(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】真空処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/68 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
H01L21/68 K
(21)【出願番号】P 2020157108
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】水野 博喜
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-026972(JP,A)
【文献】特開2016-156066(JP,A)
【文献】特開2010-098126(JP,A)
【文献】特表2002-516240(JP,A)
【文献】特開2004-273702(JP,A)
【文献】特開2012-237914(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0131837(KR,A)
【文献】特開2020-123521(JP,A)
【文献】特開2009-038204(JP,A)
【文献】特開2002-247830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に設けられ、かつ、3つ以上の孔が形成されるステージと、
前記真空チャンバ外に設けられ、かつ、前記真空チャンバと伸縮性部材を介して接続される外部固定部と、
前記外部固定部に固定されつつ前記真空チャンバ内で固定され、かつ、前記ステージを移動させるための
リニアモータ機構と、
前記真空チャンバ内で前記ステージとは独立して固定され、かつ、前記ステージに配置される基板を下方から支持するためのリフトピン機構とを備え、
前記リフトピン機構は、
前記基板を前記下方から支持するための3つ以上のリフトピンと、
それぞれの前記リフトピンが対応する前記孔を介して前記ステージの上面側へ貫通する高さに対応する第1の高さと、それぞれの前記リフトピンが前記ステージの下面側へ退避する高さに対応する第2の高さとの間で、それぞれの前記リフトピンを移動させるためのピン移動部とを備え
、
前記リニアモータ機構が、
前記外部固定部に固定されるコイルモジュールと、
前記ステージに接続され、かつ、前記コイルモジュールに電流を流すことによって前記コイルモジュールに対して相対的に移動するためのマグネットモジュールとを備え、
前記伸縮性部材は中空であり、かつ、前記真空チャンバに形成された開口部と連通し、
前記コイルモジュールが、前記伸縮性部材内および前記真空チャンバの前記開口部を介して、前記外部固定部に固定される、
真空処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の真空処理装置であり、
前記ピン移動部は、前記ステージの前記孔が前記リフトピンの上方に位置していない間は、前記リフトピンを前記第2の高さに位置させ、かつ、前記ステージの前記孔が前記リフトピンの上方に位置するタイミングで、前記リフトピンを前記第1の高さに移動させる、
真空処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、真空処理装置に関するものである。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来から、真空チャンバ内において移動可能なステージ上に配置された基板などの処理対象に対し、様々な処理を行う真空処理装置が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板などが配置されるステージには、一般に当該基板を持ち上げるためのリフトピンを貫通させるための孔が形成され、基板の搬入または搬出の際には、当該孔からリフトピンが突出して基板を支持する。
【0005】
ここで、リフトピンを上下動させるリフトピンの駆動機構は、ステージに取り付けられる態様で備えられるため、ステージが移動する際には、当該移動に伴って移動する。
【0006】
そうすると、リフトピンの駆動機構におけるモータなどに接続される配線はステージの移動に伴って移動し、摩擦熱または塵を生じさせ得る。真空チャンバにおいては空気の対流がないため、熱または塵の発生はステージの移動精度およびリフトピンの駆動機構の正常な駆動に影響を与えやすく、問題である。
