(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】位置推定装置、位置推定システム、および位置推定方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20230421BHJP
G01S 1/68 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G01S1/68
(21)【出願番号】P 2019068607
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 芽生
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋
(72)【発明者】
【氏名】白方 亨宗
(72)【発明者】
【氏名】森田 純一
(72)【発明者】
【氏名】西保 和磨
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-509381(JP,A)
【文献】特表2017-526273(JP,A)
【文献】特開2000-261844(JP,A)
【文献】特開2002-107444(JP,A)
【文献】特開平11-178044(JP,A)
【文献】国際公開第2012/073697(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/053240(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/00-17/95
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の無線通信装置によって複数の第1の無線通信装置の第1の位置の推定がなされる端末モード
にて、前記複数の第1の無線通信装置から送信された第1の無線信号の前記第2の無線通信装置における第1の受信品質情報および前記第1の位置に基づいて、
前記端末モードの前記複数の第1の無線通信装置に対して信頼度を決定し、前記複数の第1の無線通信装置から少なくとも1つの前記第1の無線通信装置を含む第1の無線通信装置群を
、前記信頼度の高い順に、選別する選別回路と、
前記第1の無線通信装置群に対して、前記端末モードから第3の無線通信装置の第2の位置を推定するアンカーモードへの切換を指示する信号を生成する制御回路と、
前記端末モードにて、前記第1の受信品質情報および前記第2の無線通信装置の位置に基づいて、前記複数の第1の無線通信装置の前記第1の位置を推定し、前記アンカーモードにて、前記第3の無線通信装置から送信された第2の無線信号の、前記第2の無線通信装置および前記アンカーモードの第1の無線通信装置群における第2の受信品質情報と
前記第1の位置から選別された前記第1の無線通信装置群
の第3の位置とに基づいて、前記第3の無線通信装置の前記第2の位置を推定する推定回路と、
を備え
、
前記選別回路は、前記端末モードの前記複数の第1の無線通信装置に対してそれぞれ定められた複数の領域のうち、前記領域に含まれる前記第1の位置の個数が1に等しい前記端末モードの前記第1の無線通信装置の前記信頼度を、前記個数が1に等しくない前記端末モードの前記第1の無線通信装置の前記信頼度よりも、高い前記信頼度として決定する、
位置推定装置。
【請求項2】
前記選別回路は、前記複数の第1の無線通信装置の予め定められたそれぞれの位置と前記端末モードにおいて推定された前記複数の第1の無線通信装置の前記第1の位置との差の大きさがより小さい前記端末モードの前記第1の無線通信装置に対して、より高い前記信頼度を決定する、
請求項
1に記載の位置推定装置。
【請求項3】
前記選別回路は、前記第1の無線通信装置群の個数が所定の個数より小さい場合、前記領域の大きさを拡大して前記信頼度を決定し、前記第1の無線通信装置群の個数が所定の個数より大きい場合、前記領域の大きさを縮小して前記信頼度を決定する、
請求項
1または
2に記載の位置推定装置。
【請求項4】
前記第1の受信品質情報および前記第2の受信品質情報は、受信信号強度である、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の位置推定装置。
【請求項5】
第1の無線信号を送信する複数の第1の無線通信装置と、
前記複数の第1の無線通信装置から送信された第1の無線信号の第1の受信品質情報を測定する第2の無線通信装置と、
第2の無線信号を送信する第3の無線通信装置と、
前記第2の無線通信装置によって前記複数の第1の無線通信装置の第1の位置の推定がなされる端末モード
にて、前記第1の受信品質情報および前記第1の位置に基づいて、
前記端末モードの前記複数の第1の無線通信装置に対して信頼度を決定し、前記複数の第1の無線通信装置から少なくとも1つの前記第1の無線通信装置を含む第1の無線通信装置群を
、前記信頼度の高い順に、選別し、
前記第1の無線通信装置群に対して、前記端末モードから第3の無線通信装置の第2の位置を推定するアンカーモードへの切換を指示し、
前記アンカーモードにて、前記第3の無線通信装置から送信された前記第2の無線信号の、前記第2の無線通信装置および前記アンカーモードの第1の無線通信装置群における前記第2の無線信号の第2の受信品質情報と
前記第1の位置から選別された前記第1の無線通信装置群の前記第
3の位置とに基づいて、前記第3の無線通信装置の前記第2の位置を推定する制御装置と、
を備え
、
前記制御装置は、前記端末モードの前記複数の第1の無線通信装置に対してそれぞれ定められた複数の領域のうち、前記領域に含まれる前記第1の位置の個数が1に等しい前記端末モードの前記第1の無線通信装置の前記信頼を、前記個数が1に等しくない前記端末モードの前記第1の無線通信装置の前記信頼度よりも、高い前記信頼度として決定する、
位置推定システム。
【請求項6】
前記第1の無線通信装置は、照明器具を含む、
請求項
5に記載の位置推定システム。
【請求項7】
第2の無線通信装置によって複数の第1の無線通信装置の第1の位置の推定がなされる端末モード
にて、複数の第1の無線通信装置から送信された第1の無線信号の第2の無線通信装置における第1の受信品質情報および前記第1の位置に基づいて、
前記端末モードの前記複数の第1の無線通信装置に対して信頼度を決定し、前記複数の第1の無線通信装置から少なくとも1つの前記第1の無線通信装置を含む第1の無線通信装置群を
、前記信頼度の高い順に、選別し、
前記第1の無線通信装置群に対して、前記端末モードから第3の無線通信装置の第2の位置を推定するアンカーモードへの切換を指示する信号を生成し、
前記アンカーモードにて、前記第3の無線通信装置から送信された第2の無線信号の、前記第2の無線通信装置および前記アンカーモードの第1の無線通信装置群における第2の受信品質情報と
前記第1の位置から選別された前記第1の無線通信装置群
の第3の位置とに基づいて、前記第3の無線通信装置の前記第2の位置を推定
し、
前記端末モードの前記複数の第1の無線通信装置に対してそれぞれ定められた複数の領域のうち、前記領域に含まれる前記第1の位置の個数が1に等しい前記端末モードの前記第1の無線通信装置の前記信頼度は、前記個数が1に等しくない前記端末モードの前記第1の無線通信装置の前記信頼度よりも、高い前記信頼度として決定される、
位置推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置推定装置、位置推定システム、および位置推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋内に設置された照明器具を用いて、屋内を移動するユーザが保持する無線通信端末の位置を推定するニーズが高まっている。例えば、既定の位置に設置された無線通信装置を搭載した照明器具を利用し、通信エリア内に存在するモバイル端末位置を推定するシステムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の非限定的な実施例は、複数の無線通信装置を用いて無線通信端末の位置推定をする、改善された位置推定装置、位置推定システム、および位置推定方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る位置推定装置は、第2の無線通信装置によって複数の第1の無線通信装置の第1の位置の推定がなされる端末モードにおいて、前記複数の第1の無線通信装置から送信された第1の無線信号の前記第2の無線通信装置における第1の受信品質情報および前記第1の位置に基づいて、前記複数の第1の無線通信装置から少なくとも1つの前記第1の無線通信装置を含む第1の無線通信装置群を選別する選別回路と、前記第1の無線通信装置群に対して、前記端末モードから第3の無線通信装置の第2の位置を推定するアンカーモードへの切換を指示する信号を生成する制御回路と、前記第3の無線通信装置から送信された第2の無線信号の、前記第2の無線通信装置および前記アンカーモードの第1の無線通信装置群における第2の受信品質情報と前記端末モードにおいて推定された前記第1の無線通信装置群の前記第1の位置とに基づいて、前記第3の無線通信装置の前記第2の位置を推定する推定回路と、を備える構成を採る。
