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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ターボ冷凍機
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/053 20060101AFI20230420BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
F25B1/053 D
F25B1/00 321N
F25B1/00 311B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019152753
(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公開番号】P2021032472
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503164502
【氏名又は名称】荏原冷熱システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】福住 幸大
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-095205(JP,A)
【文献】特開2017-125647(JP,A)
【文献】特開平05-039963(JP,A)
【文献】特開2015-169352(JP,A)
【文献】特開2013-088027(JP,A)
【文献】特開2008-082622(JP,A)
【文献】特公昭42-019075(JP,B1)
【文献】特開2003-130486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-49/00
H02K 9/14,9/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成する蒸発器と、
前記冷媒蒸気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮された冷媒蒸気を凝縮させて前記冷媒液を生成する凝縮器と、
前記凝縮器から前記蒸発器まで延びる冷媒配管と、
前記冷媒配管から分岐する分岐配管と、
前記分岐配管に接続された冷媒ポンプと、
前記分岐配管に接続された冷媒タンクと、
前記分岐配管に流入する冷媒液の流量の低下を検出する流量低下検出器と、
前記分岐配管に設けられ、前記冷媒ポンプの吐出し側に位置する流量制御弁と、
前記流量低下検出器から発せられた信号に基づいて、前記流量制御弁の開度を低下させる弁制御部を備え、
前記分岐配管は、前記冷媒配管から下方に延びて前記冷媒ポンプに接続される第1区間と、前記冷媒ポンプから前記圧縮機の電動機まで延びる第2区間を有し、
前記冷媒タンクは、前記分岐配管の前記第1区間に接続されており、
前記冷媒タンクは前記冷媒配管と前記冷媒ポンプとの間に位置しているターボ冷凍機。
【請求項2】
前記冷媒ポンプは、前記冷媒配管よりも低い位置にある、請求項1に記載のターボ冷凍機。
【請求項3】
前記冷媒配管は、前記凝縮器から鉛直方向かつ下方に延びる鉛直区間を有し、
前記分岐配管の第1区間は、前記鉛直区間の下端に接続されている、請求項1または2に記載のターボ冷凍機。
【請求項4】
前記ターボ冷凍機は、前記凝縮器と前記蒸発器との間に配置されたエコノマイザをさらに備え、
前記冷媒配管は、前記凝縮器から前記エコノマイザまで延びる上流側配管と、前記エコノマイザから前記蒸発器まで延びる下流側配管を含み、前記分岐配管は前記上流側配管から分岐している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
【請求項5】
前記分岐配管に流入する冷媒液の流量の低下を検出する流量低下検出器と、
前記流量低下検出器から発せられた信号に基づいて、前記冷媒ポンプの運転を停止させる運転制御部をさらに備えている、請求項1乃至のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
【請求項6】
前記分岐配管に流入する冷媒液の流量の低下を検出する流量低下検出器と、
前記冷媒配管に設けられた流量制御弁と、
前記流量低下検出器から発せられた信号に基づいて、前記流量制御弁の開度を低下させる弁制御部をさらに備えている、請求項1乃至のいずれか一項に記載のターボ冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心式圧縮機を備えたターボ冷凍機に関し、特に遠心式圧縮機の電動機を冷媒液で冷却する構造を持つターボ冷凍機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷凍空調装置などに利用されるターボ冷凍機は、冷媒を封入したクローズドシステムとして構成される。ターボ冷凍機は、一般に、被冷却流体から熱を奪って冷媒が蒸発して冷凍効果を発揮する蒸発器と、前記蒸発器で生成された冷媒蒸気を圧縮する遠心式圧縮機と、前記圧縮された冷媒蒸気を冷却流体で冷却して凝縮させる凝縮器と、前記凝縮した冷媒を減圧して膨張させる膨張弁とを、冷媒配管によって連結して構成されている。
