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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】遠隔操作式排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
E03C1/22 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019141210
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021025221
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内川 篤
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-075506(JP,A)
【文献】特開2003-105825(JP,A)
【文献】特開2017-115564(JP,A)
【文献】特開2017-160686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0255055(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1455059(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/298
A47K 1/14
F16K 31/00-31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体の底面に設けられた排水口を、排水口から離間した位置に設けた操作部への操作によって開閉させる遠隔操作式排水栓装置であって、
操作部は、
ケーシング体である操作部本体と、
使用者が操作を行う操作ボタンと、
一端が排水口の開閉機構に、一端が操作部本体に、それぞれ取り付けられ、操作ボタンへの操作に対応して往復直線運動を行うことで、操作ボタンの操作を開閉機構に伝達する操作伝達部材と、
一端は操作ボタンに、他端は操作伝達部材に、それぞれ嵌合してなり、操作ボタンへの操作を操作伝達部材に伝達する操作体と、
からなり、
操作体は、操作ボタンの方向に移動させることで操作伝達部材との嵌合を解除できると共に、
操作体と操作伝達部材端部との嵌合強度が、操作体と操作ボタンとの嵌合強度よりも強い嵌合強度であることを特徴とする、遠隔操作式排水栓装置。
【請求項2】
操作伝達部材が、
側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したアウターチューブと、
該アウターチューブ内に摺動自在に配置される、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したインナーワイヤと、
から構成され、
操作体と嵌合する操作伝達部材の端部が、インナーワイヤの端部であることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項3】
操作伝達部材の端部が、排水口の開閉状態を保持するための、軸部を備えたロック機構であって、
該操作伝達部材の端部としてのロック機構の軸部と操作体とが嵌合することを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項4】
操作伝達部材が、
側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したアウターチューブと、
該アウターチューブ内に摺動自在に配置される、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したインナーワイヤと、
レリースワイヤ端部に取り付けられ、インナーワイヤ端部に当接してインナーワイヤの進退を固定する軸部を備えたロック機構と、
から構成され、
操作体と嵌合する操作伝達部材の端部が、ロック機構の軸部であることを特徴とする、請求項3に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項5】
上記遠隔操作式排水栓装置において、
遠隔操作式排水栓装置が、操作ボタンへの使用者の操作により操作体を進退せることにより排水口を開閉する手動操作部と、
電動の駆動機構によって操作体を進退させることにより排水口を開閉する電動駆動部と、
から構成されることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項6】
操作体は、
操作部本体の操作ボタン側から取り出し可能な第一操作体と、
電動駆動部に接続されて操作部本体の操作ボタン側から取り出し不可能な第二操作体とから構成され、
第一操作体と第二操作体とは、操作体と操作伝達部材端部との嵌合強度よりも強い嵌合強度で嵌合してなることを特徴とする、請求項5記載の遠隔操作式排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を、排水口から離間した位置に設けた操作部への操作により開閉する遠隔操作式の排水栓装置に関するものであって、特に手動操作と、電動による操作の両方を兼用する電動・手動兼用式の遠隔操作式排水栓装置の操作部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴槽や洗面ボウルなどの槽体の内部に生じた排水を処理するため、槽体の底面等に排水口を設け、この排水口から配管部材を介し、下水側に排水を排出する方法が広く知られている。また、槽体内に水を溜める場合に、弁部材の昇降を利用して排水口を開閉する方法があるが、この弁部材による排水口の開閉を、弁部材や排水口から離間した位置、例えば槽体の縁部や槽体側面の上方に設けた操作部への操作によって行う遠隔操作式排水栓装置が知られている。
