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特許7266095パーフルオロポリエーテル化合物、潤滑剤および磁気ディスク
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  • 特許-パーフルオロポリエーテル化合物、潤滑剤および磁気ディスク 図1
  • 特許-パーフルオロポリエーテル化合物、潤滑剤および磁気ディスク 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】パーフルオロポリエーテル化合物、潤滑剤および磁気ディスク
(51)【国際特許分類】
   C07C 43/13 20060101AFI20230420BHJP
   C07C 43/23 20060101ALI20230420BHJP
   C07C 43/178 20060101ALI20230420BHJP
   C07C 205/06 20060101ALI20230420BHJP
   C07C 215/68 20060101ALI20230420BHJP
   C10M 105/54 20060101ALI20230420BHJP
   G11B 5/84 20060101ALI20230420BHJP
   G11B 5/72 20060101ALI20230420BHJP
   G11B 5/725 20060101ALI20230420BHJP
   G11B 5/82 20060101ALI20230420BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230420BHJP
   C10N 40/18 20060101ALN20230420BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20230420BHJP
【FI】
C07C43/13 D CSP
C07C43/23 E
C07C43/178 D
C07C205/06
C07C215/68
C10M105/54
G11B5/84 B
G11B5/72
G11B5/725
G11B5/82
C07B61/00 300
C10N40:18
C10N30:00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021536850
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2020025430
(87)【国際公開番号】W WO2021019998
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2019138121
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000146180
【氏名又は名称】株式会社MORESCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】相方 良介
(72)【発明者】
【氏名】清水 豪
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-503616(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物:
【化1】
式(1)中、aは1~5の整数であり、
は、水素原子、炭化水素基または前記炭化水素基の一部が極性基で置換されている基であり、
およびRはそれぞれ独立して、-CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH、-CHO(CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOC12O、-CHOCHCH(OH)CHOC10、またはCHOCHCH(OH)CHOC-Rであり、ここで、gは1~10の実数であり、Rは水素原子、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基またはアミド基であり、
Rfは下記式(2)で表され、
【化2】
式(2)中、b、cはそれぞれ0~50の実数であり、d、e、fはそれぞれ0~30の実数であり、ただし、b、c、d、e、fの少なくともいずれか1つは1以上の実数である。
【請求項2】
下記式(3)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物:
【化3】
式(3)中、aは1~5の整数であり、xは1~5の実数であり、
は、水素原子、炭化水素基または前記炭化水素基の一部が極性基で置換されている基であり、
およびRはそれぞれ独立して、-CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH、-CHO(CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOC12O、-CHOCHCH(OH)CHOC10、またはCHOCHCH(OH)CHOC-Rであり、ここで、gは1~10の実数であり、Rは水素原子、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基またはアミド基であり、
Rfは下記式(2)で表され、
【化4】
式(2)中、b、cはそれぞれ0~50の実数であり、d、e、fはそれぞれ0~30の実数であり、ただし、b、c、d、e、fの少なくともいずれか1つは1以上の実数である。
【請求項3】
およびR はそれぞれ独立して、-CH OCH CH(OH)CH OH、-CH OCH CH(OH)CH OCH CH(OH)CH OH、-CH OCH CH(OH)CH OC 12 O、-CH OCH CH(OH)CH OC 10 、またはCH OCH CH(OH)CH OC -R であり、ここで、R は水素原子、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基またはアミド基である、請求項1または2に記載のパーフルオロポリエーテル化合物。
【請求項4】
における極性基は、水酸基、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、チオール基、ニトロ基またはスルホン酸基である、請求項1~3のいずれか1項に記載のパーフルオロポリエーテル化合物。
【請求項5】
前記炭化水素基の炭素数は1~20である、請求項1~4のいずれか1項に記載のパーフルオロポリエーテル化合物。
【請求項6】
前記炭化水素基は、-CH CH 、-CH CH CH 、-CH CHCH 、-CH CH(CH 、-CH から選ばれる基である、請求項1~5のいずれか1項に記載のパーフルオロポリエーテル化合物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載のパーフルオロポリエーテル化合物を含む、潤滑剤。
【請求項8】
記録層、保護層および潤滑層がこの順に積層された磁気ディスクであって、
前記潤滑層は、請求項に記載の潤滑剤を含む、磁気ディスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーフルオロポリエーテル化合物、潤滑剤および磁気ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ディスクにおいては、基板上に形成された記録層の上に、記録層に記録された情報を保護するための保護層が形成され、保護層の上にさらに潤滑層が設けられた構成が主流である。
【0003】
磁気ディスク用表面潤滑剤に関する従来技術として、例えば特許文献1~4に記載の技術が知られている。特許文献1~4には種々のパーフルオロポリエーテル化合物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/084781号
【文献】国際公開第2010/038773号
【文献】特開2012-7008号公報
【文献】国際公開第2009/066784号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術は、潤滑層を、磁気ディスク、特に保護層と密着させるという観点から、未だ改善の余地があった。
【0006】
本発明の一態様は、磁気ディスク、特に保護層に対する優れた付着力を有する潤滑剤を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するパーフルオロポリエーテル化合物が、優れた付着力を有し、磁気ディスクの高速回転時においても、磁気ディスクと保護層が付着した状態を維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の態様を含む。
<1>脂肪族エーテルを介して2つのパーフルオロポリエーテルが結合した構造を有し、
前記脂肪族エーテルを構成する炭素原子に1級アルコールが結合している、パーフルオロポリエーテル化合物。
<2>下記式(1)で表される、<1>に記載のパーフルオロポリエーテル化合物:
【0008】
【化1】
【0009】
式(1)中、aは1~5の整数であり、
は、水素原子、炭化水素基または極性基であり、
およびRはそれぞれ独立して、-F、-CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH、-CHO(CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOC12O、-CHOCHCH(OH)CHOC10、またはCHOCHCH(OH)CHOC-Rであり、ここで、gは1~10の実数であり、Rは水素原子、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基またはアミド基であり、
Rfは下記式(2)で表され、
【0010】
【化2】
【0011】
式(2)中、b、cはそれぞれ0~50の実数であり、d、e、fはそれぞれ0~30の実数であり、ただし、b、c、d、e、fの少なくともいずれか1つは1以上の実数である。
<3>下記式(3)で表される、<1>に記載のパーフルオロポリエーテル化合物:
【0012】
【化3】
【0013】
式(3)中、aは1~5の整数であり、xは1~5の実数であり、
は、水素原子、炭化水素基または極性基であり、
およびRはそれぞれ独立して、-F、-CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH、-CHO(CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOC12O、-CHOCHCH(OH)CHOC10、またはCHOCHCH(OH)CHOC-Rであり、ここで、gは1~10の実数であり、Rは水素原子、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基またはアミド基であり、
Rfは下記式(2)で表され、
【0014】
