(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】通信端末
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/06 20060101AFI20230421BHJP
H01Q 1/50 20060101ALI20230421BHJP
H01P 5/02 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
H01Q13/06
H01Q1/50
H01P5/02 603E
(21)【出願番号】P 2020064358
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱邉 太一
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-175422(JP,A)
【文献】特開2005-109636(JP,A)
【文献】特開2010-135907(JP,A)
【文献】特開2010-057013(JP,A)
【文献】国際公開第2019/132034(WO,A1)
【文献】特開平09-172321(JP,A)
【文献】国際公開第2019/151529(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/056476(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/110671(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/004656(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0289858(US,A1)
【文献】特開2011-205304(JP,A)
【文献】特開2008-182523(JP,A)
【文献】特開平09-275317(JP,A)
【文献】特開2005-190216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/00
H01P 5/00- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
略長方形状に形成され、アンテナ導体が配置されたアンテナ基板と、
前記筐体に配置され、
かつ前記アンテナ基板と同じ方向の長方形状に形成され、前記アンテナ基板
のうち前記アンテナ導体が設けられたアンテナ面を包囲する金属製のアンテナ包囲部と、を備え
、
前記アンテナ導体は、前記アンテナ基板の長手方向に平行な短辺と、前記長手方向に直交する方向に平行な長辺とを有して略長方形状に形成される、
通信端末。
【請求項2】
前記アンテナ包囲部は、前記アンテナ基板と対向する前記筐体の背面側に配置されるリアカバーを介して螺合される、
請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記アンテナ基板の長手方向の長さは、前記アンテナ導体から放射される電波の1波長である、
請求項1に記載の通信端末。
【請求項4】
前記アンテナ基板は、
前記アンテナ導体が設けられたアンテナ面と、
前記アンテナ面に対向し、接地導体が設けられたグランド面と、
線路幅がそれぞれ異なる複数の伝送線路がそれぞれ直列に接続して構成されたスタブを有する給電面と、を備え、
前記スタブは、前記アンテナ面と前記グランド面との間に位置し、
前記アンテナ導体は、前記複数の伝送線路のうち一端側の伝送線路に接続される給電点を介して、前記スタブと電気的に導通している、
請求項1に記載の通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信が可能な通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パッチが設けられたアンテナ面と、アンテナ面に対向し、接地導体が設けられたグランド面と、線路幅がそれぞれ異なり同一の線路長を有する複数の伝送線路がそれぞれ直列に接続されたスタブと、を備えるアンテナ装置が開示されている。スタブは、アンテナ面と略同一平面上、またはアンテナ面とグランド面との間に位置する。