(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20230420BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20230420BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H01L23/36 Z
H05K7/20 N
(21)【出願番号】P 2020529035
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(86)【国際出願番号】 JP2019026496
(87)【国際公開番号】W WO2020009157
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2018126496
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390000158
【氏名又は名称】日軽熱交株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓海
(72)【発明者】
【氏名】安在 英司
(72)【発明者】
【氏名】平山 智将
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 遼一
(72)【発明者】
【氏名】郷原 広道
(72)【発明者】
【氏名】山内 浩平
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-260013(JP,A)
【文献】特開2011-119555(JP,A)
【文献】中国実用新案第207247975(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H01L 23/36
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
前記ベースプレートに重なるカバーと、
前記ベースプレートから前記ベースプレートに対する垂直方向に突出し且つ前記ベースプレート及び前記カバーの間に位置する板状のフィンと、
前記ベースプレートに平行な第1方向に隙間を空けて並ぶ複数の前記フィンで構成される第1フィングループと、
前記第1方向に隙間を空けて並ぶ複数の前記フィンで構成され且つ前記第1フィングループに対して、冷媒の流入方向と平行で、前記第1方向に垂直な第2方向に隙間を空けて隣接する第2フィングループと、
を備え、
前記フィンの長手方向は、前記第2方向に沿い、
前記フィンは、前記第1方向に向かって凸である第1湾曲部と、前記第1湾曲部とは逆向きに凸である第2湾曲部と、を備え、
前記第2フィングループに属する前記フィンの前記第1方向の位置は、前記第1フィングループに属する前記フィンの前記第1方向の位置に対してずれて
おり、
前記第1方向に隣接する複数の前記フィンの重心間の距離であるピッチ(P)に対する、前記第1フィングループの第1フィンの重心と、前記第1フィンに最も近い前記第2フィングループの第2フィンの重心との前記第1方向でのずれ量(R)の比(R/P)は、2/10以上4/10以下である
ヒートシンク。
【請求項2】
前記ベースプレート及び前記フィンは、アルミニウムを含む金属である
請求項
1に記載のヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を備える電子機器には熱が生じる。電子機器に生じる熱は、処理速度の低下又は誤作動の原因となることがある。このため、電子機器に生じる熱を除去するために、電子機器にはヒートシンクが取り付けられる。例えば特許文献1には、冷媒体が流通する流路にフィンを有する熱交換器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子機器の高性能化に伴って発熱量が増加している。その一方で、電子機器には小型化が求められる。このため、冷却効率が高いヒートシンクが望まれていた。
【0005】
本発明は、冷却効率を向上させることができるヒートシンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るヒートシンクは、ベースプレートと、前記ベースプレートに重なるカバーと、前記ベースプレートから前記ベースプレートに対する垂直方向に突出し且つ前記ベースプレート及び前記カバーの間に位置する板状のフィンと、前記ベースプレートに平行な第1方向に隙間を空けて並ぶ複数の前記フィンで構成される第1フィングループと、前記第1方向に隙間を空けて並ぶ複数の前記フィンで構成され且つ前記第1フィングループに対して、冷媒の流入方向と平行で、前記第1方向に垂直な第2方向に隙間を空けて隣接する第2フィングループと、を備え、前記フィンの長手方向は、前記第2方向に沿い、前記第2フィングループに属する前記フィンの前記第1方向の位置は、前記第1フィングループに属する前記フィンの前記第1方向の位置に対してずれている。