【0007】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、真空チャンバにおいて、リフトピン機構の移動によって生じる摩擦熱または発塵などを抑制するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である真空処理装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバ内に設けられ、かつ、3つ以上の孔が形成されるステージと、前記真空チャンバ外に設けられ、かつ、前記真空チャンバと伸縮性部材を介して接続される外部固定部と、前記外部固定部に固定されつつ前記真空チャンバ内で固定され、かつ、前記ステージを移動させるためのリニアモータ機構と、前記真空チャンバ内で前記ステージとは独立して固定され、かつ、前記ステージに配置される基板を下方から支持するためのリフトピン機構とを備え、前記リフトピン機構は、前記基板を前記下方から支持するための3つ以上のリフトピンと、それぞれの前記リフトピンが対応する前記孔を介して前記ステージの上面側へ貫通する高さに対応する第1の高さと、それぞれの前記リフトピンが前記ステージの下面側へ退避する高さに対応する第2の高さとの間で、それぞれの前記リフトピンを移動させるためのピン移動部とを備え、前記リニアモータ機構が、前記外部固定部に固定されるコイルモジュールと、前記ステージに接続され、かつ、前記コイルモジュールに電流を流すことによって前記コイルモジュールに対して相対的に移動するためのマグネットモジュールとを備え、前記伸縮性部材は中空であり、かつ、前記真空チャンバに形成された開口部と連通し、前記コイルモジュールが、前記伸縮性部材内および前記真空チャンバの前記開口部を介して、前記外部固定部に固定される。
【0009】
本願明細書に開示される技術の第2の態様である真空処理装置は、第1の態様である真空処理装置に関連し、前記ピン移動部は、前記ステージの前記孔が前記リフトピンの上方に位置していない間は、前記リフトピンを前記第2の高さに位置させ、かつ、前記ステージの前記孔が前記リフトピンの上方に位置するタイミングで、前記リフトピンを前記第1の高さに移動させる。
【発明の効果】
【0010】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1の態様によれば、リフトピン機構が真空チャンバ内でステージとは独立して固定されるため、ステージが移動機構によって移動する際にも、リフトピン機構は移動しない。よって、リフトピン機構を駆動するために接続される配線などが、ステージの移動に伴って移動することがないので、当該配線などの移動に伴う摩擦熱の発生または発塵などを抑制することができる。
【0011】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態に関する、実施の形態に関する真空処理装置の構成の例を概略的に示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に関する真空処理装置の、真空チャンバの内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。
【
図3】変形例としての真空処理装置の、真空チャンバの内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。
【
図4】
図2および
図3に示されたリフトピン機構の構成の例を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態に関する真空処理装置の動作のうち、リフトピン機構の動作の例を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態に関する真空処理装置の動作のうち、リフトピン機構の動作の例を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態に関する真空処理装置の動作のうち、リフトピン機構の動作の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0014】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化が図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0015】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0016】
また、以下に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0017】
また、以下に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0018】
また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0019】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する真空処理装置について説明する。
【0020】
