(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】排出熱回収構成要素を備える燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20230420BHJP
H01M 8/04007 20160101ALI20230420BHJP
H01M 8/0612 20160101ALI20230420BHJP
H01M 8/0662 20160101ALI20230420BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20230420BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20230420BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20230420BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20230420BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20230420BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20230420BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04007
H01M8/0612
H01M8/0662
H01M8/04 Z
H01M8/04746
H01M8/04858
H01M8/04701
H01M8/2475
H01M8/12 101
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2021537140
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(86)【国際出願番号】 US2019068298
(87)【国際公開番号】W WO2020139818
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514116578
【氏名又は名称】ブルーム エネルギー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バレンティン,アルネ
(72)【発明者】
【氏名】マーラー,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタラマン,スワミナサン
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ウェインガートナー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ジュデー,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ダコ,クリスチャン
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-507759(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0069923(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0163192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットと、前記キャビネット内に配置された燃料電池を備える電力モジュールと、
前記キャビネットから排出され
るキャビネット排出物を受け取るように構成された外部ダクトと、
前記外部ダクトの内側に配置され、前記電力モジュールの前記燃料電池から排出される
、前記キャビネット排出物よりも相対的に高温の反応排出物を受け取るように構成された内部ダクトと
を備える排出送管と
を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記排出送管内に配置され、前記反応排出物から熱を取り出すように構成された熱交換器をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記熱交換器がボイラを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記反応排出物の少なくとも一部分を、前記内部ダクトから前記外部ダクト内に分流させるように構成されたダンパと、
前記ダンパを開閉するように構成されたアクチュエータと
をさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記外部ダクト及び前記内部ダクトを通って延在し、燃料源から少なくとも一つの前記電力モジュールに燃料を供給するように構成された反応導管と、
前記反応導管内に配置された第1の触媒と、
前記反応導管を通る燃料の流れの方向に対して、前記第1の触媒よりも下流に、前記反応導管内に配置された第2の触媒と
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の触媒が、前記燃料から硫黄種を取り除くように構成された金属酸化物触媒を含み、
前記第2の触媒が、改質又はメタン化触媒を含む、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記反応導管上に、前記排出送管の外側に、かつ、前記第2の触媒の下流に配置された二酸化炭素分離器と、
前記反応導管上に、前記外部ダクト内に、かつ、前記第2の触媒の下流に配置された熱交換器と
をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記反応導管上に、前記排出送管の外側に、かつ、前記第1の触媒の上流に配置された流れ制御弁と、
前記反応導管上に、前記排出送管の外側に、かつ、前記熱交換器の下流に配置されたアノード再循環送風機と
をさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記内部ダクトと前記外部ダクトとの間に配置された熱電発電機モジュールをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記排出送管が、前記外部ダクト内に配置された複数の前記内部ダクトを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記電力モジュールが、垂直に積み重ねられた列に配置され、前記排出送管が、2列の前記電力モジュールの後ろ側の間に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記燃料電池が、ホット・ボックス内に配置され、
前記ホット・ボックスが、前記電力モジュールのキャビネットの内側に配置される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記内部ダクトが、前記ホット・ボックスの排出導管に流体的に接続される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記外部ダクトが、前記キャビネットの排出導管に流体的に接続される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
燃料電池システムを動作させる方法であって、
発電するためにキャビネットの内側に配置されるホット・ボックス内に配置された燃料電池を動作させることと、
キャビネット排出物を、前記キャビネットから送管の外部ダクトに供給することと、
前記キャビネット排出物よりも相対的に高温の反応排出物を、前記ホット・ボックスから前記送管の前記外部ダクト内に配置された内部ダクトに供給することと
を含む、方法。
【請求項16】
前記内部ダクト内に配置された熱交換器内で、前記反応排出物から熱を取り出すことをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記反応排出物の少なくとも一部分を、前記内部ダクトから前記外部ダクト内に分流させるために、ダンパを開くことをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記内部ダクトを通って流れる前記反応排出物からの熱を使用して、前記内部ダクト内に配置された反応導管内で、炭化水素燃料を改質すること、脱硫すること、メタン化すること、又は、分画することのうち少なくとも1つを行うことをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
送管の外部ダクト内における
、前記キャビネット排出物の前記キャビネットからの流れ方向が、前記送管の内部ダクト内における
、前記反応排出物の前記ホット・ボックスからの流れ方向と同じである、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、燃料電池システムに関し、より詳細には、排出熱回収構成要素を備える燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の燃料電池システムはまた、都市部の狭い空間には、その外側と内側の両方で大きすぎて収まらない場合がある。このようなシステムはまた、大きすぎて建物内部で移動できない場合がある。さらに、現在の燃料電池システムには、屋内用途のダクト・システムに接続するための簡略な方法がない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
様々な実施形態によれば、燃料電池システムは、燃料電池を備える電力モジュールと、電力モジュールに接続された排出送管(exhaust flue)とを備える。排出送管は、相対的に低温のキャビネット排出物を、電力モジュールから受け取るように構成された外部ダクトと、外部ダクトの内側に配置され、相対的に高温の反応排出物を、電力モジュールから受け取るように構成された内部ダクトとを備える。
【0004】
様々な実施形態によれば、燃料電池システムを動作させる方法は、発電するためにキャビネットの内側に配置されるホット・ボックス内に配置された燃料電池を動作させることと、相対的に低温のキャビネット排出物を、キャビネットから供給することと、相対的に高温の反応排出物を、ホット・ボックスから送管に供給することとを含む。
【0005】
各添付図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部分を構成し、開示された装置及び方法の各例を説明し、先に述べた概要及び以下に述べる詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示による空冷電子モジュールの概略側面図である。
【
図2】本開示による空冷電子モジュールの概略の3次元斜視図である。
【
図3】本開示による、電子装置及び他の構成要素が取り除かれた燃料電池モジュール・キャビネットの3次元ビューである。
【
図4】本開示による様々な電子装置及び構成要素を含む燃料電池モジュール・キャビネットの3次元ビューである。
【
図5】本開示による燃料電池システムの等角図である。
【
図6】本開示による、燃料電池システムで使用され得るドアの開放状態における等角図である。
【
図7】
図7Aは、本開示による燃料電池システムで使用され得るドアの外観図であり、
図7Bは、本開示による燃料電池システムで使用され得るドアの内部図である。
【
図8】本開示による、ドアを通る空気流を示し、
図7Aの線A-Aに沿って見た、燃料電池システムで使用され得るドアの断面図である。
【
図9】本開示による、ドアを通る空気流を示し、
図7Aの線A-Aに沿って見た、燃料電池システムで使用され得るドアの概略断面図である。
【
図10】本開示による、閉位置にあるドアを示す、側壁が取り外された状態の燃料電池システムの側面図である。
【
図11】本開示による、開位置にあるドアを示す、側壁が取り外された状態の燃料電池システムの側面図である。
【
図12】本開示による、ドアが取り外された状態での、現場で交換可能な燃料電池モジュール(FCM)を含む燃料電池システム・モジュールを示す等角図である。
【
図13】本開示の様々な実施形態による、ルーフ・キャップ・アセンブリを含む燃料電池システムの斜視図である。
【
図14】第1の位置での、
図13のルーフ・キャップ・アセンブリの横断面図である。
【
図15】第2の位置での、
図13のルーフ・キャップ・アセンブリの横断面図である。
【
図16】
図13の燃料電池システムのドアを閉じたときの、垂直断面図である。
【
図17】
図13の燃料電池システムのドアを開いたときの、垂直断面図である。
【
図18】本開示の様々な実施形態による、換気モジュールを含む燃料電池システム・モジュールの3次元ビューである。
【
図20】本開示の様々な実施形態による、屋内運転向けに構成された燃料電池システムの斜視図である。
【
図25】本開示の様々な実施形態による燃料電池システムの、部分分解された3次元ビューである。
【
図26】一実施形態による共有排出プレナムを有する、積み重ねられた燃料電池モジュールを有するシステムの概略図である。
【
図30】各実施形態による積重ね可能な燃料電池モジュールの斜視図である。
【
図32】一実施形態による積重ね可能な電力システムの斜視図である。
【
図33】一実施形態による別の積重ね可能な電力システムの斜視図である。
【
図34】一実施形態による別の積重ね可能な電力システムの斜視図である。
【
図35】一実施形態による別の積重ね可能な電力システムの斜視図である。
【
図36】一実施形態による別の積重ね可能な電力システムの垂直断面図である。
【
図37A】
図37Aは、本開示の様々な実施形態による、垂直に積み重ねられた燃料電池システム3700の斜視図である。
【
図40】
図40Aは、システム起動の間の燃料電池システムの電気アーキテクチャを通る電力流を示す概略図であり、
図40Bは、本開示の様々な実施形態による、定常状態動作の間の燃料電池システム電気アーキテクチャを通る電力流を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付図面を参照して、様々な例を詳細に説明する。可能な限り、同じ又は同様の部分を示すために、各図面全体を通して同じ参照番号を使用する。特定の例及び実装形態への言及は、例示目的のためのものであり、本発明又は特許請求の範囲に記載の範囲を限定するものではない。また、図示した各例が、互いに矛盾しないものであることも理解される。ある一例(たとえば、ある1つの図)に示す特徴は、他の例(たとえば、他の図)に含まれてもよい。
【0008】
[空冷電子モジュール]
燃料電池システムで利用される電子装置は、たとえば、空気、水などによって冷却されることがある。本発明者らは、電子部品を空気で冷却するとき、このような電子部品を冷却空気流に曝すと、電子部品において、かつ/又は電子装置板上において、腐食及び/又は回路短絡の原因となる場合があることを認識した。その結果、パワー・エレクトロニクス・モジュールの寿命が短くなる。電子部品用の燃料電池システムのハウジング内の電子部品用に、2つ以上の分割された(たとえば、分離した)空気区域(たとえば、デュアル空気区域)を備えてもよい。第1の空気区域は、実質的に密閉されていてもよく、また加圧空気を含んでもよい。第1の空気区域は、空気中の湿気、粉塵、燃料、又は他の汚染物質に起因した腐食及び/又は回路短絡の影響を受けやすい電子部品を含んでもよい。第1の空気区域内に含まれる損傷しやすい電子部品は、第2の空気区域内に含まれる電子部品と比較して、かなりの量の熱を発生しない場合がある。加圧空気は、大部分の空気及び/又は燃料と空気の混合物が、電子部品上の第1の空気区域内に形成されるのを実質的に防止することができる。さらに、加圧空気はまた、ほぼ流れないでいるので、湿気及び他の汚染物質が、損傷しやすい電子部品に自由に入ることができない(たとえば、第1の空気区域内には、空気流が存在しないか、又は制限されている)。第2の空気区域は、空気中の湿気、粉塵、燃料、又は他の汚染物質に起因して、腐食及び/又は回路短絡の影響を相対的に受けにくい電子部品を含んでもよい。第2の空気区域内に含まれる相対的に損傷しにくい電子部品は、第1の空気区域内に含まれる電子部品と比較してかなりの量の熱を発生する場合があり、したがって、空気又は他の冷却材の流れによる冷却を必要とすることがある。相対的に損傷しにくいこの電子部品は、主要な熱源/熱発生器でもよく、第2の空気区域内の電子部品は、第1の空気区域内の電子部品よりも多くの熱を動作中に発生させることがある。第2の空気区域には、そこに含まれる発熱電子部品を十分に冷却するために、(たとえば、1以上のファンによって)ある速度の空気流が供給されてもよい。分割された空気区域の構成では、第1の空気区域内に含まれ、湿気の影響を受けやすく相対的に発熱が少ない電子部品には、滞留しているほぼ湿気のない空気が供給され、第2の空気区域内に含まれ、湿気の影響を受けにくく相対的に発熱が多い電子部品には、流動する冷却空気が供給される。
【0009】
