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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】液体計量装置および水質測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/00 20060101AFI20230421BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
G01N31/00 D
G01N1/00 101L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019170481
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021047112
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391028188
【氏名又は名称】株式会社アナテック・ヤナコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 信夫
(72)【発明者】
【氏名】西田 健太
(72)【発明者】
【氏名】片山 光一
(72)【発明者】
【氏名】郭 翔
(72)【発明者】
【氏名】羽谷 信治
(72)【発明者】
【氏名】菅原 光明
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-220944(JP,A)
【文献】特開2008-111721(JP,A)
【文献】特開平11-064327(JP,A)
【文献】特開昭62-091818(JP,A)
【文献】特開2017-190999(JP,A)
【文献】特開2014-184108(JP,A)
【文献】実開昭52-081185(JP,U)
【文献】特開平06-102270(JP,A)
【文献】特開2000-321111(JP,A)
【文献】特開2006-064687(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0018376(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 31/00-31/22
G01N 35/00-35/10
G01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量液を貯留する貯留部と、
前記貯留部に接続された一次管路と、
前記被計量液を計量するための計量管路と、
計量後の前記被計量液が流れる二次管路と、
前記計量管路から空気を吸い込む正転駆動と前記計量管路に空気を送り込む逆転駆動とに切り替え可能なポンプと、
前記一次管路と前記計量管路との間における前記被計量液の流れと、前記計量管路と前記二次管路との間における前記被計量液の流れとを制御するバルブ装置と、
前記計量管路内に流れる前記被計量液を検出するセンサ装置と、
前記センサ装置による前記被計量液の検出結果に基づいて、前記ポンプおよび前記バルブ装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
(1)前記一次管路と前記計量管路との間における前記被計量液の流れを許容するとともに前記計量管路と前記二次管路との間における前記被計量液の流れを制限するように前記バルブ装置を制御し、前記ポンプを正転駆動させる第1制御と、
(2)前記第1制御中に前記センサ装置が前記被計量液の液面を検知したことに基づいて、前記ポンプを前記第1制御に比べて低速で逆転駆動させる第2制御と、
(3)前記第2制御中に前記センサ装置が前記被計量液の液面を再び検知したことに基づいて、前記一次管路と前記計量管路との間における前記被計量液の流れを制限するとともに前記計量管路と前記二次管路との間における前記被計量液の流れを許容するように前記バルブ装置を制御し、前記ポンプを逆転駆動させる第3制御とを行う
ことを特徴とする液体計量装置。
【請求項2】
前記一次管路と前記計量管路とを接続する中間管路をさらに備え、
前記中間管路には、当該中間管路の内径を拡大させて形成された気泡低減部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体計量装置。
【請求項3】
前記貯留部として、有機炭素を含む試料を前記被計量液として貯留する試料貯留部と、酸を溶質とする酸溶液を前記被計量液として貯留する酸溶液貯留部と、酸化剤を溶質とする酸化剤溶液を前記被計量液として貯留する酸化剤溶液貯留部とを備え、
前記一次管路として、前記試料貯留部に接続された試料一次管路と、前記酸溶液貯留部に接続された酸溶液一次管路と、前記酸化剤溶液貯留部に接続された酸化剤溶液一次管路とを備え、
前記計量管路として、前記試料を計量するための試料計量管路と、前記酸溶液を計量するための酸溶液計量管路と、前記酸化剤溶液を計量するための酸化剤溶液計量管路とを備え、
前記センサ装置は、前記試料計量管路内に流れる前記試料を検出する試料センサと、前記酸溶液計量管路内に流れる前記酸溶液を検出する酸溶液センサと、前記酸化剤溶液計量管路内に流れる前記酸化剤溶液を検出する酸化剤溶液センサとを備えている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体計量装置。
