(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ヒーブ浮体式発電・酸素増加装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F03B 13/16 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
F03B13/16
(21)【出願番号】P 2022500614
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(86)【国際出願番号】 CN2020071388
(87)【国際公開番号】W WO2021008108
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】201910650021.0
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515223167
【氏名又は名称】中国海洋大学
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】曹 ▲飛▼▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】史 宏▲達▼
(72)【発明者】
【氏名】江 小▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼ 蒙
(72)【発明者】
【氏名】▲鐘▼ 子悦
(72)【発明者】
【氏名】白 浩哲
(72)【発明者】
【氏名】潘 奕霖
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲臻▼
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲凱▼
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105565430(CN,A)
【文献】特表2013-535605(JP,A)
【文献】実開昭57-092079(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー捕捉システムと
、転向システム、酸素増加システムと、発電システムとを備え、そのうち、
前記エネルギー捕捉システムは、
下端が海底に固定されて上端が海から突き出る少なくとも四本の平行な鉄骨フレームと、
前記鉄骨フレームの頂端に固定して取り付けられる台座と、
伝動機構として
、揺動可能に前記台座を貫通し、前記鉄骨フレームと平行な方向に沿って延びるように構成されるボールねじと、
前記台座の下に位置して外部から前記ボールねじを囲み、且つ前記ボールねじの軸方向に沿って伸縮可能に構成される柔軟性防水ハウジングと、
前記ボールねじの下端と固定して接続されるヒーブ浮体と、を備え、
前記転向システムは、
前記ボールねじと同軸に取り付けられるスリーブシャフトと、
前記スリーブシャフトと異なる軸に取り付けられる出力軸と
、
前記出力軸に取り付けられる二つのラチェットと、
前記スリーブシャフトに取り付けられる二つのねじ歯車と、
前記ねじ歯車のうちの1つ及び前記ラチェットのうちの1つとそれぞれ噛み合う回転切替輪と、を備え
前記酸素増加システムは、
上から前記台座に嵌挿し、且つ下部が前記柔軟性防水ハウジングの内部に伸びて空気通路を形成する複数の吸気管と、
前記吸気管の管口に対応して設置され、且つ吸気量を調整できる複数の一方向吸気電磁弁と、
前記ヒーブ浮体の底部と接続されることで前記柔軟性防水ハウジングで囲まれた内部空間を外部と連通させる複数の下方排気管と、
前記下方排気管の管口に対応して設置され、且つ吸気量を調整できる複数の下方一方向排気電磁弁と、
上から前記台座に嵌挿し且つ前記柔軟性防水ハウジングの内部に伸びる複数の上方排気管と、
前記上方排気管の管口に対応して設置され、且つ吸気量を調整できる複数の上方一方向排気電磁弁と、を備え、
前記発電システムは、前記出力軸上端に位置する、
ヒーブ浮体式発電酸素増加装置。
【請求項2】
前記柔軟性防水ハウジングにおいて周方向周りに剛性リングが配設されていることを特徴とする、請求項1に記載のヒーブ浮体式発電酸素増加装置。
【請求項3】
前記エネルギー捕捉システムは、前記台座の上に位置して外部から前記ボールねじを覆う剛性保護ハウジングを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のヒーブ浮体式発電酸素増加装置。
