IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハルトメタル−ウェルクゾーグファブリック ポール ホーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許-ワークピースを機械加工するための工具 図1
  • 特許-ワークピースを機械加工するための工具 図2
  • 特許-ワークピースを機械加工するための工具 図3
  • 特許-ワークピースを機械加工するための工具 図4
  • 特許-ワークピースを機械加工するための工具 図5
  • 特許-ワークピースを機械加工するための工具 図6
  • 特許-ワークピースを機械加工するための工具 図7
  • 特許-ワークピースを機械加工するための工具 図8
  • 特許-ワークピースを機械加工するための工具 図9
  • 特許-ワークピースを機械加工するための工具 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ワークピースを機械加工するための工具
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/26 20060101AFI20230420BHJP
   B23C 5/10 20060101ALI20230420BHJP
   B23C 5/28 20060101ALI20230420BHJP
   B23C 5/22 20060101ALI20230420BHJP
   B23Q 3/12 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
B23C5/26
B23C5/10 D
B23C5/28
B23C5/22
B23Q3/12 F
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020528218
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2018082408
(87)【国際公開番号】W WO2019101943
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】102017127814.1
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503128054
【氏名又は名称】ハルトメタル-ウェルクゾーグファブリック ポール ホーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンヴィッシャー, マルクス
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03170598(EP,A1)
【文献】特表2011-501075(JP,A)
【文献】特開平06-213378(JP,A)
【文献】国際公開第2017/025947(WO,A1)
【文献】特開2012-176485(JP,A)
【文献】特表2003-532844(JP,A)
【文献】特開平10-249627(JP,A)
【文献】特表2003-501279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/00 - 5/28
B23Q 3/00 - 3/14
B23B 31/00
B23Q 17/00 - 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを機械加工するための工具(10)であって、
スリーブ(16)と、スリーブ(16)に固定され少なくとも1つの刃先(26)が配置された切削要素(18)とを有して、第1の長手方向軸(28)に沿って延びる切削ヘッド(12)と、
切削ヘッド(12)を取り外し可能に固定でき、第2の長手方向軸(30)に沿って延びるホルダ(14)を備え、
スリーブ(16)は、第1の長手方向軸(28)を少なくとも部分的に囲み、第1の長手方向軸(28)に対して直角に延びる第1の軸方向ベアリング面(36)を備え、
スリーブ(16)は、第1の長手方向軸(28)を少なくとも部分的に囲み、第1の長手方向軸(28)に対して対称的に延びる第1の円錐状ベアリング面(44)を備え、スリーブ(16)の内側の第1の領域にて雌ねじ(40)が配置され、該第1の領域は第1の軸方向ベアリング面(36)と第1の円錐状ベアリング面(44)の間にて、第1の長手方向軸(28)に沿って延び、