【化4】
【0015】
式(2)中、b、cはそれぞれ0~50の実数であり、d、e、fはそれぞれ0~30の実数であり、ただし、b、c、d、e、fの少なくともいずれか1つは1以上の実数である。
<4><1>~<3>のいずれか1つに記載のパーフルオロポリエーテル化合物を含む、潤滑剤。
<5>記録層、保護層および潤滑層がこの順に積層された磁気ディスクであって、
前記潤滑層は、<4>に記載の潤滑剤を含む、磁気ディスク。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、磁気ディスク、特に保護層に対する優れた付着力を有する潤滑剤を実現できる化合物を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る磁気ディスクの構成を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る磁気ディスクの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
【0019】
〔1.パーフルオロポリエーテル化合物〕
本発明の一実施形態に係るパーフルオロポリエーテル化合物は、脂肪族エーテルを介して2つのパーフルオロポリエーテルが結合した構造を有し、前記脂肪族エーテルを構成する炭素原子に1級アルコールが結合している。
【0020】
上記パーフルオロポリエーテルとしては、例えば後述の式(2)で表される構造を有するパーフルオロポリエーテルが挙げられる。
【0021】
上記脂肪族エーテルは、1級アルコールが結合している炭素原子を含み、かつ、分子内に少なくとも1つ、好ましくは2つ以上のエーテル結合を有する。換言すれば、上記脂肪族エーテルは、1級アルコールに相当するヒドロキシアルキル基を有している。すなわち当該ヒドロキシアルキル基において、水酸基が結合した末端の炭素原子に水素原子が2つ結合している。このようなヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
【0022】
磁気ディスクを磁気ヘッドに十分に接近させるためには、磁気ディスクと磁気ヘッドの間に介在する潤滑剤に強い付着力が求められる。潤滑剤の付着力が弱いと、磁気ディスクの回転および磁気ヘッドの接近により潤滑剤が浮き上がり、磁気ヘッドの接近を阻害する要因となり得る。そのため、潤滑層と保護層とが密着して浮上量が小さくなる、強い付着力を有する潤滑剤が求められている。
【0023】
そこで本発明者は、現行品よりも付着性に優れる潤滑剤を開発するため、様々な検討を行った。付着性を向上させるためには、潤滑剤化合物の極性部位の割合を増加させることが有効であると考えられる。しかし、本発明者は、検討の結果、単に極性部位の割合を増加させるのみでは不十分であり、より強固に保護層に密着することができる極性部位を化合物分子中に導入することが必要であることを見出した。具体的に本発明者は、脂肪族エーテルを介して2つのパーフルオロポリエーテルが結合した構造を有し、前記脂肪族エーテルを構成する炭素原子に1級アルコールが結合している、パーフルオロポリエーテル化合物が、優れた付着力を有することを見出した。当該化合物を含む潤滑剤は、パーフルオロポリエーテル化合物分子の中央に第1級アルコールが存在するため、優れた付着力を有する。
【0024】
本明細書中、「優れた付着力を有する」潤滑剤かどうかは、実施例に記載のボンド率の評価を行うことにより、評価することができる。
【0025】
本発明の一実施形態に係るパーフルオロポリエーテル化合物は、例えば、下記式(1)または(3)で表される。
【0026】
【化5】
【0027】
式(1)中、aは1~5の整数であり、
は、水素原子、炭化水素基または極性基であり、
およびRはそれぞれ独立して、-F、-CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH、-CHO(CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOC12O、-CHOCHCH(OH)CHOC10、またはCHOCHCH(OH)CHOC-Rであり、ここで、gは1~10の実数であり、Rは水素原子、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基またはアミド基であり、
Rfは下記式(2)で表され、
【0028】
【化6】
【0029】
式(2)中、b、cはそれぞれ0~50の実数であり、d、e、fはそれぞれ0~30の実数であり、ただし、b、c、d、e、fの少なくともいずれか1つは1以上の実数である。
【0030】
【化7】
【0031】
式(3)中、aは1~5の整数であり、xは1~5の実数であり、
は、水素原子、炭化水素基または極性基であり、
およびRはそれぞれ独立して、-F、-CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH、-CHO(CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOC12O、-CHOCHCH(OH)CHOC10、またはCHOCHCH(OH)CHOC-Rであり、ここで、gは1~10の実数であり、Rは水素原子、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基またはアミド基であり、
Rfは下記式(2)で表され、
【0032】
【化8】
【0033】
式(2)中、b、cはそれぞれ0~50の実数であり、d、e、fはそれぞれ0~30の実数であり、ただし、b、c、d、e、fの少なくともいずれか1つは1以上の実数である。
【0034】
前記式(1)または(3)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物は、上述したR~Rおよび前記式(2)で表されるRfの任意の組み合わせを含む。
【0035】
における炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基は飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は直鎖状、分岐鎖状、または環状であってもよい。上記炭化水素基の炭素数は1~20であることが好ましく、1~10であることがより好ましい。Rにおける極性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、チオール基、スルホン酸基等が挙げられる。また、上述の炭化水素基の一部が極性基で置換されていてもよい。Rは、好ましくは、-H、-CHCH、-CHCHCH、-CHOH、-CHCHOH、-CHCHCH、-CHCH(CH、-CH、-CHNO、または-CHNHである。
【0036】
およびRとしては、例えば、-F、-CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH、-CHO(CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOC12O、-CHOCHCH(OH)CHOC10、-CHOCHCH(OH)CHOC-R等が挙げられる。RおよびRは、好ましくは、-CHOCHCH(OH)CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH、-CHOCHCH(OH)CHOC12O、-CHOCHCH(OH)CHOC10、または-CHOCHCH(OH)CHOC-Rである。
【0037】
としては、例えば、水素原子、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、アミノ基、アミド基が挙げられる。Rは、好ましくは、水酸基、アルコキシ基である。
【0038】
Rfとしては、例えば、デムナム骨格:-(CFCFCFO)-、フォンブリン骨格:-(CFO)(CFCFO)-、C2骨格:-(CFCFO)-、C4骨格:-(CFCFCFCFO)-、クライトックス骨格:-(CF(CF)CFO)-が挙げられる。前記骨格中、b、c、d、e、fは1~15の実数である。なお、フォンブリン骨格においてCFOとCFCFOとはランダムに繰り返され得る。
【0039】
〔2.パーフルオロポリエーテル化合物の製造方法〕
本発明の一実施形態に係るパーフルオロポリエーテル化合物の製造方法は、特に限定されるものではない。式(1)で表される前記パーフルオロポリエーテル化合物は、例えば、片方の末端に水酸基を有し、かつ他方の末端に水酸基を有するアルコキシ基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(a)と、エポキシ基を有するアルキル化合物(A-1)と、を反応させることにより得られる。
【0040】
エポキシ基を有するアルキル化合物(A-1)は、上述の「炭素原子に1級アルコールが結合している脂肪族エーテル」に相当する部位を構成する。また、化合物(a)における片方の末端の水酸基は、脂肪族エーテルと結合する部位であり、他方の末端の水酸基を有するアルコキシ基は式(1)の化合物の末端、すなわち、RおよびRに相当する部位を構成する。RおよびRが-Fまたは-CHOH等、アルコキシ基ではない式(1)の化合物を得る場合は、他方の末端が-Fまたは-CHOH等である化合物(a)を用いればよい。
【0041】
式(3)で表される前記パーフルオロポリエーテル化合物は、例えば、パーフルオロポリエーテル鎖中に水酸基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(d)と、グリシドールとを反応させることにより得られる。
【0042】
<2-1.片方の末端に水酸基を有し、かつ他方の末端に水酸基を有するアルコキシ基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(a)の合成>
まず、両末端に水酸基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(b)と、水酸基と反応して水酸基を有するアルコキシ基を形成する化合物(c)とを反応させる。反応温度は好ましくは20~90℃であり、より好ましくは60~80℃である。反応時間は好ましくは5~20時間であり、より好ましくは10~15時間である。化合物(c)の使用量は、化合物(b)に対して、0.5~1.5当量であることが好ましい。当該反応には反応促進剤を使用してもよい。反応促進剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、t-ブトキシカリウム、t-ブトキシナトリウム、水素化ナトリウム等が挙げられる。当該反応は溶剤中で行ってもよい。溶剤として、例えば、t-ブチルアルコール、ジメチルホルムアルデヒド、1,4-ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。その後、得られた反応産物を、例えば、カラムクロマトグラフィーによって精製する。これにより、片方の末端に水酸基を有し、かつ他方の末端に水酸基を有するアルコキシ基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(a)が得られる。