【0007】
これにより、ある2つのフィン間を通過した冷媒と、別の2つのフィン間を通過した冷媒とが、第1フィングループと第2フィングループとの間の隙間で合流する。さらに、第1フィングループと第2フィングループとの間の隙間で合流した冷媒は、隙間の下流にあるフィンに当たるので、再び分断される。冷媒の合流及び分断が繰返されることで冷媒の流れが乱流になりやすくなる。したがって、ヒートシンクは、冷却効率を向上させることができる。
【0008】
本発明の望ましい態様に係るヒートシンクにおいて、前記フィンは、前記第1方向に向かって凸である第1湾曲部と、前記第1湾曲部とは逆向きに凸である第2湾曲部と、を備える。これにより、フィン間における冷媒の流れが乱流になりやすくなる。したがって、ヒートシンクの冷却効率がより向上する。
【0009】
本発明の望ましい態様に係るヒートシンクにおいて、前記ベースプレート及び前記フィンは、アルミニウムを含む金属である。これにより、被冷却物で生じた熱がフィンに伝達されやすくなるので、ヒートシンクの冷却効率がより向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のヒートシンクによれば、冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態のヒートシンクの斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のベースプレート及びフィンの斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のベースプレート及びフィンの平面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のベースプレート及びフィンの右側面図である。
【
図7】
図7は、ヒートシンクの内部における冷媒の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0013】
(実施形態)
図1は、本実施形態のヒートシンクの斜視図である。
図2は、本実施形態のベースプレート及びフィンの斜視図である。
図3は、本実施形態のベースプレート及びフィンの平面図である。
図4は、本実施形態のベースプレート及びフィンの右側面図である。
図5は、
図2の一部の拡大図である。
図6は、
図3の一部の拡大図である。
【0014】
本実施形態のヒートシンク1は、例えば半導体素子を有する電子機器の冷却装置として用いられる器具である。ヒートシンク1は、電子機器に取り付けられて、電子機器で発生する熱を放散させる。電子機器に搭載される半導体素子は、例えばパワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が挙げられる。
【0015】
図1及び
図2に示すように、ヒートシンク1は、ベースプレート5と、カバー3と、複数のフィン7と、を備える。例えば、被冷却物である電子機器が、ベースプレート5に取り付けられる。
【0016】
図2に示すように、ベースプレート5は、板状に形成されている。ベースプレート5は、例えばアルミニウムを含む金属である。より具体的には、ベースプレート5は、マグネシウム及びシリコンを含むアルミニウム合金(JIS A6063)である。アルミニウム合金におけるマグネシウムの含有率は、例えば0.6%以下である。また、他のアルミニウム合金としては、JIS A1050、JIS A3003等が挙げられる。ベースプレート5の厚さは、例えば約1mmである。ベースプレート5は、複数の取付孔50を備える。
【0017】
図1に示すように、カバー3は、ベースプレート5に重なる。カバー3は、例えばベースプレート5と同じ材料で形成される。カバー3は、ケース部31と、フランジ部32と、を備える。ケース部31は、例えば略直方体状に形成されている。ケース部31とベースプレート5との間に空間が形成されている。ケース部31は、冷媒導入孔11と、冷媒排出孔12と、を備える。冷媒排出孔12は、ケース部31のうち冷媒導入孔11が設けられた面とは反対側の面に設けられている。フランジ部32は、ベースプレート5に接する。フランジ部32は、複数の取付孔30を備える。取付孔30は、ベースプレート5の取付孔50と重なる。カバー3は、例えば取付孔50及び取付孔30を貫通するボルト及びナットによりベースプレート5に固定される。
