(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】水噴射器を含む燃料電池システム及び運転方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20230420BHJP
H01M 8/04119 20160101ALI20230420BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20230420BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20230420BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04119
H01M8/04014
H01M8/04 N
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2021544117
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(86)【国際出願番号】 US2020013458
(87)【国際公開番号】W WO2020159696
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514116578
【氏名又は名称】ブルーム エネルギー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェインガートナー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ハータナ,アイヴァン
(72)【発明者】
【氏名】エドモンストン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ペトルチャ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,マーティン
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-077517(JP,A)
【文献】特開2002-246047(JP,A)
【文献】特開2018-092782(JP,A)
【文献】特開2016-091644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックと、
前記スタックからのアノード排気を受け入れるように構成されるアノード排気導管と、
前記アノード排気導管内の前記アノード排気に水を噴射するように構成される水噴射器と、
前記水噴射器の下方に配置されるとともに、前記スタックからの前記アノード排気を受け入れ、前記アノード排気からの熱を用いて前記スタックに提供される燃料を加熱し、前記アノード排気導管と前記水噴射器とに前記アノード排気を提供するように構成されるアノード復熱器と、
前記水噴射器及び前記アノード復熱器の上方に配置されるとともに、前記水噴射器と前記アノード復熱器から提供される前記アノード排気を用いて前記スタックに提供される空気を加熱するように構成されるアノード排気冷却器と、
を備える燃料電池システム。
【請求項2】
アノード冷却器を通って延在するとともに、前記水を前記水噴射器に提供するように構成される水導管をさらに備える、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記燃料電池システムは蒸気発生器を含まず、
前記水噴射器は、前記アノード排気冷却器と前記アノード復熱器との間に配置されるインジェクタリングを備え、
前記インジェクタリングは前記水導管に流体接続され、
前記インジェクタリングは、前記アノード復熱器から前記アノード排気冷却器へと前記アノード排気導管内を流れる前記アノード排気に、前記水を噴射するように構成される、請求項2のシステム。
【請求項4】
前記インジェクタリングは、その表面に、前記アノード排気に前記水を噴射するように構成される噴射孔を備える、請求項3のシステム。
【請求項5】
アノード冷却器断熱材及び前記アノード排気導管によって取り囲まれる燃料導管をさらに備え、前記燃料導管は、前記インジェクタリングの真ん中を通って延在するとともに、前記アノード復熱器を通って前記スタックに前記燃料を提供するように構成される、請求項4のシステム。
【請求項6】
前記水噴射器は、前記インジェクタリングを取り囲むシュラウドをさらに備える、請求項5のシステム。
【請求項7】
前記水噴射器は、前記燃料導管と前記シュラウドとに接続される拘束タブをさらに備え、
前記拘束タブは、前記インジェクタリングが実質的に水平な平面に配置されるように、前記インジェクタリングを支持するように構成される、請求項6のシステム。
【請求項8】
前記拘束タブは、前記インジェクタリングの外面の一カ所に水が集まることを防ぐように構成され、
前記拘束タブの最下点は、前記インジェクタリングと上下方向に重なる、請求項7のシステム。
【請求項9】
前記水噴射器は、前記インジェクタリングの下方に配置されるとともに、前記アノード復熱器上に水が滴り落ちることを低減し又は防ぐように構成されるメッシュ又は多孔質材料と、前記インジェクタリングの下方に配置されるバッフルとをさらに備え、
前記バッフルは、
前記燃料導管の周囲に配置されるとともに、前記インジェクタリングと上下方向に重なるバッフルリングと、
前記バッフルリングから延設されるとともに、前記バッフルリングがインジェクタリングと上下方向に重なるように、前記バッフルリングを配設するように構成されるバッフルタブとを備える、請求項6のシステム。
【請求項10】
アノードテールガス酸化器と、
前記アノード復熱器から提供される前記アノード排気の第1の部分を前記アノード排気導管及び前記水噴射器へと向け、前記アノード復熱器から提供される前記アノード排気の第2の部分を前記アノードテールガス酸化器へと向けるように構成されるスプリッタと、
