(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ハンガー
(51)【国際特許分類】
A47G 25/40 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
A47G25/40 A
(21)【出願番号】P 2019115767
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2018119009
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512268066
【氏名又は名称】瀬倉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】瀬倉 統男
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3208617(JP,U)
【文献】特開2000-210189(JP,A)
【文献】実公昭47-024754(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0059557(US,A1)
【文献】特開2015-080710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フック部と、
前記フック部の下方に設けられ、アームの支持部を有する本体と、
前記本体に、上下変位可能に支持される
正面から見て左右側面が平行な当接部に形成されたロッドによる作動部材と、
前記本体の前記支持部に、根元が回動可能に支持される2本の前記アームと、
前記2本のアームの夫々の根元側端部に、前記作動部材を押し下げる方向の力を前記アームが開く方向の力に変換するように設けられた一対の開閉部と、
を備えるハンガーであって、
前記本体が
、前記作動部材の上下変位の軸上において、使用者の片方の手の一の指を挿通可能な第一指挿通孔を有すると共に、前記作動部材が、
当該作動部材の上下変位の軸上において、前記使用者の前記片方の手の他の指を挿通可能な第二指挿通孔を有し、前記第一指挿通孔に入れた前記一の指と前記第二挿通孔入れた前記他の指により前記本体と前記作動部材とを
、当該作動部材の
上下方向で相対
変位させて前記2本のアームを
前記支持部において左右に開閉させるようにしたハンガー。
【請求項2】
前記開閉部は、
前記作動部材の
平行な当接部に接する面が、前記アームの先端部において当該アームの長軸に対し鋭角をなすように配置された請求項1に記載のハンガー。
【請求項3】
前記開閉部は、
前記作動部材の平行な当接部に接する面が、前記アームの先端部において当該アームの長軸に対し鈍角をなすように配置された請求項1に記載のハンガー。
【請求項4】
前記本体は、
板状の第一部材と前記第一部材と対向する第二部材とを有し、前記第一部材と前記第二部材の間で、前記作動部材を上下方向に変位可能に支持する請求項1~3の何れか1項に記載のハンガー。
【請求項5】
前記本体は、
上端に前記ロッドが挿入される開口部を有する筒形状をなし、下端に切り欠き部を有する請求項1~3の何れか1項に記載のハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
衣料品を販売する店舗において、例えば丸首のTシャツをハンガーにかけて展示する場合、従来のハンガーを使うとTシャツの下部からハンガーを差し入れなければならず、工数と時間がかかっていた。
【0003】
この点に関し、ハンガーの左右のアームを下方に折りたたみ、Tシャツの首の部分からハンガーのアームを差し入れ、その後にアームを開くタイプのハンガーが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかし、特許文献1に記載のハンガーは、アームを下方に折りたたむヒンジ部分の機構が複雑であり、製造コストが高いものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、安価に製造することができ、容易かつ迅速に衣類に着脱できるハンガーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、フック部と、フック部の下方に設けられ、支持部を有する本体と、本体に、上下変位可能に支持される作動部材と、本体の支持部に、根元が回動可能に支持される2本のアームと、2本のアームの夫々の根元側端部に、作動部材を押し下げる方向の力をアームが開く方向の力に変換するように設けられた一対の開閉部と、を備えるハンガーを提供する。
