(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】磁石補助具及び磁石補助具付き裁断機
(51)【国際特許分類】
B26D 7/20 20060101AFI20230421BHJP
B26D 1/14 20060101ALI20230421BHJP
B26D 7/01 20060101ALI20230421BHJP
A47G 29/00 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
B26D7/20
B26D1/14 G
B26D7/01 C
A47G29/00 J
(21)【出願番号】P 2020501099
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2019007248
(87)【国際公開番号】W WO2019164011
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2018032620
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018125604
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104087
【氏名又は名称】カール事務器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112162
【氏名又は名称】朝日 直子
(72)【発明者】
【氏名】大倉 康弘
(72)【発明者】
【氏名】浦辺 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】橘 竜人
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-130168(JP,A)
【文献】実開昭50-133327(JP,U)
【文献】登録実用新案第3161826(JP,U)
【文献】実開昭61-025183(JP,U)
【文献】実開平07-039663(JP,U)
【文献】特開2015-116619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/20
B26D 1/14
B26D 7/01
A47G 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有し裏面に接着層(64)を備えた平面部材(61)に、磁石(5)を収容するための収容部(62)を設けると共に、一側に広幅部(63)を設け他側を幅狭に構成した磁石補助具
であって、前記広幅部(63)は、所定厚みの弾性片の裏面に粘着材を配して構成された弾性シート(66)を複数積層して構成されたことを特徴とする磁石補助具。
【請求項2】
弾性を有し裏面に接着層(64)を備えた平面部材(61)に磁石を収容するための収容部(62)を設けると共に、一側に広幅部(63)を設け他側を幅狭に構成した磁石補助具(60)を、磁石(5)を備えた位置決め部材(50)に取り付け、該位置決め部材(50)において固定される用紙を裁断する加工刃(2)と、該加工刃(2)をスライド自在に取り付けたレール部(20)と、前記位置決め部材(50)を吸着させることで前記用紙を固定する基台(10,110)と、によって裁断機(1,100)を構成し、該基台(10、110)の側縁部から前記加工刃(2)までの長さが、規格サイズの用紙の長辺の1/2の長さになる位置に前記レール部(20)を取り付けると共に、前記磁石(5)に対して前記加工刃(2)とは反対側に前記広幅部(63)が位置するように前記位置決め部材(50、122)を吸着させるための磁性体(15)を前記基台(10、110)に配設したことを特徴とする磁石補助具付き裁断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被吸着物との間の滑りを防止することができ、磁石の吸着性を調節することができる磁石補助具、及び磁石補助具が適用された裁断機に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙を加工するための裁断機においては、位置合わせされた用紙を基台上に固定するための手段として磁石が多用されている。例えば、特開2015-116619号公報に示すように、用紙が載置される基台と、その一側部に設けられた用紙加工具と、を含んで構成された用紙加工機において、載置台の上面を磁石に吸着可能な部材によって構成すると共に、表面部を磁性体で構成した補助台を載置台の回動可能に取り付け、その補助台と載置台との間に、上下面に磁石を配した位置決め部材を介装させることで、不使用時には補助台を回動させて載置台を一体化させ、使用時には用紙を位置合わせされた状態で載置面上に固定させる技術が提案されている。
磁石と被吸着物との間の滑りを防止する手段として、特開2016-36626号公報には、弾性体の押圧面を磁石の吸着面より突出させることで、磁石を吸着させた際に弾性体が被吸着物との間でつぶれるようにする技術が開示されている。弾性体が被吸着物との間でつぶれることで、被吸着物との間の摩擦係数が増大し、滑りが防止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-116619号公報
【文献】特開2016-36626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、磁石の滑りを防止するだけでなく、磁石が吸着し続けることによる被吸着面の傷つきを防止したい場合、磁石を取り外す際の操作性を向上させたい場合など、磁石の吸着性を微妙に調節したい場合がある。特に、正確な位置で用紙を裁断することが求められる磁石補助具付き裁断機にあっては、位置合わせの際の操作性だけでなく、用紙を加工している最中の位置ずれを防止する必要があり、磁石の吸着性を適宜調節することが求められている。
