(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-19
(45)【発行日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ファイバ構造体、光コンバイナ、レーザ光源及びレーザ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20230420BHJP
G02B 6/255 20060101ALI20230420BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20230420BHJP
H01S 3/067 20060101ALI20230420BHJP
H01S 3/0941 20060101ALI20230420BHJP
【FI】
G02B6/44 301A
G02B6/255
G02B6/26
H01S3/067
H01S3/0941
(21)【出願番号】P 2022501646
(86)(22)【出願日】2020-12-06
(86)【国際出願番号】 JP2020045358
(87)【国際公開番号】W WO2021166380
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2020024543
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 明理
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191298(JP,A)
【文献】特開2009-158656(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169536(WO,A1)
【文献】特開2017-187554(JP,A)
【文献】特開2017-224678(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106405737(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02- 6/036
G02B 6/24
G02B 6/255-6/27
G02B 6/30- 6/34
G02B 6/36- 6/44
H01S 3/00- 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ファイバ構造体と、第2ファイバ構造体と、前記第1ファイバ構造体及び前記第2ファイバ構造体を収容する収容部とを備える光コンバイナであって、
前記第1ファイバ構造体及び前記第2ファイバ構造体が、
被覆部と、
前記被覆部に隣接する素線露出部とを有し、
前記被覆部が、光ファイバ素線と、前記光ファイバ素線を被覆する被覆とを有し、
前記素線露出部が、露出された光ファイバ素線からなるファイバ構造体であって、
前記被覆部と前記素線露出部との境界を覆う封止部を備え、
前記封止部が、下記式(1)で表される構造を有するフッ素樹脂を含む、ファイバ構造体
からなり、
前記第1ファイバ構造体においては、前記被覆部及び前記素線露出部が複数本の前記光ファイバ素線を有し、
前記第2ファイバ構造体においては、前記被覆部及び前記素線露出部が1本の前記光ファイバ素線を有し、
前記第1ファイバ構造体の前記素線露出部の端面と、前記第2ファイバ構造体の前記素線露出部の端面とが融着接続され、
前記第1ファイバ構造体の前記封止部が前記収容部に固定され、前記第2ファイバ構造体の前記封止部が前記収容部に固定されている、光コンバイナ。
【化4】
(前記式(1)中、Rは、二価の有機フッ素化合物基を表し、nは1以上の整数を表す。)
【請求項2】
前記二価の有機フッ素化合物基が、下記式(A)で表される、請求項1に記載の
光コンバイナ。
-R
5-O- (A)
(前記式(A)中、R
5は、炭素数1~5のフッ化アルキレン基を表す。)
【請求項3】
前記フッ化アルキレン基が、-CF
2-CF(CF
3)-、-CF
2-、-CF
2-CF
2-又は-CF
2-CF
2-CF
2-である、請求項2に記載の
光コンバイナ。
【請求項4】
前記光ファイバ素線が、コアと、前記コアを包囲するクラッドとを有し、
前記封止部の屈折率が、前記クラッドの屈折率よりも小さい、請求項1~3のいずれか一項に記載の
光コンバイナ。
【請求項5】
前記封止部のヤング率が10MPa以下である、請求項
1~4のいずれか一項に記載の光コンバイナ。
【請求項6】
前記第1ファイバ構造体を前記収容部に固定する第1固定部と、
前記第2ファイバ構造体を前記収容部に固定する第2固定部とをさらに備え、
前記第1ファイバ構造体においては、前記第1固定部が前記封止部と接着され、
前記第2ファイバ構造体においては、前記第2固定部が前記封止部と接着され、
前記第1固定部及び前記第2固定部が、前記収容部に対して前記封止部よりも大きい接着強度を有する、請求項
1~5のいずれか一項に記載の光コンバイナ。
【請求項7】
請求項
1~6のいずれか一項に記載の光コンバイナと、
前記光コンバイナの前記第2ファイバ構造体の前記光ファイバ素線から出射される光に基づいて特定の波長の光をレーザ光として出射させる光共振部と、