【請求項4】
前記ねじ歯車のうちの一つは前記出力軸の前記ラチェットのうちの一つと噛み合い
、前記ねじ歯車のうちのもう一つは前記回転切替輪と噛み合い、前記回転切替輪は前記出力軸の前記ラチェットのうちのもう一つと噛み合うことを特徴とする、請求項1に記載のヒーブ浮体式発電酸素増加装置。
【請求項5】
前記ヒーブ浮体が下へ動くときに、前記柔軟性防水ハウジングによって囲まれる内部空洞の体積が大きくなり、空気は圧力により前記エアフィルターを通っ
て前記吸気管から空洞に入り、海水が空洞に入らないように下方一方向排気電磁弁を閉じ、
前記ヒーブ浮体が上へ動くときに、前記柔軟性防水ハウジングによって囲まれる内部空洞の体積が小さくなり、前記一方向吸気電磁弁により空洞内の空気が上から大気に戻ることを防ぎ、空気は前記下方一方向排気電磁弁を通って海水に入ることを特徴とする、請求項1に記載のヒーブ浮体式発電酸素増加装置。
【請求項6】
前記酸素増加システムは、前記台座の上面に取り付けられ、それぞれ前記一方向吸気電磁弁に接続される複数のエアフィルターを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のヒーブ浮体式発電酸素増加装置。
【請求項7】
海の波高が大きいときに、排気量を減少させるように前記上方一方向排気電磁弁を調整し、排気量を増加させるように前記下方一方向排気電磁弁を調整することで、前記ヒーブ浮体が動くときの抵抗を増加させ、
波高が所定値を超えるときに、前記ヒーブ浮体を高い位置にホバリングさせるように、前記一方向吸気電磁弁、前記上方一方向排気電磁弁、前記下方一方向排気電磁弁を閉じることを特徴とする、請求項1に記載のヒーブ浮体式発電酸素増加装置。
【請求項8】
前記所定値は、装置が安全に作動できる限界波高を超える数値であることを特徴とする、請求項7に記載のヒーブ浮体式発電酸素増加装置。
【請求項9】
前記ヒーブ浮体が風浪によってヒーブ運動するときに、前記ヒーブ浮体に剛接されている前記ボールねじもそれに応じて縦方向に変位し、
二つの前記スリーブシャフトは、前記台座との縦方向の拘束関係により前記ボールねじと相対変位が発生して回転し、それぞれ噛み合った前記ねじ歯車がそれに連れて回転し、
前記ねじ歯車のうちの一つは、前記回転切替輪を介して回転方向を
反転させた後
に前記ラチェットに
回転を伝達し、前記出力軸を一方向に回転させ、
直流発電機を前記出力軸で回転させることで発電する、
請求項1~8のうちいずれか1項に記載のヒーブ浮体式発電酸素増加装置による発電・酸素増加方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波力発電分野に属し、具体的にヒーブ浮体式発電・酸素増加装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化石エネルギーの枯渇と温室効果ガス排出による気候変動はますます深刻になるため、再生可能エネルギーの開発は世界のエネルギー開発の重要な方向性となっている。海水の波のエネルギーは、クリーンで汚染のない再生可能な新エネルギーとして、埋蔵量が多く、分布が広く、エネルギー密度が高く、変換が容易であるという利点があり、新エネルギー研究の重点となっている。海水の波のエネルギーの開発と利用は、エネルギー不足の緩和、環境汚染の削減、沿岸及び島嶼経済の発展、沿岸防御の強化にとって非常に重要である。
【0003】
波力装置は、波エネルギーを利用する主な形態であり、波力装置は、そのエネルギー取得方法により、主に、ヒーブ浮体式、ヒーブ水柱式及び越波式がある。ヒーブ水柱式及び越波式と比較すると、ヒーブ浮体式波力装置は、構造が簡易で、取り付けと補修が便利で、エネルギー変換効率が高く、小さい波に適しているという利点等がある。
【0004】