図1は、本開示による空冷電子モジュール2の概略側面図である。空冷電子モジュール2は、燃料電池システム・モジュール100内に含まれてもよい(たとえば、
図4に示す)。電子モジュール2は、ハウジング1を備えてもよい。ハウジング1は、様々な電子部品を収容するための大きさ又は空間を画定してもよい。一例では、ハウジング1は、第1の部分4(第1の空気区域4又は非空気流領域4)と、第2の部分6(第2の空気区域6又は空気流領域6)とに分離されてもよい。こうした2つの分離された部分(たとえば、各空気区域)は、電子モジュール2に含まれる空気を分離することを可能にする。第1の部分4は、たとえば、1以上のDC/DCコンバータ3A(
図2)及び1以上の制御回路3B(
図2)を含む、燃料電池システム・モジュール100で利用される、1以上の電子部品を含むように構成されてもよい。第1の部分4内に含まれる1以上の電子部品は、かなりの量の熱を発生させることはないが、空気中の湿気、粉塵、燃料、又は他の汚染物質に起因する腐食及び/又は回路短絡の影響を受けやすい場合がある。第2の部分6は、他の電子部品を収容するように構成されてもよく、これは、かなりの量の熱を発生することがあり、空気中の湿気、粉塵、燃料、又は他の汚染物質に起因する腐食及び/又は回路短絡の影響を受けにくくなる場合がある。第2の部分6内に含まれる電子部品は、たとえば、トランス7及び/又はインダクタ9を備えてもよい。例によっては、トランス7及び/又はインダクタ9は、冷却空気内の湿気、粉塵、燃料、又は他の汚染物質による損傷を防止又は軽減するために、保護材料で被覆又は塗装されてもよい。
【0010】
図1を参照すると、第2の部分6に含まれる発熱電子部品は、冷却が必要になる場合がある。電子モジュール2は、ハウジング1の少なくとも1つの端部(たとえば、前端部、後端部、又は側端部)に配置された少なくとも1つのファン8を備えてもよい。この少なくとも1つのファン8は、第2の部分6内に含まれる構成部品を冷却するために、第2の部分6内に冷却空気を吹き込むことができる。
図2及び
図4に示すように、電子モジュール2は、この電子モジュール2の前端部(又は後端部、側端部)に配置された2つ以上のファン8を備えてもよい。電子モジュール2は、ハウジング1内に配置され、ハウジング1を第1の部分4と第2の部分6に分離する熱交換器5を備えてもよい。熱交換器5は、(1以上の)他のセパレータとともに、第2の部分6に含まれる空気から第1の部分4を実質的に密封してもよく、第2の部分6の冷却空気が第1の部分4に流入するのを実質的に防止するための障壁として機能し、それにより、第1の部分4内に含まれる損傷しやすい電子部品を、冷却空気中の湿気、燃料、粉塵、及び/又は他の汚染物質、並びにハウジング1を囲繞する大気中の空気から保護することができる。以下に述べるように、第1の部分4内に配置された電子部品を冷却するために、所望の速度で第2の部分6内に空気が流れてもよい。第1の部分4内の空気流は、制限されてもよい(たとえば、実質的に滞留してもよい)。一例では、第1の部分4は、たとえば、1.1~2気圧など、1気圧よりも高い圧力の加圧空気を含んでもよく、これは、そこに存在する空気流をさらに制限する。第1の部分4内の電子部品によって発生する熱は、熱交換器5を介して、第1の部分4から第2の部分6に(たとえば、第1の部分4内に含まれる空気と熱交換器5との間で熱交換することによって)伝達され(たとえば、取り除かれ)てもよく、第2の部分6内に含まれる流動冷却空気が、熱交換器5から熱を奪い去る。したがって、第1の部分4内の熱は、熱交換器5と、第2の部分6内の冷却空気とによって取り除くことができる。
【0011】
熱交換器5は、熱伝導性材料で作製されるセパレータ板など、任意の適切な熱交換構成部品又は熱交換装置を備えてもよい。たとえば、熱交換器5は、フィンなどのヒート・シンクを備えてもよい。熱交換器5は、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、又は熱交換に適した他の任意の金属若しくは金属合金など、任意の適切な材料を含んでもよい。例によっては、熱交換器5は、この熱交換器5からつるされた水平又は垂直の板を備えてもよい。たとえば、
図2に示すように、熱交換器5は、この熱交換器5から第2の部分6へ向けて垂直に延在する、少なくとも1つのフィン11を備えてもよい。この少なくとも1つのフィン11は、アルミニウム、アルミニウム合金、又は熱交換に適した他の任意の材料を含んでもよい。フィン11は、板状、ハニカム状など、適切な任意の形状又は形態をとってもよい。冷却空気がフィン11を通過するとき、第1の部分4内の空気からフィン11に伝達される熱が、冷却空気によって奪い去られてもよい(たとえば、フィン11と冷却空気の間で熱が交換される)。
【0012】
図1を参照すると、電子モジュール2の第1の部分4は、一方向の入口すなわち弁19、及び一方向の出口すなわち弁15を備えてもよい。
図1には、電子モジュール2の後端部に配置されているように示してあるが、一方向の入口19及び/又は一方向の出口15は、ハウジング1の他の任意の適切な位置に配置されてもよい。第1の部分4内の圧力が、第1の閾値圧力(たとえば、1.013×10
5パスカル又は1気圧)を下回るとき、一方向の出口15が密閉されて(たとえば、閉じられて)、第1の部分4から空気が流出するのを防止するようにしてもよい。第1の部分4内の圧力が、第1の閾値圧力を超えるとき(たとえば、第1の部分4に含まれる空気の温度が上昇することに起因して)、一方向の出口15が開いて、第1の部分4内に含まれる空気の一部分が、第1の部分4からハウジング1の外側の大気中に出て、それにより第1の部分4内の圧力が低下するようにしてもよい。第1の部分4内の圧力が、第2の閾値圧力(たとえば、1.013×10
5パスカル又は1気圧)よりも高いとき、一方向の入口19が密閉されて(たとえば、閉じられて)、それにより大気中から第1の部分4に空気が流入するのを防止するようにしてもよい。第1の部分4内の圧力が第2の閾値圧力を下回るとき(たとえば、第1の部分4内の空気の温度が低下することに起因して)、一方向の入口19が開いて、ハウジング1の外側の大気中から第1の部分4に空気を流入させ、それにより第1の部分4内の圧力を上昇させてもよい。第1の閾値圧力は、第2の閾値圧力と同じでも同じでなくてもよい。例によっては、一方向の入口19及び/又は一方向の出口15は、一方の側での圧力が閾値圧力を超えるとき、空気流が通過するのを許すように構成された透過性膜を備えてもよい。
【0013】
別法として、又は追加として、第1の部分4は、第1の部分4と第2の部分6を分離する熱交換器5の適切な部分に配置された、一方向弁21を備えてもよい。第1の部分4内の圧力が第3の閾値圧力(たとえば、2.026×105パスカル又は2気圧)を下回るとき、一方向弁21が密閉されて(たとえば、閉じられて)、第1の部分4内で滞留している空気が、第2の部分6に出ていくのを防止するようにしてもよい。第1の部分4内の圧力が第3の閾値圧力を超えると(たとえば、第1の部分4内に含まれる空気の温度が上昇することに起因して)、一方向弁21が開いて、第1の部分4から第2の部分6に空気の一部分が流れるようにし、それにより圧力逃がし弁として働くようにしてもよい。第1の部分4からの空気は、一方向弁21を通って、第2の部分6の任意の適当な位置に流れてもよい。一例では、第1の部分4からの空気は、一方向弁21を通って、トランス7に流れてもよい。この一方向弁21は、任意の適切な弁でよい。一例では、一方向弁21は、透過性膜を備えてもよい。この透過性膜は、第1の部分4内の圧力が、第3の閾値圧力を超えるときにのみ、第1の部分4内の空気が、第2の部分6に流入できるように構成されてもよい。第3の閾値圧力は、第1及び/又は第2の閾値圧力と同じでも同じでなくてもよい。電子モジュール2の第1の部分4は、一方向の入口19、一方向の出口15、又は一方向弁21が開かれているときを除いて、実質的に滞留している空気を含んでいることに留意されたい。
【0014】
図2には、本開示による、
図1に示す空冷電子モジュール2の概略の3次元斜視図が示してある。
図2に示すように、空冷電子モジュール2は、前端部に2つ以上のファン8(たとえば、3つのファン)を備えてもよい。一例では、少なくとも1つのフィン11が、第1の部分4と第2の部分6を分離する熱交換器5から、第2の部分6へ向けて延在してもよい。冷却空気が第2の部分6を通って流れるとき、この冷却空気は少なくとも1つのフィン11と熱交換する。
図2には示していないが、熱交換器5はまた、第1の部分4内に延在する少なくとも1つのフィン11を備えて、第1の部分4内に含まれる空気と熱交換してもよいことが理解される。
【0015】
図2に示すように、空冷電子モジュール2は、電気入力部12をさらに備えてもよい。電気入力部12は、
図4に示すホット・ボックス13内に収容された燃料電池スタックからの電気接続部(有線又は無線)を備えてもよい。空冷電子モジュール2はさらに、電気出力部17を備えてもよい。この電気出力部17は、たとえば、
図5に示す入力/出力モジュール14、又は
図5に示す電力調節モジュール18などの、燃料電池システムの別の構成要素に至る電気接続部(有線又は無線)を備えてもよい。空冷電子モジュール2は、たとえば、DC/DCコンバータ3A、制御回路3B、トランス7、及び/又はインダクタ9など、様々な電子部品を接続する1以上の電気接続部37(有線又は無線)を備えてもよい。
【0016】
[燃料電池モジュール・キャビネット]
図3及び
図4には、燃料電池モジュール・キャビネット22を含む燃料電池システム・モジュール(たとえば、電力モジュール)100の例が示してある。例示するために、
図3には、燃料電池システム・モジュール100の他の構成要素が取り除かれた状態での、燃料電池モジュール・キャビネット22の3次元ビューが示してある。
図4には、電子装置及び他の構成要素が取り付けられた状態での、燃料電池モジュール・キャビネット22の3次元ビューが示してある。燃料電池モジュール・キャビネット22は、電気キャビネット24(第2の区画)及び燃料電池キャビネット26(第1の区画)用の別々の空気空間を設けていて、電気キャビネット24は正のゲージ圧を維持してもよく、燃料電池キャビネット26は負のゲージ圧を維持してもよい。燃料電池キャビネット26及び電気キャビネット24は、燃料電池モジュール・キャビネット22の共通のフレーム又はハウジング内に設けられてもよい。この設計により、燃料電池システム・モジュール100のサイズを削減し、貨物エレベータや貨物用通路など、屋内用途向けの小さな空間に、この燃料電池システム・モジュール100が収まるようにすることができる。燃料電池モジュール・キャビネット22は、この燃料電池モジュール・キャビネット22を、燃料電池キャビネット26と電気キャビネット24とに分離する少なくとも1つの壁又はプラットフォーム25を備えてもよい。
図3及び
図4には、電気キャビネット24が、燃料電池キャビネット26の上に積み重ねられている様子が示してある。例によっては、電気キャビネット24は、燃料電池キャビネット26の下方に設けられてもよいことが理解される。例によっては、燃料電池キャビネット26及び電気キャビネット24は、並列に配置されてもよい。
【0017】
電気キャビネット24は、
図1~
図2に示す1以上の電子モジュール2を収容するように構成されてもよい。
図3及び
図4に示すように、電気キャビネット24に設けられた2つ以上のスロット内には、2つ以上の電子モジュール2が配置されてもよい。燃料電池キャビネット26は、1以上の発電構成要素など、1以上の他の燃料電池システム電子装置を収容するように構成されてもよい。1以上の発電構成要素は、1以上の燃料電池スタックを含むホット・ボックス13と、送風機、弁、及び制御板などを含むバランス・オブ・プラント(BOP)のサブシステム27とを備えてもよい。
図4にはまた、それぞれの電子モジュール2が、2つ以上のファン8(たとえば、3つのファン)を備えてもよいことが示してある。
【0018】
[燃料電池システム]
図5には、本開示による燃料電池システム10が示してある。この燃料電池システム10は、2007年1月22日出願の米国特許出願第11/656,006号、及び2011年9月23日発行の米国特許第8,440,362B2号に記載された、燃料電池のモジュール及び構成要素を含んでもよく、その内容の全体を参照により本明細書に明示的に援用する。燃料電池システム10は、モジュール式でもよく、すなわち、1以上の燃料電池システム・モジュール100及び他のモジュールを備えてもよい。モジュール式の燃料電池システム10は、柔軟なシステムの設置及び運用を可能にすることができる。モジュール式の燃料電池システム10は、組み込まれた発電容量の柔軟なスケーリングを可能にする。モジュール式の燃料電池システム10はまた、発電の信頼性を高め、単一の設計セットを用いて燃料処理の柔軟性並びに電力出力の電圧及び周波数の柔軟性を高める。モジュール式の設計により、可用性と信頼性が高い「常時オン」ユニットを実現する。たとえば、ある1つの燃料電池システム・モジュール100がオフラインになるとき(たとえば、保守管理、修理、又は交換のために)、他の燃料電池システム・モジュール100は影響を受けることなく、動作を継続することができる。このモジュール式の設計はまた、顧客の設備の特定の要件条件を満たすようにスケール変更する容易な手段を実現する。たとえば、電力需要が増加すると、モジュール式の設計により、燃料電池システム・モジュール100の数を増やして、さらに多くの電力を発生させるのを容易にする。モジュール式の設計により、顧客及び/又は地理的領域によって異なることがある、利用可能な燃料、並びに必要とされる電圧及び周波数を使用することが可能となる。
【0019】
燃料電池システム10は、
図3~
図5について先に述べた1以上の燃料電池システム・モジュール100を備えてもよい。この燃料電池システム10はまた、1以上の燃料処理(又は燃料注入)モジュール16を備えてもよい。燃料電池システム10は、1以上の電力調節(たとえば、電気出力)モジュール18を備えてもよい。燃料電池システム・モジュール100は、燃料電池システム10内、たとえばベース20内、に設けられたワイヤ、ケーブル、及び/又は導管を介して、燃料処理モジュール16又は電力調節モジュール18のうち少なくとも1つと電気的にかつ/又は流体的に接続されてもよい。たとえば、燃料電池システム・モジュール100は、ベース20に設けられたワイヤを介して、電力調節モジュール18及び/又は燃料処理モジュール16と電気的に接続されてもよい。燃料電池システム・モジュール100は、ベース20に設けられた流体導管(たとえば、パイプ)を介して燃料処理モジュール16と流体的に接続されてもよく、脱硫燃料などの燃料を燃料処理モジュール16から受け取ってもよい。
【0020】
電力調節モジュール18は、直流(DC)、交流(AC)、又はその両方を供給するように構成されてもよい。電力調節モジュール18は、インバータなど、DCをACに変換する機構を備えてもよい。燃料電池システム10は、2個~30個の燃料電池システム・モジュール100を含むとするなど、任意の数の燃料電池システム・モジュール100を含んでもよい。たとえば、
図5に示す燃料電池システム10は、6つの燃料電池システム・モジュール100(1列に並んで配置されている)、1つの燃料処理モジュール16、及び1つの電力調節モジュール18を備える。燃料電池システム・モジュール100、燃料処理モジュール16、及び電力調節モジュール18は、共通のベース20上に配置されてもよい。ベース20はまた、燃料電池システム・モジュール100と、燃料処理モジュール16及び/又は電力調節モジュール18とを接続することのできる配線ケーブル、電力線、導管用の共通空間を設けてもよい。燃料電池システム・モジュール100、燃料処理モジュール16、及び電力調節モジュール18のそれぞれは、それ自体のキャビネットを備えてもよい。別法として、又は追加として、以下でより詳細に説明するように、燃料処理モジュール16及び電力調節モジュール18は、1つのキャビネット内に配置された単一の入力/出力モジュール14に組み合わせてもよい。
【0021】
燃料電池システム・モジュール100のそれぞれは、電気キャビネット24と燃料電池キャビネット26とに分離され得る燃料電池モジュール・キャビネット22を備える。燃料電池キャビネット26は、少なくとも1つのホット・ボックス13を収納するように構成されてもよい。各ホット・ボックス13は、たとえば、導電性相互接続板によって分離されたセラミック酸化物電解質を有する固体酸化物燃料電池の1以上のスタック又はカラムなど、燃料電池の1以上のスタック又はカラム(明確にするため図示せず)を含んでもよい。プロトン交換膜(PEM)、溶融炭酸塩、リン酸など、他の燃料電池のタイプも、ホット・ボックス13に含まれてもよい。燃料電池スタックは、外部及び/又は内部で複数重ね合わされたスタックを含んでもよい。たとえば、燃料電池層及び/又は各燃料電池間の相互接続板での開口部を通って延在する、燃料及び空気のライザを用いて、燃料及び空気のために、燃料電池スタックが内部で複数重ね合わされてもよい。
【0022】
