(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】マルチウェイスイッチ、無線周波数システム及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/40 20150101AFI20230420BHJP
H04B 1/00 20060101ALI20230420BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20230420BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
H04B1/40
H04B1/00 250
H04B7/06 020
H04B7/08 020
(21)【出願番号】P 2020535030
(86)(22)【出願日】2018-11-27
(86)【国際出願番号】 CN2018117708
(87)【国際公開番号】W WO2019174303
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-06-23
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】201810220722.6
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】バイ、ジャン
【合議体】
【審判長】猪瀬 隆広
【審判官】丸山 高政
【審判官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-521006(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0054093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチウェイスイッチ10であって、
6つのTポート及び4つのPポートを含み、前記6つのTポートは2つの第一Tポートを含み、前記2つの第一Tポートのそれぞれは前記4つのPポートに全部結合され、前記2つの第一Tポートは送信機能のみをサポートし、
前記マルチウェイスイッチは、デュアル周波数デュアル送信モードで動作可能な無線通信装置100の無線周波数回路30及びアンテナシステム20に結合されるように構成され、前記アンテナシステムは前記4つのPポートに対応する4つのアンテナを含
み、
前記6つのTポートは4つの第二Tポートをさらに含み、前記4つの第二Tポートのそれぞれは、別々に前記4つのPポートのうちの対応するPポートに結合され、前記4つの第二Tポートのうちの同じ周波数帯域のTポートは異なるPポートに結合され、
前記4つのPポートのそれぞれは、前記4つのアンテナのうちの対応するアンテナに結合され、前記第二Tポートは受信機能のみをサポートする、
ことを特徴とするマルチウェイスイッチ。
【請求項2】
前記無線通信装置の無線周波数回路は、論理的に2つの送信集積回路と4つの受信集積回路を含み、
前記無線周波数回路は、物理的に2つの独立回路モジュールを含み、
各独立回路モジュールは、1つの送信集積回路及び2つの受信集積回路を含み、
前記送信集積回路は異なる周波数帯域で動作する2つの送信回路を含み、前記2つの送信回路は統合されて前記2つの送信回路が属する独立回路モジュールの1つの第一ポートに結合され、各受信集積回路は2つの受信回路を含み、前記2つの受信回路は統合されて前記2つの受信回路が属する独立回路モジュールの1つの第二ポートに結合される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項3】
各受信集積回路は単極双投(SPDT)スイッチを介して統合された2つの受信回路によって構成され、前記SPDTスイッチは2つの出力ポート及びフィルタの出力ポートに結合された1つの入力ポートを有し、各出力ポートは前記2つの受信回路のうちの1つの受信回路の低雑音増幅器(LNA)の入力ポートに結合され、前記フィルタは前記独立回路モジュールの第二ポートに結合された入力ポートを有し、
各送信集積回路は、SPDTスイッチを介して統合された2つの送信回路によって構成され、2つの送信回路は異なる周波数帯域で動作し且つカプラの入力ポートを共有し、前記カプラは前記独立回路モジュールの第一ポートに結合された出力ポートを有する、
ことを特徴とする請求項
2に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項4】
各第一ポートは対応する1つの第一Tポートに結合され、
各第二ポートは対応する1つの第二Tポートに結合される、
ことを特徴とする請求項
2に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項5】
前記無線通信装置の無線周波数回路は、論理的に2つの送信集積回路及び4つの受信集積回路を含み、
前記無線周波数回路は、物理的に3つの独立回路モジュールを含み、
前記3つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュール及び1つの第二独立回路モジュールを含み、
各第一独立回路モジュールは1つの送信集積回路を含み、前記送信集積回路は異なる周波数帯域で動作する2つの送信回路を含み、前記2つの送信回路は統合されて前記2つの送信回路が属する第一独立回路モジュールの1つの第一ポートに結合され、
前記第二独立回路モジュールは4つの受信集積回路を含み、各受信集積回路は2つの受信回路を含み、前記2つの受信回路は統合されて前記第二独立回路モジュールの1つの第二ポートに結合される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項6】
前記無線通信装置の無線周波数回路は、論理的に2つの送信集積回路及び4つの受信集積回路を含み、
前記無線周波数回路は、物理的に3つの独立回路モジュールを含み、
前記3つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュール及び1つの第二独立回路モジュールを含み、
各第一独立回路モジュールは1つの送信集積回路及び1つの受信集積回路を含み、前記送信集積回路は異なる周波数帯域で動作する2つの送信回路を含み、前記2つの送信回路は統合されて前記2つの送信回路が属する前記第一独立回路モジュールの1つの第一ポートに結合され、前記受信集積回路は2つの受信回路を含み、前記2つの受信回路は統合されて前記2つの受信回路が属する前記第一独立回路モジュールの1つの第二ポートに結合され、
前記第二独立回路モジュールは2つの受信集積回路を含み、各受信集積回路は2つの受信回路を含み、前記2つの受信回路は統合されて前記第二独立回路モジュールの1つの第二ポートに結合される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項7】
前記無線通信装置の無線周波数回路は、論理的に2つの送信集積回路及び4つの受信集積回路を含み、
