IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日高精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図1
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図2
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図3
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図4
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図5
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図6
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図7
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図8
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図9
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図10
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図11
  • 特許-熱交換器用端板セット装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】熱交換器用端板セット装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 21/00 20060101AFI20230421BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
B23P21/00 301B
F28F9/02 301Z
F28F9/02 301J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019122674
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2021008004
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390034809
【氏名又は名称】日高精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 博文
(72)【発明者】
【氏名】西沢 準一
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-284684(JP,A)
【文献】特開平08-155566(JP,A)
【文献】特開2011-231961(JP,A)
【文献】米国特許第05823251(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00 - 21/00
F28F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層させた状態の放熱用フィンに冷媒管を挿通させてなる熱交換器を取り付け対象物に取り付けする際に用いられる端板を、前記端板に形成された冷媒管挿通孔の位置で前記冷媒管にセットするための熱交換器用端板セット装置であって、
前記冷媒管を保持する冷媒管保持部と、
前記端板を冷媒管保持部に保持されている前記冷媒管の軸線方向に対して前記冷媒管挿通孔を対向させた状態で載置する端板載置体と、前記端板載置体に載置された前記端板の前記冷媒管挿通孔に挿通可能なガイドピンを保持するガイドピン保持体と、少なくとも前記端板載置体と前記ガイドピン保持体との相対高さ位置を変更可能にする高さ方向移動手段と、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体とを水平方向において接離動させる水平方向接離動手段と、を少なくとも有する端板載置部と、
前記冷媒管保持部および前記端板載置部の少なくとも一方を水平方向に移動させる水平方向移動部と、
少なくとも前記高さ方向移動手段と前記水平方向接離動手段と前記水平方向移動部の動作制御を行う動作制御部と、を具備し、
前記動作制御部は、
前記端板載置体に前記端板が載置された後、前記水平方向接離動手段を作動させて、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体とを接近させることにより前記ガイドピンを前記端板の前記冷媒管挿通孔に挿通させる処理と、