別法として、又は追加として、燃料入口及び排出ライザのみが、燃料電池層及び/又は各燃料電池間の相互接続板における開口部を通って延在する場合には、燃料電池スタックは、燃料用に内部で複数重ね合わされ、空気用に外部で複数重ね合わされてもよく、これは、2010年5月11日発行の米国特許第7,713,649号に記載されており、その内容の全体を参照により本明細書に明示的に援用する。燃料電池は、様々な燃料/空気流の構成を有してもよい。たとえば、各燃料電池は、クロス・フロー構成(空気と燃料が、各燃料電池での電解質の両側で互いにおおよそ直角に流れる)、向流並列構成(空気と燃料が、互いに対して大まかに平行に、ただし各燃料電池での電解質の両側で逆向きに流れる)、及び/又は並行流並列構成(空気と燃料が、各燃料電池での電解質の両側で互いに対しておおよそ平行に同じ方向に流れる)を有してもよい。
【0023】
燃料処理モジュール16は、たとえば、吸着ベッド(たとえば、脱硫器及び/又は他の不純物吸着ベッド)など、燃料の前処理に使用される構成要素を含むキャビネットを備えてもよい。燃料処理モジュール16は、様々なタイプの燃料を処理するように構成されてもよい。たとえば、燃料処理モジュール16は、同じキャビネット内、又は別々のキャビネット内に、ディーゼル燃料処理モジュール、天然ガス燃料処理モジュール、又はエタノール燃料処理モジュールのうち少なくとも1つを備えてもよい。特定の燃料に合わせて調製された異なるベッド組成物が、各燃料処理モジュール16に備えられてもよい。燃料処理モジュール16は、以下の燃料、すなわち、パイプラインから供給される天然ガス、圧縮天然ガス、メタン、プロパン、液化石油ガス、ガソリン、ディーゼル、家庭向け暖房用オイル、灯油、JP-5、JP-8、航空燃料、水素、アンモニア、エタノール、メタノール、合成ガス、バイオガス、バイオディーゼル、及び他の適切な炭化水素又は水素含有燃料のうち少なくとも1つを処理してもよい。例によっては、燃料処理モジュール16内に改質器17が備えられてもよい。例によっては、改質器17は、(1以上の)燃料電池スタックと熱的に統合されてもよい。このような例では、別々の改質器17が、それぞれの燃料電池システム・モジュール100の各ホット・ボックス13内に配置されてもよい。例によっては、内部を改質する燃料電池を使用する場合、外部の改質器17を省略してもよい。燃料処理モジュール16は、処理済みの燃料(たとえば、脱硫燃料)を1以上の燃料電池システム・モジュール100に供給するために、たとえばベース20に設けられた導管を介して、1以上の燃料電池システム・モジュール100と流体的に接続されてもよい。
【0024】
電力調節モジュール18は、燃料電池システム・モジュール100内に含まれる燃料電池スタックによって生成される直流電力を交流電力に変換するための構成要素(たとえば、2010年4月27日発行の米国特許第7,705,490号に記載のDC/DCコンバータ及びDC/ACコンバータであり、その内容の全体を参照により本明細書に明示的に援用する)、電力網に交流電力を出力するための電気コネクタ、電気過渡現象を管理するための回路、システム制御装置(たとえば、コンピュータ又は専用の制御論理装置若しくは制御論理回路)を含むキャビネットを備えてもよい。電力調節モジュール18は、燃料電池モジュールからの直流電力を、様々な交流電圧及び交流周波数に変換するように構成されてもよい。208V/60Hz、480V/60Hz、415V/50Hz、及び他の一般的な電圧と周波数での設計を実現してもよい。電力調節モジュール18は、たとえば、ベース20に設けられたワイヤを介して、1以上の燃料電池システム・モジュール100と電気的に接続されて、この燃料電池システム・モジュール100に電力を供給し、燃料電池システム・モジュール100によって生成される電力を受け取ってもよい。
【0025】
図5を参照すると、例によっては、燃料処理モジュール16及び電力調節モジュール18は、共通のキャビネットを備えた単一の入力/出力モジュール14内に収納されてもよい。単一の入力/出力モジュール14が設けられているとき、燃料処理モジュール16及び電力調節モジュール18は、単一の入力/出力モジュール14内で、垂直方向(たとえば、電力調節モジュール18は、燃料処理モジュール16の脱硫器キャニスタ/ベッドの上方又は下方に積み重ねられてもよい)に配置されてもよく、又は互いに並んで配置されてもよい。
【0026】
図5に示すように、1つの入力/出力モジュール14が、この入力/出力モジュール14の片側に直線的に並んで配置された6つの燃料電池システム・モジュール100の1列について設けられてもよい。燃料電池システム・モジュール100のこの列は、たとえば、燃料電池システム10が電力を供給する建物に隣接して配置されてもよい。
図5には1列の燃料電池システム・モジュール100が示してあるが、燃料電池システム10は、燃料電池システム・モジュール100の2つ以上の列を備えてもよい。たとえば、燃料電池システム10は、背中合せに、端から端まで、並んで積み重ねられるか、又は1つずつ積み重ねられた燃料電池システム・モジュール100の2つ以上の列を備えてもよい。
【0027】
燃料電池システム10は、容易に拡張できる。たとえば、燃料電池システム10によって提供される建物又は他の施設の電力ニーズに基づいて、任意の適切な数の燃料電池システム・モジュール100が、この燃料電池システム10に備えられてもよい。燃料電池システム・モジュール100及び入力/出力モジュール14はまた、他の比率で備えられてもよい。たとえば、例によっては、1つの入力/出力モジュール14に隣接して、6個より多いか又は6個未満の燃料電池システム・モジュール100が設けられてもよい。さらに、燃料電池システム10は、2つ以上の入力/出力モジュール14(たとえば、それぞれが別々の燃料処理モジュール16及び別々の電力調節モジュール18を含む、2つの入力/出力モジュール14)を備えてもよい。
図5に示す例では、入力/出力モジュール14は、燃料電池システム・モジュール100の列の端部に配置されているが、この入力/出力モジュール14はまた、たとえば燃料電池システム・モジュール100の列の中央など、燃料電池システム10の他の位置に配置されてもよい。顧客の仕様(たとえば、電力の需要)に応じて、1以上の燃料電池システム・モジュール100を燃料電池システム10に追加してもよく、又は、1以上の燃料電池システム・モジュール100を燃料電池システム10から遮断してもよく、若しくは取り外してもよい。
【0028】
燃料電池システム10は、システムの整備を容易にするように構成されてもよい。定期的に保守される構成要素(消耗部品など)は、整備にかかる時間を短縮するために、単一のモジュールに配置されてもよい。たとえば、天然ガス燃料システム用のパージガス及び脱硫器の材料が、単一のモジュール(たとえば、燃料処理モジュール16又は複合入力/出力モジュール14)内に配置されてもよい。サービス担当者は、定期的な保守の間、各構成要素を整備するために、単一のモジュール又はキャビネットにアクセスするだけでもよい。したがって、燃料電池システム・モジュール100、入力/出力モジュール14、燃料処理モジュール16、及び電力調節モジュール18のそれぞれは、他のモジュール又はキャビネットを開けることなく、またその他のモジュール又はキャビネットの整備、修理、又は取外しをおこなうことなく、整備し、修理し、又は燃料電池システム10から取外したりすることができる。
【0029】
たとえば、前述の通り、燃料電池システム10は、複数の燃料電池システム・モジュール100を備えてもよい。例によっては、少なくとも1つの燃料電池システム・モジュール100がオフラインになるとき(たとえば、燃料電池システム・モジュール100に含まれるホット・ボックス13内のスタックによって電力が生成されない)、残りの燃料電池システム・モジュール100、燃料処理モジュール16、及び電力調節モジュール18(若しくは複合入力/出力キャビネット14)は影響を受けることなく、電力を生成するよう動作し続けることができる。さらに、燃料電池システム10は、燃料電池システム・モジュール100、14、16、又は18の各タイプのうち2つ以上を含んでもよい。例によっては、特定のタイプの少なくとも1つのモジュールがオフラインになるとき、同じタイプの残りのモジュールは影響を受けることなく、動作し続けることができる。
【0030】
例によっては、複数のモジュール又はキャビネットを含む燃料電池システム10において、モジュール100、14、16、又は18のそれぞれが、燃料電池システム10内のその他のモジュールの動作に影響を及ぼすことなく、燃料電池システム10が発電し続けられるように、個別に電気が切断され、燃料電池システム10から個別に取り外され、かつ/又は個別に整備若しくは修理されるようにしてもよい。1つのホット・ボックス13内の燃料電池の1つのスタックが機能不良に陥り、又は整備のためにオフラインにされても、燃料電池システム10全体をシャットダウンする必要がないようにすることができる。
【0031】
[ドア]
燃料電池スタックのホット・ボックスはサイズが著しく大きいので、大型の固定型燃料電池システム・キャビネットは、大きなキャビネット・ドアを有する。ドアは、高さが1~3メートル、幅が1~3メートルで、鋼又はアルミニウムなどの金属で作製されてもよい。ドアの寸法が大きいと、その結果、キャビネットへの機械的負荷の要求条件が高くなり、ドアの重量が増加し、ドアの取扱いが難しくなる。さらに、大型のドアは、側部蝶番式ドアを旋回して開閉できるようにするために、各キャビネットと隣接する構造体(たとえば、建物、別のキャビネットなど)との間に、無駄に離された広い空間を必要とする。
【0032】
従来のドア開放機構(左右の蝶番機構など)は、特に路地などの狭い空間で、キャビネットの内部へのアクセスを妨げることもある位置に、開放されたドアが置かれたままになり、又は他のドア若しくは機器からの損傷に曝されることもある位置に、かかるドアが置かれたままになる。さらに、側部からドアに蝶番をつけることは、ドアの自重及び寸法から、ドアのたわみの原因となることもある。屋外運用向けの燃料電池キャビネットを設計するときに直面するさらなる問題は、各ドアの境界部分でのウェザー・シールの完全性である。キャビネットへの水及び異物の侵入による信頼性の影響を排除するには、シールを確実にしなければならない。
【0033】
さらに、各ドアは、燃料電池ホット・ボックス13を環境から保護すること、ホット・ボックス13の外側と周囲の間に熱障壁を設けること、エア・フィルタを収納すること、掛け金、蝶番、及びシール用の取付け位置を設けることなど、ドアが果たす複数の機能により、数多くの部品から構成されてもよい。部品の量が多いと、ドアの品質及び配置確度に影響を及ぼす場合がある。
【0034】
図6には、開放状態での燃料電池システム10で使用され得るドア30の等角図が示してある。ドア30は、燃料電池システム・モジュール100、燃料処理モジュール16、電力調節モジュール18、及び/又は入力/出力モジュール14に含まれてもよい。燃料電池システム100で使用されるとき、燃料電池モジュール・キャビネット22にドア30が取り付けられてもよい。ドア30は、ハッチ、アクセス・パネルなどでもよく、これにより、(たとえば、保守管理、修理、交換などのために)それぞれのモジュールの内部構成要素にアクセスできるようにしてもよい。一例では、燃料電池システム・モジュール100及び入力/出力モジュール14は、各モジュールの一面にのみ1以上のドア30を有する直線配列で配置されており、システムの連続的な列を、各端部において互いに隣接して設置できるようにする。したがって、燃料電池システム・モジュール100及び入力/出力モジュール14は、モジュール列の軸に垂直な方向を向いているドアを有してもよい。このようにして、燃料電池システム10のサイズ及び容量は、たとえば、(1以上の)既存の燃料電池システム・モジュール100、入力/出力モジュール14、及びベース20の最小の再配置で、(1以上の)追加の燃料電池システム・モジュール100、(1以上の)入力/出力モジュール14、及び(1以上の)ベース20を用いて調整されてもよい。例によっては、入力/出力モジュール14へのドア30は、この入力/出力モジュール14の前端部ではなく、側端部に取り付けられてもよい。
【0035】
例によっては、ドア30は、少なくとも1つの内側部分32、及び少なくとも1つの外側部分34を備えてもよい。内側部分32は、ドア30用のフレーム枠を形成し、燃料電池モジュール・キャビネット22又は入力/出力モジュール14のフレームに、ドア30を連結できるようにする機能を含む。外側部分34は、内側部分32に連結されてもよく、ドア30用のカバーを設けてもよい。例によっては、外側部分34は高分子材料を含んでもよく、内側部分32は金属材料を含んでもよい。ドア30の外側部分34を、少なくとも部分的に高分子成分で形成することにより、建築費及び塗装費、総重量、並びに外装熱負荷を低減してもよく、ドア30の耐デント性を向上させることができる。特定の用途に必要なとき、外側部分34の材料には、UL746C準拠の難燃性が含まれてもよい。
【0036】
例によっては、ドア30全体が、単一の構造体として射出成形される。射出成形のドア30は、総部品点数を低減し、取付けポイントを設け、高品質部品の製造を簡略化するように、可能な限り数多くの機能を組み込んでもよい。このような成形ドア用の金型は、ドアの内部側(すなわち、閉じたときにキャビネットに面する側)が、耐熱性及び難燃性のプラスチック・シートから作製され、ドアの外部側が、難燃性及び高温耐性をもたずとも、耐候性をもち、美的に満足のいくプラスチック・シートから作製されるように、2種類の異なるプラスチックを同じ金型に共射出できるように構成されてもよい。例によっては、ドア30は、真空熱成形プロセスによって形成されてもよい。まず、シートはUL及びコスメティックな要求条件を満たす2つ以上のプラスチックの共押出し成形で形成されてもよい。次いで、共押出しされたシートを真空熱成形してドア30を形成してもよい。
【0037】
高温燃料電池(たとえば、SOFC)は高温で動作するので、ドア30は、このドア30の難燃性を高める材料又は機能を有するように形成されてもよい。炎又は極度の熱に曝される危険がない場合、標準的で低コストのカラー・プラスチック材料を使用してドア30を形成してもよい。炎の危険が低い場合は、ドア30の外観品質を維持しながら、標準的なプラスチックに添加剤を混合してもよい。たとえば、共射出成形法により、標準的なプラスチックを使用して外装(たとえば、外側部分34)を成形し、要求されるUL746C難燃性プラスチックを使用して内装(たとえば、内側部分32)を成形してもよい。必要とされる機能を可能にするためのインサートとともに、単一の共射出成形金型を使用して、ドア30を形成してもよい。例によっては、UL746C準拠の難燃性が必要なとき、ドア30は、その表面に別のタイプの難燃性の機能を備えてもよい。たとえば、外側部分34の内面(すなわち、内側部分32に面する表面)に難燃性コーティングを施してもよい。別の例として、布など別々の可撓性の難燃層が、外側部分34の内面にわたって設けられてもよい。さらに別の例として、押出し平面プラスチックなど別々の剛性難燃層を、外側部分34の内面に追加してもよい。例によっては、様々な難燃性材料を互いに組み合わせて使用してもよい。
【0038】
外側部分34は、様々な色のポリマーから、成形されても、又は他の方法で形成されてもよく、それにより塗装が必要でなくなる。一例では、外側部分34の大部分が高分子材料から作製される。ポリマーを含む外側部分34は、耐デント性及び耐落書き性を有してもよい。ポリマーを含む外側部分34は、引っかき傷に強く、発生する引っかき傷は、金属本体上の同様の引っかき傷よりも目立ちにくく、また関連する腐食問題を引き起こさないであろう。さらに、外側部分34は、ドア30の組立て及びドア30の設置をより容易に、より速く、より正確におこなえるようにするため、フィルタ・ハウジングや留め具など一体成形される追加の部品及び機能を備えてもよい。ポリマーを含む外側部分34は、ドア30の組立てに必要なコスト、労力、及び材料を削減することができる。射出成形などのプロセスを用いて外側部分34を形成することによって、さらに良好に形状適合し、ドア30の組立てがさらに容易になる。高分子材料は、金属材料から形成された対応する部分よりも軽量である。外側部分34に高分子材料を含むドア30により、取扱い、持上げ、及び出荷を容易にすることができる。
【0039】
図7Aには、本開示による燃料電池システム10で使用され得るドアの外観図が示してある。
図7Bには、本開示による燃料電池システム10で使用され得るドアの内部図が示してある。電気キャビネット24と燃料電池キャビネット26とに、分離した空気空間を保持するために、ドア30は、この電気キャビネット24と燃料電池キャビネット26との間に延在する突出部分36を備えてもよい。この分離により、電気キャビネット24は正のゲージ圧を維持し、燃料電池キャビネット26は負のゲージ圧を維持することができるようになる。突出部分36は、燃料電池モジュール・キャビネット22の深さの適切な部分(すべて、半分、3分の1など)で空間内に突出してもよい。ドア30は、燃料電池モジュール・キャビネット22及び/若しくは燃料処理モジュール16、電力調節モジュール18、又は、燃料処理モジュール16及び電力調節モジュール18を含み得る入力/出力モジュール14用のドアとして使用されてもよい。