【0006】
本開示に係る位置推定システムは、第1の無線信号を送信する複数の第1の無線通信装置と、前記複数の第1の無線通信装置から送信された第1の無線信号の第1の受信品質情報を測定する第2の無線通信装置と、第2の無線信号を送信する第3の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置によって前記複数の第1の無線通信装置の第1の位置の推定がなされる端末モードにおいて、前記第1の受信品質情報および前記第1の位置に基づいて、前記複数の第1の無線通信装置から少なくとも1つの前記第1の無線通信装置を含む第1の無線通信装置群を選別し、前記第1の無線通信装置群に対して、前記端末モードから第3の無線通信装置の第2の位置を推定するアンカーモードへの切換を指示し、前記第3の無線通信装置から送信された前記第2の無線信号の、前記第2の無線通信装置および前記アンカーモードの第1の無線通信装置群における前記第2の無線信号の第2の受信品質情報と前記端末モードにおいて推定された前記第1の無線通信装置群の前記第1の位置とに基づいて、前記第3の無線通信装置の前記第2の位置を推定する制御装置と、を備える構成を採る。
【0007】
本開示に係る位置推定方法は、第2の無線通信装置によって複数の第1の無線通信装置の第1の位置の推定がなされる端末モードにおいて、複数の第1の無線通信装置から送信された第1の無線信号の第2の無線通信装置における第1の受信品質情報および前記第1の位置に基づいて、前記複数の第1の無線通信装置から少なくとも1つの前記第1の無線通信装置を含む第1の無線通信装置群を選別し、前記第1の無線通信装置群に対して、前記端末モードから第3の無線通信装置の第2の位置を推定するアンカーモードへの切換を指示する信号を生成し、前記第3の無線通信装置から送信された第2の無線信号の、前記第2の無線通信装置および前記アンカーモードの第1の無線通信装置群における第2の受信品質情報と前記端末モードにおいて推定された前記第1の無線通信装置群の前記第1の位置とに基づいて、前記第3の無線通信装置の前記第2の位置を推定する構成を採る。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の非限定的な実施例によれば、複数の無線通信装置を用いて無線通信端末の位置推定をする、改善された位置推定装置、位置推定システム、および位置推定方法を提供できる。
【0010】
本開示の非限定的な実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る位置推定システムの構成の一例を示す図
【
図2】実施の形態1に係る位置推定システムの処理フローの一例を示すフローチャート
【
図3】実施の形態1に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図
【
図4】実施の形態1に係るアンカーの構成の一例を示すブロック図
【
図5】実施の形態1に係る照明器具の構成の一例を示すブロック図
【
図6】実施の形態1に係るモバイル端末の構成の一例を示すブロック図
【
図7A】実施の形態1に係る照明配置推定における制御装置の処理フローの一例を示すフローチャート
【
図7B】実施の形態1に係るモバイル端末位置推定における制御装置の処理フローの一例を示すフローチャート
【
図8】実施の形態1におけるアンカーの処理フローの一例を示すフローチャート
【
図9A】実施の形態1に係る照明配置推定における照明器具の処理フローの一例を示すフローチャート
【
図9B】実施の形態1に係るモバイル端末位置推定における照明器具の処理フローの一例を示すフローチャート
【
図10】実施の形態1におけるモバイル端末の処理フローの一例を示すフローチャート
【
図11】実施の形態1における照明配置推定の一例を示すシーケンス図
【
図12】実施の形態1におけるモバイル端末位置推定の一例を示すシーケンス図
【
図13】実施の形態1における信頼度の決定の一例を示す図
【
図14】実施の形態1における信頼度の決定後の状態の一例を示す図
【
図15】実施の形態1における信頼度の決定の他の一例を示す図
【
図16A】実施の形態1における信頼度の決定のさらに他の一例を示す図
【
図16B】実施の形態1における信頼度の決定のさらに他の一例を示す図
【
図16C】実施の形態1における信頼度の決定のさらに他の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
無線通信を用いた端末の位置推定システムにおいては、既知である設置位置が位置推定の基準位置に用いられる無線通信装置(以降、アンカーと呼ぶ)の数が多いほど、位置推定精度が向上する。しかし、特許文献1に記載の位置推定システムでは、モバイル端末位置を推定する際に利用するアンカー数を、システムを最初に設置した時よりも増やすことが困難である。
【0013】
本開示では、位置推定に利用する上で信頼度の高いアンカーの数を増やし、モバイル端末位置の推定精度を向上させる。
【0014】
以下、実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は一例であり、本開示は以下の実施の形態により限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
<位置推定システムの構成>
実施の形態1に係る位置推定システムの構成の一例について、
図1を参照して説明する。
【0016】
図1は、実施の形態1に係る位置推定システム1の構成の一例を示す図である。位置推定システム1は、制御装置(位置推定装置)10と、アンカー(第2の無線通信装置)20と、複数の照明器具(複数の第1の無線通信装置)30(30A~30D)と、モバイル端末(第3の無線通信装置)40と、を備える。制御装置10と、アンカー20と、照明器具30と、モバイル端末40と、の構成の詳細については、それぞれ、
図3~
図6を参照して後述する。
【0017】
以下、4つの照明器具30A~30Dを一例にとって実施の形態1を説明するが、照明器具30の数は2以上の任意の数であってもよい。推定エリア60は、照明器具30またはモバイル端末40の位置推定が行われる対象である、屋内または屋外の任意の範囲である。
【0018】
<位置推定システムの概要>
位置推定システム1は、無線通信端末を備えた照明器具30の位置とモバイル端末40の位置とを推定する。例えば、屋内の天井に設置されている複数の照明器具30をアンカーに用いることができる。
【0019】
位置推定システム1において、アンカー20は、制御装置10と無線通信が可能である。複数の照明器具30は、既定の照明配置(複数の設置位置)に基づいて設置されている。複数の照明器具30は、例えば、オフィスの天井に一定間隔の格子状に設置される。位置推定システム1の初期状態において、複数の照明器具30が、それぞれ、いずれかの照明配置に設置されていればよく、どの照明配置に設置されたかについては、未知であってもよい。
【0020】
また、無線通信端末(照明器具30またはモバイル端末40)の位置推定は、アンカー20との間で送受信される無線信号の受信品質情報と照明器具30の設置位置とに基づいて行われる。例えば、少なくとも3つのアンカーとの距離を受信強度情報に基づいて求めることで、三点測位を用いて、無線通信端末の位置を推定することができる。また、アンカーの数を増やすと、位置推定の精度の向上がより容易になる。
【0021】
位置推定システムの処理は、大きく分けて、次の3つのフェーズから構成される。フェーズ1において、アンカー20を用いた照明器具30の位置推定が行われる。フェーズ2において、照明器具30の中から追加アンカーが選別される。フェーズ3において、アンカー20と追加アンカーを用いたモバイル端末40の位置推定が行われる。フェーズ1、フェーズ2、およびフェーズ3は、この順に実行される。
【0022】
フェーズ1においては、アンカー20と複数の照明器具30の間の受信強度情報を収集し、収集した受信強度情報に基づいて、照明器具30の位置を推定する。制御装置10は、個々の照明器具30に呼出信号(例えば、照明器具ID送信要求信号)を送信する。ここで、IDは、無線通信装置(アンカー20、照明器具30、およびモバイル端末40)を特定する固有識別子または固有識別情報である。照明器具30は、呼出信号の受信に応じて、応答信号を送信する。アンカー20は、この応答信号を受信(傍受)し、傍受した応答信号に基づいて、照明器具30との間の受信品質情報を測定できる。制御装置10は、アンカー20からこれらの受信品質情報を収集し、収集した受信品質情報に基づいて、照明器具30の位置を推定する。以下、フェーズ1を照明配置推定と呼ぶ。