【請求項4】
前記貯留部として、前記試料を希釈するための希釈水を前記被計量液として貯留する希釈水貯留部を備え、
前記一次管路として、前記希釈水貯留部に接続された希釈水一次管路を備え、
前記計量管路として、前記希釈水を計量するための希釈水計量管路を備え、
前記センサ装置は、前記希釈水計量管路内に流れる前記希釈水を検出する希釈水センサを備えている
ことを特徴とする請求項3に記載の液体計量装置。
【請求項5】
前記二次管路と前記試料計量管路と前記希釈水計量管路とが直列に接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の液体計量装置。
【請求項6】
前記バルブ装置は、前記一次管路と前記計量管路と前記二次管路とが接続された三方向電磁弁を備えている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の液体計量装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の液体計量装置を備える
ことを特徴とする水質測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量液を計量する液体計量装置およびこれを備えた水質測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水質測定装置として、例えば試料である水に含まれる有機炭素の濃度を測定する全有機炭素測定装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、マイクロシリンジを用いて所定量の試料を反応槽に注入し、定量ポンプを用いて所定量の酸溶液を反応槽に注入し、さらに、他の定量ポンプを用いて所定量の酸化剤溶液を反応槽に注入する全有機炭素測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭63-173962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、マイクロシリンジを用いて被計量液である試料を計量する必要があり、試料を自動で計量することができないという問題があった。そこで、酸溶液および酸化剤溶液と同様に、定量ポンプを用いて試料を計量することが考えられるが、定量ポンプの性能が低下した場合には精確に計量できないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ポンプの性能が変動する場合であっても被計量液を自動で精確に計量できる液体計量装置および水質測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の液体計量装置は、被計量液を貯留する貯留部と、前記貯留部に接続された一次管路と、前記被計量液を計量するための計量管路と、計量後の前記被計量液が流れる二次管路と、前記計量管路から空気を吸い込む正転駆動と前記計量管路に空気を送り込む逆転駆動とに切り替え可能なポンプと、前記一次管路と前記計量管路との間における前記被計量液の流れと、前記計量管路と前記二次管路との間における前記被計量液の流れとを制御するバルブ装置と、前記計量管路内に流れる前記被計量液を検出するセンサ装置と、前記センサ装置による前記被計量液の検出結果に基づいて、前記ポンプおよび前記バルブ装置を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、(1)前記一次管路と前記計量管路との間における前記被計量液の流れを許容するとともに前記計量管路と前記二次管路との間における前記被計量液の流れを制限するように前記バルブ装置を制御し、前記ポンプを正転駆動させる第1制御と、(2)前記第1制御中に前記センサ装置が前記被計量液の液面を検知したことに基づいて、前記ポンプを前記第1制御に比べて低速で逆転駆動させる第2制御と、(3)前記第2制御中に前記センサ装置が前記被計量液の液面を再び検知したことに基づいて、前記一次管路と前記計量管路との間における前記被計量液の流れを制限するとともに前記計量管路と前記二次管路との間における前記被計量液の流れを許容するように前記バルブ装置を制御し、前記ポンプを逆転駆動させる第3制御とを行うことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の液体計量装置は、請求項1に記載の液体計量装置において、前記一次管路と前記計量管路とを接続する中間管路をさらに備え、前記中間管路には、当該中間管路の内径を拡大させて形成された気泡低減部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の液体計量装置は、請求項1または2に記載の液体計量装置において、前記貯留部として、有機炭素を含む試料を前記被計量液として貯留する試料貯留部と、酸を溶質とする酸溶液を前記被計量液として貯留する酸溶液貯留部と、酸化剤を溶質とする酸化剤溶液を前記被計量液として貯留する酸化剤溶液貯留部とを備え、前記一次管路として、前