前記水平方向移動部を作動させて、前記ガイドピンの先端部を前記冷媒管の先端部に差し込むと共に前記ガイドピンに挿通された前記端板を前記冷媒管挿通孔の位置で前記冷媒管に挿通させる処理と、
前記高さ方向移動手段を作動させて、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体の相対高さ位置を異ならせる処理と、
前記水平方向移動部を作動させて、前記ガイドピン保持体と前記冷媒管保持部とを離反させる処理と、をそれぞれ実行させることにより、前記端板を前記冷媒管保持部に保持された前記冷媒管にセットすることを特徴とする熱交換器用端板セット装置。
【請求項2】
積層させた状態の放熱用フィンに冷媒管を挿通させてなる熱交換器を取り付け対象物に取り付けする際に用いられる端板を、前記端板に形成された冷媒管挿通孔の位置で前記冷媒管にセットするための熱交換器用端板セット装置であって、
前記冷媒管を保持する冷媒管保持部と、
前記端板を冷媒管保持部に保持されている前記冷媒管の軸線方向に対して前記冷媒管挿通孔を対向させた状態で載置する端板載置体と、前記端板載置体に載置された前記端板の前記冷媒管挿通孔に挿通可能なガイドピンを保持するガイドピン保持体と、少なくとも前記端板載置体と前記ガイドピン保持体との相対高さ位置を変更可能にする高さ方向移動手段と、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体とを水平方向において接離動させる水平方向接離動手段と、を少なくとも有する端板載置部と、
前記冷媒管保持部および前記端板載置部の少なくとも一方を水平方向に移動させる水平方向移動部と、
前記端板載置部を高さ方向に移動させる高さ方向移動部と、
少なくとも前記高さ方向移動手段と前記水平方向接離動手段と前記水平方向移動部と前記高さ方向移動部の動作制御を行う動作制御部と、を具備し、
前記動作制御部は、
前記高さ方向移動部を作動させて、前記端板載置部と前記冷媒管保持部の高さ位置を合わせる処理と、
前記端板載置体に前記端板が載置された後、前記水平方向接離動手段を作動させて、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体とを接近させることにより前記ガイドピンを前記端板の前記冷媒管挿通孔に挿通させる処理と、
前記水平方向移動部を作動させて、前記ガイドピンの先端部を前記冷媒管の先端部に差し込むと共に前記ガイドピンに挿通された前記端板を前記冷媒管挿通孔の位置で前記冷媒管に挿通させる処理と、
前記高さ方向移動手段を作動させて、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体の相対高さ位置を異ならせる処理と、
前記水平方向移動部を作動させて、前記ガイドピン保持体と前記冷媒管保持部とを離反させる処理と、
前記高さ方向移動部を作動させて、前記端板載置部の高さ位置と前記冷媒管保持部の高さ位置とを異ならせる処理と、
前記水平方向移動部を作動させて、前記冷媒管保持部を水平方向に移動させる処理と、を実行させることにより、前記端板を前記冷媒管保持部に保持された前記冷媒管にセットすることを特徴とする熱交換器用端板セット装置。
【請求項3】
前記端板載置体の前記ガイドピンの軸線方向における内幅寸法は、前記端板の前記ガイドピンの軸線方向における幅寸法よりも長く形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の熱交換器用端板セット装置。
【請求項4】
前記端板載置体の底板には板厚方向に貫通する貫通孔が形成されていて、前記貫通孔に挿通可能な寸法に形成されていると共に前記貫通孔の位置において前記底板の上面から突出入可能に設けられ、前記端板を支持する端板支持体をさらに具備していることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか一項記載の熱交換器用端板セット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器用端板セット装置に関し、より詳細には、熱交換器を取り付け対象物に取り付けする際に用いられる端板を熱交換器に自動的にセットするための熱交換器用端板セット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコン等における熱交換器は、冷媒を流通させるための冷媒管に放熱用フィンを複数枚挿通させることにより形成されている。このような熱交換器は端板(または管板)と称される部品を用いて取り付け対象への固定をしている。