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特許7266079スリーブに係合部を備える再搭載可能な止血クリップ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】スリーブに係合部を備える再搭載可能な止血クリップ装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/128 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
A61B17/128 100
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021168252
(22)【出願日】2021-10-13
(62)【分割の表示】P 2018567733の分割
【原出願日】2017-08-17
(65)【公開番号】P2022009104
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】62/378,100
(32)【優先日】2016-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500332814
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ランダワ、ニシャント
(72)【発明者】
【氏名】シン、スクビンダー
(72)【発明者】
【氏名】モリー、スボード
(72)【発明者】
【氏名】リベラ、フェデリコ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0304095(US,A1)
【文献】特開2013-063107(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0107809(US,A1)
【文献】特開2015-149997(JP,A)
【文献】特開2015-043858(JP,A)
【文献】特開2012-065835(JP,A)
【文献】特開2011-206488(JP,A)
【文献】特開2009-268637(JP,A)
【文献】特開2009-125547(JP,A)
【文献】特開2009-011769(JP,A)
【文献】特表2009-538699(JP,A)
【文献】国際公開第2006/062019(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のクリップアームを含むクリップアセンブリであって、各クリップアームは、の近位端から遠位端まで延び、クリップアームの近位端は、カプセルのチャンネル内に摺動可能に受け入れられるヨークを介して互いに連結され、かつ両クリップアームの遠位端が互いに離間する組織受け入れ姿勢と、クリップアームの遠位端が互いに接近する組織クリップ姿勢との間でクリップアームを移動させる、前記クリップアセンブリと、
内部に溝を含むカートリッジであって、前記溝は、前記クリップアセンブリを収容する寸法及び形状を有しており、前記カートリッジは、前記溝に連通する前記カートリッジの外部に開口する近位開口部を備える、前記カートリッジと、
一対の新たなクリップアームを含む、新たなクリップアセンブリであって、各新たなクリップアームは、の近位端から遠位端まで延び、新たなクリップアームの近位端は、前記新たなクリップアセンブリの新たなカプセルのチャンネル内に摺動可能に受け入れられる新たなヨークを介して互いに連結されて新たなクリップアームの遠位端が互いに離間する組織受け入れ姿勢と、新たなクリップアームの遠位端が接近する組織クリップ姿勢との間で移動させる、前記新たなクリップアセンブリと、
内部に新たな溝を備える新たなカートリッジであって、前記新たな溝は、前記新たなクリップアセンブリを収容する寸法及び形状を有し、前記新たなカートリッジは、前記新たな溝に連通する前記新たなカートリッジの外部に開口する近位開口部を備える、前記新たなカートリッジと、
前記カートリッジの前記近位開口部を介して挿入可能な遠位部を有するアプリケータであって、前記アプリケータは、前記ヨークのソケット内に着脱自在に受け入れられる寸法及び形状を有する拡大遠位端と、ロックスリーブとを有する制御部材を備え、前記ロックスリーブは、前記ロックスリーブの長手方向軸に向かって前記ロックスリーブのルーメン内に偏倚可能なロックスリーブのロック要素を介して前記カプセルの近位端に取り付け可能であり、前記ロックスリーブのロック要素は、前記カプセルの前記チャンネル内に突出するカプセルのロック要素に係合するように構成されており、前記ロックスリーブは、前記クリップアセンブリが前記アプリケータから配備されたとき、前記制御部材の拡大遠位端に係合される離脱要素をさらに備えるため、前記ロックスリーブのロック要素は、径方向内方に偏倚されて前記カプセルのロック要素から離脱されて前記クリップアセンブリを前記アプリケータから分離し、前記アプリケータは、アプリケータが前記クリップアセンブリから離脱されたあと、前記アプリケータの遠位部分が前記新たなカートリッジの前記近位開口部内を経て挿入されて前記新たなクリップアセンブリに着脱自在に連結されて、前記制御部材の拡大遠位端は、前記新たなヨークのソケット内に着脱自在に受け入れられ、前記ロックスリーブは、前記新たなカプセルの近位端に連結され、前記ロックスリーブのロック要素は、前記新たなカプセルのロック要素に係合される、前記アプリケータと、
からなる再搭載可能なクリップ装置。
【請求項2】
