(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】推定識別装置および推定識別システム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20230421BHJP
G01S 13/66 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G01S13/66
(21)【出願番号】P 2018227966
(22)【出願日】2018-12-05
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森下 陽平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 潤二
(72)【発明者】
【氏名】白方 亨宗
(72)【発明者】
【氏名】四方 英邦
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 健太
(72)【発明者】
【氏名】西保 和磨
(72)【発明者】
【氏名】岡本 芽生
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/128852(WO,A1)
【文献】特開2012-190249(JP,A)
【文献】特開2011-216016(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0046131(KR,A)
【文献】特開平08-146130(JP,A)
【文献】特開2018-023049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0246200(US,A1)
【文献】米国特許第04144534(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14,
G01S 7/00- 7/42,
G01S 13/00-13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波または音波を発射し、無線通信端末を保持する識別対象による前記電磁波または音波の反射波に基づいて前記識別対象の位置を検知する複数の追跡装置と、
通信可能範囲がより広い第1のモードと、通信可能範囲がより狭い第2のモードを用いて、前記無線通信端末と無線通信し、前記無線通信端末から前記無線通信端末の識別情報を受信する複数の無線通信装置と、
前記第2のモードを用いた前記無線通信の結果と前記識別対象の検知された位置と前記識別情報とに基づいて、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行う解析回路と、
を備え
、
前記解析回路は、前記複数の無線通信装置の各無線通信装置について、前記各無線通信装置の通信可能範囲にある前記無線通信端末を、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に紐付けることにより、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行い、
前記通信可能範囲は、可変である、
推定識別装置。
【請求項2】
前記解析回路は、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記無線通信端末と、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれない前記識別対象の位置との紐付けを解除する、
請求項
1に記載の推定識別装置。
【請求項3】
電磁波または音波を発射し、無線通信端末を保持する識別対象による前記電磁波または音波の反射波に基づいて前記識別対象の位置を検知する複数の追跡装置と、
前記無線通信端末と無線通信し、前記無線通信端末から前記無線通信端末の識別情報を受信する複数の無線通信装置と、
前記無線通信の結果と前記識別対象の検知された位置と前記識別情報とに基づいて、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行う解析回路と、
を備え、
前記解析回路は、前記複数の無線通信装置の各無線通信装置について、前記各無線通信装置の通信可能範囲にある前記無線通信端末を、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に紐付けることにより、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行い、
前記解析回路は、
前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれ、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に1対1に紐付けされていない前記無線通信端末を抽出し、
前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれ、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記無線通信端末に紐付けされていない前記識別対象の位置を抽出し、
抽出された前記無線通信端末のうち、いずれの前記識別対象の位置にも紐付けされていない前記無線通信端末の数と抽出された前記識別対象の位置の数とがともに1に等しい場合、抽出された前記無線通信端末を抽出された前記識別対象の位置に1対1で紐付ける、
推定識別装置。
【請求項4】
前記解析回路は、抽出された前記無線通信端末のうち、いずれの前記識別対象の位置にも紐付けされていない前記無線通信端末の数と抽出された前記識別対象の位置の数のいずれかが1と異なる場合、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれ、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に1対1で紐付けされていない全ての前記無線通信端末を、前記識別対象の位置に紐付ける、
請求項
3に記載の推定識別装置。
【請求項5】
前記解析回路は、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれ、前記識別対象の位置に1対1で紐付けされた前記無線通信端末以外の前記無線通信端末について、前記識別対象の位置との前記紐付けを解除する、
請求項
3または4に記載の推定識別装置。
【請求項6】
電磁波または音波を発射し、無線通信端末を保持する識別対象による前記電磁波または音波の反射波に基づいて前記識別対象の位置を検知する複数の追跡装置と、
前記無線通信端末と無線通信し、前記無線通信端末から前記無線通信端末の識別情報を受信する複数の無線通信装置と、
前記無線通信の結果と前記識別対象の検知された位置と前記識別情報とに基づいて、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行う解析回路と、
を備え、
前記解析回路は、前記複数の無線通信装置の各無線通信装置について、前記各無線通信装置の通信可能範囲にある前記無線通信端末を、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に紐付けることにより、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行い、
前記解析回路は、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に1対多で紐付けされた無線通信端末について、前記紐付けの可能性をランク付け
し、
前記通信可能範囲は、可変である、
推定識別装置。
【請求項7】
前記解析回路は、前記紐付けがされた時刻、前記紐付けがされた前記識別対象の位置、および前記紐付けの頻度の少なくとも1つに基づいて、前記紐付けの可能性をランク付けする、
請求項
6に記載の推定識別装置。
【請求項8】
前記紐付けおよび前記ランク付けの少なくとも1つを記憶する記憶素子を備え、
前記解析回路は、前記記憶素子から読み出した前記紐付けおよび前記ランク付けに基づいて、前記識別対象の行動の特徴を抽出する、
請求項
6または7に記載の推定識別装置。
【請求項9】
前記通信可能範囲は、可変である、
請求項
3から5のいずれか一項に記載の推定識別装置。
【請求項10】
電磁波または音波を発射し、無線通信端末を保持する識別対象による前記電磁波または音波の反射波に基づいて前記識別対象の位置を検知する複数の追跡装置と、
前記無線通信端末と無線通信し、前記無線通信端末から前記無線通信端末の識別情報を受信する複数の無線通信装置と、
前記無線通信の結果と前記識別対象の検知された位置と前記識別情報とに基づいて、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行う解析回路と、
を備え、
前記解析回路は、前記複数の無線通信装置の各無線通信装置について、前記各無線通信装置の通信可能範囲にある前記無線通信端末を、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に紐付けることにより、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行い、
前記複数の追跡装置は、前記識別対象の速度を検知し、
前記複数の無線通信装置は、無線通信の受信信号強度に基づいて、前記無線通信端末の速度を推定し、
前記解析回路は、前記無線通信の結果と前記識別対象の検知された位置および速度と推定された前記無線通信端末の推定された速度と前記識別情報とに基づいて、前記識別対象の識別と前記識別対象の位置および速度の推定とを行う、
推定識別装置。
【請求項11】
電磁波または音波を発射し、無線通信端末を保持する識別対象による前記電磁波または音波の反射波に基づいて前記識別対象の位置を検知する複数の追跡装置と、
前記無線通信端末と無線通信し、前記無線通信端末から前記無線通信端末の識別情報を受信する複数の無線通信装置と、
前記無線通信の結果と前記識別対象の検知された位置と前記識別情報とに基づいて、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行う解析回路と、
を備え、
前記解析回路は、前記複数の無線通信装置の各無線通信装置について、前記各無線通信装置の通信可能範囲にある前記無線通信端末を、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に紐付けることにより、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行い、
前記複数の追跡装置は、前記識別対象の速度を検知し、