前記光コンバイナの前記第1ファイバ構造体の複数本の前記光ファイバ素線の各々に励起光を入射させる励起光源と、
を備える、レーザ光源。
【請求項8】
複数のレーザ光源と、
前記複数のレーザ光源から入射されるレーザ光を結合して出射させる光コンバイナとを備え、
前記光コンバイナが、請求項
1~6のいずれか一項に記載の光コンバイナからなる、レーザ装置。
【請求項9】
前記レーザ光源が請求項
7に記載のレーザ光源からなる、請求項
8に記載のレーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバ構造体、光コンバイナ及びレーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高出力ファイバレーザなどのレーザ光源においては一般に、複数の光源からの励起光を合波させて光共振部へ入射させる光コンバイナが用いられる。
【0003】
光コンバイナは、複数本の光ファイバ素線を有する第1光ファイバ部と、1本の光ファイバ素線を有する第2光ファイバ部とを備えており、第1光ファイバ部及び第2光ファイバ部はそれぞれ、被覆部と、被覆部に隣接する素線露出部とを有し、被覆部は、光ファイバ素線とその被覆とを有し、素線露出部は、露出された光ファイバ素線を有する。そして、第1光ファイバ部の素線露出部の端面と、第2光ファイバ部の素線露出部の端面とが融着接続されている。
【0004】
このような光コンバイナとして、例えば下記特許文献1に開示されているものが知られている。同文献には、素線露出部と被覆部との境界に湿気が入ることにより光ファイバの光学特性が低下することを抑制するために、素線露出部と被覆部との境界を封止部によって覆うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の光コンバイナは、耐久性の点で改善の余地を有していた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐久性を向上させることができるファイバ構造体、光コンバイナ、レーザ光源及びレーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため検討を重ねた。その過程で、本発明者は、光コンバイナにおいて封止部が例えばアクリル樹脂で構成される場合には、高出力の光を光コンバイナに入射させると、封止部が時間の経過とともに熱くなることに気付いた。このことから、封止部としてアクリル樹脂を使用した場合、光コンバイナに長時間にわたって高出力の光を入射させると、光が時間の経過につれて吸収されやすくなり、その結果、封止部が時間の経過とともに熱くなるのではないかと考えた。そこで、本発明者はさらに鋭意研究を重ねた結果、光コンバイナにおいて、素線露出部と被覆部との境界を覆う封止部を、アクリル樹脂から、特定の構造を有するフッ素樹脂にすることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、被覆部と、前記被覆部に隣接する素線露出部とを有し、前記被覆部が、光ファイバ素線と、前記光ファイバ素線を被覆する被覆とを有し、前記素線露出部が、露出された光ファイバ素線からなるファイバ構造体であって、前記被覆部と前記素線露出部との境界を覆う封止部を備え、前記封止部が、下記式(1)で表される構造を有するフッ素樹脂を有する、ファイバ構造体である。
【化1】
(前記式(1)中、Rは、二価の有機フッ素化合物基を表し、nは1以上の整数を表す。)である。
【0010】
上記ファイバ構造体によれば、封止部が上記式(1)で表される構造を有する。このため、例えば高出力の光が被覆部の光ファイバ素線に入射されて、光ファイバ素線から漏れ出た高出力の光が長時間にわたって封止部に入射されても、封止部による光の吸収が、封止部としてアクリル樹脂を用いる場合に比べて抑制される。このため、封止部の温度上昇による熱劣化が抑制され、封止部の封止性能の低下が抑制される。従って、湿気が素線露出部と被覆部との境界から入り込み、その湿気による被覆の膨潤によって光ファイバ素線が圧迫されて光ファイバ素線の光学特性が低下することが抑制される。よって、本発明のファイバ構造体によれば、耐久性を向上させることが可能となる。
【0011】
上記ファイバ構造体においては、前記二価の有機フッ素化合物基が下記式(A)で表されることが好ましい。
-R5-O- (A)
(前記式(A)中、R5は、炭素数1~5のフッ化アルキレン基を表す。)
【0012】
この場合、封止部が、C-C結合やC-H結合よりも大きな結合エネルギーを有するSi-O結合を有することとなるため、封止部の耐熱性がより向上し、ファイバ構造体の耐久性をより向上させることができる。
【0013】
上記ファイバ構造体においては、前記フッ化アルキレン基が、-CF2-CF(CF3)-、-CF2-、-CF2-CF2-又は-CF2-CF2-CF2-であることが好ましい。
【0014】
この場合、封止部が、C-C結合やC-H結合よりも大きな結合エネルギーを有するSi-O結合及びC-F結合を有することとなるため、封止部の耐熱性がより一層向上し、ファイバ構造体の耐久性をより一層向上させることができる。
【0015】
上記ファイバ構造体においては、前記光ファイバ素線が、コアと、前記コアを包囲するクラッドとを有し、前記封止部の屈折率が、前記クラッドの屈折率よりも小さいことが好ましい。