【0043】
両末端に水酸基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(b)は、HOCH(CFO(CFO)(CFCFO)(CFCFCFO)(CFCFCFCFO)(CFCF(CF)O)(CFCHOHで表される。ただし、aは1~5の整数であり、b、cはそれぞれ0~50の実数であり、d、e、fはそれぞれ0~30の実数であり、ただし、b、c、d、e、fの少なくともいずれか1つは1以上の実数である。具体的には、HOCHCFO(CFO)(CFCFO)CFCHOHで示される化合物、HOCHCFO(CFCFO)CFCHOHで示される化合物、HOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHで示される化合物、HOCHCFCFCFO(CFCFCFCFO)CFCFCFCHOHで示される化合物等が挙げられる。この直鎖フルオロポリエーテル化合物(b)の数平均分子量は通常200~5000、好ましくは400~1500である。ここで数平均分子量は日本電子製JNM-ECX400による19F-NMRによって測定された値である。NMRの測定において、試料を溶媒へは希釈せず、試料そのものを測定に使用する。ケミカルシフトの基準は、直鎖フルオロポリエーテルの骨格構造の一部である既知のピークをもって代用する。
【0044】
上述のようにaは1~5の実数である。bおよびcは、好ましくはそれぞれ0~15の実数であり、より好ましくはそれぞれ0~10の実数である。bおよびcがそれぞれ0~10の実数の場合、分子鎖がより平坦となるため好ましい。dは、好ましくは1~17の実数であり、より好ましくは1~10の実数である。dが1~10の実数の場合、分子鎖がより平坦となるため好ましい。eは、好ましくは1~13の実数であり、より好ましくは1~8の実数である。eが1~8の実数の場合、分子鎖がより平坦となるため好ましい。fは、好ましくは1~16の実数であり、より好ましくは1~10の実数である。fが1~10の実数の場合、分子鎖がより平坦となるため好ましい。
【0045】
前記化合物(b)は、分子量分布を有する化合物であり、重量平均分子量/数平均分子量で示される分子量分布(PD)として、好ましくは1.0~1.5であり、より好ましくは1.0~1.3であり、さらに好ましくは1.0~1.1である。なお、当該分子量分布は、東ソー製HPLC-8220GPCを用いて、ポリマーラボラトリー製のカラム(PLgel Mixed E)、溶離液としてはHCFC系代替フロン、基準物質としては無官能のパーフルオロポリエーテルを使用して得られる特性値である。
【0046】
化合物(c)としては、例えば、エポキシ基を有する化合物、X(CHOHで示されるハロアルキルアルコール、エポキシ基を有するフェノキシ化合物等が挙げられる。ここで、X(CHOHで示されるハロアルキルアルコールにおいて、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子であり、mは2~8の実数である。
【0047】
エポキシ基を有する化合物としては、例えば、グリシドール、プロピレンオキシド、グリシジルメチルエーテル、イソブチレンオキシド等が挙げられる。ハロアルキルアルコールとしては、例えば、2-クロロエタノール、3-クロロプロパノール、4-クロロブタノール、5-クロロペンタノール、6-クロロヘキサノール、7-クロロヘプタノール、8-クロロオクタノール、2-ブロモエタノール、3-ブロモプロパノール、4-ブロモブタノール、5-ブロモペンタノール、6-ブロモヘキサノール、7-ブロモヘプタノール、8-ブロモオクタノール、2-ヨードエタノール、3-ヨードプロパノール、4-ヨードブタノール、5-ヨードペンタノール、6-ヨードヘキサノール、7-ヨードヘプタノール、8-ヨードオクタノール等を挙げることができる。
【0048】
エポキシ基を有するフェノキシ化合物としては、例えば、下記式(c-1)、(c-2)および(c-3)で表される化合物が挙げられる:
【0049】
【化9】
【0050】
【化10】
【0051】
【化11】
【0052】
例えば、化合物(b)としてHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHを用い、化合物(c)としてグリシドールを用いた場合、両者の反応により、化合物(a)としてHOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHが生成する。
【0053】
また、例えば、化合物(b)としてHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHを用い、化合物(c)として化合物(c-1)を用いた場合、両者の反応により、化合物(a)としてCHOCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHが生成する。
【0054】
<2-2.エポキシ基を有するアルキル化合物(A-1)の合成>
エポキシ基を有するアルキル化合物(A-1)は、以下の化合物(A-2)等の分子中の水酸基の一部をエポキシ化することにより得られる。
【0055】
化合物(A-2)としては、例えば、2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ブタンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-2-(2-プロペン-1-イル)-1,3-プロパンジオール、2-(ジヒドロキシメチル)-2-(3-メチルブチル)-1,3-プロパンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-2-(フェニルメチル)-1,3-プロパンジオール、2-(ヒドロキシメチル)-2-[(4-ニトロフェニル)メチル]-1,3-プロパンジオール、2-[(4-アミノフェニル-9-メチル)-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール]、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0056】
化合物(A-1)としては、例えば、下記式(D-1)、(D-2)および(D-3)で表される化合物が挙げられる:
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
【化14】
【0060】
例えば、化合物(A-2)として、2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールを用い、水酸基の一部をエポキシ化した場合、化合物(A-1)として、2,2-ビス[(2-オキシラニルメトキシ)メチル]-1-ブタノール(化合物(D-1))が生成する。化合物(A-2)として2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールを用い、水酸基の一部をエポキシ化した場合、化合物(A-1)として3-(2-オキシラニルメトキシ)-2-[(2-オキシラニルメトキシ)メチル]-1-プロパノール(化合物(D-2))が生成する。化合物(A-2)として2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールを用い、水酸基の一部をエポキシ化した場合、化合物(A-1)として2,2-ビス[(2-オキシラニルメトキシ)メチル]-1,3-プロパンジオール(化合物(D-3))が生成する。
【0061】
<2-3.式(1)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物の合成>
上述の片方の末端に水酸基を有しており、かつ他方の末端に水酸基を有するアルコキシ基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(a)と、エポキシ基を有するアルキル化合物(A-1)を塩基の存在下、反応させる。反応温度は好ましくは20~90℃であり、より好ましくは60~80℃である。反応時間は好ましくは5~20時間であり、より好ましくは10~15時間である。化合物(A-1)の使用量は、化合物(a)に対して、0.5~1.5当量であることが好ましい。また、塩基の使用量は、化合物(a)に対して、0.5~2.0当量であることが好ましい。塩基としては、例えば、t-ブトキシナトリウム、t-ブトキシカリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等のアルカリ化合物を用いることができる。当該反応は溶剤中で行ってもよい。溶剤としては、例えば、t-ブタノール、トルエン、キシレン、メタキシレンヘキサフルオライド等を用いることができる。その後、例えば水洗し、次いで脱水する。これにより、上述の式(1)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物が得られる。
【0062】
<2-4.パーフルオロポリエーテル鎖中に水酸基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(d)の合成>
上述の両末端に水酸基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(b)と、エピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンとを反応させる。反応温度は好ましくは20~90℃であり、より好ましくは60~80℃である。反応時間は好ましくは5~20時間であり、より好ましくは10~15時間である。エピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンの使用量は、化合物(b)に対して、0.2~1.5当量であることが好ましい。当該反応には反応促進剤を使用してもよい。反応促進剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、t-ブトキシカリウム、t-ブトキシナトリウム、水素化ナトリウム等が挙げられる。当該反応は溶剤中で行ってもよい。溶剤として、例えば、t-ブチルアルコール、ジメチルホルムアルデヒド、1,4-ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。その後、得られた反応産物を、例えば、カラムクロマトグラフィーによって精製する。これにより、パーフルオロポリエーテル鎖中に水酸基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(d)が得られる。
【0063】
<2-5.式(3)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物の合成>