これにより、アンテナ装置自体の全体的な厚みを増大すること無く、共振周波数特性のピークの鋭さを示すQ値を低減し、通信周波数の広帯域化とアンテナとしての利得の向上を図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、アンテナ基板の配置スペースの周囲に存在する金属物の影響によらず、通信周波数帯での所望方向へのアンテナ利得の安定化および向上を図る通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、筐体と、略長方形状に形成され、アンテナ導体が配置されたアンテナ基板と、前記筐体に配置され、かつ前記アンテナ基板と同じ方向の長方形状に形成され、前記アンテナ基板のうち前記アンテナ導体が設けられたアンテナ面を包囲する金属製のアンテナ包囲部と、を備え、前記アンテナ導体は、前記アンテナ基板の長手方向に平行な短辺と、前記長手方向に直交する方向に平行な長辺とを有して略長方形状に形成される、通信端末を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、通信端末において、アンテナ基板の配置スペースの周囲に存在する金属物の影響によらず、通信周波数帯での所望方向へのアンテナ利得の安定化および向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1に係る通信端末に搭載されるパッチアンテナの積層構造を示す断面図
【
図4B】第1のアンテナ基板からの水平偏波の放射特性の一例を示すグラフ
【
図4C】第1のアンテナ基板からの垂直偏波の放射特性の一例を示すグラフ
【
図5A】第1のアンテナ基板が収容された組込み筐体の背面平面図
【
図5B】組込み筐体の配置位置を模式的に示す背面平面図
【
図5C】組込み筐体の配置位置を模式的に示す斜視図
【
図6A】
図5Aに対応する第1のアンテナ基板からの水平偏波の放射特性の一例を示すグラフ
【
図6B】
図5Aに対応する第1のアンテナ基板からの垂直偏波の放射特性の一例を示すグラフ
【
図7A】
図5Aの組込み筐体の背面にねじ止めされたリアカバーの背面平面図
【
図7B】
図7Aに対応する第1のアンテナ基板からの水平偏波の放射特性の一例を示すグラフ
【
図7C】
図7Aに対応する第1のアンテナ基板からの垂直偏波の放射特性の一例を示すグラフ
【
図8B】第2のアンテナ基板からの水平偏波の放射特性の一例を示すグラフ
【
図8C】第2のアンテナ基板からの垂直偏波の放射特性の一例を示すグラフ
【
図9A】第2のアンテナ基板が収容された組込み筐体の背面平面図
【
図9B】
図9Aに対応する第2のアンテナ基板からの水平偏波の放射特性の一例を示すグラフ
【
図9C】
図9Aに対応する第2のアンテナ基板からの垂直偏波の放射特性の一例を示すグラフ
【
図10A】
図5A,
図7A,
図9Aのそれぞれに対応するアンテナ基板からの水平偏波の通信周波数ごとのピーク利得特性の一例を示すグラフ
【
図10B】
図5A,
図7A,
図9Aのそれぞれに対応するアンテナ基板からの垂直偏波の通信周波数ごとのピーク利得特性の一例を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示に至る経緯)
特許文献1に開示されている従来のパッチアンテナは、最終的には無線通信(例えばBluetooth(登録商標)、あるいはWi-Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network))が可能な通信端末の筐体内に収容される。パッチアンテナの配置スペースの周囲には筐体内の金属物が存在すると、パッチアンテナが金属物の影響を受けて利得特性の劣化が生じる。特許文献1では、パッチアンテナが最終的に通信端末内に搭載された後の利得特性が劣化することに鑑みた技術的方策については考慮されていない。また、上述した通信端末は航空機等の閉空間で使用されることがあるが、閉空間内では電波の反射が発生しやすく電波が縦揺れの波になりやすくため、水平偏波の利得特性だけでなく垂直偏波の利得特性が高いことが望ましいと考えられる。特に通信端末の前方にはユーザ(例えば航空機内の乗客)がいることがあるので、通信端末から見たユーザの方向への水平偏波、垂直偏波の利得特性が高く安定化するとユーザビリティの向上にも貢献すると考えられる。
【0009】
そこで、以下の実施の形態では、アンテナ基板の配置スペースの周囲に存在する金属物の影響によらず、通信周波数帯での所望方向へのアンテナ利得の安定化および向上を図る通信端末の例を説明する。
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る通信端末を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明および実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る通信端末として、例えば航空機等の閉空間内に配置される座席の背面側に設けられるシートモニタを挙げ、通信端末に搭載されるアンテナの一例としてパッチアンテナ(言い換えると、マイクロストリップアンテナ(MSA:Microstrip Antenna)を例示して説明する。但し、通信端末は、閉空間内に配置されるものであれば上述したシートモニタに限定されなくてよい。