このような端板が装着されている熱交換器の構成については、例えば特許文献1(特開2017-96505号公報)において開示されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-96505号公報(明細書段落0016-0023,図1図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、複数の熱交換部を接続するために端板を用いていることについては開示されているが、このような端板をどのようにして熱交換器に装着しているのかについては何ら開示されていない。熱交換器の冷媒管に端板を手作業によって装着しようとする場合においては、複数本の冷媒管に対して端板に形成した冷媒管挿通孔の位置をそれぞれ位置合わせさせながら取り付けをしなければならないため、熱交換器への端板の装着作業は極めて煩雑になるといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、熱交換器への端板の装着作業を自動化させることを可能にする熱交換器用端板セット装置を提供することにある。
【0006】
上記課題を解決するために発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、積層させた状態の放熱用フィンに冷媒管を挿通させてなる熱交換器を取り付け対象物に取り付けする際に用いられる端板を、前記端板に形成された冷媒管挿通孔の位置で前記冷媒管にセットするための熱交換器用端板セット装置であって、前記冷媒管を保持する冷媒管保持部と、前記端板を冷媒管保持部に保持されている前記冷媒管の軸線方向に対して前記冷媒管挿通孔を対向させた状態で載置する端板載置体と、前記端板載置体に載置された前記端板の前記冷媒管挿通孔に挿通可能なガイドピンを保持するガイドピン保持体と、少なくとも前記端板載置体と前記ガイドピン保持体との相対高さ位置を変更可能にする高さ方向移動手段と、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体とを水平方向において接離動させる水平方向接離動手段と、を少なくとも有する端板載置部と、前記冷媒管保持部および前記端板載置部の少なくとも一方を水平方向に移動させる水平方向移動部と、少なくとも前記高さ方向移動手段と前記水平方向接離動手段と前記水平方向移動部の動作制御を行う動作制御部と、を具備し、前記動作制御部は、前記端板載置体に前記端板が載置された後、前記水平方向接離動手段を作動させて、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体とを接近させることにより前記ガイドピンを前記端板の前記冷媒管挿通孔に挿通させる処理と、前記水平方向移動部を作動させて、前記ガイドピンの先端部を前記冷媒管の先端部に差し込むと共に前記ガイドピンに挿通された前記端板を前記冷媒管挿通孔の位置で前記冷媒管に挿通させる処理と、前記高さ方向移動手段を作動させて、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体の相対高さ位置を異ならせる処理と、前記水平方向移動部を作動させて、前記ガイドピン保持体と前記冷媒管保持部とを離反させる処理と、をそれぞれ実行させることにより、前記端板を前記冷媒管保持部に保持された前記冷媒管にセットすることを特徴とする熱交換器用端板セット装置である。
【0007】
これにより、熱交換器の組立前における(放熱用フィンを積層させる前の)冷媒管に端板を自動的にセットすることができる。また、冷媒管に沿って放熱用フィンを積層させた後においても冷媒管に端板を自動的にセットすることができる。
【0008】
また、積層させた状態の放熱用フィンに冷媒管を挿通させてなる熱交換器を取り付け対象物に取り付けする際に用いられる端板を、前記端板に形成された冷媒管挿通孔の位置で前記冷媒管にセットするための熱交換器用端板セット装置であって、前記冷媒管を保持する冷媒管保持部と、前記端板を冷媒管保持部に保持されている前記冷媒管の軸線方向に対して前記冷媒管挿通孔を対向させた状態で載置する端板載置体と、前記端板載置体に載置された前記端板の前記冷媒管挿通孔に挿通可能なガイドピンを保持するガイドピン保持体と、少なくとも前記端板載置体と前記ガイドピン保持体との相対高さ位置を変更可能にする高さ方向移動手段と、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体とを水平方向において接離動させる水平方向接離動手段と、を少なくとも有する端板載置部と、前記冷媒管保持部および前記端板載置部の少なくとも一方を水平方向に移動させる水平方向移動部と、前記冷媒管保持部および前記端板載置部の少なくとも一方を高さ方向に移動させる高さ方向移動部と、少なくとも前記高さ方向移動手段と前記水平方向接離動手段と前記水平方向移動部と前記高さ方向移動部の動作制御を行う動作制御部と、を具備し、前記動作制御部は、前記高さ方向移動部を作動させて、前記端板載置部と前記冷媒管保持部の高さ位