前記複数の無線通信装置は、前記無線通信端末の位置および速度の少なくとも1つから前記無線通信装置の受信信号強度へのマッピングを保持し、無線通信の受信信号強度および前記マッピングに基づいて、前記無線通信端末の位置および速度を推定し、
前記解析回路は、前記無線通信の結果と前記識別対象の検知された位置および速度と推定された前記無線通信端末の位置および速度と前記識別情報とに基づいて、前記識別対象の識別と前記識別対象の位置および速度の推定とを行う、
推定識別装置。
【請求項12】
請求項1から
11のいずれか一項に記載の推定識別装置と、
前記推定識別装置が備える1または複数の無線通信装置と無線通信可能であり、固有の識別情報を前記無線通信装置に送信する、1または複数の無線通信端末と、
を備える推定識別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、推定識別装置および推定識別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信端末の位置を推定する技術として、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)のフィンガプリントを用いる手法が知られている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、位置推定を行う無線通信端末の周辺にあるアクセスポイントから事前に収集されデータベースに登録された、RSSIのフィンガプリントを利用した技術が開示されている。無線通信端末の位置推定時に収集されたRSSIのフィンガプリントとデータベースに登録されたRSSIのフィンガプリントとのパターンマッチングを行うことにより、無線通信端末の位置が推定される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Helena Leppakoski, Sija Tikkinen and Jarmo Takala,「Optimizing Radio Map for WLAN Fingerprinting」, International Conference on Ubiquitous Positioning Indoor Navigation and Location Based Service, pp. 1-8(online), DOI:10.1109/UPINLBS.2010.5654332(2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一態様は、複数の識別対象の位置の推定および複数の識別対象の識別をする、改善された推定識別装置の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る推定識別装置は、電磁波または音波を発射し、無線通信端末を保持する識別対象による前記電磁波または音波の反射波に基づいて前記識別対象の位置を検知する複数の追跡装置と、前記無線通信端末と無線通信し、前記無線通信端末から前記無線通信端末の識別情報を受信する複数の無線通信装置と、前記無線通信の結果と前記識別対象の検知された位置と前記識別情報とに基づいて、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行う解析回路と、を備える構成を採る。
【0007】
本開示の一態様に係る推定識別システムは、本開示に係る推定識別装置と、前記推定識別装置が備える1または複数の無線通信装置と無線通信可能であり、固有の識別情報を前記無線通信装置に送信する、1または複数の無線通信端末と、を備える構成を採る。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、複数の識別対象の位置の推定および複数の識別対象の識別をする、改善された推定識別装置を提供できる。
【0010】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】実施の形態1に係る推定識別装置の動作の一例を示すフローチャート
【
図4A】実施の形態1に係る追跡装置の検知動作を説明する図
【
図4B】実施の形態1に係る無線通信装置の推定動作を説明する図
【
図4C】実施の形態1に係る解析部の解析動作を説明する図
【
図5】
図3のステップS150の動作の一例を示すフローチャート
【
図6】
図5のステップS210の動作の一例を示すフローチャート
【
図7A】
図6のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の一例を説明する図
【
図7B】
図6のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図8】
図5のステップS210の動作の他の一例を示すフローチャート
【
図9A】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の一例を説明する図
【
図9B】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図9C】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図10A】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図10B】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図10C】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図11A】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図11B】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図11C】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図11D】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図11E】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図11F】
図8のフローチャートにおける、ターゲットと無線通信端末との紐付け動作の他の一例を説明する図
【
図12】実施の形態2に係る推定識別装置の動作の一例を示すフローチャート
【
図13A】実施の形態2に係る追跡装置の検知動作を説明する図
【
図13B】実施の形態2に係る無線通信装置の推定動作を説明する図
【
図13C】実施の形態2に係る検知結果と推定結果の組み合わせを説明する図
【
図13D】実施の形態2に係る無線通信装置の推定動作を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
近年、幼稚園や保育園において、個々の園児の活動履歴を観測し、例えば、強い興味を示した事象を把握することで、より健全な発育を支えることに寄与できるのではないかといった期待が高まっている。しかしながら、人や機械が体格や服装が似た複数の園児を見分け、活動を追いかけ続けることは容易でない。
【0013】
非特許文献1に開示の技術を用いることで、観測対象となる個々の園児に無線通信端末を身に着けさせることによって、無線通信端末の位置を推定し、無線通信端末を識別し、どこに誰がいるかを推定および識別することはできる。しかしながら、非特許文献1に開示の技術を用いても、「活動履歴」の観測に求められる精度で無線通信端末の位置を推定するのは困難である。また、非特許文献1に開示の技術によって推定される無線通信端末の位置は、RSSIのフィンガプリントがデータベースに登録された位置に限定される。したがって、位置の推定精度を向上するために、多くの場所でRSSIのフィンガプリントをデータベースに登録することが求められる。さらに、室内環境が変化した際に参照データベースを更新することによるコストの増加、少数のアクセスポイントによって高い精度で位置を推定することが困難であることも検討されている。
【0014】
(実施の形態1)
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[推定識別システムの構成]
図1は、推定識別システム1の一例を示す。推定識別システム1は、推定識別装置2と、1または複数の無線通信端末121と、を備える。
【0016】
推定識別装置2は、無線通信端末121を身につけている(保持する)識別対象を識別し、識別対象の位置を推定する。ここで、識別対象(ターゲットT)は、電磁波または音波を反射する任意の反射体であり、例えば、人である。推定識別装置2は、制御部(制御回路)10と、追跡部(追跡装置群)11と、無線通信部(無線通信装置群)12と、記憶部(記憶素子)13と、解析部(解析回路)14と、を備える。
【0017】
制御部10は、追跡部11と無線通信部12と記憶部13と解析部14との動作を制御し、推定識別装置2の機能を実現する。制御部10は、例えば、記憶部13からプログラムを読み出して実行するプロセッサである。
【0018】
追跡部11は、電磁波または音波を発射し、反射体による電磁波または音波の反射波を測定し、複数の反射体の位置(検知位置)を検知する。追跡部11は、1つ以上の追跡装置110を備える。1つ以上の追跡装置110は、それぞれが、1つ以上のターゲットTの方向を検知する。1つの追跡装置110で1つ以上のターゲットTの方向を検知してもよいし、複数の追跡装置110による方向の検知結果を組み合わせることにより、例えば、三角測量の原理を用いて、ターゲットTの位置を検知してもよい。追跡装置110は、例えば、レーダ、TOF(Time Of Flight)センサー、またはソナーを備える。レーダは、例えば、数cm程度の分解能を有するミリ波レーダである。
【0019】
無線通信部12は、1つ以上の無線通信端末121の存在範囲(推定存在範囲)を推定する。無線通信部12は、複数の無線通信装置(アクセスポイント、AP)120を備える。さらに、無線通信部12は、無線通信を介して無線通信端末121の識別情報を取得する。無線通信装置120は、例えば、920MHz帯を用いる小電力通信、IEEE802.15.4、2.4GHz帯を用いるZigbee、Bluetooth(登録商標)、近接特化型のBLE(Bluetooth Low Energy)、無線LAN(IEEE802.11b/g/n)、5GHz帯を用いる無線LAN(IEEE802.11a/ac)またはDSRC、60GHz帯を用いる無線LAN(IEEE802.11ad)、構内PHS、LTE、あるいは、ミリ波無線通信を用いた無線通信機である。
【0020】