上述のパーフルオロポリ―テル鎖中に水酸基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(d)と、グリシドールを塩基の存在下、反応させる。反応温度は好ましくは20~90℃であり、より好ましくは60~80℃である。反応時間は好ましくは5~20時間であり、より好ましくは10~15時間である。グリシドールの使用量は、化合物(d)に対して、2.0~4.0当量であることが好ましい。また、塩基の使用量は、化合物(d)に対して、0.2~1.0当量であることが好ましい。塩基としては、例えば、t-ブトキシナトリウム、t-ブトキシカリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等のアルカリ化合物を用いることができる。当該反応は溶剤中で行ってもよい。溶剤としては、例えば、t-ブタノール、トルエン、キシレン、メタキシレンヘキサフルオライド等を用いることができる。その後、例えば水洗し、次いで脱水する。これにより、上述の式(3)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物が得られる。
【0064】
〔3.潤滑剤〕
本発明の一実施形態に係る潤滑剤は、上述の本発明の一実施形態に係るパーフルオロポリエーテル化合物を含む。上述のパーフルオロポリエーテル化合物単独で潤滑剤として用いることもできるし、潤滑剤はその性能を損なわない範囲でパーフルオロポリエーテル化合物とその他の成分とを任意の比率で混合して用いることもできる。
【0065】
前記その他の成分としては、Fomblin(登録商標) Zdol(Solvay Solexis製)、Ztetraol(Solvay Solexis製)、Demnum(登録商標)(ダイキン工業製)、Krytox(登録商標)(Dupont製)等の公知の磁気ディスク用潤滑剤、PHOSFAROL A20H(MORESCO PHOSFAROL A20H)(MORESCO製)、MORESCO PHOSFAROL D-4OH(MORESCO製)等が挙げられる。
【0066】
当該潤滑剤は、磁気ディスクの摺動特性を向上させるための記録媒体用潤滑剤として用いられ得る。また、当該潤滑剤は、磁気ディスク以外にも磁気テープ等の記録媒体とヘッドとの間に摺動が伴う他の記録装置における記録媒体用潤滑剤としても用いられ得る。さらに、当該潤滑剤は、記録装置に限らず、摺動を伴う部分を有する機器の潤滑剤としても用いられ得る。
【0067】
〔4.磁気ディスク〕
本発明の一実施形態に係る磁気ディスク1は、図1に示されるように、非磁性基板8の上に配置された記録層4、保護膜層(保護層)3および潤滑層2を含む。前記潤滑層2は、上述の潤滑剤を含んでいる。
【0068】
また別の実施形態においては、磁気ディスクは、図2に示される磁気ディスク1のように、記録層4の下に配置される下層5、下層5の下に配置される1層以上の軟磁性下層6、および1層以上の軟磁性下層6の下に配置される接着層7を含むことができる。これらの層のすべては、一実施形態においては、非磁性基板8の上に形成することができる。
【0069】
潤滑層2以外の磁気ディスク1の各層は、磁気ディスクの個別の層に好適であると当該技術分野において知られている材料を含むことができる。例えば、記録層4の材料としては、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性体を形成可能な元素にクロム、白金、タンタル等を加えた合金、またはその酸化物が挙げられる。また、保護層3の材料としては、カーボン、Si、SiC、SiO等が挙げられる。非磁性基板8の材料としては、アルミニウム合金、ガラス、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0070】
〔5.磁気ディスクの製造方法〕
本発明の一態様に係る磁気ディスクの製造方法は、記録層と保護層とが積層されてなる積層体の、当該保護層の露出表面に本発明の一実施形態に係る潤滑剤を積層して潤滑層を形成する工程を含んでいる。
【0071】
記録層と保護層とが積層されてなる積層体の、当該保護層の露出表面に前記潤滑剤を積層して潤滑層を形成する方法は、特に限定されるものではない。保護層の露出表面に潤滑剤を積層する方法としては、前記潤滑剤を溶剤に希釈した後、積層する方法が好ましい。溶剤としては、例えば3M製PF-5060、PF-5080、HFE-7100、HFE-7200、DuPont製Vertrel-XF(登録商標)等が挙げられる。前記溶剤で希釈した後の潤滑剤の濃度は、0.001重量%~1重量%が好ましく、0.005重量%~0.5重量%がより好ましく、0.005重量%~0.1重量%がさらに好ましい。前記溶剤で希釈した後の潤滑剤の濃度が、0.005重量%~0.1重量%であれば、潤滑剤の分子同士の相互作用を弱めることができ、均一な潤滑膜を形成しやすい。
【0072】
記録層と保護層とをこの順に形成し、前記潤滑剤を前記保護層の露出表面に積層した後、紫外線照射または熱処理を行ってもよい。
【0073】
紫外線照射または熱処理を行うことで、潤滑層と保護層の露出表面との間に、より強固な結合を形成し、加熱による潤滑剤の蒸発を防ぐことができる。紫外線照射を行う場合には、潤滑層および保護層の深部に影響を与えず、露出表面を活性化させるために、185nmまたは254nmの波長を主波長とする紫外線を用いることが好ましい。熱処理を行う場合の温度は、60~170℃であることが好ましく、80~170℃がより好ましく、80~150℃がさらに好ましい。
【実施例
【0074】
以下に、本発明の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0075】
〔ボンド率の評価〕
以下の実施例におけるボンド率の評価を、以下の方法により行った。
【0076】
後述の化合物(0.1g)を、それぞれDuPont製Vertrel-XF(550g)に溶解した。次いで、直径2.5インチの磁気ディスクをこの溶液に3分間浸漬し、速度2mm/sで引き上げた。続いて、Fourier Transform Infraraed Spectorometer(FT-IR)で磁気ディスク上の化合物の平均膜厚を測定した。この膜厚をfÅとした。さらに、この磁気ディスクをVertrel-XF中に5分間浸漬し、速度2mm/sで引き上げた後、室温下で静置して溶媒を揮発させた。この後、磁気ディスク上に残った化合物の平均膜厚をFT-IRで測定した。この膜厚をbÅとした。ボンド率を、下記式より求めた。
ボンド率(%)=100×b/f
当該ボンド率は、磁気ディスクとの付着性の強弱を示す指標として、一般に用いられている。
【0077】
〔実施例1〕
下記式で表される化合物1を以下のように合成した。
【0078】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物1は下記の構造式で表される。
【0079】
【化15】
【0080】
なお、化合物1は、式(1)においてRが-CHCH、RおよびRが-CHOCHCH(OH)CHOH、Rfがデムナム骨格を有するパーフルオロエーテルである化合物に相当する。
【0081】
t-ブチルアルコール39g、HOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHで表されるフルオロポリエーテル(数平均分子量1141、分子量分布1.24)92g、カリウムt-ブトキシド0.8g、グリシドール5.1gをアルゴン雰囲気下、70℃で14時間撹拌した。その後、水洗し、次いで脱水し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製することにより、一方の末端に一つの水酸基を有し、もう一方の末端に二つの水酸基を有するパーフルオロポリエーテル(平均分子量1152)を36g得た。この化合物36gをt-ブチルアルコール15gに溶解させ、ナトリウムt-ブトキシド0.3g、2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールをエポキシ化した化合物2.1gを加えて、70℃で14時間撹拌した。その後、水洗し、次いで脱水し、さらに蒸留等により精製し、化合物1を30g得た。
【0082】
化合物1は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.73g/cmであった。NMRを用いて行った化合物1の同定結果を以下に示す。
【0083】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物1は、d=5.2であることが分かった。
【0084】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=1.3ppm〔2H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=0.9ppm〔3H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物1を実施例1の潤滑剤として用いた。
【0085】
〔実施例2〕
下記式で表される化合物2を以下のように合成した。
【0086】
HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFO)(CFCFO)CFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFO(CFO)(CFCFO)CFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物2は下記の構造式で表される。
【0087】
【化16】
【0088】
HOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHで表されるフルオロポリエーテルの代わりに、HOCHCFO(CFO)(CFCFO)CFCHOHで表されるフルオロポリエーテルを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物2を20g得た。
【0089】
化合物2は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.72g/cmであった。NMRを用いて行った化合物2の同定結果を以下に示す。
【0090】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFCFOを-125.8ppmとする。)
δ=-52.1ppm、-53.7ppm、-55.4ppm〔10F、-OCFO-〕
δ=-89.1ppm、-90.7ppm〔20F、-OCFCFO-〕
δ=-77.9ppm、-80.0ppm〔8F、-OCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物2は、b=5.1、c=5.0であることが分かった。