広く知られた遠隔操作式排水栓装置としては、特許文献1に記載のような、槽体の底面に設けられた排水口と、排水口を上下動することによって閉塞する弁部材と、槽体の近傍に備えられた、ボタン部材及び操作体を有する操作部と、操作部に加えられた操作を排水口に備えられた弁部材に伝達するレリースワイヤと、から構成されるものがある。
この特許文献1の遠隔操作式排水栓装置の操作部は、一端が開口した開口部を備えた箱状部分を備えてなり、その開口部の内部に操作用のボタン部材を配置して構成してなる。
また、操作部には電動操作のため、モーター等からなる電動用駆動部を併設して構成してなる。
また、特許文献1に記載された遠隔操作式排水栓装置では、弁部材の上昇状態を維持するため、排水口にロック機構(スラストロック機構)が備えられてなり、ロック機構の一端に弁部材が、他端にレリースワイヤが接続されてなる。
該操作部にて手動による排水口の開閉操作を行う場合、ボタン部材を押し込むことで、ボタン部材に接続された操作体(特許文献1では「連結軸」と記載)が進退し、排水口まで延設されたレリースワイヤ端部を押し込むことでロック機構が動作し、弁部材が昇降して排水口が開閉される。また、該操作部にて電動による排水口の開閉操作を行う場合、電動の操作にて電動用駆動部を動作させると、モーターの動作に応じて操作体が進退され、排水口まで延設されたレリースワイヤ端部を押し込むことでロック機構が動作し、弁部材が昇降して排水口が開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-247253号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記遠隔操作式排水栓装置において、操作部に故障などの問題が生じた場合に、操作部から操作ボタンを取り外して修理を行う場合がある。特許文献1に記載の発明では、操作部の側面から動作部を分解して電動用駆動部を取り外せる構造としている。
しかしながら、この作業を行うためには、浴槽であればエプロン、洗面ボウルではスイッチ近傍のパネルなど、槽体の側面を開放して操作部の全体を露出させ、更にネジなどを解除して操作部の分解作業を行う必要があるなど、大変な手間がかかるものであった。また、操作体自体には特に何ら対応を行うものではなく、操作体に故障の原因があった場合には何ら解決ができないものであった。
簡単な修理方法としては、まず操作ボタンを取り外し、操作部内部に対して視認及び作業ができるようにする方法があるが、特許文献1に記載の発明にこのような方法を用いると、操作ボタンと操作体の嵌合を外す際に、操作ボタンと操作体がうまく外れず、レリースワイヤ又はロック機構の操作体と操作体の弾性嵌合を外して無理な操作体の引き上げを行ってしまい、結果電動用駆動部に係る部分を破損としてしまう場合があった。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、遠隔操作式排水栓装置において、操作ボタンを取り外す際に操作部の破損などが生じることなく、その後の修復作業などを容易に行うことができる遠隔操作式排水栓装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、槽体の底面に設けられた排水口を、排水口から離間した位置に設けた操作部への操作によって開閉させる遠隔操作式排水栓装置であって、
操作部は、ケーシング体である操作部本体と、使用者が操作を行う操作ボタンと、一端が排水口の開閉機構に、一端が操作部本体に、それぞれ取り付けられ、操作ボタンへの操作に対応して往復直線運動を行うことで、操作ボタンの操作を開閉機構に伝達する操作伝達部材と、一端は操作ボタンに、他端は操作伝達部材に、それぞれ嵌合してなり、操作ボタンへの操作を操作伝達部材に伝達する操作体と、からなり、
操作体は、操作ボタンの方向に移動させることで操作伝達部材との嵌合を解除できると共に、操作体と操作伝達部材端部との嵌合強度が、操作体と操作ボタンとの嵌合強度よりも強い嵌合強度であることを特徴とする、遠隔操作式排水栓装置である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、操作伝達部材が、
側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したアウターチューブと、該アウターチューブ内に摺動自在に配置される、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したインナーワイヤと、から構成され、
操作体と嵌合する操作伝達部材の端部が、インナーワイヤの端部であることを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、操作伝達部材の端部が、排水口の開閉状態を保持するための、軸部を備えたロック機構であって、該操作伝達部材の端部としてのロック機構の軸部と操作体とが嵌合することを特徴とする、請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0008】
請求項4に記載の本発明は、操作伝達部材が、
