(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】トレランスリング、及びトレランスリングをもつアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16D 7/02 20060101AFI20230420BHJP
F16C 35/07 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
F16D7/02 F
F16C35/07
(21)【出願番号】P 2021502536
(86)(22)【出願日】2019-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2019068964
(87)【国際公開番号】W WO2020016156
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-02-15
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310004529
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス レンコール リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピッカリング、リュウェリン
【審査官】日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-139481(JP,A)
【文献】特開2008-38990(JP,A)
【文献】特表2017-516967(JP,A)
【文献】特表2013-505411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 7/02
F16C 35/07,35/02,27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
>100W/m・Kの熱伝導性を少なくとも備える熱的向上層を備える被覆層であって、前記基材の少なくとも一部を覆う、被覆層と
を備えるトレランスリングであって、
前記トレランスリングが、径方向内方又は径方向外方に突出する複数の突出部を備え、
前記熱的向上層が、前記トレランスリングの外部表面の一部を画定
し、前記複数の突出部が、前記基材により形成されている、トレランスリング。
【請求項2】
内側部材と、
外側部材と、
前記内側部材と前記外側部材との間に配置されたトレランスリングと
を備えるアセンブリであって、
前記トレランスリングが、径方向内方又は径方向外方に突出する複数の突出部を備え、
前記トレランスリングが、
基材と、
少なくとも保持層を備える被覆層とを備え、
前記複数の突出部が、前記基材により形成されており、
a)前記トレランスリングが、前記保持層と前記外側部材との間に摩擦係数μ
1及び前記基材と前記外側部材との間に摩擦係数μ
2を付与し、μ
1>μ
2であり、又は、
b)前記トレランスリングが、前記内側部材と前記外側部材との間に保持力R
fを付与し、前記アセンブリが、組立て力A
fを有し、R
f>0.1A
fである、アセンブリ。
【請求項3】
発熱する内側部材と、
外側部材と、
前記内側部材と前記外側部材との間に配置されたトレランスリングと
を備えるアセンブリであって、
前記トレランスリングが、径方向内方又は径方向外方に突出する複数の突出部を備え、
前記トレランスリングが、
基材と、
熱的向上層及び保持層を備える被覆層とを備え、
前記熱的向上層が、>100W/m・Kの熱伝導性を少なくとも備え、前記被覆層が前記基材の少なくとも一部を覆い、前記トレランスリングが、前記内側部材と前記外側部材との間に伝熱を付与するようになっており、
前記複数の突出部が、前記基材により形成されており、
前記トレランスリングが、前記保持層と前記外側部材との間に摩擦係数μ
1及び前記基材と前記外側部材との間に摩擦係数μ
2を付与し、μ
1>μ
2であり、
前記トレランスリングが、前記内側部材と前記外側部材との間に保持力R
fを付与し、前記アセンブリが、組立て力A
fを有し、R
f>0.1A
fである、アセンブリ。
【請求項4】
前記熱的向上層が、<400HVのビッカース硬さを備える、請求項1及び3のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
【請求項5】
前記突出部が径方向外方に突出する、請求項1~4のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
【請求項6】
R
f>0.35A
fである、請求項2~5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記内側部材がステーターを備え、前記外側部材がハウジングを備える、請求項2~3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記被覆層が、堆積されたコーティングを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
【請求項9】
前記被覆層が、クラッディングを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
【請求項10】
前記基材が、鋼を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
【請求項11】
前記熱的向上層が、亜鉛、銅、マグネシウム、ニッケル、錫、鉛、アルミニウム又はそれらの合金の少なくとも1つを備える金属を備える、請求項1及び3のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
【請求項12】
前記被覆層が、10ミクロン~200ミクロンの範囲内の厚さを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
【請求項13】
前記基材が、0.075~0.8mmの範囲内の厚さを有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
【請求項14】
前記トレランスリングが、3mm~150mmの範囲内の外半径を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
【請求項15】
前記トレランスリングが、軸方向間隙を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、移動部を伴うアセンブリ間に位置付けられるトレランスリングに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トレランスリングは、部品間の移動を連結するために使用しうる。ある種のトレランスリングは、内側部品の外側表面と、外側部品のボアの内側表面との間の間隙内に位置付けうる。そのようなアセンブリは、これらに限定はされないがアセンブリ内部で回転するようになっている回転シャフトやローターといった回転部品等の回転部品を更に含みうる。また、トレランスリングは、発電機アセンブリやモーターアセンブリ、エンジンアセンブリ、クラッチアセンブリ、保持機構といったアセンブリに使用しうる。そのようなアセンブリは、自動車用途において使用しうる。
【0003】
その特徴及び利点が得られ且つより詳細に理解できるような形で、添付の図面に示した実施形態を参照してより全体的な説明を行う。しかしながら、図面は単に幾つかの実施形態を示すものであるため、範囲を限定するものと考えられるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、トレランスリングの一実施形態の斜視端面図である。
【
図2】
図2は、トレランスリングの一実施形態の斜視側面図である。
【
図3】
図3は、トレランスリングのための突出部の一実施形態の平面図である。
【
図4】
図4は、層を有するトレランスリングの他の実施形態の概略断側面図である。
【
図5A】
図5Aは、アセンブリの一実施形態の斜視端面図である。
【
図5B】
図5Bは、アセンブリの一実施形態の斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様の又は同一の項目を示す。
【0006】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示された教示を理解する助けを提供するものである。以下の議論は、本教示の具体的な実装及び実施形態に注目する。この注目は、本教示を説明する助けを提供するものであり、本教示の範囲又は利用可能性に対する限定と解釈されるべきではない。本願に開示されたような教示に基づき他の実施形態も使用することができる。
【0007】
用語「備え(comprises)」、「備える(comprising)」、「含み(includes)」、「含む(including)」、「有し(has)」、「有する(having)」又はそれらの任意の他の変化は、非排他的な含有を包含することを意図したものである。例えば、列記された特徴を備える方法、物品又は装置は、必ずしもそれらの特徴に限定されず、明示的に記載されていない、あるいはその方法や物品、装置に固有ではない他の特徴を含んでもよい。更に、明示的に述べない限り、「又は」は、排他的論理和(exclusive-or)ではなく、包含的論理和(inclusive-or)を指す。例えば、条件A又はBは、以下のいずれかによって満足される:Aが真であり(存在し)Bが偽である(存在しない)、Aが偽であり(存在せず)Bが真である(存在する)、及び、A及びBの両方が真である(存在する)。
【0008】
また、「a」又は「an」の使用は、補明細書に記載の要素及び部品を説明するのに採用される。これは、単に便宜的になされ、本発明の範囲の一般的な意味を与えるものである。この記載は、それ以外を意味することが明確ではない限り、1つ、少なくとも1つ、又は複数も含む単数形、又はその逆を含むように読まれるべきである。例えば、単一の物品が本明細書で説明されている場合、複数の物品を、その単一の物品の代わりに使用しうる。同様に、複数の物品が本明細書で説明されている場合、単一の物品で、その複数の物品を置換してもよい。また、「約」や「略」の使用は、本発明の範囲から逸脱しない任意の値又は関係を説明する空間的又は数的関係を伝えるために採用される。
【0009】