置を合わせる処理と、前記端板載置体に前記端板が載置された後、前記水平方向接離動手段を作動させて、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体とを接近させることにより前記ガイドピンを前記端板の前記冷媒管挿通孔に挿通させる処理と、前記水平方向移動部を作動させて、前記ガイドピンの先端部を前記冷媒管の先端部に差し込むと共に前記ガイドピンに挿通された前記端板を前記冷媒管挿通孔の位置で前記冷媒管に挿通させる処理と、前記高さ方向移動手段を作動させて、前記端板載置体と前記ガイドピン保持体の相対高さ位置を異ならせる処理と、前記水平方向移動部を作動させて、前記ガイドピン保持体と前記冷媒管保持部とを離反させる処理と、前記高さ方向移動部を作動させて、前記端板載置部の高さ位置と前記冷媒管保持部の高さ位置とを異ならせる処理と、前記水平方向移動部を作動させて、前記冷媒管に前記端板がセットされた前記冷媒管保持部と前記端板載置部とを水平方向に離反させる処理と、を実行することを特徴とする熱交換器用端板セット装置とすることもできる。
【0009】
これにより、熱交換器の組立前における(放熱用フィンを積層させる前の)冷媒管に端板を自動的にセットすることができる。また、冷媒管に沿って放熱用フィンを積層させた後においても冷媒管に端板を自動的にセットすることができる。そして、端板が取り付けられた冷媒管または熱交換器を次の工程に自動的に送り出しすることができ、連続的な熱交換器の製造が可能になる。
【0010】
また、前記端板載置体の前記ガイドピンの軸線方向における内幅寸法は、前記端板の前記ガイドピンの軸線方向における幅寸法よりも長く形成されていることが好ましい。
【0011】
これにより、端板載置体への端板の載置位置が所定位置から多少ずれていたり、端板の寸法精度が低い場合であっても、ガイドピンを端板に形成されている冷媒管挿通孔に差し込む際に端板載置体に載置されている端板の姿勢を適宜変化させることができる。これにより、端板の載置位置や端板の載置姿勢を過度に矯正した場合よりも端板にガイドピンを挿通させる際の成功率を向上させることができる。
【0012】
また、前記端板載置体の底板には板厚方向に貫通する貫通孔が形成されていて、前記貫通孔に挿通可能な寸法に形成された端板支持体と、前記端板支持体を前記貫通孔の位置において前記底板の上面から突出入可能に保持する端板支持体昇降手段をさらに具備していることが好ましい。
【0013】
これにより、端板載置体に載置した端板の載置状態が不安定になってしまう場合においても、端板載置部における端板の載置状態を安定させることができ、冷媒管への端板の挿通作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明における熱交換器用端板セット装置の構成を採用することにより、熱交換器の組立前における(放熱用フィンを積層させる前の)冷媒管に端板を自動的にセットすることができる。また、冷媒管に沿って放熱用フィンを積層させた後においても冷媒管に端板を自動的にセットすることができる。このように熱交換器に取り付けする端板を自動的に冷媒管に装着することができるので、熱交換器の製造を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態における熱交換器用端板セット装置の概略構成を示す正面図である。
図2】本実施形態における熱交換器用端板セット装置の概略構成を示す平面図である。
図3】本実施形態における熱交換器用端板セット装置の概略構成を示す側面図である。
図4】本実施形態における熱交換器用端板セット装置における端板セット部の拡大側面図である。
図5】端板セット部への端板のセット状態の変形例を示す拡大側面図である。
図6】本実施形態における熱交換器用端板セット装置を用いた熱交換器への端板のセット方法における概略工程図である。
図7図4に続く状態を示す端板セット部の拡大側面図である。
図8図7に続く状態を示す端板セット部の拡大側面図である。
図9図8に続く状態を示す端板セット部の拡大側面図である。
図10図9に続く状態を示す端板セット部の拡大側面図である。
図11図10に続く状態を示す端板セット部の拡大側面図である。
図12図11に続く状態を示す端板セット部の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる熱交換器用端板セット装置100の実施形態について、図面に基づいて具体的に説明する。図1図4に示すように、本実施形態における熱交換器用端板セット装置100は、端板載置体10と、ガイドピン保持体20と、冷媒管保持部30と、水平方向接離動手段40および水平方向移動部50と、高さ方向移動手段60および高さ方向移動部70と、これらの動作制御を行う動作制御部80と、を具備している。そして、本実施形態における熱交換器用端板セット装置100は、端板載置体10と、ガイドピン保持体20と、冷媒管保持部30と、水平方向接離動手段40および高さ方向移動手段60を有する端板載置部90と、端板載置部90を高さ方向に移動させる高さ方向移動部70と、端板載置部90を水平方向に移動させる水平方向移動部50の3つのパートに分けることができる。
