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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/325 20220101AFI20230420BHJP
   F24D 17/00 20220101ALI20230420BHJP
   F24H 15/175 20220101ALI20230420BHJP
   F24H 15/429 20220101ALI20230420BHJP
【FI】
F24H15/325
F24D17/00 K
F24H15/175
F24H15/429
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019154108
(22)【出願日】2019-08-26
(65)【公開番号】P2021032500
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弓削 力也
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100810(JP,A)
【文献】特開2007-93098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00-15/493
F24D 17/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器と、
前記熱交換器を加熱する加熱手段と、
給水箇所と前記熱交換器の流入口を接続する給水路と、
前記熱交換器の流出口と給湯箇所を接続する出湯路と、
前記熱交換器を介さずに前記給水路と前記出湯路を接続するバイパス路と、
前記給水路に設けられており、前記給水路に供給される水の温度である給水温度を検出する給水温度センサと、
前記出湯路において、前記バイパス路との接続部よりも下流側に設けられており、前記給湯箇所に供給される水の温度である給湯温度を検出する給湯温度センサと、
前記給水路から前記熱交換器に流れる水の流量である第1流量に対する前記給水路から前記バイパス路に流れる水の流量である第2流量の比率である分配比を調整する流量調整機構と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記給湯箇所に供給される水の目標温度である給湯目標温度に基づいて、要求加熱量を算出し、
前記要求加熱量が前記熱交換器の最小加熱量未満であるのか否かを判断し、
前記要求加熱量が前記最小加熱量以上である場合に、前記加熱手段を連続的にオン状態で動作させる通常運転を実行し、
前記要求加熱量が前記最小加熱量未満である場合に、前記加熱手段をオン状態とオフ状態とで交互に繰り返し動作させる間欠運転を実行するように構成されており、
前記制御装置は、
前記通常運転及び前記間欠運転において、前記給水温度、前記給湯温度、及び、前記給湯目標温度に基づいて、前記流量調整機構による前記分配比を変更するように構成されており、
前記間欠運転における前記流量調整機構の動作速度は、前記通常運転における前記流量調整機構の動作速度よりも速い、給湯器。
【請求項2】
前記給湯器は、さらに、
前記出湯路において、前記バイパス路との接続部よりも上流側に設けられており、前記熱交換器から前記出湯路に供給される水の温度である出湯温度を検出する出湯温度センサを備え、
前記流量調整機構は、前記分配比が所定比率以下となる範囲で動作可能であり、
前記制御装置は、
前記要求加熱量が前記最小加熱量未満である場合に、予め定められている第1の出湯目標温度、前記給水温度、及び、前記給湯目標温度を利用して、特定の分配比であって、前記給湯目標温度を実現するために必要な前記分配比である前記特定の分配比を決定し、
前記特定の分配比が前記所定比率よりも大きいのか否かを判断し、
前記特定の分配比が前記所定比率以下である場合に、前記出湯温度及び前記第1の出湯目標温度を利用した前記間欠運転を実行し、