【0040】
[フィルタ・アセンブリ]
燃料電池システム・キャビネットは一般に、このキャビネットを通過して流入流入冷却空気を濾過するための濾過システムを備える。高ダスト環境下では、多層フィルタは急速に目詰まりを起こし、頻繁に交換する必要が生じる場合がある。空気圧式バック・フラッシュ・フィルタは、空気取入れ口が閉鎖されているときにのみ機能し、一般に、常時オンの燃料電池システムではうまく機能しない。落下する水のカーテンが水を通過する空気から粒子を除去するウォータ・カーテン・フィルタは、電力及び水流を必要とし、システムの動作が複雑になる。このようなシステムは、閉鎖系では水フィルタ、又は開放系では一定の水供給を必要とする。
【0041】
図6に示すように、ドア30は、1以上の空気濾過装置を備えてもよい。この空気濾過装置は、エア・フィルタ、スクリーン、膜、及び他の空気清浄構成要素を備えてもよい。例によっては、ドア30は、内側部分32と外側部分34の間の空間に、少なくとも1つの空気濾過装置を備えてもよい。説明のため、
図6に示す例では、2つのエア・フィルタ40が、ドア30の内側部分32と外側部分34との間の空間において互いに重なり合って配置される。
図8は、
図7Aの線A-Aに沿ったドア30の断面図であり、本開示によるドア30を通る空気流を示している。
図8に示すように、ドア30の左縁部及び/又は右縁部が、内側部分32と外側部分34の間のエア・フィルタ40が配置された空間に、大気から空気が流れることができるように構成された、空気入口42を備えてもよい。空気がエア・フィルタ40を通過し、このエア・フィルタ40が、空気からの異物(たとえば、粉塵、汚れなど)を濾過する。次いで、ドア30の内側部分32に配置された出口44を介して、燃料電池モジュール・キャビネット22の内部に(たとえば、燃料電池キャビネット26及び/又は電気キャビネット24に)、濾過された空気が供給される。エア・フィルタ40は、(1以上の)入口42と出口44の間に設けられてもよい。濾過された空気は、燃料電池モジュール・キャビネット22内に配置された送風機によって、ホット・ボックス13内に配置された燃料電池スタックに吹き込まれる吸入空気流の役割を果たしてもよい。
【0042】
ドア30はさらに、粗い濾過機構又は初期の濾過機構など、他の空気濾過装置を備えてもよい。
図8に示すように、この初期の濾過機構は、空気からの微粒子及び水/湿気を濾過できる、1以上の有孔スクリーン46を備えてもよい。この有孔スクリーン46は、空気入口42とエア・フィルタ40との間の空気流路に配置されてもよい。各スクリーン46は、ドア30の上部から見たとき、「L」字形を有していてもよい。流入する空気を事前に濾過することによって、エア・フィルタ40を汚す粉塵及び他の微粒子の量をドア30が減少させる。
【0043】
図8に示すように、空気(矢印で示す)は、1以上のドア側(たとえば、ドア30の左縁部面及び/又は右縁部面)から入口42を通って入り、入口42とスクリーン46との間に配置された膨張室41に入る。膨張室41は、内側部分32と外側部分34との間の内部空間の一部分でもよい。例によっては、膨張室41の幅は、隣接する入口42の幅よりも広くてよい。これによって、空気が、膨張室41で膨張し、減速することができるようになる。空気が減速して、空気中に浮遊している汚れ、粉塵、及び他の粒子状物質が、有孔スクリーン46に到達する前に、膨張室41の底部に落下するようにしてもよい。次いで、空気は、有孔スクリーン46を通過し、内側部分32と外側部分34との間の内側キャビティ45に入り、ここで、この空気はさらに、エア・フィルタ40の前方のプレナムに流れる。この内側キャビティ45は、内側部分32と外側部分34との間の内部空間の一部分でもよい。スクリーン46はまた、空気流に乱流を発生させてもよい。空気流がさらに乱れて急に旋回すると、有孔スクリーン46を通過する同伴粒子及び浮遊粒子がさらに空気中からこぼれ落ちることになる。次いで、異物が低減した空気は、エア・フィルタ40を通過する。このエア・フィルタ40は、垂直なバッフルを内部に形成する。一例では、エア・フィルタ40は最終的な濾過を提供する。濾過された空気は、ドア30の内側部分32での出口44を通ってキャビネットに入る。
【0044】
ドア30の外側部分34は、エア・フィルタ40及び/又は他の濾過装置の迅速で容易な整備に役立つように、(
図6に示すように)内側ドア32に対して外側に蝶番で連結されるように構成されてもよい。燃料電池システム・モジュール100又は入力/出力モジュール14の内部を露出させるために、ドア30の内側部分32を開くことなく、エア・フィルタ40及び/又は他の濾過装置を保守管理のために露出させるために、ドア30の外側部分34が下方に揺動するように、ドア30のフレームの下端に蝶番が配置されてもよい。このように、エア・フィルタ40及び/又はスクリーン46は、燃料電池システム・モジュール100又は入力/出力モジュール14のキャビネットに対してドア30全体を開くことなく、整備又は交換することができる。
【0045】
図6に示すように、ドア30は、エア・フィルタ40を保持する1以上のフレーム部材38を備えてもよい。
図6に示すように、このフレーム部材38は、外側に枢動するように構成されてもよく、又はエア・フィルタ40のみが外側に枢動できるようにするように構成されてもよい。フレーム部材38及び/又はエア・フィルタ40は、このフレーム部材38の下端部に配置された旋回軸を使用して外側に旋回するように構成されてもよい。フレーム部材38及び/又はエア・フィルタ40は、ドア30の外側部分34が外側に枢動すると、自動的に外側に枢動するように構成されてもよい。或いは、フレーム部材38及び/又はエア・フィルタ40は、ドア30の外側部分34が外側に枢動された後、人間のオペレータによる手動で又は機械によって外側に枢動されてもよい。ドア30の内側部分32の水密シールを破ることなく、エア・フィルタ40の整備を実行してもよい。たとえば、エア・フィルタ40を整備するには、外側ドア部分34を傾けてもよく、またエア・フィルタ40を持ち出して交換してもよい。
図6に示すように、エア・フィルタ40を交換した後、外側部分34は、上方に旋回されて、ドア30の内側部分32に掛け金をかけられることによって閉じられる。
【0046】
ドア32での入口42の形状は、ドア30の前部、及び燃料電池システム・モジュール100又は入力/出力モジュール14の前部から、空気の入口領域が直接見えないように構成されており、それによって、燃料電池システム10の美的外観が向上する。例によっては、入口42は、ドア30の完全に垂直な左右の縁部に沿って延在してもよい。入口での圧力降下を減少させて、燃料電池システム10の寄生消費電力を低減させてもよい。例によっては、入口42は、ドア30の左側と右側の一方又は両方に配置されてもよい。環境異物に系統的バイアス(たとえば、一方向からドア30に吹き込まれる雪、漂砂、又は他のデブリ)が存在する場合、2つの側部のうちの一方が、異物の影響を著しく受けることなく、向かってくる風の「風下」(すなわち、下流)に、効果的に配置して、暴風雨においても支障なく、ユニットが動作できるようにしてもよい。
【0047】
図8に示すドア30の構成は、いくつかの非限定的な利点を有する。ドア30を通過する空気は、エア・フィルタ40に最初に入る前でも、従来のドアよりも大幅に清潔である。前述の通り、空気の受動的な濾過を使用することによって、第1段の異物除去を実行するために直接電力を消費することがない。エア・フィルタ40に到達する異物の量を低減することによって、エア・フィルタ40を交換しなければならない頻度が減少する。エア・フィルタ40の寿命を延ばすことにより、燃料電池システム10においては、サービス要員の訪問及びフィルタの消耗品に起因する2次的なコストが著しく削減される。
【0048】
[受動式空気取入れルーバー]
図9は、
図7Aの線A-Aに沿った、燃料電池システム10で使用され得るドア30の概略断面図であり、本開示によるドア30を通る空気流を示している。
図9には、ドア30が、このドア30の内側部分32と外側部分34との間の空間内に配置された、受動式空気取入れルーバー59を備えてもよいことが示してある。受動式空気取入れルーバー59は、内側部分32と外側部分34との間の空間に向けて突出する複数の内部バッフル47を備えてもよい。この空間は空気流路の役割を果たし、バッフル47が空気流路内に配置される。バッフル47は、(1以上の)入口42からの空気流が、出口44に到達する前に内部空間の内側で、たとえば少なくとも2回、その流れの方向を変えるようにしてもよい。たとえば、cチャネルのオフセットした対向列がドア30の内側に連結された状態で、内部バッフル47が形成されてもよい。
【0049】
バッフル47は、たとえば、細片、棒、板、又はレールなど、任意の形態又は形状をとってもよい。バッフル47は、ほぼくし型の配置で(たとえば、バッフルが、ドア30の相対する部分32及び34に取り付けられて、ドアの厚さ方向に部分的に重なっていたり、重なっていなかったりする)、ドア30の内側部分32及び/又は外側部分34に交互に取り付けられてもよい。バッフル47は、ドア30の垂直高さの全体又は一部分を通って延在してもよい。バッフル47は、入口42から流れる空気流が、出口44へ一直線に移動するのを実質的に防止する任意の適切な構成で配置されてもよい。その代わりに、バッフル47は、入口42から出口44までの蛇行経路を空気流に移動させるように構成される。
【0050】
空気流中の異物(粉塵、砂、ミストなど)は、バッフル47の回りで空気が向きを変えている間も、前進し続ける運動量を有する。粉塵及び砂は、バッフル47によって形成された隅部(たとえば、上流のバッフル面)に積もり、ドア30の底部に配置された1以上の開口部48を通ってドアから排出される。粉塵及び汚れが大幅に低減された空気は、出口44を通ってルーバー・アセンブリから排出される。
【0051】
図9の空気取入れルーバー59は、
図8に示すスクリーン46、膨張室41、及び/又は(1以上の)エア・フィルタ40とともに使用されてもよい。例によっては、空気は、空気取入れルーバー59のバッフル47に到達する前に、入口42から膨張室41及び/又はスクリーン46を通過する。次いで、この空気は、
図6及び
図8に示すように、(1以上の)エア・フィルタ40から、ドア30内の出口44を通って、燃料電池システム・モジュール100又は入力/出力モジュール14内に通過する。別法として、又は追加として、空気取入れルーバー59は、
図8に示すスクリーン46、膨張室41、又は(1以上の)エア・フィルタ40のうち少なくとも1つを含まないドア30内に存在してもよい。
【0052】
図9には、ドア30の左側と右側での2つの入口42から空気が入る、2組の空気取入れルーバー59の構造体が示してある。例によっては、2組より多い又は少ない空気取入れルーバー59の構造体が、周期的又は不規則でランダムな間隔で、ドア30内に設けられてもよい。例によっては、2つより多い入口42が、ドア30に設けられてもよい。さらに、入口42は、
図9でのドア30の外側部分34に示してあるが、追加として、又は別法として、入口42は、
図8に示すように、ドア30の側部(すなわち、縁部)に配置されてもよい。
【0053】
[ドア・アセンブリ]
図10は、側壁が取り外された状態の燃料電池システム10の側面図であり、本開示による閉位置にあるドア30を示している。
図11は、側壁が取り外された状態の燃料電池システム10の側面図であり、本開示による開位置にあるドア30を示している。例によっては、内側部分32と外側部分34の両方を含むドア30全体を開いて、燃料電池システム・モジュール100又は入力/出力モジュール14を含む燃料電池システム10の内部にアクセスしてもよい。ドア30が開かれたときにドア30にかかるトルクから生じ得るドアのたわみを軽減するために、大型の固定型発電機のドア構造は、一般に、高価で複雑な構造部材によって大幅に補強されている。
【0054】
従来のドア・パネル構成には、取外し可能なキャビネット・ドアを備えるものがある。このような設計では、燃料電池システムを保守する際に、ドア・パネルが取り外され、脇に置かれる。大規模な固定型燃料電池発電機の場合、大きくて重いドア・アセンブリを持ち上げるには、一般にフィールド・サービス要員が2人必要となるので、取外し可能なドアは一般に採用されない。
【0055】
本開示のいくつかの例によれば、
図10~
図11に示すように、ドア30の内側部分32及び外側部分34は、実質的に垂直から実質的に水平に揺動(たとえば「ガルウイング」スタイルで)して、縦に並んで(たとえば、一緒に)開くように構成されてもよい。ドア30は、上方に移動し、次いで、燃料電池システム10の上端を少なくとも部分的に覆うように、実質的に水平方向に移動することによって開く。「実質的に垂直」及び「実質的に水平」という用語は、正確な垂直方向及び水平方向からそれぞれ0度~10度など、0度~30度のずれを含む。
【0056】
図10~
図11に示すように、ドア30は、2つのアーム50及び2つのアーム54など、独立した複数の機械式アームを用いて、燃料電池システム10の少なくとも1つの壁に取り付けられてもよい。たとえば、ドア30は、燃料電池モジュール・キャビネット22の壁、燃料処理モジュール16の壁、電力調節モジュール18の壁、及び/又は入力/出力モジュール14(これは、燃料処理モジュール16及び電力調節モジュール18を含んでもよい)の壁に取り付けられてもよい。
図10~
図11には、燃料電池システム10の右側の1つのアーム50及び1つのアーム54が示してある。燃料電池システム10の左側の対応するアーム50及び54は、右側のアームによって隠され、したがって、
図10~
図11の側面図では見ることができない。したがって、非限定的な例では、ドア30の両側に2つのアーム50及び54が設けられており、合計4つのアームとなる。
【0057】
第1のアーム50は、実質的に直線の第1の端部51、及び湾曲した第2の端部52を含んでもよい。第2のアーム54は、湾曲した第1の端部55、及び実質的に直線の第2の端部56を含んでもよい。第1のアーム50及び第2のアーム54は、他の適切な形状(直線状又は湾曲状)とされてもよいことが理解される。第2のアーム54は、第1のアーム50よりも長くてもよく、又はその逆でもよい。第2のアーム54は、一端に、さらに顕著な湾曲部を含んでもよい。第1の端部51及び55の少なくとも一方が、互いに対して固定された距離又は調整可能な距離で、燃料電池システム10の壁の内部(又は外部)の表面に連結されてもよい。たとえば、第1の端部51と55の両方は、燃料電池モジュール・キャビネット22の壁、燃料処理モジュール16の壁、電力調節モジュール18の壁、及び/又は入力/出力モジュール14(これは、燃料処理モジュール16及び電力調節モジュール18を含んでもよい)の壁の内部(又は外部)の表面に連結されてもよい。第2の端部52及び56の少なくとも一方が、互いに対して固定された距離又は調整可能な距離でドア30に連結されてもよい。第1の端部51は、第1の端部55よりもドア30に近い位置に配置されてもよい。第2の端部52は、ドア30での第2の端部56よりも上方に配置されてもよい。
【0058】
ドア30が開閉する際のドア30に対する迎え角は、ドア30及び/又は燃料電池システム10上での枢支点の位置を変更することによって調整されてもよい。例によっては、ドア30に対する迎え角は、アーム50及び54の形状及び/又は長さを調整することによって調整されてもよい。ドア30が閉じたときの垂直位置と、ドア30が開いたときの水平位置との変化は、ドア30及び/又は燃料電池システム10での枢支点の位置を変更することによって調整されてもよい。別法として、又は追加として、ドア30が閉じているときの垂直位置と、ドア30が開いているときの水平位置との変化は、アーム50及び54の形状及び/又は長さを調整することによって調整されてもよい。
【0059】
図11に示すように、開位置では、アーム50及び54、並びにバイアス部材(図示せず)は、燃料電池システム10の上方に実質的に水平な向きでドア30を保持するように協働する。アーム50及び54によって抑制される閉位置(
図10)と開位置(
図11)との間でのドア30の動きは、従来の側部蝶番式ドアに勝るいくつかの利点を有する。この蝶番機構は、部品の点数が相対的に少ない。ガルウイング・ドア30で必要とされるサイト・レイアウト(たとえば、燃料電池システム10の周囲に必要とされるクリアランス)は、ドア30が開くときにドア30によってたどられる経路が、従来の側部蝶番式ドアによってたどられるより長い経路と比較して短いので、同じ寸法の従来の側部蝶番式ドアに必要とされるサイト・レイアウトよりも小さい。ドア30を閉じるとき、ユーザは、バイアス部材58の力に抗して、その重力によって補助される。
【0060】
さらに、