側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したアウターチューブと、
該アウターチューブ内に摺動自在に配置される、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したインナーワイヤと、レリースワイヤ端部に取り付けられ、インナーワイヤ端部に当接してインナーワイヤの進退を固定する軸部を備えたロック機構と、から構成され、
操作体と嵌合する操作伝達部材の端部が、ロック機構の軸部であることを特徴とする、請求項3に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0009】
請求項5に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置において、
遠隔操作式排水栓装置が、操作ボタンへの使用者の操作により操作体を進退せることにより排水口を開閉する手動操作部と、電動の駆動機構によって操作体を進退させることにより排水口を開閉する電動駆動部と、から構成されることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0010】
請求項6に記載の本発明は、操作体を、
操作部本体の操作ボタン側から取り出し可能な第一操作体と、電動駆動部に接続されて操作部本体の操作ボタン側から取り出し不可能な第二操作体とから構成し、第一操作体と第二操作体とは、操作体と操作伝達部材端部との嵌合強度よりも強い嵌合強度で嵌合してなることを特徴とする、請求項5記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の本発明では、遠隔操作式排水栓装置において、操作ボタンと操作体とが共に遠隔操作式排水栓装置の操作部から嵌合により着脱可能な構造であった場合に、操作ボタンを確実に優先して分離できるようになった。これにより、誤って操作体が操作部から先に外れることで破損が生じることを防止することができる。
請求項2乃至請求項4に記載の本発明においては、操作伝達部材の構成、特に操作体と嵌合する操作伝達部材の構成を明確化することができた。
請求項5に記載の本発明においては、遠隔操作式排水栓装置を手動・電動県境式とし、その操作部の構成を明確化することができた。
請求項6に記載の本発明においては、手動・電動兼用の機能を付加したことで、操作体を複数の部材の組み合わせから構成する場合に、組み合わせた操作体が、遠隔操作式排水栓装置から取り外されるまでは一体の操作体として機能するように構成した。これによって、複数の部材を組み合わせて操作体とした場合でも、元々操作体を一つの部材として構成した場合と同じように取り扱うことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第一実施例の遠隔操作式排水栓装置を示す断面図である。
図2】第一実施例の操作部の部材構成を示す参考図である。
図3】第一実施例の操作部を示す参考図である。
図4】第一実施例の操作部本体関連の部材構成を示す参考図である。
図5】第一実施例の操作部本体と一部部材の手動操作部方向の参考図である。
図6】第一実施例の操作部本体の手動操作部方向の参考図である。
図7】ピニオン部材と歯車部材の正面図である。
図8】排水口の閉口状態を示す断面図である。
図9】排水口の開口状態を示す断面図である。
図10】手動操作のみの遠隔操作式排水栓装置の操作部を示す断面図である。
【0013】
以下に、本発明の第一実施例について、図面を参照しつつ説明する。尚、以下の各実施例への説明においては、レリースワイヤ11のインナーワイヤ11bが排水口8a側に移動することを「前進」、操作部S側に移動することを「後退」として記載する。また、本実施例の説明における「上」「下」は、図1の図示に基づいて記載する。
図1乃至図9に示した、本発明の第一実施例の排水栓装置は、槽体の一種である浴槽Bの排水配管に採用される排水栓装置であって、以下に記載する、排水口本体8、支持部材9、継手部材10、操作部S、弁部材7、操作伝達部材としてのレリースワイヤ11、支持部材9、ロック機構5、ガイド管12、等の部材より構成される。
浴槽Bは上方が開口した箱体であって、その底面に排水口本体8を取り付けるための取付孔B1を、また上縁周縁に操作部Sを取り付けるための操作部取付孔B2を備えてなる。
排水口本体8は略円筒形状を成す部材であって、その上端部分外周側には、側面方向に突出するフランジ部8bを設けてなり、外側面には雄ネジを設けてなる。
支持部材9は、レリースワイヤ11端部を排水口8a内に配置固定する部材であって、その中央部分にアウターチューブ11a端部が接続される。
継手部材10は、有底略円筒形状を成す部材であって、上方の開口に排水口本体8の雄ネジと螺合する雌ネジを、側面に内部の排水を排出するための排出口10aと、レリースワイヤ11を挿通するための筒状の挿通部10bを、それぞれ備えてなる。
操作部Sは浴槽Bの操作部取付孔B2に取り付けられる部材であって、以下に記載する、第一ケーシング1、第二ケーシング2、操作部本体S1、電動駆動機構6a、基板部材、第一操作体3、第二操作体4、操作ボタン13、接続部材C3、第一カバー部材K1、第二カバー部材K2、から構成される。
第一ケーシング1は、略円筒形状を成す部材であって、その両端に開口を備えてなり、上端側は浴槽Bの操作部取付孔B2に取り付けられる。この上端側の端部は、操作ボタン13が進退する開口部1aを形成する。