【0012】
図1は、実施の形態1に係る通信端末1に搭載されるパッチアンテナ5の積層構造を示す断面図である。
図1には、
図2における矢印E-E線方向、ならびに
図3における矢印F-F線方向から見た断面が示される。パッチアンテナ5は、下位層にグランド面10、中間層に給電面20、上位層にアンテナ面40が積層された3層構造の基板8を有する。パッチアンテナ5は、例えばBluetooth(登録商標)に代表される2.4GHz帯の電波(無線信号)を放射(送信)する。なお、パッチアンテナ5は、2.4GHzの帯域に限らず、例えば無線LANに代表される5GHz帯の電波(無線信号)を放射(送信)してもよい。
【0013】
基板8は、PPO(Polyphenyleneoxide)等の比誘電率の高い誘電体で成形された誘電体基板であり、基板8aと基板8bとが積層された多層構造を有する。グランド面10は、基板8aの裏面(背面)に設けられる。アンテナ面40は、基板8bの表面に設けられる。給電面20は、基板8aの表面と基板8bの裏面との間に設けられる。従って、実施の形態1に係るパッチアンテナ5は、アンテナ面40を給電面20からの下面励振によって給電する。基板8全体の厚さは、例えば3mm、基板8aの厚さは2.9mm、基板8bの厚さは0.1mmである。また、基板8の裏側(つまり、グランド面10の裏面側)には、パッチアンテナ5に給電する無線通信回路(図示略)が設けられる。
【0014】
基板8の表面(つまり、アンテナ面40)から裏面(つまり、グランド面10)にかけて貫通する貫通孔86,83には、それぞれビア導体54,56が設けられる。ビア導体54,56は、貫通孔86,83に導電材を充填することで円柱形状に成形される。ビア導体54は、アンテナ面40に形成された接点41(つまり、ビア導体54の上端面)と、給電面20に形成された給電点21(つまり、ビア導体54の中間断面)と、グランド面10に形成された接点11(つまり、ビア導体54の下端面)とを導通させる1本の導体である。ビア導体54は、アンテナ面40をパッチアンテナとして駆動するための給電導体である。接点11は、基板8の裏面側に配置された無線通信回路(図示略)の給電端子(図示略)に接続される。
【0015】
ビア導体56は、アンテナ面40に形成されたパッチ45(アンテナ導体の一例)と、グランド面10に設けられた接地導体15とを導通させる導体であり、複数のビア導体56が一列に並ぶように等間隔に設けられる(
図2参照)。給電面20では、ビア導体56が導通せず、挿通される。給電面20に形成された複数の貫通孔83は、いわゆるスルーホールである。
【0016】
図2は、アンテナ面40を示す斜視図である。アンテナ面40には、例えば2.4GHz帯用のアンテナ導体の一例としてのパッチ45が設けられる。パッチ45は、長方形状の銅箔で形成される。パッチ45の面の1箇所には、開口部44が形成され、その中央に接点41(つまり、ビア導体54の先端面)が露出する。言い換えると、パッチ45と接点41とは非導通であり、ショートしていない。パッチ45は、並列共振回路の特性を有し、スタブ25の給電点21に供給される無線通信回路(図示略)からの励起信号に従って、2.4GHz帯の電波(無線信号)を放射(送信)する。なお、パッチ45と接点41とが導通して(つまり、ショートして)してもよい。
【0017】
パッチ45が長方形状に成形されることで、シートモニタ等の通信端末1に搭載された際にパッチ45の長手方向が通信端末1の長手方向と平行になるようにパッチアンテナ5が配置され(
図5B、
図5C参照)、パッチアンテナ5の長手方向の長さに合わせて通信周波数(言い換えると、波長λ)が設定された場合、水平偏波の電波が垂直偏波の電波に対して相対的に強く放射される(
図4B、
図4C参照)。波長λは、パッチアンテナ5の共振周波数に対応する波長の長さである。
【0018】
図3は、給電面20を示す斜視図である。給電面20には、給電線の一例としてのスタブ25が設けられる。スタブ25は、動作対象とする通信周波数帯に適合したパッチアンテナ5のインピーダンス整合(つまり、インピーダンスマッチング)をとるために、パッチ45と直列に接続される直列共振回路の特性を有する。つまり、スタブ25は、パッチ45と電気的に直列に結合することで、パッチアンテナ5の放射リアクタンス成分をゼロに近づけることが可能である。
【0019】
スタブ25は、給電点21、第1の伝送線路27、第2の伝送線路28、および第3の伝送線路29が直列に接続された形状を有する。第1の伝送線路27、第2の伝送線路28、および第3の伝送線路29の長さは、いずれもλ/4であり、スタブ25の全長は3λ/4である。第1の伝送線路27、第2の伝送線路28、および第3の伝送線路29の長さ(線路長)は、それぞれ必ずしも同一でなくてもよい。
【0020】
