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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20230421BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
F25D23/02 305A
F25D21/04 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019144092
(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公開番号】P2021025705
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】井下 美桃子
(72)【発明者】
【氏名】堀井 愼一
(72)【発明者】
【氏名】西澤 克彦
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/181439(WO,A1)
【文献】特開2005-207736(JP,A)
【文献】特開2016-42022(JP,A)
【文献】特開2004-203346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの貯蔵室と、
前記貯蔵室を閉塞するための、第1の扉と第2の扉とで構成される観音開き式の扉と、
前記観音開き式の扉が閉じられた際に前記第1の扉と前記第2の扉の隙間からの冷気漏れを抑制するシール部材と、
前記第1の扉に設けられている、前記シール部材を加熱するための加熱部材とを備え、
前記第1の扉の外周を形成する外周部材のうち、少なくとも前記観音開き式の扉が閉じられた際に前記第2の扉に対向する部分は、フィラーを混合した樹脂部材で形成されていることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記第2扉の外周を形成する外周部材のうち、少なくとも前記観音開き式の扉が閉じられた際に前記第1の扉に対向する部分も、フィラーを混合した樹脂部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記樹脂部材は、主材料がポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記シール部材は、前記第1の扉に取り付けられている第1のガスケットと、前記第2の扉に取り付けられている第2のガスケットとで構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第1のガスケットと前記第2のガスケットは、庫外側の部品と庫内側の部品とに分割され、かつ、庫外側の部品が庫内側の部品よりも熱伝導率が高い部品であることを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記第1の扉の外周を形成する外周部材のうち、少なくとも前記観音開き式の扉が閉じられた際に前記第2の扉に対向する部分は、前記第1のガスケットが取り付けられている位置で庫外側の部品と庫内側の部品とに分割され、かつ、庫外側の部品が庫内側の部品よりも熱伝導率が高い部品であり、
前記第2の扉の外周を形成する外周部材のうち、少なくとも前記観音開き式の扉が閉じられた際に前記第1の扉に対向する部分は、前記第2のガスケットが取り付けられている位置で庫外側の部品と庫内側の部品とに分割され、かつ、庫外側の部品が庫内側の部品よりも熱伝導率が高い部品であることを特徴とする請求項4又は5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記加熱部材はヒータであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記貯蔵室は冷蔵室であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観音開き式の扉を有する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の冷蔵庫は、観音開き式の扉を有し、左右の扉を閉じた際に生じる隙間をシールするためにガスケットを設けている。また、特許文献1の冷蔵庫は、一方の扉にヒータを設け、このヒータを用いてガスケットを加熱している。これにより、庫内と庫外の温度差が大きいことが原因でガスケットに結露が発生することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-207736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスケットのようなシール部材を加熱することで、シール部材に結露が発生することを防止できる。しかしながら、シール部材を加熱する時間が長くなれば長くなるほど、シール部材を加熱する際の消費電力が大きくなってしまう。
【0005】
そこで本発明では、シール部材を加熱する際の消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明が提供する冷蔵庫は、少なくとも一つの貯蔵室と、貯蔵室を閉塞するための、第1の扉と第2の扉とで構成される観音開き式の扉と、観音開き式の扉が閉じられた際に第1の扉と第2の扉の隙間からの冷気漏れを抑制するシール部材と、第1の扉に設けられている、シール部材を加熱するための加熱部材とを備え、第1の扉の外周を形成する外周部材のうち、少なくとも観音開き式の扉が閉じられた際に第2の扉に対向する部分は、フィラーを混合した樹脂部材で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シール部材を加熱する際の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】冷蔵庫100の外観図である。
図2】冷蔵室101を示す図である。
図3】第1の扉201を示す図である。
図4】第1の扉201と第2の扉202を閉じた状態で冷蔵室101を上から見た際の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
(実施形態)