また、開口部1aとは反対側の端部には接続部C1を備えてなる。
第二ケーシング2は、略円筒形状を成す部材であって、両端に開口を備えてなり、上端は第一ケーシング1の接続部C1と接続される被接続部C2を備えてなる。また、その内部は、ロック機構5を弾性嵌合により着脱自在に固定できるように構成されてなる。ここで、ロック機構5と第二ケーシング2との嵌合は、後述する操作ボタン13と第一操作体3、第一操作体3と第二操作体4、第二操作体4と保持軸5b、のいずれの嵌合よりも充分に強く、操作体を介しての作業では、ロック機構5と第二ケーシング2との嵌合は解除できない。
操作部本体S1は、対向する2つの側面が開口した、略箱状の外形を備えたケーシング体であって、その上面に第二ケーシング2と同じ被接続部C2を、また該被接続部C2の同軸上であって、対向する下面に第一ケーシング1と同じ接続部C1を、それぞれ備えてなる。また、操作部本体S1内には、図4に示したように、側面に設けられた2つの開口の略中間部分に、操作部本体Sを二つに区画する隔壁部S2を備えてなり、操作部本体S1内部であって、隔壁部S2で区画される2つの空間の内、被接続部C2および接続部C1に連通する側の空間と、施工時に操作部本体S1に接続される第一ケーシング1、及び第二ケーシング2によって、手動操作部Mが形成される。
また、操作部本体S1の隔壁部S2で区画される2つの空間の内、被接続部C2および接続部C1に連通しない側の空間には、モーター等の電動用の駆動機構からなる電動駆動機構6aと、このモーターの動作を制御する電子基板である基板部材が配置されて、遠隔操作式排水栓装置を電気的に動作させる電動駆動部6となる。
即ち、本実施例の「電動駆動部6」とは、モーターなど電動的な動作を行う電動駆動機構6aと、それを制御する基板部材が配置される空間であると共に、この部分に収納された部材によって、電動的に遠隔操作式排水栓装置を作動させる機能を有する部分を指し示すものである。
尚、該基板部材は、給湯器の操作パネルなど、電動操作用の操作部に接続され、電力の供給を受けるとともに、電動操作用の操作部からの信号を受けて電動駆動機構6aを動作させる。また、該電動駆動機構6aは、後述する操作体の位置を検出することで、操作体から連動する排水口8aの開閉状況を把握するセンサ(図示せず)を備えてなる。
モーターには、モーターが作動することにより回転する歯車部材6bが備えられてなり、この歯車部材6bが隔壁部S2の貫通孔S4を介して、電動駆動部6から手動操作部M側に突出する。尚、歯車部材6bにはその周囲にOリングが取り付けられて貫通孔S4周縁に水密的に当接してなり、手動操作部M側から貫通孔S4を介して電動駆動部6側に湯水が流入しないように、水密な状態を維持することができる。
また、操作部本体S1の内部には、被接続部C2および接続部C1の中心軸と同軸となるようにして、後述する第二操作体4を配置・接続してなる。
更に、隔壁部S2の手動操作部M側に、隔壁部S2から垂直な方向に立ち上がる環状の壁面からなる、環状壁部S3を備えてなる。この環状壁部S3は、操作部本体S1の上方の開口を閉塞する際に、第一カバー部材K1によってその上端を水密的に閉塞される。また、環状壁部S3には、接続部C1側に向けて、施工時に接続部C1から操作体(ここでは第二操作体4)が余裕を持って挿通できるように、操作体よりも大きな正円の開口を備えてなる。一方、被接続部C2側は、第二操作体4の軸部分が水密的に進退できるように、壁面に軸部分の外径とほぼ同じ内径であって、Oリングを備えた開口のみを形成してなる。このため、第二操作体4は、第二ケーシング2が接続されている接続部C1側には引き出して操作部本体S1から抜き出すことができるが、第一ケーシング1が接続されている被接続部C2側には引き出して操作部本体S1から抜き出すことができない。
尚、施工完了時、後述するロック機構5によって、この環状壁部S3の正円の開口は閉塞される。
第一操作体3は、略円筒形状をなす部材であって、上端は後述する操作ボタン13の下面と弾性嵌合可能に、また筒状部分の内側端部は後述する第二操作体4の上端部分と弾性嵌合可能に、それぞれ構成されてなる。また、第一操作体3の側面にはリブ片3aが設けられてなり、開口部1aからこのリブ片3aを取っ手のように利用して、第一操作体3を回転させることができる。
第二操作体4は、棒状の部材であって、一端は上記第一操作体3の筒部分の端部と弾性嵌合可能に、また他端は後述するロック機構5の保持軸5b端部と弾性嵌合可能に、それぞれ構成されてなる。また、第二操作体4の側面には段部4aが設けられてなる。
また、第一操作体3の円筒形状部分の内部と、第二操作体4の棒状部分側面には合致する凹凸が設けられてなり、第一操作体3を円筒形状の中心軸を中心に回転させると、それに伴って第二操作体4も回転する。
また、図7等に示したピニオン部材14は、筒体を、その中心軸を通過する平面にて等分したような形状を成す部材であって、その側面には歯車部材6bと歯合する歯合部14aが備えられてなり、またその内部には第二操作体4の段部4aに対し一方向だけ係合する係止段部14bが備えられてなる。
また、第二操作体4の段部4aとピニオン部材14の係止段部14bとの係合は、第二操作体4がピニオン部材14に対して適正な方向を向いている場合にのみ行われ、第二操作体4の軸部分を中心として定まった方向に回転させると、第二操作体4の段部4aとピニオン部材14の係止段部14bとの係合状態を解除することができる。但し、第二操作体4の軸部分を中心とした回転動作は規制されており、通常の遠隔操作式排水栓装置の使用では、回転が生じて第二操作体4とピニオン部材14との係合が解除されることは無い。第二操作体4を回転させてピニオン部材14との係合を解除させるためには、使用者が第二操作体4に回転操作を行う等の、意図的に回転を行う必要がある。