現在、中国国内のヒーブ浮体式波力装置の伝動機構にはラックピニオン式や油圧式があり、ラックピニオン式は、信頼性が低いため補修に不利であるので、大規模に使用されることは少ない。しかし、現在広く使用されている油圧式伝動機構は、コストやメンテナンス費用が高いという不備がある。よって、構造が簡易でコストが低いねじ歯車式伝動機構は、人々の視野に入ってきたが、それに関する伝動機構の研究は少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題に対し、本発明の目的は、簡易且つ安価なねじ歯車式伝動機構を介して波エネルギーの捕捉と伝達を実現し、発電と酸素増加との二重機能を同時に実現するヒーブ浮体式発電・酸素増加装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エネルギー捕捉システムと、前記エネルギー捕捉システムの内部に位置する転向システム、酸素増加システムと、発電システムとを備え、そのうち、前記エネルギー捕捉システムは、下端が海底に固定されて上端が海から突き出る少なくとも四本の平行な鉄骨フレームと、前記鉄骨フレームの頂端に固定して取り付けられる台座と、伝動機構として、軽く揺動可能に前記台座を貫通し、前記鉄骨フレームと平行な方向に沿って延びるように構成されるボールねじと、前記台座の下に位置して外部から前記ボールねじを囲み、且つ前記ボールねじの軸方向に沿って伸縮可能に構成される柔軟性防水ハウジングと、前記ボールねじの下端と固定して接続されるヒーブ浮体と、を備え、前記転向システムは、前記ボールねじと同軸に取り付けられるスリーブシャフトと、前記スリーブシャフトと異なる軸に取り付けられる出力軸と、同じ方向に前記出力軸に取り付けられる二つのラチェットと、前記スリーブシャフトに取り付けられる二つのねじ歯車と、前記ねじ歯車のうちの1つ及び前記ラチェットのうちの1つとそれぞれ噛み合う回転切替輪と、を備え前記酸素増加システムは、上から前記台座に嵌挿し、且つ下部が前記柔軟性防水ハウジングの内部に伸びて空気通路を形成する複数の吸気管と、前記吸気管の管口に対応して設置され、且つ吸気量を調整できる複数の一方向吸気電磁弁と、前記ヒーブ浮体の底部と接続されることで前記柔軟性防水ハウジングで囲まれた内部空間を外部と連通させる複数の下方排気管と、前記下方排気管の管口に対応して設置され、且つ吸気量を調整できる複数の下方一方向排気電磁弁と、上から前記台座に嵌挿し且つ前記柔軟性防水ハウジングの内部に伸びる複数の上方排気管と、前記上方排気管の管口に対応して設置され、且つ吸気量を調整できる複数の上方一方向排気電磁弁と、を備え、前記発電システムは、前記出力軸上端に位置する、ヒーブ浮体式発電・酸素増加装置を提供している。
【0007】
本発明によれば、上記の新型のヒーブ浮体でエネルギーを捕捉するねじ歯車式伝動機構を利用することにより、従来のラックピニオンは伝動信頼性が低く耐用寿命が短いという欠点を解決し、ねじ歯車式システムのコストが低いという特徴を発揮する。更に、本発明では、柔軟性防水ハウジングとボールねじと各吸排気管とは協力することにより、酸素増加と発電との二重機能の使用を実現することができ、且つ電磁弁を設置して空気弁を制御することにより、二つの機能が独立して作動する時の効果に影響しない。よって、本発明は海洋エネルギーによる浮体のヒーブ方向のエネルギーを捕捉するために新たな構想を提供し、風浪が高いときに吸気管の大きさを調整することで浮体の移動幅を制限して浮体を保護することだけでなく、同時に特定の領域に酸素増加の機能を提供することもできる。更に、柔軟性保護ハウジングと剛性保護ハウジングを設置することにより、ボールねじを保護することができる。
【0008】
本発明において、前記柔軟性防水ハウジングにおいて周方向周りに剛性リングが配設されてもよい。これによって、柔軟性防水ハウジングの径方向の体積膨張を制限し、ガスの排出を確保することができる。
【0009】
本発明において、前記エネルギー捕捉システムは、前記台座の上に位置して外部から前記ボールねじを覆う剛性保護ハウジングを更に備えてもよい。よって、ボールねじを保護することができる。
【0010】
本発明において、前記ボールねじの前記ねじ歯車のうちの一つは前記出力軸の前記ラチェットのうちの一つと噛み合い、前記ボールねじの前記ねじ歯車のうちのもう一つは前記回転切替輪と噛み合い、前記回転切替輪は前記出力軸の前記ラチェットのうちのもう一つと噛み合ってもよい。
【0011】
本発明において、前記ヒーブ浮体が下へ動くときに、前記柔軟性防水ハウジングによって囲まれる内部空洞の体積が大きくなり、空気は圧力により前記エアフィルターを通って低含水量で前記吸気管から空洞に入り、海水が空洞に入らないように下方一方向排気電磁弁を閉じ、前記ヒーブ浮体が上へ動くときに、前記柔軟性防水ハウジングによって囲まれる内部空洞の体積が小さくなり、前記一方向吸気電磁弁により空洞内の空気が上から大気に戻ることを防ぎ、空気は前記下方一方向排気電磁弁を通って海水に入ってもよい。これによって、ヒーブ浮体がヒーブ運動するときに、内部空洞の体積がそれに応じて増加又は減少することで吸気又は排気し、海水中の酸素含有量を増加させることができる。