前記ロックスリーブのロック要素は、前記ロックスリーブの本体から遠位方向に延びるロックスリーブタブ上に形成されており、前記ロックスリーブタブは、前記制御部材の拡大遠位端が前記カプセル内に挿入されたとき、前記カプセル内に受け入れられて、前記カプセルのロック要素の内面に対して径方向に係合する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ロックスリーブのロック要素は、前記ロックスリーブタブの遠位部分を貫通して延びるウインドウとして形成され、前記ウインドウは、前記制御部材の拡大遠位端が前記ヨーク内に受け入れられた時、前記カプセルのロック要素が前記ウインドウ内を通過して径方向内方に延びるように配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記離脱要素は、前記ロックスリーブタブの内面から前記ロックスリーブの前記ルーメン内に径方向に延びる突起として形成される、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記突起は、前記制御部材の前記拡大遠位端が前記ヨークから近位方向に引き抜かれた後、前記拡大遠位端が前記突起を近位方向に押して、ウインドウが前記カプセルのロック要素から離脱されるように、前記ロックスリーブタブを径方向内方に偏倚させる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記カプセルのロック要素は、前記カプセルの近位端において、偏倚可能なカプセルタブを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記カプセルのロック要素は、前記カプセルタブに湾曲を備え、前記湾曲は、前記拡大遠位端が前記ヨーク内に受け入れられた時、前記湾曲が前記ウインドウ内に受け入れられて前記ロックスリーブを前記カプセルに係合させる寸法及び配置に形成される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記カプセルタブは、外力が付与されていないとき、前記カプセルタブの前記湾曲が前記ウインドウ内に押されるように径方向内方に延びている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記カプセルタブは、前記ロックスリーブタブの遠位端が前記カプセルタブの前記近位端に係合したとき、前記カプセルタブの前記湾曲が前記ウインドウに達するまで、前記カプセルタブが径方向外方に偏倚して、前記ロックスリーブタブの外面に沿って摺動するように、傾斜した近位端を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記クリップアームの近位端は、前記ヨークを介して互いに連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ヨークは、前記拡大遠位端によって付与される力が所定の閾値を超えたとき、変形される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記クリップアームは、前記組織受け入れ姿勢に向かって付勢されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップシステムに関し、より詳細には、再搭載可能な内視鏡クリップシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸管(GI)系、胆道系、血管系などの体管腔及び中空器官の病気は、内視鏡技術を用いて治療されることが多く、その多くは、内部の出血を制御する為に止血が必要である。止血クリップは、傷周囲の組織を掴持して一時的に傷の両端部を固定して自然治癒を経て傷が永久的に閉鎖することを可能にする。専用の内視鏡クリップ装置を用いて体内の所望の部位にクリップを搬送した後、クリップ搬送装置は回収されて、クリップは体内に留置される。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、クリップアセンブリとアプリケータとからなる組織を治療する為のシステムに関する。クリップアセンブリは、一対のクリップアームを備え、クリップアームの各アームは近位端から遠位端に延び、各クリップアームの近位端は、カプセルのチャネル内に摺動可能に受承されて、クリップアームの遠位端が互いから離間した組織受け入れ姿勢とクリップアームの遠位端が互いの方に近づいた組織クリップ姿勢との間で移動する。アプリケータは、クリップアセンブリに対して離脱可能に連結することができ、クリップアセンブリを組織受け入れ姿勢と組織クリップ姿勢との間で移動する。アプリケータは、クリップアームの近位端に連結し得る制御部材と、ロックスリーブの長さに沿って自由遠位端からロックスリーブのその他の部分に連結された近位端までロックスリーブのその他の部分に対して偏向可能に形成された偏向可能タブを介してカプセルの近位端に連結し得るロックスリーブと、を備える。偏向可能タブは、カプセルの近位端で対応係合構造に係合する係合構造と係合構造の近位に離脱構造とを備え、離脱構造は、制御部材の一部に係合して、偏向可能部材を偏向させてカプセルの対応係合構造からロックスリーブの係合構造を離脱させることができる。
【0004】
実施形態では、ロックスリーブの係合構造は、偏向可能タブの遠位端に沿って存在する第1湾曲部であり、カプセルの対応係合構造は、カプセルを貫通してその側面に沿って延びるウインドウであり、ウインドウは、第1湾曲部を受承することのできる寸法と形状に形成されている。
【0005】
実施形態では、第1湾曲部は、ロックスリーブの長軸のチャネルの中に内方に延びる為、ロックスリーブをカプセルの近位端に配置することができ、且つ偏向可能タブをロックスリーブのチャネルの長軸から離間する方向に偏向させることができる。
【0006】
実施形態では、離脱構造は、ロックスリーブのチャネルの中に延びる第2湾曲部である。
実施形態では、制御部材は、拡大遠位端から近位端まで長軸方向に延びる本体を備える。
【0007】
実施形態では、クリップアームの近位端は、制御部材の本体の拡大遠位端を離脱可能に受承することのできる寸法と形状に形成されたソケットを備えたヨークを介して連結することができる。
【0008】
実施形態では、ヨークは、拡大遠位端によって付与される力が所定の閾値を超えた時に変形するように構成することができる。
実施形態では、制御部材は、本体の一部の上に摺動可能に配置された停止ワッシャーを備え、停止ワッシャーは、偏向可能部材を偏向する為に離脱構造に接することのできる表面を備える。
【0009】
実施形態では、ロックスリーブがカプセルのチャネル内部に受承されて偏向可能タブはロックスリーブの長軸に向かって偏向されるように、ロックスリーブの係合構造は偏向可能タブを貫通してその側面に沿って延びるウインドウであり、カプセルの対応係合構造は外方にカプセルの長軸から離間して延びる湾曲部である。
【0010】
実施形態では、離脱構造は、ロックスリーブの長軸方向のチャネルの中に内方に延びる突起であり、制御タブの一部が突起に係合した際には、偏向可能タブは、ロックスリーブの長軸に向かって偏向する
実施形態では、離脱構造は、偏向可能タブの内表面からロックスリーブのチャネルを横断して延びる要素であり、制御部材の一部が、離脱構造に係合した場合には、偏向可能タブは、ロックスリーブの長軸に向かって偏向する。
