(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】中継器および火災警報システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20230421BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20230421BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
G08B25/00 520C
G08B17/00 C
G08B17/00 G
G08B25/10 A
(21)【出願番号】P 2018102079
(22)【出願日】2018-05-29
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】川野 泰幸
(72)【発明者】
【氏名】吉鶴 智博
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-264410(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193050(JP,U)
【文献】特開2009-032149(JP,A)
【文献】特開平11-272966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0104781(US,A1)
【文献】特開2011-215733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-17/12
G08B 19/00-31/00
H01Q 1/12- 1/26
H04B 7/14- 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸に設けられる中継器であって、
前記住戸内に設けられ、前記住戸内を伝搬する電波を取り扱う住戸内用アンテナと、
前記住戸外に設けられ、前記住戸外を伝搬する電波を取り扱う住戸外用アンテナと、
住戸外向け報知部と、を備え、
前記住戸内用アンテナおよび前記住戸外用アンテナは、前記住戸内および前記住戸外間の電波中継を行い、
前記住戸内用アンテナが受信する信号および前記住戸外用アンテナが受信する信号を処理する処理回路と、前記住戸内用アンテナおよび前記住戸外用アンテナの一方とは、前記中継器の筐体の内部に設けられ、
前記住戸外向け報知部は、前記住戸内用アンテナが前記住戸内の異常を示す信号を前記住戸内に設置された火災警報器から受信した場合に、前記住戸外へ前記住戸内の異常を報知することを特徴とする、
中継器。
【請求項2】
前記住戸内用アンテナおよび前記住戸外用アンテナは、前記住戸内と前記住戸外との間に設けられた扉の住戸内側および住戸外側にそれぞれ設けられることを特徴とする、
請求項1記載の中継器。
【請求項3】
前記中継器は、
さらに、前記住戸内用アンテナおよび前記住戸外用アンテナに接続され、前記扉に対して前記中継器を引っかけるための引っかけ部を備え、
前記住戸内用アンテナおよび前記住戸外用アンテナは、前記引っかけ部を介して前記電波中継を行うことを特徴とする、
請求項2記載の中継器。
【請求項4】
前記引っかけ部は、U字形状を有し、
前記U字形状における互いに対向する面の一方に前記住戸内用アンテナが接続され、他方に前記住戸外用アンテナが接続されることを特徴とする、
請求項3記載の中継器。
【請求項5】
前記住戸内用アンテナおよび前記住戸外用アンテナは、前記住戸内から前記住戸外への
電波中継および前記住戸外から前記住戸内への電波中継を行うことを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の中継器。
【請求項6】
前記中継器は、さらに、前記住戸内へ前記中継器の異常を報知する住戸内向け報知部を備えることを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の中継器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の中継器と、
前記住戸内の異常を検知する検知部と、前記検知部が検知した異常を示す情報を無線で送信する無線部と、を有する前記火災警報器と、を備え、
前記住戸内用アンテナは、前記無線部から前記異常を示す情報を受信し、
前記住戸外用アンテナは、前記住戸内用アンテナが受信した前記異常を示す情報を前記住戸外に送信することを特徴とする、
火災警報システム。
【請求項8】
前記火災警報器は、さらに、前記検知部が検知した異常を報知する報知部を有し、
前記無線部は、前記住戸外用アンテナが受信した前記住戸とは異なる他の住戸の異常を示す信号を、前記住戸内用アンテナから受信し、
前記報知部は、さらに、前記無線部が前記他の住戸の異常を示す信号を受信した場合に、当該異常を報知することを特徴とする、
請求項7記載の火災警報システム。
【請求項9】
前記火災警報システムは、さらに、前記住戸外において、少なくとも1つの報知機を備え、
前記少なくとも1つの報知機は、前記住戸外用アンテナから無線で送信された前記異常を示す情報に基づいて、音および表示のうち少なくとも一方で前記異常を報知することを特徴とする、
請求項7または8記載の火災警報システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの報知機は、複数の報知機であり、
前記火災警報システムは、さらに、前記住戸外において、前記複数の報知機と信号の送受信を行う受信機を備え、