前記無線周波数回路は、物理的に4つの独立回路モジュールを含み、
前記4つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュール及び2つの第二独立回路モジュールを含み、
各第一独立回路モジュールは1つの送信集積回路及び1つの受信集積回路を含み、前記送信集積回路は異なる周波数帯域で動作する2つの送信回路を含み、前記2つの送信回路は統合されて前記2つの送信回路が属する前記第一独立回路モジュールの1つの第一ポートに結合され、前記受信集積回路は2つの受信回路を含み、前記2つの受信回路は統合されて前記2つの受信回路が属する前記第一独立回路モジュールの1つの第二ポートに結合され、
各第二独立回路モジュールは1つの受信集積回路を含み、前記受信集積回路は2つの受信回路を含み、前記2つの受信回路は統合されて前記2つの受信回路が属する前記第二独立回路モジュールの1つの第二ポートに結合される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項8】
前記無線通信装置の無線周波数回路は、論理的に2つの送信集積回路及び4つの受信集積回路を含み、
前記無線周波数回路は、物理的に6つの独立回路モジュールを含み、
前記6つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュール及び4つの第二独立回路モジュールを含み、
各第一独立回路モジュール
は1つの送信集積回路を含み、前記送信集積回路は異なる周波数帯域で動作する2つの送信回路を含み、前記2つの送信回路は統合されて前記2つの送信回路が属する前記第一独立回路モジュールの1つの第一ポートに結合され、
各第二独立回路モジュールは1つの受信集積回路を含み、前記受信集積回路は2つの受信回路を含み、前記2つの受信回路は統合されて前記2つの受信回路が属する前記第二独立回路モジュールの1つの第二ポートに結合される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項9】
前記マルチウェイスイッチは、前記無線周波数回路及び前記アンテナシステムに結合されて前記無線通信装置のプリセット機能を実現し、前記プリセット機能は4つのアンテナによってサウンディングリファレンス信号(SRS)を順番に送信する機能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチウェイスイッチ。
【請求項10】
無線周波数システムであって、
アンテナシステムと、無線周波数回路と、請求項1~
9のいずれか一項に記載のマルチウェイスイッチと、を含む、
ことを特徴とする無線周波数システム。
【請求項11】
無線通信装置であって、
アンテナシステムと、無線周波数トランシーバと、無線周波数トランシーバに結合された無線周波数回路と、請求項1~
9のいずれか一項に記載のマルチウェイスイッチと、を含む、
ことを特徴とする無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術分野に関し、さらに具体的に、マルチウェイスイッチ、無線周波数システム及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどの無線通信装置が広く使用されることに伴って、スマートフォンがサポートすることができるアプリケーションはだんだん多くなり、且つ機能も強力になっている。スマートフォンは、多様化、パーソナライズされた方向に向かって発展し、ユーザーの生活に不可欠な電子製品になっている。第四世代(the 4th Generation,4G)の移動通信システムにおいて、無線通信装置は一般的にシングルアンテナ又は二重アンテナの無線周波数(RF)システムアーキテクチャを採用している。現在、第五世代(the 5th Generation,5G)の移動通信システムの新しいラジオ(New Radio,NR)システムにおいて、4アンテナ無線周波数システムアーキテクチャをサポートする需要が提案されている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態は、マルチウェイスイッチ、無線周波数システム及び無線通信装置を提供する。
【0004】
第一態様において、本発明の実施形態は、マルチウェイスイッチを提供する。マルチウェイスイッチは、6つのTポート及び4つのPポートを含む。6つのTポートは2つの第一Tポートを含み、2つの第一Tポートのそれぞれは4つのPポートに全部結合される。2つの第一Tポートは、送信機能のみをサポートする。
【0005】
マルチウェイスイッチは、デュアル周波数デュアル送信モードで動作可能な無線通信装置の無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されるように構成される。アンテナシステムは、4つのPポートに対応する4つのアンテナを含む。
【0006】
第二態様において、本発明の実施形態は、無線周波数システムを提供する。無線周波数システムは、アンテナシステムと、無線周波数回路と、無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されたマルチウェイスイッチと、を含む。
【0007】
マルチウェイスイッチは、6つのTポート及び4つのPポートを含む。6つのTポートは、送信機能のみをサポートする2つの第一Tポートと、受信機能のみをサポートする4つの第二Tポートを含み、2つの第一Tポートのそれぞれは4つのPポートに全部接続される。アンテナシステムは、4つのPポートに対応する4つのアンテナを含む。
【0008】
マルチウェイスイッチは、4つのアンテナによってSRSを順番に送信するプリセット機能を実現するために用いられる。
【0009】
第三態様において、本発明の実施形態は、無線通信装置を提供する。無線通信装置は、アンテナシステムと、無線周波数トランシーバと、無線周波数トランシーバに結合された無線周波数回路と、無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されたマルチウェイスイッチと、を含む。
【0010】
マルチウェイスイッチは、6つのTポート及び4つのPポートを含む。6つのTポートは2つの第一Tポートを含み、2つの第一Tポートのそれぞれは4つのPポートに全部接続される。2つの第一Tポートは、送信機能のみをサポートする。アンテナシステムは、4つのPポートに対応する4つのアンテナを含む。
【0011】
マルチウェイスイッチは、4つのアンテナによってSRSを順番に送信するプリセット機能を実現するために用いられる。
【0012】