第1の伝送線路27は、給電点21を始点として、3箇所の折り返し部27z,27y,27xで略直角もしくは直角に折れ曲がった4つの線路27a,27b,27c,27dを有する。4つの線路27a~27dは、それぞれ線路幅が同一である。
【0021】
第2の伝送線路28は、2箇所の折り返し部28z,28yで略直角もしくは直角に折れ曲がった3つの線路28a,28b,28cを有し、第1の伝送線路27および第3の伝送線路29と比べ、線路幅の大きい直線状の線路28bを含む。2つの線路28a,28cと4つの線路27a~27dとは、それぞれ線路幅が同一である。
【0022】
第3の伝送線路29は、端部を終点とし、1箇所の折り返し部29zで略直角もしくは直角に折れ曲がった2つの線路29a,29bを有する。2つの線路29a,29bは、それぞれ線路幅が同一である。
【0023】
なお、第1の伝送線路27が、4つの線路27a~27dの他に、折り返し部28zを含む線路28aをさらに有してもよい。また同様に、第3の伝送線路29が、2つの線路
29,29bの他に、折り返し部28yを含む線路28cをさらに有してもよい。この場合には、スタブ25は、線路幅がそれぞれ異なり線路長が同一の3つの伝送線路により構成される。線路長は、それぞれ必ずしも同一でなくてもよい。
【0024】
グランド面10には、接地導体15が形成される(
図1参照)。接地導体15は、銅箔の材質で、基板8の裏面ほぼ全体に亘って長方形状に形成される。接地導体15の全周の長さは、パッチ45の全周の長さよりも数波長分、長く設定される。接地導体15の全周が長くなると、パッチ45が共振し易くなり、またパッチ45の全周の長さも接地導体15に合わせて長くできる。
【0025】
次に、実施の形態1に係るパッチアンテナ5のアンテナ特性(性能)を説明する。
【0026】
ここでは、パッチアンテナ5の構成例として、長方形状を有するパッチ45の長手方向が長方形状を有するアンテナ基板(後述参照)の長手方向と平行な第1パターン(
図4A参照)と、パッチ45の長手方向に直交する方向がアンテナ基板(後述参照)の長手方向と平行な第2パターン(
図8A参照)とを例示して説明する。
【0027】
[第1パターンのアンテナ基板]
図4Aは、第1のアンテナ基板5Aの平面図である。
図4Bは、第1のアンテナ基板5Aからの水平偏波の放射特性PYH1の一例を示すグラフである。
図4Cは、第1のアンテナ基板5Aからの垂直偏波の放射特性PYV1の一例を示すグラフである。
図4Aの説明において、
図1~
図3に示す構成と同一の構成については同一の符号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
【0028】
第1のアンテナ基板5Aは、
図1のパッチアンテナ5を実現した一つの具体例である。第1のアンテナ基板5Aには、パッチアンテナ5を構成するアンテナ部AT1の他に、複数のタッチセンサSS1,SS2,SS3,SS4,SS5を有するタッチセンサ部TS1がさらに配置される。なお、タッチセンサの配置数は5つに限定されないことは言うまでもない。これにより、第1のアンテナ基板5Aは、単にアンテナ部AT1だけでなくタッチセンサ部TS1も配置可能なグランド長を確保できるので、パッチ45が共振し易くなり、アンテナ利得の低下を抑制可能となる。
【0029】
第1のアンテナ基板5Aは長方形状に形成され、長手方向の長さは第1のアンテナ基板5Aから放射される電波の波長λ(1波長)と一致する。λは例えば125mmである。一方で、第1のアンテナ基板5Aの幅方向(つまり長手方向に直交する方向)の長さは、λに比べると十分に短い。これにより、後述する組込み筐体BD1内に配置されたとしても、周囲の金属物の影響を受けずに高利得な偏波を放射可能となる。
【0030】
また、第1のアンテナ基板5Aの長手方向と、長方形状を有するパッチ45の長手方向とは同方向(言い換えると、平行)であるため、パッチ45の長手方向(言い換えると、長さ方向)に対応するグランド面10の長手方向と第1のアンテナ基板5Aの長手方向とが同方向となり、アンテナ面40のパッチ45と給電面20のスタブ25とが電磁結合し易くなる。これにより、
図4Bおよび
図4Cに示されるように、第1のアンテナ基板5Aからは、垂直偏波よりも水平偏波が強く放射され易くなる。つまり、第1のアンテナ基板5A単独では、放射される水平偏波は所望方向(後述参照)において高利得に安定して推移していると言える。
【0031】
図4Bおよび
図4Cにおいて、330度から30度までの約60度の方向は、例えば第1のアンテナ基板5Aが搭載される通信端末1の前方にユーザ(例えば航空機の乗客)が存在する方向であり、第1のアンテナ基板5Aが放射される電波として高利得の特性が望まれる所望方向を示す。しかし、