そこで、本発明は、使用場面に応じて磁石の磁力を調節することができ、磁石を用いた位置合わせの操作性を向上させることができる磁石補助具、及び磁石補助具付き裁断機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る磁石補助具は、弾性を有し裏面に接着層を備えた平面部材に、磁石を収容するための収容部を設けると共に、一側に広幅部を設け他側を幅狭に構成した磁石補助具であって、前記広幅部は、所定厚みの弾性片の裏面に粘着材を配して構成された弾性シートを複数積層して構成されたことを特徴とするものである。
【0006】
本発明に係る磁石補助具付き裁断機は、弾性を有し裏面に接着層を備えた平面部材に磁石を収容するための収容部を設けると共に、一側に広幅部を設け他側を幅狭に構成した磁石補助具を、磁石を備えた位置決め部材に取り付け、該位置決め部材において固定される用紙を裁断する加工刃と、該加工刃をスライド自在に取り付けたレール部と、前記位置決め部材を吸着させることで前記用紙を固定する基台と、によって裁断機を構成し、該基台の側縁部から前記加工刃までの長さが、規格サイズの用紙の長辺の1/2の長さになる位置に前記レール部を取り付けると共に、前記磁石に対して前記加工刃とは反対側に前記広幅部が位置するように前記位置決め部材を吸着させるための磁性体を前記基台に配設したことを特徴とするものである。
この場合、弾性を有し裏面に接着層を備えた平面部材の一側に広幅部を設け他側を幅狭に構成した磁石補助具を、磁石に対して前記加工刃とは反対側に前記広幅部が位置するように取り付けて第2の位置決め部材を構成すると共に、該第2の位置決め部材を前記レール部の下端部に取り付けてレール部材を着脱可能に構成し、前記第2の位置決め部材を吸着する第2の磁性体を基台上に配設してレール取付部を構成してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る磁石補助具は、弾性を有し裏面に接着層を備えた平面部材に、磁石を収容するための収容部を設けると共に、一側に広幅部を設け他側を幅狭に構成したので、その収容部に磁石が収容されるように被吸着面との間に介装されることで、磁石を吸着させた際に生じる弾性体との間の摩擦力によって、被吸着物との間の滑りを防止することができる。取り付ける部位に応じて磁石の磁力を調節したり、磁石の取り外しを容易にすることができるので汎用性が高い。特に、平面部材を、所定厚みの弾性片の裏面に粘着材を配して構成された弾性シートを複数積層して構成したので、必要に応じてシート片を剥離することで、被吸着材との間の摩擦力を手軽に調節することができる。
【0008】
請求項2に係る磁石補助具付き裁断機は、弾性を有し裏面に接着層を備えた平面部材に、磁石を収容するための収容部を設けると共に、一側に広幅部を設け他側を幅狭に構成された磁石補助具に磁石を取付けて位置決め部材を構成し、位置決め部材の磁石に対して加工刃とは反対側に弾性部材の広幅部が位置するように位置決め部材を基台上に吸着させたので、規格サイズの用紙を正確な中央位置で加工を施す際、加工刃をスライドさせた際に生ずる用紙への水平方向の応力を、弾性部材の摩擦力によって効果的に吸収することができる。これによって、用紙加工時における位置決め部材のズレが防止され、加工刃を裁断刃とした場合は、規格サイズの用紙を正確な中央位置を裁断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の磁石補助具が適用された磁石補助具付き裁断機の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】上記磁石補助具付き裁断機を示し(a)は平面図、(b)はA-A線矢視断面図である。
【
図3】上記裁断機の基台付属部を回動させて折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図4】上記裁断機の使用状態を示し、(a)は正確な位置合わせを行う際の斜視図であり、(b)は基台を折り畳んだ状態で裁断する際の斜視図である。
【
図5】スライダの断面図であり、(a)は初期状態、(b)はスライダを押し下げて裁断している状態を示す。
【
図6】上記磁石補助具付き裁断機の位置決め部材に磁石補助具が適用された状態を示す拡大断面図である。
【
図7】上記磁石補助具が提供される状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は使用状態を示す正面図である。
【
図8】上記磁石補助具を位置決め部材の底面に取り付ける状態を示す説明図であり、(a)は取り付ける前、(b)は取り付けた状態、(c)は位置決め部材の自重によって平面部材が圧縮される状態を示す。
【
図9】上記磁石補助具を作成するための磁石補助具材を示し、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は作成された磁石補助具を示す。
【
図10】上記磁石補助具付き裁断機の第1変形例を示し、(a)は基台付属部を広げた状態、(b)は折りたたんでコンパクトにした状態を示す。
【
図11】上記変形例を示し、(a)は裁断刃側から見た正面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は平面図である。
【
図12】上記変形例の使用状態を示す平面図であり、(a)は裁断の始端部で位置合わせする状態、(b)は裁断の終端部で位置合わせする状態を示す。
【