【0011】
実施形態では、アプリケータは、係合構造の近位に偏向可能タブの一部の周囲に延びる外側スリーブをさらに備え、外側スリーブは、偏向可能タブの上で変形してカプセルからロックスリーブを離脱させることができる。
【0012】
実施形態では、クリップアームは、組織受け入れ姿勢に付勢し得る。
実施形態では、カプセルは、クリップアームを組織クリップ姿勢にロックする為に、クリップアームの少なくとも1つのアームの近位端でロックタブに係合することのできるカプセルの壁を貫通して延びるロックウインドウを備えることができる。
【0013】
本発明は、クリップアセンブリとカートリッジとアプリケータとからなる再搭載可能なクリップ装置にも関する。クリップアセンブリは、一対のクリップアームを備え、各クリップアームは近位端から遠位端まで延び、各クリップアームの近位端は、各クリップアームの遠位端が互いに離間した組織受け入れ姿勢と各クリップアームの遠位端が互いの方に近づいた組織クリップ姿勢との間でクリップアームを移動する為に、カプセルのチャネルの内部に摺動可能に受承されるヨークを介して互いに連結される。カートリッジは、内部に溝を備え、溝は、クリップアセンブリを収容する為の寸法と形状に形成され、カートリッジは、カートリッジの外側に開放し且つ溝に連通する近位開口部を備える。アプリケータは、クリップアセンブリに離脱可能に連結する為にカートリッジの開口部を貫通して挿入される遠位部を有し、アプリケータは、ヨークのソケット内部に離脱可能に受承され得る寸法と形状に形成された拡大遠位端を有する制御部材と、偏向可能タブを介してカプセルの近端に連結されるロックスリーブとを備え、偏向可能タブは、ロックスリーブの長軸から離間する方向に偏向可能なようにその長さに沿って自由遠位端からロックスリーブのその他の部分に連結された近位端まで形成されていることと、偏向可能タブは、カプセルの近位端を貫通してその側面に沿って延びるウインドウに係合する為のロックスリーブのチャネルの中に延びる遠位湾曲部と、遠位湾曲部の近位に近位湾曲部とを備え、近位湾曲部は、ロックスリーブのチャネルの中に延びる為、近位湾曲部が制御部材の一部に係合した際には、偏向可能部材は、ロックスリーブの長軸から離間する方向に偏向させられてクリップアセンブリからアプリケータを離脱する。
【0014】
本発明は、ヨークのソケットの内部に制御部材の拡大遠位端を押し込むことによってアプリケータの制御部材をヨークに連結することと、ロックスリーブをカプセルの近位端に沿って遠位方向に押し込むことにより第1クリップアセンブリのカプセルにアプリケータのスリーブを連結することによって、第1クリップアセンブリをアプリケータに搭載する工程と、カプセルの表面に沿って、偏向可能タブの係合構造がカプセルの対応係合構造に係合するまで進行するように偏向可能タブの係合構造が偏向することと、内視鏡の作業チャネルを介して生体内の標的部位に搭載されたクリップアセンブリを挿入する工程と、間に標的組織が把持できるまでロックスリーブに対して長軸方向に制御部材を移動することにより第1クリップアセンブリをクリップアームの遠位端が互いから離間した組織受け入れ姿勢とクリップアームの遠位端が互いの方に近づいた組織クリップ姿勢との間で移動する工程と、所定の閾値を超えてヨークに対して制御部材を近位方向に引っ張ることによって第1クリップアセンブリをアプリケータから離脱させる工程と、からなる組織を治療するための方法にも関し、制御部材がヨークから離脱して制御部材の一部が偏向可能タブの係合構造の近位に配置した離脱構造に係合し、制御部材の一部と離脱構造とが係合することによって偏向可能タブが偏向されてロックスリーブの係合構造をカプセルの対応係合要素から離脱させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の例示の実施形態に係るシステムを非組み立て姿勢で示す斜視図。
図2図1のシステムを非組み立て姿勢で示す縦断面図。
図3図1のシステムを組み立て姿勢で示す縦断面図。
図4図1のシステムのカートリッジとクリップアセンブリを示す拡大斜視図。
図5図1のシステムを組織クリップ姿勢で示す縦断面図。
図6図1のシステムに係るヨークの縦断面を示す図。
図7図1のシステムに係る制御部材の遠位部を示す縦断面図。
図8図1のシステムに係る停止ワッシャーを示す斜視図。
図9図1のシステムに係るロックスリーブを示す斜視図。
図10図1のシステムに係る互いに連結されたクリップアセンブリとアプリケータとを示す縦断面図。
図11図1のシステムに係る互いに連結されたクリップアセンブリとアプリケータとを示す縦断面図。
図12図1のシステムに係るアプリケータから離脱されたクリップを示す縦断面図。
図13】本発明の別の例示的実施形態に係るシステムのクリップアセンブリとアプリケータとを非連結姿勢で示す斜視図。
図14図13のシステムのクリップアセンブリとアプリケータとを非連結姿勢で示す縦断面図。
図15図13のシステムのクリップアセンブリとアプリケータとを連結姿勢で示す斜視図。
図16図13のシステムのクリップアセンブリとアプリケータとを連結姿勢で示す縦断面図。
図17】本発明の代替的な実施形態に係るシステムを示す縦側面図。
図18図17のシステムを示す別の縦側面図。
図19】本発明の別の例示的な実施形態に係るシステムを示す断面斜視図。
図20図19のシステムを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、以下の説明及び、類似の要素に同一の参照番号が付されている添付図面を参照することによりさらに理解しうる。本発明は、クリップシステムに関し、より詳細には、再搭載可能な内視鏡クリップシステムに関する。本発明にかかる例示の実施形態は、内視鏡処置の前にアプリケータアセンブリの遠位端に搭載するクリップアセンブリについて説明している。クリップが体内の所望の標的部位に配置されたら、新しいクリップをアプリケータアセンブリに搭載することができる。具体的には、アプリケータアセンブリは、クリップアセンブリに離脱可能に係合できるロックスリーブを備える。ロックスリーブは、クリップアセンブリとの係合を容易にする係合構造と、アプリケータアセンブリからのクリップアセンブリの離脱を容易にする離脱構造とを備える。「近位」と「遠位」の用語は、この明細書で使用されているように、近位に向かう方向(近位)と装置使用者から離間する方向(遠位)を意図したものであることに留意されたい。