図11に示す開位置において、ドア30の上部は、燃料電池システム10の上面(たとえば、燃料電池モジュール・キャビネット22の上面)全体に配置されてもよく、ドア30の下部は、燃料電池システム10への開口部に張り出してもよい(たとえば、上面の縁部に張り出してもよい)。この構成では、ドア30の下部が燃料電池システム10の上面から張り出しているので、このドア30には、ユーザ/オペレータを雨及び雪から保護するという利点がある。別法として、又は追加として、ドア30全体が、開位置での燃料電池システム10の上面全体に配置されてもよい。
【0061】
[燃料電池システム・モジュールでのホット・ボックスの配置]
燃料電池システム・モジュール100の内部構成要素は、整備、修理、又は交換するためなど、定期的に取り外すことが必要となる場合がある。従来、ホット・ボックス13及び/又はバランス・オブ・プラント・サブシステム27などの構成要素は、フォークリフトを用いて燃料電池システム・モジュール100から取り外される。従来の燃料電池アセンブリは、フォークリフトを配置し、格納装置から構成要素を取り外すために、すべての側にかなりの空間を必要とする場合があり、ときにはホット・ボックス13の長さの4倍~5倍の長さを必要とする場合がある。
【0062】
図12は、本開示による、ドア30が取り外された状態での、現場で交換可能な燃料電池モジュール(FCM)を含む燃料電池システム・モジュール100を示す等角図である。
図12に示すように、燃料電池システム・モジュール100は、現場で交換可能な燃料電池モジュール(FCM)70を備えてもよい。このFCM70は、燃料電池スタック及び熱交換器アセンブリを含み得る円筒形のホット・ボックスなどのホット・ボックス13、並びに送風機、弁、及び制御板などを含むバランス・オブ・プラント(BOP)サブシステムを備えてもよい。FCM70は、取外し可能な支持体72に取り付けられてもよく、これにより、燃料電池システム・モジュール100のキャビネットから、このFCM70を単一ユニットとして取り外すことができる。
図12には、FCM70の構成の非限定的な例が示してあり、ここでFCM70は、円筒形のホット・ボックス13と、BOP構成要素を支持するフレームとを備える。ホット・ボックス13及びフレームは、たとえば取外し可能な支持体72など、共通の支持体に取り付けられ、取外し可能な支持体72は、たとえばフォークリフトのレールでもよい。他の構成を使用してもよい。たとえば、ホット・ボックス13の形状は、球状、立方体状、角柱状など、円筒形以外の形状でもよい。取外し可能な支持体72は、レールではなくプラットフォームを含んでもよい。フレームは、互いに異なる構成を有してもよく、その代わりに、ホット・ボックス13及び/又は取外し可能な支持体72に取り付けられたBOP構成要素を以て、完全に省略されてもよい。FCM70は、燃料電池システム・モジュール100の開口部(たとえば、ドア30によって閉じられた開口部)よりも寸法が小さい。一例によれば、FCM70は、単一のアセンブリとして、燃料電池システム・モジュール100のキャビネットに取り付けられてもよく、又はそこから取り外されてもよい。FCM70は、最小数の迅速な接続/切断機構を使用して、燃料電池システム10のその他の構成要素に連結されてもよい。たとえば、FCM70は、整備時間を短縮するために、迅速な接続/切断機構を使用して、ベース20に収容された導水管、燃料導管、及びバスバー導管に接続されてもよい。
【0063】
[モジュール換気]
図13は、本開示の様々な実施形態による燃料電池システム200の斜視図を示す。燃料電池システム200は、
図5の燃料電池システム10と類似しており、したがって、これらの間の相違点のみを詳細に説明する。
【0064】
図13を参照すると、燃料電池システム200は、ルーフ・キャップ・アセンブリ210を備える。このルーフ・キャップ・アセンブリ210は、燃料電池システム200の排出ポートを覆う。特に、ルーフ・キャップ・アセンブリ210は、水及び/又は他のデブリが燃料電池システムに侵入するのを防止するように構成される。ルーフ・キャップ・アセンブリ210は、燃料電池モジュール100からのシステム排出物を、燃料電池システム200の上面を横切って横方向に導くようにも構成される。各燃料電池モジュール100によって生成されるシステム排出物は、相対的に高温の反応排出物RE及び相対的に低温のキャビネット排出物CEを含み得る(
図14及び
図15参照)。反応排出物REは、燃料電池スタックの燃料排出物が、アノード・テール・ガス酸化装置内の燃料電池スタック空気排出物と反応するときに生じる反応生成物を指すことがあり、キャビネット排出物CEは、ホット・ボックス13又はスタックに入ることなく、ファン/送風機によって燃料電池モジュール100のキャビネットを通って送風される換気空気を指すことがある(たとえば、
図1の電子モジュール2及び/又は
図3の燃料電池キャビネット26の底部領域を通ってファン8によって送風される空気)。
【0065】
しかし、キャビネット排出物CE及び反応排出物REは横方向に向けられるので、開放されたキャビネット・ドア30とルーフ・キャップ・アセンブリ210との間に干渉が存在すると、燃料電池キャビネット26に相対するキャビネット・ドア30が整備のために開放された際に、問題が存在する場合がある。さらに、反応排出物REは、開放されたキャビネット・ドア30の下面、及びキャビネット・ドア30の下方に立っている人(技術者)に向けられることがある。反応排出物REは、キャビネット・ドア30の内面を変色させ、かつ/又はキャビネット・ドア30のシーリング・ガスケットを溶解させる潜在的可能性もある。別の潜在的な問題は、燃料電池システム200の換気システムにおいて過剰な背圧が発生する場合があることであり、このことは、燃料電池モジュール100の動作に、悪影響又は潜在的に有害な影響を及ぼす場合がある。
【0066】
図14及び
図15にはそれぞれ、キャビネット・ドア30が閉じているとき、及び開いているときの、様々な実施形態によるルーフ・キャップ・アセンブリ210の横断面図が示してある。
図16及び
図17にはそれぞれ、キャビネット・ドア30が閉じているとき、及び開いているときの、燃料電池システム200の垂直断面図が示してある。キャビネット・ドア30及び関連する構成要素は、
図10及び
図11に示すものと同様である。
【0067】
図14~
図17を参照すると、ルーフ・キャップ・アセンブリ210は、ハウジング230、及びこのハウジング230上に配置されたカバー・アセンブリ220を備える。ハウジング230は、キャビネット排出物CEを受けるように構成された第1のチャンバ232、及び反応排出物REを受けるように構成された第2のチャンバ234を備える。ハウジング230は、第1のチャンバ232と第2のチャンバ234を分離する、内部バッフル236を備えてもいる。ハウジング230は、第1のチャンバ232の入口231に、水及び/又はデブリが侵入するのを防止するように構成された転流装置240と、第2のチャンバ234の入口233に、水及び/又はデブリが侵入するのを防止するように構成された転流装置242とを備えてもよい。
【0068】
ハウジング230は、デブリがハウジング230に侵入するのを防止するように構成されたスクリーン243を備えてもよい。移動可能な分流装置238(たとえば、ランプ又はドア)が、カバー・アセンブリ220とハウジング230との間に延在してもよい。ハウジングは、傾斜した上面235を備えてもよい。
【0069】
カバー・アセンブリ220は、開口部223を有するカバー222と、カバー222に接続されたドア224と、ドアをハウジング230に接続する移動可能なアーム226とを備える。ドア224は、ヒンジ225によってカバー222に接続されてもよい。
【0070】
様々な実施形態によれば、カバー・アセンブリ220は、
図14及び
図16に示すように、第1の位置(キャビネット・ドア30の閉位置)と、
図15及び
図17に示すように、第2の位置(キャビネット・ドア30の開位置)との間で移動するように構成される。特に、第1の位置にあるとき、カバー222は、傾斜上面235とカバーの相対する部分とが鋭角を形成するように、傾斜上面235から離間している。第2の位置にあるとき、カバー222の相対する部分は、傾斜上面235と平行に延在してもよく、この傾斜上面235に接触してもよい。すなわち、第1の位置から第2の位置まで移動すると、ドア224が、ヒンジ225上で枢動して、閉位置から開位置まで移動し、カバー222の左側がハウジング230に向けて移動してもよい。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、カバー・アセンブリ220は、カバー222上に配置されたストッパ237を備えてもよい。カバー・アセンブリ220が第1の位置に配置されると、ストッパ237は、ハウジング230上に配置されてもよい。カバー・アセンブリ220が第2の位置に配置されると、ストッパ237は、ハウジング230から離間(すなわち、持ち上げられて)されてもよい。
【0072】
図14及び
図16に示すように、カバー・アセンブリ220が第1の位置にあると、キャビネット・ドア30が閉じられ、分流装置238がハウジング230に対して持ち上げられた位置に配置され、カバー・アセンブリ220は、反応排出物REを、ハウジング230を横切り、開口部223に向けて横方向に導く。さらに、ハウジング230は、キャビネット排出物CEを、分流装置238に向けて横方向に導く。分流装置238は、持ち上がっているので、キャビネット排出物を開口部223に向けて上方に導く。したがって、キャビネット排出物CEと反応排出物REの両方は、混合され、閉じたキャビネット・ドア30に垂直な線Nに対して約30度~約90度の角度Xで、開口部223を通り、ルーフ・キャップ・アセンブリ210の側部から外へ導かれる。
【0073】
図15及び
図17に示すように、キャビネット・ドア30が開いていると、キャビネット・ドア30が開いたときに、キャビネット・ドア30がカバー222の上方に位置できるように、カバー222は、ハウジング230に向かって下方に移動でき、分流装置238は、実質的に水平な位置に下げられる。ドア224は、このドア224の第1の部分224Aがアーム226によって持ち上げられて開くとき、ヒンジ225上で枢動する。その一方で、ドアの第2部分224B(たとえば、セパレータ)が、バッフル236に向けて下降し、第2チャンバ234内の反応排出物REが、開口部223に入るのを防止する。
【0074】
したがって、キャビネット排出物CEは、開口部223を通って導かれ、反応排出物REは、ドア224によって覆われていない開口部227を通って、異なる方向にハウジングの外へ導かれる。すなわち、反応排出物REは、開いたキャビネット・ドア30によって露出された、キャビネット26内の開口部から離れる方へ導かれる。このように、反応排出物REは、キャビネット・ドア30及び/又は開いたキャビネット・ドア30に隣接して位置する人(たとえば、技術者)から離れる方へ導かれ、キャビネット排出物CEは、開いたキャビネット・ドア30の下方に導かれる。すなわち、キャビネット・ドア30が閉じているとき、ルーフ・キャップ・アセンブリ210は、
図14に示すように第1の位置に配置され、キャビネット排出物CEと反応排出物REは、混合され、ドアに垂直な線に対して約30度~約90度の間の角度Xで、キャビネット・ドア30に向けて導くことができる。キャビネット・ドア30が開いていると、ルーフ・キャップ・アセンブリ210は、反応排出物REが、閉じたキャビネット・ドア30に垂直な線Nに対して約90度よりも大きい角度Yで導かれ、キャビネット排出物CEが、閉じたキャビネット・ドア30に垂直な線Nに対して約30度よりも小さい角度Zで導かれるように、第2の位置に配置されることができる。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、ハウジングは、アーム226を駆動し、それによってドア224を開閉し、カバー222を移動させるためのアクチュエータ244を備えてもよい。アクチュエータ244は、電気モータ、又はスプリング・アセンブリでもよい。アクチュエータ244は、キャビネット・ドア30が開かれると自動的に作動するように構成されてもよい。たとえば、キャビネット・ドア30が開かれると、カバー・アセンブリ220は、自動的に第2の位置を取ってもよく、キャビネット・ドア30が閉じられると、カバー・アセンブリ220は、自動的に第1の位置を取ってもよい。別の選択肢では、ルーフ・キャップ・アセンブリ210は、手動で操作されてもよい。他の実施形態では、電気アクチュエータを使用して掛け金を解放して、キャビネット・ドア30が開いているときにカバー・アセンブリ220が傾斜するようにしてもよい。さらに、このような構成は、電子キーなど、遠隔制御又は持ち運ぶ装置からの符号化信号とともに使用して、追加のセキュリティを実現することもできる。
【0076】
図18は、本開示の様々な実施形態による、換気モジュール300を含む燃料電池システム・モジュール100の3次元ビューを示す。
図19は、換気モジュール300の3次元ビューを示す。燃料電池システム・モジュール100は、
図3及び
図4に示す燃料電池システム・モジュール100と同様であり、したがって、それらの間の相違点のみを詳細に考察する。
【0077】
図18及び
図19を参照すると、燃料電池システム・モジュール100の燃料電池モジュール・キャビネット22に、換気モジュール300が取り付けられている。燃料電池システム・モジュール100が屋外(すなわち、閉鎖された室内ではないところ)に配置される場合には、換気モジュール300は、屋外で使用するように構成されてもよい。換気モジュール300は、キャビネット・ドア30と反対側の、燃料電池モジュール100の後ろに取り付けられてもよい。換気モジュール300は、ハウジング320を備え、その上にカバー換気口310を配置してもよい。特に、ハウジング320は、燃料電池モジュール・キャビネット22の対応する取付け箇所(図示せず)と結合するように構成された、第1のブラケット322及び第2のブラケット324を備えてもよい。本明細書では、ハウジング320は換気口ハウジングと呼ばれることもある。燃料電池モジュール・キャビネット22は、換気モジュール300を挿入するように空間を設けるステップを後ろに備えてもよい。
【0078】
ハウジング320は、燃料電池キャビネット26の対応する開口部から排出された燃料電池排出物を受けるように構成された入口326、燃料電池キャビネット26の対応する開口部から排出されたキャビネット排出物を受けるように構成された入口328、及び上部開口部325を備える。以下に述べるように、ハウジング320は、ファン・アセンブリ・ガイド332、流れガイド334、及びバッフル336を備えもする。
【0079】
ファン・アセンブリ340は、ハウジング320に配置される。ファン・アセンブリ340は、ファン・ハウジング342、ファン・ハウジング342に配置されたファン344、及びファン・ハウジング344に取り付けられたハンドル346を備える。ファン344は、入口328を介してキャビネット排出物をハウジング320の中に誘引するように、反対方向のインペラとして動作するように構成される。ファン・アセンブリ340は、ファン・アセンブリ・ガイド332上に摺動可能に取り付けられるように構成される。ファン・アセンブリ・ガイドは、ハウジング320に対して適切な位置にファン・アセンブリ340を誘導するように構成されたガイド・レールを備えてもよい。特に、レール間の距離が短くなり、それによってファン・アセンブリ340を固定することができる位置で、ファン・アセンブリ340がハウジング320に適切に配置されるまで、ファン・ハウジング342はレールに沿って摺動してもよい。
【0080】
したがって、燃料電池システム・モジュール100からハウジング320を取り外すことなく、ファン344を交換することができる。特に、技術者は、ハンドル346を握って、ハウジング320からファン・アセンブリを引き出してもよい。これにより、特定の空気流要求条件に従って、現場でファン344を交換することが可能になるとともに、他のタイプのファンをファン・アセンブリ340の中に挿入することも可能になる。
【0081】
キャビネット排出物は、入口328を通って、ファン・アセンブリ340に入る。次いで、キャビネット排出物は、流れガイド334の下に配置された、ファン・ハウジング342の開口部330を通ってファン・アセンブリ340から排出される。ファン・ハウジング342は、ファン・ハウジング342が、流れガイド334に向けてキャビネット排出物を誘導するように、流れガイド334と位置合せされるバッフル構造体を備えてもよい。流れガイド334は、ガイド・レール332から入口326まで延在する第1のバッフル334A、及び入口326の下方縁部に沿って延在する第2のバッフル334Bを備えてもよい。流れガイド334は、キャビネット排出物をバッフル336の方へ送るように構成される。バッフル336は、キャビネット排出物をハウジング320の上部の方にそらせ、かつ/又は流れるキャビネット排出物の中に乱流を形成し得る。流れガイド334は、入口326に入る反応排出物をハウジング320の上部の方へ送るように構成されもする。その結果、キャビネット排出物と反応排出物は、上部開口部325を通ってハウジング320から出る前に、ハウジング320内で混合されてもよい。
【0082】