【0016】
この場合、光ファイバ素線内にレーザ光を効果的に閉じ込めることが可能となる。
【0017】
また本発明は、第1ファイバ構造体と、第2ファイバ構造体とを備える光コンバイナであって、前記第1ファイバ構造体及び前記第2ファイバ構造体が、上述したファイバ構造体からなり、前記第1ファイバ構造体においては、前記被覆部及び前記素線露出部が複数本の前記光ファイバ素線を有し、前記第2ファイバ構造体においては、前記被覆部及び前記素線露出部が1本の前記光ファイバ素線を有し、前記第1ファイバ構造体の前記素線露出部の端面と、前記第2ファイバ構造体の前記素線露出部の端面とが融着接続されている光コンバイナである。
【0018】
この光コンバイナによれば、第1ファイバ構造体及び第2ファイバ構造体の封止部が上記式(1)で表される構造を有する。このため、例えば高出力の光が被覆部の光ファイバ素線に入射されて、光ファイバ素線から漏れ出た光が長時間にわたって封止部に入射されても、封止部による光の吸収が、封止部としてアクリル樹脂を用いる場合に比べて抑制される。このため、封止部の温度上昇による熱劣化が抑制されるため、第1ファイバ構造体及び第2ファイバ構造体の耐久性を向上させることが可能となる。従って、本発明の光コンバイナの耐久性を向上させることが可能となる。
【0019】
上記光コンバイナにおいては、前記封止部のヤング率が10MPa以下であることが好ましい。
【0020】
この場合、光が例えば光コンバイナの第1ファイバ構造体に入射され、光コンバイナの第2ファイバ構造体から出射されると、封止部のヤング率が10MPaを超える場合に比べて、出射される光のビーム品質をより向上させることができる。
【0021】
上記光コンバイナは、前記第1ファイバ構造体及び前記第2ファイバ構造体を収容する収容部と、前記第1ファイバ構造体を前記収容部に固定する第1固定部と、前記第2ファイバ構造体を前記収容部に固定する第2固定部とをさらに備え、前記第1ファイバ構造体においては、前記第1固定部が前記封止部と接着され、前記第2ファイバ構造体においては、前記第2固定部が前記封止部と接着され、前記第1固定部及び前記第2固定部が、前記収容部に対して前記封止部よりも大きい接着強度を有することが好ましい。
【0022】
この場合、第1ファイバ構造体及び第2ファイバ構造体が、収容部に対して封止部より大きい接着強度を有する第1固定部及び第2固定部で収容部に固定されることで、第1ファイバ構造体及び第2ファイバ構造体の収容部への固定が補強される。このため、第1ファイバ構造体及び第2ファイバ構造体と収容部との分離を抑制することができる。
【0023】
上記光コンバイナにおいては、前記第1ファイバ構造体の前記封止部が前記収容部に固定され、前記第2ファイバ構造体の前記封止部が前記収容部に固定されていることが好ましい。
【0024】
この場合、第1ファイバ構造体と収容部との接着強度、及び、第2ファイバ構造体と収容部との接着強度をより高めることができる。
【0025】
また、本発明は、上述した光コンバイナと、前記光コンバイナの前記第2ファイバ構造体の前記光ファイバ素線から出射される光に基づいて特定の波長の光をレーザ光として出射させる光共振部と、前記光コンバイナの前記第1ファイバ構造体の複数本の前記光ファイバ素線の各々に励起光を入射させる励起光源とを備えるレーザ光源である。
【0026】
このレーザ光源によれば、励起光源から、光コンバイナの第1ファイバ構造体の複数本の光ファイバ素線の各々に励起光が入射され、光コンバイナの第2ファイバ構造体の光ファイバ素線から出射される光に基づいて特定の波長の光が光共振部からレーザ光として出射される。このとき、光コンバイナに入射される励起光が高出力であっても、光コンバイナの耐久性を向上させることが可能となる。従って、本発明のレーザ光源の耐久性を向上させることが可能となる。
【0027】
さらに、本発明は、複数のレーザ光源と、前記複数のレーザ光源から入射されるレーザ光を結合して出射させる光コンバイナとを備え、前記光コンバイナが、上述した光コンバイナからなる、レーザ装置である。
【0028】
このレーザ装置によれば、複数のレーザ光源からレーザ光が光コンバイナの第1ファイバ構造体に入射され、結合されて第2ファイバ構造体からレーザ光として出射される。このとき、光コンバイナが、上述した光コンバイナからなり、耐久性を向上させることが可能となる。従って、本発明のレーザ装置の耐久性を向上させることが可能となる。
【0029】
上記レーザ装置においては、前記レーザ光源が、上述したレーザ光源からなることが好ましい。
【0030】
この場合、レーザ光源が、上述したレーザ光源からなり、耐久性を向上させることが可能な光コンバイナを有する。このため、本発明のレーザ装置は、耐久性をより向上させることが可能となる。
【0031】
なお、本発明において、屈折率は、光ファイバ素線に入射される光の波長における屈折率をいう。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、耐久性を向上させることが可能なファイバ構造体、光コンバイナ、レーザ光源及びレーザ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の光コンバイナの一実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿った部分切断面端面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿った断面図である。