他に規定しない限り、本明細書で使用される全ての技術的・科学的用語は、本発明が属する技術において通常の技術を有する者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。材料、方法及び例は、例示的なものにすぎず、限定することは意図していない。本明細書に記載されていない範囲内で、特定の材料及び処理行為に関する多くの詳細は従来のものであり、モーター/オルタネーター/ターボチャージャー/エンジンアセンブリ及び部品技術内で得られる教科書及び他の情報源に見出せる。
【0010】
図1~4は、幾つかの実施形態に係るトレランスリング100を図示する。トレランスリング100は、中心軸線600を中心とするトレランスリング状(略環状)の形状へと湾曲させることのできる材料のバンド102を備える。トレランスリング100は、第1軸方向端部115と、第2軸方向端部117とを有しうる。バンド102は、側壁部103を含みうる。一実施形態において、バンド102は、内部側壁部103aと、外部側壁部103bとを含みうる。側壁部103は、軸方向縁部105を有しうる。幾つかの実施形態において、側壁部103は、第1軸方向縁部105aと、第2軸方向縁部105bとを有しうる。幾つかの実施形態において、トレランスリング100又はバンド102は、側壁部103の少なくとも1つの軸方向端部115、117に沿って、弾力性材料の平坦で周方向に延在する非形成部分220を有しうる。幾つかの実施形態において、材料の上側非形成バンド220及び下側非形成バンド222が、トレランスリング100の側壁部103の各軸方向端部105、107において存在しうる。非形成部分224が、非形成バンド220、222間の側壁部103の長さに沿って軸方向に延在して非形成バンド220、222から延在しうる。一実施形態において、トレランスリング100及び/又はバンド102は、第1周方向端部611及び第2周方向端部613を画定する間隙106を含みうる。幾つかの実施形態において、
図1~2に示すように、バンド102の第1周方向端部611と第2周方向端部613とは当接せず(例えば、分割トレランスリング設計として形成されうる)、バンド102の外周に隣接する軸方向間隙106を残す。他の実施形態において、バンドは、両端部が互いに重なり合うように湾曲しうる。更に別の実施形態において、
図3に示すように、バンドは、連続する分断されていないトレランスリングであってもよい。一実施形態において、内部側壁部103aは、内側表面を含みうる。一実施形態において、外部側壁部103bは、外側表面を含みうる。幾つかの実施形態において、バンド102は、バンド102の外周周りに、複数の突出部120を含みうる。幾つかの実施形態において、トレランスリング100は、内側部材306と外側部材302とを互いに対して固定するようになっていてもよい。
【0011】
一実施形態において、
図1~4に示すように、トレランスリング100は、複合材料を含むことができる。トレランスリング100は、少なくとも1つの基材119と、少なくとも1つの被覆層104とを含みうる。被覆層104は、基材119の任意の部分の上に位置且つ/又は下に位置しうる。被覆層104は、基材119に亘って連続的又は非連続的とすることができる。内部側壁部103aの内側表面は、バンド102の形状に適合する被覆層104を有しうる。一実施形態において、外部側壁部103bの外側表面は、バンド102の形状に適合する被覆層104を有しうる。被覆層104は、基材119の少なくとも一部分、中でも特に基材の突出部120に沿う部分に連結させることができる。更なる実施形態において、被覆層104は、トレランスリング100の径方向外部表面又は径方向内部表面をそれぞれ覆うように、側壁部103の主表面全体、例えば、側壁部103の径方向内側表面103a又は径方向外側表面103bに連結させることができる。他の実施形態において、
図2に示すように、被覆層104、104’は、トレランスリング100の径方向外部及び径方向内部を覆うように、側壁部103の主表面全体、例えば、側壁部103の径方向内側表面103a及び径方向外側表面103bに連結させることができる。特定の実施形態において、被覆層104は、他の部品の他の表面との接触面を形成するように、基材119の径方向内側表面に連結させることができる。他に、第2基材119’が、被覆層104の上に位置しうる。更に他の実施形態において、複数の基材119及び複数の被覆層104が、任意の構成で互いの上に位置又は下に位置しうる。幾つかの実施形態において、バンド102及び/又は複数の突出部120は、複数の基材119を含みうる、また、複数の被覆層104が、任意の構成で互いの上に位置又は下に位置しうる。幾つかの実施形態において、複数の基材119及び複数の被覆層104が、バンド102及び/又は複数の突出部120を含みうる。
【0012】
被覆層104は、複数の組成物又は層を含みうる。幾つかの実施形態において、被覆層104は、熱的向上層104a及び保持層104bのうち少なくとも1つを含みうる。幾つかの実施形態において、熱的向上層104aは、<400HVのビッカース硬さ及び/又は>100W/m・Kの熱伝導性の少なくとも1つを有しうる。熱的向上層104aは、<400HVのビッカース硬さ及び>100W/m・Kの熱伝導性の両方を有しうる。幾つかの実施形態において、熱的向上層104aは、トレランスリング100が内側部材306と外側部材302との間において熱伝達させるようにすることを可能としうる。幾つかの実施形態において、保持層104bは、内側部材306と外側部材302との間に保持力Rfを与えうり、また、アセンブリは、組立て力Afを有し、Rf>0.1Afである。保持力Rfは、内側部品306又は外側部品302のうち少なくとも1つに対してトレランスリング100を静的状態で保持するのに必要な力として定義しうる。組立て力Afは、トレランスリング100を内側部品306又は外側部品302のうち少なくとも1つとアセンブリ2に組み立てるのに必要な力として定義しうる。一実施形態におい
て、熱的向上層104a及び保持層104bは、単一の均一な層であってもよい。他の実施形態において、熱的向上層104a及び保持層104bは、被覆層104内の別体の層として定義されうる。一実施形態において、熱的向上層104a及び保持層104bの組成物は、被覆層104内で組成勾配を形成しうる。一実施形態において、被覆層104(熱的向上層104a又は保持層104bのうち少なくとも1つを含む)は、トレランスリング100の外部表面又は径方向外側表面又は側壁部103bの部分を画定しうる。一実施形態において、被覆層104(熱的向上層104a又は保持層104bのうち少なくとも1つを含む)は、トレランスリング100の内部表面又は径方向内側表面又は側壁部103aの一部を画定しうる。
【0013】
一実施形態において、
図4に示すように、基材119は、金属を少なくとも部分的に含むことができる。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、ベリリウム、マグネシウム、錫、チタン、タングステン、鉄、青銅、又はそれらの合金を含んでもよいし、他の種類でもよい。より具体的には、基材は、ステンレス鋼や炭素鋼といった鋼等の鉄合金を少なくとも部分的に含むことができる。例えば、基材119は、301ステンレス鋼を少なくとも部分的に含むことができる。301ステンレス鋼は、1/4硬質、1/2硬質、3/4硬質、又は硬質に焼なまししてもよい。基材119は、織りメッシュ又はエキスパンドメタルグリッドを含みうる。
【0014】
一実施形態において、被覆層104(熱的向上層104a又は保持層104bのうち少なくとも1つを含む)は、金属を少なくとも部分的に含むことができる。この金属は、アルミニウム、亜鉛、銅、ベリリウム、マグネシウム、錫、チタン、タングステン、鉄、青銅、又はそれらの合金を含んでもよいし、他の種類でもよい。被覆層104(熱的向上層104a又は保持層104bのうち少なくとも1つを含む)は、金属合金(列記した金属を含む)、陽極酸化金属(列記した金属を含む)、不動態化金属、又はそれらの任意の組み合わせを含みうる。被覆層104(熱的向上層104a又は保持層104bのうち少なくとも1つを含む)は、織りメッシュ又はエキスパンドメタルグリッドを含みうる。被覆層104は、電気めっき、化学コーティング、陽極酸化、溶融めっき、真空めっき、不動態化、研磨材処理、研削、研磨、バニシング、サンドブラスティング、エッチング、摩耗、カレンダー加工、亜鉛めっき、ローレット加工、ピーニング、酸洗い、溶射、表面硬化、金属浸透、又は金属加工技術において知られている任意の他の処理を介して表面処理してもよい。
【0015】
任意には、基材119は、処理前のトレランスリング基材の腐食を防止するために、腐食防止層704及び705で被覆してもよい。加えて、腐食防止層708は、層704に亘って塗布することができる。層704、705及び708のそれぞれは、約7~15ミクロン等、約1~50ミクロンの厚さを有することができる。層704及び705は、亜鉛、鉄、マンガンのリン酸塩又はそれらの任意の組み合わせ、又はナノセラミック層を含むことができる。更に、層704及び705は、官能性シラン、ナノスケールシラン系プライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シランプライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(メカニカル/ガルバニック)又は亜鉛-ニッケルコーティング、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。層708は、官能性シラン、ナノスケールシラン系プライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、又は溶媒/水系シランプライマーを含むことができる。腐食防止層704、705及び708は、処理中、除去又は保持することができる。
【0016】