<真空処理装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する真空処理装置1の構成の例を概略的に示す斜視図である。
図1においては、真空チャンバ12を支持するチャンバフレーム、または、実際に接続される配線などは、便宜のため図示が省略されている。なお、本実施の形態における「真空」とは、基板Wの特性劣化を防止するために高真空(たとえば、0.00001Pa)であることが望ましいが、当該高真空に達しない真空度である場合も含むものとする。
【0021】
図1に例が示されるように、真空処理装置1は、真空チャンバ12と、石定盤などの外部固定部14と、真空チャンバ12と外部固定部14とを接続する、たとえばステンレスなどで形成された伸縮性部材であるベローズ16Aと、真空チャンバ12内に光を照射する照射部18と、真空チャンバ12内を減圧して真空状態にする真空ポンプ20と、真空処理装置1のそれぞれの駆動部を制御する制御部22とを備える。上記では、伸縮性部材の例として、ステンレスなどで形成されたベローズが示されているが、求められる仕様に応じて、ステンレス以外の金属で形成された伸縮性部材が採用されてもよいし、樹脂などで形成された伸縮性部材が採用されてもよい。また、伸縮性部材の形状は、上記のベローズ16Aのような蛇腹形状でなくてもよい。
【0022】
真空チャンバ12は、内部に基板Wが収容される空間を有する。なお、当該基板Wは、たとえば、上面に薄膜が形成された状態の基板である。また、真空チャンバ12の側面には、基板Wを搬入および搬出する際に基板Wが通過するための開口部12Aが形成されている。開口部12Aは、真空チャンバ12が真空状態となる際に適宜閉じられる。真空チャンバ12の内部に収容される他の構成については、後述する。
【0023】
照射部18は、真空チャンバ12内に収容された基板Wの上面に向けて光を照射する。照射部18は、たとえばレーザー光を照射する。なお、照射部18は、加工などの目的に応じて、たとえば電子線などの光を照射するものであってもよい。照射部18は、図示しない照射窓(石英などの透明板)を介して、真空チャンバ12の外部から真空チャンバ12内に収容された基板Wの上面に光を照射する。そして、真空チャンバ12内の基板Wが照射部18に対して相対的に移動することによって、または、照射部18における光学系の制御によって、光が基板Wの上面を走査する。また、照射部18は、外部固定部14に固定された架台24の上面に配置される。
【0024】
制御部22は、たとえば、ハードディスクドライブ(Hard disk drive、すなわち、HDD)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)、フラッシュメモリ、揮発性または不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVDなどを含むメモリ(記憶媒体)を含む記憶装置と、たとえば、当該記憶装置、外部のCD-ROM、外部のDVD-ROM、または、外部のフラッシュメモリなどに格納されたプログラムを実行する中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)などの処理回路と、マウス、キーボード、タッチパネル、または、各種スイッチなどの、情報を入力することができる入力装置と、ディスプレイ、液晶表示装置、または、ランプなどの、情報を出力することができる出力装置とを含むことができる。
【0025】
制御部22は、照射部18における光源の出力および照射領域の制御、または、真空ポンプ20の出力制御、さらには、後述するそれぞれの駆動部(たとえば、リニアモータ機構の駆動部またはリフトピン機構の駆動部)の駆動制御などを行う。
【0026】
図2は、本実施の形態に関する真空処理装置1の、真空チャンバ12の内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。
図2に例が示されるように、真空チャンバ12の内部には、基板Wが上面に配置されるステージ42と、Y軸方向に移動可能であり、かつ、ステージ42を下方から支持するスライダー44と、真空チャンバ12とは独立して外部固定部14に固定されたベース46と、ベース46に固定され、かつ、Y軸方向に延びるリニアガイド48と、スライダー44をリニアガイド48に沿ってY軸方向に移動させるリニアモータ機構50と、ステージ42に形成された貫通孔(ここでは図示せず)を貫通して基板Wを支持するリフトピン52Aを有するリフトピン機構52とを備える。
【0027】
ステージ42は、基板Wの加工面を上方に向けつつ、基板Wを略水平に保持する。ステージ42を支持するスライダー44がリニアモータ機構50によってY軸方向に移動し、また、照射部18から照射される光がX軸方向に走査されることによって、平面視において基板Wの加工領域の全面を光によって走査することが可能となる。なお、リフトピン機構52は、ベース46に固定される。