ハウジング320は、側部換気口338を備えてもよい。バッフル336を流れるキャビネット排出物は、側部換気口を通ってハウジング320に入る周囲空気と混合してもよい。ハウジングは、バッフル336の下に配置された下部開口部337及び側部開口部338を備えてもよい。周囲空気は、下部開口部337及び側部開口部338を通ってハウジング320に入ってもよい。たとえば、キャビネット排出物がバッフル336を通過するとき、周囲空気は、ハウジング320の下方領域に取り込まれ、次いで、下部開口部337又は側部開口部338を通ってバッフル336の下の領域に取り込まれてもよい。したがって、換気モジュール300は屋外に配置され、排出物を上方に排出できるので、キャビネット排出物と反応排出物の混合物が上部開口部325を通ってハウジング320から出る前に、周囲空気はハウジング320に入り、その混合物と混ざってもよい。
【0083】
図20には、本開示の様々な実施形態による、屋内運転向けに構成された燃料電池システム400の斜視図が示してある。
図21は、燃料電池システム400の上面図である。
図22は、燃料電池システム400の側面図である。燃料電池システム400は、
図13の燃料電池システム200と類似しており、したがって、これらの違いのみを詳細に説明する。
【0084】
図20~
図22を参照すると、燃料電池システム400が部屋RMに配置されているが、ここでは説明のために天井を省いている。燃料電池システム400は、燃料電池システム・モジュール100、燃料電池システム・モジュール100によって排出された排出物を受け、部屋の壁、床、又は天井に配置された外部換気口402にこの排出物を送るように構成された換気アセンブリ410を備える。換気アセンブリ410は、コネクタ404によって燃料電池システム・モジュール100に接続されてもよく、又は燃料電池システム・モジュールに直接接続されてもよい。実施形態によっては、換気アセンブリ410は、前述の通り、換気アセンブリ410がキャビネット排出物と反応排出物の混合物を受けることができるように、前述の通り燃料電池システム・モジュール100に接続されてもよい。すなわち、燃料システム・モジュール100は、対応するシステムが屋内又は屋外に配置されているかに応じて、換気アセンブリ300又は410に接続されてもよい。
【0085】
排出物は室内上方に排出されないので、換気アセンブリ410の上面は、燃料電池モジュール100の上面とともに実質的に平面でもよい。したがって、燃料電池システム400が占める縦空間を削減することができ、その結果、燃料電池システム400を天井の下方に配置することができるようになる。
図22に示すように、換気アセンブリ410は、換気アセンブリ410を介して排出物を吸い込み、外部換気口402を介して排出物を部屋から吸い出すように構成された1以上のファン406(たとえば、吸引ファン)を備えてもよい。さらに、燃料電池システム400は、換気アセンブリ410を支持するように支持構造体408を備えてもよい。
【0086】
図23は、換気アセンブリ410の上部断面図である。
図24は、換気アセンブリ410の垂直断面斜視図である。
図23及び
図24を参照すると、換気アセンブリ410は、上部ダクト418、下部ダクト420、及び上部ダクト418と下部ダクト420との間に配置された内部ダクト412を備えている。内部ダクト412は、燃料電池モジュール100の排出物(たとえば、燃料電池キャビネット排出物と反応排出物の混合物)が内部ダクト412に入るときに通過する排出入口416を備える。上部ダクト418及び下部ダクト420は、外部(たとえば、部屋)の空気が、上部ダクト418及び下部ダクト420の中に取り込まれる場合に通過する空気入口422を備える。換気アセンブリ410の第1の端部426は密閉され、第2の端部428は開放されている。第2の端部428は、ファン406及び/又は外部換気口402に接続されてもよい。
【0087】
図23に示すように、換気アセンブリ410は場合によっては、内部ダクト412に配置されたデフレクタ424を備えてもよい。説明のために、
図23から空気入口422を省いている。デフレクタ424は、入ってくる排出物を換気アセンブリ410の第2の端部428に向けてそらすように構成されてもよい。デフレクタ424は台形で示してあるが、デフレクタ424が第2の端部428の方に排出物を誘導するように動作する限り、本開示は特定の形状に限定されない。特に、デフレクタは、弓形や平板形状などでもよい。
【0088】
ファン406は、外部換気口402に向けて、内部ダクト412を介して排出物424を誘引する。さらに、ファン406は、換気口402の方に、入口422を介して、周囲空気を上部ダクト418及び下部ダクト420の中に吸い込む。したがって、上部ダクト418及び下部ダクト420は、内部ダクト412を冷却するように動作する。さらに、内部ダクト412から漏れたガスは、上部ダクト418及び下部ダクト420の外部空気によって換気口402の方へ運ばれる。したがって、燃料電池システム400は、屋内で安全に動作することができる。
【0089】
上部ダクト418及び下部ダクト420が別々のダクトとして示してあるが、上部ダクト418及び下部ダクト420は、内部ダクト412を囲繞する単一ダクトの各部分でもよい。特に、上部ダクト418と下部ダクト420は、内部ダクト412の側面上に延在し、互いに接続してもよい。
【0090】
図25には、本開示の様々な実施形態による、屋内使用向けの燃料電池システム500の、部分的に分解された3次元ビューが示してある。
図25を参照すると、燃料電池システム500は、燃料電池システム・モジュール100、及び燃料電池システム・モジュール100によって排出された反応排出物とキャビネット排出物を別々に受けるように構成された換気アセンブリ510を備えている。従来の実施形態のように、燃料システム・モジュール100は、対応するシステムが屋内又は屋外に配置されているかに応じて、モジュールに変更を加えることなく、換気アセンブリ410又は510に接続されてもよい。キャビネット排出物を使用して、反応排出物が部屋の中に漏れるのを防止又は低減してもよい。
図25には、燃料電池システム・モジュール100と、換気アセンブリ510の対応する要素の1列のみが示してある。しかし、本開示はそれに限定されない。特に、燃料電池システム500は、燃料電池システム・モジュール100の、図に示してある列と平行に配置された燃料電池システム・モジュール100の第2の列を備えてもよく(たとえば、
図20を参照)、換気アセンブリ510が燃料電池システム・モジュール100の両方の列を備えるように、換気アセンブリ510の構造が二重又は鏡写しにされてもよい。
【0091】
換気アセンブリ510は、外側ハウジング520及び内側ハウジング530を備える。外側ハウジングは、燃料電池システム・モジュール100のキャビネット出口504からキャビネット排出物を受けるように構成される。内側ハウジング530は、燃料電池システム・モジュール100のシステム出口502から反応排出物を受けるように構成される。特に、内側ハウジング530は、排出マニホルド532及び排出導管534を備える。排出マニホルド532は、単一の又は隣接するシステム出口502から反応排出物を受ける。
【0092】
排出導管534は、排出マニホルド532から反応排出物を受けるように構成された入口536を備える。説明のために、入口536を卵形で示してある。しかし、入口536は任意の適切な形状でもよい。
【0093】
換気アセンブリ510はさらに、換気モジュール540を備えてもよい。換気モジュール540は、ファン・ハウジング546内に配置された第1のファン542及び第2のファン544を備えてもよい。ファン542、544は、換気アセンブリ510の中に空気を吸い込むように構成されてもよい。換気アセンブリ510が、2列の燃料電池システム・モジュール100とともに動作するように構成される場合、第2のファン544Aを追加して備えてもよい。しかし、換気アセンブリ510は、ファンの数を増減して備えてもよいので、特定の数のファンに限定されない。ファン・ハウジング546は、中空の本体でもよく、又はファンが配置される貫通孔を除いて、実質的に中空でなくてもよい。
【0094】
第1のファン542は、外側ハウジング520と連通する、ファン・ハウジング546の開口部に配置される。第1のファン542は、外側ハウジング520に吸引を適用するように構成される。したがって、第1のファン542は、外側ハウジング520からキャビネット排出物を排出するように動作してもよい。たとえば、第1のファン542は、燃料電池システム500の周囲環境にキャビネット排出物を排出してもよい。実施形態によっては、第1のファン542は、各開口部504に配置されてもよい。
【0095】
第2のファン544は、内側ハウジング530、特に、導管534の開口端と連通する、ファン・ハウジング546の開口部に配置される。第2のファン544は、内側ハウジング530に吸引を適用するように構成される。したがって、第2のファン544は、内側ハウジング530から反応排出物を排出するように動作してもよい。たとえば、第1のファン542は、外部換気口402にキャビネット排出物を排出してもよく、ファン544は、外部換気口402又は異なる外部換気口に反応排出物REを排出してもよい。しかし、実施形態によっては、以下に述べるように、反応排出物は付加的に処理されてもよい。
【0096】
外側ハウジング520及び内側ハウジング530は、異なる圧力に維持することができる。実施形態によっては、外側ハウジング520は、内側ハウジング530よりも高圧に維持されてもよい。すなわち、換気アセンブリ510は、第1のファン542及び第2のファン544の動作を制御することによって、キャビネット出口504よりもシステム出口502への吸引の方が強くなるように構成することができる。したがって、周りを囲む外側ハウジング520での相対的に圧力が高いキャビネット排出物によって、相対的に圧力が低い反応排出物が内側ハウジング530から部屋の中に漏れるのを防止する。
【0097】
さらに、換気アセンブリ510の構成によって、キャビネット排出物及び反応排出物を燃料電池システム500から別々に排出することが可能になる。したがって、実施形態によっては、排出された反応排出物は、ファン・ハウジング546に取り付けられた分流導管548を介して、熱交換器550の方へ送られてもよい。したがって、反応排出物の熱及び/又は水が回収されてもよい。
【0098】
他の実施形態によると、導管534は、
図24に示す換気アセンブリ410の構造と類似する二重壁構造でもよい。他の実施形態では、換気モジュール540の代わりに、
図19の換気モジュール300を代用してもよく、又は単一の換気モジュール540の代わりに、複数の換気モジュール300を代用してもよい。さらに、換気アセンブリ510はまた、排出導管534に配置され、内側ハウジング530のそれぞれの圧力を決定するように構成された圧力センサ550、及び外側ハウジング520に配置され、その圧力を決定するように構成された圧力センサ552を備えてもよい。内側ハウジング530内の圧力が外側ハウジング520内の圧力に近づく場合、1以上の上記のファンの速度を制御することによって、外側ハウジング520内の圧力を上げてもよく、かつ/又は内側ハウジング530の圧力を下げてもよい。
【0099】
したがって、上記の屋内換気アセンブリ410、510は、外側導管をそれぞれ流れる周囲空気又はキャビネット排出物を使用して、外側導管の内側の内側導管を流れる反応排出物が部屋の中に漏れるのを防止する。
【0100】
通常の設置では、燃料電池モジュール100は、地面に縦列及び横列に配置される。これは一般に、天然ガス、水、電力、及びデータ用の地上設備路の上又は中にあることを必要とする。これによって、相当な設置費用が発生し、また、所与のレベルに合う、モジュールの最大密度に電力密度が制限される。従来の燃料電池モジュール100は、典型的には、単一のレベルに提供され、それによって積み重ねる必要がなくなるが、同時にパッキングすることによる高電力密度の恩恵も失うことになる。
【0101】
一実施形態では、燃料電池モジュール100などの電力モジュールは、向かい合せ及び背中合せの方向に配置されて、共通入口プレナム空間及び共通排出プレナム空間を形成する。一実施形態では、入口は正面から設けられ、排出出口は背面から設けられる。燃料電池モジュール100がこのようにして積み重ねられるとき、ダクトの取付け又は煙突機材を追加することなく、共通プレナムが形成され、それにより、費用が著しく低下し、積み重ねて設置する方法の実用性が著しく向上します。
【0102】
図26には、共有排出プレナム2602を有する燃料電池モジュール(たとえば、電力モジュール)を備える、積み重ねられた燃料電池システム10を有する一実施形態が示してある。
図3及び
図4について先に述べたように、燃料電池モジュール100は、内部に配置された空冷電子モジュール2を有する電気キャビネット24を有する燃料電池モジュール・キャビネット22を備えてもよい。燃料電池モジュール・キャビネット22の中の、電気キャビネット24の下方に、ホット・ボックス13を備える燃料電池キャビネット26が配置される。図に示すように、この実施形態は、積み重ねられた燃料電池システム10の2つの列2601を備える。この実施形態では、燃料電池モジュール100は、これには限定されないが、ドア30の空気入口42などの冷気入口が、外側にあるように構成され、また、これには限定されないが、ルーフ・キャップ・アセンブリ210の上部開口部227、換気モジュール300の開口部325、並びに/又は換気モジュール542の第1のファン542及び第2のファン544などの高温排出出口2603は、「高温通路」、たとえば、燃料電池システム10の各列2601の間に配置された共有排出プレナム2602に、流入するように構成される。燃料電池システム10の3つ以上の列2601を設ける場合、代替の高温通路2602、及び「低温通路」、たとえば、入口プレナム2604が形成されるように列2601を構成することができる。一実施形態では、燃料電池システム10は、1以上の燃料電池モジュール100、1以上の燃料処理モジュール16、1以上の電力調節モジュール18、及び/又は1以上の入力/出力モジュール14を単一のコンテナ2606に設けてもよい。輸送コンテナ、ラック、パレットなど、任意の適切なコンテナ2606が使用されてもよい。次いで、燃料電池システム10をそれぞれが備えるコンテナ2606は、別のコンテナ2606に垂直に積み重ねられてもよい。2つ~6つのコンテナ2606など、2つ以上のコンテナ2606の垂直スタック2607が設けられてもよい。一実施形態では、コンテナ2606の垂直スタック2607は、高温通路2602が各列の間に形成されるように、複数の列に配置されてもよい。コンテナ2606のスタック2607の3つ以上の列が設けられる場合、代替の高温通路2602及び低温通路2604が形成されるように、積み重ねられた列2601を構成することができる。
【0103】
[一般の代替実施形態]
代替実施形態は、燃料電池モジュール100の代わりに、Co-Genユニット(たとえば、エンジン、タービン、バッテリ・キャビネット)を使用すること、又はエンジン、タービン、バッテリ・キャビネット、及び/又は燃料電池モジュール100の組合せを使用することを含む。別の代替実施形態は、流れを変えるか、又は再循環を遮断するように、フィン(図示せず)を追加することを含む。
図27Aには、特に、コンテナ2606がパレット又は開放型ラックを備える場合、さらに支持するように、コンテナ2606のベース20の端部にX字筋違い、又は支持壁2700が設けられる一実施形態が示してある。或いは、システムが圧縮天然ガスを含む場合、さらに支持するように、エクソスケルトンが設けられてもよい。別の実施形態では、コンテナ2606は、輸送コンテナの角部に、かつ/又は輸送コンテナ2606の縁部に沿って設けられたロック機構を備える輸送コンテナでもよい。
図27B~
図27Dに示すさらに他の実施形態では、燃料電池モジュール100、又はモジュールを収納するコンテナ2606は、パッキング密度を高めるように、矩形状、正方形状、三角形状、又は角柱状に配置されてもよい。
図27Bには、非発熱(たとえば、入力/出力、及び/又は電力調節の)モジュールが、他の場合には何にも使用されることのない区域、すなわちこの構成においては空き空間2702に配置される一実施形態が示してある。
図27Cには、コンテナ2606が三角形の構成で配置された一実施形態が示してある。コンテナ2606の外側に空気入口が配置され、三角形に配置することによって形成された内側筐体2704に排出物が配置されてもよい。或いは、コンテナ2606の外側に排出出口が配置され、三角形に配置することによって形成された内側筐体2704に空気入口が配置されてもよい。
図27Dには、3つよりも多い燃料電池モジュール100、又は燃料電池モジュール100のコンテナ2606を含む、実現可能な構成が示してある。燃料電池モジュール100又はコンテナ2606が互いに固定されるとき、様々な積み重ねられた構成の形状によって、構造的な剛性を共有することが可能になる。
【0104】
一実施形態は、燃料電池システム10を輸送するとき、振動及びショックを吸収するように、コンテナ2606のベースに配置され得る輸送ショック・ダンパ2800を備える。