任意には、トレランスリング100は、耐食コーティング125を更に含みうる。耐食コーティング125は、約5~20ミクロン等、また約7~15ミクロン等、約1~50ミクロンの厚さを有することができる。耐食コーティングは、接着促進剤層127と、エポキシ層129とを含むことができる。接着促進剤層127は、亜鉛、鉄、マンガン、錫のリン酸塩又はそれらの任意の組み合わせ、又はナノセラミック層を含むことができる。接着促進剤層127は、官能性シラン、ナノスケールシラン系層、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シランプライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(メカニカル/ガルバニック)又は亜鉛-ニッケルコーティング、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。エポキシ層129は、熱硬化エポキシ、UV硬化エポキシ、IR硬化エポキシ、電子ビーム硬化エポキシ、放射線硬化エポキシ、又は空気硬化エポキシとすることができる。更に、エポキシ樹脂は、ポリグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、オキシラン、オキサシクロプロパン、エチレンオキシド、1,2-エポキシプロパン、2-メチルオキシラン、9,10-エポキシ-9,10-ジヒドロアントラセン、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。エポキシ樹脂層129は、硬化剤を更に含むことができる。硬化剤は、アミン、酸無水物、フェノールノボラックポリ[N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド](PHPMI)等のフェノールノボラック硬化剤、レゾールフェノールホルムアルデヒド、脂肪族アミン化合物、ポリカルボン酸無水物、ポリアクリル酸塩、イソシアネート、カプセル化ポリイソシアネート、三フッ化ホウ素アミン錯体、クロム系硬化剤、ポリアミド、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。一般に、酸無水物は、上述のようにRをCXHYXZAUとしうる式R-C=O-O-C=O-R’を満たすことができる。アミンは、モノエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン等の脂肪族アミン、脂環式アミン、環式脂肪族アミン、シクロ脂肪族アミン、アミドアミン、ポリアミド、ジシアンジアミド、イミダゾール誘導体等の芳香族アミン、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0017】
幾つかの実施形態において、トレランスリング100(基材119又は被覆層104のうち少なくとも1つを含む)は、軸方向及び長手方向の力に耐えるのに十分な剛性をもつ材料を備えることができる。トレランスリング100は、単一の部品、2つの部品、又は、溶接、接着剤、締結具、ねじ切り、又は任意の他の適切な締結手段により一体に接合された幾つかの部品から形成することができる。
【0018】
幾つかの実施形態において、トレランスリング100は、基材119の弾力性材料(バンド102を形成する)の平坦なストリップから形成されうる。ストリップをその湾曲形状に折り曲げる前に、被覆層104(熱的向上層104a又は保持層104bのうち少なくとも1つを含む)を、その一面上にコーティング、被覆、あるいは配置しうる。他の実施形態において、被覆層104は、基材119の両面上にコーティング、被覆、あるいは配置しうる。被覆層104(熱的向上層104a又は保持層104bのうち少なくとも1つを含む)は、これらに限定はされないが物理又は化学気相成長、溶射、めっき、粉体塗装等の既知の方法により、あるいは他の化学又は電気化学技術により、基材119上のコーティングを介して堆積しうる。被覆層104(熱的向上層104a又は保持層104bのうち少なくとも1つを含む)は、これらに限定はされないがロール圧接、ラミネーション、爆発溶接、レーザークラッディング等の既知の方法により、あるいは他の化学又は電気化学技術により、基材119上に被覆しうる。被覆層104は、内側又は外側部材302、306に対向するバンド102の表面に取り付けうる。被覆層104は、上述のようにバンド102に対してコーティング、積層、被覆又は接合しうる。被覆層104を積層、コーティング、又は被覆することによって、バンド102の周りに均一な厚さが得られる。被覆層104を基材119に取り付ける前又は取り付けた後に、得られた層構造体を、スタンピング成形(例えば、適切に成形されたモールドを使用したプレス成形、回転ウェーブ形成等)して突出部120を形成しうる。これにより、突出部120のうち少なくとも1つを、弾力性材料のストリップと被覆層104との両方から形成しうる。被覆層104の材料は、このスタンピング工程を容易にするために可撓性のものを選択しうる。被覆層104は、内部側壁部103a又は外部側壁部103bにおいて、バンドの径方向外側又は径方向内側としうる。突出部120を形成した後、積層構造体を、
図1~3に示すトレランスリング状構成に湾曲しうる。図示の実施形態において、被覆層104は、外側材料としうる。他の実施形態において、被覆層104は、内側材料としうる。
【0019】
一実施形態において、側壁部103は、0.2mm~25mmの範囲内の厚さTSWを有することができる。より特定の実施形態において、側壁部103は、0.25mm~1mmの範囲内、0.3mm~1mmの範囲内、0.35mm~1mmの範囲内、0.4mm~1mmの範囲内、0.45mm~1mmの範囲内、0.5mm~1mmの範囲内、0.55mm~1mmの範囲内、0.6mm~1mmの範囲内、0.65mm~1mmの範囲内、0.7mm~1mmの範囲内、0.75mm~1mmの範囲内、0.8mm~1mmの範囲内、0.85mm~1mmの範囲内、0.9mm~1mmの範囲内、更には0.95mm~1mmの範囲内といった0.2mm~2mmの範囲内の厚さTSWを有することができる。他の実施形態において、厚さTSWは、0.2mm~0.9mmの範囲内、0.2mm~0.85mmの範囲内、0.2mm~0.8mmの範囲内、0.2mm~0.75mmの範囲内、0.2mm~0.7mmの範囲内、0.2mm~0.65mmの範囲内、0.2mm~0.6mmの範囲内、0.2mm~0.6mmの範囲内、0.2mm~0.55mmの範囲内、0.2mm~0.5mmの範囲内、0.2mm~0.45mmの範囲内、0.2mm~0.4mmの範囲内、0.2mm~0.35mmの範囲内、0.2mm~0.3mmの範囲内、更には0.2mm~0.25mmの範囲内といった0.2mm~0.95mmの範囲内とすることができる。より特定の実施形態において、側壁部103は、0.2mm~2mmの厚さTSWを有することができる。
【0020】
一実施形態において、基材119は、0.075mm~25mmの範囲内の厚さTSを有しうる。より特定の実施形態において、基材119は、0.25mm~1mmの範囲内、0.3mm~1mmの範囲内、0.35mm~1mmの範囲内、0.4mm~1mmの範囲内、0.45mm~1mmの範囲内、0.5mm~1mmの範囲内、0.55mm~1mmの範囲内、0.6mm~1mmの範囲内、0.65mm~1mmの範囲内、0.7mm~1mmの範囲内、0.75mm~1mmの範囲内、0.8mm~1mmの範囲内、0.85mm~1mmの範囲内、0.9mm~1mmの範囲内、更には0.95mm~1mmの範囲内といった0.075mm~2mmの範囲内の厚さTSを有しうる。他の実施形態において、基材119は、0.075mm~0.9mmの範囲内、0.075mm~0.85mmの範囲内、0.075mm~0.8mmの範囲内、0.075mm~0.75mmの範囲内、0.075mm~0.7mmの範囲内、0.075mm~0.65mmの範囲内、0.075mm~0.6mmの範囲内、0.075mm~0.6mmの範囲内、0.075mm~0.55mmの範囲内、0.075mm~0.5mmの範囲内、0.075mm~0.45mmの範囲内、0.075mm~0.4mmの範囲内、0.075mm~0.35mmの範囲内、0.075mm~0.3mmの範囲内、更には0.075mm~0.25mmの範囲内といった0.075mm~0.95mmの範囲内の厚さTSを有しうる。より特定の実施形態において、基材119は、0.075mm~0.8mmの厚さTSを有しうる。
【0021】
一実施形態において、被覆層104は、0.01ミクロン~500ミクロンの範囲内の厚さTOLを有しうる。より特定の実施形態において、被覆層104は、0.2ミクロン~200ミクロンの範囲内、0.3ミクロン~150ミクロンの範囲内、0.35ミクロン~125ミクロンの範囲内、0.4ミクロン~115ミクロンの範囲内、0.45ミクロン~100ミクロンの範囲内、0.5ミクロン~90ミクロンの範囲内、0.55ミクロン~85ミクロンの範囲内、0.6ミクロン~75ミクロンの範囲内、0.65ミクロン~65ミクロンの範囲内、0.7ミクロン~50ミクロンの範囲内、0.75ミクロン~45ミクロンの範囲内、0.8ミクロン~40ミクロンの範囲内、0.85ミクロン~35ミクロンの範囲内、0.9ミクロン~30ミクロンの範囲内、更には0.95ミクロン~25ミクロンの範囲内といった0.15ミクロン~250ミクロンの範囲内の厚さTOLを有しうる。他の実施形態において、被覆層104は、0.2ミクロン~250ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~150ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~125ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~100ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~95ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~90ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~85ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~80ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~75ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~70ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~65ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~60ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~50ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~25ミクロンの範囲内、更には0.2ミクロン~10ミクロンの範囲内といった0.2ミクロン~500ミクロンの範囲内の厚さTOLを有しうる。より特定の実施形態において、被覆層104は、100ミクロン~200ミクロンの厚さTOLを有しうる。