前記特定の分配比が前記所定比率よりも大きい場合に、前記給水温度、前記給湯目標温度、及び、前記所定比率を利用して、第2の出湯目標温度を決定し、前記出湯温度及び前記第2の出湯目標温度を利用した前記間欠運転を実行する、請求項1に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の給湯器は、熱交換器と、熱交換器を加熱する加熱手段と、給水箇所と熱交換器の流入口を接続する給水路と、熱交換器の流出口と給湯箇所を接続する出湯路と、熱交換器を介さずに給水路と出湯路を接続するバイパス路と、給水路に設けられており、給水路に供給される水の温度である給水温度を検出する給水温度センサと、出湯路において、バイパス路との接続部よりも下流側に設けられており、給湯箇所に供給される水の温度である給湯温度を検出する給湯温度センサと、給水路から熱交換器に流れる水の流量である第1流量に対する給水路からバイパス路に流れる水の流量である第2流量の比率である分配比を調整する流量調整機構と、制御装置と、を備える。制御装置は、要求加熱量を算出し、要求加熱量が熱交換器の最小加熱量未満であるのか否かを判断し、要求加熱量が最小加熱量以上である場合に、加熱手段を連続的にオン状態で動作させる通常運転を実行し、要求加熱量が最小加熱量未満である場合に、加熱手段をオン状態とオフ状態とで交互に繰り返し動作させる間欠運転を実行するように構成されている。制御装置は、通常運転及び間欠運転において、流量調整機構による分配比を変更するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-100810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の給湯器では、通常運転及び間欠運転における流量調整機構の動作速度について何ら考慮されていない。間欠運転では加熱手段がオン状態とオフ状態とで交互に繰り返し動作するため、加熱手段が連続的にオン状態で動作する場合と比較して、熱交換器を加熱する加熱手段の加熱量が大きく変動する。このため、間欠運転における給湯温度は、通常運転における給湯温度よりも変動が大きい。間欠運転においても、給湯温度の変動を小さくすることができる技術が望まれている。
【0005】
本明細書は、間欠運転における給湯温度の変動を小さくすることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する給湯器は、熱交換器と、前記熱交換器を加熱する加熱手段と、給水箇所と前記熱交換器の流入口を接続する給水路と、前記熱交換器の流出口と給湯箇所を接続する出湯路と、前記熱交換器を介さずに前記給水路と前記出湯路を接続するバイパス路と、前記給水路に設けられており、前記給水路に供給される水の温度である給水温度を検出する給水温度センサと、前記出湯路において、前記バイパス路との接続部よりも下流側に設けられており、前記給湯箇所に供給される水の温度である給湯温度を検出する給湯温度センサと、前記給水路から前記熱交換器に流れる水の流量である第1流量に対する前記給水路から前記バイパス路に流れる水の流量である第2流量の比率である分配比を調整する流量調整機構と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記給湯箇所に供給される水の目標温度である給湯目標温度に基づいて、要求加熱量を算出し、前記要求加熱量が前記熱交換器の最小加熱量未満であるのか否かを判断し、前記要求加熱量が前記最小加熱量以上である場合に、前記加熱手段を連続的にオン状態で動作させる通常運転を実行し、前記要求加熱量が前記最小加熱量未満である場合に、前記加熱手段をオン状態とオフ状態とで交互に繰り返し動作させる間欠運転を実行するように構成されており、前記制御装置は、前記通常運転及び前記間欠運転において、前記給水温度、前記給湯温度、及び、前記給湯目標温度に基づいて、前記流量調整機構による前記分配比を変更するように構成されており、前記間欠運転における前記流量調整機構の動作速度は、前記通常運転における前記流量調整機構の動作速度よりも速いことを特徴とする。
【0007】
上記の構成によると、間欠運転における流量調整機構の動作速度が速いために、分配比が早く変更される。このため、間欠運転において、熱交換器を加熱する加熱手段の加熱量が大きく変動しても、分配比を早く変更することで、給湯温度を給湯目標温度に早く近づけさせることができる。従って、間欠運転における給湯温度の変動を抑制することができる。
【0008】
給湯器は、さらに、出湯路において、バイパス路との接続部よりも上流側に設けられており、熱交換器から出湯路に供給される水の温度である出湯温度を検出する出湯温度センサを備え、流量調整機構は、分配比が所定比率以下となる範囲で動作可能であってもよい。この場合、制御装置は、要求加熱量が最小加熱量未満である場合に、予め定められている第1の出湯目標温度、給水温度、及び、給湯目標温度を利用して、特定の分配比であって、給湯目標温度を実現するために必要な分配比である特定の分配比を決定し、特定の分配比が所定比率よりも大きいのか否かを判断し、特定の分配比が所定比率以下である場合に、出湯温度及び第1の出湯目標温度を利用した間欠運転を実行し、特定の分配比が所定比率よりも大きい場合に、給水温度、給湯目標温度、及び、所定比率を利用して、第2の出湯目標温度を決定し、出湯温度及び第2の出湯目標温度を利用した間欠運転を実行してもよい。