記試料貯留部に接続された試料一次管路と、前記酸溶液貯留部に接続された酸溶液一次管路と、前記酸化剤溶液貯留部に接続された酸化剤溶液一次管路とを備え、前記計量管路として、前記試料を計量するための試料計量管路と、前記酸溶液を計量するための酸溶液計量管路と、前記酸化剤溶液を計量するための酸化剤溶液計量管路とを備え、前記センサ装置は、前記試料計量管路内に流れる前記試料を検出する試料センサと、前記酸溶液計量管路内に流れる前記酸溶液を検出する酸溶液センサと、前記酸化剤溶液計量管路内に流れる前記酸化剤溶液を検出する酸化剤溶液センサとを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の液体計量装置は、請求項3に記載の液体計量装置において、前記貯留部として、前記試料を希釈するための希釈水を前記被計量液として貯留する希釈水貯留部を備え、前記一次管路として、前記希釈水貯留部に接続された希釈水一次管路を備え、前記計量管路として、前記希釈水を計量するための希釈水計量管路を備え、前記センサ装置は、前記希釈水計量管路内に流れる前記希釈水を検出する希釈水センサを備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の液体計量装置は、請求項4に記載の液体計量装置において、前記二次管路と前記試料計量管路と前記希釈水計量管路とが直列に接続されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の液体計量装置は、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体計量装置において、前記バルブ装置は、前記一次管路と前記計量管路と前記二次管路とが接続された三方向電磁弁を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の水質測定装置は、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体計量装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポンプの性能が変動する場合であっても被計量液を自動で精確に計量できる液体計量装置および水質測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る液体計量装置を備えた水質測定装置の概要図である。
図2】同実施形態に係る気泡低減部の断面図である。
図3】同実施形態に係る水質測定装置の概略構成をブロック図である。
図4】同実施形態に係る水質測定装置による全有機炭素の測定の流れを示すフローチャートである。
図5】(A)~(D)は、同実施形態に係る試料の計量および移送の流れを示す概要図である。
図6】(A)~(D)は、同実施形態に係る酸溶液の計量および移送の流れを示す概要図である。
図7】(A)~(D)は、同実施形態に係る酸化剤溶液の計量および移送の流れを示す概要図である。
図8】(A)~(D)は、同実施形態に係る洗浄水の計量および移送の流れを示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係る液体計量装置および水質測定装置を説明する。水質測定装置である全有機炭素測定装置1(以下「TOC測定装置1」)は、水中の全有機炭素(TOC:Total Organic Carbon)の濃度を連続的または周期的に測定するための自動計測器である。TOC測定装置1は、試料等の被計量液を計量する液体計量装置を内蔵している。
【0017】
図1に示すように、TOC測定装置1は、試料貯留部11A、酸溶液貯留部11B、酸化剤溶液貯留部11C、洗浄水貯留部11D、スパン校正液貯留部11E、混合部12、加熱部13、水分除去部14、二酸化炭素検出部15、ポンプ16A,16B、二酸化炭素除去部17、廃液貯留部18、および、排出管19を備えている。
【0018】
試料貯留部11A、酸溶液貯留部11B、酸化剤溶液貯留部11C、洗浄水貯留部11D、および、スパン校正液貯留部11Eは、被計量液を貯める貯留部(以下「貯留部11」)を構成している。
【0019】
試料貯留部11Aは、水質測定の対象となる有機炭素を含む水を試料として貯留するタンクにより構成されている。試料貯留部11Aには流量調整バルブ(不図示)を介して水が導かれ、所定量を超える水は試料貯留部11Aから還流されるように構成されている。
【0020】
酸溶液貯留部11Bは、無機炭素(IC)除去用の酸溶液を貯留する保存容器により構成されている。酸溶液は、純水を溶媒とし酸を溶質とする水溶液であり、酸としては、例えば、硫酸、塩酸、または、リン酸等の無機酸を使用する。酸溶液中の酸の濃度は、酸溶液を試料に混合したときに試料の水素イオン指数(pH)が十分低下するように予め調整されている。
【0021】
酸化剤溶液貯留部11Cは、酸化剤溶液を貯留する保存容器により構成されている。酸化剤溶液は、純水を溶媒とし酸化剤を溶質とする水溶液であり、酸化剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム(ペルオキソニ硫酸ナトリウム)または過硫酸カリウム(ペルオキソニ硫酸カリウム)を使用する。酸化剤溶液中の酸化剤の濃度は、酸化剤を試料に混合して加熱したときに試料中の有機炭素が十分酸化できるように予め調整されている。