【0023】
フェーズ2において、制御装置10は、フェーズ1で位置を推定した照明器具30の中から、追加アンカーとして用いることができるものを、照明器具30の信頼度に基づいて選別する。照明器具30の信頼度については、
図13~
図16Cを参照して後述する。例えば、制御装置10は、照明器具30の位置推定結果と既定の照明配置とに基づいて、照明器具30ごとに信頼度を決定する。例えば、ある照明器具30について、既定の照明配置と推定結果の誤差(差)が小さい場合、位置推定の信頼度は高いと決定される。次いで、制御装置10は、信頼度が高い照明器具30を所定の数に応じて選別する。次いで、制御装置10は、選別した照明器具30に対し、追加アンカーとして動作するよう指示する。これにより、信頼度が高いと決定された照明器具30を、フェーズ3において、追加アンカーとして用いることができる。
【0024】
フェーズ3において、制御装置10は、フェーズ1で用いたアンカー20と、追加アンカー(フェーズ2で選別した照明器具30)と、を用いて、モバイル端末40の位置推定を行う。フェーズ2で選別された照明器具30は、アンカーとして動作する。フェーズ1と同様に、制御装置10は、モバイル端末40に呼出信号(例えば、モバイル端末ID送信要求信号)を送信する。モバイル端末40は、呼出信号の受信に応じて、応答信号を送信する。アンカーは、この応答信号を受信(傍受)し、傍受した応答信号に基づいて、モバイル端末40との間の受信品質情報を測定できる。制御装置10は、アンカーからこれらの受信品質情報を収集し、収集した受信品質情報に基づいて、モバイル端末40の位置を推定する。以下、フェーズ3をモバイル端末位置推定と呼ぶ。
【0025】
<位置推定に必要な受信品質情報を測定するための手順>
照明器具30またはモバイル端末40の位置推定に用いられる受信品質情報の測定の手順を説明する。
【0026】
まず、制御装置10は、受信品質情報測定開始要求信号をアンカー20に送信する。受信品質情報測定開始要求信号とは、制御装置10またはアンカー20と照明器具30またはモバイル端末40との間の通信信号の、無線通信区間における傍受を宛先の無線通信装置に開始させることを指示する信号である。受信品質情報測定開始要求信号の受信に応じて、アンカー20は、無線通信区間において傍受した無線通信信号の受信品質情報を測定し、無線通信信号に含まれるIDに紐づけして保存する。
【0027】
次に、制御装置10は、照明器具ID送信要求信号またはモバイル端末ID送信要求信号を、照明器具30またはモバイル端末40に送信する。照明器具ID送信要求信号またはモバイル端末ID送信要求信号とは、受信品質情報を測定する通信を確立するために、制御装置10がIDを知らない端末に対し、当該IDの送信を要求する信号である。
【0028】
照明器具ID送信要求信号またはモバイル端末ID送信要求信号の受信に応じて、照明器具30またはモバイル端末40は、照明器具30またはモバイル端末40のIDを含む信号を制御装置に送る応答送信を行う。
【0029】
次に、制御装置10は、測定結果送信要求信号をアンカーに送信する。測定結果送信要求信号とは、アンカーが受信品質情報測定開始要求信号を受信した後に保存したIDと受信品質情報(以降、これらを測定結果と呼ぶ)の制御装置10への送信を要求する信号である。
【0030】
次に、測定結果送信要求信号の受信に応じて、アンカーは、保存した測定結果を制御装置10に送る測定結果応答送信を行う。
【0031】
以下において、受信信号強度(Received Signal Strength Indicator,RSSI)を受信品質情報の一例にとって、本開示を説明するが、受信品質情報は、SNR(Signal-Noise Ratio)、SINR(Signal-to-Interference plus Noise power Ratio)、またはパケット誤り率であってもよい。
【0032】
<位置推定システムの処理フロー>
実施の形態1に係る位置推定システム1の処理フローについて、
図2を参照して説明する。
【0033】
図2は、実施の形態1に係る位置推定システム1の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0034】
ステップST1000において、制御装置10は、既知の位置(第1の位置)に設置される照明器具30との無線通信に基づいて収集した測定結果(第1の受信品質情報)を用いて、照明器具30の位置推定を行う。ステップST1000は、上述のフェーズ1の照明配置推定に該当する。
【0035】
ステップST1001において、制御装置10は、位置推定の結果と既定の照明配置情報を用いて照明器具30ごとに信頼度を決定する。次いで、制御装置10は、決定した信頼度に基づいて、照明器具30の中からステップST1002のモバイル端末位置推定においてアンカーとして利用するものをN個(第1の無線通信装置群)選別する。ここで、Nは、1以上の整数を表す。ステップST1001は、上述のフェーズ2に該当する。
【0036】
ステップST1002において、制御装置10は、アンカー20およびステップST1001において選別されたN個の照明器具30とモバイル端末40との無線通信に基づいて収集した測定結果(第2の受信品質情報)を用いて、モバイル端末40の位置推定(第2の位置の推定)を行う。ステップST1002は、上述のフェーズ3のモバイル端末位置推定に該当する。
【0037】
ステップST1003において、制御装置10は、モバイル端末位置推定を終了するか否かを判定する。モバイル端末位置推定を終了する場合(ステップST1003:Yes)、制御装置10は、処理を終了する。一方、モバイル端末位置推定を継続する場合(ステップST1003:No)、制御装置10は、処理をステップST1002に戻す。
【0038】
なお、ステップST1001で選別されるN個の照明器具を、アンカー20の全て又は一部と置き換えて、ステップST1002,ST1003を実施してもよい。
【0039】
<制御装置>
制御装置10は、アンカー20と、照明器具30と、モバイル端末40と無線通信を行う。さらに、制御装置10は、位置推定に用いられる受信品質情報の測定を制御し、測定結果を収集し、測定結果に基づいて、照明器具30およびモバイル端末40の位置推定を行う。さらに、制御装置10は、照明器具30ごとの信頼度の決定と、信頼度に基づく照明器具30の動作の制御を行う。信頼度の決定方法と信頼度に基づく照明器具30の動作制御手順については、
図13~
図14を参照して後述する。
【0040】
図3は、実施の形態1に係る制御装置10の構成の一例を示すブロック図である。制御装置10は、無線通信部(通信回路)11と、受信品質情報測定制御部12と、照明器具制御部13と、位置推定部(推定回路)14と、信頼度決定部(選別回路)15と、を備える。
【0041】
無線通信部11は、アンカー20、照明器具30、およびモバイル端末40と無線通信を行う。無線通信部11は、照明器具30またはモバイル端末40と通信を行う場合、照明器具ID送信要求信号またはモバイル端末ID要求信号を送信する。無線通信の方式は、例えば、無線LANや、Bluetooth(登録商標)や、またはLPWAである。一例において、無線通信部11は、ネットワークを管理する機能(例えば、アクセスポイント)を有する。
【0042】
受信品質情報測定制御部12は、照明器具30の配置推定またはモバイル端末40の位置推定に用いられる受信品質情報を収集するために、アンカー20または照明器具30と無線通信部11との通信を制御する。受信品質情報測定制御部12は、受信品質情報測定開始要求信号をアンカー20または照明器具30に送信することにより、照明器具30またはモバイル端末40の送信信号の傍受および受信品質情報の測定を開始させる。また、受信品質情報測定制御部12は、測定結果送信要求をアンカー20または照明器具30に送信することにより、受信品質情報の測定結果を収集する。
【0043】
位置推定部14は、受信品質情報測定制御部12が収集した受信品質情報の測定結果に基づいて、照明器具30またはモバイル端末40の位置を推定する。例えば、位置推定部14は、アンカー20または照明器具30からの受信品質情報に基づいて、アンカー20と照明器具30との間の距離を推定する。次いで、位置推定部14は、アンカー20の既知の位置とアンカー20と照明器具30との間の距離とに基づいて、照明器具30の位置を算出する。
【0044】
信頼度決定部15は、照明器具30の設置場所が示された照明配置と位置推定部14による照明器具30の位置推定結果とに基づいて、モバイル端末位置推定において、アンカーとして用いることができるかを示す尺度(以下、信頼度)を、照明器具30のそれぞれに対して決定する。信頼度については、
図13~
図16Cを参照して後述する。信頼度決定部15は、信頼度に基づいて、アンカーとして用いる照明器具30を選別する。
【0045】