【0091】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFO)(CFCFO)CFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFO(CFO)(CFCFO)CFCHOCHCH(OH)CHOH〕δ=1.3ppm〔2H、HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFO)(CFCFO)CFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFO(CFO)(CFCFO)CFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=0.9ppm〔3H、HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFO)(CFCFO)CFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFO(CFO)(CFCFO)CFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物2を実施例2の潤滑剤として用いた。
【0092】
〔実施例3〕
下記式で表される化合物3を以下のように合成した。
【0093】
HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)CFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-C CFO(CFCFO)CFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物3は下記の構造式で表される。
【0094】
【化17】
【0095】
HOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHで表されるフルオロポリエーテルの代わりに、HOCHCFO(CFCFO)CFCHOHで表されるフルオロポリエーテルを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物3を30g得た。
【0096】
化合物3は、白色でワックス状の固体であり、20℃での密度は、1.73g/cmであった。NMRを用いて行った化合物3の同定結果を以下に示す。
【0097】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFOを-89.1ppmとする。)
δ=-89.1ppm〔32F、-OCFCFO-〕
δ=-79.0ppm〔8F、-OCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物3は、c=8.5であることが分かった。
【0098】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)CFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFO(CFCFO)cCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=1.3ppm〔2H、HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)CFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFO(CFCFO)CFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=0.9ppm〔3H、HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)CFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFO(CFCFO)CFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物3を実施例3の潤滑剤として用いた。
【0099】
〔実施例4〕
下記式で表される化合物4を以下のように合成した。
【0100】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFCFO(CFCFCFCFO)CFCFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-C CFCFCFO(CFCFCFCFO)CFCFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物4は下記の構造式で表される。
【0101】
【化18】
【0102】
HOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHで表されるフルオロポリエーテルの代わりに、HOCHCFCFCFO(CFCFCFCFO)CFCFCFCHOHで表されるフルオロポリエーテルを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物4を33g得た。
【0103】
化合物4は、無色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.72g/cmであった。NMRを用いて行った化合物4の同定結果を以下に示す。
【0104】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFCFOを-125.8ppmとする。)
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFCFO-、-OCFCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-123.3ppm〔8F、-OCFCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCFCHOCHCHOH〕
δ=-125.8ppm〔12F、-OCFCFCFCFO-〕
δ=-127.6ppm〔8F、-OCFCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物4は、e=3.2であることが分かった。
【0105】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFCFO(CFCFCFCFO)CFCFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFCFO(CFCFO)CFCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=1.3ppm〔2H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFCFO(CFCFCFCFO)CFCFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFCFO(CFCFCFCFO)CFCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=0.9ppm〔3H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFCFO(CFCFCFCFO)CFCFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFCFO(CFCFO)CFCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物4を実施例4の潤滑剤として用いた。
【0106】
〔実施例5〕
下記式で表される化合物5を以下のように合成した。
【0107】
HOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物5は下記の構造式で表される。
【0108】
【化19】
【0109】
t-ブチルアルコール39g、HO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OHで表されるフルオロポリエーテル(数平均分子量1050、分子量分布1.50)90g、カリウムt-ブトキシド0.9g、グリシドール11.0gをアルゴン雰囲気下、70℃で14時間撹拌した。その後、水洗し、次いで脱水し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製することにより、一方の末端に一つの水酸基を有し、もう一方の末端に二つの水酸基を有する、パーフルオロポリエーテル(平均分子量1100)を83g得た。この化合物83gをt-ブチルアルコール36gに溶解させ、ナトリウムt-ブトキシド0.6g、2,2-ビス[(2-オキシラニルメトキシ)メチル]-1-ブタノール5.1gを加えて、70℃で14時間撹拌した。その後、水洗し、次いで脱水し、さらに蒸留等により精製し、化合物5を58g得た。
【0110】
化合物5は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.75g/cmであった。NMRを用いて行った化合物5の同定結果を以下に示す。
【0111】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物5は、d=5.0であることが分かった。
【0112】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔53H、HOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=1.3ppm〔2H、HOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=0.9ppm〔3H、HOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物5を実施例5の潤滑剤として用いた。
【0113】
〔実施例6〕
下記式で表される化合物6を以下のように合成した。
【0114】
CHOCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCOCH
すなわち、化合物6は下記の構造式で表される。
【0115】
【化20】
【0116】
グリシドールの代わりに、化合物(c-1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物6を40g得た。
【0117】
化合物6は、淡黄色透明液体であり、20℃での密度は、1.76g/cmであった。NMRを用いて行った化合物6の同定結果を以下に示す。
【0118】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOCOCH
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOCOCH
19F-NMRの結果、化合物6は、d=5.2であることが分かった。