一例において、無線通信部12および無線通信端末121は、通信可能範囲がより広い第1のモード(通信モード)と、通信可能範囲がより狭い第2のモード(位置推定モード)と、を備えてもよい。例えば、解析部14が紐付けを行う際に、無線通信部12は、第2のモードで動作し、その他の通信を行いたい場合には、無線通信部12は、第1のモードで動作する。
【0021】
記憶部13は、解析部14による紐付けの結果を記憶する。一例において、記憶部13は、解析部14によるランク付けの結果を記憶する。一例において、記憶部13は、推定識別装置2において実行されるプログラムを記憶する。記憶部13は、例えば、半導体メモリである。
【0022】
解析部14は、検知位置を示す情報と推定存在範囲を示す情報とを組み合わせて、1つ以上のターゲットTの検知位置と1つ以上の無線通信端末121とを紐付ける。解析部14は、例えば、記憶部13からプログラムを読み出して実行するプロセッサである。以下、ターゲットTの検知位置と無線通信端末121とを紐付けることを、簡単のために、単にターゲットTと無線通信端末121とを紐付ける(または紐付けする)という。紐付けについては、
図5~
図11Fを参照して後述する。
【0023】
後述するように、ターゲットTは、ターゲットTに対応する無線通信端末121を身に着けている。さらに、無線通信端末121の識別情報によってターゲットTが識別可能である。これらの事実を利用して、解析部14は、1対1の紐付けに基づいて、ターゲットTが誰であるのかを識別情報によって識別し、また、ターゲットTがどの位置にいるのかを検知位置によって推定する。位置の推定の精度は、レーダの分解能に応じた精度となる。
【0024】
一例において、解析部14は、1つ以上のターゲットTの検知位置と1つ以上の無線通信端末121との間の複数の紐付けをランク付けする。ランク付けの詳細については、
図3を参照して後述する。
【0025】
一例において、解析部14は、記憶部13が記憶する情報に基づいて、特定の個体の行動特徴を把握してもよい。例えば、解析部14は、記憶部13が記憶する紐付けおよびランク付けの履歴から、誰(ターゲットT1)が誰(ターゲットT2)の近くにいる時間が長かったのか、誰(ターゲットT3)がどこにいる時間が長かったのかといった情報を抽出する。抽出された情報は、例えば、園児(ターゲットT)の関心分析に使用できる。行動特徴は、解析部14が解析してもよいし、
図1に図示されない他のコンピュータが解析してもよい。
【0026】
無線通信端末121は、無線通信装置120と無線通信可能である通信端末である。無線通信端末121は、例えば、スマートフォン、RFIDタグ、無線タグ、またはICタグといったモバイルノードである。無線通信端末121は、無線通信端末121に固有の識別情報を備え、無線通信を介して識別情報を推定識別装置2に送信する。
図1に示されるように、ターゲットTは、ターゲットTに対応する無線通信端末121を保持し、ターゲットTは、ターゲットTが身につけている無線通信端末121の識別情報によって識別可能である。
【0027】
一例において、無線通信端末121は、無線通信装置120からの受信信号強度(RSSI)を、無線通信を介してRSSIを推定識別装置2に伝達できる。無線通信端末121は、例えば、920MHz帯を用いる小電力通信、IEEE802.15.4、2.4GHz帯を用いるZigbee、Bluetooth、無線LAN(IEEE802.11b/g/n)、5GHz帯を用いる無線LAN(IEEE802.11a/ac)またはDSRC、60GHz帯を用いる無線LAN(IEEE802.11ad)、構内PHS、あるいは、LTEを用いた無線通信機である。
【0028】
[推定識別システムの利用状況の一例]
図2は、推定識別システム1の利用状況の一例を示す。より詳細には、
図2は、本開示に係る推定識別システム1を用いて、幼稚園の教室において、複数の園児がどこにいて誰であるかを特定するユースケースを説明する。
【0029】
図2には、推定識別装置2が備える構成要素のうち、追跡部11と6個の無線通信装置120(AP1~AP6)が示されている。園児(ターゲットT1~T4)は、それぞれ、自分の名札に入れた無線通信端末121(モバイルノードMN1~MN4)を身に着けている。
【0030】
図2において、追跡部11のレーダは、教室内のターゲットT1~T4の位置を検知し続けることにより、ターゲットT1~T4を追跡する。しかしながら、追跡部11は、ターゲットT1~T4が人かどうかを判定できるが、ターゲットT1~T4が誰であるかを特定しない。
【0031】
また、
図2において、AP1~AP6は、それぞれ、
図2に示される点線で囲まれた範囲R1~R6が通信可能範囲であるとする。即ち、モバイルノードMN1~MN4は、範囲R1~R6に入ったとき、それぞれ、AP1~AP6と通信できる。つまり、AP1~AP6は、それぞれが通信を行える範囲R1~R6内にどのモバイルノードMN1~MN4があるかを把握することができる。
【0032】
ここで、無線通信部12と無線通信端末121が、第1のモード(通信モード)と第2のモード(位置推定モード)を持っている場合、無線通信部12と無線通信端末121は、位置推定精度を高めるために、第2のモードを選択し、通信可能距離を狭くしてもよい。
【0033】
一方、無線通信装置120は、第2のモードを使用しても、レーダと比較して、モバイルノードMN1~MN4の位置を推定する分解能が粗い。
【0034】
そこで、推定識別装置2は、追跡部11による検知の結果と無線通信装置120による推定の結果を組み合わせて、ターゲットT1~T4が身につけているモバイルノードMN1~MN4を識別し、モバイルノードMN1~MN4を身につけているターゲットT1~T4の位置をレーダの分解能で検知する。
【0035】
[推定識別装置の動作]
図3は、実施の形態1に係る推定識別装置2の動作の一例を示すフローチャートである。一例において、制御部10は、
図3に示されるフローチャートに従って、追跡部11と、無線通信部12と、記憶部13と、解析部14と、の動作を制御する。
図3に示されるフローチャートは、繰り返し実行してもよい。
【0036】
ステップS110において、追跡部11は、ターゲットTの位置をレーダで検知する。例えば、追跡部11は、レーダの信号処理によって、測定結果から人間と思われるものを抽出し、それをターゲットTと認識する。この時点で、推定識別装置2は、追跡部11によってターゲットTの位置を、レーダの分解能で把握する。
【0037】
ステップS120において、無線通信部12は、無線通信端末121の識別情報を無線通信で取得する。一例において、無線通信部12は、ステップS120の間、第1のモード(通信モード)で動作する。
【0038】
ステップS130において、無線通信部12は、無線通信端末121の存在範囲を無線通信で推定する。推定される存在範囲は、例えば、無線通信部12が備える無線通信装置120のうちの1つの通信可能範囲である。例えば、無線通信部12は、無線通信装置120が無線通信端末121から識別情報を含む無線信号を受信したか否かによって、無線通信端末121が無線通信装置120の通信可能範囲に含まれるか否かを判定する。一例において、無線通信部12は、ステップS130の間、第2のモード(位置推定モード)で動作する。この時点で、推定識別装置2は、無線通信部12によって通信可能範囲にどの無線通信端末121(誰の無線通信端末121)があるかを把握する。
【0039】
一例において、ステップS120および次のステップS130において、通信可能範囲内にターゲットTが検知されなかった無線通信部12をスリープしてもよい。これにより、不要な干渉および消費電力を低減できる。また、一例において、ステップS130において、無線通信部12は、無線通信端末121が存在することが想定される方向に指向性を設定してもよい。
【0040】
ステップS140において、前回のフローチャート実行時に記憶部13が記憶した紐付けの結果がある場合、解析部14は、検知された位置が推定された存在範囲に含まれない端末についてターゲットTとの間の紐付け解除を行う。
【0041】
ステップS150において、解析部14は、検知された位置が推定された存在範囲に含まれる無線通信端末121について、位置に基づいてターゲットTとの間の紐付け、紐付け解除、および、紐付けのランク付けを行う。解析部14は、必要に応じて、前回の実行時に記憶部13が記憶した紐付けおよび紐付け解除の結果とランク付けの結果とを参照してもよい。この時点で、解析部14は、1対1で紐付けされたターゲットTについて、ターゲットTが誰であるのかを識別情報によって把握し、ターゲットTがどの位置にいるのかをレーダの分解能で把握する。ステップS150の処理内容については、
図5を参照して後述する。
【0042】
ステップS160において、記憶部13は、紐付けおよび紐付け解除の結果とランク付けの結果とを記憶する。記憶部13に記憶された紐付けの結果を参照することにより、ターゲットTが誰であるのかを把握することができ、ランク付けの結果を参照することにより、ターゲットTが誰である可能性が高いのかを把握することができる。その後、フローが終了する。
【0043】
一例において、繰り返し実行のタイミングは、予め定められた間隔毎であってもよい。他の一例において、制御部10は、ステップS110において追跡部11が検知したターゲットTの位置が、所定の位置(例えば、個人ロッカー)に動いたことを確認してから、処理をステップS120に進めてもよい。また、制御部10は、ステップS110において追跡部11が検知したターゲットTが所定の位置(例えば、部屋の出入口)にいることを確認してから、処理をステップS120に進めてもよい。こうすると、推定識別装置2は、あるターゲットTが他のターゲットTから離れて行動するタイミングで、あるターゲットTと他のターゲットTが身につけている無線通信端末121とを1対1で紐付けできる可能性が高めることができる。
【0044】
図4Aは、実施の形態1に係る追跡装置110の検知動作を説明する図である。
図4Bは、実施の形態1に係る無線通信装置120の推定動作を説明する図である。
【0045】
図4Aには、2つの追跡装置110(110-1,110-2)のミリ波レーダが、人物のいる場所(ターゲットT1,T2)を検知する様子が示されている。ミリ波レーダによって、例えば、数cm程度の分解能で、ターゲットT1,T2の位置r1,r2を検知することができる。
【0046】
図4Bには、無線通信端末121(モバイルノードMN1)を身に着けているターゲットT1(例えば、JAMES)と、無線通信端末121(モバイルノードMN2)を身に着けているターゲットT2(例えば、MARY)がどこにいるかを、無線通信装置120(AP1~AP9)で推定する様子が示されている。AP1~AP9によって、JAMESが身に着けているモバイルノードMN1とMARYが身に着けているモバイルノードMN2がある位置が、例えば、それぞれ、AP5の通信可能範囲R1とAP9の通信可能範囲R2に含まれていることを推定できる。しかしながら、AP1~AP9は、JAMESが身に着けているモバイルノードMN1とMARYが身に着けているモバイルノードMN2の位置を、ミリ波レーダ程の高い分解能で推定することは困難である。