図28A~
図28Cには、輸送ショック・ダンパ2800の一実施形態が示してある。この実施形態では、輸送ショック・ダンパ2800は、上部取付けプレート2804A、下部取付けプレート又は下部耐摩耗プレート2804B、及び複数のコイル2802を備える。上部取付けプレート2804Aの貫通孔を通るボルト又はクランプを介して、コンテナ2606に輸送ショック・ダンパ2800を取り付けることができる。上部取付けプレート2804Aの貫通孔2805を通るボルト又はクランプを介して、輸送ショック・ダンパ2800に、燃料電池モジュール100などのモジュールを取り付けることができる。コイル2802は、伸縮し、ショック及び振動を吸収し、それにより、取り付けたモジュールを安定化することができる。
図28Cに示す一実施形態では、輸送ショック・ダンパ2800の下部取付けプレート2804Bの第1の幅がwである。
図28A及び
図28Cに示すように、上部取付けプレート2804Aの相対的に長い第2の幅がWである。しかし、上部取付けプレート2804Aの幅は相対的に短くてもよい。一実施形態では、輸送ショック・ダンパ2800の長さはLであり、コンテナ2606の長さと同じでもよく、又はそれよりも短くてもよい。輸送ショック・ダンパ2800の全高Hは、上部取付けプレート2804Aと、下部取付けプレート又は下部耐摩耗プレート2804Bと、複数のコイル2802の厚さの合計である。上部取付けプレート2804A及び下部取付けプレート2804Bの孔2805は、任意の適切な距離だけ離して配置されてもよい。
【0105】
別の実施形態では、現場で所定の位置に配置されるとき、システム10の耐用年数にわたって弛んだりしないように、輸送ショック・ダンパ2800をロックするように構成されたロック機構が提示される。場合によっては、輸送中に、輸送ショック・ダンパ2800がロックされてもよい。別の実施形態では、振動絶縁システム内にアンチロール(スウェイバー)制御が与えられる。スウェイバーは、輸送中、ロール制御を与えるように、動的状況の間は自由に移動することができ、次いで、静的な設置ではロック可能であってもよい。一実施形態では、アンチロール制御は、地震振動を軽減するのに役立つように、設置後にアクティブになる。
【0106】
図29A~
図29Cには、積重ね可能なコンテナ2606の追加の実施形態が示してある。
図29A及び
図29Bに示すように、積重ね可能なコンテナ2606は、互いに向けて、又は離れるように摺動するように構成することができる。たとえば、積重ね可能なコンテナ2606は、車輪又はローラを備えてもよく、摺動可能に軌道に取り付けられてもよい。各コンテナ2606は、
図29Aに示すように、互いに向けて摺動し、輸送中にともにロックされてもよく、次いで、
図29Bに示すように、発電サイトでは、各コンテナ間にプレナム2602及び/又は2604が設けられるように、ロック解除され、摺動して離れる。互いに向けて、また離れて物体を摺動することが可能になる他の適切な機構もまた、使用されてもよい。一実施形態では、
図29Aに示すように、標準的な輸送コンテナのロック機構を角部及び縁部に使用して、電力モジュールを所定の位置に保持するように、錠2906が設けられる。一実施形態では、コンテナ2606はまた、輸送用の船又はトラックにコンテナ2606をロックするように、錠又は留め具を備えてもよい。
【0107】
図29Cには、排出ルーバー2902及び/又は入口ルーバー2904が、コンテナ2606に設けられている一実施形態が示してある。この実施形態では、外気の入口流、及び排出ガスの出口流が提供され、調節され、かつ/又は送られてもよい。たとえば、入口ルーバー2904を部分的に閉じることによって、外気の流入を低減することができる。別の例では、排出ガスの方向(たとえば、地面に向かって下方向、空に向かって上方向、又は任意の中間方向)は、その方向に応じてルーバーを回転することによって調節されてもよい。
【0108】
図30には、複数の実施形態による、積重ね可能な電力モジュール、たとえば、燃料電池モジュール100が示してある。これらの実施形態では、電力モジュールは、支持構造体、たとえば、パレット又はラックタイプのコンテナ2606の上、又はその中に配置された電力モジュールの列2601の端部に配置されたX字筋違い、又は支持壁2700、を備える。
図30に示す実施形態などの一実施形態では、パレットは一組の棚2910の中に摺動してもよく、ここで棚は積み重ねられた構造を形成し、コンクリート又は鋼から形成され、それにより排出及び入口用の高温及び低温のプレナムを形成する。
【0109】
図31には、一実施形態のコンテナ2606として使用することができる、www.acecontainerparts.comによる、従来技術の輸送コンテナが示してある。輸送コンテナは、床4.2.16、側壁4.2.2、後部ドア・アセンブリ4.3、及び屋根パネル4.2.10を備える。輸送コンテナは、側壁4.2.2のうちの1つに、換気装置4.2.9及びマーキング・パネル4.2.5を備えもする。床4.2.16、側壁4.2.2、後部ドア・アセンブリ4.3、及び屋根パネル4.2.10は、前端フレーム4.1.8、後端フレーム4.1.5、上側レール4.1.9、及び下側レール4.1.10とともに所定の位置に保持される。床4.2.16は、横材4.1.11によって支持される。輸送コンテナはまた、敷居プレート4.2.18、及び床4.2.16の中央を長手方向に延在する接合ストリップ4.2.17を備える。コンテナを持ち上げるのに役立つように、フォークリフト・ポケット4.2.13が設けられる。
【0110】
図32は、一実施形態による、先に述べた、燃料電池モジュール100又はコジェネレーション(「Co-Gen」)モジュールなど、積重ね可能な電力モジュールを備える、積重ね可能な電力システム3200の斜視図である。積重ね可能な電力システム3200は、燃料電池モジュール100に加えて、1以上の入力/出力モジュール14、燃料処理モジュール16、及び/又は電力調節モジュール18を備えてもよい。一実施形態では、入力/出力モジュール14、燃料処理モジュール16、及び/又は電力調節モジュール18の各ドア30は、
図8に示す燃料電池モジュール100の空気入口42及び/又はフィルタ40を備えていなくてもよい。さらに、動作するホット・ボックス13が内部に配置されない燃料電池モジュール100は、固体の遮断材料でふさがれる空気入口42を備えてもよい。一実施形態では、積重ね可能な電力システム3200は、2つ以上のベース20を有する、ラックタイプのコンテナ2606を備える。複数のベース20は、互いに距離をあけて配置されてもよく、支柱3202によって支持されてもよい。一実施形態では、ベース20は、支柱3202を受けるように構成されたキャビティを備える。一代替実施形態では、ベース20は底部に突出部分を備え、支柱3202は、この突出部分を受けるように構成されたキャビティを備える。一実施形態では、積重ね可能な電力システム3200の各モジュールを、さらに安定させるように後部支持体3204が設けられる。電力システム(たとえば、各燃料電池システム10)のモジュール14、16、18、100は、それぞれ垂直方向に別々に、ラックタイプのコンテナ2606のベース20に配置される。図に示すように、積重ね可能な電力システム3200は、2列のモジュールの単一垂直スタックである。しかし、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の列のモジュールなど、任意の数のモジュール、又はモジュールのコンテナ2606が、必要に応じて積み重ねられてもよい。一実施形態では、各コンテナ2606が、輸送後に取り外される取外し可能な側部パネルを有する、モジュールの積み重ねられたコンテナ2606によって、積重ね可能な電力システム3200が形成される。一実施形態では、モジュールとそれぞれの底部ベース20との間に、ショック・ダンパ2800が配置されてもよい。
【0111】
図33は、別の実施形態による積重ね可能な電力システム3300の斜視図である。この実施形態では、積重ね可能な電力システム3300は、ベース20及び支柱3202をそれぞれ有するラックタイプのコンテナ2606に配置された燃料電池システム10など、電力モジュールの複数の垂直スタック2607を備える。この実施形態では、各ベース20は、積重ね可能な電力モジュールの2つの列2601を支持するように構成される。好ましくは、電力モジュールは、同じベース20に配置された隣接する電力モジュールの間に、空気入口プレナム2604が形成されるように構成される。一実施形態では、コンテナ2606の複数の列が設けられる。好ましくは、コンテナ2606の間に空間が設けられ、それにより、共有排出プレナム2602が列の間に形成される。一実施形態では、さらに支持するように支持ビーム3304が設けられてもよい。支持ビーム3304は、積み重ねられた電力モジュールを支持するように、ベース20の主表面に垂直に配向して設けられてもよい。支持ビーム3304は、積み重ねられた電力モジュールを支持するように、ベース20の表面と平行に配向して設けられてもよい。
【0112】
図34は、別の実施形態による積重ね可能な電力システム3400の斜視図である。この実施形態では、各ベース20は、燃料電池システム10などの電力モジュールの複数の列を支持するように構成される。一実施形態では、各ベース20は、第1の方向に向けられた複数の燃料電池システム10A、及び第1の方向と異なる第2の方向に向けられた複数の燃料電池システム10Bを支持するのに十分に大きい。一実施形態では、第2の方向は第1の方向と直交している。しかし、燃料電池システム10、10A、10Bは、
図27B~
図27Dに示すように多くの異なる構成で配置されてもよい。一実施形態では、燃料電池システム10、10A、10Bは、共有排出プレナム2602及び入口プレナム2604を形成するように構成されてもよい。一実施形態では、隣接するベース20の間の距離が電力モジュールの高さを超える場合、燃料電池システム10の上部からベース20の底部まで上方に延びる壁/仕切り3404が設けられる。このようにして、電力モジュールを越えて流れ、流入した空気と混ざることなく、共有排出プレナム2602に排出ガスを閉じ込めることができる。一実施形態では、最も低いベース20が、電気室3402の上に配置される。電気室3402は、積重ね可能な電力システム3200を制御するのに使用されるトランスやコンピュータなどの電気機器を収納してもよい。電気室3402はまた、スペア・パーツ、予備燃料、道具などを保管するのに使用されてもよい。
【0113】
一実施形態は、排出プレナムで分離される処理排出とキャビネット排出を持続するための機器を備える。別の実施形態は、保守管理すべき事象の発生中などに、排出プレナム2602(たとえば、高温通路)での逆流を防止するように、送風機又は換気扇などの機器を備える。一実施形態では、積み重ねられた構成2602で空のスロットをふさぐ虞もある逆流を防止するように、遮断壁又は遮断部品3404が設けられる。これを使用して、製造時に導入されない発電ユニットを将来的に増設するのを容易にしてもよい。一実施形態は、あらゆる再循環通路を遮断するように機械要素を備える。
【0114】
図35には、一実施形態による別の積重ね可能な電力システム3500が示してある。この実施形態は、先に述べた、
図32及び
図33に示す実施形態に類似する。特に、この実施形態は、燃料電池モジュール100などの積重ね可能な電力モジュールを有する、
図32の複数の電力システム3200を備える。この複数の電力システム3200は、先に述べた、
図33に示す実施形態と同様に、共有排出プレナム2602及び入口プレナム2604が形成されるように、列で構成されてもよい。
【0115】
従来の実施形態では、排出プレナム2602と入口プレナム2604は、壁又は他の仕切りによって機械的に分離されて、排出プレナム2602からの高温排出物が入口プレナム2604に入るのを防止する。一代替実施形態では、排出プレナム2602からの排出物の全部又は一部は、入口プレナム2604の吸入空気に再循環されて、(混合によって)又は熱伝達を介して直接予熱する。一実施形態では、
図35に示すように、空気入口の圧力及び流れを増大し、又は排出物を吸引して、排出流を増やすように、送風機3502を設けることもできる。一実施形態では、システムが作動している間に、サービス要員が入口プレナム2604にいるには高温排出流の温度が高すぎると考えられる場合、送風機はまた、外気を排出プレナムに加えて、排出流を希釈し、入口プレナム2604にいるサービス要員に適した温度まで高温排出流の温度を下げることができる。或いは、高温排出流の一部のみが、排出プレナム2602と入口プレナム2604との間で、壁又は仕切りの、サイズが限られた1以上の開口部を介して、入口プレナム2604に再循環されて、室温を超えるように、ただし、入口プレナムにいるサービス要員には危険であると考えられる温度を下回るように、入口プレナムの温度を維持してもよい。別の実施形態では、サービス要員が入口プレナム2604、又はシステム全体が配置される部屋に入るとき、入口プレナム2604は、密閉され、稼働状態での排出導管2602内の圧力よりも高い圧力まで加圧されてもよい。すなわち、部屋及び/又は入口プレナム2604のドアが開いているとき、室温の空気で入口プレナム2604全体を加圧するように、ファン又は送風機が作動する。
【0116】
一実施形態では、コンテナ2606の上に又はその中に利用可能な空間があるとき、モジュール100は、再循環を防止するように必要に応じて、間隔をあけて配置され、隙間がふさがれる。一実施形態では、底部モジュール100、又は一組のモジュール100からの排出ダクトが、スタックの次の層のモジュール100まで設けられる。一実施形態では、ルーバーなどの手段が、スタックの他のモジュール100の排出を妨害することなく、モジュール100の区間ごとでの、又は完全なモジュール100での排出プレナムの排出を遮断するように、スタック内のモジュール100の排出プレナム内に設けられる。これは、ハウジング内での電力モジュール2606から電力モジュール2606への漏れに対して、スタック内でのモジュール100からモジュール100への漏れを防止するフィルタ遮断装置と類似する。
【0117】
図36には、一実施形態による別の積重ね可能な電力システム3600が示してある。この実施形態は、先に説明した図に示す、前述の実施形態に類似する。この実施形態では、屋根3604を備える建物3602の内部にモジュール100が配置される。モジュールは、ベース20の上に積み重ねられてもよく、このベース20は、建物3602の床、又は先に述べた機械的な支持体でもよい。この実施形態では、システムは、建物3602の屋根3604を通って延在する煙突3606内に末端をなす排出送管3701を備える。屋根3604に配置される、空気処理装置、空気取入れダクトなどの建物空気取入れ装置3608の上方に、煙突3606の出口(すなわち、上部開口部)3607が配置される。この実施形態では、燃料電池システム排出流3610は、排出送管3701及び煙突3606を通った後に、建物空気取入れ装置3608上部の上方にある出口3607を通って供給される。これは、排出流3610が建物空気取入れ装置3608に入るのを防止し、各国の建築基準法に適合する。この実施形態では、垂直に積み重ねられた複数の電力モジュール100が、建物空気取入れ装置3608が建物3602の屋根3604の上に配置された建物3602の中に配置される。排出送管3701は、建物3602の屋根3604に配置された煙突3606に、流体的に接続され、その結果、排出流3610が、排出送管3701から煙突3606へ直接流れ、又は中間ダクト若しくはパイプを介して、排出送管3701から煙突3606へ間接的に流れてもよい。煙突3606の出口3607は、空気取入れ装置3608の上方に配置される。
【0118】
[排出熱回収構成要素]
図37Aは、本開示の様々な実施形態による、排出熱回収及び/又は利用向けに構成された、垂直に積み重ねられた燃料電池システム3700の斜視図である。
図37Bは、
図37Aのシステム3700の概略図であり、
図37Cは、
図37Aのシステム3700に含まれ得る任意の要素を示す概略図である。
【0119】
図37A及び
図37Bを参照すると、システム3700は、建物の1以上の床F上に列設される、先に述べた電力モジュール100と、燃料処理モジュール16と、入力/出力又は電力調節モジュール18とのためのキャビネット22を備える。システム3700は、1以上の内部ダクト3702と、少なくとも1つの外部ダクト3704とを備える排出送管3701を備える。内部ダクト3702は、電力モジュール100のうち少なくとも1つのホット・ボックス13から、相対的に高温の反応排出物Rを受け取るように構成されてもよい。高温の反応排出物Rは、ホット・ボックス13内に配置されたアノード・テール・ガス酸化剤(ATO)からの排出物を含んでもよい。ATOは、ホット・ボックス内に配置された燃料電池からの(たとえば、燃料電池スタックからの)アノード排出(すなわち、燃料排出)流の少なくとも一部分を、燃料電池からのカソード排出(すなわち、空気排出)流などの空気と反応させて、酸化された燃料排出物を高温の反応排出物Rとする。燃料電池(たとえば、燃料電池スタック、カラム、及び/又はセグメント)は、ホット・ボックス13内に配置される。ホット・ボックス13は、電力モジュール100のキャビネット22の内側に配置される。内部ダクト3702は、ホット・ボックス13の排出導管3706に流体的に接続され、外部ダクトは、キャビネット22の排出導管301に流体的に接続される。