【0008】
開閉部は、アームの長軸に対して、作動部材に接する面が鋭角をなすように設けることができる。
【0009】
開閉部は、アームの長軸に対して、作動部材に接する面が鈍角をなすように設けることができる。
【0010】
本体は、板状の第一部材と第一部材と対向する第二部材とを有し、第一部材と第二部材の間で、作動部材を上下方向に変位可能に支持するように形成させることができる。
その場合は、本体は、使用者の片方の手の一の指を挿通可能な第一指挿通孔を有し、作動部材は、使用者の片方の手の他の指を挿通可能な第二指挿通孔を有することが好ましい。
【0011】
作動部材はロッドであり、本体は、上端にロッドが挿入される開口部を有する筒形状をなし、下端に切り欠き部を有するように形成させることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、安価に製造することができ、容易かつ迅速に衣類に着脱できるハンガーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】アームを開いた状態の参考第1実施形態のハンガーを示す正面図。
【
図2】アームを閉じた状態の本実施形態のハンガーを示す正面図。
【
図3】
図1に示す本実施形態のハンガーを示す斜視図。
【
図4】
図1に示す本実施形態のハンガーの
図3におけるA-A断面図。
【
図5】
図2に示す本実施形態のハンガーの
図3におけるA-A断面図。
【
図7】アームを開いた状態の参考第2実施形態のハンガーの正面図。
【
図8】アームを開いた状態の第1実施形態のハンガーを示す正面図。
【
図9】
図8に示す本実施形態のハンガーのアームが開いた状態で第二部材を取り除いた状態の正面図。
【
図10】
図8に示す本実施形態のハンガーのアームが閉じた状態で第二部材を取り除いた状態の正面図。
【
図11】アームを開いた状態の第2実施形態のハンガーを示す正面図。
【
図12】
図11に示す本実施形態のハンガーのアームが開いた状態で第二部材を取り除いた状態の正面図。
【
図13】
図11に示す本実施形態のハンガーのアームが閉じた状態で第二部材を取り除いた状態の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のハンガーの参考第1実施形態を、
図1~6を参照しながら説明する。
【0015】
〔参考第1実施形態〕
図1は第一アーム40と第二アーム50を開いた状態の本実施形態のハンガー1を示す正面図、
図2は第一アーム40と第二アーム50を閉じた状態の本実施形態のハンガー1を示す正面図、
図3は
図1に示す本実施形態のハンガー1を示す斜視図、
図4は
図1に示す本実施形態のハンガー1の
図3におけるA-A断面図、
図5は
図2に示す本実施形態のハンガーの
図3におけるA-A断面図、
図6は本体の下部の断面図である。
【0016】
本明細書において、
図1を正面視した場合の上下左右、手前側、奥側をそれぞれ上下左右、手前側、奥側という。
【0017】
図1から
図6までに示すように、本実施形態のハンガー1は、フック部10と、フック部10の下方に設けられ、支持部28を有する本体20と、本体20に、上下変位可能に支持される作動部材であるロッド30と、本体20の支持部28に、根元が回動可能に支持される第一アーム40及び第二アーム50と、それらの夫々の根元側端部に、ロッド30を押し下げる方向の力を第一アーム40及び第二アーム50が開く方向の力に変換するように設けられた一対の開閉部60と、を備える。
ハンガー1は、開閉部60を押圧乃至開放して第一アーム40と第二アーム50の開閉状態を変える開閉機構の構成する作動部材であるロッド30を上下方向に変位させることにより、第一アーム40と第二アーム50の開閉状態を変えることができる。
【0018】
ハンガー1は、合成樹脂、金属のほか、紙や木によっても形成可能である。
【0019】
フック部10は、物干竿等の被掛体にハンガー1を吊ることができるように湾曲する。フック部10の下端には本体20が設けられる。
【0020】
本体20は、上面の開口部から下方に向かって伸びる空洞部21を有し、有底筒状をなす。本体20は、正面視において略四角形に形成されている。本体20は、奥側に配置される第一部材24と、手前側に配置される第二部材26と、を有する。