【
図6】式(1)で表される構造を有するフッ素樹脂からなるシート及びアクリル樹脂からなるシートの150℃における光透過率の経時変化を示すグラフである。
【
図7】式(1)で表される構造を有するフッ素樹脂からなるシート及びアクリル樹脂からなるシートの150℃における光吸収率の増加量の経時変化を示すグラフである。
【
図8】本発明のレーザ光源の一実施形態を示す概略図である。
【
図9】本発明のレーザ装置の一実施形態を示す概略図である。
【
図10】本発明の光コンバイナの他の実施形態を示す部分切断面端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<光コンバイナ>
以下、本発明の光コンバイナの実施形態について
図1~5を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の光コンバイナの一実施形態を示す平面図、
図2は、
図1のII-II線に沿った部分切断面端面図、
図3は、
図1のIII-III線に沿った断面図、
図4は、
図1のIV-IV線に沿った断面図、
図5は、
図3の光ファイバ素線を示す拡大図である。
【0035】
図1及び
図2に示すように、光コンバイナ100は、第1ファイバ構造体101と、第2ファイバ構造体102と、第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102を収容する収容溝11を有する収容部10と、第1ファイバ構造体101を収容部10に固定する第1固定部30と、第2ファイバ構造体102を収容部10に固定する第2固定部30とを備えている。
【0036】
第1ファイバ構造体101は、被覆部101Aと、被覆部101Aに隣接する素線露出部101Bとを有している。被覆部101Aは、複数本の光ファイバ素線21と、複数本の光ファイバ素線21の各々を被覆する被覆22とを有しており(
図3参照)、素線露出部101Bは、露出された複数本の光ファイバ素線21からなる。ここで、複数本の光ファイバ素線21は被覆部101A及び素線露出部101Bに共通の光ファイバ素線である。すなわち、被覆部101Aの光ファイバ素線21の延長部が素線露出部101Bの光ファイバ素線21として構成されている。なお、以下、被覆部101A及び素線露出部101Bにおける光ファイバ素線21と被覆部101Aにおける被覆22とからなるものをまとめて光ファイバ20と呼ぶこととする。
【0037】
一方、第2ファイバ構造体102は、被覆部102Aと、被覆部102Aに隣接する素線露出部102Bとを有している。被覆部102Aは、1本の光ファイバ素線21と、1本の光ファイバ素線21を被覆する被覆22とを有しており(
図4参照)、素線露出部102Bは、露出された光ファイバ素線21からなる。ここで、1本の光ファイバ素線21は被覆部102A及び素線露出部102Bに共通の光ファイバ素線である。すなわち、被覆部102Aの光ファイバ素線21の延長部が素線露出部102Bの光ファイバ素線21として構成されている。なお、以下、被覆部102A及び素線露出部102Bにおける光ファイバ素線21と被覆部102Aにおける被覆22とからなるものもまとめて光ファイバ20と呼ぶこととする。
【0038】
そして、第1ファイバ構造体101の素線露出部101Bの端面と、第2ファイバ構造体102の素線露出部102Bの端面とが融着接続されている。ここで、
図5に示すように、光ファイバ素線21は、コア21aと、コア21aを包囲するクラッド21bとを有しており、光コンバイナ100に入射された光は、第1ファイバ構造体101の光ファイバ素線21のコア21aを通り、第2ファイバ構造体102の光ファイバ素線21のコア21aを通ることとなる。こうして第1ファイバ構造体101と第2ファイバ構造体102とは光結合された状態で収容部10の収容溝11に収容されている。
【0039】
また、第1ファイバ構造体101は、被覆部101Aと素線露出部101Bとの境界B1を覆う封止部40を備えている。ここで、境界B1は、第1ファイバ構造体101を平面視した場合の境界をいう。
図2においては、第1ファイバ構造体101の封止部40は、被覆部101Aの一端を覆うとともに、素線露出部101Bの一端を覆っている。従って、素線露出部101Bの一端を覆っている封止部40は、光ファイバ素線21のクラッド21bと接触している。
【0040】
一方、第2ファイバ構造体102も、被覆部102Aと素線露出部102Bとの境界B2を覆う封止部40を備えている。ここで、境界B2は、第2ファイバ構造体102を平面視した場合の境界をいう。
図2においては、第2ファイバ構造体102の封止部40は、被覆部102Aの一端を覆うとともに、素線露出部102Bの一端を覆っている。従って、素線露出部102Bの一端を覆っている封止部40は、光ファイバ素線21のクラッド21bと接触している。
【0041】
そして、封止部40は、下記式(1)で表される構造を有するフッ素樹脂を含む。
【化2】