【0022】
一実施形態において、熱的向上層104aは、0.2ミクロン~200ミクロンの範囲内、0.3ミクロン~150ミクロンの範囲内、0.35ミクロン~125ミクロンの範囲内、0.4ミクロン~115ミクロンの範囲内、0.45ミクロン~100ミクロンの範囲内、0.5ミクロン~90ミクロンの範囲内、0.55ミクロン~85ミクロンの範囲内、0.6ミクロン~75ミクロンの範囲内、0.65ミクロン~65ミクロンの範囲内、0.7ミクロン~50ミクロンの範囲内、0.75ミクロン~45ミクロンの範囲内、0.8ミクロン~40ミクロンの範囲内、0.85ミクロン~35ミクロンの範囲内、0.9ミクロン~30ミクロンの範囲内、更には0.95ミクロン~25ミクロンの範囲内といった0.15ミクロン~500ミクロンの範囲内の厚さTTELを有しうる。他の実施形態において、熱的向上層104aは、0.2ミクロン~250ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~150ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~125ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~100ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~95ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~90ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~85ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~80ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~75ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~70ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~65ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~60ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~50ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~25ミクロンの範囲内、更には0.2ミクロン~10ミクロンの範囲内といった0.2ミクロン~500ミクロンの範囲内の厚さTTELを有しうる。より特定の実施形態において、熱的向上層104aは、100ミクロン~200ミクロンの厚さTTELを有しうる。
【0023】
一実施形態において、保持層104bは、0.2ミクロン~200ミクロンの範囲内、0.3ミクロン~150ミクロンの範囲内、0.35ミクロン~125ミクロンの範囲内、0.4ミクロン~115ミクロンの範囲内、0.45ミクロン~100ミクロンの範囲内、0.5ミクロン~90ミクロンの範囲内、0.55ミクロン~85ミクロンの範囲内、0.6ミクロン~75ミクロンの範囲内、0.65ミクロン~65ミクロンの範囲内、0.7ミクロン~50ミクロンの範囲内、0.75ミクロン~45ミクロンの範囲内、0.8ミクロン~40ミクロンの範囲内、0.85ミクロン~35ミクロンの範囲内、0.9ミクロン~30ミクロンの範囲内、更には0.95ミクロン~25ミクロンの範囲内といった0.15ミクロン~500ミクロンの範囲内の厚さTRを有しうる。他の実施形態において、保持層104bは、0.2ミクロン~250ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~150ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~125ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~100ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~95ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~90ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~85ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~80ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~75ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~70ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~65ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~60ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~50ミクロンの範囲内、0.2ミクロン~25ミクロンの範囲内、更には0.2ミクロン~10ミクロンの範囲内といった0.2ミクロン~500ミクロンの範囲内の厚さTRを有しうる。より特定の実施形態において、保持層104bは、100ミクロン~200ミクロンの厚さTRを有しうる。
【0024】
一実施形態において、
図1~3を参照し、トレランスリング100は、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも25mm、少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mmの内半径R
R1を有しうる。内半径R
R1は、150mm以下、125mm以下、100mm以下、90mm以下、75mm以下、50mm以下としうる。トレランスリング100は、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも25mm、少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mmの外半径R
R2を有しうる。トレランスリング100は、150mm以下、125mm以下、100mm以下、90mm以下、75mm以下、50mm以下の外半径R
R2を有しうる。より特定の実施形態において、トレランスリング100は、3mm~150mmの外半径R
R2を有しうる。
【0025】
一実施形態において、トレランスリング100は、軸方向端部115、117間で測定し、500mm以下、250mm以下、150mm以下、100mm以下、50mm以下、25mm以下の軸方向長さLRを有することができる。トレランスリング100は、軸方向端部115、117間で測定し、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも25mm、少なくとも50mm、少なくとも100mm、少なくとも250mmの軸方向長さLRを有することができる。より特定の実施形態において、トレランスリング100は、6mm~250mmの軸方向長さLRを有することができる。内半径RR1は、軸方向長さLRに沿って変化しうる。外半径RR2は、軸方向長さLRに沿って変化しうる。
【0026】
図1~4を参照し、幾つかの実施形態において、少なくとも1つの突出部120が、トレランスリング100に少なくとも部分的に連結されうる。一実施形態において、突出部120をトレランスリング100に形成しうる。突出部120は、側壁部103とモノリシックなものとすることができる。すなわち、突出部120は、側壁部103と単一構造を有しうる。他の特定の実施形態において、突出部120の少なくとも1つは、側壁部103に取り付けられた別体の部品を備えうる。例えば、その別体の部品は、接着剤、溶接、圧着、又は当該技術分野において理解される任意の他の適切なプロセスによって、側壁部103に取り付けうる。一実施形態において、突出部120は、トレランスリング103の側壁部103の軸方向縁部115、117の軸方向内方に位置付けうる。一実施形態において、少なくとも1つの突出部120は、側壁部103から径方向外方に延在又は突出できる。一実施形態において、少なくとも1つの突出部120は、側壁部103から径方向内方に延在又は突出できる。一実施形態において、
図1~3に示すように、少なくとも1つの突出部120は、トレランスリングの側壁部103の周方向下方に配向させることができる。代替の実施形態において、少なくとも1つの突出部120は、トレランスリングの側壁部103の軸方向下方に配向させることができる。突出部120は、径方向に延在させてもよい。一実施形態において、突出部120は、中心軸線600から離れるように径方向に延在させてもよい。一実施形態において、突出部120は、自己完結型の個別の構造体としてもよく、組立て前に塗布されたグリースを保持してその後の漏出を低減又は最少化するようにしてもよい。
【0027】
図示のように、トレランスリング100は、1列又は1連の突出部120を含むことができる。他の態様において、トレランスリング100は、2列又は2連の突出部120や、3列又は3連の突出部120等を含むことができる。更に、突出部120の総数NWSは、各列において、≧4、≧5、≧6、≧7、≧8、又は≧9といった≧3とすることができる。更に、NWS≦30、≦25、≦20、又は≦15である。NWSは、上述のNWS値のいずれかの間且つそれらを含む範囲内とすることができる。
【0028】
一実施形態において、複数の突出部120を、少なくとも2つの周方向に延在する列に配置することができる。特定の実施形態において、複数の突出部120を、少なくとも4つの周方向に延在する列、少なくとも5つの周方向に延在する列、又は更には少なくとも6つの周方向に延在する列といった少なくとも3つの周方向に延在する列に配置しうる。他の実施形態において、複数の突出部120を、15以下の周方向に延在する列、10以下の周方向に延在する列、又は更には7以下の周方向に延在する列といった25以下の周方向に延在する列に配置することができる。
【0029】
一実施形態において、突出部120は、それぞれ軸方向の分岐する線を画定することができる。一実施形態において、少なくとも2つの突出部120の軸方向の分岐する線を、平行に配向することができる。すなわち、少なくとも2つの突出部120を互いに平行に配向することができる。より特定の実施形態において、突出部120の全てを、互いに平行に配向することができる。