前記アノード排気の前記第1の部分を前記燃料導管へと再循環させるように構成されるアノード再循環ブロワ
をさらに備え、
前記シュラウドは、前記スプリッタから前記水を遠ざけるように構成されている、請求項6のシステム。
【請求項11】
燃料電池スタックからのアノード排気の少なくとも一部を水噴射器に提供する工程と、
前記水噴射器に水を供給する工程と、
前記水を前記水噴射器から前記アノード排気の前記少なくとも一部に噴射して、前記水を少なくとも気化又は前記水を少なくともエアロゾル化させ、加湿されたアノード排気を生成する工程と、
前記スタックからの前記アノード排気をアノード復熱器に提供して、前記スタックへと流れる燃料吸入流を加熱する工程と、
前記アノード復熱器から提供される前記アノード排気を、前記アノード排気の第1の部分と前記アノード排気の第2の部分とに分割する工程と、
前記アノード排気の前記第1の部分を前記水噴射器へと提供し、前記アノード排
気の前記第1の部分で前記水が気化されて、前記加湿されたアノード排気を形成する工程と、
前記アノード排気の前記第2の部分をアノードテールガス酸化器へと提供する工程と、
を含む、燃料電池システムの運転方法。
【請求項12】
前記加湿されたアノード排気をアノード冷却器へと提供して、前記スタックに流れる空気を加熱する工程と、
前記アノード冷却器からの前記加湿されたアノード排気を前記スタックに流れる前記燃料吸入流へと提供する工程と、
をさらに含む、請求項11の方法。
【請求項13】
前記水噴射器は
、アノード排気冷却器と前記アノード復熱器との間に配置されるインジェクタリングを備え、
前記水は
、水導管を通って前記インジェクタリングへと流れ、
前記水は、前記インジェクタリングから、前記インジェクタリングの孔を通って前記アノード排
気の前記第1の部分に噴射される、請求項11の方法。
【請求項14】
前記燃料吸入流は、アノード冷却器断熱材と前記インジェクタリングとによって取り囲まれる燃料導管を通って前記スタックへ流れ、
アノード冷却器は、前記アノード冷却器断熱材を取り囲み、
前記水導管は、前記アノード冷却器断熱材を通って延在する、請求項13の方法。
【請求項15】
前記水噴射器は、前記アノードテールガス酸化器への水の流れを防ぐ又は低減する、前記インジェクタリングを取り囲むシュラウドをさらに備える、請求項14の方法。
【請求項16】
前記水噴射器は、前記燃料導管及び前記シュラウドに接続されるとともに、前記インジェクタリングを実質的に水平な平面に支持するように構成される拘束タブをさらに備える、請求項15の方法。
【請求項17】
前記水噴射器は、前記インジェクタリングの下方に配置されるメッシュ又は多孔質材料をさらに備え、
前記メッシュ又は多孔質材料は、前記アノード復熱器上に水が滴り落ちることを低減し又は防ぐ、請求項15の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の様態は、燃料電池システム及び方法に関し、より具体的には、水をアノード排気再循環流(anode exhaust recycle stream)に噴射するように構成された水噴射器を含む燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池等の燃料電池は、燃料に蓄えられたエネルギーを高効率で電気エネルギーに変換できる電気化学装置である。高温燃料電池には、固体酸化物形燃料電池と溶融炭酸塩形燃料電池が含まれる。これらの燃料電池は、水素及び/又は炭化水素燃料を使用して運転することができる。燃料電池には、固体酸化物形再生燃料電池等、逆の運転も可能なものもあり、電気エネルギーを入力として使用して、酸化された燃料を還元し未酸化燃料に戻すことができる。
【発明の概要】
【0003】
様々な実施形態によると、燃料電池システムは、燃料電池スタックと、前記スタックからのアノード排気を受け入れるように構成されるアノード排気導管と、前記アノード排気導管内のアノード排気に水を噴射するように構成される水噴射器とを備える。
【0004】
様々な実施形態によると、燃料電池システムの運転方法は、燃料電池スタックからのアノード排気の少なくとも一部を水噴射器に提供する工程と、前記水噴射器に水を供給する工程と、前記水を、前記水噴射器から前記アノード排気の前記少なくとも一部に噴射して、前記水を気化させ、加湿されたアノード排気を生成する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図は、本明細書に組み込まれ及び本明細書の一部を構成するものであるが、本発明の例示の実施形態を示し、上述の全体的な説明及び以下に述べる詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
【0006】
【
図1】
図1は、本開示の様々な実施形態による、燃料電池システムの概略図である。
【
図2D】
図2Dは、本開示の様々な実施形態による、
図2Aのシステムの中央柱状体の下方に配置されるアノードハブ構造の斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の様々な実施形態による、
図2Aのシステムの中央柱状体を通る燃料及び空気流を示す断面図である。
【
図3B】
図3Bは、本開示の様々な実施形態による、
図2Aのシステムの中央柱状体を通る燃料及び空気流を示す断面図である。
【
図3C】
図3Cは、本開示の様々な実施形態による、
図2Aのシステムの中央柱状体を通る燃料及び空気流を示す断面図である。
【
図4A】
図4Aは、
図2Aのシステムの中央柱状体内に配置される水噴射器の部分斜視図である。
【
図4C】