【0119】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔45H、CHOCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCOCH
δ=1.3ppm〔2H、CHOCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCOCH
δ=0.9ppm〔3H、CHOCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCOCH
δ=6.5~7.5ppm〔8H、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOCOCH
得られた化合物6を実施例6の潤滑剤として用いた。
【0120】
〔実施例7〕
下記式で表される化合物7を以下のように合成した。
【0121】
OCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCOC
すなわち、化合物7は下記の構造式で表される。
【0122】
【化21】
【0123】
グリシドールの代わりに、化合物(c-2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物7を46g得た。
【0124】
化合物7は、無色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.76g/cmであった。NMRを用いて行った化合物7の同定結果を以下に示す。
【0125】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOCOC
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOCOC
19F-NMRの結果、化合物7は、d=5.2であることが分かった。
【0126】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔39H、COCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCOC
δ=1.3ppm〔2H、COCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCOC
δ=0.9ppm〔3H、COCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCOC
δ=6.5~7.5ppm〔18H,-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOCOC
得られた化合物7を実施例7の潤滑剤として用いた。
【0127】
〔実施例8〕
下記式で表される化合物8を以下のように合成した。
【0128】
10OCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOC10
すなわち、化合物8は下記の構造式で表される。
【0129】
【化22】
【0130】
グリシドールの代わりに、化合物(c-3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物8を19g得た。
【0131】
化合物8は、無色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.76g/cmであった。NMRを用いて行った化合物8の同定結果を以下に示す。
【0132】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOC10
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOC10
19F-NMRの結果、化合物8は、d=5.1であることが分かった。
【0133】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔39H、C10OCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOC10
δ=1.3ppm〔2H、C10OCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOC10
δ=0.9ppm〔3H、C10OCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOC10
δ=6.5~7.5ppm〔14H、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOC10
得られた化合物8を実施例8の潤滑剤として用いた。
【0134】
〔実施例9〕
下記式で表される化合物9を以下のように合成した。
【0135】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHCH(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物9は下記の構造式で表される。
【0136】
【化23】
【0137】
2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールの代わりに、2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物9を51g得た。
【0138】
化合物9は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.74g/cmであった。NMRを用いて行った化合物9の同定結果を以下に示す。
【0139】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物9は、d=5.3であることが分かった。
【0140】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHCH(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=2.2ppm〔1H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHCH(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物9を実施例9の潤滑剤として用いた。
【0141】
〔実施例10〕
下記式で表される化合物10を以下のように合成した。
【0142】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物10は下記の構造式で表される。
【0143】
【化24】
【0144】
2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールの代わりに、2-(ヒドロキシメチル)-2-プロピル-1,3-プロパンジオールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物10を24g得た。
【0145】
化合物10は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.73g/cmであった。NMRを用いて行った化合物10の同定結果を以下に示す。
【0146】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物10は、d=5.0であることが分かった。
【0147】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=0.5~1.5ppm〔7H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物10を実施例10の潤滑剤として用いた。
【0148】
〔実施例11〕
下記式で表される化合物11を以下のように合成した。
【0149】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHOH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物11は下記の構造式で表される。
【0150】
【化25】
【0151】
2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールの代わりに、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,4-ブタンジオールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物11を25g得た。
【0152】
化合物11は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.73g/cmであった。NMRを用いて行った化合物11の同定結果を以下に示す。
【0153】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物11は、d=5.1であることが分かった。
【0154】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔44H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHOH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=1.8ppm〔2H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHOH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物11を実施例11の潤滑剤として用いた。
【0155】
〔実施例12〕
下記式で表される化合物12を以下のように合成した。
【0156】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物12は下記の構造式で表される。
【0157】
【化26】
【0158】
2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールの代わりに、2-(ヒドロキシメチル)-2-(2-プロパン-1-イル)-1,3-プロパンジオールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物12を33g得た。
【0159】
化合物12は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.74g/cmであった。NMRを用いて行った化合物12の同定結果を以下に示す。
【0160】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物12は、d=5.1であることが分かった。