図4Cに示されるように、第1のアンテナ基板5A単独(言い換えると、第1のアンテナ基板5Aが通信端末1に搭載されていない状態)では、垂直偏波の高利得の特性が得られず、所望方向(上述参照)において一様に利得が推移しないため安定しているとは言いづらい。
【0032】
図5Aは、第1のアンテナ基板5Aが収容された組込み筐体BD1の背面平面図である。
図5Bは、組込み筐体BD1の配置位置を模式的に示す背面平面図である。
図5Cは、組込み筐体BD1の配置位置を模式的に示す斜視図である。
図5A~
図5Cの説明において、
図1~
図3あるいは
図4Aに示す構成と同一の構成については同一の符号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
【0033】
組込み筐体BD1は、例えば軽量の金属(例えばアルミニウム)で形成され、第1のアンテナ基板5Aを包囲可能な収容空間を有する。言い換えると、第1のアンテナ基板5Aは、最終的に通信端末1に搭載される際に組込み筐体BD1の収容空間内に配置されるので、通信端末1の使用時には組込み筐体BD1を形成する金属物(例えばアルミニウム)により包囲されることになる。アンテナ包囲部(例えば組込み筐体BD1)は、アンテナ基板(例えば第1のアンテナ基板5A)を包囲するために、アンテナ基板(例えば第1のアンテナ基板5A)に沿って形成されている。また、アンテナ包囲部(例えば組込み筐体BD1)は、アンテナ基板(例えば第1のアンテナ基板5A)と同じ方向の長方形状に形成されている。
図5Aには、組込み筐体BD1の収容空間内に第1のアンテナ基板5Aが
図4Aの向きとは左右反転した状態で配置されている。つまり、
図5Aと
図4Aとでは、アンテナ部AN1とタッチセンサ部TS1とが左右反転して図示されている。
【0034】
組込み筐体BD1は、
図5Bに示されるように、シートモニタ等の通信端末1の金属製の筐体(例えばメイン筐体MBD1)の背面(背面筐体)の一端側(例えば下端側)に組み込んで配置される。なお、組込み筐体BD1の配置位置は、
図5Bに示されるメイン筐体MBD1の背面の下端側に限定されなくてよい。つまり、通信端末1においては、パッチアンテナ5(つまり第1のアンテナ基板5A)の配置スペースは限られている。
図5Cに示されるように、組込み筐体BD1内に配置された第1のアンテナ基板5Aは、通信端末1の表示パネルPNL1が設けられた前面側(言い換えると、ユーザから見た手前側)からユーザのいる方向に向かって水平偏波や垂直偏波を放射する。
【0035】
図6Aは、
図5Aに対応する第1のアンテナ基板5Aからの水平偏波の放射特性PYH2の一例を示すグラフである。
図6Bは、
図5Aに対応する第1のアンテナ基板5Aからの垂直偏波の放射特性PYV2の一例を示すグラフである。
【0036】
図6Aに示されるように、水平偏波に関しては、第1のアンテナ基板5A単独と比べて、第1のアンテナ基板5Aが組込み筐体BD1内に配置されると周囲の金属物の影響を受ける。このため、水平偏波による無線通信に適する程度の一定のアンテナ利得は得られるものの、例えば30度および330度の方向に電界の節が生じる等、所望方向における利得の特性が劣化してしまう。
【0037】
ところが、
図6Bに示されるように、垂直偏波に関しては、第1のアンテナ基板5A単独と比べて、第1のアンテナ基板5Aが組込み筐体BD1内に配置されると所望方向において高利得かつ安定に推移していることが分かる。これは、第1のアンテナ基板5Aが組込み筐体BD1内に配置されて包囲されることで、λの長さを有する第1のアンテナ基板5Aが励振源となって組込み筐体BD1内で縦揺れの二次共振が起きるために、周囲の金属物の影響により特性が劣化するよりも相当の高利得な垂直偏波の特性が得られるからであると考えられる。従って、通信端末1によれば、
図6Aに示す特性の水平偏波も放射可能でありながら、通信端末1から放射される垂直偏波をユーザのいる方向(例えば330度から30度の範囲)に向かって高利得に放射できるので、通信端末1を利用するユーザの利便性(つまりユーザビリティ)が向上可能となる。
【0038】
図7Aは、
図5Aの組込み筐体BD1の背面にねじ止めされたリアカバーINCV1の背面平面図である。
図7Bは、
図7Aに対応する第1のアンテナ基板5Aからの水平偏波の放射特性PYH3の一例を示すグラフである。
図7Cは、
図7Aに対応する第1のアンテナ基板5Aからの垂直偏波の放射特性PYV3の一例を示すグラフである。
図7Aの説明において、
図5Aに示す構成と同一の構成については同一の符号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
【0039】