前記受信機は、前記住戸外用アンテナから無線で送信された前記異常を示す信号を受信した場合、前記複数の報知機のうちの特定の報知機を報知させることを特徴とする、
請求項9記載の火災警報システム。
【請求項11】
前記住戸外用アンテナと前記少なくとも1つの報知機は、無線で接続されており、
前記少なくとも1つの報知機と前記受信機とは有線で接続されており、
前記受信機は、前記住戸外用アンテナから無線で送信された前記異常を示す信号を前記少なくとも1つの報知機を介して受信することを特徴とする、
請求項10記載の火災警報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災警報の連動に用いられる中継器および火災警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の火災警報器からなり、複数の火災警報器が無線通信を行う火災警報システムがある。複数の火災警報器は、それぞれ火災を検知するセンサを備える。部屋ごとに設置された複数の火災警報器間でセンサの検知結果についての無線通信が行われることで、複数の火災警報器が連動して火災警報を行うシステムが開示されている(例えば、特許文献1)。これにより、火災が発生した部屋とは別の部屋に存在する人にも火災の発生を知らせることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
集合住宅等において、1つの住戸内の部屋間での火災警報の連動だけでなく、住戸間での火災警報の連動も要望されている。しかし、住戸間には鉄筋コンクリートまたは金属の玄関扉が存在し、これらの電波遮蔽物によって電波が遮蔽されてしまう。このため、ある住戸における火災警報器が検知した異常を示す情報を他の住戸における火災警報器へ無線で送信できない場合があり、住戸内外の異常を示す情報を共有することが難しくなっている。また、住戸間での火災警報の連動を有線により行うことも考えられるが、その場合、既存の集合住宅等については各住戸間を有線で接続するための大掛かりな配線工事等をする必要があり、手間およびコストがかかってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、住戸内外の異常を示す情報を容易に共有できる中継器等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る中継器は、住戸に設けられる中継器であって、前記住戸内に設けられ、前記住戸内を伝搬する電波を取り扱う住戸内用アンテナと、前記住戸外に設けられ、前記住戸外を伝搬する電波を取り扱う住戸外用アンテナと、を備え、前記住戸内用アンテナおよび前記住戸外用アンテナは、前記住戸内および前記住戸外間の電波中継を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様に係る火災警報システムは、上記の中継器と、前記住戸内に設けられる火災警報器であって、前記住戸内の異常を検知する検知部と、前記検知部が検知した異常を示す情報を無線で送信する無線部と、を有する火災警報器と、を備え、前記住戸内用アンテナは、前記無線部から前記異常を示す情報を受信し、前記住戸外用アンテナは、前記住戸内用アンテナが受信した前記異常を示す情報を前記住戸外に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る中継器等によれば、住戸内外の異常を示す情報を容易に共有できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る火災警報システムの一例を示す構成図である。
【
図2A】
図2Aは、実施の形態1に係る中継器を示す側面透視図である。
【
図2B】
図2Bは、実施の形態1に係る中継器を住戸内側から見た平面図である。
【
図2C】
図2Cは、実施の形態1に係る中継器を住戸外側から見た平面透視図である。
【
図3】
図3は、従来の火災警報システムの問題を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る火災警報システムにより奏される効果を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る火災警報システムの適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0012】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1について、
図1から
図4を用いて説明する。
【0013】
図1は、実施の形態1に係る火災警報システム1の一例を示す構成図である。
【0014】
火災警報システム1は、1つの建物に複数の世帯が入居する集合住宅等の施設に適用され、火災を検知し火災が発生したことを報知するシステムである。なお、集合住宅において複数の世帯のそれぞれが住む1戸1戸を住戸と呼ぶ。なお、火災警報システム1は、1世帯が住む1つの戸建て等の施設に適用されてもよく、その場合の1つの施設も住戸と呼ぶ。火災警報システム1は、中継器10および火災警報器100からなる。
【0015】
火災警報器100は、住戸内に設けられる。例えば、火災警報器100は各住戸の天井等に設置される。なお、火災警報器100は各住戸の壁等に設置されてもよい。
【0016】
火災警報器100は、検知部110、無線部120および報知部130を備える。
【0017】