図4Cは、本開示の様々な実施形態による、水噴射器の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1のシステムのホットボックスの構成要素の別の実施形態を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
様々な実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。同じ又は類似の部品に言及するのに、可能な限り図面を通して同じ参照番号を用いる。特定の実施例及び実施形態への言及は、例示を目的とするものであり、本発明の範囲又は特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
【0008】
固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムにおいては、水蒸気改質反応及び水性ガスシフト反応のような燃料改質反応を促進するために、燃料吸入流が加湿され得る。さらに、システムの起動、シャットダウン、および電力網の中断といった事象の際に、触媒等のシステムの構成要素のコーキングを防ぐために燃料吸入流に水を添加することもできる。従来、このような加湿は、波形配管を含む蒸気発生器で水を気化させることによって行われる。水は、波形配管を通って流れ、配管の外側の周囲を流れるカソード復熱式熱交換器(cathode recuperator heat exchanger)の排気流によって加熱される。しかしながら、比較的低温のカソード復熱器の排気流を利用する場合、水を気化させるのに十分な熱を吸収するには、一般的に相当な長さの波形配管を必要とする。さらに、蒸気発生器は比較的大きくてかさばるため、システムのサイズ、複雑さ、及び製造コストも増す。
【0009】
これに対し、本開示の実施形態は、水を気化させて水蒸気にし、及び/又は水をエアロゾル化して、アノード排気流に巻き込まれるのに十分小さい液滴にするための熱を提供するアノード排気再循環流に、水を直接噴射するように構成される水噴射器を提供する。アノード排気再循環流は、燃料電池スタック内に提供される燃料吸入流へと再循環されて、その結果、加湿された燃料が燃料電池スタックの燃料電池に提供される。したがって、従来技術の蒸気発生器を省いて、システムのサイズ、複雑さ、及びコストを削減できる。さらに、実施形態のシステムは、比較的短い、波形でない水導管を使用して運転することができ、これにより、システムの応答時間を改善し、システムのサイズ及びコストを削減することができる。
【0010】
図1は、本開示の様々な実施形態による、SOFCシステム10の概略図である。
図1を参照すると、システム10は、ホットボックス100と、この中に又はこれに隣接して配置される各種構成要素とを含む。ホットボックス100は、燃料電池とインターコネクトを交互に含む、固体酸化物形燃料電池スタック等の燃料電池スタック102を含むことができる。スタックの固体酸化物形燃料電池1つには、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(SSZ)、スカンジア及びセリア安定化ジルコニア、又はスカンジア、イットリア及びセリア安定化ジルコニア等のセラミック電解質と、ニッケル-YSZ、ニッケル-SSZ又はニッケルドープセリアサーメット等のアノード電極と、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)等のカソード電極が含まれる。インターコネクトは、クロム-鉄合金インターコネクト等の金属合金インターコネクトであってよい。スタック102は、互いに重ねて配置して複数の柱状体にすることができる。
【0011】
ホットボックス100は、また、アノード復熱式熱交換器110、カソード復熱式熱交換器120、アノードテールガス酸化器(ATO)130、アノード排気冷却式熱交換器(anode exhaust cooler heat exchanger)140、スプリッタ510、ボルテックスジェネレータ550、及び水噴射器160を含むことができる。システム10は、また、接触部分酸化(CPOx)反応器200、混合器210、CPOxブロワ204(例えば、空気ブロワ)、システムブロワ208(例えば、空気ブロワ)、及びアノード再循環ブロワ212を含んでよく、これらはホットボックス100の外側に配置することができる。しかしながら、本開示は、ホットボックス100に対する各構成要素の位置を特定の位置に限定するものではない。
【0012】
CPOx反応器200は、燃料導管300Aを通して、燃料吸入口300から燃料吸入流を受け入れる。燃料吸入口300は、CPOx反応器200に提供される燃料の量を制御するための弁を含む、燃料タンク又は公共天然ガス配管であってよい。CPOxブロワ204は、システム起動時にCPOx反応器200に空気を提供することができる。燃料及び/又は空気は、燃料導管300Bによって混合器210に提供することができる。燃料(例えば、
図4A~4Cに関して以下で説明する燃料吸入流1721、混合器210から燃料導管300Cを通ってアノード復熱器110に流れる。燃料は、燃料排気の一部によってアノード復熱器110内で加熱され、その後、燃料は、アノード復熱器110から燃料導管300Dを通ってスタック102に流れる。
【0013】
メイン空気ブロワ208は、空気流(例えば、空気吸入流)を、空気導管302Aを通してアノード排気冷却器140へ提供するように構成することができる。空気は、アノード排気冷却器140から、空気導管302Bを通ってカソード復熱器120に流れる。この空気は、カソード復熱器120内でATO排気によって加熱される。空気は、カソード復熱器120から、空気導管302Cを通ってスタック102に流れる。
【0014】
スタック102で発生したアノード排気流(例えば、