【0009】
特定の分配比は、出湯温度及び第1の出湯目標温度を利用した間欠運転が実行される場合に適した分配比である。このため、流量調整機構を特定の分配比で動作させることができれば、出湯温度及び第1の出湯目標温度を利用した間欠運転を実行しても、給湯目標温度まで加熱された水を給湯箇所に供給することができす。しかしながら、流量調整機構は、分配比が所定比率以下となる範囲で動作可能である。このため、特定の分配比が所定比率よりも大きい場合であっても、流量調整機構の分配比は所定比率よりも大きくすることができない。特定の分配比が所定比率よりも大きい場合において、流量調整機構の分配比を所定比率で動作させると、熱交換器に供給されるべき水よりも多くの水が熱交換器に供給される。この場合、熱交換器によって供給される加熱量が大きくなり、給湯目標温度よりも温度の高い水が給湯箇所に供給され得る。上記の構成によると、制御装置は、特定の分配比が所定比率よりも大きい場合に、第2の出湯目標温度を利用した間欠運転を実行する。第2の出湯目標温度は、流量調整機構の分配比が所定比率である場合に、給湯目標温度の水を給湯箇所に供給するのに適した温度である。従って、給湯目標温度よりも温度の高い水が給湯箇所に供給されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施例に係る給湯器2の構成を示す図である。
図2】給湯運転処理のフローチャートを示す図である。
図3】間欠運転処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例)
本実施例に係る給湯器2について図面を参照して説明する。図1に示すように、給湯器2は、ハウジング4と、燃焼室6と、通水路20と、ガス供給路40と、制御装置70を備えている。給湯器2には、商用電源90から電力が供給される。
【0012】
(燃焼室6の構成)
燃焼室6には、ガスバーナ50(「加熱手段」の一例)と、熱交換器60が設けられている。ガスバーナ50は、熱交換器60の下方に設けられている。ガスバーナ50には、ガス供給路40の下流端部が接続されている。ガスバーナ50は、ガス供給路40から供給されるガスを燃焼させて、燃焼ガスを発生させる。ガスバーナ50は、第1バーナ群52aと第2バーナ群52bと第3バーナ群52cを備えている。
【0013】
第1バーナ群52a、第2バーナ群52b、第3バーナ群52cには、それぞれ、後述するガス供給路40の第1分岐管42a、第2分岐管42b、第3分岐管42cが接続されている。各分岐管42a~42cから各バーナ群52a~52cにガスが供給される。
【0014】
ガスバーナ50の下方には、ファン10が配置されている。ファン10は、商用電源90から供給される電力によって動作する。ファン10は、ガスバーナ50に燃焼用の空気を送る。また、ファン10からガスバーナ50に空気が送られることによって、ガスバーナ50の燃焼ガスが排気される。
【0015】
ガスバーナ50の上方には、ガスバーナ50の炎を検出するためのフレームロッド54が配置されている。また、ガスバーナ50の側方と上方には、それぞれ、ガスバーナ50を点火するためのイグナイタ56と電極58が配置されている。ガスバーナ50では、イグナイタ56で発生させた高電圧を電極58で放電させることによって、供給されたガスと空気の混合気体が燃焼し、燃焼ガスが発生する。
【0016】
熱交換器60は、ガスバーナ50の上方に配置されている。熱交換器60は、ガスバーナ50がガスを燃焼させたときの燃焼ガスによって通水路20内の水を加熱する。熱交換器60で加熱された後の高温の水(湯)が給湯箇所に供給される。
【0017】
熱交換器60の上方には、燃焼室6内で発生する燃焼ガスを排気するための排気ダクト8が配置されている。
【0018】
(通水路20の構成)
通水路20は、給水源(例えば水道)と熱交換器60の流入口60aを接続する給水路20aと、熱交換器60内を通過する加熱水路20bと、熱交換器60の流出口60bと給湯箇所(例えばシャワーやカラン)を接続する出湯路20cと、バイパス路20dを備える。バイパス路20dは、熱交換器60を介さずに給水路20aと出湯路20cを接続する。給湯箇所に設けられている給湯栓(図示省略)が開かれると、給湯箇所に水(湯)が供給される。
【0019】