照明器具制御部13は、照明器具30に対して照明配置推定における動作とモバイル端末位置推定における動作とを切り替える制御を行う。照明配置推定における動作は、受信品質情報を測定する動作を含む(端末モード)。モバイル位置推定における動作は、アンカーとしての動作を含む(アンカーモード)。照明器具制御部13は、信頼度決定部15によって決定された信頼度に基づいて、照明器具30に、動作モード切替要求信号を送信する。動作モード切替要求信号とは、モバイル端末位置推定において、照明器具30がアンカーとして機能するかどうかを制御装置10が指示する信号である。一例において、照明器具制御部13は、照明器具30のオン/オフや、調光調色制御を行う。
【0046】
<アンカー>
アンカー20は、上述したように、既知である設置位置が、照明器具30およびモバイル端末40の位置推定における基準位置に用いられる無線通信装置である。アンカー20は、照明器具30およびモバイル端末40からの信号を傍受して受信品質情報を測定し、測定結果を制御装置10に送信する。
図1には、アンカー20が1つの場合が示されているが、アンカー20の個数は、任意である。また、設置位置が既知である照明器具30の少なくとも1つをアンカー20に代用してもよい。
【0047】
図4は、実施の形態1に係るアンカー20の構成の一例を示すブロック図である。アンカー20は、無線通信部21と、受信品質情報測定部22と、測定結果通知部23と、を備える。
【0048】
無線通信部21は、制御装置10と無線通信を行う。また、無線通信部21は照明器具30またはモバイル端末40の送信信号を受信(傍受)する。
【0049】
受信品質情報測定部22は、照明器具30またはモバイル端末40の送信信号を傍受し、受信品質情報を測定する。
【0050】
測定結果通知部23は、受信品質情報測定部22で測定した受信品質情報を、無線通信部21を介して制御装置10へ送信する。
【0051】
<照明器具>
照明器具30(30A~30D)は、既定の照明配置情報に基づいて設置される。
【0052】
照明配置推定において、照明器具30は、制御装置10またはアンカー20と通信を行うことにより、制御装置10により既定の照明配置内の位置を推定される位置推定対象である。即ち、照明配置推定において、照明器具30は、照明配置推定における位置推定対象となる。照明器具30は、照明配置推定の位置推定結果を基に、モバイル端末位置推定に用いるアンカーとして利用するかどうかを、制御装置10により判定される。
【0053】
次に、モバイル端末位置推定において、アンカーとして利用される照明器具30は、制御装置10からの指示に応じて、モバイル端末40からの無線通信信号を受信(傍受)して受信品質情報を測定し、測定結果を制御装置10に送信する。
【0054】
図5は、実施の形態1に係る照明器具30(30A~30D)に含まれる無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。なお、照明に関する部分は省略している。
【0055】
照明器具30は、無線通信部31と、受信品質情報測定部32と、測定結果通知部33と、通信制御部34と、を備える。
【0056】
無線通信部31は、制御装置10、アンカー20、またはモバイル端末40と無線通信を行う。
【0057】
受信品質情報測定部32は、制御装置10からの受信品質情報測定開始要求信号の受信に応じて、モバイル端末40が送信する信号の照明器具30における受信品質情報の測定を開始する。
【0058】
測定結果通知部33は、受信品質情報測定部32で測定した受信品質情報を含む信号を生成し、無線通信部31を介して制御装置10へ送信する。以下、信号の一例として、パケットを用いて本開示を説明する。測定結果通知部33が受信品質情報を含むパケットを生成するタイミングは、制御装置10からの制御信号の受信タイミングに基づいてもよく、測定結果通知部33による受信品質情報の測定の終了タイミングに基づいてもよい。
【0059】
通信制御部34は、制御装置10からの照明器具ID送信要求の受信に応じて、照明器具30のIDを制御装置10へ送信する。また、通信制御部34は、制御装置10からの照明器具制御信号の受信に応じて、制御装置10からの受信品質情報測定開始要求信号の受信を開始する。ここで、照明器具制御信号とは、照明器具30の動作モードが照明配置推定からモバイル端末位置推定に移行することを制御装置10が指示する信号である。照明器具制御信号は、ブロードキャスト送信されてもよく、照明配置推定で取得したIDを使用してTDMAなどで送信されてもよい。
【0060】
制御装置10からの照明器具制御信号を受信した場合の、受信品質情報測定部32と、測定結果通知部33と、通信制御部34との上述の動作は一例である。上述の動作に代えて、例えば、通信制御部34は、照明器具制御信号を受信した後に、照明器具ID送信要求信号を受け付けてもよい。
【0061】
<モバイル端末>
モバイル端末40は、任意の位置を任意の経路で動き回る無線通信装置である。モバイル端末40の位置推定において、モバイル端末40は、制御装置10、またはアンカー20、または照明配置推定後にアンカーとして選別されたN個の照明器具30と通信を行う。モバイル端末40は、人が携帯していてもよいし、自動走行機などに搭載されていてもよい。
【0062】
図6は、実施の形態1に係るモバイル端末40の構成の一例を示すブロック図である。モバイル端末40は、無線通信部41と制御部42と、を備える。
【0063】
無線通信部41は、制御装置10、アンカー20、または照明器具30と無線通信を行う。
【0064】
制御部42は、制御装置10からのモバイル端末ID送信要求の受信に応じて、モバイル端末40のIDを含むパケットを生成し、無線通信部41を介して制御装置10に送信する。
【0065】
<処理フロー:制御装置>
図7Aは、実施の形態1に係る照明配置推定における制御装置10の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0066】
ステップST101において、制御装置10は、アンカー20に受信品質情報測定開始要求を送信する。受信品質情報測定開始要求の受信に応じて、アンカー20は、照明器具30の送信信号受信待ち状態に入り、受信品質情報の測定を開始する。
【0067】
ステップST102において、制御装置10は、照明器具30に照明器具ID送信要求のブロードキャストを行う。
【0068】
ステップST103において、制御装置10は、照明器具ID送信要求の受信に応じて照明器具30が送信した照明器具IDを受信する。ステップS102~ステップST103は、アンカー20と照明器具30との通信の受信品質情報測定を行うために、実施される。
【0069】
ステップST104において、制御装置10は、アンカー20に測定結果の送信要求(測定結果送信要求)を送信する。測定結果は、ステップST103において照明器具30によって送信された照明器具IDをアンカー20が傍受して測定した受信品質情報と照明器具IDとを含む。
【0070】
ステップST105において、制御装置10は、アンカー20から受信した測定結果を収集する。上述のステップST101~ST105の処理によって、照明器具30の位置の推定に必要な受信品質情報測定のための通信制御が行われる。
【0071】
ステップST106において、制御装置10は、既知のアンカー20の位置とステップST105で収集した測定結果とに基づいて、照明器具30の位置を推定する。
【0072】
ステップST107において、制御装置10は、既定の照明配置情報と照明器具30の位置推定結果とに基づいて、照明器具30のそれぞれに対して信頼度を決定する。信頼度の決定の処理内容については、
図13~
図16Cを参照して後述する。
【0073】
ステップST108において、制御装置10は、ステップST107で決定した信頼度に基づいて、照明器具30の中からアンカーを選別する。一例において、選別する基準は、信頼度が所定の閾値以上であるか否かである。他の一例において、選別する基準は、信頼度の高い順に、上からN個である。ここで、Nは、予め設定された、所望のアンカー数Nである。
【0074】
ステップST109において、制御装置10は、選別したN個の照明器具30に動作モード切替要求信号を送信し、モバイル端末位置推定においてアンカーとして動作することを指示する。上述のステップST107~ST109の処理によって、既定の照明配置情報と照明器具30との紐づけ処理を介して決定した信頼度を用いて、次のモバイル端末位置推定において利用するアンカーが追加される。
【0075】
図7Bは、実施の形態1に係るモバイル端末位置推定における制御装置10の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0076】
ステップST110において、制御装置10は、照明器具30へ照明器具制御信号を送信し、
図7Aを参照して上述したステップST109で指示した動作に従ってモバイル端末40の位置推定を開始することを照明器具30に指示する。
【0077】