【0030】
一実施形態において、少なくとも2つの突出部120は、側壁部103から異なる方向に延在することができる。より特定の実施形態において、少なくとも2つの突出部120は、内部側壁部103a及び外部側壁部103bから対向する径方向に延在することができる。より特定の実施形態において、少なくとも2つの突出部120は、対向する軸方向に延在することができる。一実施形態において、少なくとも2つの突出部120は、互いに離れる方向に延在することができる。すなわち、少なくとも2つの突出部120の側部が、突出部120の他の部分よりも互いに近くなりうる。
【0031】
各突出部120は、その幅と比較したその長さによって測定されるアスペクト比を画定することができる。突出部120の長さは、軸方向又は周方向における突出部120の長さ及び幅のうち、大きい方の寸法として定義しうる。突出部の幅は、軸方向又は周方向における突出部120の長さ及び幅のうち、小さい方の寸法として定義しうる。一実施形態において、突出部120の少なくとも1つは、少なくとも1.5:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1、又は更には少なくとも10:1といった少なくとも1.1:1のアスペクト比を有することができる。一実施形態において、アスペクト比は、50:1以下、又は更には25:1以下といった100:1以下とすることができる。
【0032】
突出部120は、例えば、スタンピングやプレシング、パンチング、カッティングといったプロセスにより形成しうる。一実施形態において、突出部120の少なくとも1つは、側壁部103の形成前、例えば、平坦なシートを巻いて側壁部103を形成する前に形成しうる。一実施形態において、突出部120の少なくとも1つは、側壁部103の形成後、例えば、平坦なシートを巻いて側壁部103を形成した後に形成しうる。
【0033】
一実施形態において、突出部120の少なくとも2つは、互いに対して同じ幾何学的形状又は大きさを有しうる。更なる実施形態において、突出部120の全ては、互いに対して同じ幾何学的形状又は大きさを有しうる。他の実施形態において、突出部120の少なくとも2つは、互いに対して異なる幾何学的形状又は大きさを有しうる。更なる実施形態において、突出部120の全ては、互いに対して異なる幾何学的形状又は大きさを有しうる。
【0034】
突出部120は、力の伝達又はばね部材物性について慎重に選択・設計しうる。突出部120の幾何学形状は、所望の弾性/塑性変形特性を与えるように選択しうる。例えば、突出部120の少なくとも1つを、突出部120の回転移動又は軸方向移動を変化させるように、他の突出部120に対して幾何学形状を変化させうる。変形特性は、内側及び外側部材302、306の製造時の部材公差を考慮するだけではなく、動作時に異種部品間で起こりうる熱膨張差及び摩耗差を補償するように選択することによって、全体的に部材が所望の性能を発揮するのを確保しうる。これらの設計は、組み立てられた部品302、306が昇温時に緩まないことを確実にするためにゼロクリアランスのトレランスリング100に適用可能である。
【0035】
図1~3に最も良く図示するように、突出部120は、断面が多角形状としうる。幾つかの実施形態において、突出部120は、多角形状、円形状、又は半円形状断面を有しうる。幾つかの実施形態において、突出部120は、少なくとも1つのショルダー付き又はショルダー無しの波形構造230を含みうる。少なくとも1つの波形構造230は、波形長さL
Wを含むことができる。幾つかの実施形態において、各波形構造230は、波形本体240と、波形本体240の第1側部にある第1波形側部242と、第1波形側部242とは反対側の波形本体の第2側部にある第2波形側部244とを含むことができる。各波形本体240は、上側非形成バンド220と下側非形成バンド222との間に延在する高台部250を形成する概してアーチ形状の構造を含むことができる。各波形本体240は、上側非形成バンド220と下側非形成バンド102との間に延在する概してアーチ形状の構造を含むことができる。波形構造230は、第1ショルダー246と、第2ショルダー248とを有しうる。波形構造は、第1ショルダー246及び第2ショルダー248が軸方向に延在するように
図1に示すように配向されてもよいし、第1ショルダー246及び第2ショルダー248が径方向に延在するように配向されてもよい。他の実施形態において、突出部120は、より小さい上側非形成バンド220と、下側非形成バンド222とで平坦な高台部250を含みうる。
【0036】
図3に最も良く図示するように、各波形本体240は、実施形態に応じて波形側部242、244の形成前に波形本体240の外周又は形状を表す概して矩形状のフットプリント252を含むことができる。フットプリント252は、非形成バンド220、222と、隣接する非形成部分224とに囲繞されうる。高台部250は、フットプリント252の径方向縁部を画定しうる。フットプリント252は、フットプリント長さL
WBFと、フットプリント幅W
WBFとを有することができる。突出部120又は高台部250は、側壁部103から突出部120又は高台部250の頂点まで測定される高さH
Pを有しうる。特定の態様において、外半径R
R2は、突出部120又は高台部250の高さH
Pに基づくことができる。H
Pは、≦4%R
R2、≦3%R
R2、≦2%R
R2、又は≦1%R
R2といった≦5%R
R2とすることができる。H
Pは、≧0.2%R
R2、≧0.3%R
R2、≧0.4%R
R2、又は≧0.5%R
R2といった≧0.1%R
R2とすることができる。更に、H
Pは、上記%R
R2値のいずれかの間且つそれらを含む範囲内とすることができる。各波形側部242、244は、長さL
WSを含むことができる。L
WSは、≧101%L
WBF、≧102%L
WBF、≧103%L
WBF、≧104%L
WBF、又は≧105%L
WBFといった≧L
WBFとすることができる。L
WSはまた、≦120%L
WBF、≦115%L
WBF、又は≦110%L
WBFといった≦125%L
WBFとすることができる。更に、L
WSは、上記%L
WBF値のいずれかの間且つそれらを含む範囲内とすることができる。
【0037】
波形側部242、244は、第1波形側部242の最外垂直縁部260と第2波形側部244の最外垂直縁部262との間で測定される全幅WWSを含むことができる。WWSは、≧101%WWBF、≧102%WWBF、≧103%WWBF、≧104%WWBF、又は≧105%WWBFといった≧WWBFとすることができる。更に、WWSは、≦145%WWBF、≦140%WWBF、≦135%WWBF、≦130%WWBF、又は≦125%WWBFといった≦150%WWBFである。更に、WWSは、上記%WWBF値のいずれかの間且つそれらを含む範囲内とすることができる。
【0038】
特定の態様において、
図3に例示するように、各波形本体240は、各波形本体240と上側非形成バンド220又は下側非形成バンド222との接触面で測定される底幅W
WBB、及び、各波形本体240の頂点で測定される頂点幅W
WBPを備える。W
WBPは、≦75%W
WBB、≦70%W
WBB、≦65%W
WBB、≦60%W
WBB、≦55%W
WBB、又は≦50%W
WBBといった≦W
WBBとすることができる。他の態様において、W
WBPは、≧30%W
WBB、≧35%W
WBB、又は≧40%W
WBBといった≧25%W
WBBとすることができる。更に、W
WBPは、上記5%W
WBB値のいずれかの間且つそれらを含む範囲内とすることができる。
【0039】
波形本体240のフットプリント250は、HWBF×WWBFに等しい面積AFPを含むことができる。波形側部242、244は共に、各波形構造230において非形成部分224及び波形本体240から高さを除去又は変更された材料の表面積に等しい総面積AWSを含むことができる。AWSは、≦80%AFP、≦75%AFP、≦70%AFP、≦65%AFP、又は≦60%AFPといった≦AFPとすることができる。他の態様において、AWSは、≧25%AFP、≧30%AFP、≧35%AFP、≧40%AFP、≧45%AFP、又は≧50%AFPとすることができる。更に、AWSは、上記%AFP値のいずれかの間且つそれらを含む範囲内とすることができる。
【0040】
他の態様において、AWSは、波形本体のフットプリントAOFPと重なり合う面積と、1つ以上の非形成部分、上側非形成バンド、下側非形成バンド又はそれらの組み合わせAOUと重なり合う面積とを備える。AOUは、≦45%AOFP、≦40%AOFP、≦35%AOFP、≦30%AOFP、又は≦25%AOFPといった≦AOFPとすることができる。更に、AOUは、≧2%AOFP、≧3%AOFP、≧4%AOFP、又は≧5%AOFPといった≧1%AOFPとすることができる。AOUは、上記%AOFP値のいずれかの間且つそれらを含む範囲内とすることができる。
【0041】
更に他の態様において、AOUは、≦30%AWS、≦25%AWS、≦20%AWS、又は≦15%AWSといった≦AWSとすることができる。また、AOUは、≧2%AWS、≧3%AWS、≧4%AWS、又は≧5%AWSといった≧1%AWSとすることができる。AOUは、上記%AWS値のいずれかの間且つそれらを含む範囲内とすることができる。
【0042】
他の態様において、AOFPは、≧75%AWS、≧80%AWS、又は≧85%AWSといった≧70%AWSとすることができる。更に、AOFPは、≦99%AWS、≦98%AWS、≦97%AWS、≦96%AWS、又は≦95%AWSといった≦AWSとすることができる。AOFPは、上記AWS値のいずれかの間且つそれらを含む範囲内とすることができる。
【0043】
図3は、各波形側部242、244が、波形本体240に隣接し波形本体240の第1側縁部及び第2側縁部を形成する内側弓形端部270、272を含むことができることを示す。各弓形端部270、272は、≧101%H
WBF、≧102%H
WBF、≧103%H
WBF、≧104%H
WBF、又は≧105%H
WBFといった≧H
WBFとすることができるアーク長L
AE及びL
AEを含むことができる。他の態様において、L
AEは、≦175%H
WBF、≦150%H
WBF、≦145%H
WBF、≦140%H
WBF、≦135%H
WBF、≦130%H
WBF、又は≦125%H
WBFといった≦200%H
WBFとすることができる。L
AEはまた、上記%H
WBF値のいずれかの間且つそれらを含む範囲内とすることができる。