検知部110は、住戸内の異常を検知するセンサである。具体的には、検知部110は、住戸内での火災の発生を検知するセンサである。検知部110が異常(火災の発生)を検知する方法は特に限定されない。例えば、検知部110は、光学式の煙検知センサであってもよく、光の乱反射を利用して火災の際の煙を検知することで火災を検知してもよい。また、例えば、検知部110は、熱検知センサであってもよく、火災の際の熱を検知することで火災を検知してもよい。また、例えば、検知部110は、一酸化炭素検知センサであってもよく、火災の際の燃焼によって発生する一酸化炭素の濃度を検知することで火災を検知してもよい。また、例えば、検知部110は、赤外線検知センサであってもよく、火災の際の燃焼によって放射される赤外線を検知することで火災を検知してもよい。
【0018】
無線部120は、検知部110が検知した異常を示す情報を無線で送信する通信インタフェースであり、アンテナおよび無線信号の送受信回路等を含む。無線部120による異常を示す情報の送信先については、後述する。また、無線部120は、情報を受信する機能も有する。
【0019】
報知部130は、検知部110が検知した異常(火災の発生)を報知する。報知部130が異常を報知する方法は特に限定されない。例えば、報知部130は、スピーカまたはブザーであってもよく、異常を音声またはブザー音により報知してもよい。また、例えば、報知部130は、発光装置であってもよく、異常を点滅光等により報知してもよい。また、報知部130は、さらに、無線部120が他の住戸の異常を示す信号を受信した場合に、当該異常を報知する。これについては後述する。
【0020】
また、図示していないが、火災警報器100は、検知部110、無線部120および報知部130を制御する制御部を備える。制御部は、例えば、マイコン(マイクロコンピュータ)により実現される。制御部は、例えば、プログラムを保持するROM、一時的な記憶領域としてのRAM、プログラムを実行するプロセッサ、A/Dコンバータ及びD/Aコンバータ等の入出力回路、カウンタ・タイマ等で構成されるLSIである。
【0021】
なお、火災警報器100は、住戸における各部屋それぞれに設置され、各火災警報器100同士が無線通信を行ってもよい。例えば、後述する
図4では、複数(ここでは3台)の火災警報器100が住戸200a、200bに設置されていることが示されている。なお、
図4では、住戸内における部屋間の壁、仕切り等の図示を省略している。これにより、ある住戸において、複数の火災警報器100のいずれかが火災の発生を検知した場合、火災の発生を示す検知情報が無線部120から他の火災警報器100へ送信される。このため、火災の発生を示す検知情報が住戸200aにおける複数の火災警報器100で共有されて、当該複数の火災警報器100は連動して火災警報を行うことができる。具体的には、
図4において、住戸200aにおける3台の火災警報器100のうち真ん中に示された火災警報器100が火災の発生を検知した場合、火災の発生を示す検知情報がこの3台の火災警報器100で共有されて、3台の火災警報器100は連動して火災警報を行う。したがって、住戸200aにおいて、火災が発生した部屋とは別の部屋に存在する住戸200aの住人にも火災の発生を知らせることが可能となる。
【0022】
さらに、火災警報システム1は、住戸に設けられ、住戸間での火災警報の連動に用いられる中継器10を備える。つまり、火災警報システム1では、中継器10によって、上記住戸内の部屋間での火災警報の連動だけでなく、住戸間での火災警報の連動も可能となっている。以下、中継器10について詳細に説明する。
【0023】
中継器10は、住戸内用アンテナ20、住戸外用アンテナ30、引っかけ部40、住戸外向け報知部50および住戸内向け報知部60を備え、例えば、住戸内と住戸外との間に設けられた扉に設置される。ここでは、当該扉は、玄関扉であるが、住戸内と住戸外との間に設けられていれば玄関扉に限らず、勝手口等であってもよい。
【0024】
住戸内用アンテナ20は、住戸(自住戸とも呼ぶ)内に設けられ、自住戸内を伝搬する電波を取り扱うアンテナである。具体的には、住戸内用アンテナ20は、中継器10が設けられた自住戸内における火災警報器100が備える無線部120から異常を示す情報を受信する。つまり、火災警報器100が異常を検知した場合、火災警報器100は、自住戸内の他の火災警報器100だけでなく、自住戸に設けられた中継器10(住戸内用アンテナ20)へも異常を示す情報を送信する。なお、火災警報器100は、自住戸における他の火災警報器100および中継器10に対して異常を示す情報を、ブロードキャストにより送信してもよいし、ユニキャストにより送信してもよい。
【0025】
住戸外用アンテナ30は、自住戸外(自住戸の表面:例えば玄関扉の住戸外側の面)に設けられ、自住戸外を伝搬する電波を取り扱うアンテナである。具体的には、住戸外用アンテナ30は、住戸内用アンテナ20が受信した異常を示す情報を自住戸外に送信する。
【0026】
また、住戸外用アンテナ30は、自住戸とは異なる他の住戸(他住戸とも呼ぶ)の異常を示す信号を受信する。そして、住戸内用アンテナ20は、住戸外用アンテナ30が受信した他住戸の異常を示す情報を自住戸内に送信する。自住戸内における火災警報器100が備える無線部120は、住戸外用アンテナ30が受信した他住戸の異常を示す信号を、住戸内用アンテナ20から受信する。報知部130は、無線部120が他住戸の異常を示す信号を受信した場合に、当該他住戸の異常を報知する。
【0027】
このように、自住戸において異常が発生した場合、当該異常を示す信号が、火災警報器100から中継器10を介して住戸外(例えば他住戸)へ送信される。また、他住戸において異常が発生した場合、他住戸の異常を示す信号が住戸外(例えば他住戸)から中継器10を介して自住戸内の火災警報器100へ送信され、自住戸内で他住戸の異常が報知される。すなわち、住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30は、住戸内および住戸外間の電波中継を行う。