ホルダ(14)は、第2の長手方向軸(30)を少なくとも部分的に囲み、第2の長手方向軸(30)に対して直角に延びる第2の軸方向ベアリング面(38)を備え、ホルダ(14)は、第2の長手方向軸(30)を少なくとも部分的に取り囲み、第2の長手方向軸(30)に対して対称的に延びる第2の円錐状ベアリング面(46)を含み、
ホルダ(14)上の第2の領域にて直線状のねじである雄ねじ(42)が配備され、該第2の領域は円筒状であって、第2の軸方向ベアリング面(38)と第2の円錐状ベアリング面(46)の間にて第2の長手方向軸(30)に沿って延び、
工具(10)が組み立てられた状態で、雌ねじ(40)は雄ねじ(42)に螺合し、第1の長手方向軸(28)は第2の長手方向軸(30)と一致し、第1の軸方向ベアリング面(36)は第2の軸方向ベアリング面(38)を支え、第1の円錐状ベアリング面(44)は第2の円錐状ベアリング面(46)を支え、
前記第1の円錐状ベアリング面(44)は、第1の長手方向軸(28)に対して第1の傾斜角(α1)で傾斜し、前記第2の円錐状ベアリング面(46)は、第2の長手方向軸(30)に対して第2の傾斜角(α2)で傾斜しており、第1の傾斜角及び第2の傾斜角は同じ大きさであり、
第1の傾斜角(α1)及び第2の傾斜角(α2)は、10°以上45°以下である、工具(10)。
【請求項2】
第1の軸方向ベアリング面(36)はスリーブ(16)の後面に配置され、第1の円錐状ベアリング面(44)はスリーブ(16)の内部に配置される、請求項1に記載の工具。
【請求項3】
スリーブ(16)の内部にて、第1の円錐状ベアリング面(44)と雌ねじ(40)との間に内部アンダーカット(52)が配置されている、請求項2に記載の工具。
【請求項4】
第2の円錐状ベアリング面(46)に隣接する面取り(48)が、ホルダ(14)の前面に配置される、請求項1乃至3の何れかに記載の工具。
【請求項5】
区域(50)がホルダ(14)上にて、雄ねじ(42)と第2の軸方向ベアリング面(38)の間に配置される、請求項1乃至4の何れかに記載の工具。
【請求項6】
ホルダ(14)は、雄ねじ(42)が配置されるシャフト(20)を含み、該シャフト(20)は、少なくとも部分的に超硬合金で作られ、スリーブ(16)は、少なくとも部分的に鋼で作られる、請求項1乃至5の何れかに記載の工具。
【請求項7】
ホルダ(14)は、シャフト(20)が取り外し可能に固定され得るシャフトホルダ(22)を含み、該シャフトホルダ(22)は、少なくとも部分的に鋼から作られる、請求項6に記載の工具。
【請求項8】
スリーブ(16)及び切削要素(18)は、はんだ付け接続によって互いに接続される、請求項1乃至7の何れかに記載の工具。
【請求項9】
各雌ねじ(40)と雄ねじ(42)は、夫々アクメねじを備える、請求項1乃至8の何れかに記載の工具。
【請求項10】
各雌ねじ(40)及び雄ねじ(42)は、少なくとも2つのねじピッチを含む、請求項1乃至9の何れかに記載の工具。
【請求項11】
第2の長手方向軸(30)に沿って延びる冷却剤チャネル(56)がホルダ(14)に配置され、複数の分配チャネル(60)がスリーブ(16)内に配置され、前記分配チャネル(60)は、スリーブ(16)内に配置されたキャビティ(58)に繋がり、該キャビティは工具(10)が組み立てられた状態で、冷却剤チャネル(56)と流体が行き来可能に繋がる、請求項1乃至10の何れかに記載の工具。
【請求項12】
第1の長手方向軸(28)に平行に向けられた平坦面(62)が、スリーブ(16)の外面に配置される、請求項1乃至11の何れかに記載の工具。
【請求項13】
工具(10)は、フライス加工工具である、請求項1乃至12の何れかに記載の工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースを機械加工するための工具に関する。この工具は、スリーブと、スリーブに固定され少なくとも1つの刃先が配置された切削要素とを有する切削ヘッドを含む。切削ヘッドは、第1の長手方向軸に沿って延びる。工具は、切削ヘッドを取り外し可能に固定できるホルダも備える。ホルダは、第2の長手方向軸に沿って延びる。
【0002】
本発明による工具は、一般にワークピースを機械加工するための全てのタイプの工具に関するが、本発明は特にフライス工具、特に好ましくは、ボール軌道フライス装置に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的な工具は、国際公開公報2010/012367号に開示されている。
【0004】