ステップST111において、制御装置10は、アンカー20と、
図7Aを参照して上述したステップST108でアンカーとして選別したN個の照明器具30と、に受信品質情報測定開始要求を送信する。受信品質情報測定開始要求の受信に応じて、アンカー20と、ステップST108でアンカーとして選別したN個の照明器具30は、モバイル端末40からの送信信号受信待ち状態に入り、受信品質情報測定を開始する。
【0078】
ステップST112において、制御装置10は、モバイル端末40にモバイル端末ID送信要求をブロードキャストする。
【0079】
ステップST113において、制御装置10は、モバイル端末ID送信要求の受信に応じてモバイル端末40が送信したモバイル端末IDを受信する。ステップST112,ST113の処理によって、制御装置10は、モバイル端末40との通信による受信品質情報測定を行うために、モバイル端末40と通信を確立する処理を行う。
【0080】
ステップST114において、制御装置10は、アンカー20と、ステップST108においてアンカーに選別されたN個の照明器具30と、に測定結果送信要求を送信する。
【0081】
ステップST115において、制御装置10は、測定結果送信要求の受信に応じてアンカー20と、ステップST108でアンカーに選別されたN個の照明器具30と、が送信した、モバイル端末40のIDと受信品質情報を受信し、測定結果を収集する。
【0082】
ステップST116において、制御装置10は、アンカー20の既知の設置位置とステップST115において収集された測定結果とに基づいて、モバイル端末40の位置を推定する。
【0083】
ステップST117において、制御装置10は、全ての測定が終了したか判定する。全ての測定が終了した場合(ステップST117:Yes)、制御装置10は、処理を終了する。また、全ての測定が終了していない場合(ステップST117:No)、制御装置10は、処理をステップST110に戻す。
【0084】
上述のステップST110からステップST116までの処理によって、制御装置10は、推定エリア60内にあるモバイル端末40の位置の推定を行う。
【0085】
<処理フロー:アンカー>
図8は、実施の形態1におけるアンカーの処理フローの一例を示すフローチャートである。アンカー20は、
図8を参照して後述されるステップST201からステップST206までの処理によって、照明配置推定およびモバイル端末位置推定を行う。アンカー20は、位置推定対象である照明器具30またはモバイル端末40からの送信信号を傍受し、受信品質情報の測定および保存を繰り返す。制御装置10からの測定結果の要求に応じて、アンカー20は、保存していた測定結果を、まとめて制御装置10へ送信する。
【0086】
ステップST201において、アンカー20は、受信品質情報測定開始要求を制御装置10から受信する。
【0087】
受信品質情報測定開始要求の受信に応じて、ステップST202において、アンカー20は、照明器具30またはモバイル端末40からの送信信号の受信待ち状態を開始する。
【0088】
ステップST203において、アンカー20は、照明器具30またはモバイル端末40が送信したパケットを受信(傍受)し、受信品質情報を測定し、パケットに含まれるIDと受信品質情報とを保存する。アンカー20は、照明器具30またはモバイル端末40からブロードキャストされたパケットを受信してもよいし、アンカー20宛てでないパケットを傍受してもよい。
【0089】
ステップST204において、アンカー20は、制御装置10からの測定結果送信要求を受信したか否かを判定する。測定結果送信要求を受信していない場合(ステップST204:No)、アンカー20は、処理をステップST202に戻す。
【0090】
一方、測定結果送信要求を受信した場合(ステップST204:Yes)、ステップST205において、アンカー20は、ステップST203において保存した測定結果を制御装置10へ送信する。
【0091】
ステップST206において、アンカー20は、全ての測定が終了したか判定する。全ての測定が終了した場合(ステップST206:Yes)、アンカー20は、処理を終了する。また、全ての測定が終了していない場合(ステップST206:No)、アンカー20は、処理をステップST201に戻す。
【0092】
<処理フロー:照明器具>
図9Aは、実施の形態1に係る照明配置推定における照明器具30の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0093】
ステップST301において、照明器具30は、照明器具ID送信要求を制御装置10から受信する。照明器具ID送信要求を受信した照明器具30は、ステップST302において、照明器具30のIDを制御装置10に応答送信する。
【0094】
上述のステップST301,ST302の処理によって、照明器具30は、照明配置推定における動作を行う。例えば、ステップST301において、照明器具30は、制御装置10またはアンカー20と行った通信の無線通信区間における受信品質情報を測定され、位置を推定される、位置推定対象として動作する。
【0095】
ステップST303において、照明器具30は、動作モード切替要求信号を制御装置10から受信する。
【0096】
ステップST304において、照明器具30は、照明器具制御信号を制御装置10から受信する。
【0097】
ステップST305において、照明器具30は、ステップST303において受信した動作モード切替要求信号がアンカーとして機能することを指示するか否かを判定する。
【0098】
動作モード切替要求信号がアンカーとして機能することを指示する場合(ステップST305:Yes)、照明器具30は、
図9Bを参照して後述するステップST306へ処理を移す。また、動作モード切替要求信号がアンカーとして機能することを指示しない場合(ステップST305:No)、照明器具30は、処理をステップST304に戻す。
【0099】
上述のステップST303~ステップST305が実施された後、制御装置10の制御を受けて、照明配置推定における推定対象からモバイル端末位置推定におけるアンカーへと照明器具30の動作変更が行われる。
【0100】
なお、照明器具配置推定は複数回実施してもよい。複数回の実施において、動作モード切替要求信号がアンカーとして機能することを指示しない場合(ステップST305:No)、照明器具30は、処理をステップST301に戻してもよい。
【0101】
図9Bは、実施の形態1に係るモバイル端末位置推定における照明器具30の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0102】
ステップST306において、照明器具30は、制御装置10からの受信品質情報測定開始要求信号の受け付けを開始する。
【0103】
ステップST307において、照明器具30は、モバイル端末40からの送信信号の受信待ち状態を開始する。
【0104】
ステップST308において、照明器具30は、モバイル端末40から傍受したパケットの受信品質情報を測定し、パケットに含まれるIDと受信品質情報とを保存する。
【0105】
ステップST309において、照明器具30は、制御装置10から測定結果送信要求を受信したか否かを判定する。制御装置10から測定結果送信要求を受信していない場合(ステップST309:No)、照明器具30は、処理をステップS307に戻す。
【0106】
制御装置10から測定結果送信要求を受信した場合(ステップST309:Yes)、ステップST310において、照明器具30は、ステップST308で保存した測定結果を制御装置10へ送信する。
【0107】
ステップST311において、照明器具30は、全ての測定が終了したか判定する。全ての測定が終了した場合(ステップST311:Yes)、照明器具30は、処理を終了する。また、全ての測定が終了していない場合(ステップST311:No)、照明器具30は、処理をステップST306に戻す。
【0108】
上述のステップST306~ST311の処理によって、照明器具30は、モバイル端末位置推定において新たに追加されるアンカーとして動作する。
【0109】
<処理フロー:モバイル端末>
モバイル端末40は、制御装置10、またはアンカー20、またはアンカーとして選別されたN個の照明器具30と、の間で行った通信の受信品質情報が測定され、位置が推定される位置推定対象として動作する。
【0110】
図10は、実施の形態1におけるモバイル端末40の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0111】
ステップST401において、モバイル端末40は、モバイル端末ID送信要求を制御装置10から受信する。
【0112】
モバイル端末ID送信要求を受信したモバイル端末40は、ステップST402において、モバイル端末40のIDを制御装置10に送信する。
【0113】