【0028】
これにより、住戸内と住戸外との間に電波を遮蔽する鉄筋コンクリートまたは金属の玄関扉等があっても、住戸内用アンテナ20が住戸内を伝搬する電波を取り扱い、住戸外用アンテナ30が住戸外を伝搬する電波を取り扱うため、住戸内外の異常を示す情報を共有できる。また、無線を用いているため、住戸間の大掛かりな配線工事等が不要であり住戸内外の異常を示す情報を容易に共有できる。
【0029】
また、住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30は、住戸内と住戸外との間に設けられた扉の住戸内側および住戸外側にそれぞれ設けられる。これにより、電波を遮蔽する扉を無視して住戸内および住戸外間の電波中継を行うことができる。
【0030】
また、住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30は、住戸内から住戸外への電波中継および住戸外から住戸内への電波中継を行う。これにより、住戸内用アンテナ20は、住戸内側において伝搬する電波をいったん受信し、住戸外側に設けられた住戸外用アンテナ30は、住戸内用アンテナ20が受信した電波を住戸外側へ送信できる。または、住戸外用アンテナ30は、住戸外側において伝搬する電波をいったん受信し、住戸内側に設けられた住戸内用アンテナ20は、住戸外用アンテナ30が受信した電波を住戸内側へ送信できる。
【0031】
火災警報システム1における無線通信には、妨害波が少なく、信頼性の高い通信が可能なセキュリティ用途の帯域が用いられる必要がある。例えば、日本国内では火災警報用途の無線通信には、小電力セキュリティシステムの無線局に使用される426.25MHz以上426.8375MHz以下の周波数帯が用いられる。
【0032】
なお、図示していないが、中継器10は、住戸内用アンテナ20または住戸外用アンテナ30が受信する高周波受信信号を信号処理し、また、当該信号処理された信号を住戸内用アンテナ20または住戸外用アンテナ30から送信させる信号処理回路を備える。当該信号処理回路は、例えば、RFIC(Radio Frequency Intergrated Circuit)である。
【0033】
引っかけ部40は、住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30に接続され、住戸に設けられた玄関扉に対して中継器10を引っかけるための部品である。引っかけ部40は、具体的には、住戸内用アンテナ20と住戸外用アンテナ30との間に接続される。例えば、引っかけ部40は、住戸内用アンテナ20と住戸外用アンテナ30とを結ぶ配線(例えば電線)を有し、住戸内用アンテナ20が受信した信号を住戸外用アンテナ30へ伝達し、また、住戸外用アンテナ30が受信した信号を住戸内用アンテナ20へ伝達する。したがって、住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30は、引っかけ部40を介して電波中継を行うことになる。引っかけ部40は、玄関扉に対して中継器10を引っかけるための構造物であり、かつ、配線によって電波の電気的な中継を行う機能も有する。
【0034】
このように、引っかけ部40が、住戸内用アンテナ20と住戸外用アンテナ30との間の信号の受け渡しをするため、電波を遮蔽する玄関扉を無視できる。
【0035】
住戸外向け報知部50は、住戸内用アンテナ20が住戸内の異常を示す信号を受信した場合に、住戸外へ住戸内の異常を報知する。中継器10は、無線によって住戸内の異常を住戸外へ送信する。このとき、自住戸および他住戸ともに住人が留守にしている場合、自住戸の異常に気付くことができないことがある。そこで、住戸外向け報知部50は、住戸外への報知、例えば音声または光等の出力により、住戸外の共有スペースにいる人または通行人等に直接的に住戸内の異常を知らせることができる。住戸外向け報知部50は、例えば、スピーカ、ブザーまたは発光装置を含み、異常を報知する方法は、報知部130と同様に特に限定されない。
【0036】
住戸内向け報知部60は、住戸内へ中継器10の異常を報知する。例えば、中継器10は、上記信号処理回路を含む住戸内用アンテナ20と住戸外用アンテナ30との間の通信に異常(故障)があるかを検知する異常検知部(例えば、当該異常を検知するセンサおよびマイコン等の制御部により実現される)を備え、住戸内向け報知部60は、異常検知部が異常を検知した場合に、住戸内へ中継器10の異常を報知する。これにより、住戸内の住人は、中継器10自体の異常(故障)に気づくことができる。住戸内向け報知部60は、例えば、スピーカ、ブザーまたは発光装置を含み、異常を報知する方法は、報知部130と同様に特に限定されない。
【0037】
次に、中継器10の外観およびその構成要素の配置の一例について、
図2Aから
図2Cを用いて説明する。
【0038】
図2Aは、実施の形態1に係る中継器10を示す側面透視図である。
図2Aには、中継器10の他に、中継器10が設けられる玄関扉および扉枠が示されている。例えば、玄関扉は鉄等の金属であり、電波を遮蔽する材料によって構成されている。また、扉枠は、火災警報システム1が適用された施設を構成する例えば鉄筋コンクリートの一部であり、電波を遮蔽する材料によって構成されている。
図2Aには、後述する筺体11内に設けられ、通常は筺体11に隠れて視認できない住戸内用アンテナ20および基板21も示している。
