている。しかしながら、最上流熱交換体は、3つ以上の熱交換体が積層されて構成されてもよい。この場合、好ましくは、3つ以上の熱交換体は、第2熱交換体の内部を流通する第1流体の流量が最も多くなるように構成される。これにより、最上流ブロックを構成する複数の熱交換体のうち、第2熱交換体の内部に第1流体を最大流量で流通させることができるから、第2熱交換体のローカルヒートを確実に防止することができる。
(2)上記実施の形態では、導出管の上流側端部によって絞り手段が形成されている。しかしながら、導出管を用いることなく、最上流熱交換体における第1流体の下流側の通水孔の開口面積を第2熱交換体における第1流体の下流側の通水孔のそれより小さくしてもよい。この場合、最上流熱交換体の上記通水孔自体が絞り手段を形成する。
(3)上記実施の形態では、最上流熱交換体に挿通させる導出管の上流側端部によって、第1流体が最上流熱交換体から導出管に流出する流出側流路が絞られている。しかしながら、絞り手段が形成される位置は特に限定されない。例えば、最上流熱交換体における第1流体の流入側流路に絞り手段が形成されてもよい。また、最上流熱交換体における流入側流路及び流出側流路の両方に絞り手段が形成されてもよい。
(4)上記実施の形態では、下向きの燃焼面を有するバーナが熱交換器の上方に配設されている。しかしながら、上向きの燃焼面を有するバーナが熱交換器の下方に配設されてもよい。
(5)上記実施の形態では、複数の熱交換体が上下に積層されている。しかしながら、複数の熱交換体は左右に積層されてもよい。
(6)上記実施の形態では、給湯器が用いられているが、ボイラなどの熱源機が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 熱交換器
10 熱交換体
10a 最上流熱交換体
10b 第2熱交換体
5 ブロック
5a 最上流ブロック
13 貫通孔
23 導出管
図1
図2
図3
図4
図5
図6