【0003】
ターボ冷凍機で冷却された被冷却流体は、種々の用途に使用される。例えば、プラントやデータセンターで使用される冷水は、その一例である。これらの施設で使用される冷水の温度は、高精度に一定に保つことが必要とされる。このため、冷凍負荷が小さい場合でも、ターボ冷凍機の運転を停止させず、低負荷(例えば定格能力の20%以下)でターボ冷凍機の運転が継続される。例えば、冷媒蒸気(ホットガスともいう)を凝縮器から蒸発器にバイパスラインを通じて送ることで、圧縮機への冷媒蒸気の流量を確保し、安定した低負荷運転を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-2186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、圧縮機の電動機を冷却するために、凝縮器内の冷媒液を電動機に導いて、冷媒液により電動機のステータコイルなどを冷却することが行われている。しかしながら、上述したような低負荷運転時では、凝縮器内の冷媒液の量が低下するため、電動機に導かれる冷媒液の流量が低下する。結果として、電動機の冷却が十分に行われず、電動機が過熱するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、低い冷凍負荷で運転しているときでも、冷媒液を凝縮器から圧縮機の電動機に導いて該電動機を冷却することができるターボ冷凍機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成する蒸発器と、前記冷媒蒸気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮された冷媒蒸気を凝縮させて前記冷媒液を生成する凝縮器と、前記凝縮器から前記蒸発器まで延びる冷媒配管と、前記冷媒配管から分岐する分岐配管と、前記分岐配管に接続された冷媒ポンプを備え、前記分岐配管は、前記冷媒配管から下方に延びて前記冷媒ポンプに接続される第1区間と、前記冷媒ポンプから前記圧縮機の電動機まで延びる第2区間を有する、ターボ冷凍機が提供される。
分岐配管の第1区間は、冷媒配管から下方に延びているので、冷媒配管を流れる冷媒液の一部は、その重力により分岐配管に優先的に流入する。したがって、冷凍負荷が低く、凝縮器内に存在する冷凍液の量が少ない場合であっても、十分な量の冷媒液が分岐配管を通って圧縮機の電動機に送られ、電動機を冷却することができる。
【0008】
一態様では、前記冷媒ポンプは、前記冷媒配管よりも低い位置にある。
このような配置により、分岐配管に流入した冷媒液は、その重力によって確実に冷媒ポンプまで到達することができる。
【0009】
一態様では、前記冷媒配管は、前記凝縮器から鉛直方向かつ下方に延びる鉛直区間を有し、前記分岐配管の第1区間は、前記鉛直区間の下端に接続されている。
凝縮器から流れ出た冷媒液の一部は、冷媒配管の鉛直区間を通過した後、その流れ方向を変えずに分岐配管の第1区間に流入する。鉛直区間に接続された分岐配管の第1区間は、冷媒液を確実に冷媒ポンプに導くことができる。
【0010】
一態様では、前記ターボ冷凍機は、前記凝縮器と前記蒸発器との間に配置されたエコノマイザをさらに備え、前記冷媒配管は、前記凝縮器から前記エコノマイザまで延びる上流側配管と、前記エコノマイザから前記蒸発器まで延びる下流側配管を含み、前記分岐配管は前記上流側配管から分岐している。
【0011】
一態様では、前記ターボ冷凍機は、前記分岐配管の第1区間に接続された冷媒タンクをさらに備えており、前記冷媒タンクは前記冷媒配管と前記冷媒ポンプとの間に位置している。
分岐配管に流入した冷媒液は、一旦冷媒タンクに溜められ、その後冷媒ポンプに送られる。冷媒タンクは、圧縮機の電動機を冷却するために十分な量の冷媒液を確保でき、電動機の過熱防止を確実とすることができる。
【0012】
一態様では、前記ターボ冷凍機は、前記分岐配管に流入する冷媒液の流量の低下を検出する流量低下検出器と、前記分岐配管に設けられ、前記冷媒ポンプの吐出し側に位置する流量制御弁と、前記流量低下検出器から発せられた信号に基づいて、前記流量制御弁の開度を低下させる弁制御部をさらに備えている。
弁制御部によって流量制御弁の開度が低下されると、冷媒タンクから圧縮機の電動機に送られる冷媒液の流量が低下し、冷媒タンク内の冷媒液の量が増加する。結果として、冷媒ポンプの吸込側で冷媒液が不足しているときに起こりやすいキャビテーションを防止することができる。分岐配管に流入する冷媒液の流量が低下しているときは、冷凍負荷も低下しているので、流量制御弁の開度を低下させても、圧縮機の電動機が過熱するおそれはない。
【0013】
一態様では、前記ターボ冷凍機は、前記分岐配管に流入する冷媒液の流量の低下を検出する流量低下検出器と、前記流量低下検出器から発せられた信号に基づいて、前記冷媒ポンプの運転を停止させる運転制御部をさらに備えている。