図3A~3Cに関連して以下で説明する燃料排気流)は、アノード排気導管308Aを通ってアノード復熱器110に提供される。アノード排気は未反応の燃料を含んでよく、本明細書では燃料排気と呼ぶこともある。アノード排気は、アノード排気導管308Bによってアノード復熱器110からスプリッタ510に提供することができる。アノード排気の第1の部分は、スプリッタ510から、水噴射器160及びアノード排気導管308Cを通ってアノード排気冷却器140へと提供することができる。アノード排気の第2の部分は、スプリッタ510から、アノード排気導管308Dを通ってATO130へ提供される。アノード排気の第1の部分はアノード排気冷却器140内で空気吸入流を加熱し、その後、アノード排気冷却器140からアノード排気導管308Eを通って混合器210に提供することができる。アノード再循環ブロワ212は、以下で説明するように、アノード排気を、アノード排気導管308Eを通って移動させるように構成することができる。
【0015】
スタック102内で発生したカソード排気は、排気導管304Aを通ってATO130へと流れる。ボルテックスジェネレータ550は、排気導管304A内に配置することができ、カソード排気を旋回させるように構成することができる。アノード排気導管308Dは、ボルテックスジェネレータ550、又はカソード排気導管304A又はボルテックスジェネレータ550の下流側のATO130に、流体接続させることができる。旋回させたカソード排気は、ATO130に提供される前に、スプリッタ510によって提供されるアノード排気の第2の部分と混合させることができる。この混合物は、ATO130で酸化されてATO排気を生成し得る。ATO排気は、ATO130から、排気導管304Bを通ってカソード復熱器120に流れる。排気は、カソード復熱器から、排気導管304Cを通ってホットボックス100の外へと流れる。
【0016】
水は、水タンク又は水パイプ等の水源206から、水導管306を通って水噴射器160へ流れる。水噴射器160は、水を、導管308Cに提供されるアノード排気の第1の部分に直接噴射する。排気導管308Cに提供されるアノード排気の第1の部分(再循環されたアノード排気流とも呼ぶ)からの熱が、この水を気化させて水蒸気を生成する。この水蒸気はアノード排気と混合され、得られた混合物はアノード排気冷却器140に提供される。この混合物はその後、アノード排気冷却器140から、アノード排気導管308Eを通って混合器210に提供される。混合器210は、水蒸気及びアノード排気の第1の部分を、新規燃料(すなわち、燃料吸入流)と混合するように構成される。この加湿された燃料混合物は、その後、スタック102に提供される前に、アノード復熱器110内でアノード排気によって加熱することができる。システム10は、また、アノード復熱器110の内部及び/又は下流側に配置される1つ又は複数の燃料改質触媒112、114、及び116を含むことができる。改質触媒は、加湿された燃料混合物を、スタック102に提供される前に改質する。
【0017】
システム10は、システム10の各種構成要素を制御するように構成されるシステムコントローラ225をさらに含んでよい。コントローラ225は、記憶された命令を実行するように構成される中央処理装置を含むことができる。例えば、コントローラ225は、燃料組成データに従って、システム10を通る燃料及び/又は空気の流れを制御するように構成することができる。
【0018】
図2Aは、
図1のシステム10のホットボックス100の構成要素を示す断面図であり、
図2Bは、
図2Aの一部を拡大した図である。
図2Cは、本開示の様々な実施形態による、システム10の中央柱状体400の三次元切欠き図であり、
図2Dは、柱状体400を上に配置することのできるホットボックスベース101に配置されるアノードハブ構造600の斜視図である。
【0019】
図2A~2Dを参照すると、燃料電池スタック102は、ホットボックス100内の中央柱状体400の周囲に配置することができる。例えば、スタック102は、中央柱状体400の周囲にリング状に配置し、ホットボックスベース101上に配置することができる。柱状体400は、アノード復熱器110、ATO130、及びアノード排気冷却器140を含むことができる。特に、アノード復熱器110は、ATO130の半径方向内側に配置され、アノード排気冷却器140は、アノード復熱器110とATO130の上方に取り付けられる。1つの実施形態では、アノード復熱器110内に、酸化触媒112及び/又は水素化触媒114を配置することができる。水蒸気メタン改質(SMR)インサートとして、アノード復熱器110の底部に、改質触媒116を配置してもよい。
【0020】
ATO130は、内側ATO断熱材130B/アノード復熱器110の外壁の周囲に位置する外側円筒130Aを備える。任意で、断熱材130Bは、内側ATO円筒130Cによって囲まれてもよい。したがって、断熱材130Bを、アノード復熱器110とATO130の間に配置することができる。外側円筒130AとATO断熱材130Bとの間の空間に、ATO酸化触媒を配置することができる。アノード排気冷却器140と内側ATO円筒130Cとの間に、燃料吸入路ベローズ854を配置することができる。ATO熱電対フィードスルー1601が、アノード排気冷却器140を通って、ATO130の上部へと延在する。これにより、このフィードスルー1601を通して1つ又は複数の熱電対(図示せず)を挿入することによって、ATO130の温度を監視することができる。
【0021】
アノードハブ構造600は、アノード復熱器110及びATO130の下で、ホットボックスベース101の上方に配置することができる。アノードハブ構造600は、ATOスカート1603で覆われる。ボルテックスジェネレータ550と燃料排気スプリッタ510は、アノード復熱器110及びATO130の上方で、アノード排気冷却器140の下に配置される。ATO130の底部近くに、ATOグロープラグ1602を配置することができ、これは、起動の際に、ATO内のスタック燃料排気の酸化を開始する。