【0017】
次に端板載置部90について説明する。端板載置部90は、取付アダプタ72を介して高さ方向移動部70に連結されている。この取付アダプタ72は、高さ方向移動部70の一部である流体シリンダ70Aの伸縮ロッドに端板載置部90を連結させる第1アダプタ72Aと、高さ方向移動部70の一部であるガイドロッド70Bに端板載置部90を連結させる第2アダプタ72Bとを有している。ガイドロッド70Bの下側端部は連結部材70Cにより連結されていて、互いのガイドロッド70Bが常に平行になるように維持されている。
【0018】
また、端板載置部90は高さ方向移動部70と共に、水平方向ベース73を介して水平方向移動部50に連結されている。水平方向ベース73には、流体シリンダ70Aの本体とガイドロッド70Bが挿通されるスリーブ70Dがそれぞれ固定されている。水平方向移動部50は、いずれも水平方向において互いに平行に配設された駆動側水平方向移動部50Aと従動側水平方向移動部50Bとを有し、駆動側水平方向移動部50Aには駆動源としてのモータ50Cが配設されている。水平方向ベース73は、駆動側水平方向移動部50Aと従動側水平方向移動部50Bとの間に掛け渡されている。動作制御部80が水平方向移動部50と高さ方向移動部70の動作をそれぞれ制御することにより、端板載置部90を高さ方向および水平方向に移動させることが可能になっている。
【0019】
続いて端板載置部90の各構成についてそれぞれ説明する。本実施形態における端板載置体10は、長手方向に沿って複数の冷媒管挿通孔THが所要間隔をあけて形成されている端板Tを載置する底板12と、底板12における長手方向の端縁からそれぞれ起立する起立壁14と、を有している。また、本実施形態における底板12の短手方向(ガイドピン21の軸線方向)における寸法(端板載置体10の内幅寸法)は、端板Tの短手方向(ガイドピン21の軸線方向)における幅寸法よりも大きく形成されたものが用いられている。このような端板載置体10の形態を採用することにより、端板載置体10に載置された端板Tと起立壁14との間に隙間が形成されることになる。この隙間は、後述するガイドピン21を端板Tに挿通させる際における適切なガタとなり、両者の寸法差を吸収させながらガイドピン21を端板Tに挿入可能にする。これにより、端板載置体10への端板Tの載置位置や端板載置体10への端板Tの載置姿勢を過度に矯正した場合よりも端板Tにガイドピン21を挿通させる際の成功率を向上させることができる点において好都合である。
【0020】
本実施形態における起立壁14は、端板Tに形成された冷媒管挿通孔THの位置においてガイドピン保持体20によって保持されたガイドピン21を水平方向に往復動させることができるようにガイドピン回避部14Aを有している。本実施形態においては、ガイドピン21が往復動する部分に形成した切欠部をガイドピン回避部14Aとして用いているが、この形態に限定されるものではない。起立壁14の高さ寸法を端板Tの冷媒管挿通孔THの高さよりも低くなるように形成すれば、ガイドピン回避部14Aの構成を省略した起立壁14を採用することもできる。
【0021】
また、底板12には、底板12の板厚方向に貫通する貫通孔12Aを1箇所または底板12の長手方向(ガイドピンの軸線と水平面内において直交する方向)において所要間隔をあけて複数箇所に形成し、貫通孔12Aの内径寸法以下に形成され貫通孔12Aに挿通されると共に底板12の上面から突出入可能にした端板支持体16を設けるようにしてもよい。端板支持体16を高さ方向に移動させる際には、端板載置体10に取り付けた端板支持体用流体シリンダ18の伸縮動作により実現可能である。端板支持体用流体シリンダ18の伸縮は、図示しない記憶部に記憶されている動作制御プログラムに基づいて動作制御部80により動作制御が行われている。このような動作制御部80としてはいわゆるCPUと称される中央演算装置を好適に用いることができる。
【0022】
本実施形態における端板載置体10とガイドピン保持体20は、水平方向接離動手段40により互いの離間距離を接離させることができる。ここでは、水平方向接離動手段40として流体シリンダを用いている。水平方向接離動手段40である流体シリンダの伸縮部を端板載置体10に連結し、ガイドピン保持体20を流体シリンダとは独立させておき、動作制御部80が流体シリンダを駆動させることにより、端板載置体10とガイドピン保持体20を接離動させることが可能になっている。なお、動作制御部80は、図示しない記憶部に予め記憶されている動作制御プログラムに基づいて水平方向接離動手段40である流体シリンダの伸縮動作を制御している。