冷媒ポンプは、分岐配管に流入する冷媒液の流量が低下したときに停止されるので、冷媒ポンプの吸込側で冷媒液が不足しているときに起こりやすいキャビテーションを防止することができる。さらに、冷媒ポンプの動力を削減することができる。分岐配管に流入する冷媒液の流量が低下しているときは、冷凍負荷も低下しているので、冷媒ポンプの運転を停止しても、圧縮機の電動機が過熱するおそれはない。
【0014】
一態様では、前記ターボ冷凍機は、前記分岐配管に流入する冷媒液の流量の低下を検出する流量低下検出器と、前記冷媒配管に設けられた流量制御弁と、前記流量低下検出器から発せられた信号に基づいて、前記流量制御弁の開度を低下させる弁制御部をさらに備えている。
弁制御部によって流量制御弁の開度が低下されると、冷媒配管を通って蒸発器に流れる冷媒液の流量が減ると同時に、冷媒配管から分岐配管に流入する冷媒液の流量が増加する。結果として、冷媒ポンプの吸込側で冷媒液が不足しているときに起こりやすいキャビテーションを防止することができる。
【0015】
一態様では、冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成する蒸発器と、前記冷媒蒸気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮された冷媒蒸気を凝縮させて前記冷媒液を生成する凝縮器と、前記凝縮器から前記蒸発器まで延びる冷媒配管と、前記冷媒配管から分岐する分岐配管と、前記圧縮機の電動機から前記蒸発器に延びる冷媒戻り配管を備え、前記分岐配管は、前記冷媒配管から下方に延びる第1区間と、前記第1区間から前記電動機まで延びる第2区間を有する、ターボ冷凍機が提供される。
分岐配管の第1区間は、冷媒配管から下方に延びているので、冷媒配管を流れる冷媒液の一部は、その重力により分岐配管に優先的に流入する。したがって、冷凍負荷が低く、凝縮器内に存在する冷凍液の量が少ない場合であっても、十分な量の冷媒液が分岐配管を通って圧縮機の電動機に送られ、電動機を冷却することができる。
また、本発明では、電動機と蒸発器は冷媒戻り配管によって連通しているので、電動機の内部は低圧となっている。よって、電動機と凝縮器との間には差圧が存在する。この差圧によって、冷媒液を凝縮器から電動機まで分岐配管を通って送ることができる。冷媒液を電動機に送るための冷媒ポンプは不要である。
【0016】
一態様では、前記ターボ冷凍機は、前記冷媒配管は、前記凝縮器から鉛直方向かつ下方に延びる鉛直区間を有し、前記分岐配管の第1区間は、前記鉛直区間の下端に接続されている。
一態様では、前記ターボ冷凍機は、前記凝縮器と前記蒸発器との間に配置されたエコノマイザをさらに備え、前記冷媒配管は、前記凝縮器から前記エコノマイザまで延びる上流側配管と、前記エコノマイザから前記蒸発器まで延びる下流側配管を含み、前記分岐配管は前記上流側配管から分岐している。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、冷凍負荷が低く、凝縮器内に存在する冷凍液の量が少ない場合であっても、十分な量の冷媒液が分岐配管を通って圧縮機の電動機に送られ、電動機を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ターボ冷凍機の一実施形態を示す模式図である。
図2図1に示す分岐配管および冷媒ポンプを示す拡大図である。
図3】分岐配管の他の実施形態を示す拡大図である。
図4】分岐配管のさらに他の実施形態を示す拡大図である。
図5】分岐配管のさらに他の実施形態を示す拡大図である。
図6】ターボ冷凍機の他の実施形態を示す拡大図である。
図7】ターボ冷凍機のさらに他の実施形態を示す拡大図である。
図8】ターボ冷凍機のさらに他の実施形態を示す拡大図である。
図9】ターボ冷凍機のさらに他の実施形態を示す拡大図である。
図10】ターボ冷凍機のさらに他の実施形態を示す拡大図である。
図11】ターボ冷凍機のさらに他の実施形態を示す拡大図である。
図12】ターボ冷凍機のさらに他の実施形態を示す拡大図である。
図13】ターボ冷凍機のさらに他の実施形態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、ターボ冷凍機の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、ターボ冷凍機は、冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成する蒸発器2と、冷媒蒸気を圧縮する圧縮機1と、圧縮された冷媒蒸気を凝縮させて冷媒液を生成する凝縮器3を備えている。圧縮機1の吸込口は、冷媒配管4Aによって蒸発器2に連結されている。圧縮機1の吐出し口は、冷媒配管4Bによって凝縮器3に連結されている。凝縮器3から蒸発器2に延びる冷媒配管4Cには膨張弁21が取り付けられている。膨張弁21は、その開度が調整可能に構成されたアクチュエータ駆動型流量制御弁であり、例えば開度可変な電動弁から構成されている。
【0020】