図7Aに示されるように、通信端末1のメイン筐体MBD1の背面において、組込み筐体BD1のさらに背面側には第1のアンテナ基板5Aを包囲するためにリアカバーINCV1が2箇所のねじNJ1,NJ2により螺合される。これにより、第1のアンテナ基板5Aはほぼ全方位が組込み筐体BD1およびリアカバーINCV1により包囲されて配置可能となる。従って、上述したように、λの長さを有する第1のアンテナ基板5Aが励振源となって組込み筐体BD1およびリアカバーINCV1内で縦揺れの二次共振がより起き易くなることで、より高利得な垂直偏波の特性が得られる(
図7C参照)。水平偏波については、リアカバーINCV1が設けられた場合(
図7A参照)とリアカバーINCV1が設けられていない場合(
図5A参照)とでそれほど大きな特性上の差異は見られない。
【0040】
[第2パターンのアンテナ基板]
図8Aは、第2のアンテナ基板5Bの平面図である。
図8Bは、第2のアンテナ基板5Bからの水平偏波の放射特性PYH4の一例を示すグラフである。
図8Cは、第2のアンテナ基板5Bからの垂直偏波の放射特性PYV4の一例を示すグラフである。
図8Aの説明において、
図1~
図3に示す構成と同一の構成については同一の符号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
【0041】
第2のアンテナ基板5Bは、
図1のパッチアンテナ5を実現した一つの具体例である。第2のアンテナ基板5Bには、パッチアンテナ5を構成するアンテナ部AT2の他に、複数のタッチセンサSS1~SS5を有するタッチセンサ部TS1がさらに配置される。アンテナ部AT2の構成は、平面視においてアンテナ部AT1(
図4A参照)が反時計回りに90度回転された構成となっていること以外は、パッチ45Aが設けられるアンテナ面40、給電面20およびグランド面10からなる断面構造(
図1参照)も含めてアンテナ部AT1の構成と同一であるため、詳細な説明は省略する。例えば、アンテナ部AT2では、複数のビア導体56Aのそれぞれは第2のアンテナ基板5Bの長手方向と同方向に設けられており、接点41Aもビア導体56Aに対向するように配置されている(
図2および
図8A参照)。なお、タッチセンサの配置数は5つに限定されないことは言うまでもない。これにより、第2のアンテナ基板5Bは、単にアンテナ部AT2だけでなくタッチセンサ部TS1も配置可能なグランド長を確保できるので、パッチ45Aが共振し易くなり、アンテナ利得の低下を抑制可能となる。
【0042】
第2のアンテナ基板5Bは長方形状に形成され、長手方向の長さは第2のアンテナ基板5Bから放射される電波の波長λ(1波長)よりも長く、例えば150mmである。一方で、第2のアンテナ基板5Bの幅方向(つまり長手方向に直交する方向)の長さは、λに比べると十分に短い。これにより、後述する組込み筐体BD1内に配置されたとしても、周囲の金属物の影響を受けずに高利得な偏波を放射可能となる。
【0043】
また、第2のアンテナ基板5Bの長手方向と、長方形状を有するパッチ45Aの長手方向に直交する方向とが同方向(言い換えると、平行)であるため、第1のアンテナ基板5A単独に比べて、アンテナ面40のパッチ45Aと給電面20のスタブ25との電磁結合は強くない。このため、
図8Bに示されるように、第2のアンテナ基板5Bからは、第1のアンテナ基板5Aと比べて水平偏波の放射特性は劣化している。しかし、第2のアンテナ基板5Bの長手方向とパッチ45Aの長さ方向とが垂直であるため、
図8Cに示されるように、第2のアンテナ基板5Bからは、第1のアンテナ基板5Aと比べて垂直偏波の放射特性はかなり改善している。
【0044】
図8Bおよび
図8Cにおいて、330度から30度までの約60度の方向は、例えば第2のアンテナ基板5Bが搭載される通信端末1の前方にユーザ(例えば航空機の乗客)が存在する方向であり、第2のアンテナ基板5Bが放射される電波として高利得の特性が望まれる所望方向を示す。しかし、
図8Bや
図8Cに示されるように、第2のアンテナ基板5B単独(言い換えると、第2のアンテナ基板5Bが通信端末1に搭載されていない状態)では、第1のアンテナ基板5A単独に比べると垂直偏波の高利得の特性は得られたものの、所望方向(上述参照)において一様に利得が推移しないため安定しているとは言いづらい。
【0045】
図9Aは、第2のアンテナ基板5Bが収容された組込み筐体BD2の背面平面図である。
図9Bは、
図9Aに対応する第2のアンテナ基板5Bからの水平偏波の放射特性PYH5の一例を示すグラフである。
図9Cは、
図9Aに対応する第2のアンテナ基板5Bからの垂直偏波の放射特性PYV5の一例を示すグラフである。
図9Aの説明において、
図7Aあるいは
図8Aに示す構成と同一の構成については同一の符号を付与して説明を簡略化あるいは省略し、異なる内容について説明する。
【0046】