(上記式(1)中、Rは、二価の有機フッ素化合物基を表し、nは1以上の整数を表す。)
【0042】
封止部40は、収容部10の収容溝11の底面11a、及び底面11aの両縁部から延びる2つの側面11bに接着されている(
図3及び
図4参照)。
【0043】
また、第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102においては、封止部40は、第1固定部30及び第2固定部30にそれぞれ接着されている。ここで、第1固定部30及び第2固定部30は、収容部10に対して封止部40よりも大きい接着強度を有する。
【0044】
光コンバイナ100によれば、第1ファイバ構造体101における封止部40が、上記式(1)で表される構造を有するフッ素樹脂を含む。このため、例えば高出力の光が被覆部101Aの光ファイバ素線21に入射されて、光ファイバ素線21から漏れ出た高出力の光が長時間にわたって封止部40に入射されても、封止部40による高出力の光の吸収が、封止部40としてアクリル樹脂を用いる場合に比べて抑制される。このため、第1ファイバ構造体101において、封止部40の温度上昇による熱劣化が抑制され、封止部40の封止性能の低下が抑制される。従って、湿気が素線露出部101Bと被覆部101Aとの境界B1から入り込み、その湿気による被覆22の膨潤によって光ファイバ素線21が圧迫されて光ファイバ素線21の光学特性が低下することが抑制される。
【0045】
また、光コンバイナ100においては、第2ファイバ構造体102における封止部40が、上記式(1)で表される構造を有するフッ素樹脂を含む。このため、高出力の光が第1ファイバ構造体101の素線露出部101Bから素線露出部102Bの光ファイバ素線21に入射されて、光ファイバ素線21から漏れ出た高出力の光が長時間にわたって封止部40に入射されても、封止部40による高出力の光の吸収が、封止部40としてアクリル樹脂を用いる場合に比べて抑制される。このため、第2ファイバ構造体102において、封止部40の温度上昇による熱劣化が抑制され、封止部40の封止性能の低下が抑制される。従って、湿気が素線露出部102Bと被覆部102Aとの境界B2から入り込み、その湿気による被覆22の膨潤によって光ファイバ素線21が圧迫されて光ファイバ素線21の光学特性が低下することが抑制される。
【0046】
このため、第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102の耐久性を向上させることが可能となる。従って、光コンバイナ100の耐久性を向上させることが可能となる。
【0047】
また、第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102においては、封止部40が、第1固定部30及び第2固定部30にそれぞれ接着され、第1固定部30及び第2固定部30は、収容部10に対して封止部40よりも大きい接着強度を有する。
【0048】
このように、第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102が、収容部10に対して封止部40より大きい接着強度を有する第1固定部30及び第2固定部30で収容部10に固定されることで、第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102の収容部10への固定が補強される。このため、第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102と収容部10との分離を抑制することができる。
【0049】
また、第1ファイバ構造体101の封止部40は、収容部10の収容溝11の底面11aに固定され、第2ファイバ構造体102の封止部40は、収容部10の収容溝11の底面11aの両縁部から延びる2つの側面11bに固定されている。このため、第1ファイバ構造体101と収容部10の接着強度、及び、第2ファイバ構造体102と収容部10の接着強度をより高めることができる。
【0050】
次に、光コンバイナ100における収容部10、光ファイバ20、第1固定部30、第2固定部30及び封止部40について詳細に説明する。
【0051】
(収容部)
収容部10を構成する材料は、特に制限されるものではなく、樹脂又は無機材料のいずれであってもよいが、無機材料で構成されることが好ましい。この場合、無機材料は、樹脂に比べて硬質であるため、第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102を外力や衝撃、振動から保護できる。また、無機材料は樹脂に比べて熱膨張係数が小さいため、周囲の温度環境の変化に伴う熱膨張又は熱収縮が抑制され、光ファイバ20にマイクロベンドを発生させることが抑制され、光ファイバ20における光学特性の低下を抑制することができる。このような無機材料としては、例えばネオセラム(登録商標)や石英などのガラス材料が挙げられる。
【0052】
(光ファイバ)
光ファイバ20は、光ファイバ素線21と被覆22とを有する。ここで、被覆22は、光ファイバ素線21のクラッド21bの屈折率よりも小さい屈折率を有する材料で構成されることが好ましい。被覆22を構成する材料としては、例えばシリコン樹脂及びポリアミド樹脂などが挙げられる。