図13】上記磁石補助具付き裁断機の第2変形例を示す平面図である。
【
図14】上記変形例の使用状態を示し、(a)は断面図、(b)はフック部材に吊り下げた状態を示す断面図である。
【
図15】上記フック部材を示し、(a)は側面図、(b)は断面図、(c)はフック部材を壁に取り付けた状態を示す断面図である。
【
図16】上記フック部材の裏面を示し、(a)は磁石に磁石補助具を取り付けた状態、(b)は磁石補助具の平面図、(c)は断面図である。
【
図17】上記変形例をボックスに収納する状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は壁に取り付けた状態を示す断面図である。
【
図18】上記磁石補助具の変形例を示す平面図と断面図であり、(a)は磁石に取り付ける前、(b)は磁石に取り付けた状態を示す。
【
図19】本発明の磁石補助具付き裁断機の第2実施形態を示す平面図である。
【
図20】裁断機の基台からレール部材を取り外した状態を示す平面図である。
【
図21】基台の説明図であり、(a)は付属部を本体部側に回動させる状態、(b)は折り畳んで収納する状態を示す。
【
図22】上記裁断機に用紙をセットした状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はA-A矢視断面図、(d)は側面図、(e)はB-B矢視断面図である。
【
図23】上記基台への紙当て部材の取り付け状態を示す断面図であり、(a)紙当て部材を盤面上に突出させた状態、(b)は盤面下に収容した状態を示す。
【
図24】レール部材が基台から取り外される状態を示す説明図である。
【
図25】レール部材の定規部の裏面を示す平面図である。
【
図26】上記裏面に設けられた補助具付き磁石を示す説明図である。
【
図27】大きなサイズの用紙の中央を裁断する状態を示す平面図であり、(a)は裁断開始時、(b)は用紙をずらす状態を示す。
【
図28】基台に取り付けられたレール部材を回動させる状態を示す説明図である。
【
図29】上記裁断開始時における紙当て部材の状態を示し、(a)は正面図であり、(b)はA-A矢視断面図である。
【
図30】レール部材の取付部の変形例を示し、(a)は取り付ける前の状態、(b)は取り付けられた状態を示す。
【
図31】
図30において、レール部材が回動する際に嵌合が維持される状態を示す説明図である。
【
図32】取付部の変形例として、基台とレール部材との間に磁力を作用させた状態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はA-A矢視断面図である。
【
図33】紙当て部材の第1変形例を示す平面図である。
【
図34】紙当て部材の第2変形例及び基台の第1変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【
図35】基台の第2変形例及びレール部材の第1変形例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【
図36】レール部材の第2変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る磁石補助具は、弾性を有し裏面に接着層を備えた平面部材に、磁石を収容するための収容部を設けると共に、一側に広幅部を設け他側を幅狭に構成したことを特徴とするものである。この磁石補助具は、用紙を加工する加工刃と、該加工刃をスライド自在に取り付けたレール部と、前記用紙が載置される基台と、によって構成された磁石補助具付き裁断機に適用される。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の磁石補助具が適用された磁石補助具付き裁断機1の第1実施例を、
図1を参照して説明する。
この裁断機1は、用紙が載置される基台10と、裁断刃2をスライド自在に取り付けたレール部20と、用紙の側縁を当接させて位置合わせを行うための位置決め部材50と、によって構成される。
基台10は、本体部11の一側部に付属部12を取り付けることで矩形状に構成される。即ち、基台付属部12は、取付軸部13を介して本体部11に回動可能に取り付けられており、本体部11の横辺と、それに連続する付属部12の横辺とによって、基台10の横辺が形成される(
図2を参照)。
基台本体部11の前端部(裁断の始端部)と後端部には、レール部20を架設するための取付部14が設けられている。取付部14の内壁面は、用紙3の端縁を当接させて位置合わせを行うための紙当て部(39、39)として機能している。
【0018】
取付部14は、規格サイズの用紙3の中央が裁断されるような位置にレール部20が架設するためのアームであり、基台付属部12の側縁部から裁断刃2までの長さ10aが、規格サイズ(本実施例ではA3判)の用紙3の長辺の1/2の長さとなるような位置に設けられている。即ち、基台付属部12の側縁部から裁断刃2までの長さ10aから基台付属部12の横辺12aを差し引いた長さが、取付軸部13から裁断刃2までの長さ(11a)となるように設計されている。基台本体部11上のこの部位には、裁断刃2を受けるためのカッターマット16が埋設されている。その上方にレール部20が架設されることとなる。
【0019】
基台付属部12の裏面縁部には、本体部11の高さに合わせるための脚部18が設けられている。前記一側縁部には、用紙3の側縁を当接させて位置合わせを行うための紙当て部材30が上方に向けて突設されている。この紙当て部材30の底面側には、基台本体部11に設けられた係止部19に嵌合されて一体化させるための被係止部19aが設けられている。
不使用時には、基台付属部12を本体部11の裏側(底面)に向けて回動させることで、本体部11と一体化される(