【0022】
洗浄水貯留部11Dは、試料が通過する管路内壁や電磁弁内部、および、混合部12の内部を洗浄するための洗浄水を貯留するタンクにより構成されている。洗浄水としては、例えば、水道水、または、イオン交換法により得られたイオン交換水や逆浸透膜を用いる濾過により得られたRO水等の純水を使用する。純水は、低濃度の全有機炭素を測定する際に使用することが好ましい。
【0023】
スパン校正液貯留部11Eは、スパン校正を行うためのスパン校正液を貯留する保存容器により構成されている。スパン校正液は、純水を溶媒としフタル酸水素カリウムを溶質とする水溶液である。
【0024】
混合部12は、液体収容部であって、計量後の被計量液を収容する容器により構成されている。混合部12の内部では、計量後の試料と計量後の酸溶液が混合され、通気処理による無機炭素の除去後に試料と計量後の酸化剤溶液が混合される。また、混合部12は、加熱部13で生じた試料の蒸気を二酸化炭素検出部15に導く流路を構成している。
【0025】
加熱部13は、酸化剤溶液が混合された試料を加熱するための発熱体13Aを備えたオートクレーブにより構成されている。加熱部13は、試料を加熱することで試料中の有機炭素を酸化させ、二酸化炭素を含んだ試料の蒸気を発生させる。
【0026】
水分除去部14は、ミストキャッチャーにより構成されている。水分除去部14は、蒸気中の液体の粒子を捕集することによって、二酸化炭素検出部15に送られる試料の蒸気から水分を除去する。
【0027】
二酸化炭素検出部15は、試料の蒸気に含まれる二酸化炭素を検出する非分散型赤外線式(NDIR式)ガス分析計により構成されている。二酸化炭素検出部15は、試料の蒸気から二酸化炭素を検出することで、試料に含まれていた全有機炭素の濃度を測定し、その測定結果を出力する。
【0028】
ポンプ16Aは、空気の流路を形成するチューブを備えたペリスタルティックポンプ(いわゆるしごきポンプ)により構成されている。ポンプ16Aは、ローターが回転駆動することによりチューブの圧縮および弛緩を行い、ローターがチューブを圧縮して(押し潰して)空気を送り込むとともに、圧縮されたチューブを弛緩(復元)する際に発生する負圧によって空気を吸い込む。ポンプ16Aが単位時間あたりに空気を移送する容量は、ローターの回転速度により変化する。また、少なくともポンプ16Aは、ローターの回転方向を切り替えることにより、計量管路および加熱管路(後述する管路22A~22D,27)から空気を吸い込む正転駆動と、計量管路および加熱管路に空気を送り込む逆転駆動とに切り替え可能に構成されている。
【0029】
ポンプ16Bは、ダイアフラムを備えた電磁式エアーポンプにより構成されている。ポンプ16Bは、電磁石によりダイアフラムを振動させ、計量管路および加熱管路(後述する管路22A~22D,27)等に空気を送り込む。
【0030】
二酸化炭素除去部17は、ポンプ16A,16Bが移送する空気から二酸化炭素を除去する二酸化炭素除去管により構成されている。二酸化炭素除去部17は、二酸化炭素を吸収する吸収剤として例えばソーダライムを備えている。
【0031】
廃液貯留部18は、混合部12内の残留液を廃液として貯めるタンクにより構成されている。廃液貯留部18に溜まった廃液は、TOC測定装置1の保守作業者によって適宜廃棄される。
【0032】
排出管19は、混合部12内で発生した無機炭素由来の二酸化炭素、水分除去部14で捕集された水、および、後述する管路24内の残留液を排出する配管である。
【0033】
また、図1に示すように、TOC測定装置1は、管路21A~21E,22A~22D,23A~23C,24~27、バルブ31~39,41~47、および、光センサ51~54を備えている。
【0034】
管路21A~21Eは、貯留部11に接続された一次管路を構成している。管路21Aは、試料貯留部11Aに接続された試料一次管路である。管路21Bは、酸溶液貯留部11Bに接続された酸溶液一次管路である。管路21Cは、酸化剤溶液貯留部11Cに接続された酸化剤溶液一次管路である。管路21Dは、洗浄水貯留部11Dに接続された洗浄水一次管路である。管路21Eは、スパン校正液貯留部11Eに接続されたスパン校正液一次管路である。管路21A~21Eは、それぞれ、1対1で対応するバルブ37,35,36,34,38に接続されている(図1参照)。
【0035】
管路22A~22Dは、被計量液を計量するための計量管路を構成しており、透光性を有している。管路22Aは、試料を計量するための試料計量管路であって、スパン校正液を計量するためのスパン校正液計量管路を兼ねている。管路22Bは、酸溶液を計量するための酸溶液計量管路である。管路22Cは、酸化剤溶液を計量するための酸化剤溶液計量管路である。管路22Dは、洗浄水を計量するための洗浄水計量管路である。管路22A~22Dのポンプ16A側の端部は、それぞれ、1対1で対応するバルブ34,32,33,31に接続されており、管路22A~22Dの混合部12側の端部は、それぞれ、1対1で対応するバルブ39,35,36,34に接続されている(図1参照)。管路22Aと管路22Dとは、バルブ34を介して直列に接続されているため、管路22Aには洗浄水が流れる。