本実施形態では、圧縮機1は、単段遠心式圧縮機から構成されている。より具体的には、圧縮機1は、単段の羽根車11と、羽根車11を回転させる電動機13を備えている。圧縮機1の吸込口には、冷媒蒸気の羽根車11への吸込流量を調整するガイドベーン16が配置されている。ガイドベーン16は羽根車11の吸込側に位置している。ガイドベーン16は放射状に配置されており、各ガイドベーン16が自身の軸心を中心として互いに同期して所定の角度だけ回転することにより、ガイドベーン16の開度が変更される。蒸発器2から送られた冷媒蒸気は、ガイドベーン16を通過し、その後、回転する羽根車11によって昇圧される。昇圧された冷媒蒸気は、冷媒配管4Bを通って凝縮器3に送られる。
【0021】
蒸発器2は、被冷却流体(例えば冷水)から熱を奪って冷媒液が蒸発して冷凍効果を発揮する。圧縮機1は、蒸発器2で生成された冷媒蒸気を圧縮し、凝縮器3は、圧縮された冷媒蒸気を冷却流体(例えば冷却水)で冷却して凝縮させることで、冷媒液を生成する。冷媒液は、膨張弁21を通過することによって減圧される。減圧された冷媒液は、蒸発器2に送られる。このように、ターボ冷凍機は、冷媒を封入したクローズドシステムとして構成される。
【0022】
ターボ冷凍機は、蒸発器2に流入する被冷却流体の入口温度を測定する入口温度測定器としての温度センサS1と、蒸発器2から流出する被冷却流体の出口温度を測定する出口温度測定器としての温度センサS2と、蒸発器2を流れる被冷却流体の流量を測定する流量計19と、ターボ冷凍機の冷凍負荷を算出する冷凍負荷算出器20をさらに備えている。
【0023】
冷凍負荷算出器20は、温度センサS1,S2によって測定された被冷却流体の入口温度T1および被冷却流体の出口温度T2の差ΔTと、流量計19によって測定された被冷却流体の流量とからターボ冷凍機の冷凍負荷を計算する。より具体的には、冷凍負荷算出器20は、温度差ΔTと被冷却流体の流量との積から現在の冷凍負荷を求めることができる。あるいは、冷凍負荷算出器20は、単に入口温度T1からターボ冷凍機の現在の冷凍負荷を算出してもよい。
【0024】
ターボ冷凍機は、冷媒配管4Cから分岐する分岐配管30と、分岐配管30に接続された冷媒ポンプ35をさらに備えている。分岐配管30は、冷媒配管4Cから下方に延びて冷媒ポンプ35に接続される第1区間30Aと、冷媒ポンプ35から圧縮機1の電動機13まで延びる第2区間30Bを有する。第1区間30Aの一端は、冷媒配管4Cに接続されており、第1区間30Aの他端は冷媒ポンプ35の吸込み口に接続されている。第2区間30Bの一端は冷媒ポンプ35の吐出し口に接続され、第2区間30Bの他端は、圧縮機1の電動機13内に配置された冷媒ノズル18に接続されている。冷媒ノズル18は、電動機13のモータステータなどの構成要素を向いて配置されている。
【0025】
冷媒ポンプ35は、冷媒配管4Cの下方に位置している。冷媒配管4Cを流れる冷媒液の大部分は蒸発器2に流れるが、冷媒配管4Cを流れる冷媒液の一部は分岐配管30に流入し、冷媒ポンプ35によって冷媒ノズル18に送られる。冷媒液は、冷媒ノズル18から電動機13の内部に噴霧され、電動機13の内部を冷却することができる。電動機13の内部は、冷媒液戻り管38によって凝縮器3の内部に連通している。より具体的には、冷媒液戻り管38の一端は、電動機13の底部に接続され、冷媒液戻り管38の他端は、凝縮器3の上部に接続されている。冷媒ノズル18から噴霧された冷媒液は、電動機13内で集められ、冷媒液戻り管38を通って凝縮器3に戻される。
【0026】
図2は、図1に示す分岐配管30および冷媒ポンプ35を示す拡大図である。冷媒配管4Cは、凝縮器3から下方に延びる鉛直区間4C-1と、鉛直区間4C-1から蒸発器2まで延びる横引き区間4C-2を有している。分岐配管30は、冷媒配管4Cの鉛直区間4C-1の下端に接続されている。本実施形態では、図2に示すように、冷媒配管4Cの鉛直区間4C-1および分岐配管30の第1区間30Aは、鉛直方向に延びている。すなわち、分岐配管30の第1区間30Aは、冷媒配管4Cの鉛直区間4C-1と一直線上に並んでいる。
【0027】
上記配管構成によれば、凝縮器3から流出した冷媒液は、冷媒配管4Cの鉛直区間4C-1を下方に流れ、冷媒液の一部はその流れ方向を変えることなく分岐配管30に流入する。冷媒液は、第1区間30Aを流れて冷媒ポンプ35に流入し、冷媒ポンプ35によって加圧される。加圧された冷媒液は、分岐配管30の第2区間30Bを通って冷媒ノズル18に移送され、冷媒ノズル18から電動機13の内部に噴霧される。
【0028】
分岐配管30の第1区間30Aは、冷媒配管4Cから下方に延びているので、冷媒配管4Cを流れる冷媒液の一部は、その重力により分岐配管30に優先的に流入する。したがって、冷凍負荷が低く、凝縮器3内に存在する冷凍液の量が少ない場合であっても、十分な量の冷媒液が分岐配管30を通って圧縮機1の電動機13に送られ、電動機13を冷却することができる。冷媒液は、冷媒ポンプ35に確実に導かれるので、冷媒ポンプ35でのキャビテーションを防止することができる。また、冷媒ポンプ35は、冷媒配管4Cよりも低い位置にあるので、分岐配管30に流入した冷媒液は、その重力によって確実に冷媒ポンプ35まで到達することができる。