【0021】
第一部材24は内側の上下方向中ほどの左右に寄った位置に、先端に凹部を有する一対のメスピン25を備える。第二部材26は、メスピン25に対応する位置に、先端に凸部を有する一対のオスピン27を備える。メスピン25にオスピン27を嵌合させた状態の部材を、以下、支持部28という。支持部28は本体20に一体に形成されていても、別体に形成されていてもよい。
【0022】
本体20の空洞部21にはロッド30が挿入される。空洞部21は、上端を開口部として上下方向に沿って設けられる。ロッド30は上下方向に変位可能に空洞部21に挿入される。第一部材24又は第二部材26には、開閉機構を構成する要素であり、ロッド30の上方方向の変位を制限するためのロッド支持部30Bが設けられている。ロッド支持部30Bは、空洞部21にロッド30が配置されるときに、ロッド30の開閉機構を構成する要素である縦長貫通孔30Aの中で上下方向に変位可能に挿通される。
【0023】
空洞部21は、開口から底面までの距離が、ロッド30の長さよりも短い。従って、ロッド30の下端が本体20の底に達しても、ロッド30は、全ては本体20に挿入されない。
【0024】
第一部材24は開口部分を除き、縁に壁部を有する。第一部材24は、メスピン25とほぼ同じ高さから下方に向かって進み、本体20の底に相当する位置の一部まで、壁部が切り欠かれた第一切欠き22を有する。第二部材26は開口部分を除き、縁に壁部を有する。第二部材26は、オスピン27とほぼ同じ高さから下方に向かって進み、本体20の底に相当する位置の一部まで、壁部が切り欠かれた第二切欠き23を有する。
【0025】
第一部材24と第二部材26とを合わせると、第一切欠き22と第二切欠き23とによって二つの貫通孔が出来上がる。
【0026】
第一アーム40の根元には貫通孔である支持部挿通孔42が、第二アーム50の根元には貫通孔である支持部挿通孔52がそれぞれ設けられる。支持部挿通孔42と支持部挿通孔52にはそれぞれ支持部28が挿通されることにより、第一アーム40及び第二アーム50は本体20に回動可能に取り付けられる。
【0027】
第一アーム40の根元側の端部及び第二アーム50の根元側の端部には、第一アーム40及び第二アーム50が開いたときに第一アーム40及び第二アーム50の上端面と鋭角をなして下方に伸びる面を有する板状の部材である開閉部60が設置される。開閉部60は、第一アーム40及び第二アーム50の長軸に対して、ロッド30に接する面が鋭角をなす面であってもよい。
【0028】
開閉部60は、ロッド30が下側に向かう力を、第一アーム40と第二アーム50が開く方向の力に変換する。
【0029】
ロッド30は、本体20の空洞部21を上下方向に変位することにより、開閉部60を押圧乃至開放し、第一アーム40と第二アーム50の開閉状態を変える。ロッド30は、中空有底の柱形状をなす。ロッド30は側面のうち開閉部60に対向しない面の一つに、ロッド30の長軸方向に伸びる縦長貫通孔30Aを有する。ロッド30はロッド支持部30Bが縦長貫通孔30Aに挿通されてロッド30に係止されることにより、空洞部21を上下変位可能に本体20に係止される。
【0030】
ロッド30の上端部の底を使用者の指と当接する押下げ部31といい、ロッド30の下端部の底を当接部32という。押下げ部31は、当接部32よりも太く形成されてもよい。押下げ部31の上面の面積を大きくすることにより、ロッド30を容易に押し下げることができる。
【0031】
当接部32は、左右方向の幅が、第一アーム40と第二アーム50が開いた状態になったときの開閉部60同士の間の距離と同じか僅かに小さい。ロッド30を押し下げて下側に変位させると、下側に向かう力が開閉部60によって第一アーム40と第二アーム50とを開く方向の力に変換され、第一アーム40と第二アーム50が開く。ロッド30を引き上げると、第一アーム40と第二アーム50とを開く方向の力が無くなり、第一アーム40と第二アーム50は自重によって閉じる。
【0032】
第一アーム40は、側面視がL字状をなし、上端面に第一板41、第一板41の下面に第一板41の長手方向に沿って第二板43を有する。第一板41と第二板43は、衣類を吊り下げるのに適した長さを有する。
【0033】
第二アーム50は、側面視がL字状をなし、上端面に第一板51、第一板51の下面に第一板51の長手方向に沿って第二板53有する。第一板51と第二板53は、衣類を吊り下げるのに適した長さを有する。