本発明の実施例において、無線通信装置は、アンテナシステムと、無線周波数回路と、マルチウェイスイッチと、を含む。アンテナシステムは、4つのアンテナを含む。マルチウェイスイッチは、6つのTポート及び4つのPポートを含む。マルチウェイスイッチは、無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されて無線通信装置のプリセット機能を実現し、プリセット機能は4つのPポートに対応する4つのアンテナによってSRSを順番に送信する機能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下、本発明の実施形態又は従来の技術の技術方案をより明確に説明するために、本発明の実施形態又は従来の技術の説明に使用される図面について簡単に説明する。明らかに、以下説明される図面は、本発明の一部の実施形態だけのものであり、当業者であれば、これらの図面から創造的な努力なしに他の図面を得ることができる。
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係わるマルチウェイスイッチの構造を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係わる簡略化された4P6Tスイッチの構造を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係わる4P6Tスイッチの構造を示す概略図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の実施形態に係わる4P6Tスイッチに対応する2つの独立回路モジュールの構造を示す概略図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の実施形態に係わる4P6Tスイッチに対応する3つの独立回路モジュールの構造を示す概略図である。
【
図4C】
図4Cは、本発明の実施形態に係わる4P6Tスイッチに対応する別の3つの独立回路モジュールの構造を示す概略図である。
【
図4D】
図4Dは、本発明の実施形態に係わる4P6Tスイッチに対応する4つの独立回路モジュールの構造を示す概略図である。
【
図4E】
図4Eは、本発明の実施形態に係わる4P6Tスイッチに対応する6つの独立回路モジュールの構造を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係わる無線周波数システムの構造を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置のアンテナシステムの構造を示す概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置の別のアンテナシステムの構造を示す概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の別の実施形態に係わる無線周波数システムの構造を示す概略図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置の構造を示す概略図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置のアンテナを再利用するための無線充電受信機を示す概略図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係わる4つのアンテナを含むループアレイアンテナの構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態の技術的方案を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施形態は、本発明の一部の実施形態だけのものであり、全ての実施形態ではない。本明細書に説明される実施形態から創造的な努力なしに当業者が得ることができるすべての別の実施形態は、本発明の範囲に属する。
【0015】
本願の明細書、特許請求の範囲及び図面で使用される用語「第一」、「第二」などは、特定の順序を説明するために用いられなく、異なる対象を区別するために用いられる。用語「備える」、「含む」、「有する」及びそれらの変形は、非排他的包含を網羅することを意図する。例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品、又は装置は、リストされたステップ又はユニットに限定されず、選択的に、リストされていない他のステップ又はユニットを含むことができ、又は、選択的に、これらのプロセス、方法、製品、又はデバイスに固有する他のステップ又はユニットを含むことができる。
【0016】
本明細書で言及される「実施例」又は「実施形態」という用語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が本願の少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の各々の場所に現れるこの用語は、必ず同じ実施形態を指すものではなく、他の実施形態と相互に排他的な独立した又は代替実施形態を指すものでもない。本明細書に記載された実施形態は他の実施形態と組み合わせることができることは、当業者によって明示的及び暗黙的に理解される。
【0017】
本発明の実施形態に係わる無線通信装置は、電子装置、基地局又はサーバーなどを含むことができる。電子装置は、無線通信機能を有する様々なハンドヘルドデバイス、車載デバイス、ウェアラブルデバイス(スマートウォッチ、モバイルパワー、ワイヤレスヘッドセット、スマートブレスレット、スマートイヤリング、脳波取得デバイス、スマート補聴器、スマートリング、スマートネックレス、スマートブレスレット、バーチャルリアリティ(VR)デバイスなど)、ワイヤレス充電レシーバー、コンピューティングデバイス又はワイヤレスモデムに接続された他の処理デバイス、及び様々な形態のユーザ装置(User Equipment,UE)、モバイルステーション(Mobile Station,MS)、端末装置(terminal device)などを含むことができる。便利に説明するために、上記のデバイスを総称して無線通信装置と呼ぶ。
【0018】
現在、携帯電話の4つのアンテナを切り替えてサウンディングリファレンス信号(sounding reference signals、SRS)を送信する機能は、中国移動通信グループ(China Mobile Communications Group Co.,Ltd,CMCC)が「中国移動5G規模試験技術白書-端末」における必須オプションであり、第三世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project,3GPP)ではオプションであり、その主な目的は、基地局が携帯電話の4つのアンテナのアップリンク信号を測定することにより、4つのチャネルの品質とパラメータを確認し、チャネルの相互関係に応じて4つのチャネルに対してダウンリンク大規模多入力多出力(Multiple-Input Multiple-Output,MIMO)アンテナアレイのビームフォーミングを実行して、最後にダウンリンク4×4MIMOが最適なデータ伝送性能を獲得するようにすることである。
【0019】