給水路20aには、上流側から順に、給水温度センサ22と、流量センサ24と、水量サーボ26と、バイパス制御弁28(「流量調整機構」の一例)が設けられている。給水温度センサ22は、給水源から給水路20aに供給される水の温度である給水温度Tinを検出する。流量センサ24は、給水路20aにおいて、バイパス制御弁28よりも上流側を流れる水の流量である供給水量Wsを検出する。水量サーボ26は、給水路20aを流れる水の流量を調整する。バイパス制御弁28は、給水路20aとバイパス路20dの接続部21aに設けられており、加熱水路20bを通過して出湯路20cに供給される水の流量である第1流量W1と、加熱水路20bを通過することなく出湯路20cに供給される水の流量である第2流量W2と、の割合を調整する。以下では、第2流量W2を第1流量W1で除算した値を「バイパス比Bp」と呼ぶ。本実施例において、バイパス制御弁28によって実現可能な最大のバイパス比Bpは、「3」(以下では、「最大バイパス比Bpmax」と呼ぶ)である。なお、バイパス制御弁28は、バイパス路20dに設けられていればよく、例えば、後述する出湯路20cとバイパス路20dの接続部21b等に設けられていてもよい。
【0020】
出湯路20cには、出湯路20cとバイパス路20dの接続部21bよりも上流側に設けられている出湯温度センサ30と、接続部21bよりも下流側に設けられている給湯温度センサ32が設けられている。出湯温度センサ30は、熱交換器60内を通過した後の温度である出湯温度Thを検出する。給湯温度センサ32は、加熱水路20bから供給される水とバイパス路20dから供給される水が混合された水の温度である給湯温度Toutを検出する。
【0021】
(ガス供給路40の構成)
ガス供給路40の上流端部は、ガス供給源(例えばガスの元栓)に接続されている。ガス供給路40には、ガス供給源からガスが供給される。ガス供給路40の下流端部は、燃焼室6内のガスバーナ50に接続されている。
【0022】
ガス供給路40は、その途中で3本に分岐しており、第1分岐管42aと第2分岐管42bと第3分岐管42cを備えている。第1分岐管42aと第2分岐管42bと第3分岐管42cの下流端部が、それぞれ、ガスバーナ50の第1バーナ群52aと第2バーナ群52bと第3バーナ群52cに接続されている。
【0023】
ガス供給路40には、元電磁弁44と比例弁46が設けられている。元電磁弁44は、ガス供給路40を開閉する。元電磁弁44が開状態になると、ガス供給路40にガスが流れ、元電磁弁44が閉状態になると、ガス供給路40のガスの流れが遮断される。比例弁46は、ガス供給路40を流れるガスの流量を調整する。これによって、ガス供給路40から分岐した第1分岐管42aと第2分岐管42bと第3分岐管42cを流れるガスの流量が調整される。
【0024】
また、ガス供給路40の第1分岐管42aには第1切替電磁弁48aが設けられており、第2分岐管42bには第2切替電磁弁48bが設けられており、第3分岐管42cには第3切替電磁弁48cが設けられている。各切替電磁弁48a~48cは、各分岐管42a~42cを開閉する。各切替電磁弁48a~48cが開状態になると、各分岐管42a~42cにガスが流れ、各切替電磁弁48a~48cが閉状態になると、各分岐管42a~42cのガスの流れが遮断される。
【0025】
(制御装置70の構成)
制御装置70は、ハウジング4内に配置されている。制御装置70は、例えばCPUとメモリを備えている。制御装置70は、給湯器2に関する各種の制御を実行する。
【0026】
制御装置70には、リモコン80が接続されている。リモコン80は、給湯器2に関する各種の設定をするために設けられている。例えば、リモコン80によって給湯目標温度Ttを設定することができる。給湯目標温度Ttは、給湯箇所に供給される水(湯)の温度である。給湯目標温度Ttは、使用者によって設定される。
【0027】
(給湯運転処理;図2
続いて、給湯器2の制御装置70によって実行される給湯運転処理について説明する。給湯運転処理は、給湯目標温度Ttに加熱された水を給湯箇所に供給する給湯運転を実現するための処理である。制御装置70は、給水路20aに設けられている流量センサ24によって検出される水の流量が所定流量以上になると図2の処理を開始する。
【0028】
ステップS10において、制御装置70は、ガスバーナ50を点火させる。まず、制御装置70は、ファン10を動作させる。ファン10が動作すると、ファン10からガスバーナ50に燃焼用の空気が供給される。次いで、制御装置70は、ガス供給路40に設けられている元電磁弁44を開状態にするとともに、切替電磁弁48a~48cのうちの所定の切替電磁弁(例えば、切替電磁弁48a)を開状態にする。次いで、制御装置70は、イグナイタ56で発生させた高電圧を電極58で放電させることによって、第1バーナ群52aを点火させる。