組込み筐体BD2は、例えば軽量の金属(例えばアルミニウム)で形成され、第2のアンテナ基板5Bを包囲可能な収容空間を有する。言い換えると、第2のアンテナ基板5Bは、最終的に通信端末1に搭載される際に組込み筐体BD2の収容空間内に配置されるので、通信端末1の使用時には組込み筐体BD2を形成する金属物(例えばアルミニウム)により包囲されることになる。
図9Aには、組込み筐体BD2の収容空間内に第2のアンテナ基板5Bが
図8Aの向きとは左右反転した状態で配置されている。つまり、
図9Aと
図8Aとでは、アンテナ部AN2とタッチセンサ部TS1とが左右反転して図示されている。
【0047】
図9Bに示されるように、水平偏波に関しては、第2のアンテナ基板5B単独と比べて、第2のアンテナ基板5Bが組込み筐体BD2内に配置されると周囲の金属物の影響を受ける。このため、水平偏波による無線通信に適する程度の一定のアンテナ利得は得られるものの、例えば30度および330度の方向に電界の節が生じる等、所望方向における利得の特性が劣化してしまう。
【0048】
ところが、
図9Cに示されるように、垂直偏波に関しては、第2のアンテナ基板5B単独と比べて、第2のアンテナ基板5Bが組込み筐体BD2内に配置されると所望方向において高利得かつ安定に推移していることが分かる。これは、第2のアンテナ基板5Bが組込み筐体BD2内に配置されて包囲されることで、第2のアンテナ基板5Bが励振源となって組込み筐体BD2内で縦揺れの二次共振が起きるために、周囲の金属物の影響により特性が劣化するよりも相当の高利得な垂直偏波の特性が得られるからであると考えられる。従って、通信端末1によれば、
図9Bに示す特性の水平偏波も放射可能でありながら、通信端末1から放射される垂直偏波をユーザのいる方向(例えば330度から30度の範囲)に向かって高利得に放射できるので、通信端末1を利用するユーザの利便性(つまりユーザビリティ)が向上可能となる。
【0049】
図10Aは、
図5A,
図7A,
図9Aのそれぞれに対応するアンテナ基板からの水平偏波の通信周波数ごとのピーク利得特性の一例を示すグラフである。
図10Bは、
図5A,
図7A,
図9Aのそれぞれに対応するアンテナ基板からの垂直偏波の通信周波数ごとのピーク利得特性の一例を示すグラフである。
【0050】
図10Aにおいて、特性H1は、組込み筐体BD1およびリアカバーINCV1内に収容された第1のアンテナ基板5Aに対応する水平偏波の通信周波数ごとのピーク利得特性を示す。特性H2は、組込み筐体BD1内に収容された第1のアンテナ基板5Aに対応する水平偏波の通信周波数ごとのピーク利得特性を示す。特性H3は、組込み筐体BD2内に収容された第2のアンテナ基板5Bに対応する水平偏波の通信周波数ごとのピーク利得特性を示す。
【0051】
図10Aによれば、組込み筐体BD1およびリアカバーINCV1の両方により包囲された(つまり、より全方位が包囲された)第1のアンテナ基板5Aが通信周波数帯において最もピーク利得特性が高利得かつ安定化している。これは、波長λの長さを有する第1のアンテナ基板5Aが組込み筐体BD1およびリアカバーINCV1内で二次共振(上述参照)が発生し易い環境が実現されているためである。また、リアカバーINCV1が設けられていなくても組込み筐体BD1内に配置された第1のアンテナ基板5Aからは、高利得かつ安定したピーク利得が得られている。一方、第2のアンテナ基板5Bは組込み筐体BD2内に配置されていても、第1のアンテナ基板5Aほどの高利得な特性が得られていない。これは、第2のアンテナ基板5Bでは、長手方向とパッチ45Aの長さ方向とが平行でなく垂直であるために第1のアンテナ基板5Aに比べて共振の強度が弱いためであると考えられる。
【0052】
図10Bにおいて、特性V1は、組込み筐体BD1およびリアカバーINCV1内に収容された第1のアンテナ基板5Aに対応する垂直偏波の通信周波数ごとのピーク利得特性を示す。特性V2は、組込み筐体BD1内に収容された第1のアンテナ基板5Aに対応する垂直偏波の通信周波数ごとのピーク利得特性を示す。特性V3は、組込み筐体BD2内に収容された第2のアンテナ基板5Bに対応する垂直偏波の通信周波数ごとのピーク利得特性を示す。
【0053】
また、
図10Bによれば、組込み筐体BD1およびリアカバーINCV1の両方により包囲された(つまり、より全方位が包囲された)第1のアンテナ基板5Aが通信周波数帯において最もピーク利得特性が高利得かつ安定化している。これは、水平偏波と同様に、波長λの長さを有する第1のアンテナ基板5Aが組込み筐体BD1およびリアカバーINCV1内で二次共振(上述参照)が発生し易い環境が実現されているためである。また、リアカバーINCV1が設けられていなくても組込み筐体BD1内に配置された第1のアンテナ基板5Aからは、通信周波数帯において高利得なピーク利得が得られている。第2のアンテナ基板5Bは組込み筐体BD2内に配置されているので、第1のアンテナ基板5Aと同様な高利得な特性が得られている。
【0054】