ジョイントピン及びジョイントハブをフライス加工する場合、一般に特定の工具、所謂ボール軌道フライス装置が使用される。これらのボール軌道フライス装置は、異なる噛み合い幅と機械加工深さで前面をカットする。このため、ボール軌道フライス装置は通常、例えば20°の角度に設定されている。場合によっては、軌道は円筒形の切り欠きに対応するが、場合によっては軌道が湾曲しているため、非常に曲げ剛性の高い工具が必要になる。フライス加工は、軟質材料と硬化材料の両方に行われる。現在、用途に応じて、様々なタイプの工具が使用されている。
【0005】
例示的なボール軌道フライス装置は、ドイツ公開公報19956592号及びドイツ公開公報19945360号に開示されている。
【0006】
ボール軌道フライス装置の構築における特定の要件は、機械加工中に存在する力を吸収するために、対応する剛性を備えるホルダと切削ヘッドとの間のインターフェースを提供することである。ボール軌道フライス装置の傾いた設定故に、そのような工具のホルダと切削ヘッドの間の境界面は、高い曲げ応力を受ける。従って、インターフェースは、工具の精度に関連して損失を被ることなく、この曲げ応力を吸収できなければならない。
【0007】
冒頭で既に引用した国際特許出願公開公報2010/012367号は、ボール軌道フライス装置の前述の要件を満たす複数の適切なインターフェース解決策を開示している。それにも拘わらず、このインターフェイスの改善の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、ホルダと切削ヘッドの間のインターフェースが更に安定し、切削ヘッドのより正確な位置決めが可能であるように、ワークピースを機械加工するための冒頭に記載された工具を改善することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
冒頭に述べた工具から開始して、この目的はスリーブが、第1の長手方向軸を少なくとも部分的に囲み、第1の長手方向軸に対して直角に延びる第1の軸方向ベアリング面を備えることによって達成され、スリーブは、第1の長手方向軸を少なくとも部分的に取り囲み、第1の長手方向軸に対して対称的に延びる第1の円錐状ベアリング面を備え、スリーブはまた、第1の軸方向ベアリング面と第1の円錐状ベアリング面との間に位置する領域にてスリーブの内側に配置される雌ねじを備え、ホルダは、第2の長手方向軸を少なくとも部分的に囲み、第2の長手方向軸に対して直角に延びる第2のベアリング面を備え、ホルダは、第2の長手方向軸を少なくとも部分的に取り囲み、第2の長手方向軸に対して対称的に延びる第2の円錐状ベアリング面を含み、ホルダはまた、第2の軸方向ベアリング面と第2の円錐状ベアリング面との間に位置する領域内にてホルダ上に配置された雄ねじを含み、工具が組み立てられた状態で、雌ねじは雄ねじに螺合し、第1の長手方向軸は第2の長手方向軸と一致し、第1の軸方向ベアリング面は第2の軸方向ベアリング面を支え、第1の円錐状ベアリング面は第2の円錐状ベアリング面を支える。
【0010】
国際特許出願公開公報2010/012367号に開示された解決策と同様の方法で、本発明に従った切削ヘッドはホルダ上に螺合する。しかしながら、ホルダに対する切削ヘッドの位置決めのタイプは、国際特許出願公開公報2010/012367号に開示された解決策に対して新規性がある。本発明に従って、切削ヘッド及び/又は切削ヘッドのスリーブの位置決めは、2つの対応する円錐面及び2つの対応する平坦面を介して実行される。
【0011】
この場合の円錐面は、第1及び第2の円錐状ベアリング面として示され、第1の円錐状ベアリング面は、切削ヘッドに配置され、第2の円錐状ベアリング面は、ホルダに配置される。
【0012】
この場合の平坦面は、第1及び第2の軸方向ベアリング面として示され、第1の軸方向ベアリング面は、切削ヘッドに配置され、第2の軸方向ベアリング面は、ホルダに配置される。
【0013】
各場合において、支持ベアリング面、即ち円錐状ベアリング面と軸方向ベアリング面は、雌ねじと雄ねじの反対側に配置されて、切削ヘッドとホルダは、軸方向ベアリング面に沿ってねじの一方の側で互いに支え、円錐状ベアリング面に沿ってねじの他方の側で互いに支える。
【0014】
このタイプのインターフェースは、非常に安定した支持を保証すると同時に、非常に正確な位置決めを保証する。軸方向ベアリング面は、軸方向の力のみを吸収する。しかしながら、円錐状ベアリング面は、同時に切削ヘッドのセンタリングを改善し、軸方向と半径方向の両方の力を吸収する。
【0015】