【0047】
図4Cは、実施の形態1に係る解析部14の解析動作を説明する図である。
【0048】
図4Cに示されるように、ターゲットT1,T2の人物が、それぞれ、モバイルノードMN1,MN2を保持していることを利用して、追跡装置110-1,110-2による検知結果(ミリ波レーダ)とAP1~AP9による推定結果(RSSIやRSSIのフィンガプリント、無線通信可能か判断、などを用いて推定された結果)とを組み合わせることができる。これらを組み合わせることによって、ターゲットT1,T2のそれぞれをJAMESとMARYとであると識別し、かつ、JAMESの位置とMARYの位置を、無線通信による位置推定の分解能よりも高い分解能で推定できる。なお、
図4Cには、2個の追跡装置110(110-1,110-2)と、9個の無線通信装置120(AP1~AP9)が示されているが、追跡装置110と無線通信装置120の数は、これに限られない。
【0049】
図5は、
図3のステップS150の動作の一例を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS210において、解析部14は、ターゲットTが検知された位置(検知位置)と無線通信端末121が推定された存在範囲(推定存在範囲)に基づいてターゲットTに無線通信端末121を紐付けする。紐付けの処理内容については、
図6以降を参照して後述する。
【0051】
ステップS220において、解析部14は、無線通信端末121-1が特定されたターゲットT1について、無線通信端末121-1の他のターゲットT2との紐付けとターゲットT1の他の無線通信端末121-2との紐付けを解除する。ここで、無線通信端末121-1が特定されたターゲットT1とは、無線通信端末121が1対1で紐付けされたターゲットTである。このように、過去の紐付けは、最新の紐付けにより更新される。
【0052】
ステップS230において、解析部14は、無線通信端末121が特定されていないターゲットTについての検知および推定の結果に基づいて、無線通信端末121との紐付けの可能性をランク付けする。一例において、解析部14は、無線通信端末121が特定されていないターゲットTと端末との紐付けに、紐付けの正確さを反映する重み付けを行う。次いで、解析部14は、重み付けに基づき、ターゲットTに紐付けされた無線通信端末121を、ターゲットTが保持している可能性が高い順にランク付けする。
【0053】
例えば、解析部14は、紐付けに対して、紐付けの正確さを反映するスコアを付与し、過去のスコアに基づいて、ランク付けを行う。例えば、過去のスコアの合計が高いほど、紐付けに対してより高いランク付けがされる。
【0054】
過去のスコアには、紐付けした時刻に応じた所定の点数を加点または減点してもよい。例えば、直近のスコアに所定の点数を加点し、所定の時間が経過したスコアから所定の点数を減点してもよい。また、スコアには、頻度に応じた所定の点数を加点または減点してもよい。例えば、出現頻度が高い紐付けのスコアに、より高い点数を加点してもよい。また、スコアには、ターゲットTの検知位置に応じた所定の点数を加点または減点してもよい。例えば、検知位置が、個人をより特定しやすいことが期待される場所(例えば、個人ロッカー)にある場合、スコアに所定の点数を加点してもよい。こうすることによって、個体の推定精度をより高めることができる。
【0055】
さらに、上記の紐付けした時刻および場所と、紐付けの出現頻度の判定基準は、例えば、人(ターゲットT)と位置が既知である物との関係性に基づくものであってもよい。関係性の例として、例えば、個人のロッカーに関する関係性、個人の机と椅子に関する関係性、更衣室やトイレに関する関係性、ハンカチ置き場に関する関係性が挙げられる。ここで、個人のロッカーに関する関係性とは、ターゲットTは、自分のロッカーには朝と帰りに立ち寄る可能性が高い、工作の時間に自分の道具を取りにロッカーに行くといった関係性である。また、個人の机と椅子に関する関係性とは、授業時間には自分の机と椅子の位置にいるといった関係性である。また、更衣室やトイレに関する関係性とは、男性は男性用の方に、女性は女性用の方に入るといった関係性である。また、ハンカチ置き場に関する関係性とは、自分のハンカチの置き場には、頻繁に行くといった関係性である。
【0056】
また、一例において、追跡部11は、ターゲットTの身体的な特徴(例えば、身長、体格)、ターゲットTの動作的な特徴(例えば、歩きの速さ、うでの振り)を測定する。そして、解析部14は、ターゲットTの身体的な特徴または動作的な特徴に基づいて、紐付けに付与されるスコアに加点または減点してもよい。
【0057】
ステップS230の後、処理が終了する。
【0058】
[基本的な紐付け動作]
部屋の中にいるターゲットTが、それぞれ1つの無線通信端末121を身に着けている場合、部屋の中にあるターゲットTの数と無線通信端末121の数とは一致する。そこで、以下に、ステップS210において、無線通信端末121を同数のターゲットTに1対1で紐付ける動作(便宜的に「基本的な紐付け動作」と称することがある)を説明する。
【0059】
図6は、
図5のステップS210の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS210の動作の一例において、無線通信端末121は、ターゲットTに1対1で紐付けされる。
【0060】
ステップS310において、解析部14は、処理対象の無線通信装置120を選択する。
図6に示される動作の一例においては、解析部14は、無線通信装置120の通信可能範囲毎に紐付け動作を行う。
【0061】
ステップS320において、解析部14は、選択された無線通信装置120の通信可能範囲に含まれ、選択された無線通信装置120の通信可能範囲に検知位置が含まれているいずれのターゲットTにも紐付けされていない無線通信端末121を抽出する。ここで、無線通信端末121が無線通信装置120の通信可能範囲に含まれるかどうかは、無線通信装置120が無線通信端末121から無線信号(例えば、識別情報を含む無線信号)を受信したか否かを示す情報を、解析部14が無線通信部12から受け取り、受け取った情報に基づいて解析部14が判定する。
【0062】
ステップS330において、解析部14は、選択された無線通信装置120の通信可能範囲に検知位置が含まれ、選択された無線通信装置120の通信可能範囲にあるどの無線通信端末121も紐付けされていないターゲットTを抽出する。
【0063】
ステップS340において、解析部14は、抽出された無線通信端末121の数と抽出されたターゲットTの数とが、ともに1に等しいか否かを判定する。つまり、無線通信端末121とターゲットTとが1対1で紐付けされるか否かを判定する。
【0064】
抽出された無線通信端末121の数と抽出されたターゲットTの数とが、ともに1に等しいと判定された場合(ステップS340:Yes)、ステップS350において、解析部14は、既存の紐付けを維持し、抽出された無線通信端末121と抽出されたターゲットTとを1対1で紐付け、処理がステップS360に進む。一方、抽出された無線通信端末121の数と抽出されたターゲットTの数とのいずれかが、1に等しくないと判定された場合(ステップS340:No)、既存の紐付けを維持し、処理がステップS360に進む。
【0065】
ステップS360において、解析部14は、全ての無線通信装置120を選択したか否かを判定する。全ての無線通信装置120を選択していないと判定した場合(ステップS360:No)、処理がステップS310に進み、解析部14は、次の無線通信装置120を選択する。解析部14が全ての無線通信装置120を選択したと判定した場合(ステップS360:Yes)、処理が終了する。なお、
図6では、複数ある無線通信装置120を順次選択してS320~S350の動作を行うことを仮定しているが、複数ある無線通信装置120が同時にS320~S350の動作を行ってもよい。なお、S360の終了条件を、すべての無線通信端末が特定されたかどうか、ということにしてもよい。
【0066】
[基本的な紐付け動作:ターゲット1個、端末1個]
図7Aは、
図6のフローチャートにおける、ターゲットT1と無線通信端末121(モバイルノードMN1)との紐付け動作の一例を説明する図である。
【0067】
図7Aにおいては、
図6に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、1個のターゲットT1および1個のモバイルノードMN1が、それぞれ1つずつ存在する。
【0068】
ここで、モバイルノードMN1は、ターゲットT1に紐付けされていない。したがって、
図6に示されるステップS320において、モバイルノードMN1が抽出される。
【0069】
また、ターゲットT1は、いずれのモバイルノードMN1にも紐付けされていない。したがって、
図6に示されるステップS330において、ターゲットT1が抽出される。
【0070】
この場合、抽出されたモバイルノードMN1の数と、抽出されたターゲットT1の数は、ともに1に等しい。したがって、
図6に示されるステップS350において、ターゲットT1とモバイルノードMN1とが1対1で紐付け(特定)される。
【0071】
[基本的な紐付け動作:ターゲット3個、端末3個]
図7Bは、
図6のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2,T3と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2,MN3)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0072】
図7Bにおいては、
図6に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、3個のターゲットT1,T2,T3および3個のモバイルノードMN1,MN2,MN3が存在する。
【0073】
ここで、モバイルノードMN2,MN3は、それぞれ、ターゲットT2,T3に既に紐付けされているが、モバイルノードMN1は、いずれのターゲットT1,T2,T3にも紐付けされていない。したがって、
図6に示されるステップS320において、モバイルノードMN1が抽出される。なお、モバイルノードMN2,MN3は、それぞれ、ターゲットT2,T3に既に紐付けされているので、抽出されない。
【0074】