【0017】
図1図12に示されているように、本発明の例示の実施形態にかかるシステム100は、クリップアセンブリ102とアプリケータ104とカートリッジ106とからなる。図1図3に示されているように、クリップアセンブリは、標的組織をクリップする為に生体内にシステム100を挿入する前にアプリケータ104の遠位部分に搭載することができる。アプリケータ104は、クリップアセンブリ102を生体内に配置した後、新しいアセンブリ102を搭載することができる為、同一のアプリケータ104を用いて新しいクリップアセンブリ102を生体内の標的組織の第2部分に搬送することができる。図4に示されているように、この実施形態に係る各クリップアセンブリ102は、カートリッジ106内に収容されており、これによりクリップセンブリ102のアプリケータ104への搭載が容易になる。具体的には、アプリケータ104は、その遠位端にクリップアセンブリ102を離脱可能に係合することができるロックスリーブ108を備える。以下に詳細に説明するが、ロックスリーブ108は、その遠位端112にクリップアセンブリ102との係合を容易にする係合構造110と、係合構造110の近位にクリップアセンブリ102のアプリケータ104からの離脱を容易にする離脱構造114とを備える。
【0018】
クリップアセンブリ102は、一対のクリップアーム118を備え、この実施形態では、その近位端120は、カプセル124の中に摺動可能に受承されるヨーク122を介して互いに連結されている。この実施形態のクリップアーム118は、その遠位端126がカプセル124内に引き入れられていない時には、遠位端126が互いから離間して組織受け入れ姿勢に移行するように付勢されている。カプセル124の中に引き入れられた際には、カプセル124がクリップアーム118を拘束して、その遠位端126を組織クリップ姿勢に固定する。ヨーク122は、カプセル124内部に長軸方向に摺動することができ、組織受け入れ姿勢と組織クリップ姿勢との間でクリップアーム118を移動させる。
【0019】
各クリップアーム118は、近位端120から遠位端126に延びる。この実施形態における各クリップアーム108の遠位端126は標的組織を把持しやすくする為にもう一方のクリップアーム118の遠位端126に向かって内方横方向に突出している。両遠位端126は、例えば歯及び/又は突出等の別の把持要素も備え得る。各クリップアーム118の近位部は、クリップアーム118がヨーク122に係合して整合するように、ヨーク122の対応突出部130を受承する寸法と形状にされた開口部128を備える。よって、ヨーク122をカプセル124に対して相対移動することによりクリップアーム118をカプセル124に対して近位方向と遠位方向とに移動させることができ、クリップアーム188を組織受け入れ姿勢と組織クリップ姿勢の間で移行させることができる。上述したように、この実施形態に係るクリップアーム118は、開放姿勢に向かって付勢され、ヨーク122がカプセル124内に近位方向に引き入れられた場合には、図5に示されているように、カプセル124の内表面がクリップアーム118の肩部132の外表面に係合して、クリップアームが組織クリップ姿勢に向かって近づくように形成されている。ヨーク122がカプセル124に対して遠位方向に移動された場合には、各クリップアーム118の肩部132は、カプセル124の遠位端134を越えて遠位方向に延びて、クリップアーム118を自由にして同クリップアーム自身が有する付勢力にしたがって組織受け入れ姿勢に向かって互いに離間する。
【0020】
クリップアーム118の各近位端120は外方に横方向に延びるロックタブ136を備える。クリップアーム118は付勢されている為、クリップアーム118が組織クリップ姿勢にロックされた際には、クリップアーム118の各アームのロックタブ136は、外方に跳ね返ってカプセル124の一部とロック式に係合する。ロックタブ136がカプセル124に係合すると、クリップアセンブリ102は、組織クリップ姿勢にロックされ、クリップアーム118の両遠位端126間に受け入れた組織を把持して、クリップアーム118がカプセル124の外に近位方向に移動することを防止する。
【0021】
図6に示されているように、ヨーク122は、近位端138から遠位端140まで長軸方向に延び、その外表面142から外方に横向きに延びる一対の突出130を備える。各突出130は、クリップアーム118の開口部128の対応する1つの内部に受承される寸法と形状に形成される。上述したように、クリップアーム118の対応する開口部128の内部に各突起130が受承されることによって、クリップアーム118は、互いに、ヨーク122と、カプセル124と、に対して整合した状態に保持される。ヨーク122は、ヨーク122の長軸に沿ってヨーク122の近位端138の近位開口部145からアプリケータ104の制御部材150の拡大端148を受承する寸法と形状に形成された遠位部まで延びる長軸方向のスロット144をさらに備える。一の例示的実施形態では、図7に示されているように、拡大端148は、対応する寸法と形状に形成された遠位部146のソケットの内部に受承されるボールとして構成される。近位開口部145と遠位部146の間に延びるスロット144の近位部152は、遠位部146の断面積よりも小さな断面積(直径等)を有し、近位部152の対向する部分は、拡大端148を受承する為に広がることができ且つ互いに向かって付勢されている為、拡大端148が遠位部146の中に遠位方向に通過すると、近位部152の対向部分は跳ね返って拡大端を遠位部146内にロックして、制御部材150をヨーク122に連結する。したがって、制御部材150をカプセル124に対して長軸方向に移動することによって、組織受け入れ姿勢と組織クリップ姿勢の間でクリップアーム118の移動を制御することができる。
【0022】
この実施形態では、制御部材150の拡大端148は、ヨーク122の近位開口部145を通過して遠位部146の内部に挿入される。制御部材150が所定の閾値を超えてヨーク122の内部に遠位方向に押された場合には、スロット144の近位開口部145が変形して、拡大端148が近位部分152を通過して遠位部146の中に移動することを許容する。一実施形態では、スロット144を形成するヨーク122の一部は、拡大端148が近位部152を通過して遠位部146に移動することを許容する為に互いに離間する。拡大端が遠位部146内に受承されると、スロット144の近位部152は、元の寸法に復帰して、制御部材150の拡大端148を遠位部146に固定する。