【0161】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=2.2ppm〔2H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=4.8ppmおよび5.8ppm〔3H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物12を実施例12の潤滑剤として用いた。
【0162】
〔実施例13〕
下記式で表される化合物13を以下のように合成した。
【0163】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CH(CH)(CH))(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物13は下記の構造式で表される。
【0164】
【化27】
【0165】
2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールの代わりに、2-(ジヒドロキシメチル)-2-(3-メチルブチル)-1,3-プロパンジオールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物13を41g得た。
【0166】
化合物13は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.75g/cmであった。NMRを用いて行った化合物13の同定結果を以下に示す。
【0167】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物13は、d=5.2であることが分かった。
【0168】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CH(CH)(CH))(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=0.5~2.0ppm〔7H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CH(CH)(CH))(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物13を実施例13の潤滑剤として用いた。
【0169】
〔実施例14〕
下記式で表される化合物14を以下のように合成した。
【0170】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物14は下記の構造式で表される。
【0171】
【化28】
【0172】
2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールの代わりに、2-(ヒドロキシメチル)-2-(フェニルメチル)-1,3-プロパンジオールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物14を60g得た。
【0173】
化合物14は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.74g/cmであった。NMRを用いて行った化合物14の同定結果を以下に示す。
【0174】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物14は、d=5.3であることが分かった。
【0175】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=2.8ppm〔2H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕δ=7.4ppm〔5H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物14を実施例14の潤滑剤として用いた。
【0176】
〔実施例15〕
下記式で表される化合物15を以下のように合成した。
【0177】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHNO)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物15は下記の構造式で表される。
【0178】
【化29】
【0179】
2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールの代わりに、2-(ヒドロキシメチル)-2-[(4-ニトロフェニル)メチル]-1,3-プロパンジオールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物15を21g得た。
【0180】
化合物15は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.74g/cmであった。NMRを用いて行った化合物15の同定結果を以下に示す。
【0181】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物15は、d=5.1であることが分かった。
【0182】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHNO)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=2.8ppm〔2H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHNO)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=7.5~8.0ppm〔4H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHNO)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物15を実施例15の潤滑剤として用いた。
【0183】
〔実施例16〕
下記式で表される化合物16を以下のように合成した。
【0184】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHNH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物16は下記の構造式で表される。
【0185】
【化30】
【0186】
2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールの代わりに、2-[(4-アミノフェニル-9-メチル)-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール]を用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物16を35g得た。
【0187】
化合物16は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.76g/cmであった。NMRを用いて行った化合物16の同定結果を以下に示す。
【0188】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物16は、d=5.0であることが分かった。
【0189】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHNH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=2.8ppm〔2H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHNH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=6.3~7.4ppm〔6H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCHNH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物16を実施例16の潤滑剤として用いた。
【0190】
〔実施例17〕
下記式で表される化合物17を以下のように合成した。
【0191】
HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)CFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物17は下記の構造式で表される。
【0192】
【化31】
【0193】
HOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHに加えて、HOCHCFO(CFCFO)CFCHOHを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物17を19g得た。
【0194】
化合物17は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.74g/cmであった。NMRを用いて行った化合物17の同定結果を以下に示す。
【0195】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-89.1ppm〔28F、-OCFCFO-〕
δ=-79.0ppm〔4F、-OCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCHCH(OH)CHO-OCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物17は、d=5.1、c=7.5であることが分かった。
【0196】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔41H、HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=1.3ppm〔2H、HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)CFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=0.9ppm〔3H、HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)CFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物17を実施例17の潤滑剤として用いた。
【0197】
〔実施例18〕
下記式で表される化合物18を以下のように合成した。
【0198】
CHOCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物18は下記の構造式で表される。
【0199】
【化32】
【0200】
グリシドールに加えて、化合物(c-1)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物18を15g得た。