【0044】
他の態様において、各非形成部分224は、WWBBと略同じ幅WUSを含むことができる。この態様において、WUSは、≧65%WWBB、≧70%WWBB、≧75%WWBB、≧80%WWBB、≧85%WWBB、≧90%WWBB、≧95%WWBB、≧96%WWBB、≧97%WWBB、≧98%WWBB、≧99%WWBB、又は≧100%WWBBといった≧60%WWBBとすることができる。更に、WUSは、≦120%WWBB、≦115%WWBB、≦110%WWBB、≦105%WWBB、≦104%WWBB、≦103%WWBB、≦102%WWBB、又は≦101%WWBBといった≦125%WWBBとすることができる。WUSはまた、上記%WWBB値のいずれかの間且つそれらを含む範囲内とすることができる。
【0045】
図5A~5Bは、例えば幾つかの実施形態に係る
図1~3に示すトレランスリング100を組み込んだアセンブリ2を図示する。アセンブリ2は、これに限定はされないがハウジング等の外側部材302を更に含む。外側部材302は、中心軸線600に沿って、第1軸方向端部305と、第2軸方向端部307とを有しうる。外側部材302は、そこに形成されて、これに限定はされないがステーター等の内側部材306を受容するボア304を含みうる。ボア304は、中心軸線600に対して径方向又は軸方向の少なくとも1つに設けうる。内側部材306は、第1軸方向端部315と、第2軸方向端部317とを有しうる。幾つかの実施形態において、内側部材306は発熱する。言い換えると、内側部材306は、放射、伝導又は対流を介して発熱するサブアセンブリの一部としうる。トレランスリング100は、外側部材302と内側部材306との間に嵌合を与えるのに使用しうる。トレランスリング100をアセンブリ2において内側又は外側部材302、306に装着する際、突出部120が、他方の部品302、306の軸方向設置を助けるガイドとして働きうる。幾つかの実施形態において、トレランスリング100の突出部120は、ハウジング又は外側部材302に向かってアセンブリ2における径方向外方に向きうる。幾つかの実施形態において、トレランスリング100の突出部120は、ステーター又は内側部材306に向かってアセンブリ2における径方向内方に向きうる。アセンブリ2はまた、ローター350を含みうる。ローター350は、中心軸線600に沿って、第1軸方向端部355と、第2軸方向端部357とを有しうる。ローター350は、シャフト351と、複数のブレード352とを含みうる。ローター350は、アセンブリ2のボア304内部で回転あるいは移動して、ローターの軸線周りにトルクを生成したり、発電機アセンブリ(これに限定はされないがオルタネーターアセンブリを含む)やモーターアセンブリ、エンジンアセンブリ、クラッチアセンブリ、保持機構等のアセンブリにおいて電気を生成したりしうる。
【0046】
幾つかの実施形態において、環状間隙206が、内側部材306の外側表面308と、ボア304の内側表面310との間に存在しうる。この環状間隙206の大きさは、内側部材306及びボア304の直径が上に列記したトレランスリングの寸法内で変化しうるため、可変としうる。幾つかの実施形態において、トレランスリング100は、内側部材306と外側部材302との間で径方向に圧縮されて、外側部材302に対して外方且つ内側部材306に対して内方に径方向力を加えてそれらの位置関係を維持するように適合された内半径RR1及び外半径RR2を有しうる。幾つかの実施形態において、トレランスリング100は、内側部材306又は外側部材302の少なくとも1つに固定されなくてもよい。幾つかの実施形態において、トレランスリング100は、形状ばめ、圧力ばめ、又は結合(これに限定はされないが接着剤結合を含む)を介して、内側部材306又は外側部材302の少なくとも1つに固定されてもよい。使用される接着剤は、これらに限定はされないがフッ素重合体、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミド共重合体、エチレン酢酸ビニール、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ETFE共重合体、パーフルオロアルコキシ(PFA)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、環状部材技術において一般的な任意の既知の接着剤材料を含みうる。ボア304内部での内側部材306の振動を防止するために、環状間隙206にトレランスリング100を埋設して、部品間にゼロクリアランス嵌合を形成しうる。トレランスリング100は、アセンブリ2における部品302、306間にクリアランスが無くなるように間隙をゼロに減じることができる。
【0047】
一実施形態において、外側部材302は、回転する電動モーター、発電機、又はオルタネーターアセンブリの技術において一般的に使用される任意の材料を含むことができる。外側部材302は、軸方向及び長手方向の力に耐えるのに十分な剛性をもつ任意の適切な材料を備えることができる。特定の実施形態において、外側部材302は、射出成形された重合体を備えることができる。他の実施形態において、外側部材302は、機械加工プロセスにより形成された金属又は合金(これらに限定はされないがアルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、錫、白金、チタン、タングステン、鉛、鉄、青銅、鋼、ばね部材鋼、ステンレス鋼等)を備えることができる。更に他の実施形態において、外側部材302は、セラミック又は任意の他の適切な材料を備えることができる。外側部材302は、単一の部品、2つの部品、又は溶接、接着剤、締結具、ねじ切り又は任意の他の適切な締結手段により互いに接合された幾つかの部品から形成することができる。
【0048】
一実施形態において、外側部材302は、中心軸線600から、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも30mm、少なくとも40mmの内半径ROC1を有しうる。内半径ROC1は、5mm以下、10mm以下、15mm以下、20mm以下、30mm以下、40mm以下としうる。外側部材302は、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも30mm、少なくとも40mmの外半径ROC2を有しうる。外半径ROC2は、5mm以下、10mm以下、15mm以下、20mm以下、30mm以下、40mm以下としうる。
【0049】
一実施形態において、外側部材302は、軸方向端部115、117間で測定し、5mm以下、10mm以下、15mm以下、20mm以下、30mm以下、40mm以下の軸方向長さLOCを有することができる。外側部材302は、軸方向端部115、117間で測定し、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも30mm、少なくとも40mmの軸方向長さLOCを有することができる。内半径ROC1は、軸方向長さLOCに沿って変化しうる。外半径ROC2は、軸方向長さLOCに沿って変化しうる。
【0050】
一実施形態において、内側部材306は、回転する電動モーター、発電機、又はオルタネーターアセンブリの技術において一般的に使用される任意の材料を含むことができる。内側部材306は、軸方向及び長手方向の力に耐えるのに十分な剛性をもつ任意の適切な材料を備えることができる。特定の実施形態において、内側部材306は、射出成形された重合体を備えることができる。他の実施形態において、内側部材306は、機械加工プロセスにより形成された金属又は合金(これらに限定はされないがアルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、錫、白金、チタン、タングステン、鉛、鉄、青銅、鋼、ばね部材鋼、ステンレス鋼等)を備えることができる。更に他の実施形態において、内側部材306は、セラミック又は任意の他の適切な材料を備えることができる。内側部材306は、単一の部品、2つの部品、又は溶接、接着剤、締結具、ねじ切り又は任意の他の適切な締結手段により互いに接合された幾つかの部品から形成することができる。
【0051】
一実施形態において、内側部材306は、中心軸線600から、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも30mm、少なくとも40mmの内半径RIC1を有しうる。内半径RIC1は、5mm以下、10mm以下、15mm以下、20mm以下、30mm以下、40mm以下としうる。内側部材306は、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも30mm、少なくとも40mmの外半径RIC2を有しうる。外半径RIC2は、5mm以下、10mm以下、15mm以下、20mm以下、30mm以下、40mm以下としうる。
【0052】
一実施形態において、内側部材306は、軸方向端部115、117間で測定し、5mm以下、10mm以下、15mm以下、20mm以下、30mm以下、40mm以下の軸方向長さLICを有することができる。内側部材306は、軸方向端部115、117間で測定し、少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも15mm、少なくとも20mm、少なくとも30mm、少なくとも40mmの軸方向長さLICを有することができる。内半径RIC1は、軸方向長さLICに沿って変化しうる。外半径ROC2は、軸方向長さLICに沿って変化しうる。
【0053】
使用時、トレランスリング100のバンド102は、アセンブリ2における部品302、306間に配置されたとき、弾性的に変形しうる。部品302、306の他方は、部品302、306間の間隙206においてトレランスリングを圧縮して好ましくは突出部120のみが変形するように、アセンブリ2に装着しうる。この変形は、突出部120の形状及び/又はプロファイル並びに間隙206の大きさに応じて、弾性的又は塑性的としうる。
【0054】