ステップST403において、モバイル端末40は、受信品質情報の測定が終了したか判定する。受信品質情報の測定が終了した場合(ステップST403:Yes)、モバイル端末40は、処理を終了する。一方、受信品質情報の測定が終了していない場合(ステップST403:No)、モバイル端末40は、処理をステップST401に戻す。
【0114】
なお、モバイル端末40は、図示しない制御装置10からの測定終了を通知する信号を受信することによって、受信品質情報の測定が終了したか否かを判定してもよい。また、モバイル端末40は、制御装置10からの信号を既定の時間の間受信しなかった場合に、受信品質情報の測定が終了したと判断してもよい。また、モバイル端末40の電源がユーザによって切断された場合、モバイル端末40は受信品質情報の測定を終了したと判断してもよい。
【0115】
<照明配置推定のシーケンス図>
照明配置推定においては、既定の照明配置内での位置を推定する対象となる照明器具30と、アンカー20と、制御装置10と、が無線通信を行う。
【0116】
図11は、実施の形態1における照明配置推定の一例を示すシーケンス図である。
【0117】
ステップST500(
図7AのステップST101に対応)において、制御装置10は、受信品質情報測定開始要求信号をアンカー20に送信する。受信品質情報測定開始要求信号の受信に応じて、アンカー20は照明器具30の送信信号の受信待ち状態となる。
【0118】
ステップST501(
図7AのステップST102に対応)において、制御装置10は、照明器具IDが未知である照明器具30に、照明器具ID送信要求信号を送信する。
【0119】
ステップST502(
図7AのステップST103に対応)において、照明器具30Aは、制御装置10に照明器具IDの応答送信を行う。また、アンカー20は、照明器具30Aからの応答送信を傍受し、照明器具30Aとアンカー20との間の受信品質情報を測定する。
【0120】
ステップST503,ST504(
図7AのステップST102,ST103に対応)は、それぞれ、ステップST501,ST502と同様であり、説明を省略する。上述のステップST501~ST504によって、照明器具30の照明器具IDの取得と、位置推定に必要な受信品質情報測定のための通信と、が行われる。
【0121】
ステップST505(
図7AのステップST104に対応)において、制御装置10は、アンカー20が測定した測定結果の送信を、アンカー20に対して要求する。
【0122】
ステップST506(
図7AのステップST105に対応)において、アンカー20は、ステップST502,ST504における受信品質情報の測定結果を制御装置10に送信する。上述のステップST505,ST506を実施することにより、制御装置10は、照明配置推定に必要な情報の取得を完了する。
【0123】
ステップST506の後に、制御装置10は、アンカー20から送信された受信品質情報の測定結果に基づいて、照明器具30ごとの位置推定(
図7AのステップST106)と、信頼度の算出(
図7AのステップST107)と、モバイル端末位置推定でアンカーとする照明器具30の選別(
図7AのステップST108)と、を行う。信頼度の算出および照明器具の選別については、
図13~
図16Cを参照して後述する。
【0124】
ステップST507(
図7AのステップST109に対応)において、制御装置10は、照明器具30の選別の結果に基づいて、動作モード切替要求信号を照明器具30に送信する。これにより、制御装置10は、モバイル端末位置推定における照明器具30の動作を、照明器具30に対して指示する。
【0125】
<モバイル端末位置推定のシーケンス図>
モバイル端末位置推定においては、位置推定対象となるモバイル端末40と、アンカー20と、照明器具30と、制御装置10と、が無線通信を行う。照明器具30は、
図11のステップST507でアンカーとして動作するよう制御された照明器具30と、
図11のステップST507でアンカーとして動作するよう制御されなかった照明器具30と、を含む。
【0126】
図12は、実施の形態1におけるモバイル端末位置推定の一例を示すシーケンス図である。以下において、照明器具30Dが、アンカーとして動作するように制御された照明器具30であり、照明器具30Aが、アンカーとして動作するよう制御されなかった照明器具30である場合の、モバイル端末位置推定のシーケンスを説明する。
【0127】
ステップST508(
図7BのステップST110に対応)において、制御装置10は、照明器具30Aに照明器具制御信号を送信する。照明器具制御信号の受信に応じて、照明器具30Aは、モバイル端末位置推定の開始を認識し、既に
図11のステップST507において指示されている動作を行う。
【0128】
ステップST509(
図7BのステップST110に対応)において、制御装置10は、照明器具30Dに照明器具制御信号を送信する。照明器具制御信号の受信に応じて、照明器具30Dは、モバイル端末位置推定の開始を認識し、既に
図11のステップST507において指示されている動作を行う。照明器具30Dは、ステップST509以降においてアンカーとして動作する。
【0129】
ステップST510(
図7BのステップST111に対応)において、制御装置10は、アンカー20に受信品質情報測定開始要求信号を送信する。受信品質情報測定開始要求信号の受信に応じて、アンカー20は、モバイル端末40からの送信信号受信待ちを開始する。
【0130】
ステップST511(
図7BのステップST111に対応)において、制御装置10は、照明器具30Dに受信品質情報測定開始要求信号を送信する。受信品質情報測定開始要求信号の受信に応じて、照明器具30Dは、アンカーとしてのモバイル端末40からの送信信号受信待ちを開始する。なお、ステップST510,ST511が実施される順序は、どちらが先でもよい。
【0131】
ステップST512(
図7BのステップST112に対応)において、制御装置10は、モバイル端末40にモバイル端末ID送信要求信号を送信する。
【0132】
ステップST513(
図7BのステップST113に対応)において、モバイル端末40は、制御装置10にモバイル端末IDを含む応答送信を行う。また、アンカー20は、モバイル端末40からの応答送信を傍受し、受信品質情報を測定する。また、ステップST509以降においてアンカーとして動作している照明器具30Dも、モバイル端末40からの応答送信を傍受し、受信品質情報を測定する。
【0133】
上述のステップST512,ST513を実施することによって、モバイル端末40のID取得と、位置推定に必要な受信品質情報測定のための通信と、が行われる。
【0134】
ステップST514(
図7BのステップST114に対応)において、制御装置10は、ステップST513におけるアンカー20による測定結果の送信要求(測定結果送信要求信号)をアンカー20に送信する。
【0135】
測定結果送信要求信号の受信に応じて、ステップST515(
図7BのステップST115に対応)において、アンカー20は、測定結果を制御装置10に送信する。
【0136】
ステップST516(
図7BのステップST114に対応)において、制御装置10は、ステップST513における照明器具30Dによる測定結果の送信要求(測定結果送信要求信号)を照明器具30Dに送信する。
【0137】
測定結果送信要求信号の受信に応じて、ステップST517(
図7BのステップST115に対応)において、照明器具30Dは、測定結果を制御装置10に送信する。
【0138】
ステップST514~ST517が実施されることによって、制御装置10は、モバイル端末位置推定に必要な情報の取得を完了する。
【0139】
上述の
図12においては、モバイル端末40の位置推定に用いられるアンカーとして、照明器具30Dを用いた場合を一例にとって実施の形態1を説明したが、照明器具30A~30Cを用いた場合も同様である。
【0140】
<信頼度の決定の一例>
モバイル端末40の位置推定において、照明配置推定で位置を推定した照明器具30の全てをアンカーとして採用した場合、推定精度の悪い照明器具30をアンカーとして利用するので、モバイル端末40の位置推定精度を向上させることが困難である。
【0141】
制御装置10は、既定の照明配置情報と照明器具30の位置推定結果とに基づいて、照明器具30ごとに信頼度を決定する。制御装置10は、信頼度の高い照明器具30を、モバイル端末40の位置推定に用いるアンカーとして追加することによって、モバイル端末位置推定の推定精度を向上できる。信頼度の決定の一例について、
図13~
図14を参照して説明する。
【0142】
図13は、実施の形態1における信頼度の決定の一例を示す図である。設置位置が既知であるアンカー20は、実線の四角形で示されている。
【0143】
照明配置50A~50Dは、規定の配置であり、照明器具30(
図1参照)の位置推定を行い、照明配置50A~50Dと照明器具30A~30Dとの紐づけを行う。