4つのアンテナでのSRSスイッチングの要件を満たすために、本発明の実施形態は、簡略化された4P6Tアンテナスイッチに基づく無線周波数アーキテクチャを提供する。3P3T/DPDT/マルチウェイ小型スイッチスイッチングスキームと比較すると、本開示のスイッチングスキームは、各経路の直列に接続されたスイッチの数を減らすことができ(全部又は一部のスイッチを4P6Tスイッチに統合する)、リンク損失を減らして、端末装置全体の送信及び受信性能を最適化する。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係わるマルチウェイスイッチ10の構造を示す概略図である。マルチウェイスイッチ10は、6つのTポート及び4つのPポートを含む。6つのTポートは、送信機能のみをサポートする2つの第一Tポートを含み、2つの第一Tポートのそれぞれはすべての4つのPポートに結合される(即ち、全部結合される(fully-coupled))。残りの4つのTポートと4つのPポートは1対1で対応して結合され、従って残りの4つのTポートのうちの任意の2つのTポートは異なるPポートに結合される。マルチウェイスイッチ10は、デュアル周波数デュアル送信モードで動作可能な無線通信装置100に適用可能である。無線通信装置100は、アンテナシステム20及び無線周波数回路30を含む。アンテナシステム20は、4つのアンテナを含む。4つのアンテナは、4つのPポートに対応する。具体的には、4つのアンテナと4つのPポートは1対1で対応される。
【0021】
マルチウェイスイッチ10は、無線周波数回路30及びアンテナシステム20に結合されて、無線通信装置100のプリセット機能を実現するために用いられる。プリセット機能は、4つのアンテナによってSRSを順番に送信する機能であり、4ポートSRS機能であると理解できる。
【0022】
本発明の「Pポート」は、「極ポート(pole port)」の略語であり、マルチウェイスイッチにおけるアンテナに結合されたポートを指す。本発明の「Tポート」は、「スローポート(throw port)」の略語であり、マルチウェイスイッチにおける無線周波数モジュールに結合されたポートを指す。例えば、マルチウェイスイッチは4P6Tスイッチである。本明細書の「モジュール」は、回路及び関連するコンポーネントの任意の組み合わせを指すことができる。
図2に示されたように、4つのPポートは、Pポート1、Pポート2、Pポート3、Pポート4であり、6つのTポートは、Tポート1、Tポート2、Tポート3、Tポート4、Tポート5、Tポート6である。具体的には、
図2に示されたように、Tポート1は第一水平線に沿って右へ延在され且つ実点aで第三垂直線と交差し、実点aを介して、Tポート1は別々にPポート1、Pポート2、Pポート3及びPポート4に結合される。Tポート2は第二水平線に沿って右へ延在され且つ実点bで第二垂直線と交差し、実点bを介して、Tポート2は別々にPポート1、Pポート2、Pポート3及びPポート4に結合される。
【0023】
本発明の実施形態で説明するマルチウェイスイッチのTポートとPポートの間の結合(coupling)、全部結合(fully coupled)、又は他の種類の結合の概念は、Tポートが第一スイッチトランジスタによってPポートに結合されることを指す。1つのTポート又は1つのPポートは、第二スイッチトランジスタの1つのポートであることができる。第一スイッチトランジスタは、TポートとPポートとの間の単方向導通状態(TポートからPポートへの単方向導通状態及びPポートからTポートへの単方向導通状態を含む)を制御するするために用いられる。第一スイッチトランジスタは、例えば、3つの電界効果トランジスタ(例えば、金属酸化物半導体(MOS)トランジスタ)からなるスイッチアレイであることができる。第一スイッチトランジスタが切断され且つ接地されていない場合、寄生パラメータは、導通されている他のポートの性能に影響を与える。従って、第一スイッチトランジスタは3つのMOSトランジスタで構成され、3つのMOSトランジスタは共通のソース(common source)に接続され、つまり共通のソースに結合されることができる。第一スイッチトランジスタが切断されると、両側のMOSトランジスタが切断され、中央の1つのMOSトランジスタが接地される。第二スイッチトランジスタは、対応するポート(Tポート又はPポート)を有効にするために用いられる。第二スイッチトランジスタは、例えば、MOSトランジスタであることができる。ここで、第一スイッチトランジスタ及び第二スイッチトランジスタの具体的な形態は限定されない。1つの実施形態において、無線通信装置100は、第一スイッチトランジスタによって、TポートとPポートとの間の経路の導通を制御することができる。1つの実施形態において、無線通信装置100は、マルチウェイスイッチ10のスイッチトランジスタに結合される専用のコントローラを設置することができる。
【0024】
Tポートに対して、「全部結合(fully coupled)」という概念を定義し、「全部結合」とは、1つのTポートがすべてのPポートに結合されることを意味する。「第一Tポートは全部結合されたポートである」とは、2つの第一Tポートのそれぞれはすべての4つのPポートに結合されることを意味する。
【0025】
次に、4つのPポートに対応する4つのアンテナによってSRSを順番に送信する機能は、無線通信装置はポーリングメカニズムに基づいて基地局と対話して各アンテナに対応するアップリンクチャネルの品質を確定する過程を示す。
【0026】
1. 無線通信装置は、5G NRをサポートする携帯電話又は他の端末装置であることができ、例えば、CPE(Customer Premise Equipment)又はMIFI(Mobile Wifi)である。
【0027】
「デュアル周波数デュアル送信モード」は、無線通信装置がデュアル周波数帯域-2アップリンク(UL)送信経路又はデュアル周波数帯域-4ダウンリンク(DL)受信経路をサポートすることができる動作モードを指す。
【0028】
マルチウェイスイッチ10は、電界効果トランジスタを含む。6つのTポートのうちの2つのTポートは4つのPポートに全部結合され、他の各Tポートは1つのアンテナのみに固定的に結合されて、受信するために用いられるので、4P6Tスイッチの内蔵電界効果トランジスタ(FET)の数量、体積及びコストを削減でき、性能を向上させる。便利に説明するために、4つのPポートに全部結合された第一Tポートの数量をmとして定義する。以下、詳細に説明する。
【0029】
例えば、マルチウェイスイッチは6つのTポートを含み、m=2(つまり、6つのTポートに2つの第一Tポートが含まれる)であると仮定し、マルチウェイスイッチは電界効果トランジスタを含み、6つのTポートのうちの2つの第一Tポートのそれぞれは4つのPポートに全部結合され、4つの第二Tポートのそれぞれは対応する1つのPポートに結合される場合、
図2に示されたマルチウェイスイッチの構造を示す概略図のように、マルチウェイスイッチのMOSトランジスタの数量は、6+(2*4+(6-2)*1)*3+4=46である。