【0023】
カプセル124は、近位端154から遠位端134に長軸方向に延び、且つその内部に長軸方向に貫通して延びるチャネル156を備える(図4)。チャネル156は、内部にヨーク122とクリップアーム118の近位部とを受承する寸法と形状に形成される。この実施形態に係るカプセル124は、クリップアーム118を組織クリップ姿勢にロックする為に、クリップアーム118のロックタブ136に係合することができる内部を貫通してその側面に沿って延びる一対のロックウインドウ158を備える(図10)。上述したように、クリップアーム118の近位端120は、外方に付勢されている為、ロックタブ136は、ロックタブ136がロックウインドウ158に整合する位置に近位方向に引き入れられるまでカプセル124の内表面に沿って進行することができる。ロックウインドウ158は、カプセル124の近位端154の近位に配置されている為、ロックタブ136がロックウインドウ158に係合するように制御ワイヤ150をさらに近位方向に移動してクリップアセンブリ102を組織クリップ姿勢にロックすることを所望するまで、クリップアーム118を組織受け入れ姿勢と組織クリップ姿勢との間で繰り返し移動させることができる。
【0024】
この実施形態では、カプセル124は、クリップアセンブリ102が搭載された際に、アプリケータ104のロックスリーブ108の対応係合構造110に係合する係合ウインドウ160をさらに備える。各係合ウインドウ160は、カプセル124を貫通してその側面に沿って延び、且つ係合構造110を受承する寸法と形状に形成される。一の例示的な実施形態では、カプセル124は、2つの係合構造110に係合する為に2つの係合ウインドウ160を備える。しかしながら、カプセル124は、対応する数の係合構造110を受承する為の任意の数の係合ウインドウ160を備えることができる。係合ウインドウ160は、ロックタブ136が不用意に係合ウインドウ160の任意の部分に係合することを防止する為に、カプセル124の長軸周囲においてロックウインドウ158からオフセットされている。一の具体的な実施形態では、係合ウインドウ160は、ロックウインドウ158から90度オフセットされている。カプセル124は、係合要素110に係合する係合ウインドウ160を備えるように図示され、且つ説明されているが、カプセル124は、クリップアセンブリ102を搭載した際に、係合要素が係合構造110に係合することができるものであるかぎり他の係合構造を備えてもよい。
【0025】
アプリケータ104に搭載される前に、クリップアセンブリ102は、図4に示されているように、底部162と蓋164からなる保存容器として構成されたカートリッジ106に保管される。底部162と蓋164とは、クリップアセンブリを内部に固定して保管する為に、底部162と蓋164とを互いに連結する為の要素を備える。一実施形態では、底部162と蓋164とは、底部162と蓋164を互いに組み立てた際に、クリップアセンブリ102を収容することができる腔所を形成する溝166を備える。クリップアセンブリ102は、組織受け入れ姿勢で、組み立てたカートリッジ106に保管される。したがって、溝166は、組織受け入れ姿勢(遠位端126が互いから離間した)でクリップアーム118を受承することができる寸法と形状に形成された遠位部168と、カプセル124を受承することができる寸法と形状に形成された近位部170と、を備える。近位部170は、近位開口部172を備え、そこを通過して、アプリケータ104の遠位部は、クリップアセンブリ102を搭載する為にカートリッジ106内に挿入される。
【0026】
アプリケータ104は、ロックスリーブ108と、そこから近位方向に延びる可撓性を有する部材174と、ロックスリーブ108と可撓性を有する部材174を貫通して延びる制御部材150とを備える。可撓性部材174の近位端は、ハンドル部材178に連結され、ハンドル部材178は、ハンドル部材に接続された駆動装置、例えばスプール180を備える。一例では、図1に示されているように、スプール180は、制御部材150の近位端182に接続されているため、クリップアセンブリ102がアプリケータ104に搭載されると、スプール180は、クリップアセンブリ102が組織受け入れ姿勢と組織クリップ姿勢との間で移動するように、ハンドル部材178上で長軸方向に摺動される。特には、スプール180をハンドル部材178上で摺動して制御部材150をカプセル124に対して移動させて、アプリケータ124に係合させる。したがって、スプール180も、クリップアセンブリ102を組織クリップ姿勢にロックして生体内にクリップアセンブリを配置する為に、ハンドル部材178に対して移動させることができる。
【0027】
可撓性部材174は、制御部材150が内部を拡大遠位端148から近位端182まで延びるワイヤのコイルとして形成することができる。当業者であれば、理解し得るであろうが、ワイヤのコイルは、好ましくは、生体の蛇行性回路であっても通過できる十分な可撓性を有し、この実施形態では、内視鏡又は別の挿入装置の作業チャネルを貫通して通過することができる寸法と形状に形成される。可撓性部材は、ワイヤのコイルとして説明され且つ図に示されているが、当業者であれば、制御部材150がクリップアセンブリ102から受ける張力に対抗するのに十分な圧縮力を備えるものであれば、どのような適切な可撓性構造を用いてもよいことが理解できるであろう。アプリケータ104は、スプール180を含むものとして説明されているが、アプリケータ104は、クリップアーム118の移動を制御する為に制御部材150を移動することができる任意の様々な駆動機構を備えることができる。
【0028】
上述したように、制御部材150は、ヨーク122に離脱可能に連結する拡大遠位端148から、スプール180に連結される近位端182まで延びる。図8にさらに詳細に示されているように、停止ワッシャー192が制御部材150の長さに摺動可能に取り付けられる。停止ワッシャー192は、ロックスリーブ108の離脱構造114に係合することができる寸法と形状に形成された外表面を備える。例えば、停止ワッシャー192の外表面は、以下にさらに詳細に説明するが、内部に離脱構造114の少なくとも一部を受承する寸法と形状とに形成された傾斜及び/又は湾曲された凹部194を備えることができる。
【0029】