【0029】
さらに、本実施形態によれば、凝縮器3から流れ出た冷媒液の一部は、冷媒配管4Cの鉛直区間4C-1を通過した後、その流れ方向を変えずに分岐配管30の第1区間30Aに流入する。鉛直区間4C-1に接続された分岐配管30の第1区間30Aは、冷媒液を確実に冷媒ポンプ35に導くことができる。
【0030】
本実施形態では、冷媒配管4Cの鉛直区間4C-1および分岐配管30の第1区間30Aは、鉛直方向に延びているが、一実施形態では、図3に示すように、分岐配管30の第1区間30Aは、冷媒配管4Cの鉛直区間4C-1の下端から、斜め下方に延びてもよい。この場合でも、冷媒配管4Cを流れる冷媒液の一部は、その重力により分岐配管30に優先的に流入する。さらに、図4に示すように、分岐配管30の第1区間30Aは、冷媒配管4Cの横引き区間4C-2に接続されてもよい。図4に示す実施形態では、分岐配管30の第1区間30Aは、冷媒配管4Cの横引き区間4C-2から下方かつ鉛直方向に延びている。図5に示すように、分岐配管30の第1区間30Aは、冷媒配管4Cの横引き区間4C-2から下方かつ斜めに延びてもよい。この場合、第1区間30Aの延びる方向は、横引き区間4C-2を流れる冷媒液の流れ方向に対する第1区間30Aの角度が鋭角となる方向であることが好ましい。
【0031】
図6は、ターボ冷凍機の他の実施形態を示す拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図1および図2に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図6に示すように、ターボ冷凍機は、分岐配管30の第1区間30Aに接続された冷媒タンク40をさらに備えている。冷媒タンク40は冷媒配管4Cと冷媒ポンプ35との間に位置している。より具体的には、冷媒タンク40は、冷媒配管4Cの下方であって、かつ冷媒ポンプ35の上方に位置している。
【0032】
分岐配管30の第1区間30Aに流入した冷媒液は、一旦冷媒タンク40に溜められ、その後冷媒ポンプ35に送られる。冷媒タンク40は、圧縮機1の電動機13を冷却するために十分な量の冷媒液を確保でき、電動機13の過熱防止を確実とすることができる。
【0033】
ターボ冷凍機は、分岐配管30に流入する冷媒液の流量の低下を検出する流量低下検出器45と、冷媒ポンプ35の吐出し側に位置する流量制御弁48と、流量制御弁48の開度を制御する弁制御部51をさらに備えている。流量制御弁48は、その開度が調整可能に構成されたアクチュエータ駆動型流量制御弁であり、例えば開度可変な電動弁から構成されている。流量制御弁48は、分岐配管30の第2区間30Bに取り付けられている。弁制御部51は、流量低下検出器45から発せられた信号に基づいて、流量制御弁48の開度を低下させるように構成されている。弁制御部51は、プログラムが格納された記憶装置、および該プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置(例えばCPU)を備えた少なくとも1台のコンピュータから構成されている。
【0034】
流量低下検出器45は、冷媒タンク40に取り付けられており、冷媒タンク40内に溜められている冷媒液の液面レベルを検出するように構成されている。このような流量低下検出器45として、液面センサ、フロートスイッチなどの液面検出器を使用することができる。分岐配管30に流入する冷媒液の流量が低下すると、冷媒タンク40内の液面レベルが低下する。したがって、流量低下検出器45は、冷媒タンク40内の液面レベルから、分岐配管30に流入する冷媒液の流量の低下を検出することができる。流量低下検出器45は、弁制御部51に電気的に接続されており、流量低下検出器45から発せられた信号は、弁制御部51に送信されるようになっている。
【0035】
弁制御部51は、流量低下検出器45から発せられた信号に基づいて、流量制御弁48の開度を低下させる。より具体的には、弁制御部51は、その内部にしきい値を記憶しており、流量低下検出器45から発せられた信号に示される液面レベルがしきい値よりも下がると、弁制御部51は、流量制御弁48の開度を低下させる。流量低下検出器45がフロートスイッチである場合は、流量低下検出器45は液面レベルの低下、すなわち流量低下を示す信号を出力する。弁制御部41は、流量低下検出器45から発せられた信号を受け取ると、流量制御弁48の開度を低下させる。
【0036】
流量制御弁48の開度が低下されると、冷媒タンク40から圧縮機1の電動機13に送られる冷媒液の流量が低下し、冷媒タンク40内の冷媒液の量が増加する。結果として、冷媒ポンプ35の吸込側で冷媒液が不足しているときに起こりやすいキャビテーションを防止することができる。分岐配管30に流入する冷媒液の流量が低下しているときは、冷凍負荷も低下しているので、流量制御弁48の開度を低下させても、圧縮機1の電動機13が過熱するおそれはない。
【0037】