【0034】
次に、ハンガー1の動作について説明する。
【0035】
最初に、第一アーム40と第二アーム50を閉じた状態から開く状態にする際の動作について説明する。
【0036】
図2に示す第一アーム40と第二アーム50を閉じた状態において、この2本のアームをTシャツなどの衣類の首穴に挿入する。
【0037】
第一アーム40と第二アーム50の向きをそれぞれ袖の向きに合わせ、押下げ部31を指で押して、ロッド30を下側に変位させる。その際、当接部32が開閉部60に当接して、一対の開閉部60を押し開き、第一アーム40と第二アーム50が次第に開いた状態になっていく。そして、ロッド30の下端が本体20の底付近まで押し下げられると、第一アーム40と第二アーム50は開かれた状態になる。そして、第一アーム40と第二アーム50が開いた状態は、
図4に示すように、開閉部60がロッド30の側面と面接触して維持される。
【0038】
次に、第一アーム40と第二アーム50を開いた状態から閉じた状態にする際の動作について説明する。
【0039】
図1に示す第一アーム40と第二アーム50を開いた状態において、ロッド30を上側に変位させる。
図4に示す開閉部60がロッド30の側面と空洞部21の内面に挟まれた状態から解除されて、第一アーム40と第二アーム50が自重により閉じた状態になる。
【0040】
以上述べたように、本実施形態のハンガー1は、フック部10と、フック部10の下方に設けられ、上端が開口する筒形状をなし、下端に支持部28及び切り欠き部(第一切欠き22及び第二切欠き23)を有する本体20と、本体20の内部に上下変位可能に配置されるロッド30と、本体20に根元が支持部28によって回動可能に支持される2本のアーム(第一アーム40及び第二アーム50)と、各アームの根元側端部にロッド30を押し下げる方向の力をアームが開く方向の力に変換する一対の開閉部60と、を備える。
【0041】
従って、本発明に係るハンガー1は、構成が簡単であり、ロッド30を押し下げることにより第一アーム40と第二アーム50を一回の動作によって開くことができるという効果がある。よって、安価に製造することができ、容易かつ迅速に衣類に脱着できるハンガーを提供することができるという効果がある。
【0042】
〔参考第2実施形態〕
次に、参考第2実施形態について
図7を参照して説明する。
参考第1実施形態と同じ構成要素には、参考第1実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0043】
参考第1実施形態が第一部材24と第二部材26により本体20が筒状に形成されていたのに対し、本実施形態のハンガー1Aは、板状の対面する第一部材24aと第二部材26aにより、本体20aがロッド30を手前側と奥側の両面で上下方向に変位可能に挟むように形成されている。
【0044】
第一部材24aは、参考第1実施形態のハンガー1と同様にメスピン25に加えて、先端に凹部を有する第一メスピン25aを有する。
第一メスピン25aは、第二部材26aとの対向面におけるメスピン25よりも上側の左右に寄った位置と、前記メスピン25よりも下側の左右方向の中間の位置に設けられている。
具体的には、上側の左右一対の第一メスピン25aが、その間にロッド30を上下方向に変位可能に挿入できるように設けられている。また、下側の第一メスピン25aは、ロッド30の下端が当接し、ロッド30の全てが本体20aの中に挿入できない位置に設けられている。
【0045】
第二部材26aは、参考第1実施形態のハンガー1と同様にオスピン27に加えて、3つの第一メスピン25aの夫々に対応する位置に、先端に凸部を有する3つの第一オスピン27aを備える。
【0046】
第一部材24aと第二部材26aは、第一オスピン27aを第一メスピン25aに嵌合させることにより、連結される。第一部材24aと第二部材26aが連結されると、参考第1実施形態と同様に、第一アーム40の根元に設けられた支持部挿通孔42と第二アーム50の根元に設けられた支持部挿通孔52に、夫々挿通される一対の支持部28が形成される。ロッド30は、本体20aの内部で上下方向に変位可能に支持される。
【0047】
以上述べたように、本実施形態のハンガー1Aにおいても、参考第1実施形態のハンガー1と同様に、動作させることができる。