軸方向ベアリング面に加えて、円錐状ベアリング面を使用することは、明らかな利点を提供する。円錐状ベアリング面には、特に円筒形のベアリング面と比較して、切削ヘッドの中心合わせが向上するという利点がある、何故なら継続的なねじ込み工程の間に、製造公差が長手軸に直交する方向に減少するためである。さらに、最終位置決め時にのみ円錐面間に接触が生じるので、円錐面は長手方向軸の方向に改善された方法で一緒にされてもよい。従って、この時点での円筒形の外面の場合よりも、円錐状の外面の摩耗ははるかに少なくなる。さらなる利点は、円筒形ベアリング面の円筒形エンベロープと比較して、円錐状ベアリング面の円錐状エンベロープの表面積が大きいことであり、これにより、円錐状ベアリング面のベアリング面積の割合が増加する。
【0016】
好ましくは、工具の組立状態で、切削ヘッドとホルダは、雌ねじ及び/又は雄ねじに沿って、及び軸方向と円錐状のベアリング面に沿って排他的に互いに接触する。更に、この好ましい実施形態によれば、ベアリング面又は接触点は存在しない。
【0017】
更なる好ましい実施形態に従って、第1の軸方向ベアリング面はスリーブの後面に配置され、第1の円錐状ベアリング面はスリーブの内部に配置される。
【0018】
その結果、第1の円錐状ベアリング面は、損傷から十分に保護される。これは、特に、ホルダに対するスリーブの正確な位置決めにとって有利である。
【0019】
更なる実施形態に従って、第2の円錐状ベアリング面に隣接する面取りが、ホルダの前面に配置される。
【0020】
この実施形態は、ホルダが切削ヘッドに挿入されたときに、第1の円錐状ベアリング面が損傷されないという利点を有する。ホルダに配置された面取りが挿入面取りとして機能する。
【0021】
更なる実施形態に従って、区域がホルダ上にて、雄ねじと第2の軸方向ベアリング面の間に配置される。
【0022】
この区域は、雄ねじと第2の軸方向ベアリング面との間の移行区域として機能し、特にそれによってノッチ強度が増大するという利点を有する。
【0023】
更なる実施形態に従って、ホルダは、雄ねじが配置されるシャフトを含み、シャフトは、少なくとも部分的に超硬合金で作られ、スリーブは、少なくとも部分的に鋼で作られる。
【0024】
超硬合金からホルダシャフトを製造することにより、シャフトの高レベルの剛性及び安定性が保証され、これは、特にボール軌道フライス装置の場合に非常に有利である。従って、鋼で作られたホルダと比較して、超硬合金で作られた本発明によるシャフトは、比較的長い耐用年数を有する。
【0025】
ホルダは、シャフトが取り外し可能に固定され得るシャフトホルダをさらに含み、シャフトホルダは、少なくとも部分的に鋼から作られる。従って、何れの場合にも、本発明による工具のそれぞれの境界面で、超硬合金から鋼及び/又は鋼から超硬合金への移行が生じ、これは、安定性の理由で有利である。
【0026】
切削要素は、好ましくは、超硬合金、立方晶窒化ホウ素(CBN)又は多結晶ダイヤモンド(PCD)から作られる。スリーブ及び切削要素は、好ましくは一緒にはんだ付けされる。しかしながら、原則として、他のタイプの接続、例えばねじ接続も考えられる。
【0027】
更なる実施形態に従って、第1の円錐状ベアリング面は、第1の長手方向軸に対して第1の傾斜角で傾斜している。第2の円錐状ベアリング面は、第2の長手方向軸に対して第2の傾斜角で傾斜しており、第1の傾斜角及び第2の傾斜角は同じ大きさである。
【0028】
従って、傾斜角は夫々の円錐の開口角度の半分に対応する。2つの傾斜角は、好ましくは10°-45°の範囲、特に好ましくは15°-30°の範囲である。
【0029】
更なる実施形態に従って、各雌ねじと雄ねじは夫々アクメねじとして構成される。
【0030】
アクメねじは、非常に安定しており、大きな力を伝達するのに適している。
【0031】
好ましくは、各雌ねじ及び雄ねじは、少なくとも2つのねじピッチを含む。
【0032】
更なる実施形態に従って、第2の長手方向軸に沿って延びる冷却剤チャネルがホルダに配置されている。複数の分配チャネルがスリーブ内に配置され、前記分配チャネルは、スリーブ内に配置されたキャビティに繋がり、該キャビティは工具が組み立てられた状態で、冷却剤チャネルに対応する。
【0033】
これにより、切削領域に直接的に、または少なくとも非常に接近して、冷却剤及び潤滑剤を供給することが可能になる。スリーブ内の空洞は、スリーブ内の冷却剤と潤滑剤を個々の分配チャネルに分配する働きをする。
【0034】
更なる実施形態に従って、第1の長手方向軸に平行に向けられた平坦面が、スリーブの外面に配置される。
【0035】
この平面は、切削ヘッドをホルダに取り付けるための工具レンチの係合面及び/又はクランプ面として機能する。
【0036】