図2Bは、実施の形態1に係る中継器10を住戸内側から見た平面図である。
図2Cは、実施の形態1に係る中継器10を住戸外側から見た平面透視図である。
図2Bおよび
図2Cでは、玄関扉および扉枠を図示していない。
図2Cには、住戸外側からでは玄関扉によって視認できない筺体11を図示している。
【0039】
中継器10は、玄関扉の住戸内側に配置される例えば樹脂等の筺体11および上記信号処理回路(RFIC)等が実装される基板21を備える。筺体11は箱形状を有しており、基板21は、筺体11内に設けられる。
【0040】
住戸内用アンテナ20は、例えば、基板21上に形成されたパターンアンテナである。中継器10には、上記信号処理回路等が実装される基板21が必要であり、基板21上にパターンアンテナとして住戸内用アンテナ20を一体に形成することで、中継器10の小型化、低コスト化が可能となる。なお、住戸内用アンテナ20は、パターンアンテナに限らず、住戸内に設けられた火災警報器100と無線通信可能なアンテナであれば特に限定されない。
【0041】
住戸外用アンテナ30は、例えば、モノポールアンテナである。なお、住戸外用アンテナ30は、モノポールアンテナに限らず、住戸外の他の住戸外用アンテナ30等と無線通信可能なアンテナであれば特に限定されない。
【0042】
また、筺体11(つまり、基板21)が住戸外側に配置されてもよい。この場合、基板21上に住戸外用アンテナ30がパターンアンテナとして形成されてもよい。また、住戸内用アンテナ20がモノポールアンテナであってもよい。
【0043】
引っかけ部40は、U字形状(コの字形状)を有する。具体的には、引っかけ部40は、玄関扉における上側(天井側)端部の形状に対応した形状を有し、
図2Aに示されるように、当該端部を挟みこむように取り付けられる。これにより、中継器10を玄関扉に対して引っかけることができる。なお、引っかけ部40は、玄関扉を挟みこんだ状態で使用されるため、ある程度の強度が必要となる。つまり、引っかけ部40には、人の出入りの際に開閉される玄関扉の開閉時に発生する衝撃が伝わるため、当該衝撃に耐えられる強度が必要となる。そのため、引っかけ部40本体の部材は、金属であることが好ましい。なお、引っかけ部40本体の部材は、樹脂であってもよい。
【0044】
また、引っかけ部40は、U字形状における互いに対向する面の一方に住戸内用アンテナ20が接続され、他方に住戸外用アンテナ30が接続される。一方とは、住戸内側であり、他方とは住戸外側のことである。具体的には、引っかけ部40は、上記一方に、基板21(信号処理回路等)を介して住戸内用アンテナ20が接続され、上記他方に直接住戸外用アンテナ30が接続される。住戸内用アンテナ20と住戸外用アンテナ30とを結ぶ配線は、例えば、引っかけ部40本体と玄関扉との間に這うようにして設けられる。
【0045】
このように、引っかけ部40のU字形状によって、住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30を玄関扉の住戸内側および住戸外側にそれぞれ設けることができる。また、引っかけ部40のU字形状によって、中継器10を玄関扉の住戸内側の面から住戸外側の面にわたって配置することができるため、電波を遮蔽する玄関扉を無視して住戸内用アンテナ20と住戸外用アンテナ30との間の信号の受け渡しをすることを実現できる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態に係る中継器10は、住戸に設けられ、住戸間での火災警報の連動に用いられる中継器である。中継器10は、住戸内に設けられ、住戸内を伝搬する電波を取り扱う住戸内用アンテナ20と、住戸外に設けられ、住戸外を伝搬する電波を取り扱う住戸外用アンテナ30と、を備える。住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30は、住戸内および住戸外間の電波中継を行うことを特徴とする。
【0047】
これによれば、住戸内と住戸外との間に電波を遮蔽する鉄筋コンクリートまたは金属の扉等があっても、住戸内用アンテナ20が住戸内を伝搬する電波を取り扱い、住戸外用アンテナ30が住戸外を伝搬する電波を取り扱うため、住戸内外の異常を示す情報を共有できる。また、無線を用いているため、住戸間の配線工事等が不要であり住戸内外の異常を示す情報を容易に共有できる。
【0048】
また、住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30は、住戸内と住戸外との間に設けられた扉の住戸内側および住戸外側にそれぞれ設けられてもよい。
【0049】
これによれば、電波を遮蔽する扉を無視して住戸内および住戸外間の電波中継を行うことができる。
【0050】
また、中継器10は、さらに、住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30に接続され、扉に対して中継器10を引っかけるための引っかけ部40を備えていてもよい。住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30は、引っかけ部40を介して電波中継を行ってもよい。
【0051】
これによれば、引っかけ部40が住戸内用アンテナ20と住戸外用アンテナ30との間の信号の受け渡しをするため、電波中継の際に電波を遮蔽する扉を無視できる。
【0052】
また、引っかけ部40は、U字形状を有し、U字形状における互いに対向する面の一方に住戸内用アンテナ20が接続され、他方に住戸外用アンテナ30が接続されてもよい。
【0053】