また、ターゲットT2,T3は、それぞれ、モバイルノードMN2,MN3が既に紐付けされているが、ターゲットT1は、いずれのモバイルノードMN1,MN2,MN3にも紐付けされていない。したがって、
図6に示されるステップS330において、ターゲットT1が抽出される。ターゲットT2,T3は、それぞれ、モバイルノードMN2,MN3が既に紐付けされているので、抽出されない。
【0075】
この場合、抽出されたモバイルノードMN1の数と、抽出されたターゲットT1の数は、ともに1に等しい。したがって、
図6に示されるステップS350において、ターゲットT1とモバイルノードMN1とが紐付けされる。その他の紐付けは、そのまま維持される。
【0076】
<1対多、多対1、または多対多の紐付け>
部屋の中にいるターゲットTが、それぞれ、1つのモバイルノードMNを身に着けている場合、部屋の中にあるターゲットTの数とモバイルノードMNの数とは、一致する。しかしながら、追跡装置110がレーダである場合、追跡装置110は、例えば、近接したターゲットT1とターゲットT2とを分離しきれずに、1つのターゲットTとして検知することがある。その結果、位置が推定されたモバイルノードMNの数と追跡装置110によって検知されたターゲットTの数とが一致しないことがある。この場合、必要に応じて、複数のターゲットTを複数のモバイルノードMNに紐付けてもよい。そこで、以下に、モバイルノードMNをターゲットTに1対1または多対1で紐付ける動作(便宜的に「拡張型の紐付け動作」と称することがある)を説明する。
【0077】
[拡張型の紐付け動作]
図8は、
図5のステップS210の動作の他の一例を示すフローチャートである。ステップS210の動作の他の一例であるステップS210aにおいて、モバイルノードMNは、ターゲットTに1対1または多対1で紐付けされる。
【0078】
図8に示されるフローチャートは、
図6に示されるフローチャートと比較して、抽出されたモバイルノードMNの数と、抽出されたターゲットTの数とのいずれかが1に等しくない場合に、ステップS355を実行する部分が異なる。
図6に示されるフローチャートと共通する他のステップS310,S330,については、説明を省略する。
【0079】
ステップS320aにおいて、解析部14は、選択された無線通信装置120の通信可能範囲に含まれ、選択された無線通信装置120の通信可能範囲に検知位置が含まれているいずれのターゲットTにも特定(1対1で紐付け)されていない無線通信端末121を抽出する。ここで、「特定する」とは、ターゲットと無線通信端末(モバイルノード)とが1対1で紐付けされ、そのターゲットが誰であるかが確定した状態を示している。
【0080】
ステップS340aにおいて、解析部14は、抽出された無線通信端末121のうち、どのターゲットTにも紐付けされていない無線通信端末の数と抽出されたターゲットTの数とが、ともに1に等しいか否かを判定する。つまり、無線通信端末121とターゲットTとが1対1で紐付けすることが可能か否かを判定する。
【0081】
ステップS350aにおいて、解析部14は、既存の紐付けを維持し、抽出された無線通信端末121のうちで、どのターゲットにも紐付けされていない無線通信端末と抽出されたターゲットTとを特定(1対1で紐付け)し、処理がステップS360に進む。
【0082】
ステップS360aにおいて、解析部14は、全ての無線通信装置120を選択し、全てのターゲットと全ての無線通信端末とが1対1で紐付けされたか否かを判定する。全ての無線通信装置120を選択していない、かつ、全てのターゲットと全ての無線通信端末とが1対1で紐付けされていないと判定した場合(ステップS360a:No)、処理がステップS310に進み、解析部14は、次の無線通信装置120を選択する。解析部14が全ての無線通信装置120を選択し、全てのターゲットと全ての無線通信端末とが1対1で紐付けされたと判定した場合(ステップS360a:Yes)、処理が終了する。
【0083】
なお、
図8では、複数ある無線通信装置120を順次選択してS320~S350の動作を行うことを仮定しているが、複数ある無線通信装置120が同時にS320~S350の動作を行ってもよい。
【0084】
ステップS355において、解析部14は、無線通信装置120の通信可能範囲にあるモバイルノードMNのうち、ターゲットTが特定(1対1で紐付け)されていないものを、抽出されたターゲットTに紐付ける。ここで、ステップS355において判定の対象とするターゲットTは、ステップS310において無線通信装置120の通信可能範囲に検知位置が含まれると判定されたターゲットTである。以下、
図9A~
図11Fを参照して、紐付け動作の具体例を説明する。
【0085】
[拡張型の紐付け動作:ターゲット1個、端末2個]
図9Aは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2)との紐付け動作の一例を説明する図である。
【0086】
図9Aにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、1個のターゲットT1および2個のモバイルノードMN1,MN2が存在する。
【0087】
ここで、モバイルノードMN1,MN2は、いずれもターゲットT1に紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1,MN2が抽出される。
【0088】
また、ターゲットT1は、いずれのモバイルノードMN1,MN2も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1が抽出される。
【0089】
この場合、抽出されたモバイルノードMN1の数は2であり、1に等しくなく、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルノードの数は1でない。したがって、
図8に示されるステップS355において、選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に含まれ、ターゲットT1に1対1で紐付けされていないモバイルノードMN1,MN2の全てが、抽出されたターゲットT1に紐付けされる。
【0090】
[拡張型の紐付け動作:ターゲット2個、端末2個]
図9Bは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0091】
図9Bにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、2個のターゲットT1,T2および2個のモバイルノードMN1,MN2が存在する。
【0092】
ここで、モバイルノードMN1,MN2は、いずれのターゲットT1,T2にも1対1で紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1,MN2が抽出される。
【0093】
また、ターゲットT1,T2は、いずれのモバイルノードMN1,MN2も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1,T2が抽出される。
【0094】
この場合、抽出されたモバイルノードMN1,MN2の数は2であり、1に等しくなく、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルノードの数は1でない。したがって、
図8に示されるステップS355において、選択されたAP1の通信可能範囲R1に含まれ、ターゲットT1,T2に1対1で紐付けされていないモバイルノードMN1,MN2の全てが、抽出されたターゲットT1,T2のそれぞれに紐付けされる。
【0095】
図9Cは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0096】
図9Cにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、2個のターゲットT1,T2および2個のモバイルノードMN1,MN2が存在する。
【0097】
ここで、モバイルノードMN2は、ターゲットT2に既に1対1で紐付けされているが、モバイルノードMN1は、いずれのターゲットT1,T2も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1が抽出される。なお、モバイルノードMN2は、ターゲットT2に既に1対1で紐付けされているので、抽出されない。
【0098】
また、ターゲットT2は、モバイルノードMN2が既に紐付けされているが、ターゲットT1は、いずれのモバイルノードMN1,MN2にも紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1が抽出される。ターゲットT2は、モバイルノードMN2が既に紐付けされているので、抽出されない。
【0099】
この場合、抽出されたモバイルノードMNのうち、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルモードMN1の数と、抽出されたターゲットT1の数は、ともに1に等しい。したがって、
図8に示されるステップS350aにおいて、ターゲットT1とモバイルノードMN1とが1対1で紐付け(特定)される。その他の紐付けは、そのまま維持される。
【0100】
[拡張型の紐付け動作:ターゲット2個、端末3個]
図10Aは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2,MN3)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0101】
図10Aにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、2個のターゲットT1,T2および3個のモバイルノードMN1,MN2,MN3が存在する。
【0102】
ここで、モバイルノードMN1,MN2,MN3は、いずれのターゲットT1,T2にも1対1で紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1,MN2,MN3が抽出される。
【0103】
また、ターゲットT1,T2は、いずれのモバイルノードMN1,MN2,MN3も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1,T2が抽出される。
【0104】
この場合、抽出されたモバイルノードMN1,MN2,MN3の数は3であり、1に等しくなく、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルノードの数が1でない。したがって、
図8に示されるステップS355において、選択されたAP1の通信可能範囲R1に含まれ、ターゲットT1,T2に1対1で紐付けされていないモバイルノードMN1,MN2,MN3全てが、抽出されたターゲットT1,T2のそれぞれに紐付けされる。