【0012】
本発明において、前記酸素増加システムは、前記台座の上面に取り付けられ、それぞれ前記一方向吸気電磁弁に接続される複数のエアフィルターを更に備えてもよい。これによって、空気はエアフィルターを通って低含水量で吸気管から空洞に入る。
【0013】
本発明において、海の波高が大きいときに、排気量を減少させるように前記上方一方向排気電磁弁を調整し、排気量を増加させるように前記下方一方向排気電磁弁を調整することで、前記ヒーブ浮体が動くときの抵抗を増加させ、波高が所定値を超えるときに、前記ヒーブ浮体を高い位置にホバリングさせるように、前記一方向吸気電磁弁、前記上方一方向排気電磁弁、前記下方一方向排気電磁弁を閉じてもよい。これによって、排気量を調整することにより、風浪が高いときに、浮体の移動幅を制限して過大な風浪による破壊がないように装置を保護し、風浪が高すぎるときに、作動しないように浮体を最高点にホバリングさせて装置を更に保護する。
【0014】
本発明において、前記所定値は、装置が安全に作動できる限界波高を超える数値であってもよい。
【0015】
本発明は、前記ヒーブ浮体が風浪によってヒーブ運動するときに、前記ヒーブ浮体に剛接されている前記ボールねじもそれに応じて縦方向に変位し、二つの前記スリーブシャフトは、前記台座との縦方向の拘束関係により前記ボールねじと相対変位が発生して回転し、それぞれ噛み合った前記ねじ歯車がそれに連れて回転し、前記ねじ歯車のうちの一つは、前記回転切替輪を介して回転方向の一度切替をした後に、同じ回転方向で同じ方向に取り付けられている二つの前記ラチェットに伝達し、前記出力軸を一方向に回転させ、直流発電機を前記出力軸で回転させることで発電する、上記の発電・酸素増加装置による発電・酸素増加方法を更に提供している。
【発明の効果】
【0016】
上記によれば、本発明は、簡易且つ安価な機械式伝動機構を介して波エネルギーの捕捉と伝達を実現し、発電と酸素増加との二重機能を同時に実現するヒーブ浮体式発電・酸素増加装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るヒーブ浮体式発電・酸素増加装置の斜視図である。
【0018】
【0019】
【0020】
【符号の説明】
【0021】
101 鉄骨フレーム;102 ヒーブ浮体;103 ボールねじ;104 剛性保護ハウジング;105 柔軟性防水ハウジング;106 台座;107 下受け座;108 上受け座;201 スリーブシャフト;202 回転切替輪;203 ねじ歯車;204 ラチェット;205 出力軸;206 転向軸;301 エアフィルター;302 吸気管;303 一方向吸気電磁弁;304 上方排気管;305 下方排気管;306 下方一方向排気電磁弁;307 上方一方向排気電磁弁;401 発電機。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。下記の実施例は本発明に対する更なる説明に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではなく、当業者が本発明の上記内容に基づいてなされる非本質的な改良と調整は共に本発明の保護範囲に属する。下記の例における具体的な工程変量等も適合範囲内の一例に過ぎず、即ち、当業者が本発明の説明に基づいて適当な範囲内で選択できるものであり、下記例の具体的な数値に限定されるものではない。全ての図を通じて、同一又は相当する参照符号は同一要素を示し、その重複する説明を省略する。
【0023】
ここでは、エネルギー捕捉システムと、エネルギー捕捉システムの内部に位置する転向システムと、酸素を増加させる酸素増加システムと、発電する発電システムとを備えるヒーブ浮体式発電・酸素増加装置を開示している。具体的には、
図1は本発明の一実施形態に係るヒーブ浮体式発電・酸素増加装置の斜視図を示し、
図2は
図1に示す装置の部分断面図であり、
図3は
図1に示す装置の内部構造の拡大図であり、
図4は
図1に示す転向システムの拡大図である。
【0024】
図1、