図9に示されているように、ロックスリーブ108は、遠位端112から近位端116まで長軸方向に延び且つ内部を貫通して延びるチャネル115を備える。上述したように、ロックスリーブ108は、アプリケータ104をクリップアセンブリ102に連結することができる係合構造110と、クリップアセンブリ102をアプリケータ104から離脱させることができる離脱構造114と、を備える。特に、この実施形態では、ロックスリーブ108は、その一部に沿って長軸方向に延びる少なくとも1つの偏向可能タブ184を形成し、偏向可能タブ184は、係合構造110と離脱構造114とを備える。偏向可能タブ184は、ロックスリーブ108の長軸から偏向することができるように、ロックスリーブ108の遠位端112の自由遠位端186からロックスリーブ108のその他の部分190に連結された近位端188まで延びる。例えば、近位端188とその他の部分190との間の連結は、図10に示されているように、偏向可能タブ184が長軸から離間する方向に偏向し得るように、偏向可能タブ184の遠位端186がロックスリーブ108の長軸から離間する方向に移動することを許容するヒンジとして機能する。一の具体的な実施形態では、ロックスリーブ108は、径方向に互いに対向する2つの偏向可能タブ184を備える。しかしながら、ロックスリーブ108は、カプセル124が各偏向可能タブ184の係合構造110に係合することができる対応する数の係合ウインドウ160を備える限り、任意の数の偏向可能タブ184を備えることができる。
【0030】
各偏向可能タブ184の係合構造110は、例えば遠位端186の近位にあるが、各偏向可能タブ184の離脱構造114は、近位端188にある。各係合構造110と離脱構造114とは、偏向可能部材184に沿った湾曲部として構成することができる。具体的には、この実施形態の係合構造110と離脱構造114とは、ロックスリーブ108のチャネル115の中に延びる。係合構造110と離脱構造114の湾曲部は、例えば、チャネル115の中に延びる傾斜及び/又は湾曲された表面として形成することができる。したがって、ロックスリーブ108がカプセル124上を遠位方向に移動されその上に配置された際には、カプセル124の近位端154が係合構造110に係合して、偏向可能部材184をロックスリーブ108の長軸から離間する方向に偏向させる為、係合構造110は、係合構造110がカプセル124の係合ウインドウ160の内部に受承されるまでカプセル124の外表面に沿って移動する。係合構造110が係合ウインドウ160に受承されると、図11に示されているように、偏向可能部材184が元の非偏向姿勢に復帰してアプリケータ104をクリップアセンブリ102に離脱可能に連結することができる。
【0031】
アプリケータ104をクリップアセンブリ102に係合する前に、停止ワッシャー192が、離脱構造114に係合するようにロックスリーブ108の内部に配置される。この実施形態では、停止ワッシャー192は、ロックスリーブ108の内部に径方向に受承される為、凹部194は、離脱構造114の湾曲部に整合して係合する。アプリケータ104にクリップアセンブリ102を搭載してクリップアセンブリ102を配置することが所望された場合には、制御部材150は、拡大端148によりヨーク122のスロット144に付与される力が閾値を超えるまでクリップアセンブリ102に対して近位方向に引っ張られて、ヨーク122から離脱させられる。ヨーク122から制御部材150を離脱させる場合には、拡大端148を停止ワッシャー192の遠位端196に接触させて、停止ワッシャー192をロックスリーブ108に対して近位方向に移動させる。停止ワッシャー192がロックスリーブ108に対して近位方向に移動されると、凹部194の傾斜又は湾曲した表面が離脱構造114の湾曲部の傾斜部又は湾曲部に接して、偏向可能部材184をカプセル124から離間する方向に偏向させる。偏向可能部材184が偏向されると係合構造110が係合ウインドウ160から離脱されることにより、クリップアセンブリ102はアプリケータ104から離脱されて、生体内に配置される。
【0032】
カートリッジ106内に収容されているクリップアセンブリ102をアプリケータ104に搭載する為の例示的な方法は、制御部材150とアプリケータ104のロックスリーブ108とをカートリッジ106の近位開口部172を貫通して挿入する工程からなる。制御部材150の拡大端148は、例えば、スプール180をハンドル部材178に対して遠位方向に移動させることによりカートリッジ106に対して移動させられる。拡大端148は、拡大端148のヨーク122に対する遠位方向の力が所定の閾値を超えるまで遠位方向にヨーク122を押し付けると、ヨーク122のスロット144の近位開口部145は変形して拡大端148のスロット144の遠位部146の中への通過を許容する。拡大端148が遠位部146内部に受承されたら、ヨーク122は、元の形状に復帰して拡大端148をその内部に固定する。
【0033】
制御部材150をヨーク122に連結する際には、ロックスリーブ108はカプセル124上を遠位方向に移動させられて、偏向可能部材184は、係合構造110が係合ウインドウ160に受承されるまでカプセル124の外表面に沿って進行するように、カプセルの長軸から離間する方向に偏向させられる。係合構造110が係合ウインドウ160の内部に受承されると、クリップアセンブリ102は、アプリケータ104に搭載される。したがって、制御部材150をカートリッジ106に対して近位方向に移動させることによって、クリップアセンブリ102を組織受け入れ姿勢から組織クリップ姿勢へと移行させることができる。クリップアセンブリ102が、組織クリップ姿勢になったら、クリップアセンブリ102を近位開口部172を介してカートリッジの外に引き出すために、アプリケータ104全体がカートリッジ106に対して近位方向に移動させられる。
【0034】