【0028】
リニアモータ機構50は、真空チャンバ12の側面に形成された開口部12Bを介して、真空チャンバ12の側方に位置する外部固定部14に固定される。具体的には、リニアモータ機構50は、開口部12Bに溶接されるベローズ16Aの中を通る中空の柱状部材14Aの端部に固定される。この際、リニアモータ機構50に接続される配線などは、柱状部材14Aの内部を通って真空チャンバ12の外部に導出される。なお、外部固定部14に含まれる柱状部材14Aは、外部固定部14に含まれる外部部材14Bに固定される。また、柱状部材14Aは、真空チャンバ12の側面に接続されたベローズ16Aとは接触しない。
【0029】
ベース46は、真空チャンバ12の底面に形成された開口部12Cを介して、真空チャンバ12の下方に位置する外部固定部14に固定される。具体的には、ベース46は、開口部12Cに溶接されるベローズ16Bの中を通る柱状部材14Cの端部に固定される。なお、外部固定部14に含まれる柱状部材14Cは、外部固定部14に含まれる外部部材14Bに固定される。また、柱状部材14Cは、真空チャンバ12の底面に接続されたベローズ16Bとは接触しない。
【0030】
図2では、外部固定部14は、真空チャンバ12の側方および下方に渡って配置されるが、これらの位置における外部固定部14が連続していることは必須ではなく、これらの位置に分散して設けられていてもよいし、いずれかの位置のみに設けられていてもよい。また、真空チャンバ12は、ベローズ16Bとは別にチャンバフレーム(図示せず)によって鉛直方向下方から支持されて固定されるが、当該チャンバフレームは、外部固定部14とは独立して設けられる。
【0031】
図3は、変形例としての真空処理装置の、真空チャンバ112の内部構成および周辺構成の例を示す断面図である。
図3に例が示されるように、真空チャンバ112の内部には、ステージ42と、スライダー44と、真空チャンバ112とは独立して外部固定部114に固定されたベース46と、リニアガイド48と、スライダー44をリニアガイド48に沿ってY軸方向に移動させるリニアモータ機構150と、リフトピン機構52とを備える。リニアモータ機構150は、柱状部材14Dの端部に固定されるコイルモジュールと、コイルモジュールに対してY軸方向に移動可能なマグネットモジュールと、コイルモジュールに電流を流すための配線とを備える。
【0032】
リニアモータ機構150は、真空チャンバ112の底面に形成された開口部12Dを介して、真空チャンバ112の下方に位置する外部固定部114に固定される。具体的には、リニアモータ機構150は、開口部12Dに溶接されるベローズ16Cの中を通る中空の柱状部材14Dの端部に固定される。この際、リニアモータ機構150に接続される配線などは、柱状部材14Dの内部を通って真空チャンバ112の外部に導出される。なお、外部固定部114に含まれる柱状部材14Dは、外部固定部114に含まれる外部部材14Eに固定される。また、柱状部材14Dは、真空チャンバ112の底面に接続されたベローズ16Cとは接触しない。
【0033】
ベース46は、真空チャンバ112の底面に形成された開口部12Cを介して、真空チャンバ112の下方に位置する外部固定部114に固定される。具体的には、ベース46は、開口部12Cに溶接されるベローズ16Bの中を通る柱状部材14Cの端部に固定される。なお、外部固定部114に含まれる柱状部材14Cは、外部固定部114に含まれる外部部材14Eに固定される。また、柱状部材14Cは、真空チャンバ112の底面に接続されたベローズ16Bとは接触しない。
【0034】
図3では、外部固定部114は、真空チャンバ112の下方全体に渡って配置されるが、当該範囲に外部固定部114が連続していることは必須ではなく、分散して設けられていてもよいし、いずれかの位置のみに設けられていてもよい。また、真空チャンバ112は、ベローズ16Bおよびベローズ16Cとは別にチャンバフレーム(図示せず)によって鉛直方向下方から支持されて固定されるが、当該チャンバフレームは、外部固定部114とは独立して設けられる。
【0035】
上記のような構成によれば、真空チャンバ112内が真空状態となって真空チャンバ112が縮むなどの変形が生じる場合であっても、柱状部材14Dを介して外部部材14Eに固定されているリニアモータ機構150の位置ずれは抑制される。
【0036】
また、上記のような構成によれば、真空チャンバ112の側面にはベローズが接続されない。そのため、たとえば、真空チャンバ112の上面および側面と、真空チャンバ112の底面とを切り離し可能に構成すれば、真空チャンバ112の上面および側面を取り去り、かつ、真空チャンバ112の底面にベローズ16Bおよびベローズ16Cを接続した状態で、真空チャンバ112内に収容されるそれぞれの構成の配置調整などを容易に行うことができる。
【0037】