【0029】
ステップS12において、制御装置70は、要求加熱量Htを決定する。要求加熱量Htは、通水路20内を流れる水を給湯目標温度Ttに加熱するのに要する熱量である。制御装置70は、給水温度Tin、給湯目標温度Tt、及び、供給水量Wsに基づいて、要求加熱量Htを決定する。なお、変形例では、さらに、熱交換器60の加熱効率を利用して、要求加熱量Htを決定してもよい。
【0030】
ステップS14において、制御装置70は、ステップS12で決定した要求加熱量Htが、ガスバーナ50の最小加熱量Hmin未満であるのか否かを判断する。要求加熱量Htが最小加熱量Hmin未満である場合に、制御装置70はステップS14でYESと判断して、処理はステップS16に進む。一方、要求加熱量Htが最小加熱量Hmin以上である場合に、制御装置70はステップS14でNOと判断して、処理はステップS50に進む。
【0031】
ステップS16において、制御装置70は、第1の出湯目標温度Tht1(本実施例では60[℃])、給湯目標温度Tt、給水温度Tin、及び、次式を利用して、特定のバイパス比Bpsを決定する。第1の出湯目標温度Tht1は、ガスバーナ50をオン状態からオフ状態に切替えた後に、給湯温度Toutが過剰に昇温することを防止することができる温度である。第1の出湯目標温度Tht1は、制御装置70のメモリに予め記憶されている。
Bp1=(Tht1-Tt)/(Tt-Tin)
【0032】
ステップS18において、制御装置70は、ステップS16で決定された特定のバイパス比Bpsが、バイパス制御弁28の最大バイパス比Bpmaxよりも大きいのか否かを判断する。特定のバイパス比Bpsが最大バイパス比Bpmaxよりも大きい場合に、制御装置70はステップS18でYESと判断して、処理はステップS20に進む。一方、特定のバイパス比Bpsが最大バイパス比Bpmax以下である場合に、制御装置70はステップS18でNOと判断して、処理はステップS28に進む。
【0033】
ステップS20において、制御装置70は、給湯目標温度Tt、給水温度Tinを利用して、バイパス制御弁28を最大バイパス比Bpmaxで動作させる場合の第2の出湯目標温度Tht2を決定する。制御装置70は、次式を利用して、第2の出湯目標温度Tht2を決定する。
Tht2=(Tt-Tin)×Bpmax+Tt
【0034】
ステップS22において、制御装置70は、ステップS20で決定した第2の出湯目標温度Tht2が第1の出湯目標温度Tht1(60[℃])よりも大きいのか否かを判断する。第2の出湯目標温度Tht2が第1の出湯目標温度Tht1以下である場合に、制御装置70はステップS22でNOと判断して、処理はステップS24に進む。一方、第2の出湯目標温度Tht2が第1の出湯目標温度Tht1よりも大きい場合に、制御装置70はステップS22でYESと判断して、処理はステップS28に進む。ステップS28において、制御装置70は、第1の出湯目標温度Tht1を出湯目標温度Thtとして決定する。出湯目標温度Thtは、後述の間欠運転処理で利用される温度である。
【0035】
ステップS24において、制御装置70は、ステップS20で決定した第2の出湯目標温度Tht2が下限温度Tl(本実施例では55[℃])よりも大きいのか否かを判断する。下限温度Tlは、間欠運転処理において、通水路20に結露が発生することを防止するための温度である。第2の出湯目標温度Tht2が下限温度Tlよりも大きい場合に、制御装置70はステップS24でYESと判断して、処理はステップS26に進む。ステップS26において、制御装置70は、第2の出湯目標温度Tht2を出湯目標温度Thtとして決定する。
【0036】
一方、第2の出湯目標温度Tht2が下限温度Tl以下である場合に、制御装置70はステップS24でNOと判断して、ステップS30に進む。ステップS30において、制御装置70は、エラー信号をリモコン80に送信する。エラー信号は、給湯運転処理に失敗したことを示す信号であり、かつ、給湯目標温度Ttを上げることをユーザに促すための信号でもある。制御装置70は、ステップS30が終了すると、図2の処理を終了する。なお、変形例では、ステップS30が省略されてもよい。また、別の変形例では、ステップS24、ステップS30が省略されてもよい。
【0037】
ステップS40において、制御装置70は、間欠運転処理を実行する。間欠運転処理は、ガスバーナ50をオン状態とオフ状態とで交互に繰り返し動作させる間欠運転を実行させるための処理である。間欠運転処理が終了すると、処理はステップS10に戻る。