使用時には、クリップアセンブリ102は、アプリケータ104に搭載した後、内視鏡(又は、その他の挿入装置)の作業チャネルを介して体内に挿入されクリップする組織の標的部位に隣接する部位に挿入される(例えば、生来の体管腔を貫通して)。クリップアセンブリ102は、作業チャネルを貫通して通過しやすくするために、閉鎖姿勢で標的組織まで挿入される。標的組織の部位に到達したら、クリップアセンブリ102を、ワーキングチャネルの遠位端の外に前進させて、例えばスプール180をハンドル部材178上で遠位方向に摺動することによって、クリップアーム108をカプセル124の外で展開して組織受け入れ姿勢に移行させる。クリップアセンブリ102は、ハンドル部材を用いて360度回転させることができ、組織の標的部位の上で所望の方向にクリップアーム108を移動させることができる。クリップアーム108は、組織の標的部位が所望通りにクリップアーム108の間に受け入れられるまで、開放姿勢と閉鎖姿勢との間でクリップアセンブリを移行させる為に、カプセル124の中に繰り返し前進と後退をさせることができる。この点で、制御部材150をクリップアセンブリ102に対して近位方向に移動させることによって、クリップアーム108は、閉鎖姿勢に向かって移行させられる。クリップアーム108の間に所望の組織の部分(例えば、出血している傷口の対向する両端の組織部分)を掴んだことを確認できたら、クリップアセンブリ102を閉鎖姿勢でロックする為に、制御部材150は、クリップアセンブリ102に対してさらに近位方向に引っ張られる(スプール180を用いて)。カプセルの近位端120でロックタブ136がロックウインドウ158に係合するまでクリップアーム108をカプセル124の中に近位方向に引き入れることによって、クリップアセンブリ102を組織クリップ姿勢にロックすることができる。
【0035】
クリップアセンブリ102が組織クリップ姿勢にロックされると、クリップアーム108とヨーク122とは、カプセル124に対して固定される。したがって、制御部材150をクリップアセンブリ102に対してさらに近位方向に引くことによって、ヨーク122に力が付与される。制御部材150の拡大端148が所定の閾値以上でヨーク122に力を付与した場合には、ヨーク122は変形して(近位開口部145が拡がる等)、拡大端148がヨークから離脱することを許容する。図12に示されているように、拡大端148がヨーク122から離脱すると、停止ワッシャー192に接してロックスリーブ108の離脱構造に係合して近位方向に押す為、凹部194の傾斜/湾曲部は、離脱構造114の傾斜/湾曲された表面に接触して偏向可能タブ184をカプセル124から離間する方向に再度偏向させる。偏向部材184が偏向されることによって、係合構造110は、係合ウインドウ160から離脱させられる。制御部材150をロックスリーブ108がカプセル124から完全に離脱するまで近位方向に引っ張ることによって、クリップアセンブリ102はアプリケータ104から離脱される。クリップアセンブリ102は、アプリケータ104が体内から回収された際に、体内に標的組織上でクリップした状態で留置される。所望する場合には、新しいクリップアセンブリ102が、上述した同じ手順で、アプリケータ104に搭載され、組織の第2部分をクリップする為に同一の装置が使用される。この工程は、必要又は所望される数だけ同じアプリケータ104を用いて繰り返すことができる。
【0036】
例示的なシステム100では、クリップアセンブリ102は、ロックスリーブ108をカプセル124上に配置することによってアプリケータ104上に搭載されると図に示し且つ説明したが、クリップアセンブリは、カプセルの近位開口部の内部にアプリケータの一部を受承することによってアプリケータに離脱可能に係合させることもできる。加えて、係合構造110と離脱構造114とは、ロックスリーブ108の偏向可能部材184に沿った湾曲部であると図に示され且つ説明されているが、別の係合構造110及び離脱構造114も可能である。
【0037】
例えば、図13図16は、以下に説明することを除いて上述したシステム100に実質的に同一の例示的な実施形態に係るシステム200を示す。システム200は、以下に説明する違いを除いて上述した同一の方法でアプリケータ204の遠位部に搭載されるクリップアセンブリ202からなる。システム100と同様に、クリップアセンブリ202は、クリップアセンブリ202とアプリケータ204とを互いに連結する為にアプリケータ204の一部がその内部に挿入されるように構成されたカートリッジの中に収容される。アプリケータ104と同様に、アプリケータ204は、クリップアセンブリ202のカプセル224を係合する為の係合構造210と、クリップアセンブリ202からアプリケータ204を離脱する為の離脱構造214と、を有するロックスリーブ208を備える。アプリケータ204とクリップアセンブリ202とは、システム100に関して上述したように互いに離脱可能に連結することができる。具体的には、アプリケータ204の制御部材250は、制御部材150とヨーク122に関して上述したようにヨーク222に連結することができる。しかしながら、ロックスリーブ208は、カプセル224の近位端254上に配置されるようには構成されていない。その代わり、ロックスリーブ208の遠位端212は、以下に詳細に説明するが、クリップアセンブリ202をアプリケータ224に離脱可能に連結する為にカプセル224の近位端254の中に挿入されるように構成されている。
【0038】
クリップアセンブリ202は、システム100に関して上述したクリップアセンブリ102とほぼ同一であり、一対のアームを備え、その近位端は、上述したようにアームを組織受け入れ姿勢と組織把持姿勢との間で移行させる為に、カプセル224の内部に摺動可能に受承されるヨーク222に連結される。しかしながら、カプセル224は、アプリケータ204のロックスリーブ208の一部に係合する為にその壁を貫通して側面に沿って延びる係合ウインドウを備えていない。その代わり、カプセル224の近位端254は、カプセル224のチャネル256の内部に延びる湾曲部260又はその他の係合要素を形成して、湾曲部260は、ロックスリーブ208の係合構造210に係合する寸法と形状に形成されている。
【0039】
この実施形態の係合構造210は、ロックスリーブ208の偏向可能タブ284の遠位部を貫通してその側面に沿って延びるウインドウとして構成されている。係合構造210のウインドウは、ロックスリーブ208がカプセルの近位端254に挿入された際、カプセル224の湾曲部260を受承する寸法と形状とに形成することができる。ロックスリーブ208がカプセル224の内部に挿入された際には、ロックスリーブ208の偏向可能タブ284は、カプセル224の湾曲部260がロックスリーブ208の係合構造210(例えばウインドウ)の内部に受承されるまで、ロックスリーブ208の長軸に向かって内方に延びる。湾曲部260が係合構造210に受承されると、偏向可能タブ284は、元の姿勢に復帰して、カプセル224とロックスリーブ208を互いに係合する。
【0040】