【0201】
化合物18は、無色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.75g/cmであった。NMRを用いて行った化合物1の同定結果を以下に示す。
【0202】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOCOCH、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOCOCH、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物18は、d=5.1であることが分かった。
【0203】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔43H、CHOCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=1.3ppm〔2H、CHOCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=0.9ppm〔3H、CHOCOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHCH)(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=6.5~7.5ppm〔4H、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOCOCH
得られた化合物18を実施例18の潤滑剤として用いた。
【0204】
〔実施例19〕
下記式で表される化合物19を以下のように合成した。
【0205】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCHC(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物19は下記の構造式で表される。
【0206】
【化33】
【0207】
2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールの代わりに、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、化合物19を30g得た。
【0208】
化合物19は、無色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.71g/cmであった。NMRを用いて行った化合物19の同定結果を以下に示す。
【0209】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHO-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物19は、d=5.1であることが分かった。
【0210】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔44H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OH)CHOCH(CHOH)CHOCHCH(OH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物19を実施例19の潤滑剤として用いた。
【0211】
〔実施例20〕
下記式で表される化合物20を以下のように合成した。
【0212】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OCHCH(OH)CHOH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物20は下記の構造式で表される。
【0213】
【化34】
【0214】
t-ブチルアルコール40g、HOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHで表されるフルオロポリエーテル(数平均分子量1141、分子量分布1.24)90g、カリウムt-ブトキシド4.8g、エピクロロヒドリン3.6gをアルゴン雰囲気下、70℃で14時間撹拌した。その後、水洗し、次いで脱水し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製することにより、パーフルオロポリエーテル鎖中に水酸基を有する直鎖フルオロポリエーテル化合物(平均分子量2512)を40g得た。この化合物40gをt-ブチルアルコール20gに溶解させ、カリウムt-ブトキシド1.0g、グリシドール4.0gを加えて、70℃で15時間撹拌した。その後、水洗し、次いで脱水し、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物20を20g得た。
【0215】
化合物20は、淡黄色で透明の液体であり、20℃での密度は、1.78g/cmであった。NMRを用いて行った化合物20の同定結果を以下に示す。
【0216】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFCFOを-129.7ppmとする。)
δ=-129.7ppm〔10F、-OCFCFCFO-〕
δ=-83.7ppm〔20F、-OCFCFCFO-〕
δ=-124.2ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OCHCH(OH)CHOH)-CHOCHCFCF-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
δ=-86.5ppm〔8F、-OCFCFCHOCHCH(OCHCH(OH)CHOH)-CHOCHCFCF-、-OCFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物20は、d=5.2であることが分かった。
【0217】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔34H、HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCH-OCHCH(OCHCH(OH)CHOH)CHO-CHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物20を実施例20の潤滑剤として用いた。
【0218】
〔実施例21〕
下記式で表される化合物21を以下のように合成した。
【0219】
HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)CFCH-OCHCH(OCHCH(OH)CHOH)CHO-CHCFO(CFCFO)CFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物21は下記の構造式で表される。
【0220】
【化35】
【0221】
HOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOHで表されるフルオロポリエーテルの代わりに、HOCHCFO(CFCFO)CFCHOHで表されるフルオロポリエーテルを用いたこと以外は実施例20と同様にして、化合物21を21g得た。
【0222】
化合物21は、白色でワックス状の固体であり、20℃での密度は、1.72g/cmであった。NMRを用いて行った化合物21の同定結果を以下に示す。
【0223】
19F-NMR(溶媒:なし、基準物質:生成物中のOCFCFOを-89.1ppmとする。)
δ=-89.1ppm〔32F、-OCFCFO-〕
δ=-79.0ppm〔8F、-OCFCHOCHCH(OCHCH(OH)CHOH)CHO-、-OCFCHOCHCH(OH)CHOH〕
19F-NMRの結果、化合物21は、c=8.9であることが分かった。
【0224】
H-NMR(溶媒:なし、基準物質:DO)
δ=2.5~5.0ppm〔34H、HOCHCH(OH)CHOCHCFO(CFCFO)CFCH-OCHCH(OCHCH(OH)CHOH)CHO-CHCFO(CFCFO)CFCHOCHCH(OH)CHOH〕
得られた化合物21を実施例21の潤滑剤として用いた。
【0225】
〔比較例1〕
比較例1の潤滑剤として、下記のように、2つのパーフルオロポリエーテルが脂肪族エーテルを介して結合した構造ではない化合物22を使用した。
【0226】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物22は下記の構造式で表される。
【0227】
【化36】
【0228】
ここでd=5.1であり、分子量分布は1.20である。
【0229】
前記の化合物22を比較例1の潤滑剤として用いた。
【0230】
〔比較例2〕
比較例2の潤滑剤として、下記のように、1級アルコールではない水酸基を有する脂肪族エーテルを介して2つのパーフルオロポリエーテルが結合している化合物23を使用した。
【0231】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHCHCHCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物23は下記の構造式で表される。
【0232】
【化37】
【0233】
ここでd=5.1であり、分子量分布は1.25である。
【0234】
前記の化合物23を比較例2の潤滑剤として用いた。
【0235】
〔比較例3〕
比較例3の潤滑剤として、下記のように、1級アルコールではない水酸基を有する脂肪族エーテルを介して2つのパーフルオロポリエーテルが結合している化合物24を使用した。
【0236】
HOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOCHCFCFO(CFCFCFO)CFCFCHOCHCH(OH)CHOH
すなわち、化合物24は下記の構造式で表される。
【0237】
【化38】
【0238】
ここでd=5.2であり、分子量分布は1.26である。
【0239】
前記の化合物24を比較例3の潤滑剤として用いた。
【0240】
〔ボンド率の評価の結果〕
ボンド率の測定結果を下記表1に示す。
【0241】
【表1】
【0242】
表1より、実施例1~21は、比較例1~3に比べて潤滑剤が磁気ディスクにより強く付着していることが分かった。すなわち、本発明の一実施形態に係る化合物は、磁気ディスクと保護層とを密着させる潤滑剤として優れた付着力を有することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0243】
本発明の一態様のパーフルオロポリエーテル化合物は、磁気ディスク用の潤滑剤として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0244】
1 磁気ディスク
2 潤滑層
3 保護膜層(保護層)
4 記録層
5 下層
6 軟磁性下層
7 接着層
8 非磁性基板
図1
図2