一実施形態では、図7に示すように、流量低下検出器45は、冷媒ポンプ35に流れるモータ電流を測定するモータ電流測定器から構成されてもよい。分岐配管30に流入する冷媒液の流量が低下すると、冷媒ポンプ35に吸い込まれる冷媒液の流量が低下し、キャビテーション傾向になる。結果として、冷媒ポンプ35の負荷が低下して、冷媒ポンプ35に供給されるモータ電流が低下したり、不安定になったりする。したがって、モータ電流測定器から構成された流量低下検出器45は、モータ電流から、分岐配管30に流入する冷媒液の流量の低下を検出することができる。
【0038】
弁制御部51は、流量低下検出器45から発せられた信号に基づいて、流量制御弁48の開度を低下させる。より具体的には、弁制御部51は、その内部にしきい値を記憶しており、流量低下検出器45から発せられた信号に示されるモータ電流がしきい値よりも下がるか、または所定時間内のモータ電流の最大値と最小値との差がしきい値よりも大きいと、弁制御部51は、流量制御弁48の開度を低下させる。流量制御弁48の開度が低下されると、冷媒タンク40から圧縮機1の電動機13に送られる冷媒液の流量が低下し、冷媒タンク40内の冷媒液の量が増加する。結果として、冷媒ポンプ35の吸込側で冷媒液が不足しているときに起こりやすいキャビテーションを防止することができる。
【0039】
一実施形態では、図8に示すように、流量低下検出器45は、圧縮機1の電動機13の温度を測定するモータ温度測定器から構成されてもよい。ターボ冷凍機が低負荷で運転されているとき、圧縮機1の電動機13に掛かる負荷が低下する。結果として、電動機13の温度が低下する。また、ターボ冷凍機が低負荷で運転されているときは、凝縮器3に溜められる冷媒液の量が低下し、分岐配管30に流入する冷媒液の流量も低下する。つまり、電動機13の温度と、分岐配管30に流入する冷媒液の流量との間には相関関係がある。したがって、モータ温度測定器から構成された流量低下検出器45は、電動機13の温度から、分岐配管30に流入する冷媒液の流量の低下を検出することができる。
【0040】
弁制御部51は、流量低下検出器45から発せられた信号に基づいて、流量制御弁48の開度を低下させる。より具体的には、弁制御部51は、その内部にしきい値を記憶しており、流量低下検出器45から発せられた信号に示される電動機13の温度がしきい値よりも下がると、弁制御部51は、流量制御弁48の開度を低下させる。流量制御弁48の開度が低下されると、冷媒タンク40から圧縮機1の電動機13に送られる冷媒液の流量が低下し、冷媒タンク40内の冷媒液の量が増加する。結果として、冷媒ポンプ35の吸込側で冷媒液が不足しているときに起こりやすいキャビテーションを防止することができる。
【0041】
一実施形態では、図9に示すように、流量低下検出器45は、圧縮機1の電動機13に流れるモータ電流を測定するモータ電流測定器から構成されてもよい。ターボ冷凍機が低負荷で運転されているとき、圧縮機1の電動機13に掛かる負荷が低下する。結果として、電動機13に供給されるモータ電流が低下する。また、ターボ冷凍機が低負荷で運転されているときは、凝縮器3に溜められる冷媒液の量が低下し、分岐配管30に流入する冷媒液の流量も低下する。つまり、電動機13に供給されるモータ電流と、分岐配管30に流入する冷媒液の流量との間には相関関係がある。したがって、モータ電流測定器から構成された流量低下検出器45は、電動機13に流れるモータ電流から、分岐配管30に流入する冷媒液の流量の低下を検出することができる。
【0042】
弁制御部51は、流量低下検出器45から発せられた信号に基づいて、流量制御弁48の開度を低下させる。より具体的には、弁制御部51は、その内部にしきい値を記憶しており、流量低下検出器45から発せられた信号に示されるモータ電流がしきい値よりも下がると、弁制御部51は、流量制御弁48の開度を低下させる。流量制御弁48の開度が低下されると、冷媒タンク40から圧縮機1の電動機13に送られる冷媒液の流量が低下し、冷媒タンク40内の冷媒液の量が増加する。結果として、冷媒ポンプ35の吸込側で冷媒液が不足しているときに起こりやすいキャビテーションを防止することができる。
【0043】
図10は、ターボ冷凍機のさらに他の実施形態を示す拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図6に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。ターボ冷凍機は、冷媒配管4Cに設けられた流量制御弁52を備えている。この流量制御弁52は、分岐配管30の第1区間30Aと冷媒配管4Cとの接続点CPよりも下流側に位置している。すなわち、流量制御弁52は、冷媒配管4Cの横引き区間4C-2に取り付けられている。流量制御弁52は、その開度が調整可能に構成されたアクチュエータ駆動型流量制御弁であり、例えば開度可変な電動弁から構成されている。流量制御弁52は弁制御部51に電気的に接続されており、流量制御弁52の開度は弁制御部51によって制御される。
【0044】