これによれば、引っかけ部40のU字形状によって、住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30を扉の住戸内側および住戸外側にそれぞれ設けることができる。また、引っかけ部40のU字形状によって、中継器10を扉の住戸内側の面から住戸外側の面にわたって配置することができるため、電波を遮蔽する扉を無視して住戸内用アンテナ20と住戸外用アンテナ30との間の信号の受け渡しをすることを実現できる。
【0054】
また、住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30は、住戸内から住戸外への電波中継および住戸外から住戸内への電波中継を行ってもよい。
【0055】
これによれば、住戸内用アンテナ20は、住戸内側において伝搬する電波をいったん受信し、住戸外側に設けられた住戸外用アンテナ30は、住戸内用アンテナ20が受信した電波を住戸外側へ送信できる。または、住戸外用アンテナ30は、住戸外側において伝搬する電波をいったん受信し、住戸内側に設けられた住戸内用アンテナ20は、住戸外用アンテナ30が受信した電波を住戸内側へ送信できる。
【0056】
また、中継器10は、さらに、住戸内用アンテナ20が住戸内の異常を示す信号を受信した場合に、住戸外へ住戸内の異常を報知する住戸外向け報知部50を備えていてもよい。
【0057】
これによれば、住戸外の共有スペースにいる人または通行人等に直接的に住戸内の異常を知らせることができる。
【0058】
また、中継器10は、さらに、住戸内へ中継器10の異常を報知する住戸内向け報知部60を備えていてもよい。
【0059】
これによれば、住戸内の住人は、中継器10自体の異常(故障)に気づくことができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る火災警報システム1は、中継器10と、住戸内に設けられる火災警報器100であって、住戸内の異常を検知する検知部110と、検知部110が検知した異常を示す情報を無線で送信する無線部120と、を有する火災警報器100と、を備える。住戸内用アンテナ20は、無線部120から異常を示す情報を受信し、住戸外用アンテナ30は、住戸内用アンテナ20が受信した異常を示す情報を住戸外に送信することを特徴とする。また、火災警報器100は、さらに、検知部110が検知した異常を報知する報知部130を有し、無線部120は、住戸外用アンテナ30が受信した上記住戸とは異なる他の住戸の異常を示す信号を、住戸内用アンテナ20から受信し、報知部130は、さらに、無線部120が他の住戸の異常を示す信号を受信した場合に、当該異常を報知してもよい。
【0061】
ここで、従来の火災警報システムの問題点と、火災警報システムにより奏される効果について、
図3および
図4を用いて説明する。
【0062】
図3は、従来の火災警報システムの問題を説明するための図である。
【0063】
図3では、施設(例えば集合住宅)における住戸200aおよび200bならびに共有スペース200cを示しており、住戸200aにおいて火災が発生していることを示している。
【0064】
住戸200aおよび200b間には鉄筋コンクリートまたは金属の玄関扉が存在し、これらの電波遮蔽物によって電波が遮蔽されてしまう。このため、住戸200aにおける火災警報器100aが検知した異常を示す情報は、
図3に示されるように、電波遮蔽物によって遮蔽され、他の住戸200bにおける火災警報器100aへ当該異常を示す情報を無線で送信することが難しくなっている。
【0065】
図4は、実施の形態1に係る火災警報システム1により奏される効果を説明するための図である。
図4についても
図3と同じように、施設における住戸200aおよび200bならびに共有スペース200cを示しており、住戸200aにおいて火災が発生していることを示している。
【0066】
住戸200aにおいて異常が発生した場合、住戸200aに設けられた火災警報器100は、住戸200aにおいて異常の発生を報知する。また、当該火災警報器100は、異常の発生の報知と共に、住戸200aの異常を示す信号を住戸200aに設けられた中継器10へ送信する。当該中継器10は、住戸200aの異常を示す信号を住戸内用アンテナ20によって受信し、住戸外用アンテナ30から住戸200a外へ送信する。住戸200aの異常を示す信号を含む電波は共有スペース200cを伝搬し、住戸200bに設けられた中継器10へ送信される。当該中継器10は、住戸200aの異常を示す信号を住戸外用アンテナ30によって受信し、住戸内用アンテナ20から住戸200b内へ送信する。住戸200bに設けられた火災警報器100は、住戸200aの異常を示す信号を受信し、住戸200aの異常を住戸200bにおいて報知する。
【0067】
このように、火災が発生した住戸200aとは別の住戸200bに存在する住人にも異常の発生を知らせることが可能となる。ある1つの住戸(自住戸)に着目すると、自住戸で異常が発生した場合には、自住戸において異常を報知しつつ自住戸の異常を他住戸へ知らせることができ、また、他住戸で異常が発生した場合には、他住戸の異常を知ることができる。すなわち、住戸内の部屋間での火災警報の連動だけでなく、住戸間での火災警報の連動も可能となる。
【0068】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について、
図5を用いて説明する。
【0069】
