(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ワイピングシート
(51)【国際特許分類】
A47L 13/17 20060101AFI20230421BHJP
C11D 7/22 20060101ALI20230421BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20230421BHJP
D21H 17/26 20060101ALI20230421BHJP
C08B 11/12 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
A47L13/17 A
C11D7/22
C11D17/06
D21H17/26
C08B11/12
(21)【出願番号】P 2018218987
(22)【出願日】2018-11-22
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 拓也
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-068463(JP,A)
【文献】特開2005-329258(JP,A)
【文献】特表2006-525440(JP,A)
【文献】特開2011-224385(JP,A)
【文献】特開2008-291409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/17
C11D 7/22
C11D 17/06
D21H 17/26
C08B 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ及びバインダを含む繊維シートに水性薬剤が含浸されてなるワイピングシートであって、
前記水性薬剤が、カルボキシメチルセルロース又はその塩を含み、該水性薬剤の25℃における粘度が1000mPa・s以上5000mPa・s以下であり、
前記カルボキシメチルセルロース又はその塩は、そのエーテル化度が
0.85以上
0.95以下である、ワイピングシート。
【請求項2】
前記水性薬剤が、カルボキシメチルセルロース又はその塩を1質量%以上20質量%以下含む、請求項1に記載のワイピングシート。
【請求項3】
前記パルプの繊維粗度が0.18mg/m未満である、請求項1又は2に記載のワイピングシート。
【請求項4】
前記繊維シートは水分散可能である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のワイピングシート。
【請求項5】
前記繊維シートの乾燥質量に対して前記水性薬剤が100質量%以上300質量%以下含浸されている、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のワイピングシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイピングシートに関する。
【背景技術】
【0002】
床面等の建物や、トイレ、台所等の水回りの清掃に、ウエットタイプの清掃用シートが汎用されている。本出願人は先に、坪量40~200g/m2の不織布に、アミノ変成シリコーン及び増粘剤を含む水性洗浄剤が含浸されてなる清掃用シートを提案した(特許文献1参照)。また本出願人は、パルプ及びバインダを含有する実質的に水分散可能な繊維シートに水性薬剤が含浸されてなり、該パルプとしてその繊維粗度が0.18mg/m未満であるものを用いた水解性物品を提案した(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-164407号公報
【文献】特開2008-291409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び2に記載のシートは、塵や綿ほこり等の微細な汚れの捕集性と、毛髪等の繊維汚れの捕集性とを両立して高めることに関して改善の余地があった。
【0005】
したがって、本発明の課題は、従来技術の欠点を解決し得るワイピングシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、パルプ及びバインダを含む繊維シートに水性薬剤が含浸されてなるワイピングシートであって、
前記水性薬剤が、カルボキシメチルセルロース又はその塩を含み、該水性薬剤の25℃における粘度が1000mPa・s以上5000mPa・s以下であり、
前記カルボキシメチルセルロース又はその塩は、そのエーテル化度が0.8以上1.0以下である、ワイピングシートを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塵や綿ほこり等の微細汚れの捕集性と、毛髪等の繊維汚れの捕集性とに優れたワイピングシートが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のワイピングシートを、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明のワイピングシートは、パルプ及びバインダを含む繊維シートに水性薬剤が含浸されてなるものである。すなわち、ワイピングシートは湿式のシートである。本明細書におけるワイピングとは、清掃及び清拭の両方の意味を含むものであり、例えば、床面、壁面、天井及び柱等の建物の清掃、建具や備品の清掃、物品の拭き取り、身体及び身体に係る器具の清拭等が含まれる。
【0009】
繊維シートは、パルプ及びバインダを含む。パルプとしては、例えば、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒しサルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)等の漂白された木材パルプ;、コットン、麻等の天然パルプ;レーヨン、リヨセル、キュプラ等の再生パルプ;化学処理を施してアルカリ膨潤したマーセル化パルプ、螺旋構造を有する化学架橋パルプ、微小繊維状セルロースなどが挙げられる。これらは単独で又は複数組み合わせて用いることができる。これらのうち、シートの柔軟性及び強度を両立する観点から、NBKP及びNBSPのうち少なくとも一方を用いることが好ましく、NBKP及びNBSPの双方を用いることが更に好ましい。
【0010】
繊維シートに含まれるパルプの含有量は、該繊維シートの全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが更に好ましく、また、100質量%以下であることが好ましく、97質量%以下であることが更に好ましい。
【0011】
本発明の効果が奏される限り、繊維シートの構成繊維として、パルプ以外の他の繊維を含んでいてもよい。他の繊維としては、例えば、ポリビニルアルコール繊維や他のポリオレフイン系繊維、ポリエステル系繊維、生分解性を有するポリ乳酸を用いた繊維等が挙げられる。これら他の繊維の含有量は、繊維シートの全質量に対して、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下であり、更に好ましくは実質的に非含有である。
【0012】
本発明のワイピングシートを構成する繊維シートは、バインダを含む。バインダは、後述する水性薬剤を繊維シートに含浸させたときに、使用時に耐えうる十分な湿潤強度を発現させるためのものである。バインダの含有量は、繊維シートの全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、また20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