【0036】
管路23A~23Cは、混合部12に接続された計量後の被計量液が流れる二次管路を構成している。管路23Aと管路22Aと管路22Dとは、バルブ34,39を介して直列に接続されており、管路23Aには、計量後の試料、洗浄水、および、スパン校正液が流れる。管路23Bには、計量後の酸溶液が流れる。管路23Cには、計量後の酸化剤溶液が流れる。管路23A~23Cは、それぞれ、1対1で対応するバルブ39,35,36に接続されている(図1参照)。
【0037】
管路24は、一次管路と計量管路とを接続する中間管路を構成している。管路24は、バルブ37,38に接続されるとともに、接続点Pで管路22Aに接続されている。管路24には、この管路24の内径を拡大させて形成された気泡低減部24Aが設けられている。気泡低減部24Aについては、図2を参照して後述する。
【0038】
管路25は、試料等の被計量液や試料の蒸気等を移送するために、ポンプ16A,16Bとバルブ31~33,41とに接続されている。管路26は、混合部12とバルブ42とに接続されている。管路27は、試料を加熱するための加熱管路であり、発熱体13Aの周囲に設けられており、管路27のポンプ16A,16B側の端部はバルブ41に接続され、管路27の混合部12側の端部はバルブ42に接続されている。
【0039】
バルブ31~39は、一次管路と計量管路との間における被計量液の流れと、計量管路と二次管路との間における被計量液の流れとを制御するバルブ装置(以下「バルブ装置30」)を構成している。
【0040】
バルブ31~33は、それぞれ二方向電磁弁により構成されている。バルブ31は、管路25と管路22Dとの間における流体(空気)の流れを制御する。バルブ32は、管路25と管路22Bとの間における流体(空気)の流れを制御する。バルブ33は、管路25と管路22Cとの間における流体(空気)の流れを制御する。
【0041】
バルブ34~36は、それぞれ、一次管路と計量管路と二次管路とが接続された三方向電磁弁により構成されている。バルブ34は、管路21Dと管路22Dとの間における流体(洗浄水)の流れを制御するとともに、管路22Dと管路22A,23Aとの間における流体(洗浄水および空気)の流れを制御する。バルブ35は、管路21Bと管路22Bとの間における流体(酸溶液)の流れを制御するとともに、管路22Bと管路23Bとの間における流体(酸溶液および空気)の流れを制御する。バルブ36は、管路21Cと管路22Cとの間における流体(酸化剤溶液)の流れを制御するとともに、管路22Cと管路23Cとの間における流体(酸化剤溶液および空気)の流れを制御する。
【0042】
バルブ37~39は、それぞれ二方向電磁弁により構成されている。バルブ37は、管路21Aと管路24,22Aとの間における流体(試料)の流れを制御する。バルブ38は、管路21Eと管路24,22Aとの間における流体(スパン校正液)の流れを制御する。バルブ39は、管路22Aと管路23Aとの間における流体(試料、洗浄水、スパン校正液、および、空気)の流れを制御する。
【0043】
バルブ41~47は、それぞれ二方向電磁弁により構成されている。バルブ41は、管路25と管路27との間における流体(空気)の流れを制御し、バルブ42は、管路26と管路27との間における流体(試料および空気)の流れを制御する。
【0044】
バルブ43は、混合部12と水分除去部14との間における流体(試料の蒸気)の流れを制御し、バルブ44は、混合部12と排出管19との間における流体(無機炭素由来の二酸化炭素を含む気体)の流れを制御する。バルブ45は、混合部12と廃液貯留部18との間における流体(残留液)の流れを制御し、バルブ46は、管路24と排出管19との間における流体(残留液)の流れを制御する。バルブ47は、ポンプ16Aから送られる空気がポンプ16Bに流入することを防止するために、ポンプ16Bと管路25との間における流体(空気)の流れを制御する。
【0045】
光センサ51~54は、計量管路に流れる被計量液を検出するセンサ装置(以下「センサ装置50」)を構成している。光センサ51~54は、それぞれ、計量管路を挟んで対向するように配置された発光部および受光部を備えており、発光部は、所定光量の検知光を発光し、受光部は、検知光を受光するように構成されている。光センサ51~54は、それぞれ、受光部による検知光の受光結果に基づいて、被計量液を検出する。
【0046】
光センサ51は、管路22A内に流れる試料を検出する試料センサであり、管路22A内に流れるスパン校正液を検出するスパン校正液センサを兼ねている。光センサ51は、所定量の試料を計量できるように、接続点Pから計量目標値に応じた距離をあけて管路22Aの近傍に設けられている。
【0047】
光センサ52は、管路22B内に流れる酸溶液を検出する酸溶液センサである。光センサ52は、所定量の酸溶液を計量できるように、バルブ35から計量目標値に応じた距離をあけて管路22Bの近傍に設けられている。
【0048】
光センサ53は、管路22C内に流れる酸化剤溶液を検出する酸化剤溶液センサである。光センサ53は、所定量の酸化剤溶液を計量できるように、バルブ36から計量目標値に応じた距離をあけて管路22Cの近傍に設けられている。