【0105】
図10Bは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2,MN3)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0106】
図10Bにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、2個のターゲットT1,T2および3個のモバイルノードMN1,MN2,MN3が存在する。
【0107】
ここで、モバイルノードMN3は、ターゲットT2に既に1対1で紐付けされているが、モバイルノードMN1,MN2は、いずれのターゲットT1,T2にも1対1で紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1,MN2が抽出される。なお、モバイルノードMN3は、ターゲットT2に1対1で紐付けされているので、抽出されない。
【0108】
また、ターゲットT2は、モバイルノードMN3が既に紐付けされているが、ターゲットT1は、いずれのモバイルノードMN1,MN2,MN3も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1が抽出される。なお、ターゲットT2は、モバイルノードMN3が既に紐付けされているので、抽出されない。
【0109】
この場合、抽出されたモバイルノードMN1,MN2の数は2であり、1に等しくなく、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルノードの数が1でない。したがって、
図8に示されるステップS355において、選択されたAP1の通信可能範囲R1に含まれ、ターゲットT1,T2に1対1で紐付けされていないモバイルノードMN1,MN2の全てが、抽出されたターゲットT1に紐付けされる。その他の紐付けは、そのまま維持される。
【0110】
図10Cは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2,MN3)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0111】
図10Cにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、2個のターゲットT1,T2および3個のモバイルノードMN1,MN2,MN3が存在する。
【0112】
ここで、モバイルノードMN2,MN3は、ともにターゲットT2に1対1で紐付けされているが、モバイルノードMN1は、いずれのターゲットT1,T2にも紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1、MN2、MN3が抽出される。
【0113】
また、ターゲットT2は、モバイルノードMN2,MN3が既に紐付けされているが、ターゲットT1は、いずれのモバイルノードMN1,MN2,MN3も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1が抽出される。ターゲットT2は、モバイルノードMN2,MN3が既に紐付けされているので、抽出されない。
【0114】
この場合、抽出されたモバイルノードMN1,MN2,MN3のうち、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルノードMN1の数と、抽出されたターゲットT1の数は、ともに1に等しく、したがって、
図8に示されるステップS350aにおいて、ターゲットT1とモバイルノードMN1とが紐付けされる。その他の紐付けは、そのまま維持される。
【0115】
[拡張型の紐付け動作:ターゲット3個、端末3個]
図11Aは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2,T3と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2,MN3)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0116】
図11Aにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、3個のターゲットT1,T2,T3および3個のモバイルノードMN1,MN2,MN3が存在する。
【0117】
ここで、モバイルノードMN1,MN2,MN3は、いずれのターゲットT1,T2,T3にも1対1で紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1,MN2,MN3が抽出される。
【0118】
また、ターゲットT1,T2,T3は、いずれのモバイルノードMN1,MN2,MN3も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1,T2,T3が抽出される。
【0119】
この場合、抽出されたモバイルノードMN1,MN2,MN3の数は3であり、1に等しくなく、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルノードの数が1でない。したがって、
図8に示されるステップS355において、選択されたAP1の通信可能範囲R1に含まれ、ターゲットT1,T2,T3に1対1で紐付けされていないモバイルノードMN1,MN2,MN3の全てが、抽出されたターゲットT1,T2,T3のそれぞれに紐付けされる。
【0120】
図11Bは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2,T3と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2,MN3)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0121】
図11Bにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、3個のターゲットT1,T2,T3および3個のモバイルノードMN1,MN2,MN3が存在する。
【0122】
ここで、モバイルノードMN3は、ターゲットT3に既に1対1で紐付けされているが、モバイルノードMN1,MN2は、いずれのターゲットT1,T2,T3にも紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1,MN2が抽出される。なお、モバイルノードMN3は、ターゲットT3に1対1で紐付けされているので、抽出されない。
【0123】
また、ターゲットT3は、モバイルノードMN3が既に紐付けされているが、ターゲットT1,T2は、いずれのモバイルノードMN1,MN2,MN3も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1,T2が抽出される。なお、ターゲットT3は、モバイルノードMN3が既に紐付けされているので、抽出されない。
【0124】
この場合、抽出されたモバイルノードMN1,MN2の数は2であり、1に等しくなく、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルノードの数が1でない。したがって、
図8に示されるステップS355において、選択されたAP1の通信可能範囲R1に含まれ、ターゲットT1,T2,T3に1対1で紐付けされていないモバイルノードMN1,MN2の全てが、抽出されたターゲットT1,T2に紐付けされる。その他の紐付けは、そのまま維持される。
【0125】
図11Cは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2,T3と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2,MN3)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0126】
図11Cにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、3個のターゲットT1,T2,T3および3個のモバイルノードMN1,MN2,MN3が存在する。
【0127】
ここで、モバイルノードMN2,MN3は、それぞれ、ターゲットT2,T3に既に1対1で紐付けされているが、モバイルノードMN1は、いずれのターゲットT1,T2,T3にも紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1が抽出される。なお、モバイルノードMN2,MN3は、それぞれ、ターゲットT2,T3に既に1対1で紐付けされているので、抽出されない。
【0128】
また、ターゲットT2,T3は、それぞれ、モバイルノードMN2,MN3が既に紐付けされているが、ターゲットT1は、いずれのモバイルノードMN1,MN2,MN3も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1が抽出される。なお、ターゲットT2,T3は、それぞれ、モバイルノードMN2,MN3が既に紐付けされているので、抽出されない。
【0129】
この場合、抽出されたモバイルノードMN1のうち、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルノードの数と、抽出されたターゲットT1の数は、ともに1に等しい。したがって、
図6に示されるステップS350aにおいて、ターゲットT1とモバイルノードMN1とが紐付けされる。その他の紐付けは、そのまま維持される。
【0130】
図11Dは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2,T3と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2,MN3)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0131】
図11Dにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、3個のターゲットT1,T2,T3および3個のモバイルノードMN1,MN2,MN3が存在する。
【0132】
ここで、モバイルノードMN2,MN3は、ともにターゲットT3に既に紐付けされているが、モバイルノードMN1は、いずれのターゲットT1,T2,T3にも1対1で紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1,MN2,MN3が抽出される。
【0133】