【0030】
4つのPポートに全部結合されるTポートの数量(即ち、全部結合されるTポート)を制限することにより、無線通信装置100の無線周波数システムのスイッチの数量を効果的に減少することができる。全部結合されるTポートの数量は、無線周波数システムの性能に大きな影響を与える。
【0031】
さらに、無線通信装置100は、無線周波数トランシーバをさらに含む。無線周波数トランシーバは、無線周波数回路30に結合される。
【0032】
見て分かるように、本開示の実施形態によれば、無線通信装置100は、アンテナシステム20、無線周波数回路30及びマルチウェイスイッチ10を含む。アンテナシステム20は、4つのアンテナを含む。マルチウェイスイッチ10は、6つのTポート及び4つのPポートを含む。4つのアンテナは4つのPポートに対応する。マルチウェイスイッチ10は、無線周波数回路30及びアンテナシステム20に結合されて無線通信装置100のプリセット機能を実現し、プリセット機能は4つのPポートに対応する4つのアンテナによってSRSを順番に送信する機能である。
【0033】
1つの可能な実施形態において、2つの第一Tポートに加えて、6つのTポートは4つの第二Tポートをさらに含む。4つの第二Tポートのそれぞれは、別々に4つのPポートのうちの対応するPポートに結合される。即ち、4つの第二Tポートと4つのPポートは1対1で対応して結合される。4つの第二Tポートのうちの同じ周波数帯域のTポートは、異なるPポートに結合される。4つのPポートのそれぞれは、4つのアンテナのうちの対応するアンテナに結合される。即ち、1つのPポートは1つのアンテナに結合され、任意の2つのPポートは異なるアンテナに結合される。
図3に示されたように、2つの第一Tポートは送信機能(即ち、信号送信機能)をサポートすることができ、4つの第二Tポートは受信機能(即ち、信号受信機能)のみをサポートすることができる。
【0034】
便利に説明するために、以下の図面では、Nxは1つの周波数帯域を表し、Nyは別の周波数帯域を表す。
【0035】
1つの実施形態において、「4つの第二Tポートにおいて、同じ周波数帯域の任意の2つの第二Tポートは異なるPポートに結合される」という表現は、4つの第二Tポートにおける同じ周波数帯域で動作可能な第二Tポートは異なるPポートに結合されることを意味する。例えば、第二Tポート1が第一周波数帯域で動作し、第二Tポート2も第一周波数帯域で動作する場合、第二Tポート1はPポート1に結合され、第二Tポート2はPポート2に結合され、Pポート1とPポート2は異なる。
【0036】
1つの可能な実施形態において、マルチウェイスイッチ10は電界効果トランジスタを含み、マルチウェイスイッチ10に46個の電界効果トランジスタが設置される。
【0037】
1つの可能な実施形態において、
図4Aに示されたように、無線周波数回路30は、物理的に2つの独立回路モジュールAを含む。無線通信装置100の無線周波数回路30は、論理的に2つの送信集積回路と4つの受信集積回路を含む。無線周波数回路30は、物理的に2つの独立回路モジュールAを含む。2つの独立回路モジュールAは送信ポートを含み、各送信ポートは対応する第一Tポートに結合され、即ち、複数の送信ポートは2つの第一Tポートに1対1で対応して結合される。2つの独立回路モジュールAは受信ポートを含み、各受信ポートは対応する第二Tポートに結合され、即ち、複数の受信ポートは4つの第二Tポートに1対1で対応して結合される。「送信ポート」は、対応する送信機能を実現し、送信回路を統合した後の経路上に位置するポート(1つ以上のコンポーネントから構成されることができる)を指す。「受信ポート」は、対応する受信機能を実現し、受信回路を統合した後の経路上に位置するポート(1つ以上のコンポーネントから構成されることができる)を指す。図面に示されたポート(送信ポート及び受信ポートなど)は例示的なものであり、ポートの正確な位置を示し且つ限定することを意図しないことに留意されたい。
【0038】
1つの実施形態において、各独立回路モジュールAは、1つの送信集積回路及び2つの受信集積回路を含む。送信集積回路は異なる周波数帯域で動作する2つの送信回路を含み、2つの送信回路は統合されて対応する独立回路モジュールAの1つの第一ポートに結合される。対応する独立回路モジュールAは、2つの送信回路が属する独立回路モジュールを指す。各受信集積回路は2つの受信回路を含み、2つの受信回路は統合されて2つの受信回路が属する独立回路モジュールAの1つの第二ポートに結合される。
【0039】
これらの第一ポートは、2つの第一Tポートに1対1で対応して結合される。これらの第二ポートは、4つの第二Tポートに1対1で対応して結合される。換言すると、各第一ポートは対応する1つの第一Tポートに結合され、各第二ポートは対応する1つの第二Tポートに結合される。
【0040】
本実施形態において、同じ周波数帯域の2つのパワーアンプ(PA)は同時に動作することができるので(UL MIMOモードに対応する)、送信電力が高くなり、2つの信号が互いに干渉する。さらに、2つのPAが同時に動作すると、放熱効率を影響する。従って、送信回路のPAを2つの独立回路モジュールに配置することを必要とする。異なる周波数帯域の送信回路のPAは同時に動作しないので、異なる周波数帯域の2つのPAを同じ独立回路モジュールに配置することができる。これは、干渉を減らし、無線周波数システムの信号処理効率と放熱効率を向上させることに役立つ。
【0041】
別の可能な実施形態において、
図4Bに示されたように、無線通信装置100の無線周波数回路30は、論理的に2つの送信集積回路及び4つの受信集積回路を含む。無線周波数回路30は、物理的に3つの独立回路モジュールを含む。3つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュール及び1つの第二独立回路モジュールを含む。本実施形態において、第一独立回路モジュールは独立回路モジュールBとして具現され、第二独立回路モジュールは独立回路モジュールCとして具現される。各独立回路モジュールBは、1つの送信集積回路を含む。送信集積回路は異なる周波数帯域で動作する2つの送信回路を含み、2つの送信回路は統合されて2つの送信回路が属する独立回路モジュールBの1つの第一ポートに結合される。独立回路モジュールCは4つの受信集積回路を含む。各受信集積回路は2つの受信回路を含み、2つの受信回路は統合されて独立回路モジュールCの1つの第二ポートに結合される。
【0042】
1つの可能な実施形態において、