言うまでもなく、上記の特徴及び以下でより詳細に説明する特徴は、夫々特定された組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせでも、または個別に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、図面に示される例示的な実施形態を参照して、以下でより詳細に説明される。
図1】本発明に従った工具の例示的な実施形態の斜視図である。
図2図1に示す工具の分解図である。
図3図1に示す工具の断面図である。
図4図1に示す工具の切削ヘッドの斜視図である。
図5図4に示す切削ヘッドの分解図である。
図6図4に示す切削ヘッドを前方から見た平面図である。
図7図6に示す切削ヘッドの第1の断面図である。
図8図6に示す切削ヘッドの第2の断面図である。
図9】第2の例示的な実施形態に従った切削ヘッドの斜視図である。
図10】第3の例示的な実施形態に従った切削ヘッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1乃至図3は、本発明に従った工具の第1の例示的な実施形態を、組立て状態(図1)、分解された状態(図2)、及び断面図(図3)で示す。工具は全体として符号10で示される。
【0039】
工具10は、ボール軌道フライス装置として指定される。工具10は、切削ヘッド12と、切削ヘッド12が取り外し可能に固定されるホルダ14とを含む。切削ヘッド12は、スリーブ16と、スリーブ16に固定された切削要素18とを含む。
【0040】
ホルダ14は、シャフト20と、シャフト20が取り外し可能に固定されるシャフトホルダ22とを備える。シャフトホルダ22は、その後端部に工具インターフェース24を含み、これにより工具10は工作機械(図示せず)にクランプ(固定)可能である。
【0041】
切削ヘッド12のスリーブ16は、ホルダ14のシャフト20に螺合している。シャフト20は、シャフトホルダ22内に回転可能に固定されている。好ましくは、シャフト20は、シャフトホルダ22に焼きばめされる。しかし、原則として、この時点で、ねじ接続または異なるタイプの回転可能な固定接続も考えられる。
【0042】
切削ヘッド12は、実質的に第1の長手方向軸28に沿って延びる。ホルダ14は、実質的に第2の長手方向軸30に沿って延びる。長手方向軸28、30の両方は、工具10が組み立てられるときに一致する。
【0043】
工具10の個々の構成要素は、超硬合金及び鋼から交互の順序で製造されるのが好ましい。切削要素18は、超硬合金で作られるのが好ましい。スリーブ16は、鋼で作られるのが好ましい。シャフト20は、超硬合金で作られるのが好ましい。シャフトホルダ22は、鋼で作られるのが好ましい。
【0044】
スリーブ16及び切削要素18は互いにはんだ付けされる。好ましくは、切削要素18は、硬はんだによりスリーブ16に突き合わせはんだ付けされる。切削要素18(図7参照)の中央に配置された穴32と、スリーブ16上に配置された該穴に対応するピン34は、はんだ付け工程中の位置決めを支援する役割を果たす。しかしながら、スリーブ16と切削要素18との間で他のタイプの接続、例えばねじ接続も可能であることには言及すべきである。
【0045】
本発明は、特に切削ヘッド12とホルダ14との間の接続、より具体的には、スリーブ16とシャフト20との間の接続に関する。このインターフェイスでは、次のようにして、非常に安定した、曲げ剛性があり、非常に正確に配置された接続が実現される。スリーブ16は、シャフト20上に配置された第2の軸方向ベアリング面38に対応する第1の軸方向ベアリング面36を含む。さらに、スリーブ16は、シャフト20上に配置された対応する雄ねじ42に対応する雌ねじ40を含む。さらに、スリーブ16は、シャフト20上に配置された第2の円錐状ベアリング面46に対応する第1の円錐状ベアリング面44を含む。
【0046】
好ましくは、工具10の組立て状態にて、切削ヘッド12及びスリーブ16は、雌ねじ40及び/又は雄ねじ42に沿って、ならびに軸方向及び円錐状ベアリング面36、38及び44、46に沿って、単に互いに接触する。周方向に作用する力は、雌ねじ40及び雄ねじ42によって吸収される。軸方向の力は、円錐状ベアリング面44、46と軸方向ベアリング面36、38の両方を介して吸収される。円錐状ベアリング面44、46は、それらの傾いた位置故に、半径方向の力をさらに吸収する。円錐状ベアリング面44、46は安定した支持に加えて、またシャフト20に対する切削ヘッド12の正確な位置決めに役立つ。
【0047】
第1の軸方向ベアリング面36は、スリーブ16の下部後面に配置され、切削ヘッド12の第1の長手方向軸28に直交して延びる。第1の軸方向ベアリング面36は、好ましくは、環状面として構成される。
【0048】