また、ベース46およびリニアモータ機構150は、
図3においては別々のベローズ内における柱状部材を介して外部部材14Eに固定されているが、これらが同一のベローズおよびその内部の同一または別々の柱状部材などを介して、同一または別々の外部部材に固定されてもよい。
【0038】
図4は、
図2および
図3に示されたリフトピン機構52の構成の例を示す斜視図である。
図4に例が示されるように、リフトピン機構52は、真空チャンバ12内においてベース46に対して直立して固定される延伸部52Dと、ベース46に対して略平行に保持され、かつ、延伸部52Dが貫通する開口部152が形成された平板状の台座52Cと、台座52Cの4つの角部にそれぞれ配置され、かつ、Z軸上方向(すなわち、鉛直上向き)に延びて基板Wの下面を支持する4本のリフトピン52Aと、台座52Cを延伸部52Dに沿って移動させるアクチュエータ52Bとを備える。なお、リフトピン52Aは、3本以上であればよい。
【0039】
延伸部52Dは、ベース46に固定されている一方で、スライダー44およびステージ42さらにはリニアモータ機構50とは独立して固定される。よって、スライダー44およびステージ42がリニアガイド48に沿って移動する際にも、リフトピン機構52はベース46に固定されたまま移動しない。
【0040】
アクチュエータ52Bは、モータ156と、鉛直方向に沿って延び、かつ、延伸部52Dに取り付けられるボールネジ154と、ボールネジ154に通され、かつ、台座52Cに接触するナット(図示せず)とを備える。なお、モータ156は、真空チャンバ12の外部に設けられてもよい。アクチュエータ52Bは、モータ156の駆動によってボールネジ154を回転させ、ナットを鉛直方向に上下動させることができる。これによって、ナットの動きに連動して、台座52Cが鉛直方向に上下動することとなる。
【0041】
<真空処理装置の動作について>
次に、
図5から
図7を参照しつつ、本実施の形態に関する真空処理装置1の動作のうち、特に、リフトピン機構52の動作について説明する。なお、
図5、
図6、
図7は、本実施の形態に関する真空処理装置1の動作のうち、リフトピン機構52の動作の例を示す斜視図である。
【0042】
まず、
図5に例が示されるように、ステージ42がリフトピン機構52の上方から退避している状態(すなわち、ステージ42がリフトピン機構52の上方に位置していない状態)では、アクチュエータ52Bは、台座52Cを鉛直方向の下位置である退避位置に位置させておく。台座52Cが退避位置に位置している状態では、それぞれのリフトピン52Aの上端はステージ42の下面よりも鉛直方向の下側の退避位置に位置する。そのため、ステージ42がリニアモータ機構50の駆動によってリニアガイド48に沿ってY軸方向に移動する場合でも、それぞれのリフトピン52Aとステージ42とは接触しない。
【0043】
次に、台座52Cおよびそれぞれのリフトピン52Aが退避位置に位置している状態で、ステージ42がリニアモータ機構50の駆動によってリニアガイド48に沿ってY軸方向に移動し、さらに、リフトピン機構52の上方に位置する。この際、スライダー44がリフトピン機構52に跨るように配置されるため、Y軸方向の所定の範囲においては、スライダー44とリフトピン機構52とは接触しない。ここで、ステージ42がリフトピン機構52の上方に位置する状態とは、平面視で、それぞれのリフトピン52Aと、対応するステージ42の孔42Aとが重なるようにステージ42が配置される状態である。ステージ42に形成される孔42Aはたとえばリフトピン52Aの数に対応しており、3つ以上形成される。なお、当該状態において、それぞれのリフトピン52Aと孔42Aとが重なる位置が高い精度で検知されるように、リニアモータ機構50の移動量を測定するリニアスケールおよび対応するリードヘッドに加えて、ステージ42またはスライダー44のY軸方向の位置を検知するセンサーなどが備えられてもよい。
【0044】
次に、ステージ42がリフトピン機構52の上方に位置している状態で、アクチュエータ52Bは、台座52Cを鉛直方向の上位置である支持位置に移動させる。それに伴って、それぞれのリフトピン52Aが対応する孔42Aを貫通してステージ42の上面側に突出する。そうすることによって、それぞれのリフトピン52Aの上端は、ステージ42の上面よりも鉛直方向の上側の支持位置に位置する。よって、ステージ42の上面に配置された基板W(ここでは、図示しない)をリフトピン52Aによって持ち上げることができるため、たとえば、真空チャンバ12に対して基板Wを搬入または搬出する場合に、ロボットハンドがステージ42などと干渉することを抑制することができる。
【0045】