図4Cに示されたように、無線通信装置100の無線周波数回路30は、論理的に2つの送信集積回路及び4つの受信集積回路を含む。無線周波数回路30は、物理的に3つの独立回路モジュールを含む。3つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュール及び1つの第二独立回路モジュールを含む。本実施形態において、第一独立回路モジュールは独立回路モジュールDとして具現され、第二独立回路モジュールは独立回路モジュールEとして具現される。各独立回路モジュールDは、1つの送信集積回路及び1つの受信集積回路を含む。送信集積回路は異なる周波数帯域で動作する2つの送信回路を含み、2つの送信回路は統合されて2つの送信回路が属する独立回路モジュールDの1つの第一ポートに結合される。受信集積回路は2つの受信回路を含み、2つの受信回路は統合されて2つの受信回路が属する独立回路モジュールDの1つの第二ポートに結合される。独立回路モジュールEは2つの受信集積回路を含む。各受信集積回路は2つの受信回路を含み、2つの受信回路は統合されて独立回路モジュールEの1つの第二ポートに結合される。
【0043】
1つの可能な実施形態において、
図4Dに示されたように、無線通信装置100の無線周波数回路30は、論理的に2つの送信集積回路及び4つの受信集積回路を含む。無線周波数回路30は、物理的に4つの独立回路モジュールを含む。4つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュール及び2つの第二独立回路モジュールを含む。本実施形態において、第一独立回路モジュールは独立回路モジュールFとして具現され、第二独立回路モジュールは独立回路モジュールGとして具現される。各独立回路モジュールFは1つの送信集積回路及び1つの受信集積回路を含む。送信集積回路は、異なる周波数帯域で動作する2つの送信回路を含み、2つの送信回路は統合されて2つの送信回路が属する独立回路モジュールFの1つの第一ポートに結合される。受信集積回路は2つの受信回路を含み、2つの受信回路は統合されて2つの受信回路が属する独立回路モジュールFの1つの第二ポートに結合される。各独立回路モジュールGは1つの受信集積回路を含む。受信集積回路は2つの受信回路を含み、2つの受信回路は統合されて2つの受信回路が属する独立回路モジュールGの1つの第二ポートに結合される。
【0044】
1つの可能な実施形態において、
図4Eに示されたように、無線通信装置100の無線周波数回路30は、論理的に2つの送信集積回路及び4つの受信集積回路を含む。無線周波数回路30は、物理的に6つの独立回路モジュールを含む。6つの独立回路モジュールは、2つの第一独立回路モジュール及び4つの第二独立回路モジュールを含む。本実施形態において、第一独立回路モジュールは独立回路モジュールHとして具現され、第二独立回路モジュールは独立回路モジュールIとして具現される。各独立回路モジュールHは、1つの送信集積回路を含む。送信集積回路は、異なる周波数帯域で動作する2つの送信回路を含み、2つの送信回路は統合されて2つの送信回路が属する独立回路モジュールHの1つの第一ポートに結合される。各独立回路モジュールIは、1つの受信集積回路を含む。受信集積回路は2つの受信回路を含み、2つの受信回路は統合されて2つの受信回路が属する独立回路モジュールIの1つの第二ポートに結合される。
【0045】
送信回路及び受信回路の具体的な構成、マルチウェイスイッチ10に関連する用語の定義は、前述の実施形態と同様であるので、ここでは再び説明しない。さらに、無線周波数回路30とマルチウェイスイッチ10の整合形態は図面の構造を含むが、これに限定されなく、これはただ例示であることを理解されるべきである。
【0046】
マルチウェイスイッチ10が4P6Tスイッチであり、m=2である場合(即ち、マルチウェイスイッチ10は2つの第一Tポートを含む)、本実施形態のマルチウェイスイッチ10は、無線通信装置100がデュアル周波数デュアル送信モードで動作できるようにすることができ、5G NRで4ポートSRSスイッチングをサポートする端末のRFアーキテクチャを簡素化し、送信経路と受信経路のスイッチの数量を減少し、経路損失を減らすことに役立ち、従って送信電力/感度を向上させ、5G NRのデータ伝送速度を改善し、携帯電話のアップリンク及びダウンリンクのカバレッジを改善し、消費電力を削減する。
【0047】
上述した受信回路及び送信回路は、様々な方法で実現できることを理解できる。本発明の実施形態は特に限定しない。
【0048】
1つの可能な実施形態において、各受信回路は、1つの低雑音増幅器(LNA)及び1つのフィルタを含む。フィルタは、独立回路モジュールの1つの第二ポートに結合された入力ポートと、LNAの入力ポートに結合された出力ポートと、を有する。LNAは、無線周波数トランシーバの対応するポートに結合された出力ポートを有する。
【0049】
各送信回路は、1つのパワーアンプ(PA)、1つのフィルタ及び1つのカプラを含む。PAは、無線周波数トランシーバの対応するポートに結合された入力ポートと、フィルタの入力ポートに結合された出力ポートと、を有する。フィルタは、カプラの入力ポートに結合された出力ポートを有する。カプラは、独立回路モジュールの1つの第一ポートに結合された出力ポートを有する。
【0050】
各受信集積回路は、単極双投(SPDT)スイッチを介して統合された2つの受信回路によって構成される。SPDTスイッチは2つの出力ポート及びフィルタの出力ポートに結合された1つの入力ポートを有し、各出力ポートは2つの受信回路のうちの1つの受信回路のLNAの入力ポートに結合され、フィルタは独立回路モジュールの第二ポートに結合された入力ポートを有する。
【0051】
各送信集積回路は、スイッチを介して統合された2つの送信回路によって構成される。2つの送信回路は異なる周波数帯域で動作し、カプラの入力ポートを共有し、カプラの出力ポートは独立回路モジュールの第一ポートに結合される。
【0052】
上述した実施形態において、Nxは5G NRの無線通信装置がサポートする第一周波数帯域を表し、Nyは5G NRの無線通信装置がサポートする第二周波数帯域を表し、第一周波数帯域と第二周波数帯域は重複しない。
【0053】
図5に示されたように、無線周波数システムが提供される。無線周波数システムは、
図4Aに示された2つの独立回路モジュール、無線周波数トランシーバ及び上記の実施形態で説明したマルチウェイスイッチを含む。無線周波数トランシーバはオプションであることに注意されたい。
【0054】
図5を参照すると、TXは信号送信機能をサポートするポートを表し、RXは信号受信機能をサポートするポートを表す。
【0055】
上述した無線周波数回路とマルチウェイスイッチの整合形態は図面の構造を含むが、これに限定されなく、これはただ例示であることを理解されるべきである。
【0056】
1つの可能な実施形態において、4つのアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含む。これらの4つのアンテナは、すべて5G NR周波数帯域で使用することができる。
【0057】
5G NR周波数帯域は、例えば、3.3GHz~3.8GHz及び4.4GHz~5GHzを含むことができる。
【0058】