【0038】
また、ステップS14でNOと判断された場合に、ステップS50において、制御装置70は、通常運転を実行する。通常運転は、ガスバーナ50を連続的にオン状態で動作させる運転である。制御装置70は、ガスバーナ50の加熱量が、ステップS12で決定した要求加熱量Htとなるように、ガスバーナ50の動作を制御する。
【0039】
また、通常運転中において、制御装置70は、処理周期毎に、給湯温度Toutが給湯目標温度Ttとなるようにバイパス制御弁28の動作を制御する。まず、制御装置70は、現在のバイパス比Bpnを決定する。次いで、制御装置70は、給水温度Tin、給湯温度Tout、給湯目標温度Tt、及び、次式を利用して、現在のバイパス比Bpnと基準バイパス比Bpsの差分ΔRを決定する。基準バイパス比Bpsは、給湯温度Toutを給湯目標温度Ttにするのに適したバイパス比Bpである。
ΔR=(1+R)×(Tout-Tt)/(Tt-Tin)
次いで、制御装置70は、次式を利用して、目標バイパス比Bptを決定する。
Bpt=(ΔR×G1)+Rn
補正係数G1は、ΔRを補正する係数であり、本実施例では、「0.75」である。そして、制御装置70は、次の処理周期において、目標バイパス比Bptとなるようにバイパス制御弁28を動作させる。これにより、給湯目標温度Ttに近い温度の水が給湯箇所に供給される。
【0040】
S52において、制御装置70は、給湯目標温度Ttが変更されたのか否かを判断する。給湯目標温度Ttが変更された場合に、制御装置70はS52でYESと判断し、処理はS10に戻る。一方、給湯目標温度Ttが変更されない場合に、制御装置70はS52でNOと判断し、処理はS50に戻る。
【0041】
(間欠運転処理;図3
続いて、図2のステップS40で実行される間欠運転処理について説明する。図3のステップS70において、制御装置70は、給湯温度Toutと給湯目標温度Ttとの差である温度差Todが所定温度(本実施例では1[℃])以上であるのか否かを判断する。温度差Todが所定温度以上である場合に、制御装置70はステップS70でYESと判断し、処理はS72に進む。一方、温度差Todが所定温度未満である場合に、制御装置70はステップS70でNOと判断し、処理はS80に進む。ステップS80において、制御装置70は、給湯目標温度Ttが変更されたのか否かを判断する。給湯目標温度Ttが変更された場合に、制御装置70はS80でYESと判断し、図3の処理を終了し、図2のS10に戻る。一方、給湯目標温度Ttが変更されない場合に、制御装置70はS80でNOと判断し、処理はS70に戻る。
【0042】
ステップS72において、制御装置70は、出湯温度Thが図2のS26又はS28で決定された出湯目標温度Thtよりも大きいのか否かを判断する。出湯温度Thが出湯目標温度Thtよりも大きい場合に、制御装置70はステップS72でYESと判断し、処理はステップS74に進む。一方、出湯温度Thが出湯目標温度Tht以下である場合に、制御装置70はステップS72でNOと判断し、処理はステップS70に戻る。
【0043】
ステップS74において、制御装置70は、ガスバーナ50を消火する。制御装置70は、ガス供給路40に設けられている元電磁弁44を閉状態にするとともに、切替電磁弁48a~48cのうちの開状態である切替電磁弁を閉状態にする。
【0044】
ステップS76において、制御装置70は、現在の出湯温度Thnが1秒前の出湯温度Thn-1よりも小さいのか否かを判断する。現在の出湯温度Thnが1秒前の出湯温度Thn-1よりも小さい場合に、制御装置70はステップS76でYESと判断し、処理はステップS78に進む。一方、現在の出湯温度Thnが1秒前の出湯温度Thn-1以上である場合に、制御装置70はステップS76でNOと判断し、処理はステップS90に進む。ステップS90において、制御装置70は、給湯目標温度Ttが変更されたのか否かを判断する。給湯目標温度Ttが変更された場合に、制御装置70はS90でYESと判断し、図3の処理を終了し、図2のS10に戻る。一方、給湯目標温度Ttが変更されない場合に、制御装置70はS90でNOと判断し、処理はS76に戻る。
【0045】
ステップS78において、制御装置70は、ガスバーナ50を点火する。ステップS78が終了すると、処理はS70に戻る。
【0046】
また、制御装置70は、間欠運転処理を実行している間、処理周期毎に、給湯温度Toutが給湯目標温度Ttとなるようにバイパス制御弁28の動作を制御する。制御装置70は、通常運転の場合と同様に、給水温度Tin、給湯温度Tout、給湯目標温度Tt、及び、次式を利用して、現在のバイパス比Bpnと基準バイパス比Bpsの差分ΔRを決定する。