図5は、実施の形態2に係る火災警報システム2の適用例を示す図である。火災警報システム2は、例えば集合住宅等の施設に適用される。ここでは、火災警報システム2は、3階建ての施設であって各階に3つの住戸が存在する施設に適用される。例えば、中継器10は、施設における全ての住戸に設置される必要はなく、例えば、法律上設置することが義務付けられている住戸、または、火災等の異常が発生する可能性が高い住戸(飲食店を兼用している住居等)にのみ設置されてもよい。ここでは、施設は、住戸201~209からなり、住戸201~203に中継器10が設置されている。例えば、住戸202で火災が発生しているとする。
【0070】
火災警報システム2は、実施の形態1に係る火災警報システム1に加え、さらに、住戸外において、少なくとも1つの報知機を備える。実施の形態2では、少なくとも1つの報知機は、複数(3つ)の報知機300a~300cである。報知機300a~300cのそれぞれを報知機300とも呼ぶ。報知機300aは3階に設置され、報知機300bは2階に設置され、報知機300cは1階に設置されている。また、火災警報システム2は、さらに、住戸外において、複数の報知機300a~300cと信号の送受信を行う受信機400を備える。
【0071】
火災が発生している住戸202に設けられた中継器10が備える住戸外用アンテナ30は、住戸202に設けられた火災警報器100から住戸202の異常を示す信号を住戸202外へ送信する。住戸201および203は、中継器10が設けられているため、当該異常を報知することができる。一方で、住戸204~209は、中継器10が設けられていないため、当該異常を報知することができない。もしくは、住戸204~209に中継器10が設けられていたとしても、住戸202と異なるフロアであるため、異常を示す信号を含む電波が届かず、当該異常を報知することができない場合がある。
【0072】
そこで、少なくとも1つの報知機300は、住戸外用アンテナ30から無線で送信された異常を示す情報に基づいて、音および表示のうち少なくとも一方で異常を報知する。報知機300は、例えば、スピーカ、ブザーまたは発光装置を含み、異常を報知する方法は、報知部130と同様に特に限定されない。例えば、ここでは、報知機300は、スピーカを含み、ブザー音等により異常を報知する。これにより、中継器10が設けられていない住戸または施設外へ異常を報知することができる。
【0073】
例えば、住戸外用アンテナ30から無線で送信された異常を示す情報はいったん受信機400が受信する。そして、受信機400は、住戸外用アンテナ30から無線で送信された異常を示す信号を受信した場合、複数の報知機300a~300cのうちの特定の報知機を報知させてもよい。例えば、火災が発生した3階における住戸201~203には、中継器10が設けられており、中継器10を介して異常の報知ができるため、報知機300aから異常を報知しなくてもよい場合がある。このため、受信機400は、例えば、複数の報知機300a~300cのうちの特定の報知機として、報知機300bおよび300cを報知させる。もしくは、施設が3階と2階との間で十分な耐火構造を有しており、1階および2階には、異常の報知が不要な場合に、受信機400は、例えば、複数の報知機300a~300cのうちの特定の報知機として、火災が発生したフロアに設置された報知機300aを報知させてもよい。これにより、異常の報知が必要な特定の場所(フロア等)に向けて異常を報知することができる。なお、受信機400は、住戸外用アンテナ30から無線で送信された異常を示す信号を受信した場合、複数の報知機300a~300cの全てを報知させてもよい。
【0074】
また、住戸外用アンテナ30と少なくとも1つの報知機300は、無線で接続されており、少なくとも1つの報知機300と受信機400とは有線で接続されていてもよい。そして、受信機400は、住戸外用アンテナ30から無線で送信された異常を示す信号を少なくとも1つの報知機300を介して受信してもよい。例えば、住戸外用アンテナ30と受信機400との間には、鉄筋コンクリート等の電波遮蔽物があり、直接無線通信ができない場合がある。そこで、報知機300が中継器10との無線通信機能(アンテナおよび送受信回路等)を有し、無線で受信した中継器10からの信号を有線で受信機400に送信する。これにより、受信機400は、住戸外用アンテナ30との間に電波遮蔽物があっても、住戸外用アンテナ30から無線で送信された異常を示す信号を受信できる。
【0075】
以上説明したように、火災警報システム2は、さらに、住戸外において、少なくとも1つの報知機300を備え、少なくとも1つの報知機300は、住戸外用アンテナ30から無線で送信された異常を示す情報に基づいて、音および表示のうち少なくとも一方で異常を報知してもよい。
【0076】
これによれば、中継器10が設けられていない住戸または施設外へ異常を報知することができる。
【0077】
また、少なくとも1つの報知機300は、複数の報知機300であり、火災警報システム2は、さらに、住戸外において、複数の報知機300と信号の送受信を行う受信機400を備えてもよい。受信機400は、住戸外用アンテナ30から無線で送信された異常を示す信号を受信した場合、複数の報知機300のうちの特定の報知機300を報知させてもよい。
【0078】
これによれば、異常の報知が必要な特定の場所(フロア等)に向けて異常を報知することができる。
【0079】
また、住戸外用アンテナ30と少なくとも1つの報知機300は、無線で接続されており、少なくとも1つの報知機300と受信機400とは有線で接続されており、受信機400は、住戸外用アンテナ30から無線で送信された異常を示す信号を少なくとも1つの報知機300を介して受信してもよい。
【0080】
これによれば、受信機400は、住戸外用アンテナ30との間に電波遮蔽物があっても、住戸外用アンテナ30から無線で送信された異常を示す信号を受信できる。