図3を参照)。使用時には、本体部11の底面から離反する方向に基台付属部12を回動させてフラットにする。この際、基台付属部12の一側縁部から取付軸部13を介して本体部11上の裁断刃2に至る長さ10aが、規格サイズの用紙の長辺の1/2であるので、基台付属部12の紙当て部材30に用紙3の短辺を当接させるだけで、その用紙の中央を容易に切断することができる。正確な中央位置を切断できるので、1つ小さなサイズ(本実施例ではA4判)の用紙を2枚作成することが可能となる。
【0020】
基台本体部11のカッターマット16の上を裁断刃2が移動するように、取付部14に、一条のレール部20が架設される。
レール部20は、用紙3を固定することができるよう所定の幅を有しており、それを跨ぐようにスライダ40が取り付けられる。
スライダ40は、
図5に示すように、レール部20にスライド可能に取り付けられる基部41と、下端部に裁断刃2を備えた操作部42と、によって構成される。
スライダ操作部42は、バネ43を介し、スライダ基部41に対して上下動可能に取り付けられており、上面を押し下げて裁断刃2を下降させた状態で移動させることで、基台10上の用紙3が裁断されるようになっている。
【0021】
基台10の盤面には、位置決め部材50が着脱可能に取り付けられる。この位置決め部材50は、下面に磁石5を配して構成される。磁石5には、フェライト等の硬質マグネットが使用されており、位置決め部材50の側壁51の下端部に設けられたヨーク部52に固着されている。このヨーク部52の側壁部52aを経て磁石5に至る部位に、本発明に係る磁石補助具60が貼着される(
図6を参照)。ヨーク部52の材料は不純物の少ない純鉄や炭素の低い鋼(低炭素鋼)が使用される。
磁石補助具60は、弾性部材からなる平面部材61に、磁石5を収容するための収容部62を設けると共に、一側に広幅部63を設け、他側を幅狭に構成したものである。平面部材61は、スポンジやゴム材など、押圧することによって弾性変形される摩擦係数の高い部材で構成されている。磁石5の素材に対して0.1~1.0程度の摩擦係数の高い素材が好ましい。裏面は接着剤が塗布された接着層64となっており、その上に剥離シート65が貼付されている。磁石5に対して裁断刃2とは反対側に広幅部63が位置するように取り付けられている(
図2を参照)。
【0022】
本実施例の場合、
図7のように、複数のシート片66が積層させて平面部材61を構成した。各シート片66の裏面は粘着層となっており、必要に応じてシート片を剥離して使用できるようになっている。
平面部材61は、一側部側から他側部側に向けて複数の区画に区分されており、区画毎にシート片66a,66bが積層される。このようにすることで、平面部材61の厚みが広幅部63の側が厚くなるように、広幅部63の側のシート片66aの剥離枚数を少なくすることで、磁石5が基台10に吸着された際の広幅部63の側の摩擦係数を一層高めることができる。このようにすることで、位置決め部材50の自重によって圧縮された際に、吸着面(基台10)との間に所望の摩擦力が作用されるように、剥離するシート片の枚数を適宜調節して使用できる(
図8を参照)。
【0023】
本実施形態に係る位置決め部材50は、このような補助具付きの磁石5を底面に備え、磁石補助具60の広幅部63の側が、裁断刃2とは反対側になるように基台10の上に配置することで、裁断刃2の側の壁面を、用紙を当接させて位置合わせを行うための用紙当接面51としている。逆方向に配置することがないように、用紙当接面51を示すための表示Hが位置決め部材50の上面部に設けられている(
図2を参照)。
基台10には、この位置決め部材50の用紙当接部51から裁断刃2までの長さが、規格サイズ(本実施例ではA3判)の用紙の短辺の1/2の長さになる位置に磁石5を吸着させるための鉄材15が配置されている。本実施形態では異なる規格サイズ(B5判)の長辺の1/2の長さになる位置に吸着させるための他規格用の鉄材17も設けた。
鉄材15、17が配された位置には、そこに位置決め部材50を配置して位置合わせすることで作成できる用紙のサイズと、その側縁部を示すラインが設けられている。そのラインに沿って、位置決め部材50の用紙当接面51を位置させることで、磁石の作用により正確な位置に配置される。位置決め部材50の上面には用紙当接面51の側を示すライン表示Hが設けられており、そのラインの延長上に、基台10上のラインが位置する方向に位置決め部材50を載置することで、本発明の磁石補助具による摩擦力が最適に発揮される位置にて位置決め部材50を固定することができる。
【0024】
この磁石補助具付き裁断機には、
図9に示す磁石補助具材60’が予備品として備え付けられている。この磁石補助具材60’は、帯状の平面部材61’の長手方向に沿って複数の区画に区分に、各区画に帯状のシート片66a’、66b’を積層して構成している。裏面には接着層64’と剥離シート65’が貼付されている。吸着面(基台10)との間に所望の摩擦力が作用されるように、広幅部63の長さを適宜調節してカットして、所望の大きさの磁石補助具60を作成できるようにしている。そして、平面部材61の厚みが広幅部63の側が厚くなるように、広幅部63の側のシート片66aの剥離枚数を少なくして、所望の部位に貼着する。この磁石補助具60’を磁石補助具付き裁断機1とセット販売することで、磁石5の吸着性や滑り性を調節したい場合に対応できるようにしている。
【0025】
上記構成の裁断機1を使用して規格サイズ(本実施例ではA3判)の用紙3を半分に切断する状態を説明する。先ず、
図4(a)に示すように、基台10とレール部20との間に用紙3を挿入し、用紙3の側縁部を基台10の側縁の紙当て部材30に当接させる。