以上により、実施の形態1に係る通信端末1は、メイン筐体MBD1と、略長方形状に形成され、アンテナ導体(例えばパッチ45)が配置されたアンテナ基板(例えば第1のアンテナ基板5A)と、アンテナ基板を包囲する金属製のアンテナ包囲部(例えば組込み筐体BD1)と、を備える。
【0055】
これにより、通信端末1は、アンテナ基板の配置スペースの周囲に存在する金属物の影響によらず、動作対象となる通信周波数帯での所望方向(例えばユーザがいる方向)へのアンテナ利得の安定化および向上を図ることができる。
【0056】
また、アンテナ導体(例えばパッチ45)は、アンテナ基板(例えば第1のアンテナ基板5A)の長手方向に平行な長辺と、長手方向に直交する方向に平行な短辺とを有して略長方形状に形成される(例えば
図4A参照)。これにより、第1のアンテナ基板5Aの長手方向と、長方形状を有するパッチ45の長手方向とは同方向(言い換えると、平行)であるため、パッチ45の長手方向(言い換えると、長さ方向)に対応するグランド面10の長手方向と第1のアンテナ基板5Aの長手方向とが同方向となり、アンテナ面40のパッチ45と給電面20のスタブ25とが電磁結合し易くなる。従って、第1のアンテナ基板5Aからは、水平偏波が強く放射され易くなる。
【0057】
また、アンテナ導体(例えばパッチ45A)は、アンテナ基板(例えば第2のアンテナ基板5B)の長手方向に平行な短辺と、長手方向に直交する方向に平行な長辺とを有して略長方形状に形成される(例えば
図8A参照)。これにより、第2のアンテナ基板5Bの長手方向と、長方形状を有するパッチ45Aの長手方向とは直交するため、第2のアンテナ基板5Bからは、垂直偏波が強く放射され易くなる。
【0058】
また、アンテナ包囲部(例えば組込み筐体BD1)は、アンテナ基板と対向するメイン筐体の背面側に配置されるリアカバーINCV1を介して螺合される。これにより、アンテナ基板はほぼ全方位が組込み筐体BD1およびリアカバーINCV1により包囲されて配置可能となる。従って、波長λの長さを有するアンテナ基板が励振源となって組込み筐体BD1およびリアカバーINCV1内で縦揺れの二次共振がより起き易くなることで、より高利得な垂直偏波の特性が得られる。
【0059】
また、アンテナ基板の長手方向の長さは、アンテナ導体から放射される電波の1波長である。これにより、グランド面を十分に確保可能となるので、アンテナ基板(例えば第1のアンテナ基板5A)に対応するパッチ45とスタブ25とが電磁結合することで、アンテナの広帯域化が図れる。
【0060】
また、アンテナ基板(例えば第1のアンテナ基板5A)は、アンテナ導体が設けられたアンテナ面40と、アンテナ面40に対向し、接地導体15が設けられたグランド面10と、線路幅がそれぞれ異なる複数の伝送線路がそれぞれ直列に接続して構成されたスタブ25を有する給電面20と、を備える。スタブ25は、アンテナ面40とグランド面10との間に位置する。アンテナ導体(例えばパッチ45)は、複数の伝送線路のうち一端側の伝送線路に接続される給電点21を介して、スタブ25と電気的に導通している。これにより、パッチアンテナ5あるいは通信端末1は、パッチアンテナ5自体の全体的な厚みを増大することなく、アンテナ面40とグランド面10との間隔を広げることが可能となる。従って、パッチアンテナ5において、共振周波数特性のピークの鋭さを示すQ値を低減でき、つまり通信周波数のQ値を小さくできる。言い換えると、パッチアンテナ5が動作可能な電波の周波数帯を広帯域化できる。また、広帯域化によって、電波の反射が少なくなり、アンテナとしての利得(つまり通信電力の利得)が向上できる。
【0061】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0062】
例えば、上述した実施の形態1に係るパッチアンテナ5は、電波を送信する送信装置のアンテナに適用されるユースケースを例示して説明したが、電波を受信する受信装置のアンテナに適用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示は、アンテナ基板の配置スペースの周囲に存在する金属物の影響によらず、通信周波数帯での所望方向へのアンテナ利得の安定化および向上を図る通信端末として有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 通信端末
5 パッチアンテナ
5A 第1のアンテナ基板
5B 第2のアンテナ基板
10 グランド面
15 接地導体
20 給電面
21 給電点
25 スタブ
40 アンテナ面
41 接点
42 導電部材
45、45A パッチ
54、56 ビア導体
AT1 アンテナ部
BD1、BD2 組込み筐体
INCV1 リアカバー
SS1、SS2、SS3、SS4、SS5 タッチセンサ
TS1 タッチセンサ部