また、リフトピン機構52が真空チャンバ12内でベース46に固定される一方で、ステージ42とは独立して固定されるため、スライダー44およびステージ42がリニアガイド48に沿って移動する際にも、リフトピン機構52はベース46に固定されたまま移動しない。よって、リフトピン機構52のモータ156などを駆動するために接続される配線などが、ステージ42の移動に伴って移動することがないので、当該配線などの移動に伴う摩擦熱の発生または発塵などを抑制することができる。
【0046】
なお、再びステージ42がリフトピン機構52の上方から退避する際には、先にアクチュエータ52Bが台座52Cを退避位置に移動させ、その後でリニアモータ機構50によってステージ42を移動させる。
【0047】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0048】
以上に記載された実施の形態によれば、真空処理装置は、真空チャンバ12(または、真空チャンバ112。以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)と、ステージ42と、移動機構と、リフトピン機構52とを備える。ここで、移動機構は、たとえば、リニアモータ機構50、リニアモータ機構150などのうちのいずれか1つに対応するものである(以下では便宜上、これらのうちのいずれか1つを対応させて記載する場合がある)。ステージ42は、真空チャンバ12内に設けられる。また、ステージ42は、3つ以上の孔42Aが形成される。リニアモータ機構50は、真空チャンバ12内で固定される。また、リニアモータ機構50は、ステージ42を移動させる。リフトピン機構52は、真空チャンバ12内でステージ42とは独立して固定される。また、リフトピン機構52は、ステージ42に配置される基板Wを下方から支持する。リフトピン機構52は、3つ以上のリフトピン52Aと、ピン移動部とを備える。ここで、ピン移動部は、たとえば、アクチュエータ52Bなどに対応するものである。リフトピン52Aは、基板Wを下方から支持する。アクチュエータ52Bは、それぞれのリフトピン52Aを第1の高さと第2の高さとの間で移動させる。ここで、第1の高さは、それぞれのリフトピン52Aが対応する孔42Aを介してステージ42の上面側へ貫通する高さ(すなわち、それぞれのリフトピン52Aの上端が支持位置に位置する高さ)に対応する。また、第2の高さは、それぞれのリフトピン52Aがステージ42の下面側へ退避する高さ(すなわち、それぞれのリフトピン52Aの上端が退避位置に位置する高さ)に対応する。
【0049】
このような構成によれば、リフトピン機構52が真空チャンバ12内でベース46に固定される一方で、ステージ42とは独立して固定されるため、ステージ42がリニアガイド48に沿って移動する際にも、リフトピン機構52は移動しない。よって、リフトピン機構52のモータ156などを駆動するために接続される配線などが、ステージ42の移動に伴って移動することがないので、当該配線などの移動に伴う摩擦熱の発生または発塵などを抑制することができる。
【0050】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0051】
また、以上に記載された実施の形態によれば、アクチュエータ52Bは、ステージ42の孔42Aがリフトピン52Aの上方に位置していない間は、リフトピン52Aを第2の高さに位置させ、かつ、ステージ42の孔42Aがリフトピン52Aの上方に位置するタイミング(すなわち、平面視で、それぞれのリフトピン52Aと、対応するステージ42の孔42Aとが重なるタイミング)で、リフトピン52Aを第1の高さに移動させる。このような構成によれば、ステージ42が移動する際にリフトピン52Aがステージ42と干渉することを防ぎつつ、ステージ42がリフトピン機構52の上方に位置する状態では、リフトピン52Aをステージ42の孔42Aに貫通させて、ステージ42の上面に搬入されるまたはステージ42の上面から搬出される基板Wを持ち上げることができる。
【0052】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではないものとする。
【0053】
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0054】
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【符号の説明】
【0055】
1 真空処理装置
12,112 真空チャンバ
12A,12B,12C,12D,152 開口部
14,114 外部固定部
14A,14C,14D 柱状部材
14B,14E 外部部材
16A,16B,16C ベローズ
18 照射部
20 真空ポンプ
22 制御部
24 架台
42 ステージ
42A 孔
44 スライダー
46 ベース
48 リニアガイド
50,150 リニアモータ機構
52 リフトピン機構
52A リフトピン
52B アクチュエータ
52C 台座
52D 延伸部
154 ボールネジ
156 モータ