弁制御部51は、流量低下検出器45から発せられた信号に基づいて、流量制御弁52の開度を低下させる。流量制御弁52の開度が低下されると、冷媒配管4Cを通って蒸発器2に流れる冷媒液の流量が減ると同時に、冷媒配管4Cから分岐配管30に流入する冷媒液の流量が増加する。結果として、冷媒ポンプ35の吸込側で冷媒液が不足しているときに起こりやすいキャビテーションを防止することができる。一実施形態では、膨張弁21を流量制御弁52として機能させ、流量制御弁52を省略してもよい。
【0045】
図7に示す実施形態における流量低下検出器45としてのモータ電流測定器、図8に示す実施形態における流量低下検出器45としてのモータ温度測定器、および図9に示す実施形態における流量低下検出器45としてのモータ電流測定器は、図10に示す実施形態に適用することができる。
【0046】
図11は、ターボ冷凍機のさらに他の実施形態を示す拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図6に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。ターボ冷凍機は、流量低下検出器45から発せられた信号を受けたときに冷媒ポンプ35の運転を停止させる運転制御部55を備えている。上述した弁制御部51および流量制御弁48,52は設けられていない。運転制御部55は、プログラムが格納された記憶装置、および該プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置(例えばCPU)を備えた少なくとも1台のコンピュータから構成されている。
【0047】
運転制御部55は、流量低下検出器45から発せられた信号に基づいて、冷媒ポンプ35の運転を停止させる。より具体的には、運転制御部55は、その内部にしきい値を記憶しており、流量低下検出器45から発せられた信号に示される液面レベルがしきい値よりも下がると、運転制御部55は、冷媒ポンプ35の運転を停止させる。冷媒ポンプ35の運転が停止されると、冷媒タンク40から圧縮機1の電動機13への冷媒液の供給が停止され、冷媒タンク40内の冷媒液の量が増加する。結果として、冷媒ポンプ35の吸込側で冷媒液が不足しているときに起こりやすいキャビテーションを防止することができる。分岐配管30に流入する冷媒液の流量が低下しているときは、冷凍負荷も低下しているので、冷媒ポンプ35の運転を停止させても、圧縮機1の電動機13が過熱するおそれはない。
【0048】
図7に示す実施形態における流量低下検出器45としてのモータ電流測定器、図8に示す実施形態における流量低下検出器45としてのモータ温度測定器、および図9に示す実施形態における流量低下検出器45としてのモータ電流測定器は、図11に示す実施形態に適用することができる。
【0049】
図12は、ターボ冷凍機のさらに他の実施形態を示す拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図1および図2に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、電動機13の内部は、冷媒液戻り管38によって蒸発器2の内部に連通している。より具体的には、冷媒液戻り管38の一端は、電動機13の底部に接続され、冷媒液戻り管38の他端は、蒸発器2の側部または底部に接続されている。冷媒ノズル18から噴霧された冷媒液は、電動機13内で集められ、冷媒液戻り管38を通って蒸発器2に戻される。
【0050】
蒸発器2は、圧縮機1の吸込み口に接続されているので、蒸発器2の内部は凝縮器3の内部に比べて低圧である。蒸発器2は、冷媒液戻り管38によって電動機13に接続されているので、電動機13の内部も同様に低圧となっている。したがって、分岐配管30に流入した冷媒液は、凝縮器3と蒸発器2との差圧(すなわち凝縮器3と電動機13との差圧)によって電動機13に移送される。本実施形態では、冷媒ポンプ35は不要である。図6に示す冷媒タンク40は、本実施形態に適用することができる。
【0051】
図13は、ターボ冷凍機のさらに他の実施形態を示す拡大図である。特に説明しない本実施形態の構成は、図1および図2に示す実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。ターボ冷凍機は、凝縮器3と蒸発器2との間に配置されたエコノマイザ60を備えている。冷媒配管4Cは、凝縮器3からエコノマイザ60まで延びる上流側配管4Caと、エコノマイザ60から蒸発器2まで延びる下流側配管4Cbを有している。
【0052】
エコノマイザ60は、冷媒配管4Eによって圧縮機1に連結されている。エコノマイザ60は、凝縮器3と蒸発器2との間に配置された中間冷却器である。凝縮器3からエコノマイザ60に延びる上流側配管4Caには膨張弁21が取り付けられ、エコノマイザ60から蒸発器2に延びる下流側配管4Cbには膨張弁22が取り付けられている。膨張弁21,22は、その開度が調整可能に構成されたアクチュエータ駆動型流量制御弁であり、例えば開度可変な電動弁から構成されている。
【0053】