尚、ピニオン部材14は、施工完了時、操作体の一部となる第二操作体4に沿ってのみ移動可能なように、環状壁部S3内に配置される。
ここで、第二操作体4とモーターに接続された歯車部材6bとの連結について以下に詳述する。
第二操作体4には段部4aがあり、この段部4aを覆うようにしてピニオン部材14を配置する。この時、図3に示したように、第二操作体4の段部4aを、ピニオン部材14の係止段部14bが覆うように配置する。
また、このように配置することによって、図5に示したように、ピニオン部材14の歯合部14aが歯車部材6bと歯合するように配置される。
このように、ピニオン部材14を介して、第二操作体4とモーターに接続された歯車部材6bとは連結される。
操作ボタン13は、遠隔操作式排水栓装置を手動にて操作する場合の使用者が、押し込み操作を行う略円盤状の部材であって、その裏側中央は、第一操作体3の上端と弾性嵌合可能に構成されてなる。
接続部材C3は、略C字形状を成す部材であって、第一ケーシング1と電動駆動部6、及び電動駆動部6と第二ケーシング2の接続部C1と被接続部C2が接続された状態において、側面方向から差し込むことで、接続状態を維持固定するように機能する。尚、特に詳述しないが、この接続部C1と被接続部C2の接続はOリング等を介して水密的に、且つ回動可能に接続される。
また、接続部材C3を接続部C1および被接続部C2の側面方向から抜脱することで、接続部C1と被接続部C2の接続を解除することが可能である。
弁部材7は、排水口8aの上端を閉口する略円盤状の部材であって、その下面中央部分に、弁軸11c先端との嵌合部分を構成されてなる。
レリースワイヤ11は、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したアウターチューブ11aと、該アウターチューブ11a内に摺動自在に配置される、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を有したインナーワイヤ11bと、インナーワイヤ11bの一方の端部に備えられた棒状の硬質の部材である弁軸11cと、レリースワイヤ11内に備えられ、インナーワイヤ11bをアウターチューブ11aに対して弁軸11cとは反対側に付勢する戻りスプリングと、から構成されてなる。
ロック機構5は、内部に歯車等を収納した円筒形状のロック機構本体5aと、該ロック機構本体5a内を貫通するようにして進退自在に挿通配置される軸部としての保持軸5bと、ロック機構本体5aの端部に設けた円筒状の円筒部5cを備えてなり、ロック機構本体5aはレリースワイヤ11のアウターチューブ11a端部に固定されてなる。
また、保持軸5bは、同軸上に配置されるレリースワイヤ11のインナーワイヤ11bが、戻りスプリングの作用により常時後退方向、即ち操作部S側に付勢されているため、常時インナーワイヤ11b端部に当接され、後退方向に付勢された状態となる。
該ロック機構5は、ロック機構本体5a内部また保持軸5bに備えられた歯車などの機構によって、ノック式ボールペンなどの機構と同様の機能を有する。即ち、ロック機構5は、施工完了時、使用者の操作によって、保持軸5b後端に押し込み操作を加えられる都度、保持軸5bがロック機構本体5aに対して前進した状態で固定/固定を解除し、接続されているレリースワイヤ11の戻りスプリングの作用によりロック機構本体5aに対して後退、を繰り返すように構成されてなる。
また、ロック機構5は、後述するように、第二ケーシンク2の被接続部C2内に配置固定されて、施工完了時、操作部本体S1内部に配置される。この時、円筒部5cは、操作部本体S1の環状壁部S3に設けた、接続部C1に連続する正円を成す開口に嵌ってこの開口を閉塞する。一方で、遠隔操作式排水栓装置の施工が完了したとき、操作部本体S1の内周と環状壁部S3の外周の間部分は、接続部C2側に連通した状態を維持するように構成されている。
ガイド管12は、操作部Sから挿通口までを接続する、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えた軟質塩ビからなるチューブ管であって、操作部Sに挿通されたレリースワイヤ11を、挿通口から継手部材10内部にガイドするように構成されてなる。
【0014】
上記のように構成された遠隔操作式排水栓装置を用いた排水配管は、以下のようにして浴槽Bに施工される。
尚、操作部本体S1は、工場などにおいて、モーター及び基板部材が電動駆動部6に配置され、貫通孔S4に歯車部材6bが配置され、被接続部C2から接続部C1を貫通するようにして第二操作体4が配置され、ピニオン部材14を介して歯車部材6bと第二操作体4が連結され、また環状壁部S3の上方の開口が第一カバー部材K1によって水密的に閉塞され、また操作部本体S1の下方の開口が第二カバー部材K2によって水密的に閉塞された状態に加工されて施工現場に搬入されてなる。
以下に、第一実施例の施工方法について、図面を参照しつつ説明する。
まず、ガイド管12の一端に継手部材10の挿通部10bを、他端に第二ケーシング2の端部を接続する。
次に、レリースワイヤ11の操作部S側端部にロック機構5を嵌合により接続した上で、第二ケーシング2の上流側端部からレリースワイヤ11の弁軸11c側端部を挿通する。レリースワイヤ11の弁軸11c側端部が継手部材10内に達した状態で、ロック機構5を第二ケーシング2内に弾性嵌合させて固定する。このようにして、ロック機構5を介してレリースワイヤ11端部が、第二ケーシング2に支持固定される。