【0022】
アノードハブ構造600は、中央柱状体から、中央柱状体400の周囲に配置される燃料電池スタック102に、燃料を均等に分配するために使用される。アノード流ハブ構造600は、溝付のキャストベース602、及び、燃料流入導管300Dと流出導管308Aからなる「スパイダー」ハブを含む。導管の各対300D、308Aが、1つの燃料電池スタック102に接続する。次に、アノード側円筒(例えば、アノード復熱器110の内側及び外側円筒、及びATO外側円筒130A)が、ベース602の溝に溶接又はろう付けされ、以下で説明する、流量分布のための均一な体積断面を作り出す。
【0023】
図2Cに示されるように、昇降台1604がホットボックスベース101の下に配置される。1つの実施形態では、昇降台1604は2本の中空アームを含み、修理または整備のためにキャビネット(図示せず)からシステムを取り外すようなときに、この中空アームを用いてフォークリフトのフォークを挿入し、システムを持ち上げて動かすことができる。
【0024】
図2A及び2Bに矢印で示すように、空気は、ホットボックス100の上部に入り、その後、カソード復熱器120へと流れて、そこでATO130からのATO排気(図示せず)によって加熱される。加熱された空気は、その後、第1の通気孔又は開口部121を通ってカソード復熱器120内部を流れる。空気は、その後、スタック102を通って流れ、アノードハブ構造600から提供される燃料(すなわち、燃料吸入流)と反応する。スタック102から、第2の通気孔又は開口部123を通って空気排気が流れる。この空気排気は、その後、ボルテックスジェネレータ550の羽根を通り、ATO130に入る前に旋回される。
【0025】
スプリッタ510は、スプリッタの開口部(例えば、スリット)を通ってアノード復熱器110の上部を出る燃料排気の第2の部分を、旋回される空気排気(例えば、ボルテックスジェネレータ550内、又は、ボルテックスジェネレータの下流側の導管304A又はATO130内の)へと向けることができる。したがって、燃料と空気排気は、ATO130に入る前に混合することができる。
【0026】
図3A及び3Bは、流量分布を示す中央柱状体400の垂直断面図であり、
図3Cは、アノード復熱器110の水平断面図である。
図2A、2B、3A、及び3Cを参照すると、アノード復熱器110は、内側円筒110A、波形プレート110B、及び、ATO断熱材130Bで被覆され得る外側円筒110Cを含む。燃料導管300Cからの燃料は、中央柱状体400の上部に入る。燃料は、その後、アノード排気冷却器140の中空コアを通って流れることによってアノード排気冷却器140を迂回し、その後、アノード復熱器110の、外側円筒110Cと波形プレート110Bとの間を通って流れる。その後、燃料は、
図3Bに示されるアノードハブ構造600のハブベース602と導管300Dを通って、スタック102へと流れる。
【0027】
図2A、2B、2C、3A、及び3Bを参照すると、燃料排気は、スタック102から導管308Aを通ってハブベース602へと流れ、ハブベース602からアノード復熱器110の、内側円筒110Aと波形プレート110Bの間を通り、導管308Bを通ってスプリッタ510へと流れる。
図1に示すように、燃料排気の第1の部分がスプリッタ510から導管308Cを通ってアノード排気冷却器140に流れる一方で、第2の部分はスプリッタ510から導管308Dを通ってATO130に流れる。
図3Aに示すように、アノード排気冷却器の内側コア断熱材140Aは、燃料導管300Cと、アノード排気冷却器140とボルテックスジェネレータ550との間に配置されるベローズ852/支持シリンダー852Aとの間に配置することができる。この断熱材は、アノード排気冷却器140に向かう途中の導管308C内のアノード排気流の第1の部分からの熱移動及び熱損失を最小限にする。断熱材140Aは、また、導管300C内の燃料吸入流とアノード排気冷却器140内の流れとの間の熱移動を回避するために、導管300Cとアノード排気冷却器140との間に配置されてもよい。他の実施形態では、断熱材140Aは、円筒形アノード排気冷却器140内から省くことができる。
【0028】
図3Bは、また、空気の流れを示し、この空気は、空気導管302Aからアノード排気冷却器140(ここで、アノード排気の第1の部分によって加熱される)へと流れ、その後アノード排気冷却器140から導管302Bを通ってカソード復熱器120に流れる。アノード排気の第1の部分は、アノード排気冷却器140を通って流れる空気によってアノード排気冷却器140内で冷却される。その後、アノード排気の冷却された第1の部分は、アノード排気冷却器140から、
図1に示されるアノード再循環ブロワ212に提供される。
【0029】
以下でより詳細に説明するように、及び、
図2A及び
図3Bに示すように、アノード排気は、アノード復熱器110を出て、導管308Bを通ってスプリッタ510へと提供される。スプリッタ510は、アノード排気を第1のアノード排気部分(すなわち、第1の流れ)と第2のアノード排気部分(すなわち、第2の流れ)に分割する。第1の流れは導管308Cを通ってアノード排気冷却器140に提供される。第2の流れは導管308Dを通ってATO130に提供される。
【0030】
ATO130とアノード排気冷却器140に提供されるアノード排気の相対量は、アノード再循環ブロワ212によって制御される。ブロワ212の速度が速ければ速いほど、アノード排気のより多くの部分が導管308Cへと提供され、アノード排気のより少ない部分が導管308Dを介してATO130に提供される。ブロワ212の速度が遅い場合は、この逆となる。
【0031】