その際、用紙3の前端縁部(裁断の始端部)を紙当て部39に当接させながら、用紙3の側縁部を紙当て部材30に当接させる。この状態で用紙3を固定し、スライダ操作部42を押し下げながら移動させる。
基台10の側縁部からレール部20の裁断刃2までの長さ10aが、A3判の用紙3の長辺の1/2の長さに設計されているので、基台10の側縁部の紙当て部材30に用紙の端部を当接させることで、用紙の中央位置を正確に裁断することができる。これにより、同じ大きさのA4判の用紙を2枚作成することが可能となる。
【0026】
A4判の用紙を半分に切断して、1サイズ小さい用紙(A5判の用紙)を2枚作成する場合は、基台10上のサイズ表示(即ち「A5判」の表示)に従って位置決め部材50を載置する。位置決め部材50の用紙当接部51から加工刃2までの長さが、A3判の用紙の短辺の1/2の長さになるように基台10上に磁性体が配置されているので、位置決め部材50の磁石5が、基台上の鉄材15に及ぼす吸着作用によって、きわめて正確な位置に位置決め部材50が配置される。
この状態で、スライダ40をレール部20に沿って移動させて切断する。この際、切断刃2によって水平方向の応力が用紙3に作用し、この応力が位置決め部材50の用紙当接面51に作用するが、位置決め部材の下面には、磁石5に対し裁断刃2とは反対側に弾性部材61の広幅部63が位置するように磁石補助具60が取り付けられているので、その際に発生するトルクを吸収することができる。これによって、位置決め部材50のずれが防止され、正しい裁断ラインが維持される。
【0027】
次に、異なる規格(B4判)の用紙の中央位置を裁断することで、その1つ下のサイズの用紙(B5判)を2枚作成する方法を説明する。
基台10上のサイズ表示(即ち「B5判」の表示)に従って位置決め部材50を載置する。位置決め部材50の用紙当接部51から加工刃2までの長さが、B4判の用紙の長辺の1/2の長さになるように基台10上に他規格用の磁性体17が配置されているので、位置決め部材50の磁石5が、基台上の他規格用の磁性体17に及ぼす吸着作用によって、きわめて正確な位置に位置決め部材50が配置される。
不使用時には基台10の付属部12を回動させて折り畳むことができる。この際、基台本体部11の係止部19と付属部12の被係止部19aにおいて付属部12が固定される。
【0028】
図4(b)に示すように、付属部を開けることなく裁断することができるので、狭い場所で裁断せざるを得ない場合に便利である。本実施形態に係る裁断機1では、場所や目的に応じた態様での精度の高い位置合わせが可能となる。
なお、本実施形態の磁石補助具付き裁断機において、
図10に示すように、レール部20’を基台10’の始端部側に回動可能に取り付けてもよい。
この裁断機1’は、基台10’の前端部に回動支軸を設け、リング状の取付部14’を介してレール部20’を回動可能に取り付けた(
図11を参照)。レール部20’の終端部側が開放されるようにしたので、用紙を前方にずらしながら裁断することができる(
図12を参照)。これによって、大きなサイズの用紙3’の裁断が可能となる。
【0029】
この裁断機1’では、基台10’から出没可能な紙当て部材30a、30cを、基台付属部12’の縦方向両角部に設けて構成した。使用に際しては、先ずは始端部側の紙当て部材30aを突出さて位置合わせし(この際、終端部側の紙当て部材30cは基台10’の下に収容しておく)、その状態で途中まで裁断したら、レール部20’を基台上10’から離反させて用紙を始端部側にずらし、終端部側の紙当て部材30c’を突出させて位置合わせを行う。このようにすれば、規格サイズ以上の大きさの用紙を裁断することが可能となる。
図13に示す磁石補助具付き裁断機1”のように、基台10”に把手部70を設け、壁に吊り下げて収納できるようにしてもよい(
図14を参照)。スチール製の机などに吊り下げることができるように、磁石付きのフック部材71をセットとして販売するのが好ましい。
【0030】
フック部材71の表面には、
図15に示すように、把手部70のサイズに応じたフック部72が設けられており、裏面には本発明に係る磁石補助具60を取り付けた磁石5が配されている。この磁石補助具60は、
図16に示すように、弾性を有し裏面に接着層64を備えた平面部材61に磁石5を収容するための収容部62を設けると共に、一側に広幅部63を設け他側を幅狭に構成したもので、フック部材71の裏面部に取り付けられた磁石5の下端部に貼り付けられている。この場合、フック部材71の側壁部73から磁石5の周りのヨーク部74にかけての部位を覆うように平面部材61の裏面の接着層64を貼り付ける。磁石補助具60の平面部材61は、磁石5のサイズ(高さ)に応じて設計されるのが好ましく、本実施例では、下に行くほど肉厚となるテーパ状の断面形状とした。広幅部63を下方向に向けて磁石の下端部に取り付けることで、磁石5の下端部の摩擦力が増大し、裁断機1”の荷重による下方向の滑りを効果的に防止できる。
【0031】
或いは、
図17に示すように、基台10”を収容するための収納部81を表面部に備えた有底無蓋のボックス(80)をセット販売してもよい。
ボックス80の裏面部には、本発明に係る磁石補助具60を取り付けた磁石が配されている。広幅部63を下方向に向けて磁石の下端部に取り付けることで、磁石5の下端部の摩擦力が増大し、裁断機1”の荷重によって生ずる下方向の滑りを防止できる。
なお、磁石補助具60は、弾性部材からなる平面部材61に、磁石5を収容するための収容部62を設けると共に、一側に広幅部63を設け他側を幅狭にしたものであれば、他の態様も可能であり、テーパ状の断面としたいことも可能である。