図1は、冷蔵庫100の外観図である。冷蔵庫100は、複数の貯蔵室、具体的には冷蔵室101、製氷室102、上段冷凍室103、下段冷凍室104、野菜室105を備え
る。また、冷蔵室101の内部には、パーシャル/チルド切替室が設けられている。
【0010】
図2は、冷蔵室101を詳しく説明するための図である。冷蔵室101は、第1の扉201と第2の扉202とで構成される観音開き式の扉で閉塞される。図2は、第2の扉202が開けられた状態を示す。
【0011】
図3は、第1の扉201を詳しく説明するための図であり、第1の扉201を庫内側から見た場合の斜視図である。第1の扉201には、第1の扉201を閉じた際に第1の扉201と冷蔵庫本体との隙間をシールするための、上ガスケット301と下ガスケット302とが設けられている。また、第1の扉201を閉じた際に第2の扉202に対向する部分には、第1のガスケット303が設けられている。また、図3には図示しないが、第2の扉202にも、第2の扉202を閉じた際に第1の扉201に対向する部分に第2のガスケット401が設けられている。第1のガスケット303と第2のガスケット401によって、第1の扉201と第2の扉202を閉じた際に両扉の隙間から冷気が漏れることを抑制できる。
【0012】
図4は、第1の扉201と第2の扉202を閉じた状態で冷蔵室101を上から見た際の断面図である。第1のガスケット303は、第1の扉201の外周を形成する第1の外周部材402に取り付けられている。また、第2のガスケット401は、第2の扉202の外周を形成する第2の外周部材403に取り付けられている。また、第1のガスケット303は磁石404を備え、第2のガスケット401は磁石405を備える。第1の扉201と第2の扉202を閉じると磁石404と磁石405が吸着し、両扉の隙間がシールされる。
【0013】
第1のガスケット303と第2のガスケット401は、庫内の冷気によって冷却されるため、第1のガスケット303の庫外側の表面、及び、第2のガスケット401の庫外側の表面には結露が発生しやすい。この結露の発生を防止するために、第1の扉201の内部、かつ、第1のガスケット303の近傍にヒータ406が設けられている。このヒータ406によって、まず第1のガスケット303の庫外側の表面が加熱され、そして第1のガスケット303を介して第2のガスケット401の庫外側の表面も加熱される。これにより、第1のガスケット303の庫外側の表面、及び、第2のガスケット401の庫外側の表面に結露が発生することを防止できる。
【0014】
本実施形態の冷蔵庫100は、第1の外周部材402を、熱伝導性が高いフィラーを混合した樹脂部材とすることを特徴とする。第1の外周部材402を、熱伝導性が高いフィラーを混合した樹脂部材とすることで、ヒータ406の熱が第1のガスケット303に伝わりやすくなる。従って、フィラーのような熱伝導性が高い物質を混合した樹脂部材を使用しない場合と比較して、ヒータ406の加熱時間が短くなり、結果として第1のガスケット303と第2のガスケット401から構成されるシール部材を加熱する際の消費電力を低減できる。なお、第1の扉201の外周全体を、フィラーを混合した樹脂部材で形成しても良いし、第1の扉201と第2の扉202を閉じた際に第2の扉202に対向する部分のみを、フィラーを混合した樹脂部材で形成しても良い。第1の扉201の外周を形成する外周部材のうち、少なくとも、第1の扉201と第2の扉202を閉じた際に第2の扉202に対向する部分を、フィラーを混合した樹脂部材で形成すれば良い。
【0015】
更に、本実施形態の冷蔵庫100は、第1の外周部材402に加えて第2の外周部材403も、熱伝導性が高いフィラーを混合した樹脂部材とすることを特徴とする。第2の外周部材403を、熱伝導性が高いフィラーを混合した樹脂部材とすることで、外気の熱が第2の外周部材403を介して第2のガスケット401に熱輸送されるため、ヒータ406から離れている第2のガスケット401の庫外側の表面の加熱を促進できる。従って、
第2の扉202の外周部材として、フィラーのような熱伝導性が高い物質を混合した樹脂部材を使用しない場合と比較して、ヒータ406の加熱時間が短くなり、結果として第1のガスケット303と第2のガスケット401から構成されるシール部材を加熱する際の消費電力を低減できる。なお、第2の扉202の外周全体を、フィラーを混合した樹脂部材で形成しても良いし、第1の扉201と第2の扉202を閉じた際に第1の扉201に対向する部分のみを、フィラーを混合した樹脂部材で形成しても良い。第2の扉202の外周を形成する外周部材のうち、少なくとも、第1の扉201と第2の扉202を閉じた際に第1の扉201に対向する部分を、フィラーを混合した樹脂部材で形成すれば良い。また、第1のガスケット303の一部を第1の外周部材402に接触させることで、外気の熱を第1のガスケット303の庫外側の表面に熱輸送しやすくなる。また、第2のガスケット401の一部を第2の外周部材403に接触させることで、外気の熱を第2のガスケット401の庫外側の表面に熱輸送しやすくなる。
【0016】
なお、熱伝導性が高いフィラーを混合すると、樹脂部材を成形する際の流動性が低下するが、樹脂部材の主材料をポリアミド樹脂(例えば6-ナイロン)とすることで、流動性を高くすることができる。
【0017】
また、熱伝導性が高いフィラーを混合した樹脂部材の熱伝導率を1W/mk~50W/mkとすることで、熱輸送と吸熱量のバランスを最適化することができる。
【0018】
また、第1のガスケット303、及び、第2のガスケット401を庫外側の部品と庫内側の部品とに分割し、かつ、庫外側の部品を庫内側の部品よりも熱伝導率が高い部品にすることで、庫内への熱侵入を抑制できる。また、第1の外周部材402を、第1のガスケット303を取り付ける位置で庫外側の部品と庫内側の部品とに分割し、かつ、庫外側の部品を庫内側の部品よりも熱伝導率が高い部品にすることで、庫内への熱侵入を抑制できる。また、第2の外周部材403を、第2のガスケット401を取り付ける位置で庫外側の部品と庫内側の部品とに分割し、かつ、庫外側の部品を庫内側の部品よりも熱伝導率が高い部品にすることで、庫内への熱侵入を抑制できる。
【符号の説明】
【0019】
100 冷蔵庫
101 冷蔵室
201 第1の扉
202 第2の扉
303 第1のガスケット
401 第2のガスケット
402 第1の外周部材
403 第2の外周部材
406 ヒータ
図1
図2
図3
図4