【0049】
光センサ54は、管路22D内に流れる洗浄水を検出する洗浄水センサである。光センサ54は、所定量の洗浄水を計量できるように、バルブ34から計量目標値に応じた距離をあけて管路22Dの近傍に設けられている。
【0050】
図2(A)および(B)を参照して気泡低減部24Aの作用を説明する。
図2(A)に示すように、試料貯留部21Aから管路22Aに試料が移送されるとき、表面張力によって試料が薄い膜のように形成されることがあるため、試料の先頭部分に気泡が生じることがあり、短い区間において複数の試料の液面が存在する。気泡低減部24Aでは、薄い膜状に形成された試料が気泡低減部24Aの内壁に沿って下方の試料と合流するように落ちるため、図2(B)に示すように、試料の先頭部分に生じた気泡を解消することができる。こうして、気泡低減部24Aは、管路24を流れる被計量液(試料およびスパン校正液)に発生する気泡を低減し、被計量液の液面を整える。
【0051】
また、図3に示すように、TOC測定装置1は、加熱部13、ポンプ16A,16B、および、バルブ31~39,41~47を制御する制御装置60を備えている。制御装置60は、被計量液を計量するために、センサ装置50による被計量液の検出に基づいて、バルブ装置30およびポンプ16Aを制御する。
【0052】
以上のような構成において、本実施形態のTOC測定装置1が備える液体計量装置は、貯留部11、ポンプ16A、管路21A~21E,22A~22D,23A~23C、バルブ装置30、および、センサ装置50により構成されている。
【0053】
図4を参照して、全有機炭素の測定の流れの一例を説明する。
まず、TOC測定装置1は、試料を計量し、混合部12に試料を移送する(ステップS1)。具体的には、制御装置60が、試料貯留部11Aから管路22Aに試料を移送し、さらに、管路22Aから混合部12に所定量の試料を移送するように、バルブ装置30およびポンプ16Aを制御する。
【0054】
図5を参照して、ステップS1における試料の計量動作についてさらに詳しく説明する。図5中の矢印は、試料の流れを示している。図5(A)に示すように、制御装置60は、管路25,22D,22Aが連通するようにバルブ31を制御し、さらに、管路21Aと管路24,22Aとの間における試料の流れを許容するとともに管路22Aと管路23Aとの間における試料の流れを制限するようにバルブ37を制御し、管路22Aから空気を吸い込むようにポンプ16Aを正転駆動させる第1制御を行って、試料貯留部11Aから管路22Aに試料を移送する。光センサ51が試料の液面を検出したことに基づいてポンプ16Aの正転駆動を停止させると、図5(B)に示すように、試料の高速の移送により試料の液面が光センサ51から離れる。そこで、制御装置60は、第1制御中に光センサ51が試料の液面を検出したことに基づいて、図5(C)に示すように管路22A内の試料を減量するために、ポンプ16Aを正転駆動から低速の逆転駆動に切り替え、ポンプ16Aを第1制御に比べて低速で逆転駆動させる第2制御を行って、光センサ51が試料の液面を再び検出するまで管路22Aから試料貯留部11Aに過剰分の試料を移送する。そして、図5(D)に示すように、制御装置60は、第2制御中に光センサ51が試料の液面を再び検出したことに基づいて、管路21Aと管路24,23Aとの間における試料の流れを制限するとともに管路22Aと管路23Aとの間における試料の流れを許容するようにバルブ37,39を制御し、管路22Aに空気を送り込むようにポンプ16Aを逆転駆動させる第3制御を行って、管路22Aから混合部12に試料を移送する。
【0055】
次いで、TOC測定装置1は、酸溶液を計量し、混合部12に酸溶液を移送する(ステップS2)。具体的には、制御装置60が、酸溶液貯留部11Bから管路22Bに酸溶液を移送し、さらに、管路22Bから混合部12に所定量の酸溶液を移送するように、バルブ装置30およびポンプ16Aを制御する。
【0056】
図6を参照して、ステップS2における酸溶液の計量動作についてさらに詳しく説明する。図6中の矢印は、酸溶液の流れを示している。図6(A)に示すように、制御装置60は、バルブ32を制御し、管路22Cから空気を吸い込むようにポンプ16Aを正転駆動させる第1制御を行って、酸溶液貯留部11Bから管路22Bに酸溶液を移送する。光センサ52が酸溶液の液面を検出したことに基づいてポンプ16Aの正転駆動を停止させると、図6(B)に示すように、酸溶液の高速の移送により酸溶液の液面が光センサ52から離れた状態となるため、制御装置60は、光センサ52が酸溶液の液面を検出したことに基づいて、図6(C)に示すように管路22B内の酸溶液を減量するために、ポンプ16Aを第1制御に比べて低速で逆転駆動させる第2制御を行って、管路22Bから酸溶液貯留部11Bに過剰分の酸溶液を移送する。そして、図6(D)に示すように、制御装置60は、第2制御中に光センサ52が酸溶液の液面を再び検出したことに基づいて、バルブ35を制御し、管路22Bに空気を送り込むようにポンプ16Aを逆転駆動させる第3制御を行って、管路22Bから混合部12に酸溶液を移送する。
【0057】