ΔR=(1+R)×(Tout-Tt)/(Tt-Tin)
次いで、制御装置70は、次式を利用して、目標バイパス比Bptを決定する。
Bpt=(ΔR×G2)+Rn
補正係数G2は、ΔRを補正する係数であり、通常運転で利用される補正係数G1よりも大きな値である。本実施例では、補正係数G2は、「1.2」である。そして、制御装置70は、次の処理周期において、目標バイパス比Bptとなるようにバイパス制御弁28を動作させる。
【0047】
なお、制御装置70は、図2図3の処理を実行中に、給湯箇所の給湯栓が閉じられて、給水路20aに設けられている流量センサ24によって検出される水の流量が所定流量未満となった場合に、図2図3の処理を終了する。
【0048】
上述のように、制御装置70は、要求加熱量Htが最小加熱量Hmin以上である場合(図2のステップS14でNO)に、ガスバーナ50を連続的にオン状態で動作させる通常運転を実行し(図2のステップS50)、要求加熱量Htが最小加熱量Hmin未満である場合(図2のステップS14でYES)に、ガスバーナ50をオン状態とオフ状態とで交互に繰り返し動作させる間欠運転を実行する(図2のステップS40、図3)。間欠運転におけるガスバーナ50による加熱量の変動は、通常運転におけるガスバーナ50による加熱量の変動よりも大きい。このため、間欠運転における給湯温度Toutは、通常運転における給湯温度Toutよりも変動が大きい。上記の構成によると、間欠運転におけるバイパス制御弁28の動作速度は、通常運転におけるバイパス制御弁28の動作速度よりも速い。即ち、バイパス比Bpが早く変更される。このため、間欠運転により加熱量が大きく変動しても、バイパス比Bpを早く変更し、給湯温度Toutを給湯目標温度Ttに早く近づけさせることができる。従って、間欠運転における給湯温度Toutの変動を抑制することができる。
【0049】
また、制御装置70は、要求加熱量Htが最小加熱量Hmin未満である場合(図2のステップS14でYES)に、第1の出湯目標温度Tht1、給水温度Tin、及び、給湯目標温度Ttを利用して、特定のバイパス比Bpsを決定する(図2のステップS16)。そして、制御装置70は、特定のバイパス比Bpsが最大バイパス比Bpmaxよりも大きいの否かを判断し(図2のステップS18)、特定のバイパス比Bpsが最大バイパス比Bpmax以下である場合(図2のステップS18でNO)に、出湯温度Th及び第1の出湯目標温度Tht1を利用した間欠運転を実行する(図2のステップS28、S40、図3)。また、制御装置70は、特定のバイパス比Bpsが最大バイパス比Bpmaxよりも大きい場合(図2のステップS18でYES)に、給湯目標温度Tt、給水温度Tin、及び、最大バイパス比Bpmaxを利用して、第2の出湯目標温度Tht2を決定し(図2のステップS20)、出湯温度Th及び第2の出湯目標温度Tht2を利用した間欠運転を実行する(図2のステップS26、S40、図3)。第2の出湯目標温度Tht2は、バイパス制御弁28のバイパス比Bpが最大バイパス比Bpmaxである場合に、給湯目標温度Ttの水を給湯箇所に供給するのに適した温度である。従って、給湯目標温度Ttよりも温度の高い水が給湯箇所に供給されることを抑制することができる。
【0050】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0051】
「加熱手段」は、ガスバーナ50に限定されず、電気ヒータ等の電気を利用した加熱手段であってもよい。
【0052】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0053】
2 :給湯器
4 :ハウジング
6 :燃焼室
8 :排気ダクト
10 :ファン
20 :通水路
20a :給水路
20b :加熱水路
20c :出湯路
20d :バイパス路
21a :接続部
21b :接続部
22 :給水温度センサ
24 :流量センサ
26 :水量サーボ
28 :バイパス制御弁
30 :出湯温度センサ
32 :給湯温度センサ
40 :ガス供給路
42a :第1分岐管
42b :第2分岐管
42c :第3分岐管
44 :元電磁弁
46 :比例弁
48a :第1切替電磁弁
48b :第2切替電磁弁
48c :第3切替電磁弁
50 :ガスバーナ
52a :第1バーナ群
52b :第2バーナ群
52c :第3バーナ群
54 :フレームロッド
56 :イグナイタ
58 :電極
60 :熱交換器
60a :流入口
60b :流出口
70 :制御装置
80 :リモコン
90 :商用電源
図1
図2
図3