図2に示すように、エネルギー捕捉システムは、四本の鉄骨フレーム101と、ヒーブ浮体102と、ボールねじ103と、剛性保護ハウジング104と、柔軟性防水ハウジング105と、台座106とを備える。そのうち、四本の鉄骨フレーム101は下端が海底に固定され上端が海から突き出、台座106は鉄骨フレーム101の頂端に固定して取り付けられて水平状態になり、ボールねじ103は機械式伝動機構として軽く揺動可能に台座106を貫通し垂直方向に伸びるように構成され、ヒーブ浮体102はボールねじ103の下端に固定して接続され、剛性保護ハウジング104は台座106の上に位置し外部からボールねじ103、転向システム及び発電システムを覆い、柔軟性防水ハウジング105は台座106の下に位置し外部からボールねじ103を囲み、下のヒーブ浮体102及び上の台座106の下面とともに、密閉した内部空洞空間を形成する。柔軟性防水ハウジング105はボールねじ103の軸方向に伸縮可能なに構成され、よって、内部空洞空間は拡大又は縮小することができる。
【0025】
また、
図2、
図3、
図4に示すように、転向システムは一つのスリーブシャフト201、下受け座107、上受け座108、回転切替輪202、二つのねじ歯車203、二つのラチェット204、出力軸205、及び転向軸206を備える。そのうち、スリーブシャフト201はボールねじ103と同軸に取り付けられ、具体的に、スリーブシャフト201はボールねじ103にかぶせられるように設置される。上受け座108及び下受け座107はスリーブシャフト201が上下運動するように制限し、スリーブシャフト201は回転することだけでき、縦方向変位がない。出力軸205、転向軸206及びスリーブシャフト201は異なる軸に取り付けられ、二つのラチェット204は上下に同軸に出力軸205に取り付けられ、二つのねじ歯車203は上下に同軸にスリーブシャフト201に取り付けられ、回転切替輪202は転向軸に取り付けられねじ歯車203のうちの1つ及びラチェット204のうち1のつとそれぞれ噛み合い、具体的に、ねじ歯車203のうちの一つはラチェット204のうちの一つと直接的に噛み合い、ねじ歯車203のうちのもう一つは回転切替輪202と噛み合い、回転切替輪202はラチェット204のうちのもう一つと噛み合い、転向軸206は回転切替輪202と同期して運動し、即ち、回転切替輪202は転向軸206にかぶせられている。本発明の
図2に示す実施形態において、上のラチェット204は回転切替輪202の回転により逆回転するが、これに限定されない。
【0026】
また、
図2、
図3に示すように、酸素増加システムは複数のエアフィルター301、吸気管302、一方向吸気電磁弁303、上方排気管304、下方排気管305、上方一方向排気電磁弁307、下方一方向排気電磁弁306を備える。そのうち、複数の吸気管302は上から台座106に嵌挿し、その下部は柔軟性防水ハウジング105内部に伸びて内部空洞空間と外部空気とを連通させる空気通路を形成し、その管口には吸気量を調整できる複数一方向吸気電磁弁303が対応して設置され、一方向吸気電磁弁303は台座106の上面に設置されるエアフィルター301にそれぞれ接続される。当該エアフィルター301は前記剛性保護ハウジングの外部に位置し、湿気を取り除き、錆の進行を遅くし、内部部材を保護するために使用される。下方排気管305はヒーブ浮体102を通してその底部でその底端と接続されて、内部空洞空間と外部とを連通させる空気通路を形成し、その管口には対応して吸気量を調整できる下方一方向排気電磁弁306が設置される。複数の上方排気管304は上から台座106に嵌挿し、その下部が柔軟性防水ハウジング105の内部に伸びて内部空洞空間と外部空気とを連通させるもう一つの空気通路を形成し、その管口には吸気量を調整できる複数の上方一方向排気電磁弁307が対応して設置される。当該上方排気管304を設置することにより、発電機能が作動するときに内部空洞が密閉することによる過大な圧力抵抗が発生しないように確保し、発電効率の低下を防ぐことができる。上方排気管は吸気管と同じ構造である。
【0027】
また、発電システムは、出力軸205の上端に位置し直流電気を発電できる発電機401を備えるが、これに限定されない。具体的に、本発明において、ヒーブ浮体102は、風浪によってヒーブ運動し、それに剛接されているボールねじ103を上下運動させる。ボールねじ103が上下運動するときに、ボールねじ103の機械式構造の特徴により、当該縦方向の相対変位をスリーブシャフト201及びねじ歯車203の回転に変換させる。より具体的には、本発明に例示する実施形態において、ボールねじ103が上へ動くときに、二つのねじ歯車203は時計回りに回転し、下のラチェット204は反時計回りに回転し、上のラチェット204は回転切替輪202の変換により時計回りに回転し、したがって、反時計回りに回転するラチェット204は発電機401を発電するように駆動し、時計回りに回転するラチェット204は出力軸205と相対運動し、発電機401を発電するように駆動しない。ボールねじ103が下へ動くときに、二つのねじ歯車203は反時計回りに回転し、下のラチェット204は時計回りに回転し、上のラチェット204は回転切替輪202の変換により反時計回りに回転し、反時計回りに回転するラチェット204は発電機401を発電するように駆動し、時計回りに回転するラチェット204は出力軸205と相対運動し、発電機401を発電するように駆動しない。