幾つかの実施形態において、トレランスリング100(基材119及び被覆層104を含む)は、内側部材306と外側部材302との間に熱伝達性を有しうる。幾つかの実施形態において、熱伝達性は、1000W/m2K以下、750W/m2K以下、500W/m2K以下、400W/m2K以下、300W/m2K以下、250W/m2K以下、200W/m2K以下、150W/m2K以下、125W/m2K以下、100W/m2K以下、75W/m2K以下、50W/m2K以下、25W/m2K以下、10W/m2K以下、又は5W/m2K以下としうる。幾つかの実施形態において、熱伝達性は、少なくとも10W/m2K、少なくとも25W/m2K、少なくとも50W/m2K、少なくとも75W/m2K、少なくとも100W/m2K、少なくとも125W/m2K、少なくとも150W/m2K、少なくとも200W/m2K、少なくとも250W/m2K、少なくとも300W/m2K、少なくとも400W/m2K、少なくとも500W/m2K、少なくとも750W/m2K、少なくとも1000W/m2K、少なくとも1500W/m2Kとしうる。幾つかの実施形態において、熱伝達性は、少なくとも300W/m2K且つ600W/m2K以下の範囲内としうる。
【0055】
幾つかの実施形態において、被覆層104(熱的向上層104a又は保持層104bのうち少なくとも1つを含む)は、内側部材306と外側部材302との間に熱伝導性を有しうる。幾つかの実施形態において、接触コンダクタンスは、1000W/m・K以下、750W/m・K以下、500W/m・K以下、400W/m・K以下、300W/m・K以下、250W/m・K以下、200W/m・K以下、150W/m・K以下、125W/m・K以下、100W/m・K以下、75W/m・K以下、50W/m・K以下、25W/m・K以下、10W/m2K以下、又は5W/m・K以下としうる。幾つかの実施形態において、熱伝導性は、少なくとも10W/m・K、少なくとも25W/m・K、少なくとも50W/m・K、少なくとも75W/m・K、少なくとも100W/m・K、少なくとも125W/m・K、少なくとも150W/m・K、少なくとも200W/m・K、少なくとも250W/m・K、少なくとも300W/m・K、少なくとも400W/m・K、少なくとも500W/m・K、少なくとも750W/m・K、少なくとも1000W/m・K、少なくとも1500W/m・Kとしうる。幾つかの実施形態において、熱伝導性は、少なくとも300W/m・K且つ600W/m・K以下の範囲内としうる。
【0056】
幾つかの実施形態において、被覆層104(熱的向上層104a又は保持層104bのうち少なくとも1つを含む)は、ビッカース硬さを有しうる。幾つかの実施形態において、ビッカース硬さは、600HV以下、550HV以下、500HV以下、450HV以下、400HV以下、350HV以下、300HV以下、325HV以下、315HV以下、300HV以下、250HV以下、200HV以下、150HV以下、100HV以下、又は50HV以下としうる。幾つかの実施形態において、ビッカース硬さは、少なくとも50HV、少なくとも75HV、少なくとも100HV、少なくとも150HV、少なくとも200HV、少なくとも250HV、少なくとも300HV、少なくとも350HV、少なくとも400HV、少なくとも450HV、少なくとも500HV、少なくとも550HV、少なくとも600HV、少なくとも650HV、少なくとも700HVとしうる。特定の実施形態において、ビッカース硬さは、少なくとも300HV且つ400HV以下の範囲内としうる。
【0057】
一実施形態において、トレランスリング100は、部材306及び外側部材302に対して、長手方向の少なくとも2kgf、少なくとも3kgf、少なくとも4kgf、少なくとも5kgf、少なくとも10kgf、又は更には少なくとも15kgfといった少なくとも1kgfの組立て力Afによりアセンブリ2に設置又は組み付けることができる。更なる実施形態において、アセンブリ2は、19kgf以下、18kgf以下、17kgf以下、又は更には16kgf以下といった20kg以下の組立て力Afによりに設置又は組み付けることができる。
【0058】
一実施形態において、トレランスリング100は、部材306及び外側部材302に対して、長手方向の少なくとも2kgf、少なくとも3kgf、少なくとも4kgf、少なくとも5kgf、少なくとも10kgf、又は更には少なくとも15kgfといった少なくとも1kgfの保持力Rfを与えることができる。更なる実施形態において、トレランスリング100は、19kgf以下、18kgf以下、17kgf以下、又は更には16kgf以下といった20kg以下の保持力Rfを与えることができる。幾つかの実施形態において、Rf>0.2Af、Rf>0.3Af、Rf>0.4Af、Rf>0.5Af、Rf>0.6Af、Rf>0.7Af、Rf>0.8Af、Rf>0.9Af、又はRf>1AfといったRf>0.1Afである。
【0059】
幾つかの実施形態において、トレランスリング100(基材119及び被覆層104を含む)は、内側部材306と外側部材302との間に、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は少なくとも99.9%といった少なくとも5%の環状接触面積率を有しうる。幾つかの実施形態において、トレランスリング100(基材119及び被覆層104を含む)は、内側部材306と外側部材302との間に、99.5%以下、99%以下、97%以下、95%以下、92%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、50%以下、35%以下、25%以下、10%以下、又は5%以下といった99.9%以下の環状接触面積率を有しうる。幾つかの実施形態において、トレランスリング100(基材119及び被覆層104を含む)は、内側部材306と外側部材302との間に、70%~99.5%の範囲内の環状接触面積率を有しうる。
【0060】
幾つかの実施形態において、トレランスリング100(基材119及び被覆層104を含む)は、外側部材302と、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、又は更には0.1以下といった0.95以下の摩擦係数μを有する。幾つかの実施形態において、トレランスリング100(基材119及び被覆層104を含む)は、外側部材302と、0.07以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、又は更には0.3以上といった0.05以上の摩擦係数μを有する。幾つかの実施形態において、トレランスリング100(基材119及び被覆層104を含む)は、外側部材302と、0.12~0.95の範囲内の摩擦係数μを有しうる。
【0061】
幾つかの実施形態において、被覆層104(少なくとも保持層104bを含む)は、外側部材302と、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、又は更には0.1以下といった0.95以下の摩擦係数μ1を有しうる。幾つかの実施形態において、被覆層104(少なくとも保持層104bを含む)は、外側部材302と、0.07以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、又は更には0.3以上といった0.05以上の摩擦係数を有しうる。幾つかの実施形態において、被覆層104(少なくとも保持層104bを含む)は、外側部材302と、0.12~0.95の範囲内の摩擦係数μ1を有しうる。
【0062】
幾つかの実施形態において、基材119は、外側部材302と、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下、又は更には0.1以下といった0.95以下の摩擦係数μ2を有しうる。幾つかの実施形態において、基材119は、外側部材302と、0.07以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、又は更には0.3以上といった0.05以上の摩擦係数μ2を有しうる。幾つかの実施形態において、基材119は、外側部材302と、0.12~0.95の範囲内の摩擦係数μ2を有しうる。幾つかの実施形態において、μ1>μ2、μ1>1.1μ2、μ1>1.2μ2、μ1>1.5μ2、μ1>2μ2、又はμ1>3μ2といったμ1>μ2である。
【0063】
幾つかの実施形態において、トレランスリング100(基材119及び被覆層104を含む)は、少なくとも約2ミクロン、又は約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、又は更には少なくとも約100ミクロンといった少なくとも約1ミクロンの表面粗さを有することができる。トレランスリング100(基材119及び被覆層104を含む)の表面粗さは、約150ミクロン以下、約100ミクロン以下、又は更には約80ミクロン以下といった約200ミクロン以下とすることができる。幾つかの実施形態において、トレランスリング100(基材119及び被覆層104を含む)は、1~100ミクロンの範囲内の表面粗さを有しうる。
【0064】
幾つかの実施形態において、トレランスリング100は、内側又は外側部材302、306の1つに固定しうる。例えば、トレランスリング100は、バンド102の弾性把持によって、内側部材306に固定又は保持しうる。この例において、被覆層104は、バンド102の内側表面上にのみ設けられ、突出部120は、バンド102から、例えば外側部材302に向かって径方向外方に延在しうる。幾つかの実施形態において、外側表面は、被覆層104を有さなくてもよく、これにより、相対運動に対してより抵抗を付与しうる。トレランスリング100のボア304内部での望まれない移動が防止されうる。また、外側部材302又は内側部材306のボア304内部での望まれないが防止されうる。幾つかの実施形態において、外側部材302と、バンド102の外側表面との接触面には、トレランスリング100を外側部材302に対して定位置に保持するのに十分な摩擦力がありうる。トレランスリング100は、その表面とバンド102との間の接触領域における摩擦係合によって外側部材302又は内側部材306に対して固定させることができ、トレランスリング100の嵌合のために外側部材302と内側部材306との間に起こる径方向、軸方向又は周方向の移動が非常に小さくか、略又は全く無くなるように径方向圧縮が付与される。
【0065】
トレランスリング100は、意図される特定の力制御用途に必要なばね部材特性を実現するように設計されうる突出部120を有して形成しうる。これにより、トレランスリング100を、トレランスリング幾何学形状の変化のみにより実現される通常の性能の範囲内では不可能な力制御機能を満足するように設計できる。
【0066】