図13において、照明器具30A~30Dの実際の設置位置の一例は、黒丸で示されている。なお、
図13に示される照明配置50A~50Dの形状は、長方形であるが、照明配置50A~50Dの形状は、長方形に限られない。
【0144】
照明器具位置推定結果52A~52Dは、それぞれ、照明器具30A~30Dの推定された位置を示す。
【0145】
照明配置領域53A~53Dは、照明器具30A~30Dを照明配置50A~50Dに紐づけるか否かの判定に用いられる領域である。一例において、照明配置領域53A~53Dは、それぞれ、照明配置50A~50D内の一点(例えば、中心または重心)を中心とし、距離51A~51Dを半径とする円である。距離51A~51Dは、同じ値であってもよく、互いに異なる値であってもよい。距離51A~51Dは、照明配置50A~50D間の距離の半分の値でもよい。照明配置50は、照明配置領域53の重心に位置していてもよく、重心とは異なる位置(例えば、照明配置領域53内の端)に位置していてもよい。
【0146】
1つの照明配置領域53内に照明器具位置推定結果52が2つ以上ある場合、照明配置50と照明器具位置推定結果52との間の距離を算出し、距離が小さいほど信頼度が高く、距離が大きいほど信頼度が低くなるよう、例えば、0から1の間の信頼度が決定される。信頼度が最も高い、即ち、照明配置50から最も近くに推定された位置を有する照明器具位置推定結果52に対応する照明器具30が、照明配置50と紐づけられる。
【0147】
照明配置領域53Aの内側に位置する照明器具位置推定結果は、照明器具位置推定結果52A,52Cの2つである。この場合、制御装置10は、照明配置50Aからの距離がより近い照明器具位置推定結果52Aに対応する照明器具30Aの信頼度が高いと決定し、照明器具30Cの信頼度が低いと決定し、照明配置50Aと照明器具30Aとを紐づける。
【0148】
また、照明配置領域53Bの内側に位置する照明位置推定結果は、照明位置推定結果52Bの1つである。この場合、制御装置10は、照明位置推定結果52Bに対応する照明器具30Bの信頼度が高いと決定し、照明配置50Bと照明器具30Bとを紐付ける。
【0149】
また、照明配置領域53Dの内側に位置する照明位置推定結果は、照明位置推定結果52Dの1つである。この場合、制御装置10は、照明位置推定結果52Dに対応する照明器具30Dの信頼度が高いと決定し、照明配置50Dと照明器具30Dとを紐付ける。
【0150】
なお、照明配置領域53Cの内側に位置する照明位置推定結果は、照明位置推定結果52が存在しない。この場合、制御装置10は、照明配置50Cに紐づける照明器具30は存在しないと判断する。
【0151】
以上より、制御装置10は、信頼度が高く決定された照明器具30A,30B,30Dを、モバイル端末位置推定に用いられるアンカーとして選別する。
【0152】
図14は、実施の形態1における信頼度の決定後の状態の一例を示す図である。
【0153】
図14に示されるモバイル端末40の位置推定時の状態において、制御装置10は、アンカー20に加えて、アンカーとして選別した照明器具30A,30B,30Dを位置が既知であるアンカーとして利用し、モバイル端末40の位置推定を行う。
【0154】
図14に示されるモバイル端末40の位置推定時の状態において、アンカーとして動作する、アンカー20と照明器具30A,30B,30Dが実線の四角形で示されている。また、制御装置10がアンカーとして選別しなかった照明器具30Cは、位置が推定されていないことを示す点線の四角形で示されている。
【0155】
図13に示される照明配置推定後においては、位置推定に用いられるアンカーは、アンカー20の1つであった。これに対して、
図14に示されるモバイル端末40の位置推定時の状態においては、位置推定に用いられるアンカーは、アンカー20と、照明器具30A,30B,30Dと、の4つに増加している。
【0156】
<信頼度の決定の他の一例>
図15は、実施の形態1における信頼度の決定の他の一例を示す図である。
図15に示される一例においては、照明器具位置推定結果52B,52Cは、照明器具30A(
図1参照)の照明配置50Aから等距離に位置する。
【0157】
一例において、2つ以上の照明器具位置推定結果52B,52Cが、1つの照明配置領域53A内に存在し、かつ照明配置50Aから等距離にある場合、照明器具位置推定結果52B,52Cに対応する照明器具30B,30C(
図1参照)は全て信頼度が低いと決定される。この場合、制御装置10は、照明器具30B,30Cを照明配置50B,50Cに紐付けない。
【0158】
<信頼度の決定の他の一例>
照明配置領域53が重複した場合について、
図16A~
図16Cを用いて説明する。
図16A~
図16Cは、実施の形態1における信頼度の決定のさらに他の一例を示す図である。
【0159】
一例において、
図16Aに示されるように、2つの照明配置領域53A,53Bが重複する領域内に照明器具位置推定結果52Aが位置する照明器具30A(
図1参照)が1つの場合、1つの照明器具30Aは、距離が近い照明配置50Aに紐づけられる。
図16Aに示される一例においては、制御装置10は、照明器具30Aを照明配置50Aに紐づける。
【0160】
また、
図16Bに示されるように、2つの照明配置領域53A,53Bが重複する領域内に照明器具位置推定結果52A,52Cが位置する照明器具30A,30C(
図1参照)が複数あり、照明器具位置推定結果52A,52Cが照明配置50から等距離に位置することがある。一例において、照明器具位置推定結果52A,52Cの数が、重複している照明配置領域53A,53Bの数以下である場合、照明器具30A,30Cは、いずれかの照明配置50にランダムに紐づけられる。例えば、制御装置10は、照明器具30Aを照明配置50Aに紐づけ、照明器具30Cを照明配置50Bに紐づける。
【0161】
また、
図16Cに示されるように、2つの照明配置領域53A,53Bが重複する領域内に照明器具位置推定結果52A,52B,52Cが位置する照明器具30A,30B,30C(
図1参照)が複数あることがある。さらに、照明器具位置推定結果52A,52B,52Cが、いずれも照明配置50A,50Bから等距離に位置することがある。一例において、照明器具位置推定結果52A,52B,52Cの数が、重複している照明配置領域53A,53Bの数より多い場合、照明器具30の信頼度が低いと決定される。
【0162】
ただし、照明器具位置推定結果52Aは、照明器具位置推定結果52B,52Cよりも照明配置50から近い距離に位置している。この場合、照明器具30Aは照明配置50A,50Bのいずれかに紐づけられてもよい。なお、照明器具30B,30Cは照明配置50のいずれにも紐付けられない。
【0163】
図15および
図16A~
図16Cを参照して上述したいずれの条件にも当てはまらない場合に、
図13および
図14を参照して上述した<信頼度の決定の一例>を適用してもよい。即ち、算出された位置推定結果52A~52Dが照明配置50A~50Dに最も近い照明器具30A~30Dに対して高い信頼度が決定され、より高い信頼度を有する照明器具30A~30Dが照明配置50A~50Dに紐づけられる。
【0164】
照明器具30A~30Dは、実際の設置場所とは異なる照明配置50A~50Dに紐づけられたにも関わらず、信頼度が高く決定されてしまう状況が考えられる。この状況を回避するために、一例において、制御装置10は、照明配置情報に含まれる参照情報に基づいて信頼度を決定してもよい。参照情報は、照明配置50A~50Dごとに設置される照明器具30A~30Dを示す情報である。例えば、制御装置10は、照明器具位置推定結果52A~52Dが、それぞれ、照明配置50A~50Dの付近にあるか否かの判定の結果が参照情報に整合しない場合、照明器具30A~30Dに対して信頼度を0と決定する。
【0165】
実施の形態1によれば、無線通信を用いたモバイル端末40の位置推定において、位置推定における信頼度の高い照明器具30を選別して最初に設置したアンカーに追加することにより、モバイル端末40の位置推定精度を向上できる。
【0166】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態1においては、位置推定システム1は、ステップST1000における照明配置推定およびステップST1001における信頼度に基づくアンカーの選定を、位置推定システム1の初期動作時に実施する。これに代えて、ステップST1000,ST1001を初期動作時以外に実施する実施の形態も考えられる。例えば、ステップST1000,ST1001は、定期的に実施されてもよい。ステップST1000,ST1001が定期的に実施されることによって、位置推定システム1は、時々刻々と変動する電波環境に追従してアンカーを選定できる。
【0167】