【0018】
ケース部31の内部には冷媒が供給される。冷媒は、冷媒導入孔11を介してケース部31の内部に導入される。冷媒は、冷媒排出孔12を介してケース部31から排出される。冷媒は、例えば水である。冷媒は、電子機器で生じた熱をケース部31の内部で受け取ったあと、ケース部31の外部に排出される。これにより、電子機器の放熱が促進される。
【0019】
以下の説明において、XYZ直交座標系が用いられる。X軸は、ベースプレート5に平行であって、冷媒導入孔11及び冷媒排出孔12を通る直線に対して垂直である。Y軸は、ベースプレート5に平行であって、X軸に対して垂直である。なお、X方向を第1方向、Y方向を第2方向と示す場合もある。Z軸は、X軸及びY軸の両方に対して垂直である。X軸に沿う方向はX方向と記載され、Y軸に沿う方向はY方向と記載され、Z軸に沿う方向はZ方向と記載される。冷媒導入孔11から冷媒排出孔12に向かう方向を+(プラス)Y方向とする。ベースプレート5からカバー3に向かう方向を+(プラス)Z方向とする。+(プラス)Z方向を上とし+(プラス)Y方向を向いた場合の左方向を+(プラス)X方向とする。なお、冷媒導入孔11及び冷媒排出孔12を通る直線に平行な方向、つまりY方向を冷媒の流入方向とする。より具体的には、冷媒の流入方向は+(プラス)Y方向である。冷媒の流入方向は、
図3のベースプレート5上に示す矢印の方向である。
【0020】
フィン7は、ベースプレート5から+(プラス)Z方向に突出している。フィン7は、ベースプレート5とカバー3との間の空間に位置する。すなわちフィン7は、カバー3の内部に位置する。フィン7は、ベースプレート5と同じ材料で形成されており、ベースプレート5と一体である。例えば、ベースプレート5及びフィン7は、アルミニウム合金の原板を削り立てすることで成形される。すなわち、ベースプレート5及びフィン7は、スカイブ加工で成形される。フィン7は、板状に形成されている。Z方向から見た場合のフィン7の長手方向はY軸に沿っている。なお、フィン7の長手方向はY軸に沿ってはいるが、必ずしもY軸と平行である必要は無く、Y軸に対して角度を有していてもよい。具体的には、フィン7の長手方向がY軸に対して有する角度は、0度以上30度以下であることが好ましく、0度以上10度以下であることがより好ましい。Z方向から見た場合のフィン7の短手方向はX軸に沿っている。
【0021】
図3に示すように、ヒートシンク1は、第1フィングループ701と、第2フィングループ702と、を備える。第1フィングループ701は、X方向に並ぶ複数のフィン7で構成される。第1フィングループ701において、複数のフィン7は、X方向に等間隔に並べられている。第2フィングループ702は、X方向に並ぶ複数のフィン7で構成される。第2フィングループ702において、複数のフィン7は、X方向に等間隔に並べられている。なお、第2フィングループ702に属するフィン7の長手方向は、第1フィングループ701に属するフィン7の長手方向と平行であるが、必ずしも平行でなくてもよい。例えば、第2フィングループ702に属するフィン7の長手方向と、第1フィングループ701に属するフィン7の長手方向とが、Y軸に対して対称であってもよい。
【0022】
図3に示すように、第2フィングループ702は、第1フィングループ701に対してY方向に隙間を設けて隣接している。例えば、第1フィングループ701及び第2フィングループ702は、Y方向に交互に並んでいる。すなわち、第2フィングループ702は、2つの第1フィングループ701の間に位置している。また、第1フィングループ701及び第2フィングループ702は、それぞれY方向に等間隔に並んでいる。第1フィングループ701に属するフィン7と、第2フィングループ702に属するフィン7との間には隙間が設けられている。第1フィングループ701と第2フィングループ702との間の隙間長さGは、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましい。隙間長さGが3mmを超えると、フィン7を立てるスペースが小さくなり、ベースプレート5上に立てられるフィン7の枚数が減り、冷却能力が低下する。
【0023】
図6に示すように、第2フィングループ702における複数のフィン7のピッチP2は第1フィングループ701における複数のフィン7のピッチP1に等しい。ピッチP1及びピッチP2は、X方向に隣接するフィン7の重心間の距離である。以下において、ピッチP1及びピッチP2は、互いを区別する必要がない場合、ピッチPと記載する。ピッチPは、0.5mm以上2mm以下であることが好ましく、例えば1.5mmである。ピッチPが2mmより大きいと、冷媒とフィン7との接触面積が小さくなり、冷却能力が小さくなる。逆にピッチPが0.5mm未満である場合、冷媒が流れにくくなり、冷媒の流量が小さくなり、冷却能力が低下する。また、フィン7を削り立てることも難しくなる。さらにピッチPに対する隙間長さGの比をさG/Pとすると、G/Pは、6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、例えば1.33である。