また、ターゲットT3は、モバイルノードMN2,MN3が既に紐付けされているが、ターゲットT1,T2は、いずれのモバイルノードMN1,MN2,MN3も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1,T2が抽出される。なお、ターゲットT3は、モバイルノードMN2,MN3が既に紐付けされているので、抽出されない。
【0134】
この場合、抽出されたターゲットT1,T2の数は2であり、1に等しくなく、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルノードの数が1でない。したがって、
図8に示されるステップS355において、選択されたAP1の通信可能範囲R1に含まれ、ターゲットT1,T2,T3に1対1で紐付けされていないモバイルノードMN1,MN2,MN3の全てが、抽出されたターゲットT1、T2のそれぞれに紐付けされる。その他の紐付けは、そのまま維持される。
【0135】
図11Eは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2,T3と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2,MN3)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0136】
図11Eにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、3個のターゲットT1,T2,T3および3個のモバイルノードMN1,MN2,MN3が存在する。
【0137】
ここで、モバイルノードMN1,MN2,MN3は、いずれもターゲットT3に既に紐付けされているが、1対1に紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1,MN2,MN3が抽出される。
【0138】
また、ターゲットT3には、モバイルノードMN1,MN2,MN3が既に紐付けされているが、ターゲットT1,T2は、いずれのモバイルノードMN1,MN2,MN3も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1,T2が抽出される。なお、ターゲットT3は、モバイルノードMN1,MN2,MN3が既に紐付けされているので、抽出されない。
【0139】
この場合、抽出されたモバイルノードの数は3であり、1に等しくなく、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルノードの数が1でない。したがって、
図8に示されるステップS355において、選択されたAP1の通信可能範囲R1に含まれ、ターゲットT1,T2,T3に1対1で紐付けされていないモバイルノードMN1,MN2,MN3の全てが、抽出されたターゲットT1,T2のそれぞれに紐付けされる。その他の紐付けは、そのまま維持される。
【0140】
図11Fは、
図8のフローチャートにおける、ターゲットT1,T2,T3と無線通信端末121(モバイルノードMN1,MN2,MN3)との紐付け動作の他の一例を説明する図である。
【0141】
図11Fにおいては、
図8に示されるステップS310において選択された無線通信装置120であるAP1の通信可能範囲R1に、3個のターゲットT1,T2,T3および3個のモバイルノードMN1,MN2,MN3が存在する。
【0142】
ここで、モバイルノードMN1,MN2,MN3は、いずれもターゲットT3に既に紐付けされているが、1対1の紐付けではない。したがって、
図8に示されるステップS320aにおいて、モバイルノードMN1,MN2,MN3が抽出される。
【0143】
また、ターゲットT2には、モバイルノードMN1,MN2が既に紐付けされており、ターゲットT3には、モバイルノードMN1,MN2,MN3が既に紐付けされているが、ターゲットT1は、いずれのモバイルノードMN1,MN2,MN3も紐付けされていない。したがって、
図8に示されるステップS330において、ターゲットT1が抽出される。ターゲットT2およびターゲットT3は、いずれも紐付けされたモバイルノードがあるので、抽出されない。
【0144】
この場合、抽出されたモバイルノードの数は3であり、1に等しくなく、いずれのターゲットにも紐付けされていないモバイルノードの数が1でない。したがって、
図8に示されるステップS355において、選択されたAP1の通信可能範囲R1に含まれ、ターゲットT1,T2,T3に1対1で紐付けされていないモバイルノードMN1,MN2,MN3の全てが、抽出されたターゲットT1に紐付けされる。その他の紐付けは、そのまま維持される。
【0145】
なお、上述の具体例の説明においては、部屋の中にいる人のすべては、無線通信端末121を身に着けていることを仮定した。しかしながら、無線通信端末121を身に着けていない人が部屋に混在する場合であっても、同様の紐付け動作を行うことが可能である。この場合、例えば、AP1の通信可能範囲において、ターゲットT1とモバイルノードMN1が1つずつ存在し、ターゲットT1が特定されたが、そのターゲットT1はモバイルノードMN1(無線通信端末121)を持っている人(ターゲットT1)と持っていない人(ターゲットT2)とが重なっていたという場合も想定される。
【0146】
さらに、この場合、一度特定したターゲットT1が、2つのターゲットT1,T2に分離する可能性がある。これに対しては、まず、分離した2つのターゲットT1,T2の両方にモバイルノードMN1を紐付けておき、次に、分離した2つのターゲットT1,T2のうち、ターゲットT2が通信エリアから外れ、ターゲットT1が通信エリア内に存在する場合は、ターゲットT1のモバイルノードMN1を特定し、ターゲットT2とモバイルノードMN2との紐付けを解除してもよい。
【0147】
[実施の形態2]
実施の形態1に係る推定識別装置2は、ターゲットTの検知位置と無線通信端末121の推定存在範囲とを組み合わせた。これに対して、実施の形態2においては、ターゲットTの検知位置と無線通信端末121の推定存在範囲とに加えて、ターゲットTの検知速度とを組み合わせる。実施の形態2に係る推定識別装置2の追跡部11は、ターゲットTの速度および移動方向を検知する構成を備える。実施の形態2に係る無線部12および無線通信端末121は、速度および移動方向を推定する機能を備える。なお、実施の形態2に係る無線部12および無線通信端末121が備える、無線通信端末121の速度および移動方向を推定する精度は、実施の形態2に係る推定識別装置2の追跡部11がターゲットTの位置および移動方向を検知する精度と同等の精度でなくてもよい。
【0148】
図12は、実施の形態2に係る推定識別装置2の動作の一例を示すフローチャートである。
図3に示されるフローチャートと比較して、ステップS110a、ステップS115a、およびステップS150aが異なる。その他のステップについては、説明を省略する。
【0149】
ステップS110aにおいて、追跡部11は、ターゲットTの位置および速度(検知速度)をレーダで検知する。検知速度は、速度ベクトルで表される。追跡部11は、複数の追跡装置110の複数のレーダを用いて、違う方向から測定したターゲットTの速度の違いに基づいて、検知速度の方向を求めてもよい。また、追跡部11は、追跡装置110の単一のレーダを用いて、所定の時間をはさんでターゲットTを2回測定し、測定値の差分に基づいて、検知速度の方向を求めてもよい。
【0150】
図13Aは、実施の形態2に係る追跡装置110の検知動作を説明する図である。
図4Aに示される検知動作に加えて、ターゲットT1,T2の速度ベクトルv1,v2が検知される。
【0151】
再度、
図12を参照する。ステップS115aにおいて、無線通信部12は、無線通信端末121の速度(推定速度)または速度成分(推定速度成分)を無線通信で取得する。例えば、特定の無線通信装置120から送信を行い、ある無線通信端末121が所定の時間間隔を置いてRSSIを2回以上測定する。無線通信端末121が特定の無線通信装置120に近づくと、測定されるRSSIが増加する。無線通信端末121が特定の無線通信装置120から離れると、測定されるRSSIが減少する。解析部14は、測定したRSSIの変化量と所定の時間間隔に基づいて、無線通信端末121の無線通信装置120方向への速度成分を算出する。
【0152】
図13Bは、実施の形態2に係る無線通信装置120の推定動作を説明する図である。
図4Bに示される推定動作に加えて、モバイルノードMN1およびMN2の、AP5,AP9方向への速度成分を示すベクトルu1,u2が検知される。
【0153】
無線通信電波の伝搬環境によっては、無線通信端末121が特定の無線通信装置120に近づく方向に移動した場合に、必ずしも、測定したRSSIが大きくなるとは限らない。また、同様に、無線通信端末121が特定の無線通信装置120から離れる方向に移動した場合に、必ずしも、測定したRSSIが小さくなるとは限らない。
【0154】
そこで、一例において、事前に各無線通信装置120について、無線通信端末121の位置および移動方向に対する、無線通信端末121が測定するRSSIの変化量を測定する。測定結果に基づき、無線通信端末121の位置および移動方向からRSSIの変化量のセット(ベクトルフィンガープリント)へのマップを作成しておく。
【0155】
推定識別システム1の使用時に、解析部14は、無線通信端末121が測定するRSSIの変化量とベクトルフィンガープリントを比較し、無線通信端末121の位置および速度を推定してもよい。この場合、各無線通信装置120は指向性を有さなくてもよい。また、無線通信部12は、複数の無線通信装置120に代えて、複数のアンテナ(図示せず)を備える単一または複数の無線通信装置120を備えてもよい。
【0156】
また、無線通信部12が何らかの指向性を有している場合、無線通信部12は、指向性を利用して、無線通信端末121の移動方向を測定することにより、無線通信端末121の速度(または速度成分)をより正確に測定できる。
【0157】
再度、
図12を参照する。ステップS150aにおいて、検知された位置が推定された存在範囲に含まれる無線通信端末121について、位置および速度に基づいてターゲットTとの間の紐付け、紐付け解除、および、紐付けのランク付けを行う。
図3に示されるステップS150とは、紐付けが、検知位置に加えて検知速度および推定速度(または推定速度成分)に基づいて行われる点において異なる。より詳細には、検知速度と推定速度の差(または検知速度の無線通信装置120方向の成分と推定速度成分との差)の大きさが所定の閾値を超えるものは、紐付けの対象から除外される。
図3に示されるステップS150と共通する処理内容については、説明を省略する。
【0158】