上述の実施の形態1においては、信頼度は、0または1の値をとる。これに代えて、信頼度が、0と1以外の値をとりうる実施の形態も考えられる。例えば、制御装置10は、照明配置50A~50Dと照明器具位置推定結果52A~52Dとの位置の差を算出する。次いで、制御装置10は、差が大きいほどより低い信頼度を、差が小さいほどより高い信頼度を、それぞれ、0から1の間で決定してもよい。
【0168】
上述の実施の形態1においては、照明配置領域53の大きさは、固定されている。これに代えて、制御装置10が、照明配置50と照明器具30の紐づけ処理を繰り返し行って、照明配置領域53の大きさを調整する実施の形態も考えられる。例えば、アンカーに選別できる信頼度の高い照明器具30を、モバイル端末40の位置推定に十分な数得られない場合がある。この場合、制御装置10は、十分な数の照明器具30をアンカーに選別できるまで、照明配置領域53を拡大し、信頼度を再度決定してもよい。逆に、制御装置10は、アンカーに選別できる信頼度の高い照明器具30の数が既定の値まで減少するまで、照明配置領域53を縮小し、信頼度を再度決定してもよい。例えば、照明配置50からの距離51を増加させるまたは減少させることにより、照明配置領域53を拡大または縮小してもよい。
【0169】
上述の実施の形態1においては、照明配置領域53A~53Dは、円形の領域である。これに代えて、照明配置領域53A~53Dが円形の領域でない実施の形態も考えられる。例えば、照明配置領域53A~53Dは、多角形の領域や、任意の閉曲線に囲まれた領域であってもよい。
【0170】
上述の実施の形態1においては、照明配置50からの距離51を、半径を用いて表している。これに代えて、距離51値が、多角形の照明配置領域53における重心から、最も遠い頂点までの距離を表す実施の形態も考えられる。また、距離51が、照明配置50から、屋内の壁(図示せず)までの距離を表す実施の形態も考えられる。
【0171】
上述の実施の形態1においては、受信品質情報測定部22および測定結果通知部23(
図4参照)は、制御装置10と別体として設けられるアンカー20が備える。これに代えて、制御装置10とアンカー20とが一体として設けられる実施の形態も考えられる。この場合、制御装置10が、受信品質情報測定部22および測定結果通知部23を備えてもよい。
【0172】
上述の実施の形態1においては、照明器具30は、照明機能を備える。しかしながら、照明器具30に代えて、アンカー20およびモバイル端末40と無線通信ができる無線通信装置を備える実施の形態も考えられる。無線通信装置は、例えば、スピーカー、火災報知器、警報器、非常灯、時計、空気清浄機、またはエアコンを含んでもよい。また、照明器具と他の無線通信装置との双方を用いてもよい。
【0173】
上述の実施の形態においては、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0174】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0175】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0176】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0177】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0178】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0179】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0180】
本開示に係る位置推定装置は、第2の無線通信装置によって複数の第1の無線通信装置の第1の位置の推定がなされる端末モードにおいて、前記複数の第1の無線通信装置から送信された第1の無線信号の前記第2の無線通信装置における第1の受信品質情報および前記第1の位置に基づいて、前記複数の第1の無線通信装置から少なくとも1つの前記第1の無線通信装置を含む第1の無線通信装置群を選別する選別回路と、前記第1の無線通信装置群に対して、前記端末モードから第3の無線通信装置の第2の位置を推定するアンカーモードへの切換を指示する信号を生成する制御回路と、前記第3の無線通信装置から送信された第2の無線信号の、前記第2の無線通信装置および前記アンカーモードの第1の無線通信装置群における第2の受信品質情報と前記端末モードにおいて推定された前記第1の無線通信装置群の前記第1の位置とに基づいて、前記第3の無線通信装置の前記第2の位置を推定する推定回路と、を備える。
【0181】
本開示に係る位置推定装置において、前記選別回路は、前記第1の受信品質情報に基づいて、前記端末モードの前記複数の第1の無線通信装置に対して信頼度を決定し、前記端末モードの前記複数の第1の無線通信装置から前記信頼度の高い順に、前記第1の無線通信装置群に属する前記第1の無線通信装置を選別する。
【0182】
本開示に係る位置推定装置において、前記推定回路は、前記第1の受信品質情報および前記第2の無線通信装置の位置に基づいて、前記端末モードの前記複数の第1の無線通信装置の第3の位置を推定し、前記選別回路は、前記端末モードの前記複数の第1の無線通信装置に対してそれぞれ定められた複数の領域のうち、前記領域に含まれる前記第3の位置の個数が1に等しい前記端末モードの前記第1の無線通信装置に対して、前記個数が1に等しくない前記端末モードの前記第1の無線通信装置よりも高い前記信頼度を決定する。
【0183】
本開示に係る位置推定装置において、前記選別回路は、前記複数の第1の無線通信装置の予め定められたそれぞれの位置と前記端末モードにおいて推定された前記複数の第1の無線通信装置の前記第1の位置との差の大きさがより小さい前記端末モードの前記第1の無線通信装置に対して、より高い前記信頼度を決定する。
【0184】
本開示に係る位置推定装置において、前記選別回路は、前記第1の無線通信装置群の個数が所定の個数より小さい場合、前記領域の大きさを拡大して前記信頼度を決定し、前記第1の無線通信装置群の個数が所定の個数より大きい場合、前記領域の大きさを縮小して前記信頼度を決定する。
【0185】
本開示に係る位置推定装置において、前記第1の受信品質情報および前記第2の受信品質情報は、受信信号強度である。
【0186】
本開示に係る位置推定システムは、第1の無線信号を送信する複数の第1の無線通信装置と、前記複数の第1の無線通信装置から送信された第1の無線信号の第1の受信品質情報を測定する第2の無線通信装置と、第2の無線信号を送信する第3の無線通信装置と、前記第2の無線通信装置によって前記複数の第1の無線通信装置の第1の位置の推定がなされる端末モードにおいて、前記第1の受信品質情報および前記第1の位置に基づいて、前記複数の第1の無線通信装置から少なくとも1つの前記第1の無線通信装置を含む第1の無線通信装置群を選別し、前記第1の無線通信装置群に対して、前記端末モードから第3の無線通信装置の第2の位置を推定するアンカーモードへの切換を指示し、前記第3の無線通信装置から送信された前記第2の無線信号の、前記第2の無線通信装置および前記アンカーモードの第1の無線通信装置群における前記第2の無線信号の第2の受信品質情報と前記端末モードにおいて推定された前記第1の無線通信装置群の前記第1の位置とに基づいて、前記第3の無線通信装置の前記第2の位置を推定する制御装置と、を備える。
【0187】
本開示に係る位置推定システムにおいて、前記第1の無線通信装置は、照明器具を含む。
【0188】
本開示に係る位置推定方法は、第2の無線通信装置によって複数の第1の無線通信装置の第1の位置の推定がなされる端末モードにおいて、複数の第1の無線通信装置から送信された第1の無線信号の第2の無線通信装置における第1の受信品質情報および前記第1の位置に基づいて、前記複数の第1の無線通信装置から少なくとも1つの前記第1の無線通信装置を含む第1の無線通信装置群を選別し、前記第1の無線通信装置群に対して、前記端末モードから第3の無線通信装置の第2の位置を推定するアンカーモードへの切換を指示する信号を生成し、前記第3の無線通信装置から送信された第2の無線信号の、前記第2の無線通信装置および前記アンカーモードの第1の無線通信装置群における第2の受信品質情報と前記端末モードにおいて推定された前記第1の無線通信装置群の前記第1の位置とに基づいて、前記第3の無線通信装置の前記第2の位置を推定する。
【産業上の利用可能性】
【0189】
本開示は、無線通信端末の位置を推定するシステムにおいて有用である。
【符号の説明】
【0190】
1 位置推定システム
10 制御装置
11、21,31,41 無線通信部
12 受信品質情報測定制御部
13 照明器具制御部
14 位置推定部
15 信頼度決定部
20 アンカー
22、32 受信品質情報測定部
23、33 測定結果通知部
30(30A~30D) 照明器具
34 通信制御部
40 モバイル端末
42 制御部
50 照明配置
51 照明配置からの距離
52 照明器具位置推定結果
53 照明配置領域
60 推定エリア