次いで、TOC測定装置1は、通気処理を行って試料に含まれる無機炭素を除去する(ステップS3)。具体的には、制御装置60が、管路25,27,26が連通するようにバルブ41,42を制御し、二酸化炭素が除去された空気を混合部12内の試料に通すために、管路27内に空気を送り込むようにポンプ16Aを制御するとともに、混合部12内で発生した二酸化炭素を含む気体が排出されるようにバルブ44を制御する。
【0058】
次いで、TOC測定装置1は、酸化剤溶液を計量し、混合部12に酸化剤溶液を移送する(ステップS4)。具体的には、制御装置60が、酸化剤溶液貯留部11Cから管路22Cに酸化剤溶液を移送し、さらに、管路22Cから混合部12に所定量の酸化剤溶液を移送するように、バルブ装置30およびポンプ16Aを制御する。
【0059】
図7を参照して、ステップS4における酸化剤溶液の計量動作についてさらに詳しく説明する。図7中の矢印は、酸化剤溶液の流れを示している。図7(A)に示すように、制御装置60は、バルブ33を制御し、管路22Cから空気を吸い込むようにポンプ16Aを正転駆動させる第1制御を行って、酸化剤溶液貯留部11Cから管路22Cに酸化剤溶液を移送する。光センサ53が酸化剤溶液の液面を検出したことに基づいてポンプ16Aの正転駆動を停止させると、図7(B)に示すように、酸化剤溶液の高速の移送により酸化剤溶液の液面が光センサ53から離れた状態となるため、制御装置60は、光センサ53が酸化剤溶液の液面を検出したことに基づいて、図7(C)に示すように管路22C内の酸化剤溶液を減量するために、ポンプ16Aを第1制御に比べて低速で逆転駆動させる第2制御を行って、管路22Cから酸化剤溶液貯留部11Cに過剰分の酸化剤溶液を移送する。そして、図7(D)に示すように、制御装置60は、第2制御中に光センサ53が酸化剤溶液の液面を再び検出したことに基づいて、バルブ36を制御し、管路22Cに空気を送り込むようにポンプ16Aを逆転駆動させる第3制御を行って、管路22Cから混合部12に酸化剤溶液を移送する。
【0060】
次いで、TOC測定装置1は、混合部12から加熱部13に酸化剤溶液が混合された試料を移送する(ステップS5)。具体的には、制御装置60が、管路25,27,26が連通するようにバルブ41,42を制御し、管路27内の試料を吸い込むようにポンプ16Aを正転駆動させる制御を行うことで、混合部12から管路27に試料を移送する。また、制御装置60は、試料が管路27に到達するとポンプ16Aの駆動を停止させ、管路25と管路27との間における流体の流れを制限するとともに管路26と管路27との間における流体の流れを制限するようにバルブ41,42を制御する。
【0061】
次いで、TOC測定装置1は、試料中の有機炭素が二酸化炭素となるように試料を加熱する(ステップS6)。具体的には、制御装置60が、試料を例えば120℃で30分間加熱するように加熱部13を制御する。このとき、管路27がバルブ41,42によって閉じられているため、管路27内の試料は加圧され、有機炭素の酸化が促進される。制御装置60は、試料の加熱後、管路27がバルブ41,42によって閉じられた状態を所定時間維持し、試料が所定温度(約60℃)となるように加熱部13および管路27内の試料を冷却する。
【0062】
そして、TOC測定装置1は、試料の蒸気に含まれる二酸化炭素を検出して、試料に含まれていた全有機炭素の濃度を測定する(ステップS7)。具体的には、制御装置60が、管路25,27,26が連通するようにバルブ41,42を制御し、かつ、混合部12と水分除去部14との間における試料の蒸気の流れが許容されるようにバルブ43を制御し、管路27内に空気を送り込むようにポンプ16Aを駆動させることで、混合部12および水分除去部14を経由して二酸化炭素検出部15に試料の蒸気を移送する。二酸化炭素検出部15は、試料の蒸気から二酸化炭素を検出することで、蒸気に含まれる二酸化炭素の濃度を測定し、その二酸化炭素の濃度に基づき、試料に含まれていた全有機炭素の濃度を算出する。
【0063】
また、図4に示す一連の動作が行われる前に、TOC測定装置1は、管路22A,23Aの内壁、バルブ39の内部、および、混合部12の内部を洗浄し、さらに、二酸化炭素を含まない空気により残留液を除去する。具体的には、制御装置60が、洗浄水貯留部11Dから管路22Dに洗浄水を移送し、さらに、管路22Dから混合部12に洗浄水を移送するように、バルブ装置30およびポンプ16Aを制御する。次いで、制御装置60が、混合部12から廃液貯留部18に残留液を移送できるように、バルブ45を制御し、さらに、管路22A~22D,26,27に空気を送り込むように、バルブ31~33,35,36,39,41~43,46,47およびポンプ16B等を制御する。
【0064】