本実施形態では、圧縮機1は、多段遠心式圧縮機1から構成されている。より具体的には、圧縮機1は二段遠心式圧縮機からなり、一段目羽根車11と、二段目羽根車12と、これらの羽根車11,12を回転させる電動機13とを備えている。ガイドベーン16は一段目羽根車11の吸込側に位置している。蒸発器2から送られた冷媒蒸気は、ガイドベーン16を通過し、その後、回転する羽根車11,12によって順次昇圧される。昇圧された冷媒蒸気は、冷媒配管4Bを通って凝縮器3に送られる。
【0054】
蒸発器2は、被冷却流体(例えば冷水)から熱を奪って冷媒液が蒸発して冷凍効果を発揮する。圧縮機1は、蒸発器2で生成された冷媒蒸気を圧縮し、凝縮器3は、圧縮された冷媒蒸気を冷却流体(例えば冷却水)で冷却して凝縮させることで、冷媒液を生成する。冷媒液は、膨張弁21を通過することによって減圧される。減圧された冷媒液中に存在する冷媒蒸気はエコノマイザ60によって分離され、圧縮機1の一段目羽根車11と二段目羽根車12との間に設けた中間吸込口17に送られる。エコノマイザ60を通過した冷媒液は、膨張弁22を通過することによって減圧され、さらに蒸発器2に送られる。
【0055】
分岐配管30は上流側配管4Caに接続され、上流側配管4Caから分岐している。冷媒配管4Cの上流側配管4Caを流れる冷媒液の大部分はエコノマイザ60に流れるが、上流側配管4Caを流れる冷媒液の一部は分岐配管30に流入し、冷媒ポンプ35によって冷媒ノズル18に送られる。冷媒液は、冷媒ノズル18から電動機13の内部に噴霧され、電動機13の内部を冷却することができる。電動機13の内部は、冷媒液戻り管38によって凝縮器3の内部に連通している。冷媒ノズル18から噴霧された冷媒液は、電動機13内で集められ、冷媒液戻り管38を通って凝縮器3に戻される。
【0056】
上述した複数の実施形態は、適宜組み合わせることができる。例えば、図3乃至図5に示す実施形態は、図6乃至図13に示す実施形態に適用可能である。さらに、図6乃至図12に示す実施形態は、図13に示す実施形態にも適用可能である。例えば、図6に示す冷媒タンク40、流量制御弁48、弁制御部51、図7に示す実施形態における流量低下検出器45としてのモータ電流測定器、図8に示す実施形態における流量低下検出器45としてのモータ温度測定器、図9に示す実施形態における流量低下検出器45としてのモータ電流測定器、図10に示す流量制御弁52、図11に示す運転制御部55、図12に示す冷媒液戻り管38などは、適宜、図13に示す実施形態に適用することができる。
【0057】
さらに、ターボ冷凍機の冷凍負荷を算出する冷凍負荷算出器20は、分岐配管30に流入する冷媒液の流量の低下を検出する流量低下検出器として使用することも可能である。冷凍負荷算出器20は、温度センサS1,S2によって測定された被冷却流体の入口温度T1および被冷却流体の出口温度T2の差ΔTと、流量計19によって測定された被冷却流体の流量とからターボ冷凍機の冷凍負荷を計算する。より具体的には、冷凍負荷算出器20は、温度差ΔTと被冷却流体の流量との積から現在の冷凍負荷を求めることができる。あるいは、冷凍負荷算出器20は、単に入口温度T1からターボ冷凍機の現在の冷凍負荷を算出してもよい。
【0058】
ターボ冷凍機が低負荷で運転されているときは、凝縮器3に溜められる冷媒液の量が低下し、分岐配管30に流入する冷媒液の流量も低下する。したがって、冷凍負荷算出器20は、ターボ冷凍機の冷凍負荷を算出し、算出された冷凍負荷から、分岐配管30に流入する冷媒液の流量の低下を検出することができる。
【0059】
一実施形態では、弁制御部51(図6参照)または運転制御部55(図11参照)は、流量低下検出器としての冷凍負荷算出器20から発せられた信号に基づいて、流量制御弁48(図6参照)または流量制御弁52(図10参照)の開度を低下させるか、または冷媒ポンプ35の運転を停止させる。例えば、冷凍負荷算出器20から発せられた信号に示される冷凍負荷がしきい値よりも下がると、弁制御部51は、流量制御弁48(図6参照)または流量制御弁52(図10参照)の開度を低下させる。他の例では、流量低下検出器としての冷凍負荷算出器20から発せられた信号に示される冷凍負荷がしきい値よりも下がると、運転制御部55は、冷媒ポンプ35の運転を停止させる。結果として、冷媒タンク40内の冷媒液の量が増加し、冷媒ポンプ35の吸込側で冷媒液が不足しているときに起こりやすいキャビテーションを防止することができる。
【0060】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0061】
1 圧縮機
2 蒸発器
3 凝縮器
4A 冷媒配管
4B 冷媒配管
4Ca 上流側配管
4Cb 下流側配管
4C 冷媒配管
4C-1 鉛直区間
4C-2 横引き区間
4E 冷媒配管
11,12 羽根車
13 電動機
16 ガイドベーン
17 中間吸込口
18 冷媒ノズル
19 流量計
20 冷凍負荷算出器
21 膨張弁
22 膨張弁
30 分岐配管
30A 第1区間
30B 第2区間
35 冷媒ポンプ
38 冷媒液戻り管
45 流量低下検出器
48 流量制御弁
51 弁制御部
52 流量制御弁
55 運転制御部
60 エコノマイザ
S1 温度センサ
S2 温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13