【0023】
さらに端板載置体10には高さ方向移動手段60が取り付けられており、端板載置体10は端板載置部90において、端板載置部90全体の高さ方向の動きとは独立した高さ方向の移動が可能になっている。また、ガイドピン保持体20は端板載置部90に直接取り付けられている。すなわち、高さ方向移動手段60により端板載置体10の高さを変更可能にすることで、端板載置体10とガイドピン保持体20との相対高さ位置を変更させることができるのである。このような高さ方向移動手段60としては流体シリンダを例示することができる。高さ方向移動手段60の動作(流体シリンダの伸縮動作)は、動作制御プログラムおよび動作制御部80により制御されている。
【0024】
冷媒管保持部30は、冷媒を流通させるための冷媒管31を端板Tの冷媒管挿通孔THに挿入させるために、冷媒管31を水平状態に保持するものであり、端板Tに形成された冷媒管挿通孔THに対して冷媒管31の流路断面を対向させた状態で保持している。本実施形態における冷媒管保持部30は、図2に示すように冷媒管31を長手方向の2箇所で保持する2つの保持体32を有している。これら2つの保持体32は、図示しない水平方向移動機構により端板載置部90とは独立した状態でそれぞれが水平方向に移動可能に設けられている。本実施形態における冷媒管保持部30は、動作制御部80により動作制御された図示しないローダによって冷媒管31が適宜供給されている。このような冷媒管保持部30の構成を採用することで、冷媒管保持部30はガイドピン保持体20に対して接離動可能になっている。なお、冷媒管保持部30を固定し、水平方向接離動手段40または水平方向移動部50を駆動させることによりガイドピン保持体20を冷媒管保持部30に接離動させるようにしてもよい。
【0025】
続いて本実施形態における熱交換器用端板セット装置100を用いた熱交換器への端板セット方法について図4図12に基づいて説明する。図6は本実施形態における熱交換器用端板セット装置を用いた熱交換器への端板のセット方法における概略工程図である。
【0026】
作業者は、熱交換器用端板セット装置100に接続されたパーソナルコンピュータ等の記憶部にインストールされている動作制御プログラムを起動(ステップ1)する。次に作業者または図示しない端板供給用ロボットが図4に示すように端板載置体10に端板Tを載置(ステップ2)する。端板Tは、図5に示すような状態で端板載置体10に載置されることもあるが、このような載置状態の場合、動作制御部80は端板支持体用流体シリンダ18を伸長させる処理を実行し、端板支持体16を底板12の上面から突出させて端板Tを安定した状態にすることができる。端板支持体16の配設位置はガイドピン21の位置と干渉しないようになっているのはもちろんである。端板載置体10への端板Tの載置状態の検出方法としては、画像認識装置や底板12の上面に底板12の短手方向に沿って複数箇所に配設された接触センサ等(図示せず)による検出信号に基づいて動作制御部80に判断させることができる。
【0027】
端板載置体10に配設された図示しないセンサ等により端板載置体10の底板12への端板Tの載置が検出され、検出信号が動作制御部80に送信されると、動作制御部80は水平方向接離動手段40を作動(短縮)させる処理を実行(ステップ3)する。これにより、端板載置体10がガイドピン保持体20に接近し、図7に示すようにガイドピン回避部14Aから起立壁14の内側空間に進入したガイドピン21が端板Tの冷媒管挿通孔THに挿入(ステップ4)されることになる。
【0028】
次に動作制御部80は、図8に示すように水平方向移動部50の駆動モータ50Cを作動させて図中の矢印Aに示すようにガイドピン保持体20を端板載置部90と共に冷媒管保持部30に接近させ、端板Tを挿通させたガイドピン21の先端部を冷媒管保持部30に保持されている冷媒管31の先端部(開口端面)に差し込む(ステップ5)処理を実行する。これによりガイドピン21の軸線と冷媒管31の軸線は同一軸線上に配置された状態になる。続けて動作制御部80は、図9に示すように、水平方向接離動手段40を駆動(伸長)させて端板載置体10を冷媒管保持部30に接近させてガイドピン21に挿通させた端板Tを冷媒管31に挿通させる(ステップ6)処理を実行する。
【0029】
続けて動作制御部80は、図10に示すように、高さ方向移動手段60を駆動(短縮)させて端板載置体10とガイドピン保持体20との相対高さ位置を変更し、端板載置体10をガイドピン保持体20よりも低い位置に移動(退避)させることにより冷媒管31に挿通させた端板Tを端板載置体10から離反させる(ステップ7)処理を実行する。続けて動作制御部80は、図11に示すように、水平方向移動部50の駆動モータ50Cを作動させて、図中の矢印Bに示すように端板載置部90を冷媒管保持部30から離反させる(ステップ8)処理を実行する。これにより端板Tは端板載置部90から独立し冷媒管31に移し替えられることになる。