【0053】
(第1固定部及び第2固定部)
第1固定部30及び第2固定部30は、収容部10に第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102を固定させることができる材料で構成されればよい。第1固定部30及び第2固定部30を構成する材料としては、例えばシリコン樹脂及びエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0054】
(封止部)
封止部40は、上記式(1)で表される構造を有するフッ素樹脂を含む。このフッ素樹脂は、下記式(2)で表される構造を主鎖に含む架橋性化合物を紫外線又は加熱によって架橋させることによって得ることができる。
【化3】
(上記式(2)中、Rは、二価の有機フッ素化合物基を表し、nは1以上の整数を表す。R
1~R
4は各々独立に、有機基を表す。)
【0055】
上記式(1)及び(2)におけるRは二価の有機フッ素化合物基であればよい。二価の有機フッ素化合物基としては、下記式(A)で表される基が好ましい。
-R5-O- (A)
(前記式(A)中、R5は、炭素数1~5のフッ化アルキレン基を表す。)
【0056】
この場合、封止部40が、C-C結合やC-H結合よりも大きな結合エネルギーを有するSi-O結合を有することとなるため、封止部40の耐熱性がより向上し、第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102の耐久性をより向上させることができる。
【0057】
上記フッ化アルキレン基は、アルキレン基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子に置換されたものであればよいが、アルキレン基の全部の水素原子がフッ素原子に置換されたものであることが好ましい。このようなフッ化アルキレン基としては、-CF2-CF(CF3)-、-CF2-、-CF2-CF2-又は-CF2-CF2-CF2-がより好ましい。
【0058】
この場合、封止部40が、C-C結合やC-H結合よりも大きな結合エネルギーを有するC-F結合及びSi-O結合を有することとなるため、封止部40の耐熱性がより一層向上し、第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102の耐久性をより一層向上させることができる。なお、上記フッ素樹脂中に複数のRが含まれる場合、複数のRは互いに同一であっても異なってもよい。
【0059】
上記式(2)におけるR1~R4で表される有機基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等の、末端にCH2=CH-構造を有する基、及び、アルキル基などの炭化水素基が挙げられる。
【0060】
なお、封止部40が上記フッ素樹脂を含む場合、封止部40がアクリル樹脂である場合に比べて、高温環境下において、長時間にわたって光の吸収が抑制されることを確認するために以下の実験を行った。
【0061】
すなわち、式(2)においてRを-CF
2-CF(CF
3)-O-とした架橋性化合物(製品名「SIFEL」、信越化学工業株式会社製)を架橋させて、厚さ0.5mmのシートを作製した。一方、比較のため、アクリル樹脂で同様に厚さ0.5mmのシートを作製した。そして、これらのシートを150℃で保管したときの光透過率をそれぞれ測定し、波長1070nmにおける光透過率の経時変化をそれぞれ測定した。結果を表1、表2及び
図6に示す。このとき、測定には、紫外可視近赤外分光光度計(製品名「V-600」、日本分光株式会社製)を用いた。また、0時間における光吸収率(=100-光透過率)を基準としたときの光吸収率の増加量も測定した。結果を表1、表2及び
図7に示す。
【表1】
【表2】
【0062】
表1、表2及び
図6に示す結果より、フッ素樹脂では、150℃という高温で保管して長時間が経過しても、アクリル樹脂とは異なり、光透過率が高いまま保持されていることが分かる。また、表1、表2及び
図7に示す結果より、フッ素樹脂では、アクリル樹脂に比べて、光吸収率の増加量が、約900時間もの時間が経過しても十分に小さいことが分かる。ここで、光吸収率の増加量は、封止部40の熱による劣化度合いを示すものである。
【0063】
従って、上述した通り、封止部40が上記フッ素樹脂を含む場合、封止部40がアクリル樹脂である場合に比べて、高温環境下において、長時間にわたって光の吸収が抑制されることが分かる。
【0064】
封止部40中のフッ素樹脂の含有率は特に制限されるものではないが、通常は50質量%以上である。封止部40中のフッ素樹脂の含有率は、封止性能を向上させる観点からは、80質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
【0065】
封止部40の屈折率は特に制限されないが、クラッド21bの屈折率よりも小さいことが好ましい。この場合、光ファイバ素線21内に光を閉じ込めることが可能となる。
【0066】
封止部40のヤング率は特に制限されるものではないが、10MPa以下であることが好ましい。
【0067】