ATO130に提供されたアノード排気は、アノード排気冷却器140では冷却されない。これにより、アノード排気がアノード排気冷却器140を通って流れた後に提供された場合より、ATO130に提供されるアノード排気の温度を高くすることができる。例えば、スプリッタ510からATO130に提供されるアノード排気は、例えば、約350~約500℃、約375~約425℃、又は約390~約410℃といった、350℃を超える温度を有することができる。さらに、より少量のアノード排気がアノード排気冷却器140に提供されるので(例えば、スプリッタ510でアノード排気を分割するため、アノード排気の100%がアノード排気冷却器に提供されるわけではない)、アノード排気冷却器140の熱交換面積を減らすことができる。ATO130に提供されたアノード排気は、スタックカソード(すなわち、空気)排気によって酸化されて、導管304Bを通ってカソード復熱器120に提供することができる。
【0032】
本開示の様々な実施形態により、
図4Aは、
図2Aの中央柱状体の水噴射器160を示す斜視断面図であり、
図4Bは、
図4Aのインジェクタリング162及びバッフル168を示す平面図であり、
図4Cは、水噴射器160の斜視図である。
図4Aの実施形態では、スプリッタ510は、
図3Aに示す水平なスリットではなくて、アノード排気導管308Bの外壁を通って延在するチューブを備えることができる。本実施形態の水噴射器160とは、チューブ型かスリット型のいずれかのスプリッタ510を用いることができると理解されるべきである。
図1、
図4A、
図4B及び
図4Cを参照すると、水噴射器160は、インジェクタリング162、拘束タブ164、シュラウド166、及びバッフル168を含むことができる。
【0033】
インジェクタリング162は、アノード排気冷却器140とアノード復熱器110との間の、アノード排気導管308Cの内部に配置することができ、水道管306に流体接続させることができる。インジェクタリング162は、燃料導管300Cの周囲に延在する管である。インジェクタリング162は、スプリッタ510及びアノード復熱器110から導管308Cに流れるアノード排気の第1の部分に水を直接噴射するように構成される噴射孔(すなわち、開口)162Aを含むことができる。この水は、アノード排気の熱い第1の部分によって気化され得る。噴射孔162Aは、水流又は水滴を生成するように構成することができ、水流又は水滴はインジェクタリング162から出てくると即座に又は数秒以内に気化され得る。噴射孔162Aは、インジェクタリング162の任意の1つ又は複数の表面、例えば、インジェクタリング162の上面(
図4Aに示す)、インジェクタリング162の内面(
図4Cに示す)、インジェクタリング162の下面及び/又はインジェクタリング162の外面等に配置することができる。例えば、
図4Aの実施形態に示すように、噴射孔162Aを、インジェクタリング162の上面に均等に分布させて、アノード排気へと上方に水を均一に提供し、スプリッタ510の方へと滴り落ちる水の量を低減することができる。インジェクタリング162は、また、中に実質的に均等な円周方向の水の流れを提供し、これによりアノード排気流れの圧力降下を最小限に抑えるように作ることができる。
【0034】
拘束タブ164は、燃料導管300C及び/又はシュラウド166に取り付けることができ、インジェクタリング162を支持するように構成することができる。具体的には、拘束タブ164を配設してインジェクタリング162の配向を制御し、不均一な水の分配又はその上に水が溜まるのを防ぐように構成することができる。例えば、拘束タブ164は、インジェクタリング162を水平に配設するように構成することができる。拘束タブ164は、また、インジェクタリング162上、任意の特定の位置に水が集まることを防ぐことができる。したがって、拘束タブ164は、水がインジェクタリング162の外面に集まり、1つの位置のみに滴り落ちるのを防ぐように構成できる。このことは、インジェクタリング162が完全に水平でない場合特に重要になり得る。
【0035】
シュラウド166は、インジェクタリング162を取り囲む円筒であってもよい。シュラウド166は、水を、スプリッタ510を通ってATO130へと流れるアノード排気の第2の部分から隔離するように構成することができる。特に、シュラウド166の外側を流れるアノード排気の第2の部分は、スプリッタ510によって、アノード排気導管308D及びATO130の方へと、半径方向外向きに向けることができ、一方、シュラウド166の内側を流れるアノード排気の第1の部分は、スプリッタ510によって、アノード排気導管308C内のインジェクタリング162の方へと、上方に向けられる。従って、シュラウド166は、水、及び/又は、噴射された水によって加湿されたアノード排気の第1の部分が、スプリッタ510によってATO130に注入されるのを防ぐ又はその量を低減するように構成することができる。言い換えると、シュラウド166は、水、及びアノード排気の加湿された第1の部分の実質的に全てがアノード排気冷却器140の方に向けられるように構成することができる。
【0036】
バッフル168は、アノード排気導管308C内部の、インジェクタリング162の下側で、燃料導管300Cの周囲に配置することができる。バッフル168は、バッフルリング168Aと、そこから延設されるバッフルタブ168Bを含むことができる。バッフルタブ168Bは、燃料導管300C及びシュラウド166に接触することができ、中央柱状体400の燃料導管300Cの周囲に配設されたシュラウド166とバッフルリング168A双方を保持するために機能することができる。特に、
図4Bに示すように、バッフルリング168Aを、インジェクタリング162と上下方向に重なるように(例えば、同心に)配設することができる。
【0037】