この実施形態では、離脱構造214は、ロックスリーブ208の長軸に向かって内方に延びる突起として構成されている為、クリップアセンブリ202を組織クリップ姿勢にロックして制御部材250の拡大端248をヨーク222から離脱させる際には、制御部材250を拡大端248が突起に接するまで近位方向にさらに引っ張ることができる。突起は、偏向可能タブ284の一部から延びている為、拡大端248が離脱構造214を近位方向に押した場合には、離脱構造214に対する近位方向の力により、偏向可能タブ284を内方に移動させられて、カプセル224の湾曲部を係合構造210のウインドウから離脱させることができる。制御部材250をロックスリーブ208がカプセル224から完全に離脱するまで近位方向に引っ張ることにより、クリップセンブリ202はアプリケータ204から離脱される。図14図16に示されているように、ロックスリーブ208は、径方向に対向する1対の偏向タブ284を備える為、離脱構造214の突起は、偏向可能タブ284の各タブから延びる。
【0041】
離脱構造214は、この実施形態では突起として説明され図に示されているが、離脱構造は、どのような構成を有してもよい。例えば、別の実施形態では、図17図18に示されているように、離脱タブ214’は、偏向可能タブ284の間においてロックスリーブ208’のチャネル215’を横切って延びる要素として構成することもできる。要素は、内部を貫通して延びる開口部を備え、開口部は、アプリケータ204’から制御ワイヤ250’の長さを摺動可能に受承するが、制御ワイヤ250’の拡大端248’が内部を貫通することを防止する寸法と形状とに形成される。拡大端248’は、離脱構造214’の遠位側に配置される為、クリップアセンブリ202’をアプリケータ204’から離脱したい時は、制御ワイヤ250’を拡大端248’が離脱構造214’の要素に接するまで近位方向に移動させる。上述した離脱構造214と同様に、離脱構造214’に対して拡大端248’による近位方向に力によって、偏向可能タブ284’は、互いに向かって内方であり且つカプセル224’の係合の外に移動させられる。この実施形態の離脱構造214’の要素は、拡大端248’に係合することができる寸法と形状に形成されたシートを備える形状(例えば、角度または湾曲)に形成することができる。しかしながら、離脱構造214’は、離脱構造214’が拡大端248’に接して偏向可能タブ248’を互いの方に向かって内方に移動させられるような寸法と形状に形成されている限りどのような構成を有してもよい。
【0042】
カプセル224は、ウインドウとして構成された係合構造210に係合するための湾曲部260を備えるものとして説明され且つ図に示されているが、カプセル224とロックスリーブ208とは、互いに離脱可能に連結する為に任意の対応係合要素を備えることができる。例えば、別の実施形態では、カプセル224は、カプセル224の係合ウインドウ160にほぼ類似する係合ウインドウを備え、ロックスリーブ208の係合構造210は、長軸から離間する方向に外方に延びる湾曲又はその他の突起として構成することができる。これらの対応係合要素は、上述した方法に類似の方法で互いに連結することができる。当業者であれば、システム200は、システム100に類似する方法を使用することができることを理解し得るであろう。
【0043】
図19及び20に示されているように、システム300は、上述のシステム100、200に類似し、遠位端にロックスリーブ308を介してアプリケータ304に搭載可能なクリップアセンブリ302を備える。ロックスリーブ308は、システム200に関して上述したロックスリーブ208に類似して、クリップアセンブリ302のカプセル324内部に受承されて係合される偏向可能タブ384を備える。具体的には、係合構造310を備える偏向可能タブ384の遠位部は、カプセル324の内部に受承されてその対応係合構造360に係合することができる。しかしながら、システム300は、偏向可能タブ384の一部の周囲に延び且つ離脱構造を備える外側スリーブ400をさらに備え、離脱構造は、アプリケータ304の制御部材350の拡大端348と係合した際に、クリップアセンブリ302を体内に標的組織上で把持した状態で配置する為に、偏向可能タブ284をカプセル324と係合の外に移動させる。
【0044】
具体的には、外側スリーブ400は、偏向可能タブ384の係合構造310(例えば、ウインドウ)のすぐ近位の偏向可能タブ384の一部周囲に延びる第1部分402と、第1部分から近位方向に延びる第2部分404とを備える。第1部分402は、偏向可能タブ384の一部周囲にリングとして構成することができるが、第2部分404は、そこから近位方向に延びる一対のアームとして構成することができる。一対のアーム404は、互いに径方向に対向し、且つ偏向可能タブ384に対してオフセットされている為、アーム404の近位端408で離脱タブ406は、偏向可能タブ384の両近位端385の間でロックスリーブ308のチャネル315の中に延びる。離脱タブ406は、アーム404の近位端408から内方に横向きに、且つチャネル315の中に延びて、アプリケータ304の制御部材350の拡大端348と係合する。一実施形態では、各アーム404の離脱タブ406は、システム200の離脱構造214と同様に互いから離間していてよい。別の実施形態では、離脱タブ406は、一体形成されて、離脱構造214’と同様に、離脱タブ406は、チャネル315を横切って延びる1つの要素を形成することができる。
【0045】
クリップアセンブリ302を配置したい場合には、システム100に関して上述したように、制御部材350をクリップアセンブリ302のクリップアーム318から離脱させて、拡大端348が離脱タブ406に接するまでロックスリーブ308の中に近位方向に引き込まれる。拡大端448によって離脱タブ406に近位方向の力が加わることにより、外側スリーブ400の第1部分402(例えば、リング部分)は変形させられる。変形した第1部分402は、偏向可能タブ384を押して、偏向可能タブ384を互いの方に向かってカプセル324との係合を外す方向に移動させる。その後、アプリケータ404は引き抜かれて、クリップアセンブリ302は、体内に留置される。
【0046】
当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々ン変形を加え得ることは明らかであろう。
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