【0024】
第2フィングループ702に属するフィン7のX方向の位置は、第1フィングループ701に属するフィン7のX方向の位置に対してずれている。具体的には、第2フィングループ702に属するフィン7のX方向の位置は、第1フィングループ701に属するフィン7のうち隣接するフィン7の間にずれている。第1フィングループ701に属するフィン7と、第2フィングループ702に属するフィン7との間のX方向のずれ量Sは、ピッチPよりも小さい。
図6に示すように、ずれ量Sは、ピッチP2と距離Rとの差である。距離Rは、第1フィングループ701のフィン7(例えば
図6に示すフィン7a)の重心と、フィン7aに最も近い第2フィングループ702のフィン7(フィン7c)の重心との間のX方向の距離である。すなわち、ずれ量Sは、フィン7aとフィン7aから2番目に近い第2フィングループ702のフィン7(フィン7b)との間のX方向の距離である。例えば、ピッチPが1.5mmの場合、ずれ量Sは、1.1mmであり、距離Rは、0.4mmである。距離Rは、ピッチPの1/10倍以上、ピッチPの1/2倍以下であることが好ましい。距離Rは、ピッチPの1/5倍以上、ピッチPの2/5倍以下であることがより好ましい。すなわち、ピッチPに対する距離Rの比をR/Pとすると、R/Pは、1/10以上5/10以下であること好ましい。R/Pは、2/10以上4/10以下であることがより好ましい。R/Pが上述した範囲にあることで冷媒の流れが乱流になり易く、冷却効率が向上する。
【0025】
図6に示すように、第1フィングループ701と第2フィングループ702との間の隙間長さGは、ピッチPよりも大きい。言い換えると、隙間長さGは、第1フィングループ701に属するフィン7と、第2フィングループ702に属するフィン7との間のY方向の距離である。
【0026】
図6に示すように、フィン7は、Z方向から見て湾曲している。すなわちフィン7は、波形の形状を有する。フィン7は、第1湾曲部71と、第2湾曲部72と、を備える。第1湾曲部71は、-(マイナス)X方向に向かって凸になるように湾曲している。第2湾曲部72は、+(プラス)X方向に向かって凸になるように湾曲している。第2湾曲部72は、第1湾曲部71とは逆に湾曲している。すなわち、Z方向から見て、フィン7は略S字状である。Z方向から見た場合の第2湾曲部72の中心線C2の曲率半径は、Z方向から見た場合の第1湾曲部71の中心線C1の曲率半径に等しい。中心線C1の曲率半径及び中心線C2の曲率半径は、例えば3mmであり、1mm以上5mm以下であることが好ましい。第1湾曲部71のY方向の長さL1は、例えば2.5mmである。第2湾曲部72のY方向の長さL2は、例えば2.5mmである。
【0027】
フィン7の肉厚Tは一定である。肉厚Tは、Z方向から見た場合のフィン7が描く円弧の接線に対して垂直な方向におけるフィン7の長さである。肉厚Tは、例えばピッチPの1/3倍以上1/2倍以下である。また、肉厚Tはずれ量Sよりも小さい。肉厚Tは、例えば0.6mmである。第1湾曲部71の長さL1及び第2湾曲部72の長さL2は、肉厚Tの0.2倍以上1倍以下であることが好ましい。また、フィン7の幅W(Y方向の長さ)は、例えば5mmである。幅Wに対する長さL1の比をL1/W、幅Wに対する長さL2の比をL2/Wとすると、L1/W及びL2/Wは、1/2である。
図4に示すように、フィン7の高さH(Z方向の長さ)は、例えば4mmである。また、幅Wに対する隙間長さGの比をG/Wとすると、G/Wは、1以下であることが好ましく、0.6以下であることがより好ましく、0.4以下であることがさらに好ましい。G/Wが大きいとフィン7の表面積が小さくなり、冷却性能が低下する。
【0028】
図7は、ヒートシンクの内部における冷媒の流れを示す模式図である。
図1に示すケース部31の内部に供給された冷媒は、複数のフィン7の間を通過する。冷媒がフィン7に接することで、電子機器からフィン7に伝わった熱が冷媒に吸収される。上述したように、第1フィングループ701と、第2フィングループ702との間には隙間がある。これにより、