したがって、バッフル168は、瞬時に蒸気に変わらず、インジェクタリング162から滴る水滴をとらえて気化するための表面として機能することができる。その結果、バッフル168は、また、インジェクタリング162の下方に配置されるアノード復熱器110のろう付け接合部を、水滴との接触及び対応する熱衝撃から保護する。
【0038】
様々な実施形態において、水噴射器160は、任意で、バッフル168の下方に配置されるメッシュ169又は多孔質材料を含むことができる。メッシュ169は、インジェクタリング162から滴り、バッフル168を迂回した任意の小滴をとらえ、とらえた小滴をアノード復熱器110及び/又はスプリッタ510に達する前に気化させることができる。
【0039】
図5は、燃料電池システム10のホットボックス100構成要素の他の構成を示す。
図5に示されるように、中央柱状体400は、
図4Aに関して上述したチューブ型のスプリッタ510の代わりに、
図3Aに関して上述したスリット型のスプリッタ510を含む。さらに、
図5の水噴射器160は、インジェクタリング162の内面に噴射孔162Aを含む。最後に、
図5の触媒112、114、及び116は、2016年3月15日に発行され、参照によりその全体が本明細書において組み込まれる米国特許第9,287,572 B2号に記載された構成と類似の、アノード復熱器110によって取り囲まれる内側プレナムの内部に配置される。
図5に示される他の構成要素は、
図4Aに示したものと同じか類似しており、冗長性を回避するためこれ以上の説明はしない。
図5に示される中央柱状体の任意の1つ又は複数の構成要素は、
図4Aに示される中央柱状体で使用することができる。
【0040】
さらに、
図4A~
図4C及び
図5に示す水噴射器160は、噴射孔162Aを備えたインジェクタリング162を含むが、他の水噴射器構成を代わりに用いることもできる。例えば、水は、インジェクタリング162を用いずに、水導管306から直接アノード排気の第1の部分に噴射されてもよい。あるいは、水は、排気導管308C内の任意の適切な構成で配置された複数の管から噴射されてもよい。これらの管は、水導管306に流体接続させることができる。さらに、シュラウド166、バッフル168、及び/又はメッシュ169のうちの1つ又は複数を省略することができる。
【0041】
システムの起動時等、燃料電池システム10の運転中、スタック102が、約300℃以上の温度、例えば約300℃~約325℃の範囲の温度、に達するまで、水は通常必要とされない。スタック102が約300℃に近づいた時点で、水源206から中央柱状体400の上部にある水導管306に水が供給される。水導管306は、燃料導管300Cとアノード排気冷却器140との間に配置されそれらを分離する断熱材140Aを通り抜ける。断熱材は、水導管306内の水とアノード排気冷却器140との間の熱交換の量を削減する。従って、水導管306を通過する間に、水は、周囲の円環体のアノード冷却器140内のアノード排気によってわずかに加熱されて、周囲温度を超える可能性もある。しかしながら、特定の理論に拘束されることを望まないが、水の少なくとも大部分は、水導管306内にある間は、液体状態のままであると考えられる。
【0042】
次に、水は水導管306によって水噴射器160に提供される。例えば、水導管によってインジェクタリング162へと提供される。水は、インジェクタリング162で円周方向に流れ、噴射孔162Aを抜けてアノード排気の第1の部分へと放出される前に円周方向に分散される。一実施形態では、水の少なくとも一部は、液体状態でアノード排気流の第1の部分に噴射される。その後、水は、アノード排気の第1の部分で気化されて、加湿されたアノード排気を生成する。次に、加湿されたアノード排気は、上述のように、アノード復熱器110及びスタック102に提供される前の新規燃料(すなわち、燃料吸入流)と混合するための混合器210へ、導管308Eを通って提供される。
【0043】
上述のすべての図面を参照して、燃料電池システム10は、燃料電池スタック102と、スタック102からのアノード排気を受け入れるように構成されるアノード排気導管308Cと、アノード排気導管308C内のアノード排気に水を噴射するように構成される水噴射器160とを含む。
【0044】
一実施形態において、システム10は、また、水噴射器160の下方に配置されるアノード復熱器110を含み、アノード復熱器110は、スタック102からのアノード排気を受け入れ、アノード排気からの熱を用いてスタック102に提供される燃料を加熱し、アノード排気導管308Cと水噴射器160とにアノード排気を提供するように構成される。システム10は、また、水噴射器160及びアノード復熱器110の上方に配置されるアノード排気冷却器140を含み、これは、水噴射器とアノード復熱器から提供されるアノード排気を用いてスタック102に提供される空気を加熱するように構成される。
【0045】
一実施形態において、システム10は、また、アノード排気冷却器140によって取り囲まれるアノード冷却器断熱材140Aを通って延在する水導管306を含み、これは、水を水噴射器160に提供するように構成される。一実施形態では、システム10は、蒸気発生器を含まず、水噴射器160は、アノード排気冷却器140とアノード復熱器110との間に配置されるインジェクタリング162を含む。インジェクタリング162は、水導管306に流体接続され、インジェクタリング162は、アノード復熱器110からアノード排気冷却器140へとアノード排気導管308C内を流れるアノード排気に、水を噴射するように構成される。インジェクタリング162は、その表面に、アノード排気に水を噴射するように構成される噴射孔162Aを備える。
【0046】
一実施形態において、システム10は、また、アノード冷却器断熱材140A及びアノード排気導管308Cによって取り囲まれる燃料導管300Cを含む。燃料導管300Cは、インジェクタリング162の真ん中を通って延在するとともに、アノード復熱器110を通ってスタック102に燃料を提供するように構成される。