この場合、光コンバイナ100の第1ファイバ構造体101に光が入射され、光コンバイナ100の第2ファイバ構造体102から出射されると、封止部40のヤング率が10MPaを超える場合に比べて、出射される光のビーム品質をより向上させることができる。
【0068】
封止部40のヤング率は、10MPa以下であることがより好ましく、1MPa以下であることが特に好ましい。
【0069】
但し、封止部40の形状を維持するという理由から、封止部40のヤング率は、1kPa以上であることが好ましい。封止部40のヤング率は、1kPa以上であることがより好ましく、5kPa以上であることが特に好ましい。なお、ヤング率は、室温(23℃)における値をいうものとする。
【0070】
次に、光コンバイナ100の製造方法について説明する。
【0071】
まず、光ファイバ素線21が全長にわたって被覆で被覆された被覆光ファイバを複数本用意し、複数本の被覆光ファイバの端部からそれぞれ被覆のみを除去して光ファイバ20を得る。そして、光ファイバ20の露出された光ファイバ素線21の部分を束ねて素線露出部101Bを形成するとともに、被覆22で被覆された光ファイバ素線21の部分を束ねて被覆部101Aを形成する。こうして第1光ファイバ部を用意する。
【0072】
一方、第1光ファイバ部と同様にして光ファイバ20を得る。このとき、光ファイバ20の露出された光ファイバ素線21が素線露出部102Bとなり、被覆22で被覆された光ファイバ素線21が被覆部102Aとなる。こうして第2光ファイバ部を用意する。
【0073】
そして、第1光ファイバ部の素線露出部101Bの端面20Aと、第2光ファイバ部の素線露出部Bの端面20Bとを融着接続してファイバ接続体を形成する。
【0074】
次に、収容溝11を有する収容部10を用意し、収容溝11内に、上述したファイバ接続体を収容する。
【0075】
次に、上述した第1光ファイバ部を、第1固定部30で収容部10に固定するとともに、上述した第2光ファイバ部を、第2固定部30で収容部10に固定する。
【0076】
次に、第1光ファイバ部の被覆部101Aと素線露出部101Bとの境界B1を覆うように封止部40の前駆体となる架橋性化合物を塗布する。このとき、封止部40の前駆体は、収容溝11の底面11a及び底面11aの両縁部から延びる2つの側面11b並びに第1固定部30に接触するように塗布する。その後、架橋性化合物を例えば加熱又は紫外線により架橋させる。こうして封止部40が形成され、第1ファイバ構造体101が得られる。このとき、封止部40は、収容溝11の底面11a及び2つの側面11b並びに第1固定部30に接着される。
【0077】
次に、第2光ファイバ部の被覆部102Aと素線露出部102Bとの境界B2を覆うように封止部40の前駆体となる架橋性化合物を塗布する。このとき、封止部40の前駆体は、収容溝11の底面11a及び底面11aの両縁部から延びる2つの側面11b並びに第2固定部30に接触するように塗布する。その後、架橋性化合物を例えば加熱又は紫外線により架橋させる。こうして封止部40が形成され、第2ファイバ構造体102が得られる。このとき、封止部40は、収容溝11の底面11a及び2つの側面11b並びに第2固定部30に接着される。
【0078】
以上のようにして光コンバイナ100が得られる。
【0079】
なお、第1ファイバ構造体101及び第2ファイバ構造体102を得る際、上記架橋性化合物は通常、液体であるため、収容溝11内の狭い空間でも容易に塗布することができる。また、上記架橋性化合物は、アクリル樹脂などに比べて、硬化時における硬化収縮が小さいため、硬化時に光ファイバ20に加わる曲げ変形を低減でき、得られる光コンバイナ100から出射されるビームの品質悪化を抑制できる。
【0080】
<レーザ光源>
次に、本発明のレーザ光源の実施形態について
図8を参照しながら説明する。
図8は、本発明のレーザ光源の一実施形態を示す概略図である。
【0081】
図8に示すように、レーザ光源200は、光コンバイナ100と、光コンバイナ100の第2ファイバ構造体102の光ファイバ素線21から出射される光に基づいて特定の波長の光をレーザ光として出射させる光共振部201と、光コンバイナ100の第1ファイバ構造体101の複数本の光ファイバ20の光ファイバ素線21の各々に励起光を入射させる励起光源D1~D7と、光共振部201からレーザ光として出射される光を出力する出力用ファイバ205とを備える。
【0082】
このレーザ光源200によれば、励起光源D1~D7から、光コンバイナ100の第1ファイバ構造体101の複数本の光ファイバ20の光ファイバ素線21の各々に励起光が入射され、光コンバイナ100の第2ファイバ構造体102の光ファイバ20の光ファイバ素線21から出射される光に基づいて特定の波長の光が光共振部201からレーザ光として出射され、このレーザ光が出力用ファイバ205から出力される。このとき、既に述べたように、光コンバイナ100は、耐久性を向上させることが可能となる。従って、レーザ光源200の耐久性を向上させることも可能となる。
【0083】
励起光源D1~D7は、励起光を出射するものであればよく、励起光源D1~D7としては、例えばレーザダイオード等を用いることができる。
【0084】