次に、継手部材10の排出口10aを、排水を下水側に排出するための床下配管に接続する。
次に、浴槽Bの取付孔B1に排水口本体8を挿通し、排水口本体8のフランジ部8b下面を、取付孔B1周縁の上面に当接させる。更に、継手部材10の雌ネジを、排水口本体8の雄ネジに螺合させ、フランジ部8b下面と継手部材10上面とで取付孔B1周縁を挟持させて排水口本体8及び継手部材10を浴槽Bに固定させる。
次に、レリースワイヤ11の端部を排水口8aから引き上げた上で、支持部材9にレリースワイヤ11端部を接続し、更に排水口8a内に支持部材9を配置固定する。
次に、排水口8a内に配置された弁軸11cの先端に弁部材7を嵌合させて取り付ける。
次に、第二ケーシング2の被接続部C2を、操作部本体S1の接続部C1に、接続部材C3を用いて接続させる。この時、上記したように、環状壁部S3の側面に設けた開口が、ロック機構5に設けた円筒部5cによって閉塞される。更に、保持軸5を第二操作体4に嵌合させる。
次に、第一ケーシング1を浴槽Bの操作部取付孔B2に取り付ける。
次に、第一ケーシング1の接続部C1を、操作部本体S1の被接続部C2に、接続部材C3を用いて接続させる。
次に、第一ケーシング1の開口部1aから、第一操作体3を挿入し、第二操作体4の端部と嵌合させる。
更に、第一操作体3の上端に操作ボタン13を嵌合させて、本発明の第一実施例の遠隔操作式排水栓装置を用いた排水配管の施工が完了する。尚、電動駆動部6と操作パネルなど電気操作関連の配線については記載しない手順の中で適宜行ったものとする。
この第一実施例では、第一操作体3、第二操作体4、ロック機構5の保持軸5bによって押し込み操作が加えられることによってロック機構5が動作し、排水口8aを開閉する。即ち、第一操作体3、第二操作体4を組み合わせたものが、第一実施例での操作体である。
また、少なくとも第一操作体3と第二操作体4は硬質の樹脂によって構成され、操作ボタン13と第一操作体3、第一操作体3と第二操作体4、第二操作体4と保持軸5bは、それぞれ樹脂弾性を利用した弾性嵌合により押し付けることにより嵌合し、引き離すことで解除できる。その弾性嵌合の強度、即ち引き離す場合にどれほどの応力を離間方向に加えれば部材同士の嵌合を解除できるか、について、本実施例では、第一操作体3と第二操作体4の弾性嵌合を解除する場合に最も大きな応力が必要となる。次に、第二操作体4と保持軸5bを解除する場合に大きな応力が必要となり、操作ボタン13と第一操作体3を解除する場合が最も弾性嵌合を解除するのに必要な応力が小さくて済む。
【0015】
以下に、上記第一実施例の遠隔操作式排水栓装置の使用方法を説明する。まず、手動操作による排水口8aの開閉方法について説明する。
上記のように構成した排水栓装置を使用する場合、まず弁部材7を降下して、排水口8aが図8のように閉口した状態とする。
この状態から操作ボタン13に押し操作を加えると、保持軸5b後端が押し込まれて、インナーワイヤ11bを前進させると共に、ロック機構5が作用して、インナーワイヤ11bが前進した状態にて維持固定される。この動作により、インナーワイヤ11b端部の弁軸11c側の端部が突出して、図9のように弁部材7を押し上げた状態で維持固定されるため、排水口8aが開口する。槽体である浴槽B内に排水又は湯水が溜まっていた場合、又は流入している場合、排水口8aから排水口本体8、また継手部材10内を通過して、排出口10aから下水側に排出される。
この状態から操作ボタン13に再度押し操作を加えると、再び保持軸5b後端が押し込まれて、ロック機構5の保持軸5bの固定状態が解除される。これによって、インナーワイヤ11bは、弁部材7の自重と、レリースワイヤ11の戻りスプリングの作用によって、保持軸5bと共に操作部S側に後退し、図8のように弁部材7が排水口8aを閉口する。
以降、操作ボタン13に押し込み操作を繰り返すことで、排水口8aを排水口8aから離間した操作部Sへの操作によって開閉することができる。
【0016】
次に、電動操作による排水口8aの開閉方法について説明する。
上記のように構成した排水栓装置を使用する場合、まず弁部材7を降下させて、図8のように、排水口8aが閉口した状態とする。
この状態から給湯器の操作パネルなどを介して排水口8aへの操作を行うと、電動駆動部6のモーターが動作して歯車部材6bが回転し、歯車部材6bに歯合する歯合部14aを有するピニオン部材14が、ピニオン部材14の係止段部14bが第二操作体4の段部4aに当接する方向へ移動し、操作体を、押し操作を加えられた時と同様に動作させる。これにより、保持軸5を押し込んで、インナーワイヤ11bを前進させると共に、ロック機構5が作用して、インナーワイヤ11bが前進した状態にて維持固定される。この動作により、インナーワイヤ11b端部の弁軸11c側の端部が突出して、弁部材7を押し上げた状態で維持固定されるため、図9のように排水口8aが開口する。槽体内に排水又は湯水が溜まっていた場合、又は流入している場合、排水口8aから排水口本体8、また継手部材10内を通過して、排出口10aから下水側に排出される。尚、上記動作が行われたことをセンサにより電動駆動機構6aが検知すると、電動駆動機構6aはモーターを逆回転させ、ピニオン部材14を当初の位置まで後退させる。