図18に示すように、市販の磁石5に合わせた収容部62を設けてもよい。この場合、平面部材61の裏面に設けられた接着層64の他に、磁石収容部62の底面にも、磁石5の壁面51を接着するための第2の接着層67と剥離シートを設けるのが好ましい。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明の第2実施形態に係る裁断機100について、
図19を参照して説明する。この裁断機100は、用紙が載置される基台110と、裁断刃2をスライド自在に取り付けたレール部材120と、によって構成される。本実施形態の裁断機100は、位置決め部材をレール部20の下端部に取り付けた点、及びレール部材120を基台100に対して着脱可能にした構成した点において第1実施形態に係る裁断機とは相違する(
図20を参照)。以下、第1実施形態と同一構成の部材は同一の符号を付すことで、その説明を省略する。
【0033】
基台110は、本体部111の一側部に付属部112を回動可能に取り付けることで長方形状に構成される(
図21を参照)。
即ち、基台付属部112は、取付軸部113を介して本体部111に回動可能に取り付けられており、本体部111の横辺111aと、それに連続する付属部112の横辺12aとによって、基台110の横辺10aが形成される(
図20を参照)。
基台付属部112は、本体部11に向けて上方に回動し、折り畳んだ際にそれぞれの盤面が密接されるようになっている。使用時には、本体部111の盤面から離反する方向に回動させてフラットにする。
【0034】
フラットにした際の基台10の横辺10aは、規格サイズ(例えばA4判)の用紙3の長辺と同一長さである。即ち、基台本体部111の横辺と、それに連続する付属部112の横辺によって基台110の横辺が形成され、基台付属部112を開けてフラットにした際の基台横辺の長さ10aが、規格サイズ(例えばA4判)の用紙3の長辺と同一になるように設計されている(
図22を参照)。そして、付属部112の紙当て部材30aからの長さ(12a)を、封筒サイズの幅よりもわずかに短い長さとしている(
図20を参照)。
【0035】
基台110のそれぞれの角部には、用紙3の端縁を当接させて位置合わせを行うための紙当て部材30a、30b、30c、30dが設けられる。
紙当て部材30は、
図23に示すように、基台110の角部に設けられた溝部13に係止部31を挿入させた状態で、それぞれ取り付けられている。
即ち、溝部13の上端部と下端部に抜け止め部13a、13bが設けられており、用紙を当接させて位置合わせを行う際には、紙当て部材30を引き上げて上方位置の抜け止め部13aに係止させる。紙当て部材30を盤面下に収容する際には、紙当て部材30を押下げて係止部31を抜け止め部13bに係止させる。これによって、大きなサイズの用紙を載置する場合であっても、用紙3を基台110の上にフラットに載置することが可能となる。
【0036】
基台110の一側部(正面側の横辺)には、レール部材120を取り付けるための取付部114が設けられている。
取付部114は、規格サイズの用紙の中央を裁断することができるような位置にレール部材120を取り付けることができるよう設計されている。
例えば、基台110の横辺をA4サイズの長辺と同一長さとした場合は、その中央が裁断される位置にレール部材120を取り付けるための第1の取付部114aと、A4サイズの短辺に相当する位置を裁断するようにレール部材120を取り付ける第2の取付部114bの2つの取付部を有している。
【0037】
これらの取付部114は、レール部材120を外れないように取り付けるための嵌合部としての機能と、回動可能とするための回動支軸としての機能を合せもつように設計するのが好ましい。
即ち、レール部材120への取付部114を、基台110の始端部側に設け、終端部側に向けて中央位置を維持しつつ裁断刃2が移動するように、例えば、
図24に示すように、ある一定の角度(θ)以上レール部材120を回動させることで初めて、基台側110の取付部114と、レール部材120の嵌合部121との係合が外れるように設計するのが好ましい。
基台110の盤面上には、レール部材120を吸着させるための磁性体117が設けられている。この磁性体117と取付部114とによってレール部材120を、基台110の適正な位置にて固定することができる。
このレール部材120は、裁断刃2をスライド自在に取り付けたレール部20に、位置決め部材としての定規部122を固定したことを特徴とするものである。即ち、レール部材120は、定規部122と、定規部122の一側に設けられた一条のレール部123と、そのレール部123を移動するスライダ40と、によって構成されており、定規部122の裏面には、本発明の磁石補助具60とラバー状の磁石5が取り付けられている(
図25を参照)。
【0038】
定規部122は用紙3を固定するための位置決め部材としての機能と共に、規格サイズ(長3形など)の封筒に適する大きさに折り畳む際の定規としての機能を有するもので、レール部123が設けられていない側の端面に、用紙を折り曲げるための筋付部124を形成している(
図22を参照)。
即ち、レール部123とは反対側の定規部122の端縁は、下面側が接面積の広いテーパ部となっており、下面側の鋭角な角で筋付けできるようになっている。付属部112の横辺の長さを規格の封筒サイズの幅よりもわずかに短くすると共に、本体部111の上面に密接するように付属部112を回動可能に取り付けた。裁断刃2とは反対側の側縁部が、本体部111への取付軸部113に位置するようにレール部材112を設計することで、筋付け定規としての機能をも備えた定規部122とすることができる。
【0039】
レール部材120の底面(裏面)に取り付けられた磁石補助具60は、
図26に示すように、弾性を有し裏面に接着層64を備えた平面部材61に磁石5を収容するための収容部62を設けると共に、一側に広幅部63を設け他側を幅狭に構成したもので、レール部材120の定規部122の裏面に貼り付けられたラバー状の磁石5の厚み(W)よりもわずかに厚く設計されている。