図8を参照して、管路22A,23A、バルブ39、および、混合部12の洗浄時における洗浄水の計量動作について詳しく説明する。図8中の矢印は、洗浄水の流れを示している。図8(A)に示すように、制御装置60は、バルブ31,34を制御し、管路22Dから空気を吸い込むようにポンプ16Aを正転駆動させる第1制御を行って、洗浄水貯留部11Dから管路22Dに洗浄水を移送する。光センサ54が洗浄水の液面を検出したことに基づいてポンプ16Aの正転駆動を停止させると、図8(B)に示すように、洗浄水の高速の移送により洗浄水の液面が光センサ54から離れた状態となるため、制御装置60は、光センサ54が洗浄水の液面を検出したことに基づいて、図8(C)に示すように管路22B内の洗浄水を減量するために、ポンプ16Aを第1制御に比べて低速で逆転駆動させる第2制御を行って、管路22Dから洗浄水貯留部11Dに過剰分の洗浄水を移送する。そして、図8(D)に示すように、制御装置60は、第2制御中に光センサ54が洗浄水の液面を再び検出したことに基づいて、バルブ39を制御し、管路22Dに空気を送り込むようにポンプ16Aを逆転駆動させる第3制御を行って、管路22Dから管路22A,23Aを経由して混合部12に洗浄水を移送する。
【0065】
また、TOC測定装置1は、上記ステップS1の動作に代えて、制御装置60が、洗浄水貯留部11Dから管路22Dに洗浄水を移送し、さらに、管路22Dから混合部12に洗浄水を移送するように、バルブ装置30およびポンプ16Aを制御することで、洗浄水貯留部11Dに貯留している純水をゼロ校正液として利用し、ゼロ校正を行う。さらに、TOC測定装置1は、上記ステップS1の動作に代えて、スパン校正液貯留部11Eから混合部12にスパン校正液を移送するとともに、上記ステップS3~S8の動作を行うことで、スパン校正を行う。スパン校正液の計量動作は、上記ステップS1においてバルブ37に代えてバルブ38を制御することによって行うことができる。
【0066】
上記実施形態においては以下の効果が得られる。
(1)センサ装置50による被計量液(試料、酸溶液、酸化剤溶液、洗浄水、および、スパン校正液)の検出結果に基づいて、一次管路(管路21A~21E)から計量管路(管路22A~22D)に被計量液を移送した後、過剰分の被計量液は計量管路から排出され、所定量の被計量液が計量管路から二次管路(管路23A~23C)に移送される。このため、ポンプ16Aの性能が変動する場合であっても被計量液を自動で精確に計量できる。
【0067】
(2)中間管路(管路24)には、中間管路の内径を拡大させて形成された気泡低減部24Aが設けられているため、被計量液(試料およびスパン校正液)の液面を整えることができ、被計量液をより精確に計量できる。
【0068】
(3)二次管路(管路23A)と試料計量管路(管路22A)と洗浄水計量管路(管路22D)とが直列に接続されているため、洗浄水貯留部から二次管路までの流路と試料貯留部から二次管路までの流路とを共通化することができる。
【0069】
(4)バルブ装置30は、一次管路(管路21B,21C)と計量管路(管路22B,22C)と二次管路(管路23B,23C)とが接続された三方向電磁弁(バルブ35,36)を備えているため、二方向電磁弁のみにより構成される場合に比べて、バルブ装置30の構成を簡略化できる。
【0070】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、上記構成を変更することもできる。例えば、以下のように変更して実施することもでき、以下の変更を組み合わせて実施することもできる。
【0071】
・ポンプの構成を適宜変更してもよい。すなわち、例えば、ポンプ16A,16Bと性能または用途の異なるポンプをさらに追加してもよく、ポンプ16A,16Bを、それらの性能を備えた1つのポンプにより構成してもよい。
【0072】
・洗浄水を、試料を希釈するための希釈水として利用してもよく、洗浄水貯留部11Dを希釈水貯留部とし、管路22Dを希釈水計量管路とし、光センサ54を希釈水センサとして用いてもよい。この場合、ステップS1後かつステップS2前に、TOC測定装置1は、希釈水を計量し、混合部12に希釈水溶液を移送する(ステップS1.5)。ステップS1.5における希釈水の計量動作は、上記実施形態で説明した洗浄水の計量動作と同様にして行われる。すなわち、制御装置60が、洗浄水貯留部11Dから管路22Dに希釈水を移送するように、バルブ31,34およびポンプ16A等を制御し、さらに、管路22Dから混合部12に所定量の希釈水を移送するように、バルブ31,39およびポンプ16A等を制御する。
【0073】
・上記ステップS1において、管路22Aから試料貯留部11Aに過剰分の試料を移送せずに、管路24と排出管19との間における流体の流れを許容するようにバルブ46を制御することで、管路22Aから排出管19に過剰分の試料を移送するように構成してもよい。
【0074】
・管路22Aをバルブ31に接続してもよい。この場合、洗浄水貯留部11D、管路22D、バルブ34、および、光センサ54を省くことができる。
【符号の説明】
【0075】
1 全有機炭素測定装置(水質測定装置)
11A 試料貯留部(貯留部)
11B 酸溶液貯留部(貯留部)
11C 酸化剤溶液貯留部(貯留部)
11D 洗浄水貯留部(貯留部)
11E スパン校正液貯留部(貯留部)
16A,16B ポンプ
21A~21E 管路(一次管路)
22A~22D 管路(計量管路)
23A~23C 管路(二次管路)
24 管路(中間管路)
24A 気泡低減部
25~27 管路
31~39 バルブ(バルブ装置)
41~47 バルブ
51~54 光センサ(センサ装置)
60 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8