【0028】
更に、柔軟性防水ハウジング105により形成される内部空洞のサイズは、海洋状況に応じて適応的に調整されることができ、特に限定されない。更に、柔軟性防水ハウジング105の周方向に剛性リングが配設されており、例えば、本発明において、
図1に示すように、柔軟性防水ハウジング105は、折り畳み式伸縮構造として構成され、その突起部分に鋼リングが設置されており、これによって、柔軟性防水ハウジング105の径方向の体積膨張を制限し、ガスがスムーズに排出されるように確保することができる。
【0029】
本発明は上記のように構成されることにより、ヒーブ浮体102が下へ動くときに、柔軟性防水ハウジング105によって囲まれる内部空洞の体積が大きくなり、空気が圧力によってエアフィルター301を通って低含水量で吸気管302から空洞に入り、このとき、海水が空洞に入らないように下方一方向排気電磁弁306を閉じる。ヒーブ浮体102が上へ動くときに、柔軟性防水ハウジング105によって囲まれる内部空洞の体積が小さくなり、一方向吸気電磁弁303により空洞中の空気が上から大気に戻ることを防ぎ、空気は下方一方向排気電磁弁306を通って海水に入る。これによって、ヒーブ浮体102がヒーブ運動するときに、内部空洞の体積もそれに応じて増大又は減少することで吸気又は排気し、海水中の酸素含有量を増加させることができる。
【0030】
更に、海の波高が大きいときに、排気量が小さくするように上方一方向排気電磁弁307を調整し排気量が大きくするように下方一方向排気電磁弁306を調整することで、ヒーブ浮体102が動くときの抵抗が大きくする。波高が所定値を超えるときに、ヒーブ浮体102を高い位置にホバリングさせるように、一方向吸気電磁弁303、上方一方向排気電磁弁307、下方一方向排気電磁弁306を閉じる。これによって、排気量の大きさを調整することにより、風浪が高いときに、浮体の移動幅を制限して過大な風浪による破壊がないように装置を保護し、風浪が高すぎるときに、作動しないように浮体を高い位置にホバリングさせて装置を更に保護する。そのうち、所定値は装置が安全に作動する限界波高であり、具体的な状況によって決められてもよい。
【0031】
本発明によれば、上記新しいヒーブ浮体102でエネルギーを補足する機械式伝動機構を利用することにより、従来のラックピニオンは伝動信頼性が低く、耐用寿命が短いという欠点を解決し、機械式システムのコストが低いという特徴を発揮した。更に、柔軟性防水ハウジング105とボールねじ103と各吸排気管とは協力することにより、本発明は、酸素増加と発電との二重機能の使用を実現することができ、且つ、電磁弁を設置して空気弁の制御することにより、二つの機能が独立して作動するときの効果に影響しない。よって、本発明は、海洋エネルギーによる浮体のヒーブ方向のエネルギーを捕捉するために新たな構想を提供し、風浪が高いときに吸気管302を調整することで浮体の移動幅を制限して浮体を保護することだけでなく、同時に特定の領域に酸素増加の機能を提供することもできる。更に、柔軟性保護ハウジング105と剛性保護ハウジング104を設置することでボールねじを保護することができる。
【0032】
上記実施形態は、本発明の目的、技術方案、及び有益な効果をさらに詳しく説明した。上記は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明は、本発明の基本的特徴を逸脱することなく、様々な形態で実施することができる。したがって、本発明の実施形態は、限定ではなく説明のためである。本発明の範囲は明細書ではなく特許請求の範囲によって限定されるため、特許請求の範囲によって限定される範囲またはその限定された範囲の同等の範囲内にあるすべての変更は、特許請求の範囲に含まれる。本発明の精神および原則の範囲内になされる修正、同等の交換、改良などは、本発明の保護範囲に含まれる。