そして、本体20aを筒状でなく板状の第一部材24aと第二部材26aによりロッド30を挟むように形成させることにより、参考第1実施形態のハンガー1よりも構造が簡単になり、安価に製造することができる。
【0048】
〔第1実施形態〕
次に、本発明の第1実施形態について
図8から
図10を参照して説明する。
参考第1実施形態と同じ構成要素には、参考第1実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0049】
参考第1実施形態が第一部材24と第二部材26により本体20が筒状に形成されていたのに対し、本実施形態のハンガー1Bは、板状の対面する第一部材24bと第二部材26bにより、本体20bがロッド30bを手前側と奥側の両面で上下方向に変位可能に挟むように形状に形成されている。
さらに、ハンガー1Bは、開閉機構が、後述する第一アーム40bと第二アーム50bを片手で開閉するための構成要素を有する。
【0050】
第一部材24bは、参考第1実施形態のハンガー1と同様にメスピン25に加えて、上端にフック部10bと、第二部材26bとの対向面に、ガイド片29と、開閉機構を構成する貫通孔30Cとを有する。
【0051】
フック部10bは、第一部材24bの上端に設けられている。つまり、参考第1実施形態では、ロッド30がフック部10が一体に設けられているのに対し、本実施形態では、ロッド30bがフック部10bとは別に設けられている。
【0052】
ガイド片29は、ロッド30bが上下方向に変位する際にガイドするためのものである。
ガイド片29は、第二部材26bとの対向面に2つ設けられている。
ガイド片29は、ロッド30bの下端の位置から上端の位置までの変位をガイド出来るように、第一部材24bの上端から上側に伸びている。ロッド30bが下端の位置に配置されると、開閉部60を押圧して第一アーム40bと第二アーム50bを開いた状態にすることができ、ロッド30bが上端の位置に配置されると、開閉部60を開放して第一アーム40bと第二アーム50bを閉じた状態できる。
ガイド片29は、第二部材26bと当接する当接面を有し、その当接面に後述する第二部材26bに設けられたボス26dが嵌合するボス穴29bが形成されている。
一対のガイド片29の間の距離は、ロッド30bの左右方向の幅と等しいか僅かに大きい。
なお、ガイド片29は、第一部材24bと一体に設けられていなくてもよい。例えば、支持部28と同様にオスピンとメスピンにより設けられた支持部により、回転不能に係止されていてもよい。
【0053】
貫通孔30Cは、第一部材24bの表裏を貫通して形成されている。
貫通孔30Cは、人間の一の指を挿入可能な程度の大きさで形成されている。
貫通孔30Cは、ロッド30bが開閉部60を押圧している位置において、ロッド30bが露出しない位置に形成されている。
貫通孔30Cは、正面視したときに、後述する第二部材26bの貫通孔30Dと重なるように形成されている。貫通孔30Cと貫通孔30Dにより第一指挿通孔30Eが形成される。
【0054】
第二部材26bは、上端にフック部10bと、第一部材24bとの対向面に、ボス穴29bに対向する位置にボス26dと、メスピン25と対向する位置にオスピン27と、貫通孔30Cに対向する位置に開閉機構を構成する貫通孔30Dとを有する。
貫通孔30Dは、貫通孔30Cと同一、又は略同一に形成されている。
なお、フック部10bは、第一部材24bと第二部材26bのどちらか一方のみに設けられていてもよい。
【0055】
第一部材24bと第二部材26bは、ボス26dをボス穴29bに嵌合させることにより、連結される。第一部材24bと第二部材26bが連結されると、参考第1実施形態と同様に、第一アーム40bの根元に設けられた支持部挿通孔42と、第二アーム50bの根元に設けられた支持部挿通孔52が夫々挿通される一対の支持部28が形成される。
なお、第一部材24b又は第二部材26bには、参考第1実施形態と同様に、開閉機構を構成する要素であり、ロッド30bの上方方向の変位を制限するためのロッド支持部30Bが設けられている。ロッド支持部30Bは、ロッド30bが本体20bの内部に配置されるときに、ロッド30bに設けられた開閉機構を構成する要素である縦長貫通孔30Aに上下方向に変位可能に挿通される。
【0056】
第一アーム40bは、平板状に形成されている。つまり、参考第1実施形態の第一アーム40のように、第一板41を有しない。