この状態から再び給湯器の操作パネルなどを介して排水口8aへの操作を行うと、やはり電動駆動部6のモーターが動作して歯車部材6bが回転し、歯車部材6bに歯合する歯合部14aを有するピニオン部材14が、ピニオン部材14の係止段部14bが第二操作体4の段部に当接する方向へ移動し、操作体を、押し操作を加えられた時と同様に動作させる。これによって、保持軸5bを押し込んで、ロック機構5の保持軸5bの固定状態が解除されることで、インナーワイヤ11bは、弁部材7の自重と、レリースワイヤ11の戻りスプリングの作用によって、保持軸5bと共に操作部S側に後退し、図8のように、弁部材7が排水口8aを閉口した状態に戻る。尚、ピニオン部材14も前述したとおり、押し込みの動作が完了したと判断された時点で、モーターが逆回転して当初の位置まで後退するため、上記操作体の動作が妨げられることは無い。
以降、電動操作により排水口8aへの開閉操作を繰り返すことで、排水口8aを排水口8aから離間した操作パネルなどの操作によって開閉することができる。
【0017】
また、排水口8aの開口状態では操作体は前進し、閉口状態では操作体が後退して、操作体の位置が移動している。センサを利用して操作体の位置の変位を検知することで、排水口8aの開閉の状態を電動駆動機構6aが検知することができる。この排水口8aの開閉状態の検知の機能を利用して、給湯器の操作パネルに給湯を行う指示があり、センサが検知した排水口8aの状態が開口状態であった場合、給湯器の操作パネルが自動的に排水口8aの開閉操作を指示して排水口8aを閉口するように構成することも可能である。
【0018】
また、上記のように構成したため、排水口8aの開閉操作において、開口、閉口の手順を、手動操作のみ、電動操作のみ、電動と手動の混在のどのような手順に沿っても行うことができる。即ち、手動操作で排水口8aを開口した場合は手動操作で閉口しなければならない、電動操作で排水口8aを開口した場合は電動操作で閉口しなければならない、といった制限なく自在に排水口8aの開閉操作を行うことができる。
【0019】
上記のように構成した遠隔操作式排水栓装置において、故障等により、操作部S内部を確認したり、操作部S内部に作業を行う場合、まず操作ボタン13を操作部Sから取り外す。この時は、操作ボタン13と開口部1aの隙間に冶具を差し込んで操作ボタン13を引き出す、または操作ボタン13上面に吸盤などを貼り付け、吸盤を取っ手代わりとして引き上げる等によって、操作ボタン13と第一操作体3との弾性嵌合を解除し、操作部Sから操作ボタン13を取り出すことができる。尚、前述の通り、第一操作体3と操作ボタン13との弾性嵌合の嵌合強度は、第一操作体3と第二操作体4の弾性嵌合や、第二操作体4と保持軸5bの弾性嵌合の強度よりも弱いため、上記作業の際に、第一操作体3と操作ボタン13以外の弾性嵌合の箇所が解除されることは無い。
この時点で、例えば第一操作体3に毛髪が絡んで動作不良を生じていた等の理由で遠隔操作式排水栓装置が操作できなくなっていた場合は、故障の原因を取り除くことで修理を行うことができる。
【0020】
上記の方法にて故障を解決できなかった場合、操作体3のリブ片3aを取っ手代わりに利用して第一操作体3を円筒部分の中心軸を中心として回転させる。第一操作体3の円筒形状部分の内部と、第二操作体4の棒状部分側面には合致する凹凸が設けられているため、第一操作体3を回転させると、それに伴って第二操作体4も回転し、この意図的な回転によって、第二操作体4の段部4aとピニオン部材14の係止段部14bとの係合状態が解除される。
【0021】
上記の対応を行った上で、修理の手順は故障の状況によって変化する。
第一操作体3を操作部Sから取り出したい場合は、そのまま第一操作体3を開口部1aから引き上げて操作部Sから取り外す。この場合、弾性嵌合の強度の差異によって、まず第二操作体4とロック機構5の保持軸5bの弾性嵌合が解除される。尚、解除作業を行うのに必要な距離を確保するため、ロック機構5の保持軸5cを下方側に前進した状態で固定させておく必要がある場合がある。次に第一操作体3と第二操作体4の弾性嵌合を解除することで、第一操作体3が開口部1aから取り出される。第二操作体4は、上方の被接続部C2を介して操作部本体S2から抜脱することは不可能なため、第一操作体3を引き上げると、第一操作体3と第二操作体4の弾性嵌合を解除することができる。この時、第二操作体4とピニオン部材14との係合は解除されているため、第二操作体4を通常の使用では達しないほどに上方まで引き上げても、操作部S内に破損などは生じない。
【0022】
修理の過程において、操作部本体S1を浴槽Bから分離させる、つまり浴槽Bに取り付けられている第一ケーシング1から分離させる場合は、操作部本体S2と第一ケーシング1との接続を、接続部材C3を脱着することで解除し、操作部本体S1を第一ケーシング1から分離させることができる。この時、第一操作体3を操作部本体S1側に接続したまま操作部本体S1を浴槽Bから分離させるか、事前に第一操作体3を取り出した上で操作部本体S1を浴槽Bから分離させるかは、段落0020及び段落0021の作業を行う/行わないにより作業者が自由に選択することができる。
【0023】
また、修理の過程において、第二ケーシング2を操作部本体S1から分離させる場合は、操作部本体S2と第二ケーシング2との接続を、接続部材C3を脱着することで解除し、操作部本体S2を第一ケーシング1から分離させることができる。
この時に、第二操作体4の段部4aとピニオン部材14の係止段部14aの係合を解除した上で、第一操作体3を充分に引き上げることで、第二操作体4と保持軸5bの弾性嵌合を解除することができる。尚、この際に第一操作体3と第二操作体4の弾性嵌合を解除する/解除しないは、適宜作業者が状況に応じて判断することである。