1つの可能な実施形態において、4つのアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含む。第一アンテナと第四アンテナは、長期進化(Long Term Evolution,LTE)周波数帯域と5G NR周波数帯域で作動可能なアンテナである。第二アンテナ及び第三アンテナは、5G NR周波数帯域のみで作動可能なアンテナである。
【0059】
第一アンテナ及び第四アンテナは、LTE端末上の一部の周波数帯域でDL 4×4 MIMOをサポートすることを目的とする。この2つのアンテナは5G NRと共有される(以下、「共有アンテナ」と呼ぶ)。LTE周波数帯域は、例えば、1880MHz~1920MHz及び2496MHz~2690MHzを含むことができる。
【0060】
1つの可能な実施形態において、
図6に示されたように、アンテナシステムは、第一コンバイナ及び第二コンバイナをさらに含む。第一コンバイナは、第一アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第一受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。第二コンバイナは、第四アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。
【0061】
LTE 4×4 MIMOはダウンリンクLTE受信回路であり、第三受信経路として定義することができる。LTEには、現在2つの受信経路があるので、LTE 4×4 MIMOをサポートするために、第三受信経路と第四受信経路が追加される。
【0062】
m個のポートのみが送信に使用される場合、無線通信装置は、4つのNRアンテナの性能に応じて、回路のPRX(プライマリレシーバー(primary receiver))に良い性能を有するアンテナを配置し、アンテナはスタンバイ状態になる。送信機能と受信機能の両方を有するスイッチのm個のポートをTX(送信)とPRXとして使用することができ、アンテナを任意に切り替えることができ、共有アンテナのポート間の結合を制限することを必要としない。
【0063】
1つの可能な実施形態において、
図7に示されたように、アンテナシステムは、第一SPDTスイッチ及び第二SPDTスイッチをさらに含む。第一SPDTスイッチは、第一アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第一受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。第二SPDTスイッチは、第四アンテナに結合するために用いられる第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合するために用いられる第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合するために用いられる第三ポートと、を含む。
【0064】
本発明の方案は、互いに組み合わせるか、又は置き換えることができる。例えば、上記のアンテナシステム及び/又はマルチウェイスイッチは、以下の無線周波数システム及び無線通信装置に使用するか又は組み合わせることができる。なお、本発明の「アンテナシステム及び/又はマルチウェイスイッチ」は、「アンテナシステム又はマルチウェイスイッチ」、又は「アンテナシステム及びマルチウェイスイッチ」を意味する。
【0065】
上述の実施形態に係わるマルチウェイスイッチの技術的特徴の詳細な説明の一部又は全部は、無線周波数システムに使用するか又は組み込むことができることに留意されたい。無線周波数システムは、アンテナシステム及び無線周波数回路をさらに含み、マルチウェイスイッチは無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されることができる。
【0066】
1つの可能な実施形態において、
図8は、本発明の別の実施形態に係わる無線周波数システムの構造を示す概略図である。無線周波数システムは、アンテナシステムと、無線周波数回路と、無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されたマルチウェイスイッチと、を含む。マルチウェイスイッチは、6つのTポート及び4つのPポートを含む。6つのTポートは、送信機能のみをサポートする2つの第一Tポートと、受信機能のみをサポートする4つの第二Tポートを含む。2つの第一Tポートのそれぞれは4つのPポートに全部結合される。マルチウェイスイッチは、46個の電界効果トランジスタを含む。アンテナシステムは、4つのPポートに対応する4つのアンテナを含む。マルチウェイスイッチは、4つのアンテナによってSRSを順番に送信するプリセット機能を実現するために用いられる。
【0067】
1つの実施形態において、4つの第二Tポートのそれぞれは4つのPポートのうちの1つのPポートに結合され、4つの第二Tポートのうちの同じ周波数帯域のTポートは異なるPポートに結合される。4つのPポートのそれぞれは、4つのアンテナのうちの対応するアンテナに結合される。具体的には、
図1~2に示されたように、4つの第二Tポートと4つのPポートは1対1で対応して結合される。4つのPポートと4つのアンテナは1対1で対応して結合される。
【0068】
1つの実施形態において、4つのアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含む。第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナは、5G NR周波数帯域で動作可能なアンテナである。
【0069】
1つの実施形態において、4つのアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含む。第一アンテナと第四アンテナは、LTE周波数帯域及び5G NR周波数帯域で動作可能なアンテナである。第二アンテナ及び第三アンテナは、5G NR周波数帯域のみで動作可能なアンテナである。
【0070】
第一アンテナ及び第四アンテナは、LTE端末上の一部の周波数帯域でDL 4×4 MIMOをサポートすることを目的とする。この2つのアンテナは5G NRと共有される。
【0071】
1つの可能な実施形態において、アンテナシステムは、第一コンバイナ及び第二コンバイナをさらに含む。第一コンバイナは、第一アンテナに結合された第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 多入力多出力(MIMO)の第一受信経路に結合された第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含む。第二コンバイナは、第四アンテナに結合された第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合された第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含む。
【0072】