典型的に、アセンブリ2の嵌め合い部材及びトレランスリングの突出部120は、それら自体が所定の公差内における寸法変化性を有する。従って、突出部120の実際の圧縮量、ひいてはアセンブリ2内に発生する力は、アセンブリ2毎にばらつきうる。しかしながら、突出部120がそれらの「弾性領域」を超えて圧縮される場合、それらは次第により塑性的に挙動し、それ以上の圧縮による力の更なる増加を制限する。この効果は、突出部120がそれらの「塑性領域」まで圧縮されるように設計される場合、トレランスリング100が摺動力制御(軸方向又は回転方向のいずれか)を付与して圧縮変動による力変動を最少化する場合に重要となりうる。
【0067】
上述のように、突出部120は、バンド102から離れて突出するように配置されて内側及び外側部材302、306の一方と、複数の個別の接触面を設けるようにしてもよい。突出部120は、変形又は圧縮するように構成しうる。これは、荷重力を内側及び外側部材302、306間においてトレランスリング100内に径方向に伝達させる個別の接触面における弾性変形を含みうる。各突出部120の形状及び大きさは、特定の用途に基づいて選択しうる。幾つかの実施形態において、突出部120は、内側及び外側部材302、306を安定的に位置付けそれらの間に径方向剛性を付与するように、比較的高い径方向力(例えば、200N以上)を伝達可能としうる。幾つかの変形例において、トレランスリングの突出部120は、内側及び外側部材302、306間に、約1200N/mm以上、約1300N/mm以上、約1500N/mm以上、約1700N/mm以上、約2000N/mm以上、約2100N/mm以上、約2200N/mm以上、約2300N/mm以上、約2400N/mm以上、約2500N/mm以上、約3000N/mm以上、約3500N/mm、又は更には約4000N/mm以上といった約1100N/mm以上等の約1000N/mm以上の径方向剛性を付与しうる。更に他の実施形態において、トレランスリングの突出部120は、内側及び外側部材302、306間に、約7000N/mm以下、約6500N/mm以下、約6000N/mm以下、約5500N/mm以下、又は更には約5000N/mm以下といった約7500N/mm以下の径方向剛性を付与しうる。各突出部120は、その縁部がバンド102に接触するフットプリント領域を備える。フットプリント領域の面積は比較的小さくてもよく、被覆層104と共に、摩擦力を低減する。
【0068】
更に他の態様によれば、内側部材306及び外側部材302を設けることを含む方法が提供されうる。この方法は、トレランスリング100を、内側部材306と外側部材302との間に設けることを更に含むことができ、トレランスリングが、径方向内方又は径方向外方に突出する複数の突出部を有し、トレランスリングが、基材と、熱的向上層及び保持層の少なくとも1つを含む被覆層とを含み、熱的向上層が、i)<400HVのビッカース硬さ又はii)>100W/m・Kの熱伝導性の少なくとも1つを含み、トレランスリングが、a)内側部材と外側部材との間に伝熱、b)保持層と外側部材との間に摩擦係数μ1及び基材と外側部材との間に摩擦係数μ2を付与し、μ1>μ2であり、又はc)内側部材と外側部材との間に保持力Rf、の少なくとも1つを付与するようになっており、アセンブリが、組立て力Afを有し、Rf>0.1Afである。
【0069】
幾つかの実施形態において、アセンブリ2は、
図5A~5Bに示すように、低重量及び空間要件;アセンブリ2の衝撃、ショック及び振動の良好な緩衝;低い設置及び維持労力;部品数又は部品の複雑さの低減;より小さい公差要件;より単純な組み立て手順;より単純な機構;ステーターの振動からベアリング(palier)を分離するジョイント剛性の低減;磁気ノイズ品質の向上;グリース-フリー動作;又は腐食抵抗の少なくとも1つを提供することによって、一般的に使用されている摺動又は回転アセンブリと差別化しうる。幾つかの実施形態において、トレランスリング100は、内側部材306及び外側部材302の表面の微小空洞をトレランスリング100の被覆層104で充填することによって、且つ/又は、突出部120の形状を変化させて内側部材306又は外側部材302の少なくとも1つとの接触をより作り出すことによって、トレランスリングでこれらの部材間のジョイント伝導性を高めることにより熱伝達の向上を提供しうる。幾つかの実施形態において、トレランスリング100は、アセンブリ2の使用中、内側部材306又は外側部材302の少なくとも1つへの被覆層104の塗布により、内側部材306又は外側部材302の少なくとも1つとの保持力の向上を提供しうる。
【0070】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。それらの態様及び実施形態の幾つかを以下に説明する。この明細書を読んだ後、当業者であれば、それらの態様及び実施形態が単に例示的なものであり本発明の範囲を限定しないことは理解されよう。実施形態は、以下に列記したような実施形態の1つ以上によるものとしうる。
【0071】
実施形態1:基材と、<400HVのビッカース硬さ又は>100W/m・Kの熱伝導性の少なくとも1つを備える熱的向上層を備える被覆層とを備えるトレランスリングであって、径方向内方又は径方向外方に突出する複数の突出部を備え、熱的向上層が、トレランスリングの外部表面の一部を画定する、トレランスリング。
実施形態2:内側部材と、外側部材と、内側部材と外側部材との間に配置されたトレランスリングとを備えるアセンブリであって、トレランスリングが、径方向内方又は径方向外方に突出する複数の突出部を備え、トレランスリングが、基材と、保持層を備える被覆層とを備え、a)トレランスリングが、保持層と外側部材との間に摩擦係数μ1及び基材と外側部材との間に摩擦係数μ2を付与し、μ1>μ2であり、又は、b)トレランスリングが、内側部材と外側部材との間に保持力Rfを付与し、アセンブリが、組立て力Afを有し、Rf>0.1Afである、アセンブリ。
実施形態3:発熱する内側部材と、外側部材と、内側部材と外側部材との間に配置されたトレランスリングとを備えるアセンブリであって、トレランスリングが、径方向内方又は径方向外方に突出する複数の突出部を備え、トレランスリングが、基材と、熱的向上層及び保持層を備える被覆層とを備え、熱的向上層が、i)<400HVのビッカース硬さ又はii)>100W/m・Kの熱伝導性の少なくとも1つを備え、トレランスリングが、内側部材と外側部材との間に伝熱を付与するようになっており、トレランスリングが、保持層と外側部材との間に摩擦係数μ1及び基材と外側部材との間に摩擦係数μ2を付与し、μ1>μ2であり、トレランスリングが、内側部材と外側部材との間に保持力Rfを付与し、アセンブリが、組立て力Afを有し、Rf>0.1Afである、アセンブリ。
実施形態4:熱的向上層が、<400HVのビッカース硬さ及び>100W/m・Kの熱伝導性の両方を備える、実施形態1及び3のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
実施形態5:突出部が径方向外方に突出する、実施形態1~4のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
実施形態6:Rf>0.4Af、Rf>0.5Af、Rf>0.6Af、Rf>0.7Af、Rf>0.8Af、Rf>0.9Af又はRf>1AfといったRf>0.35Afである、実施形態2~5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
実施形態7:内側部材がステーターを備え、外側部材がハウジングを備える、実施形態2~6のいずれか一項に記載のアセンブリ。
実施形態8:被覆層が、堆積されたコーティングを備える、実施形態1~7のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
実施形態9:被覆層が、クラッディングを備える、実施形態1~8のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
実施形態10:基材が、鋼を備える、実施形態1~9のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
実施形態11:金属が、炭素鋼又はステンレス鋼を備える、実施形態10に記載のトレラ
ンスリング又はアセンブリ。
実施形態12:熱的向上層が、亜鉛、銅、マグネシウム、ニッケル、錫、鉛、アルミニウム又はそれらの合金の少なくとも1つを備える金属を備える、実施形態1~11のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
実施形態13:被覆層が、10ミクロン~200ミクロンの範囲内の厚さを有する、実施形態1~12のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
実施形態14:基材が、0.075mm~0.8mmの範囲内の厚さを有する、実施形態1~13のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
実施形態15:トレランスリングが、3mm~150mmの範囲内の外半径を有する、実施形態1~14のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
実施形態16:トレランスリングが、軸方向間隙を有する、実施形態1~15のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
実施形態17:トレランスリングが、6mm~250mmの範囲内の長さを有する、実施形態1~16のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
実施形態18:突出部が、内側部材と外側部材との間において変形する、実施形態1~17のいずれか一項に記載のトレランスリング又はアセンブリ。
【0072】
本明細書は、最良の形態を含む例を使用しており、当該技術分野において通常の技術を有する者が本発明をなして利用するのを可能にする。本発明の特許付与可能な範囲は、請求項によって規定され、当業者が考えうる他の例を含みうる。そのような他の例は、それらが請求項の文言に対して差異のない構造的要素を有する場合、又は、それらが請求項の文言に対して差異が実質的でない均等な構造的要素を含む場合、請求項の範囲内にあると考えられる。例えば、実施形態は、フロントガラスワイパーモータやトレランスリングコラム調整機構等の軸方向摺動用途といった電動モーター等の回転装置に関しうる。
【0073】
実施形態を、幾つかの形態のみにおいて示し説明したが、それらが、限定的なものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を施すことができることは、当業者にとって明らかであろう。