前述の通り、第一操作体3と第二操作体4の弾性嵌合を解除する場合必要な応力は、第二操作体4と保持軸5bを解除する場合に必要な応力よりも大きいため、第一操作体3を引き上げることで、第一操作体3と第二操作体4の嵌合が解除されることなく、第二操作体4と保持軸5bの弾性嵌合を解除することができる。このように、操作部本体S2から第二ケーシング2を分離させる際に、事前に開口部1aからの操作によって操作体と保持軸5bとの弾性嵌合を解除しておくことで、第二ケーシング2の分離作業を容易に行うことができる。
上記のようにして、操作ボタン13を取り外した後、開口部1aからの作業によって、修理作業の際の操作体の接続状況を調整することができる。
【0024】
本発明の実施例は以上のようであるが本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記第一実施例は、手動・電動兼用の遠隔操作式排水栓装置であり、操作伝達部材であるレリースワイヤ11と操作体の間には、ロック機構5が配置されてなるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、図10に示したように、手動専用の遠隔操作式排水栓装置において、操作体とレリースワイヤ端部を直接嵌合によって接続するように構成しても良い。
図10に示した遠隔操作式排水栓装置では、操作ボタン13は操作体上端と嵌合してなり、また操作体下端はインナーワイヤ11のレリースワイヤ11b上端と嵌合してなる。この時、操作ボタン13と操作体O、操作体Oとインナーワイヤ11端部とは、それぞれ弾性嵌合により押し付けることにより嵌合し、引き離すことで解除できる。その弾性嵌合の強度、つまり引き離す場合にどれほどの応力を離間方向に加えれば部材同士の嵌合を解除できるか、について、図10の実施例では、操作体Oとインナーワイヤ11bの弾性嵌合を解除する応力の方が、操作体Oとボタン部材13弾性嵌合を解除する応力よりも強い。尚、レリースワイヤ11と第二ケーシング2との嵌合は、操作ボタン13と操作体Oや、操作体Oとインナーワイヤ11bの、いずれの嵌合よりも充分に強く、操作体Oを介しての作業では、レリースワイヤ11と第二ケーシング2との嵌合は解除できない。
また、ロック機構5は図示しない排水口側の8a内の支持部材9内部に組み込まれてなり、操作ボタン13に押し込み操作を行うと、その操作は操作体O、及びレリースワイヤ11のインナーワイヤ11bを介してロック機構5に伝達され、操作ボタン13の操作の都度、弁部材7を上昇させ排水口8aを開口した状態を維持して固定/固定を解除し弁部材7を降下させて排水口8aを閉塞する、を繰り返すように動作させることができる。また、故障などが生じた場合は、第一実施例と同様に、まず操作ボタン13を取り外してその内部を確認し、その上で対応を行うことができる。前述の通り、操作体Oとインナーワイヤ11bの弾性嵌合の強度が、操作体Oと操作ボタン13の弾性嵌合の強度より強いため、誤って操作体Oとインナーワイヤ11bの弾性嵌合を解除することなく確実に操作ボタン13の弾性嵌合のみを解除できる。
その後、必要に応じて開口部1aより操作体Oを取り出したり、あるいは冶具などを用いてレリースワイヤ11と操作部Sとの嵌合を解除し取り出す等の対応を行うことができる。
【0025】
また、上記実施例では、操作ボタン13と操作体Oの嵌合方法、操作体Oと操作伝達部材であるレリースワイヤ11のインナーワイヤ11b端部又はロック機構5の軸部である保持軸5bとの嵌合方法、又は操作体O同士である第一操作体3と第二操作体4との嵌合方法は、樹脂弾性等を利用した弾性嵌合に限定されているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えばOリング等の部材を介しての弾性嵌合や、単に表面の摩擦などを利用しての嵌合等、軸方向に応力を加えることだけで嵌合が行われ、又は解除される嵌合の方法であれば、どのような嵌合方法を採用しても構わない。
【0026】
また、上記実施例では、遠隔操作式排水栓装置を浴槽Bの遠隔操作式排水栓装置としているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、洗面台の洗面ボウルや、流し台のシンク等に組み込んで利用するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0027】
1 第一ケーシング 1a 開口部
2 第二ケーシング 3 第一操作体
3a リブ片 4 第二操作体
4a 段部 5 ロック機構
5a ロック機構本体 5b 保持軸
5c 円筒部 6 電動駆動部
6a 電動駆動機構 6b 歯車部材
7 弁部材 8 排水口本体
8a 排水口 8b フランジ部
9 支持部材 10 継手部材
10a 排出口 10b 挿通部
11 レリースワイヤ 11a アウターチューブ
11b インナーワイヤ 11c 弁軸
12 ガイド管 13 ボタン部材
14 ピニオン部材 14a 歯合部
14b 係止段部 B 浴槽
B1 取付孔 B2 操作部取付孔
C1 接続部 C2 被接続部
C3 接続部材 O 操作体
S 操作部 S1 操作部本体
S2 隔壁部 S3 環状壁部
S4 貫通孔 K1 第一カバー部材
K2 第二カバー部材 M 手動操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10