平面部材61の裏面は接着層64となっており、剥離シート磁石補助具65を剥がして定規部122の裏面に貼付する。ラバー磁石5は、裁断刃2が配されている側とは反対側の側縁部に沿って貼付されており、磁石補助具付き裁断機60は、磁石5に対して裁断刃2とは反対側に広幅部63を位置させた状態で貼付される。
【0040】
このラバー磁石5に吸着された際に、基台110の側縁部から裁断刃2までの長さが、規格サイズの用紙の長辺の1/2になるような位置(即ち、第1の取付部114aに対応する位置)に第1の磁性体117a、短辺に相当する位置(第2の取付部114bに対応する位置)に第2の磁性体117bが埋め込まれている。例えば、基台110の横辺をA4サイズの長辺と同一長さとした場合は、その中央が裁断される位置にレール部材120を取り付けるための第1の取付部114aと第1の磁性体117aを設け、A4サイズの短辺に相当する位置を裁断するようにレール部材120を取り付ける第2の取付部114bと第2の磁性体を設ける。
この場合、短辺の1/2になるような位置に新たに磁性体を設けてもよいし、他の規格の用紙(例えばB4判)の長辺の1/2になるような位置に新たに磁性体を設けてもよい。
レール部123にはスライダ40が取り付けられており、そのスライダ40に裁断刃2が上下動可能に取り付けられている。このスライダ40の上面を押下げることで、裁断刃2が下がり、基台110上の用紙3が裁断されるようになっている。
基台110の表面に横方向中央位置(即ち、裁断ライン)が表示されており、そのライン上を裁断刃2が移動するのを確認しながら操作することで、中央位置を確認しながら裁断することが可能となる。
【0041】
上記構成の裁断機100を使用してA4判の用紙3を半分に切断する方法を説明する。
先ず、
図22に示すように、第1の取付部114aにレール部材120を取り付ける。そして、紙当て部材30a、30bを基台110の上方に突出させる。そして、用紙3の角部を紙当て部材30a、30bに当接させながら、基台110とレール部材120との間に載置する。
裁断の始端部において用紙3を位置合わせした状態で、用紙3をレール部材12の定規部122で固定し、スライダ40を押し下げながら移動させて裁断する。レール部材120の裏面に設けられたラバー磁石5が基台上の磁性体117aに吸着された状態となっており、さらにこの磁石5の裁断刃2とは反対側の部位に取り付けられた磁石補助具60によって被吸着面(基台110)との間の摩擦力が高められているので、スライダ40が移動する際の用紙に対する応力が吸収される。これによってレール部材120のズレは生じず、A4判の用紙3の正確な中央位置が裁断される。
【0042】
次に、1サイズ大きな用紙(A3判)を半分に裁断してA4判の用紙を作成する方法を説明する。
この場合、第2の取付部114bにレール部材120を取り付ける。そして、始端部側の一方の角部に設けられた紙当て部材30aを基台110の上方に突出させ、そこに用紙3の角部を当接させて位置合せを行う(
図27(a)を参照)。その状態でレール部材120の定規部122で用紙3を固定し、スライダ40を押し下げながら移動させる。
【0043】
用紙の途中まで裁断した後、基台110からはみ出した部分を裁断するために、先ず、レール部材120を基台110から離反する方向に回動する。そして、
図27(b)のように、用紙を始端部側にずらして未裁断の部位が基台110に配置されるようにし、レール部材120を回動して用紙3を固定する。レール部材120を回動した際に、スライダ40が自重で始端部側に滑り落ちるので(
図28を参照)、終端部に向けてそのままスライダ40を移動することで、連続的な裁断が可能となる。
【0044】
次に、規格サイズ(例えば長形3号)の窓付き封筒に適する位置で用紙を折り畳む方法を説明する。
先ず、折り畳んだ際に内側になる面を上にした状態で、位置合わせ側の端部(封筒の窓から露呈させたい情報が記載されている方の端部)を、付属部112の側紙当て部材130に当接させる(
図20を参照)。そして、本体部111と付属部112を接続部(取付軸部113)に定規部122の筋付部が位置するようにレール部材120を載置し、その状態で、基台付属部112を回動させ、本体部111の上面に接触させる(
図29を参照)。
このようにすれば、定型サイズの封筒に適する位置で用紙を折り曲げることができるので、封筒の窓から宛名が現れる位置で用紙を折り畳むことができる。
【0045】
本実施形態では、基台の横辺を規格サイズの用紙3の長辺と同一長さとし、用紙3の長辺の1/2の位置だけでなく、短辺の位置も裁断されるようにレール部材120を取り付け可能としたので、1サイズ大きな用紙の中央裁断も可能となる。
基台110の縦辺をA4判の短辺と同一長さに設計すれば、縦方向両角部に設けられた紙当て部材130a、130cに当接させ、始端部から終端部に向けて一機に移動させて裁断することもできる。用紙の一側部のみで位置合わせを行う場合は、基台の縦方向両角部のみに紙当て部材30a、30cを設けてもよいし、裁断の始端部のみで位置合わせする場合は、横方向両角部のみに紙当て部材30a、30bを設けてもよい。あるいは紙当て部材を設けなくてもよい。
【0046】
レール部材120の取り付けも如何なる方法でもよく、例えば、
図30に示すように、取付部114の上方からレール部材120を嵌め込んで装着するようにしてもよい。この場合、レール部材120を基台110から離反させても、基台110に対するレール部材120の位置(裁断位置)が維持されるように設計する。例えば、