第一アーム40bは、根元側の端部に開閉部60bが設置される。開閉部60bは、手前側から奥側への奥行方向の厚さが、第一アーム40bと略等しく形成されている。
第一アーム40bは、衣類を吊り下げるのに適した長さを有する。
【0057】
第二アーム50bは、第一アーム40bと線対称の関係にある以外は、その構造が第一アーム40bと同じである。
【0058】
ロッド30bは、板状に形成されている。上側に表裏を貫通する第二指挿通孔30Fが形成されている。第一指挿通孔30Eと第二指挿通孔30Fの間の距離は、ロッド30bが開閉部60bを押圧しているときよりも、ロッド30bが開閉部60bを押圧していないときの方が長くなる。
【0059】
なお、ロッド30bは、参考第1実施形態のロッド30と同様に、側面のうち開閉部60bに対向しない面の一つに、ロッド30の長軸方向に伸びる縦長貫通孔30Aを有する。ロッド30bは、縦長貫通孔30Aにロッド支持部30Bが挿通されていることにより、本体20bに上下変位可能に支持される。
【0060】
次に、ハンガー1Bの動作について、参考第1実施形態のハンガー1と異なる点について説明する。具体的には、開閉機構として第一指挿通孔30Eと第二指挿通孔30Fを有することにより、ハンガー1と異なる動作について説明する。
【0061】
最初に、第一アーム40bと第二アーム50bを閉じた状態から開く状態にする際の動作について説明する。
【0062】
まず、第一アーム40bと第二アーム50bを閉じた状態において、この2本のアームをTシャツなどの衣類の首穴に挿入する。
【0063】
第一アーム40bと第二アーム50bの向きをそれぞれ袖の向きに合わせ、第一指挿通孔30Eと第二指挿通孔30Fの夫々に片方の手の一の指を入れて、第一指挿通孔30Eと第二指挿通孔30Fの間の距離が短くなるようにする動作を行う。それにより、ロッド30bを下側に変位させて当接部32が開閉部60bに当接させることで、一対の開閉部60bを押し開き、第一アーム40bと第二アーム50bが開いた状態になっていく。そして、第一アーム40bと第二アーム50bが開いた状態は、
図9に示すように、開閉部60がロッド30bの側面と当接することで、維持される。
【0064】
次に、第一アーム40bと第二アーム50bを開いた状態から閉じた状態にする際の動作について説明する。
【0065】
図9に示す第一アーム40bと第二アーム50bを開いた状態において、第一指挿通孔30Eと第二指挿通孔30Fに片方の手の指を入れて、第一指挿通孔30Eと第二指挿通孔30Fの間の距離が長くなるようにする動作を行う。それにより、ロッド30bを上側に変位させて、
図9に示す開閉部60bが当接部32に隣接する側面に当接した状態から解除されて、
図10に示す第一アーム40bと第二アーム50bが自重により閉じた状態になる。
【0066】
以上述べたように、本実施形態のハンガー1Bは、その開閉機構が第一指挿通孔30Eと第二指挿通孔30Fを有していることにより、片手で、容易に開閉部60bを押圧乃至開放して、第一アーム40bと第二アーム50bの開閉状態を変えることができる。
【0067】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について
図11から
図13を参照して説明する。
参考第1実施形態と同じ構成要素には、参考第1実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0068】
参考第1実施形態が第一部材24と第二部材26により本体20が筒状に形成されていたのに対し、本実施形態のハンガー1Cは、板状の第一部材24cと第二部材26cにより、本体20cが開閉機構を構成する作動部材30cを手前側と奥側の両面で上下方向に変位可能に挟むように形成されている。
また、本実施形態のハンガー1Cは、開閉機構が、後述する第一アーム40cと第二アーム50cを片手で開閉するための構成要素を有する。
さらに、開閉部60cの形状が参考第1実施形態の開閉部60と異なり、開いたときに第一アーム40cの上端面と鈍角をなして上方に伸びる面を有するように設けられている。
【0069】
第一部材24cは、参考第1実施形態のハンガー1と同様にメスピン25に加えて、第二部材26aと対向する面に先端に凹部を有する第二メスピン25cと、開閉機構を構成する貫通孔30Gとを有する。
【0070】