光共振部201は、増幅用光ファイバ202と、その一端に設けられる第1反射部203と、その他端に設けられる第2反射部204とを備えている。第1反射部203は、入力部201Aにて光コンバイナ100の第2ファイバ構造体102の光ファイバ20に接続され、第2反射部204は、出力部201Bにて出力用ファイバ205に接続されている。光共振部201では、入射された励起光により自然放出光が発生し、発生した自然放出光のうち第1反射部203及び第2反射部204によって選択的に反射された特定の波長の光を種として光の誘導放出が起こり、この誘導放出が繰り返されることで特定の波長の光がレーザ光として出力される。
【0085】
第1反射部203及び第2反射部204は、例えばファイバーブラッググレーティング(FBG)等で構成されている。
【0086】
増幅用光ファイバ202は、希土類元素添加光ファイバで構成される。希土類元素は、特に制限されるものではないが、希土類元素としては、例えばイッテルビウム(Yb)などが用いられる。
【0087】
なお、励起光源D1~D7の数は、7個となっているが、7個に限定されるものではない。光コンバイナ100の第1ファイバ構造体101に含まれる光ファイバ20の本数に応じて適宜変更が可能である。
【0088】
<レーザ装置>
次に、本発明のレーザ装置の実施形態について
図9を参照しながら説明する。
図9は、本発明のレーザ装置の一実施形態を示す概略図である。
【0089】
図9に示すように、レーザ装置300は、複数のレーザ光源L1~L7と、複数のレーザ光源L1~L7から入射されるレーザ光を結合して出力する光コンバイナ100と、光コンバイナ100の第2ファイバ構造体102の光ファイバ20に接続部302にて接続される出力用ファイバ301とを備えている。
【0090】
このレーザ装置300によれば、複数のレーザ光源L1~L7からレーザ光が光コンバイナ100の第1ファイバ構造体101に入射され、結合されて第2ファイバ構造体102の光ファイバ20から出射され、この出射光が出力用ファイバ301から出力される。このとき、光コンバイナ100は、既に述べたように、耐久性を向上させることが可能となる。従って、レーザ装置300の耐久性を向上させることも可能となる。
【0091】
上記レーザ装置300においては、レーザ光源L1~L7は、レーザ光源であればいかなるものでもよく、レーザ光源L1~L7としては、例えばレーザダイオード、CO2レーザ、YAGレーザ、上述したレーザ光源200などが挙げられる。中でも、レーザ光源L1~L7は、上述したレーザ光源200からなることが好ましい。この場合、レーザ光源200の出力用ファイバ205が光コンバイナ100の第1ファイバ構造体101の光ファイバ20と接続される。
【0092】
この場合、レーザ光源L1~L7が上述したレーザ光源200からなり、耐久性を向上させることが可能な光コンバイナ100を有する。このため、レーザ装置300は、より耐久性を向上させることが可能となる。
【0093】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば上記実施形態では、第1固定部30及び第2固定部30が封止部40に接着されているが、
図10に示す光コンバイナ400のように、第1固定部30及び第2固定部30はそれぞれ封止部40から離間していてもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、第1ファイバ構造体101の封止部40及び第2ファイバ構造体102の封止部40がいずれも収容部10に固定されているが、第1ファイバ構造体101の封止部40及び第2ファイバ構造体102の封止部40のいずれか一方、又は両方が収容部10に固定されていなくてもよい。
【0095】
さらに、上記実施形態では、第1固定部30及び第2固定部30が収容部10に対して封止部40よりも大きい接着強度を有するが、第1固定部30及び第2固定部30は、収容部10に対して封止部40以下の接着強度を有していてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、第1固定部30及び第2固定部30は省略されてもよい。
【0097】
さらに、上記実施形態では、光コンバイナ100が収容部10を有しているが、収容部10は省略されてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、封止部40が、収容溝11の底面11a及び2つの側面11bに接着されているが、収容溝11の底面11aには接着されていなくてもよく、収容溝11から離間していてもよい。あるいは、封止部40は、底面11aにのみ接着され、側面11bには接着されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10…収容部
20A…第1ファイバ構造体の素線露出部の端面
20B…第2ファイバ構造体の素線露出部の端面
21…光ファイバ素線
21a…コア
21b…クラッド
22…被覆
30…第1固定部、第2固定部
40…封止部
100,400…光コンバイナ
101…第1ファイバ構造体
102…第2ファイバ構造体
200…レーザ光源
201…光共振部
300…レーザ装置
301…出力用ファイバ
101A,102A…被覆部
101B,102B…素線露出部
B1,B2…被覆部と素線露出部との境界
D1~D7…励起光源
L1~L7…レーザ光源