図31に示すように、基台110の取付部114に嵌めこんだ後、レール部材120を回動させることで双方の取付部114、121において係合される構成とすることができる。このようにすれば、大きなサイズの用紙3をずらしながら裁断する場合でも、中央位置が維持される。
【0047】
レール部材120の取付部を磁性体のみで構成してもよい。例えば、
図32に示すように、基台110’の所定位置に鉄材15を設け、レール部材120’の下面部の磁石5によって、裁断刃2が基台110の横辺の中央位置を移動するようにレール部材120’を取り付ける。
規格サイズの用紙の短辺の1/2に相当する位置を裁断刃2が移動するようにレール部材120’を取り付けるための磁性体(鉄材15c)、長辺の1/4に相当する位置を裁断刃2が移動するように取り付けるための磁性体(鉄材15d)などを設けてもよい。
【0048】
紙当て部材は、基台110の一方の縦方向両角部のみに設けられていてもよいし、
図33の紙当て部材32のように、角部を避けて辺部に設けても良い。
図34に示す紙当て部材33のように、基台110の盤面から出没しない構成としてもよいし、一切設けなくても良い。
基台110は、単一部材で構成してもよいし、他の規格サイズ(例えばB4判)用の基台110’とセット販売してもよい。基台110へのレール部材120の取り付けも、着脱可能な構造であればよく、例えば、基台110の所定位置に溝状の取付部16を設け、レール部材120に設けられたヘアピン状の取付部121”を差し込んでもよい。
【0049】
図35に示す基台110”のように、一方の辺(図中縦方向の辺)を第1の規格サイズ(A4判)の長辺と同一の長さとし、それに隣接する辺(図中横方向の辺)を第2の規格サイズ(B4判)の長辺と同一長さとすることで、1つの基台110”で複数の規格サイズの用紙の中央裁断ができるようにしてもよい。基台110”の横辺には第1のサイズ(A判)用の取付部114a、114b、114cを設け、縦辺には第2のサイズ(B判)用の取付部115a、115b、115cを設けることとて、あらゆるサイズの用紙に対応させることができる。
レール部材120’は複数のスライダ40、40’を有するものであってもよい。この場合、第2のスライダ40’用のレール部123’を設け、その始端部の側にレール部材120’を基台110’に取り付けるための取付部121’を設ける構成が採用できる。
【0050】
或いは、異なる加工刃(ミシン目刃、筋付け刃など)を有するレール部材をセット販売することもできる。
加工刃を用紙3に折り目をつけるための筋付け刃とし、基台一側部(紙当て部材30a)からの長さが規格の封筒サイズの幅よりもわずかに短い位置を、筋付け刃4が移動するようにレール部材120”を取り付けるように第4の取付部114dを設けることで、規格サイズの封筒に適した位置で用紙を折り畳むことができる。
本実施形態では、基台付属部112の横辺の長さを規格の封筒サイズの幅よりもわずかに短くすると共に、本体部111の上面に密接するように付属部112を回動可能に取り付けた。そして、レール部材120の裁断刃2とは反対側の側縁部を、基台付属部122の取付軸部113に位置させて、用紙と共に基台付属部112を折り畳む際の筋付け部とすることで、用紙3の横方向中央部を切断するための第1の取付部を、筋付定規(122)を取り付けるための取付部としての機能をも持たせたが、筋付け定規のみを取り付けるための第5の取付部を別途設けてもよい。
【0051】
加工刃の異なるスライダ40を各種設け、それをレール部123に付け替えて使用することもできる。
スライダ40が移動するレール部123も各種態様が採用可能であり、設けられる位置もレール部材120の一側部に限られるものではない。例えば、
図36に示すレール部材120”のように、中央に溝部123”を設け、それをレールとしてスライダ40”が移動するようにしてもよい。
何れの場合においても、本発明の磁石補助具は、弾性を有し裏面に接着層64を備えた平面部材61に磁石5を収容するための収容部62を設けると共に、一側に広幅部63を設け他側を幅狭に構成した磁石補助具60を、磁石5を備えた位置決め部材(即ち、レール部材120の定規部122)に取り付け、その定規部122において固定される用紙を裁断する裁断刃2や筋付刃4などの加工刃と、該加工刃をスライド自在に取り付けたレール部(レール部材120のレール部)と、レール部材120の定規部122を吸着させることで用紙を固定する基台110と、によって構成し、基台100の側縁部から加工刃(2、4)までの長さが、規格サイズの用紙の長辺の1/2の長さになる位置にレール部材120を取り付けると共に、磁石5に対して加工刃(2,4)とは反対側に広幅部63が位置するように吸着させるための磁性体15を基台に配設したので、レール部材120が裁断の際の応力によって位置ずれするのが防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係る磁石補助具はあらゆる産業分野で使用される磁石に適用可能である。本発明に係る磁石補助具付き裁断機は、シート状の用紙に加工を施す際に使用されるあらゆる器具に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1、100…裁断機(磁石補助具付き裁断機)
2…裁断刃(加工刃)、4…筋付け刃(加工刃)、5…磁石
10、110…基台
11、111…本体部
12、112…付属部
14、114…取付部
15…鉄材(磁性体)、17…磁性体
20…レール部、120…レール部材、123…レール部
30…紙当て部材
40…スライダ
50…位置決め部材、122…定規部(第2の位置決め部材)
60…磁石補助具、61…平面部材、62…収容部62…広幅部、64…接着層、66…シート片
70…把手部、71…フック部材
80…ボックス、81…収納部