【0047】
一実施形態では、水噴射器160は、インジェクタリング162を取り囲むシュラウド166をさらに備える。一実施形態では、水噴射器160は、燃料導管300Cとシュラウド166とに接続される拘束タブ164をさらに備える。拘束タブ164は、インジェクタリングが実質的に水平な平面に配置されるように、インジェクタリング162を支持するように構成される。一実施形態では、水噴射器160は、インジェクタリング162の下方に配置されるメッシュ又は多孔質材料169をさらに備え、これは、アノード復熱器110上に水が滴り落ちるのを低減し又は防ぐように構成される。
【0048】
一実施形態では、水噴射器160は、インジェクタリング162の下方に配置されるバッフル168をさらに備える。バッフル168は、燃料導管300Cの周囲に配置されるとともに、インジェクタリング162と上下方向に重なるバッフルリング168Aと、バッフルタブ168Bとを備え、バッフルタブ168Bは、バッフルリング168Aから延設されるとともに、バッフルリングがインジェクタリング162と上下方向に重なるようにバッフルリング168Aを配設するように構成される。
【0049】
一実施形態において、システム10は、また、アノードテールガス酸化器130とスプリッタ510とを含み、スプリッタ510は、アノード復熱器110から提供されるアノード排気の第1の部分をアノード排気導管308C及び水噴射器160へと向け、アノード復熱器110から提供されるアノード排気の第2の部分をアノードテールガス酸化器130へと向けるように構成される。アノード再循環ブロワは、アノード排気の第1の部分を燃料導管300Cへと再循環させるように構成される。シュラウド166は、スプリッタ510から水を遠ざけるように構成される。
【0050】
燃料電池システムの運転方法は、燃料電池スタック102からのアノード排気の少なくとも一部を水噴射器160に提供する工程と、水噴射器160に水を供給する工程と、前記水を水噴射器160からアノード排気の少なくとも一部に噴射して水を気化させ、加湿されたアノード排気を生成する工程と、を含む。
【0051】
一実施形態では、水噴射器に水を供給する工程は、スタック102が約300℃以上の温度に達した後、水を液体状態で水噴射器160に供給する工程を含む。一実施形態では、本方法は、また、スタック102からのアノード排気をアノード復熱器110に提供して、スタック102に流れる燃料吸入流を加熱する工程と、アノード復熱器から提供されるアノード排気をアノード排気の第1の部分とアノード排気の第2の部分に分割する工程と、アノード排気の第1の部分を水噴射器160に提供する工程とを含む。水は完全に気化されるか、又は部分的に気化され、アノード排気流の第1の部分に混入させて加湿されたアノード排気を形成する一方で、アノード排気の第2の部分は、アノードテールガス酸化器130に提供される。本方法はさらに、アノード冷却器140に加湿されたアノード排気を提供して、スタック102へ流れる空気を加熱する工程と、アノード冷却器140からの加湿されたアノード排気を、燃料導管300Cを通ってスタック102へ流れる燃料吸入流へ提供する工程とを含む。
【0052】
上述のように、一実施形態では、水噴射器160は、アノード排気冷却器140とアノード復熱器110との間に配置されるインジェクタリング162を備える。水は、水導管306を通ってインジェクタリング162へと流れ、水は、インジェクタリング162から、インジェクタリングの孔162Aを通ってアノード排気流の第1の部分に噴射される。燃料吸入流は、アノード冷却器断熱材140Aとインジェクタリング162とによって取り囲まれる燃料導管300Cを通ってスタック102に流れる。アノード冷却器140は、アノード冷却器断熱材140Aを取り囲み、水導管306はアノード冷却器断熱材140Aを通って延在する。
【0053】
一実施形態では、水噴射器160は、インジェクタリング162を取り囲むシュラウド166をさらに備える。シュラウドは、アノードテールガス酸化器130への水の流れを防ぐ又は低減する。拘束タブ164は燃料導管300C及びシュラウド166に接続されるとともに、インジェクタリング162を実質的に水平な平面に支持するように構成される。
【0054】
一実施形態では、水噴射器は、インジェクタリング162の下方に配置されるメッシュ又は多孔質材料169をさらに備える。メッシュ又は多孔質材料は、アノード復熱器110上に水が滴り落ちることを低減し又は防ぐ。一実施形態では、水は、導管308C内のアノード排気に噴射されるまで、水源206からシステム10に供給される間に蒸気発生器を通り抜けない。
【0055】
従って、様々な実施形態は、水が気化される水コイルを含む蒸気発生器に依存する従前の構造より経済的な水噴射器を提供する。したがって、実施形態の水噴射器はまた、従前のシステムよりコンパクトな構造を提供し、システムホットボックス内の改善された空間効率を可能にする。さらに、実施形態の水噴射器はまた、従前のシステムよりも導管の長さが短いため、より速い応答時間を提供する。電力網の中断及び/又はプラント負荷のバランスの突然の変化に対応する場合、速い応答時間は特に有益である。
【0056】
開示した態様の前述の説明は、当業者が本発明を成すか又は使用できるようにするために提供される。これらの態様に対する様々な改変は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される包括的な原理は、本発明の範囲から逸脱することなく他の態様に適用することができる。したがって、本発明は、本明細書に示した態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規の特徴と矛盾しない最も広い範囲を与えられるべきである。