図13Cは、実施の形態2に係る検知結果と推定結果の組み合わせを説明する図である。
図4Cに示される推定動作に加えて、モバイルノードMN1およびMN2の速度ベクトルv1,v2の検知結果を組み合わせることができる。
【0159】
本実施の形態では、位置情報と速度情報とを用いることでより正確なターゲットと無線通信端末の特定が可能となる。
【0160】
また、速度情報という情報が加わるため、無線通信装置の通信可能範囲において、ターゲットに紐付けされていない無線通信端末が1つ、無線通信端末に紐付けされていないターゲットが1つ、という状況にならなくとも、そのターゲットがどの無線通信端末であるかを知ることができる。
【0161】
図13Dは、無線通信装置の推定動作を説明する図である。無線通信装置は、MN1,MN2とAP2の間で、短い時間で2回の通信を行い、受信電力が大きくなるか小さくなるかで、MN1,MN2がAP2に近づく方向に動いたかを判断する。つまり、u1、u2の情報を得る。
【0162】
追跡装置110の検知動作を
図13Aとすると、u1、u2がv1,v2と近い方向に動いているか否かを判断することで、MN1がT1であり、MN2がT2であることを知ることができる。
【0163】
したがって、本実施の形態では、位置情報と速度情報とを用いることにより、少ないアクセスポイントの数でも、ターゲットと無線通信端末の特定が可能となる。
【0164】
なお、上述の実施の形態においては、無線通信端末121の存在範囲をより精度よく推定するために、一例として、無線通信部12は、通信可能範囲がより狭い第2のモード(位置推定モード)で動作してもよい。これに代えて、無線通信部12は、3個の無線通信装置120のRSSIを用いた3点測量を実施して、無線通信端末121の存在範囲を推定してもよい。3個の無線通信装置120のRSSIの利用が困難である場合、無線通信部12は、3個未満の無線通信装置120のRSSIを用いて、無線通信端末121の大凡の存在範囲を把握してもよい。
【0165】
なお、簡単のため、上述の実施の形態においては、AP1~AP9の通信可能範囲の間に重なりがないとして説明した。例えば、
図4Cに示されるAP5の通信可能範囲R1およびAP9の通信可能範囲R2には、重なりがない。しかしながら、AP1~AP9の通信可能範囲の間に重なりがあってもよい。例えば、通信可能範囲が重なり部分を構成する無線通信装置120の全てが無線通信端末121から無線信号を受信するか否かを判定することにより、無線通信端末121が重なり部分に含まれるか否かを判定してもよい。さらに、重なり部分を新たな1つの独立した通信可能範囲と規定して、本開示に係る無線通信装置120の通信可能範囲に適用してもよい。
【0166】
上述の実施の形態においては、ミリ波レーダは、ターゲットTの位置を検知するのに用いられた。これに加えて、ミリ波レーダによって、ターゲットTの心拍と呼吸といった生体情報を並行して取得する実施の形態も考えられる。ターゲットTの生体情報を並行して取得することにより、ターゲットTの人物の健康管理をより容易にすることができる。
【0167】
上述の実施の形態においては、推定識別装置2は、制御部10と、追跡部11と、無線通信部12と、記憶部13と、解析部14と、を備える。これに代えて、推定識別装置2は、制御部10と、記憶部13と、解析部14と、を備え、追跡部11および無線通信部12が別体として設けられる実施の形態も考えられる。この場合、推定識別装置2は、追跡部11および無線通信部12から、それぞれ、ターゲットTの検知結果を示す検知情報と、ターゲットTに取り付けられた無線通信端末121が送信した信号の1つ又は複数の無線通信装置120での受信結果と、を受け取る。検知結果は、例えば、検知位置および/または検知速度である。受信結果は、例えば、無線通信端末121からの応答の有無および/または受信品質情報である。
【0168】
上述の実施の形態においては、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0169】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0170】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0171】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0172】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0173】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0174】
本開示の推定識別装置は、電磁波または音波を発射し、無線通信端末を保持する識別対象による前記電磁波または音波の反射波に基づいて前記識別対象の位置を検知する複数の追跡装置と、前記無線通信端末と無線通信し、前記無線通信端末から前記無線通信端末の識別情報を受信する複数の無線通信装置と、前記無線通信の結果と前記識別対象の検知された位置と前記識別情報とに基づいて、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行う解析回路と、を備える。
【0175】
本開示の推定識別装置において、前記解析回路は、前記複数の無線通信装置の各無線通信装置について、前記各無線通信装置の通信可能範囲にある前記無線通信端末を、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に紐付けることにより、前記識別対象の識別および前記識別対象の位置の推定を行う。
【0176】
本開示の推定識別装置において、前記解析回路は、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記無線通信端末と、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれない前記識別対象の位置との紐付けを解除する。
【0177】
本開示の推定識別装置において、前記解析回路は、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれ、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に1対1に紐付けされていない前記無線通信端末を抽出し、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれ、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記無線通信端末に紐付けされていない前記識別対象の位置を抽出し、抽出された前記無線通信端末のうち、いずれの前記識別対象の位置にも紐付けされていない前記無線通信端末の数と抽出された前記識別対象の位置の数とがともに1に等しい場合、抽出された前記無線通信端末を抽出された前記識別対象の位置に1対1で紐付ける。
【0178】
本開示の推定識別装置において、前記解析回路は、抽出された前記無線通信端末のうち、いずれの前記識別対象の位置にも紐付けされていない前記無線通信端末の数と抽出された前記識別対象の位置の数のいずれかが1と異なる場合、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれ、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に1対1で紐付けされていない全ての前記無線通信端末を、前記識別対象の位置に紐付ける。
【0179】
本開示の推定識別装置において、前記解析回路は、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれ、前記識別対象の位置に1対1で紐付けされた前記無線通信端末以外の前記無線通信端末について、前記識別対象の位置との前記紐付けを解除する。
【0180】
本開示の推定識別装置において、前記解析回路は、前記各無線通信装置の通信可能範囲に含まれる前記識別対象の位置に1対多で紐付けされた無線通信端末について、前記紐付けの可能性をランク付けする。
【0181】
本開示の推定識別装置において、前記解析回路は、前記紐付けがされた時刻、前記紐付けがされた前記識別対象の位置、および前記紐付けの頻度の少なくとも1つに基づいて、前記紐付けの可能性をランク付けする。
【0182】
本開示の推定識別装置において、前記紐付けおよび前記ランク付けの少なくとも1つを記憶する記憶素子を備え、前記解析回路は、前記記憶素子から読み出した前記紐付けおよび前記ランク付けに基づいて、前記識別対象の行動の特徴を抽出する。
【0183】
本開示の推定識別装置において、前記通信可能範囲は、可変である。
【0184】
本開示の推定識別装置において、前記複数の追跡装置は、前記識別対象の速度を検知し、前記複数の無線通信装置は、無線通信の受信信号強度に基づいて、前記無線通信端末の速度を推定し、前記解析回路は、前記無線通信の結果と前記識別対象の検知された位置および速度と推定された前記無線通信端末の推定された速度と前記識別情報とに基づいて、前記識別対象の識別と前記識別対象の位置および速度の推定とを行う。
【0185】
本開示の推定識別装置において、前記複数の追跡装置は、前記識別対象の速度を検知し、前記複数の無線通信装置は、前記無線通信端末の位置および速度の少なくとも1つから前記無線通信装置の前記受信信号強度へのマッピングを保持し、無線通信の受信信号強度および前記マッピングに基づいて、前記無線通信端末の位置および速度を推定し、前記解析回路は、前記無線通信の結果と前記識別対象の検知された位置および速度と推定された前記無線通信端末の位置および速度と前記識別情報とに基づいて、前記識別対象の識別と前記識別対象の位置および速度の推定とを行う。
【0186】
本開示の推定識別装置において、レーダによるターゲットの検知結果を示す検知情報と、前記ターゲットに取り付けられた無線通信端末が送信した信号の1つ又は複数の無線通信装置での受信結果と、前記信号に含まれる前記ターゲットの識別情報と、を受信する受信回路と、前記検知情報と前記受信結果と前記識別情報とに基づいて、前記ターゲットの位置推定と前記ターゲットの識別とを行う処理回路と、を備える。
【0187】
本開示の推定識別システムは、本開示に係る推定識別装置と、前記推定識別装置が備える1または複数の無線通信装置と無線通信可能であり、固有の識別情報を前記無線通信装置に送信する、1または複数の無線通信端末と、を備える。
【産業上の利用可能性】
【0188】
本開示の一態様は、屋内における人物の動線解析に有用である。
【符号の説明】
【0189】
1 推定識別システム
2 推定識別装置
10 制御部
11 追跡部
12 無線通信部
13 記憶部
14 解析部
110 追跡装置
120 無線通信装置
121 無線通信端末