【0120】
一実施形態では、システム3700は、ホット・ボックス13を内部ダクト3702に流体的に接続するように構成された伝達導管3706を備えてもよい。外部ダクト3704は、相対的に低温のキャビネット排出物Cを、電力モジュール100のうち少なくとも1つのキャビネット22から受け取るように構成されてもよい。たとえば、外部ダクト3704は、換気ダクト301によってキャビネット22に取り付けられた換気モジュール300に流体的に接続されてもよい。実施形態によっては、送管3701は、キャビネット排出物を、キャビネット22のすべてから受け取るように構成される単一の外部ダクト3704と、単一の外部ダクト3704内に配置された複数の内部ダクト3702とを備えてもよい。他の実施形態では、送管3701は、少なくとも1つの内部ダクト3702が内に配置される複数の外部ダクト3704を備えてもよい。たとえば、4つ以上の内部ダクト3702が、各外部ダクト3704内に配置されてもよい。
【0121】
様々な実施形態では、システム3700は、内部ダクト3702のうち少なくとも1つ内に配置された熱交換器3710を備えてもよい。熱交換器3710は、反応排出物Rから流体に、熱を伝達するように構成されてもよい。たとえば、熱交換器3710は、反応排出物Rから捕捉された熱を使用して、水(たとえば、ホット・ボックス13内の燃料入口流に供給される水)を加熱するように構成されたボイラでもよい。他の実施形態では、熱交換器3710は、液化天然ガスなどの燃料入口流を加熱して、燃料電池用の燃料としてホット・ボックス13に提供されるガス状の天然ガスを発生させるように構成されてもよい。さらに他の実施形態では、熱交換器3710によって捕捉された熱は、統合された蓄熱サブシステムを使用して蓄えられることもある。
【0122】
システム3700はまた、分流装置3720を備えてもよい。分流装置3720は、反応排出物Rの一部分を、内部ダクト3702から外部ダクト3704内に導くように構成されてもよい。したがって、分流装置3720は、熱交換器3710内の流体の過熱を防止するように構成されてもよい。
【0123】
図37Cを参照すると、システム3700は、内部ダクト3702のうち少なくとも1つ内に配置され、燃料を燃料源から受け取るように、かつ/又は、未反応燃料(たとえば、水素、メタンなどの残りの未反応燃料)を、ホット・ボックス13内の燃料電池から受け取るように構成された、反応導管3712を任意に備えてもよい。第1の触媒3714及び/又は第2の触媒3716が、改質導管3712内に配置されてもよい。実施形態によっては、質量流れ制御弁3722及び熱交換器3724が、反応導管3712上に配置されてもよい。質量流れ制御弁3722は、送管3701の外側に配置されてもよく、熱交換器3724は、外部ダクト3704の内側に配置されてもよい。他の実施形態では、二酸化炭素分離器が、送管3701の外側で、反応導管3712上に配置されてもよい。
【0124】
触媒3714、3716は、触媒及び/又は吸着剤などの様々な燃料処理材料を含んでもよい。たとえば、触媒3714、3716は、触媒粒子ベッド、及び/又は、触媒被覆された壁、フィン、若しくは他の導管3712の構造特徴として構成され、高級炭化水素に対して水蒸気改質反応及び/又はメタン化反応を触媒するように構成された改質触媒、並びに、酸化亜鉛などの、硫黄種低減触媒を含んでもよい。
【0125】
たとえば、C3H8などの炭化水素燃料に対する改質反応が、システム3700によって実行される実施形態では、燃料入口流(たとえば、C3H8)に、燃料電池からの再循環されたアノード排出流を加えた燃料混合流が、高温の反応流Rによって、熱交換器3710内かつ/又は内部ダクト3702内で、約300℃~約360℃など、約250℃~約400℃の範囲に及ぶ温度に加熱されるように、反応導管3712を通過させられる。特に、燃料混合物は、導管3712内の第1の触媒ベッドに配置された第1の酸化亜鉛脱硫器触媒3714を通過させ、次いで、導管3712内の第2の触媒ベッドに配置された第2のC3H8改質触媒3716を通過させてもよい。次いで、燃料混合物は、外部ダクト3704内に配置された熱交換器3724、又は、熱交換器3710を通過させてもよく、燃料混合物の温度は、約150℃など、約125℃~約200℃の範囲に及ぶ温度に低下させられてもよい。次いで、燃料混合物は、アノード再循環送風機3726、及び、ホット・ボックス13内に配置された燃料電池内に提供されてもよい。実施形態によっては、燃料混合物はまた、送管3701の外側で、反応導管3712に配置された二酸化炭素分離器3728を通過させてもよい。
【0126】
実施形態によっては、反応導管3712は、分画が価値を有する場合に、反応排出物Rからの熱を使用して、重炭化水素燃料又は他の化学物質に関する分画ステップを実行するように構成された分画機器を備えてもよい。他の実施形態では、反応導管3712は、燃料電池に供給されるために、引き続いて燃料入口流と混合され、又は混合されない廃水を、低温殺菌かつ/又は減菌するように構成されてもよい。他の実施形態では、反応導管3712は、固体廃棄物を処理するように構成されてもよく、又は、反応排出物Rからの熱を使用して、そのそれぞれの機能を実行する吸着式冷凍機機器を備えてもよい。
【0127】
実施形態によっては、システム3700は、内側導管3702と外側導管3704との間の境界面に配置された少なくとも1つの熱電発電機(TEG)モジュール3718を任意に備えてもよい。TEGモジュール3718は、内部ダクト3702と外部ダクト3704との間に形成された温度勾配を利用して発電するように構成される熱電装置を備える。すなわち、TEGモジュール3718の高温表面が、内部ダクト3702内の相対的に高温の反応排出物Rに曝されてもよく、TEGモジュール3718の低温表面が、外部ダクト3704内の相対的に低温のキャビネット排出物に曝されてもよい。
【0128】
他の実施形態では、内部ダクト3702は、定常状態で動作するホット・ボックス13から、起動状態で動作するホット・ボックスへの、高温ガス(すなわち、相対的に高温の反応排出物R)の小さな反対方向の流れを発生させることによって、動作していないホット・ボックスに対する起動タイミング及びプロセスを改善するために、熱の源を発生させるために使用されることがある。さらに他の実施形態では、内部ダクト3702からの反応排出物Rは、追加の発電のために、下流熱エンジン・プロセスへ向けて導かれることがある。さらなる実施形態では、内部及び/又は外部ダクト流は、熱出力を増やすために熱の増倍を可能とするために、熱ポンプへ向けて導かれることがある。
【0129】
様々な実施形態では、システム3700は、アノード排出物冷却器熱交換器が電力モジュール100から省略されることを可能にすることができ、内部ダクト3702は、電力モジュール100の(燃料入口流と、燃料電池のアノード排出流との間で熱を交換する)アノード・レキュペレータ熱交換器から直接、反応排出物を受け取るように構成されてもよい。特に、アノード排出物冷却器熱交換器内でアノード排出流を使用して空気入口流を加熱する代わりに、ホット・ボックス13への空気入口流は、送管3701内に配置された熱交換器3710内で加熱されてもよい。
【0130】
図38A及び
図38Bは、本開示の様々な実施形態による、ダンパ3720の動作を示す概略図である。
図38A及び
図38Bを参照すると、ダンパ3720が閉じているとき、反応排出物R及びキャビネット排出物Cはそれぞれ、内部ダクト3702及び外部ダクト3704内にとどまる。ダンパ3720が開いているとき、反応排出物Rのすべて又は一部分を、外部ダクト3704内に分流させることができる。したがって、ダンパは、熱交換器3710の温度を、その熱交換器に供給される反応排出物Rの量を制御することによって制御することができる。さらに、ダンパ3720は、整備されている電力モジュール100内への排出物逆流を低減かつ/又は防止するために、熱交換器3710に迂回路を付けるように動作することができる。
【0131】
代替実施形態では、相対的に低温のキャビネット排出物Cは、送管3701に提供されるのではなく、大気中に排出されてもよい。この実施形態では、送管3701は、内部ダクト3702のみからなってもよく、外部ダクト3704は省略される。相対的に高温の反応排出物Rは、送管3701を通って流れ、相対的に低温のキャビネット排出物Cは、送管3701を通過することなく、大気中に排出される。さらに、垂直に積み重ねられたモジュール100が
図37A~
図37Cに示されるが、代替実施形態では、モジュール100は、垂直に積み重ねられなくてもよく、代わりに、単に水平の列に配置されてもよい。
【0132】
図39A及び
図39Bは、本開示の様々な実施形態による、たとえばシステム3700に含まれてもよい直線アクチュエータ3730など、アクチュエータを示す斜視図である。
図39A及び
図39Bを参照すると、直線アクチュエータ3730は、ダクト301及び3704内に配置されてもよく、ダンパ3720を開閉するように伸縮するように構成されてもよく、そのダンパ3720は、その開位置では、内部ダクト3702内に延在し、内部ダクトと外部ダクトとの間の通り道を開くフラップであってもよい。代替実施形態では、回転式アクチュエータ又は空気圧式アクチュエータなどの別の適切なアクチュエータが、直線アクチュエータ3730の代わりに使用されてもよい。
【0133】
他の実施形態では、送管3701は、水平に配置されてもよく、水平に配置された電力モジュールに接続されてもよい。他の実施形態では、電力モジュール100は、垂直に積み重ねられず、1以上の水平の列に配置される。一実施形態では、ホット・ボックス内の燃料電池に空気を提供する主送風機を使用して、外部ダクト3704内の空気圧力を維持することによって、単純さのために、ファンが省略される。
【0134】
要約すると、一実施形態では、燃料電池システム3700を動作させる方法は、発電するためにキャビネット22の内側に配置されるホット・ボックス13内に配置された燃料電池を動作させることと、相対的に低温のキャビネット排出物Cを、キャビネット22から送管3701の外部ダクト3704に供給することと、相対的に高温の反応排出物Rを、ホット・ボックス13から送管3701の内部ダクト3702に供給することとを含む。
【0135】
一実施形態では、方法は、内部ダクト3702内に配置された熱交換器3710内で、反応排出物Rから熱を取り出すことをさらに含む。一実施形態では、方法は、反応排出物Rの少なくとも一部分を、内部ダクトから外部ダクト内に分流させるために、ダンパ3720を開くことをさらに含む。一実施形態では、方法は、内部ダクトを通って流れる反応排出物Rからの熱を使用して、内部ダクト3702内に配置された反応導管3712内で、炭化水素燃料を改質すること、脱硫すること、メタン化すること、又は、分画することのうち少なくとも1つを行うことをさらに含む。
【0136】
[電気アーキテクチャ]
図40Aは、システム起動の間の燃料電池システム4000の電気アーキテクチャを通る電力流を示す概略図であり、
図40Bは、本開示の様々な実施形態による、定常状態動作の間の燃料電池システム電気アーキテクチャを通る電力流を示す概略図である。当業者には明らかとなるように、以下に述べる構成要素「接続」は、別段の指定がない限り、「電気接続」を指すものである。
図40A及び
図40Bを参照すると、システム4000は、以下に述べるような、起動バス及び燃料電池(たとえば、定常状態)バスによって、少なくとも1つの電力モジュール100に接続されたグリッド並列インバータ・モジュール4001を備えてもよい。たとえば、システム4000は、複数の電力モジュール100にそれぞれが接続される、複数のインバータ・モジュール4001を備えてもよい。一実施形態では、各インバータ・モジュール4001は、電力モジュール100のそれぞれのハウジング22とは別々のハウジング4022内に配置されてもよい。
【0137】
インバータ・モジュール4001は、電気公共設備(たとえば、電力網)に接続される、定常状態トランス4002と、起動トランス4004とを備えてもよい。定常状態トランス4002は、AC/DCコンバータ4012に接続されてもよい。AC/DCコンバータ4012は、バランス・オブ・プラント(BOP)負荷に接続される定常状態ダイオード4010に接続されてもよい。起動トランス4004は、整流器4006に接続されてもよい。整流器4006は、起動バス4007を介して、BOP負荷に接続された起動ダイオード4008に接続されてもよい。
【0138】
電力モジュール100は、DC/DCコンバータ4018と、起動ダイオード4014と、定常状態ダイオード4016とを備えてもよい。DC/DCコンバータ4018は、AC/DCコンバータ4012、及び、電力モジュール100のキャビネット22内に配置されたホット・ボックス内の燃料電池に電気的に接続されてもよい。DC/DCコンバータ4018はまた、定常状態ダイオード4016に接続されてもよい。ダイオード4014、4016は、BOP負荷に接続されてもよい。起動ダイオード4014は、整流器4006に電気的に接続されてもよい。
【0139】
図40Aを参照すると、システム4000の起動の間、燃料電池は、燃料電池が動作温度に到達するまで加熱される。動作温度に到達する前に、燃料電池は、BOP負荷に対する十分な電力の量を発生させないことがある。したがって、起動の間、公共設備からの電力が、起動バスを介してBOP負荷に提供される。特に、電力は、起動バス4007を介して、起動トランス4004、整流器4006、起動ダイオード4008、4014を通り、次いで、BOP負荷に流れる。インバータ4012、コンバータ4018、及び定常0状態バス4020は、システム起動の間は使用されない。
【0140】
図40Bを参照すると、燃料電池が所望の定常状態動作温度(たとえば、750℃以上)に到達すると、システム4000の定常状態動作が始まり、電力が、燃料電池からBOP負荷に供給される。特に、電力は、燃料電池から、定常状態バス4020を介して、DC/DCコンバータ4018、AC/DCインバータ4012を通り、定常状態トランス4002を通り、公共設備に、かつ/又は、任意の局所的負荷に流れる。電力は、定常状態ダイオード4010、4016を通って、必要に応じてBOP負荷にも分流される。したがって、整流器4006及び起動トランス4004は使用されない。定常状態動作は、トランス4002、4004が公共設備(たとえば、電力網)から切断されるときを含めて、燃料電池が発電するのに十分に高温であるときに、常に継続し、それは、燃料電池の動作寿命のほとんどすべてを占める。
【0141】
一実施形態では、1以上のインバータ・モジュール4001が、
図37Aに示す下部層(たとえば、下部床F)上に配置されてもよく、電力モジュール100が、
図37Aに示す下部層上、及び上部層上に(たとえば、すべての床F)配置されてもよい。
【0142】
図40A及び
図40Bの実施形態によれば、燃料電池システムは、燃料電池を備える電力モジュールと、電力モジュールを電力網に電気的に接続するインバータ・モジュールとを備える。インバータ・モジュールは、システムの起動の間、第1のバスを使用してグリッドから電力モジュールに電力を供給し、システムの定常状態動作の間、第2のバスを使用して電力モジュールからグリッドに電力を供給するように構成される。
【0143】
様々な例に示す構成及び配置は例示的なものにすぎない。ごくわずかな例を本開示において詳細に説明してきたが、本明細書に記載の主題による新規な教示及び利点から著しく逸脱することなく、多くの修正を加えることが可能である(たとえば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び割合、パラメータの値、取付け構成、材料、色、配向の使用における変更など)。一体的に形成されたものとして示す要素の中には、複数の部品又は要素から構成されてもよいものもあり、各要素の位置は、反対の位置又は別の位置に変更されてもよく、個々の要素又は位置の性質又は数は、変更又は変動してもよい。代替の例に従って、任意のプロセスの順番若しくは順序、論理アルゴリズム、又は方法のステップは、変更してもよく、又は並べ替えてもよい。また、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な例の設計、動作条件、及び配置に、他の代用、修正、変更、及び省略が加えられてもよい。1以上の他の例の、1以上の他の特徴と組み合わせて、任意の例の1以上の特徴が使用されてもよい。本明細書及び各例は、例示的なものにすぎないと考えられ、真の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって示されるものである。