LTE 4×4 MIMOはダウンリンクLTE受信回路であり、第三受信経路として定義することができる。LTEには、現在2つの受信経路があるので、LTE 4×4 MIMOをサポートするために、第三受信経路と第四受信経路が追加される。
【0073】
m個のポートが送信に使用される場合、無線通信装置は、4つのNRアンテナの性能に応じて、回路のPRX(プライマリレシーバー(primary receiver))に良い性能を有するアンテナを配置し、アンテナはスタンバイ状態になる。送信機能と受信機能の両方を有するスイッチのm個のポートをTX(送信)とPRXとして使用することができ、アンテナを任意に切り替えることができ、共有アンテナのポート間の結合を制限することを必要としない。
【0074】
1つの可能な実施形態において、アンテナシステムは、第一SPDTスイッチ及び第二SPDTスイッチをさらに含む。第一SPDTスイッチは、第一アンテナに結合された第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第一受信経路に結合された第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含む。第二SPDTスイッチは、第四アンテナに結合された第一ポートと、無線周波数システムのLTE 4×4 MIMOの第二受信経路に結合された第二ポートと、マルチウェイスイッチの対応するPポートに結合された第三ポートと、を含む。
【0075】
1つの可能な実施形態において、
図9は、本発明の実施形態に係わる無線通信装置の構造を示す概略図である。無線通信装置は、例えば、端末装置、基地局などであることができ、アンテナシステムと、無線周波数トランシーバと、無線周波数トランシーバに結合された無線周波数回路と、無線周波数回路及びアンテナシステムに結合されたマルチウェイスイッチと、を含む。
【0076】
マルチウェイスイッチは、6つのTポート及び4つのPポートを含む。6つのTポートは2つの第一Tポートを含み、2つの第一Tポートのそれぞれは4つのPポートに全部結合される。2つの第一Tポートは、送信機能のみをサポートする。アンテナシステムは、4つのPポートに対応する4つのアンテナを含む。
【0077】
マルチウェイスイッチは、4つのアンテナによってSRSを順番に送信するプリセット機能を実現するために用いられる。
【0078】
6つのTポートは、4つの第二Tポートをさらに含む。4つの第二Tポートのそれぞれは4つのPポートのうちの1つのPポートに結合され、4つの第二Tポートのうちの同じ周波数帯域のTポートは異なるPポートに結合される。4つのPポートのそれぞれは、4つのアンテナのうちの対応するアンテナに結合される。4つの第二Tポートは、受信機能のみをサポートする。
【0079】
4つのアンテナは、第一アンテナ、第二アンテナ、第三アンテナ及び第四アンテナを含む。第一アンテナと第四アンテナは、LTE周波数帯域及び5G NR周波数帯域で動作可能なアンテナである。第二アンテナ及び第三アンテナは、5G NR周波数帯域のみで動作可能なアンテナである。
【0080】
さらに、
図10に示されるように、本発明の実施形態で説明されるアンテナシステムの4つのアンテナは、無線通信装置の無線充電受信機(wireless charging receiver)によって再利用することもできる。無線充電受信機は、受信アンテナ及び受信制御回路を含む。受信アンテナは、無線充電送信機(wireless charging transmitter)の送信アンテナと一致する(周波数が同じ又は類似している場合に共振し、放射性共振磁気結合方式でエネルギーを無線伝送方式で伝送する)。受信制御回路は、ループアレイアンテナによってエネルギーを直流(DC)に変換してから出力して、バッテリーを充電する。受信制御回路は、ループアレイアンテナの周波数を動的に調整することにより、ループアレイアンテナの周波数を無線充電送信機の送信アンテナの周波数と一致させて、ペアリングされた充電を達成することができる。あるいは、受信制御回路は、リアルタイムで無線充電送信機と周波数変更範囲について対話して、「排他的な暗号化」無線充電モードを実現することができる。
【0081】
受信アンテナは、4つのアンテナのうちの少なくとも1つのアンテナからなるアンテナであることができる(複数のアンテナの場合、複数のアンテナはスイッチによってストローブされる)。
【0082】
例えば、
図11に示されたように、受信アンテナは、上述した4つのアンテナを含むループアレイアンテナである。4つのアンテナは、アンテナ1、アンテナ2、アンテナ3及びアンテナ4を含む。アンテナ1及びアンテナ4は、LTE周波数帯域と5G NR周波数帯域の両方で動作可能であるが、アンテナ2及びアンテナ3は、5G NR周波数帯域のみで動作可能である。アンテナ1のポートとアンテナ4のポートは、ループアレイアンテナのポートとして使用される。隣接するアンテナの間は、絶縁機能を有するゲート回路170によって結合される。ゲート回路170は、スペーサー171及びスイッチ172を含み、スペーサー171は導体であり、スイッチ172はさらにコントローラーに結合される。無線通信装置は、無線充電モードで各ゲート回路170のスイッチ172を導通させて、エネルギーを受信するループアレイアンテナを形成することができる。アンテナの間にスペーサ171を追加することにより、ゲート回路170は、通常の通信モードにおける無線通信装置の複数のアンテナの間の相互結合を低減し、複数のアンテナ間の分離を改善し、アンテナの性能を最適化する一方、スイッチ171によって複数のアンテナを直列に結合してループアレイアンテナを形成することにより、送信アンテナとの一致性を高めてエネルギーを伝送することができる。アンテナ1及びアンテナ4の能力はアンテナ2及びアンテナ3の能力よりも強いので、このように配置されたループアレイアンテナは、エネルギー伝送損失を極力低減することができる。具体的には、
図11に示されたように、アンテナ1とアンテナ4は隣接しないように配置される。アンテナ1とアンテナ4を隣接して配置する場合と比較して、アンテナ1とアンテナ4を隣接しないように配置する場合、以下の利点がある。アンテナ1とアンテナ4を隣接して配置すると、アンテナ1とアンテナ4の両方がLTE周波数帯域と5G NR周波数帯域の両方で動作可能であるので、アンテナ1とアンテナ4の間の周波数のオーバーラップが大きくなり、従ってアンテナ1とアンテナ4の間の相互結合が増加し、アンテナ1のインピーダンスとアンテナ4のインピーダンスを一致させることがさらに困難になり、送信過程のエネルギー損失が増加する。また、アンテナ1とアンテナ4を隣接して配置する場合の影響は、アンテナ2とアンテナ3を隣接して配置する場合の影響より大きく、アンテナ1とアンテナ4を隣接しないように配置する場合の利点は、アンテナ2とアンテナ3を隣接しないように配置する場合の利点より大きい。そのため、
図11に示されたように配置すると、アンテナ1及びアンテナ4はアンテナ2及びアンテナ3よりさらに強い能力(エネルギー伝送効率)を有し、伝送性能を向上させる。