図7に示すように、ある2つのフィン7間を通過した冷媒と、別の2つのフィン7間を通過した冷媒とが、矢印で示すように第1フィングループ701と第2フィングループ702との間の隙間で合流する。さらに、第2フィングループ702に属するフィン7が第1フィングループ701のフィン7に対してX方向にずれている。これにより、第1フィングループ701を通過した後に合流した冷媒が、第2フィングループ702のフィン7に当たることで再び分断される。このため、ケース部31の内部での冷媒の流れが乱流になりやすくなる。その結果、フィン7から冷媒への熱伝達が促進される。
【0029】
なお、冷媒導入孔11及び冷媒排出孔12は、必ずしも上述した位置になくてもよい。例えば、冷媒導入孔11又は冷媒排出孔12が、ケース部31のうちZ軸に垂直な面に配置されていてもよい。また、ケース部31が、複数の冷媒導入孔11及び複数の冷媒排出孔12を備えていてもよい。
【0030】
なお、第1フィングループ701及び第2フィングループ702は、必ずしもフィン7が配置される全ての範囲に亘って交互に配置されていなくてもよい。少なくとも、フィン7が配置される範囲の一部で、第2フィングループ702が第1フィングループ701に対してY方向に隣接していればよい。例えば、2つの第1フィングループ701の間に複数の第2フィングループ702があってもよいし、2つの第2フィングループ702の間に複数の第1フィングループ701があってもよい。
【0031】
なお、フィン7は、必ずしも上述した形状を有していなくてもよい。例えば、第2湾曲部72は、第1湾曲部71と同じ向きに湾曲していてもよい。例えば、フィン7は、第1湾曲部71及び第2湾曲部72を備えていなくてもよい。例えば、フィン7は、第1湾曲部71及び第2湾曲部72のいずれか1つのみを有していてもよい。例えば、フィン7は、第1湾曲部71及び第2湾曲部72に加え、第3湾曲部等を有していてもよい。フィン7は、製造可能な範囲で、3つ以上の湾曲部を有していてもよい。複数の湾曲部のY方向の長さは、互いに異なっていてもよい。また、フィン7は、湾曲部を備えていなくてもよく、直線状であってもよい。
【0032】
なお、
図4及び
図6に示す隙間長さG、高さH、ピッチP1、ピッチP2、肉厚T及び幅Wについて上述した値は一例である。それぞれの値は、必ずしも上述した値でなくてもよい。
【0033】
以上で説明したように、ヒートシンク1は、ベースプレート5と、カバー3と、フィン7と、第1フィングループ701と、第2フィングループ702と、を備える。カバー3は、ベースプレート5に重なる。フィン7は、ベースプレート5からベースプレート5に対する垂直方向に突出し且つベースプレート5及びカバー3の間に位置する板状の部材である。第1フィングループ701は、ベースプレート5に平行な第1方向(X方向)に隙間を空けて並ぶ複数のフィン7で構成される。第2フィングループ702は、第1方向(X方向)に隙間を空けて並ぶ複数のフィン7で構成され且つ第1フィングループ701に対して冷媒の流入方向と平行な第2方向(Y方向)に隙間を設けて隣接する。フィン7の長手方向は、第2方向に沿う。第2フィングループ702に属するフィン7は、第1フィングループ701に属するフィン7に対して第2方向(Y方向)に隙間を空けて配置されている。第2フィングループ702に属するフィン7の第1方向(X方向)の位置は、第1フィングループ701に属するフィン7の第1方向(X方向)の位置に対してずれている。
【0034】
これにより、ある2つのフィン7間を通過した冷媒と、別の2つのフィン7間を通過した冷媒とが、第1フィングループ701と第2フィングループ702との間の隙間で合流する。さらに、第1フィングループ701と第2フィングループ702との間の隙間で合流した冷媒は、隙間の下流にあるフィン7に当たるので、再び分断される。冷媒の合流及び分断が繰返されることで冷媒の流れが乱流になりやすくなる。したがって、ヒートシンク1は、冷却効率を向上させることができる。
【0035】
またヒートシンク1において、フィン7は、第1方向(X方向)に向かって凸である第1湾曲部71と、第1湾曲部71とは逆向きに凸である第2湾曲部72と、を備える。これにより、フィン7間における冷媒の流れが乱流になりやすくなる。したがって、ヒートシンク1の冷却効率がより向上する。
【0036】
またヒートシンク1において、ベースプレート5及びフィン7は、アルミニウムを含む金属である。これにより、被冷却物で生じた熱がフィン7に伝達されやすくなるので、ヒートシンク1の冷却効率がより向上する。
【符号の説明】
【0037】
1 ヒートシンク
11 冷媒導入孔
12 冷媒排出孔
3 カバー
30 取付孔
31 ケース部
32 フランジ部
5 ベースプレート
50 取付孔
7 フィン
701 第1フィングループ
702 第2フィングループ
71 第1湾曲部
72 第2湾曲部
C1、C2 中心線
G 隙間長さ
H 高さ
P1、P2 ピッチ
T 肉厚
W 幅