【0081】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る中継器10および火災警報システムについて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0082】
例えば、上記実施の形態では、引っかけ部40は、U字形状を有していたが、中継器10を扉に引っかけられる形状であれば、U字形状を有していなくてもよい。
【0083】
また、例えば、上記実施の形態では、中継器10は、引っかけ部40を備えたが、備えていなくてもよい。具体的には、中継器10は、扉に埋め込まれるようにして、住戸に設けられてもよい。これにより、中継器10が引っかけ部40を備えていなくても、中継器10を住戸に設けることができる。
【0084】
また、例えば、上記実施の形態では、中継器10は、住戸外向け報知部50を備えたが、備えていなくてもよい。
【0085】
また、例えば、上記実施の形態では、中継器10は、住戸内向け報知部60を備えたが、備えていなくてもよい。
【0086】
また、例えば、上記実施の形態では、住戸内用アンテナ20および住戸外用アンテナ30は、住戸内から住戸外への電波中継および住戸外から住戸内への電波中継を行ったが、いずれか一方のみの電波中継を行ってもよい。
【0087】
また、例えば、上記実施の形態では、火災警報器100は、報知部130を有したが、有していなくてもよい。また、無線部120は、住戸外用アンテナ30が受信した他の住戸の異常を示す信号を、住戸内用アンテナ20から受信したが、受信しなくてもよい。
【0088】
また、例えば、上記実施の形態では、少なくとも1つの報知機300は、複数の報知機300であったが、1つの報知機であってもよい。
【0089】
また、例えば、上記実施の形態では、少なくとも1つの報知機300と受信機400とは有線で接続されていたが、無線で接続されていてもよい。
【0090】
また、例えば、上記実施の形態では、火災警報システム2は、受信機400を備えたが、備えていなくてもよい。この場合、少なくとも1つの報知機300は、住戸外用アンテナ30から無線で送信された異常を示す情報を直接受信してもよい。
【0091】
また、1つの住戸における少なくとも1つの火災警報器100および中継器10により構成されるシステムを火災警報システムとしてもよいし、複数の住戸のそれぞれにおける少なくとも1つの火災警報器100および中継器10により構成されるシステム(つまり住戸ごとの少なくとも1つの火災警報器100および中継器10の組を複数備えるシステム)を火災警報システムとしてもよい。
【0092】
また、例えば、上記実施の形態では、1つの施設(集合住宅等)に火災警報システムが適用されたが、複数の施設にわたって火災警報システムが適用されてもよい。つまり、例えば、複数の戸建て等の施設間で火災警報の連動が行われてもよい。
【0093】
また、本発明は、中継器10および火災警報システムとして実現できるだけでなく、中継器10および火災警報システムを構成する各構成要素が行うステップ(処理)を含む異常判断方法として実現できる。
【0094】
例えば、それらのステップは、コンピュータ(コンピュータシステム)によって実行されてもよい。そして、本発明は、それらの方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるためのプログラムとして実現できる。さらに、本発明は、そのプログラムを記録したCD-ROM等である非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現できる。
【0095】
例えば、本発明が、プログラム(ソフトウェア)で実現される場合には、コンピュータのCPU、メモリおよび入出力回路等のハードウェア資源を利用してプログラムが実行されることによって、各ステップが実行される。つまり、CPUがデータをメモリまたは入出力回路等から取得して演算したり、演算結果をメモリまたは入出力回路等に出力したりすることによって、各ステップが実行される。
【0096】
また、上記実施の形態の中継器10および火災警報システムに含まれる各構成要素は、専用または汎用の回路として実現されてもよい。
【0097】
また、上記実施の形態の中継器10および火災警報システムに含まれる各構成要素は、集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。
【0098】
また、集積回路はLSIに限られず、専用回路または汎用プロセッサで実現されてもよい。プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部の回路セルの接続および設定が再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサが、利用されてもよい。
【0099】
さらに、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて、中継器10および火災警報システムに含まれる各構成要素の集積回路化が行われてもよい。
【0100】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1、2 火災警報システム
10 中継器
20 住戸内用アンテナ
30 住戸外用アンテナ
40 引っかけ部
50 住戸外向け報知部
60 住戸内向け報知部
100、100a 火災警報器
110 検知部
120 無線部
130 報知部
300、300a~300c 報知機
400 受信機