第2の軸方向ベアリング面38は、シャフト20の上面に配置され、ホルダ14の第2の長手方向軸30に直交して延びる。第2の軸方向ベアリング面38も、好ましくは環状面として構成される。
【0049】
第1の円錐状ベアリング面44は、スリーブ16の内部に配置され、切削ヘッド12の第1の長手方向軸28に対して横方向に延び、即ち第1の長手方向軸28に平行ではない。第1の円錐状ベアリング面44は、好ましくは、第1の長手方向軸28に対して第1の傾斜角α1で傾斜している(図7参照)。この傾斜角α1は、円錐の開口角の半分に対応し、第1の円錐状ベアリング面44は、その外面に配置される。第1の傾斜角α1は、好ましくは10°-45°の範囲、特に好ましくは15°-30°の範囲である。第1の円錐状ベアリング面44は、第1の長手方向軸28を、好ましくは完全に取り囲む。
【0050】
第2の円錐状ベアリング面46は、シャフト20の上部前面に、ホルダ14の第2の長手方向軸30に対して第1の傾斜角α1と同じ角度だけ傾斜した第2の傾斜角α2で配置される。スリーブ16のの内部に設けられた雌ねじ40は、第1の軸方向ベアリング面36と第1の円錐状ベアリング面44との間に位置する領域に配置される。同様に、シャフト20上に配置された雄ねじ42も、第2の軸方向ベアリング面38と第2の円錐状ベアリング面46との間に位置する領域に配置される。
【0051】
しかしながら、雌ねじ40が第1の軸方向ベアリング面36と第1の円錐状ベアリング面44との間の領域に配置されるという事実は、その2つの端部における雌ねじ40が、第1の軸方向ベアリング面36及び第1の円錐状ベアリング面44に直接隣接していることを意味しない。これは事実であるが、そうである必要はない。何れの場合にも、それらの間にアンダーカット又は明確な間隔を設けることができる。
【0052】
同様に、第2の軸方向ベアリング面38及び第2の円錐状ベアリング面46は、雄ねじ42の2つの対向する端部に直接隣接していてもよいが、そうである必要はない。何れの場合にも、それらの間にアンダーカット又は明確な間隔を設けることができる。
【0053】
雌ねじ40及び雄ねじ42は、好ましくは、それぞれ少なくとも2つのねじピッチを有するアクメねじとして構成される。
【0054】
シャフト20の第2の円錐状ベアリング面46に面取り48が配備され、該面取りは、シャフト20がスリーブ16に挿入されたときに第1の円錐状ベアリング面44への損傷を防ぐように構成される。従って、第2の円錐状ベアリング面46は、この面取り48と雄ねじ42との間に配置される。雄ねじ42の下端、即ち雄ねじ42と第2の軸方向ベアリング面38との間には、移行区域(radius)50が配置される(図2参照)。
【0055】
図8から見えるように、雌ねじ40は、第1の円錐状ベアリング面44に直接隣接していない。雌ねじ40と第1の円錐状ベアリング面44との間に内部アンダーカット52が配置されている。雌ねじ40の反対側の端部にも内部アンダーカット54が配置されている。
【0056】
本発明に従った工具10はまた、ホルダ14の内部に延びる冷却剤チャネル56を備える。冷却剤チャネル56は、とりわけ、長手方向軸30に沿ってシャフト20の内部に延びる。シャフト20の上面で、冷却剤チャネル56は、スリーブ16の内部の空洞58に供給される。この空洞58から、冷却剤及び潤滑剤は複数の分配チャネル60の間で分割され、分配チャネル60は、スリーブ16の内部に配置され、その上面でスリーブ16から出る。
【0057】
スリーブ16の外面にも平坦面62が設けられ、前記平坦面は、切削ヘッド12を取り付けるための開口端レンチの係合面として機能する。この平坦面62は、好ましくは切削ヘッド12の第1の長手方向軸28に平行に延びる。
【0058】
図9及び図10は、切削ヘッド12'、12''のさらなる可能な例示的実施形態を示す。これらの切削ヘッドは、刃先の幾何学的形状の点で、第1の例示的な実施形態による切削ヘッド12とは実質的に異なる。例えば、図9に示される切削体18''は、CBNから作られ、スリーブ16'上に個別にはんだ付けされるプレート形状の切削体である。図10に示される切削要素18''は、例えば、スロットフライス加工用のフライス加工工具に適している。
【0059】
しかし、図9及び図10に示す例示的な実施形態にて、スリーブ16とシャフト20との間の本発明による内部構造及びインターフェースは図1乃至図8に示す実施形態から異ならない、又は少しだけ異なる。これが、関連する実施形態がこの時点でさらに繰り返されない理由である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10