【0030】
次に動作制御部80は、図12に示すように、高さ方向移動部70を作動(短縮)させて、図中の矢印Cに示すように端板載置部90と冷媒管保持部30との相対高さ位置を変更し、端板載置部90を冷媒管保持部30よりも下方側に退避させる(ステップ9)処理を実行する。このようにして端板Tが装着された冷媒管31は動作制御部80が図示しない水平移動機構を作動させることにより冷媒管保持部30と共に端板載置部90から水平方向に離反し、次の工程に送り出される(ステップ10)ことになる。そして動作制御部80はステップ10を実行した後、処理すべき端板Tまたは冷媒管31があるかないかを確認する処理を実行(ステップ11)し、いずれか一方がある場合(Yesルート)はステップ2の端板載置体10に端板Tを載置できる状態に戻った後、ステップ10までの処理を繰り返し実行する。準備した端板Tまたは冷媒管31のいずれかが終了(ステップ11のNoルート)すると、作業者または動作制御部80が動作制御プログラムの一時停止を行い、冷媒管31への端板Tの装着処理を終了(END)させる。
【0031】
なお、以上の処理フローにおいては、積層された放熱用フィン(図示せず)に冷媒管31が挿通される前の状態に端板Tを装着する手順を示したが、端板Tを装着した冷媒管31に放熱用フィンを積層させた後、または積層された放熱用フィンに冷媒管31が挿通された後に端板Tを装着する場合には、上記手順と同様にして行うことができるため、ここでの詳細な説明は省略する。以上のようにして積層された放熱用フィンに挿通した冷媒管31(熱交換器)に端板Tを装着することにより、熱交換器を取り付け対象物(一例としてエアコンの室外機の筐体)に取り付けすることができる。
【0032】
以上、本発明にかかる熱交換器用端板セット装置100およびこれを用いた冷媒管31への端板T装着方法を実施形態に基づいて説明したが、本発明にかかる熱交換器用端板セット装置100およびこれを用いた冷媒管31への端板T装着方法は以上に説明した実施形態に限定されるものではない。例えば以上に説明した実施形態における熱交換器用端板セット装置100においては、水平方向接離動手段40および高さ方向移動手段60ならびに高さ方向移動部70においては、いずれも流体シリンダを例示しているが流体リンダに限定されるものではなく、他の公知の構成を採用することができる。
【0033】
また、本実施形態における水平方向移動部50は、端板載置部90を水平方向に移動させる形態について説明したが、この形態に限定されるものではない。水平方向移動部50は、冷媒管保持部30を水平方向に移動させるようにしても本実施形態と同様の動作は可能である。この場合、本実施形態のように冷媒管保持部30を水平方向に移動させるための水平方向移動機構の構成を省略することができる。水平方向移動部50は、端板載置部90または冷媒管保持部30の少なくとも一方を水平方向に移動させることができればよいのである。
【0034】
また、以上の実施形態においては、ステップ10において、動作制御部80が図示しない水平移動機構を作動させることにより冷媒管保持部30と共に冷媒管31を端板載置部90から水平方向に離反させる形態を示しているが、この水平方向とは、冷媒管31の軸線方向(図12における左右方向)であっても良いし、冷媒管31の配列方向(図12の紙面に対する奥行き方向)であっても良い。
【0035】
また、以上に説明した実施形態における各種変形例どうしを適宜組み合わせた構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 端板載置体,
12 底板,12A 貫通孔,14 起立壁,14A ガイドピン回避部,
16 端板支持体,18 端板支持体用流体シリンダ,
20 ガイドピン保持体,
21 ガイドピン,
30 冷媒管保持部,
31 冷媒管,32 保持体,
40 水平方向接離動手段,
50 水平方向移動部,
50A 駆動側水平方向移動部,50B 従動側水平方向移動部,50C 駆動モータ,
60 高さ方向移動手段,
70 高さ方向移動部,
70A 流体シリンダ,70B ガイドロッド,70C 連結部材,70D スリーブ,
72 取付アダプタ,72A 第1アダプタ,72B 第2アダプタ,
73 水平方向ベース,
80 動作制御部,
90 端板載置部,
100 熱交換器用端板セット装置,
T 端板,
TH 冷媒管挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12