第二メスピン25cは、第一部材24cの第二部材26cと対向する面において、貫通孔30Gよりも上側の位置と、貫通孔30Gよりも下側の位置に設けられる。具体的には、貫通孔30Gよりも上側の位置で、一対の第二メスピン25cが、後述する作動部材30cの縦長貫通孔30Lの左右方向の側面と当接するように設けられて、同様に、貫通孔30Gよりも下側の位置で、一対の第二メスピン25cが縦長貫通孔30Lの左右方向の側面と当接するように設けられている。
【0071】
貫通孔30Gは、第一部材24cの表裏を貫通して形成されている。
貫通孔30Gは、人間の一の指を挿入できる程度の大きさで形成されている。
貫通孔30Gは、正面視したときに、後述する第二部材26cの貫通孔30Hと重なるように形成されている。貫通孔30Gと貫通孔30Hにより第一指挿通孔30Iが形成される。
【0072】
第二部材26cは、参考第1実施形態のハンガー1と同様にオスピン27に加えて、4つの第二メスピン25cの夫々に対応する位置に先端に凸部を有する第二オスピン27cと、貫通孔30Gに対向する位置に開閉機構を構成する貫通孔30Hとを有する。
貫通孔30Hは、貫通孔30Gと同一、又は略同一に形成されている。
【0073】
第一部材24cと第二部材26cは、第二オスピン27cを第二メスピン25cに嵌合させることにより、連結される。第一部材24cと第二部材26cが連結されると、参考第1実施形態と同様に、第一アーム40cの根元に設けられた支持部挿通孔42と、第二アーム50cの根元に設けられた支持部挿通孔52が夫々挿通される一対の支持部28が形成される。
なお、参考第1実施形態のロッド支持部30Bの代わりに、本実施形態では、第二メスピン25cが、作動部材30cの左右方向及び上方方向の変位を制限する役割も有する。つまり、第二メスピン25cは、作動部材30cが本体20cの内部に配置されるときに、作動部材30cに設けられた開閉機構を構成する要素である縦長貫通孔30Lに挿通される。
【0074】
第一アーム40cは、平板状に形成されている。つまり、参考第1実施形態の第一アーム40のように、第一板41を有しない。
参考第1実施形態の第一アーム40には、第一アーム40が開いたときにその上端面と鋭角をなして下方に伸びる面を有する開閉部60が設置されていたのに対し、第一アーム40cには、その根元側の端部に、開いたときに第一アーム40cの上端面と鈍角をなして上方に伸びる面を有する開閉部60cが設けられている。
開閉部60cは、手前側から奥側への奥行方向の厚さが、第一アーム40cと略等しく形成されている。
第一アーム40cは、衣類を吊り下げるのに適した長さを有する。
【0075】
第二アーム50cは、第一アーム40cと線対称の関係にある以外は、その構造が第一アーム40cと同じである。
【0076】
作動部材30cは、板状に形成されている。フック部10の近傍に表裏を貫通する第二指挿通孔30Kが形成されている。第一指挿通孔30Iと第二指挿通孔30Kの間の距離は、作動部材30cが開閉部60cを押圧しているときよりも、作動部材30cが開閉部60cの押圧から開放されているときの方が長くなる。
作動部材30cは、当接部32が、その左右方向の中間で下側に伸びて形成されるロッド部32aと、左右方向の端に下側に伸びて形成される固定部32bとを有する。
【0077】
ロッド部32aは、第一アーム40cと第二アーム50cの開閉部60cを押圧乃至開放して、これらの開閉状態を変えることができる。
ロッド部32aは、その下端が、第一アーム40cと第二アーム50cが閉じた状態の時の一対の開閉部60cと当接する。
ロッド部32aの左右方向の幅は、第一アーム40cと第二アーム50cが開いた状態になったときの開閉部60c同士の間の距離と同じか僅かに小さい。そのため、作動部材30cが押し下げると、ロッド部32aの側面が開閉部60cと当接するが、その状態でさらに作動部材30cが押し下げて、開閉部60cをロッド部32aと固定部32bの間に位置させることができる。これにより、第一アーム40cと第二アーム50cが開いた状態を維持できる。
【0078】
固定部32bは、開閉部60cとロッド部32aの面接触が万一維持できなくなった場合に、第一アーム40cと第二アーム50cが開いた状態を維持することができる。
固定部32bは、ロッド部32aよりも短く形成されている。具体的には、ロッド部32aに開閉部60cが押圧されて第一アーム40cと第二アーム50cが閉じた状態から開いた状態に回動する際に、開閉部60cと接触して回動を阻害しないように、ロッド部32aよりも短く形成されている。
ロッド部32aと固定部32bの間は、第一アーム40cが開いた状態になったときの開閉部60cの左右方法の幅と略等しい。
【0079】
作動部材30cを押し下げて下側に変位させると、第一アーム40cと第二アーム50cに当接したロッド部32aにより、下側に向かう力が開閉部60cによって第一アーム40cと第二アーム50cとを開く方向の力に変換され、第一アーム40cと第二アーム50cが開く。第一アーム40cと第二アーム50cが開いた位置で、一対の開閉部60cがロッド部32aと固定部32bの間に位置する。第一アーム40cと第二アーム50cが開いた状態は、開閉部60cがロッド部32aの側面と面接触して維持される。
一方、作動部材30cを上側に変位させると、ロッド部32aが開閉部60cと当接しなくなることで、
図12に示す第一アーム40cと第二アーム50cがロッド部32aと当接した状態から解除されて、第一アーム40と第二アーム50は自重によって閉じる。
【0080】
作動部材30cは、参考第1実施形態のロッド30と同様に、側面のうち開閉部60に対向しない面の一つに、作動部材30cの長軸方向に伸びる縦長貫通孔30Lを有する。縦長貫通孔30Lは、左右方向の幅が、第一指挿通孔30Iの直径と略等しく形成されている。
ロッド30bは、縦長貫通孔30Lに第二メスピン25cが挿通されていることにより、本体20cに上下変位可能に支持される。
【0081】
次に、ハンガー1Cの動作について、参考第1実施形態のハンガー1と異なる点について説明する。具体的には、開閉機構として第一指挿通孔30Iと第二指挿通孔30Kを有することにより、ハンガー1と異なる動作について説明する。
【0082】
まず、第一アーム40cと第二アーム50cを閉じた状態において、この2本のアームをTシャツなどの衣類の首穴に挿入する。
【0083】
第一アーム40cと第二アーム50cの向きをそれぞれ袖の向きに合わせ、第一指挿通孔30Iと第二指挿通孔30Kに片方の手の指を入れて、第一指挿通孔30Iと第二指挿通孔30Kの間の距離が短くなるようにする動作を行う。それにより、作動部材30cを下側に変位させて当接部32のロッド部32aを開閉部60cに当接させることで、一対の開閉部60cを押し開き、第一アーム40cと第二アーム50cが開いた状態になっていく。そして、第一アーム40cと第二アーム50cが開いた状態は、
図12に示すように、開閉部60cが作動部材30cのロッド部32aの側面と接触して維持される。
【0084】
次に、第一アーム40cと第二アーム50cを開いた状態から閉じた状態にする際の動作について説明する。
【0085】
図12に示す第一アーム40cと第二アーム50cを開いた状態において、第一指挿通孔30Eと第二指挿通孔30Fに片方の手の指を入れて、第一指挿通孔30Eと第二指挿通孔30Fの間の距離が長くなるようにする動作を行う。それにより、作動部材30cを上側に変位させて、
図12に示す開閉部60がロッド部32aに当接した状態から解除されて、第一アーム40cと第二アーム50cが自重により閉じた状態になる。
【0086】
以上述べたように、本実施形態のハンガー1Cは、その開閉機構が第一指挿通孔30Iと第二指挿通孔30Kを有していることにより、片手で、容易に開閉部60cを押圧乃至開放して、第一アーム40cと第二アーム50cの開閉状態を変えることができる。
【0087】
以上、本発明のハンガーについて、上述した実施形態を用いて説明したが、本発明は、これに限定されない。
【0088】
例えば、上述した実施形態では、ロッド30は、押下げ部31と当接部32を有しているが、当接部32のみ有していてもよい。その場合にも、ロッド30を押し下げることができる。
【0089】
また、本実施形態では、第一アーム40と第二アーム50が用いられているが、本発明はこれに限定されない。2つのアームが互いに同一形状に形成され、一方のアームが他方の裏返しに用いられてもよい。その場合には、第一切欠き22と第二切欠き23がアームに対応して形成される。
【0090】
さらに、参考第1実施形態では、第一アーム40と第二アーム50は、第一板と第二板を有しているが、本発明はこれに限定されない。第一板と第二板のどちらか一方のみを有していてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 ハンガー
10 フック部
20 本体
28 支持部
30 ロッド
40 第一アーム
50 第二アーム
60 開閉部