【0013】
バインダとしては、例えばカルボキシル基を有するバインダのようなアニオン性バインダ、ポリビニルアルコール、デンプン又はその誘導体、アルギン酸ナトリウム、トラントガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ガラクトマンナン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、プルプラン、ポリエチレンオキシド、ビスコース、ポリビニルエチルエーテル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸のヒドロキシル化誘導体、ポリビニルピロリドン/ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。本発明のワイピングシートを後述するように水分散可能とする場合、これらのバインダのうち、アニオン性バインダ及びポリビニルアルコールを用いることが好ましい。これらのバインダは、単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
【0014】
アニオン性バインダは、水中で容易にカルボキシラートを生成するアニオン性のバインダである。その例としては多糖誘導体、合成高分子、天然物が挙げられる。
【0015】
多糖誘導体としてはカルボキシメチルセルロース又はその塩、カルボキシエチルセルロース又はその塩、カルボキシメチル化デンプン又はその塩などが挙げられる。
【0016】
合成高分子としては、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体の塩、不飽和カルボン酸と該不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体との共重合体の塩などが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。これらと共重合可能な単量体としては、これら不飽和カルボン酸のエステル、酢酸ビニル、エチレン、アクリルアミド、ビニルエーテルなどが挙げられる。特に好ましい合成高分子は、不飽和カルボン酸としてアクリル酸やメタクリル酸を用いたものであり、具体的にはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸メタクリル酸共重合体の塩、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル酸アルキル又はメタクリル酸アルキルとの共重合体の塩が挙げられる。
【0017】
天然物としては、アルギン酸ナトリウム、ザンサンガム、ジェランガム、タラガントガム、ペクチンなどが挙げられる。
【0018】
繊維シートの湿潤強度を高める観点から、バインダは、カルボキシメチルセルロース(CMC)のアルカリ金属塩であることが更に好ましい。同様の観点から、バインダとして含まれるCMCは、そのエーテル化度が好ましくは0.8以上、更に好ましくは0.85以上であり、また好ましくは1.2以下、更に好ましくは1.1以下である。
【0019】
エーテル化度は、例えば以下の方法で測定することができる。すなわち、測定試料としてCMC又はCMC塩(無水物)の0.5g~0.7gを精密に量りとり、該試料をろ紙に包んで磁製ルツボ中で加熱して灰化させたあと、冷却する。冷却された灰化後の試料を500mLビーカーに移し、これに水を約250mL、及び0.05mol/L硫酸を35mLを加えて混合液とし、該混合液を30分間煮沸し、その後冷却する。冷却後の混合液にフェノールフタレイン指示薬を加えて、該混合液に残存する過剰の酸を0.1mol/L水酸化カリウム水溶液で逆滴定して、水酸化カリウムの滴定量に基づいて、以下の式(1)及び(2)からエーテル化度を算出する。
【0020】
A=〔((a×f)-(b×f’))/C〕-P ・・・式(1)
エーテル化度(mol/C6)=G×A/(10000-(J×A) ・・・式(2)
(A:測定試料1g当たりの消費された0.05mol/L硫酸量[mL/g]、a:0.05mol/L硫酸の使用量[mL]、f:0.05mol/L硫酸の力価係数、b:0.1mol/L水酸化カリウムの滴定量[mL]、f’:0.1mol/L水酸化カリウムの力価係数、C:測定試料の質量[g]、P:アルカリ度[mL/g]、G:グルコースの分子量(162)、J:CH2COONaの分子量と水素の分子量との差(80))
【0021】
上述のアルカリ度Pは、例えば以下の方法で測定することができる。測定試料としてCMC又はCMC塩(無水物)約1gを300mLビーカーに精密に量りとり、約200mLの水を加えて混合し、混合液とする。この混合液に0.05mol/Lの硫酸5mLを加え、10分間煮沸したのち冷却する。冷却後の混合液にフェノールフタレイン指示薬を加え、0.1mol/Lの水酸化カリウム水溶液で滴定する。また、空試験を行い、以下の式(3)からアルカリ度Pを算出する。
P=(b-s)×f’/C ・・・式(3)
(b:0.1mol/L水酸化カリウムの滴定量[mL]、s:空試験での0.1mol/L水酸化カリウムの滴定量[mL]、f’:0.1mol/L水酸化カリウムの力価係数、C:測定試料の質量[g])
【0022】
同様の観点から、バインダとして含まれるCMCのアルカリ金属塩は、25℃における1質量%水溶液の粘度が、好ましくは10mPa・s以上、更に好ましくは15mPa・s以上であり、また好ましくは40mPa・s以下、更に好ましくは35mPa・s以下である。同様に、CMC塩は、25℃における5質量%水溶液の粘度が好ましくは2500mPa・s以上、更に好ましくは2700mPa・s以上であり、また好ましくは4000mPa・s以下、更に好ましくは3800mPa・sである。また同様に、バインダとして含まれるCMCは、60℃における5質量%水溶液の粘度が、好ましくは1200mPa・s以下である。CMC水溶液の粘度は、例えばTVB-10形粘度計(東機産業社製)を用いて、適切なローターを取り付け、ローター回転数を60rpmで回転させて測定を開始したときに、測定開始3分後の値とすることができる。
【0023】
本発明のワイピングシートは、上述した繊維シートに水性薬剤が含浸されてなるものである。水性薬剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩を含む水溶液であり、水性薬剤の25℃における粘度が好ましくは1000mPa・s以上、更に好ましくは1100mPa・s以上、また、好ましくは5000mPa・s以下、更に好ましくは3000mPa・s以下である。水性薬剤の粘度は、例えばワイピングシートを絞る、押圧する、又は固液分離するなどの方法でワイピングシートから抽出した抽出液を用いて、バインダにおけるCMCの粘度の測定方法と同様の方法で測定することができる。水性薬剤の粘度を上述の範囲とするためには、例えばCMC又はその塩の含有量を調整したり、水の含有量を調整したり、後述するエーテル化度を有するCMCを用いたりすることによって適宜調整することができる。
【0024】
水性薬剤に含まれるCMCの塩としては、CMCの金属塩が好ましく用いられ、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩や、カルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらのうち、製造時及び使用時の取扱い性の観点から、水性薬剤は、CMCの塩を含むことがより好ましく、CMCのナトリウム塩を含むことが更に好ましい。
【0025】
水性薬剤に含まれるCMC又はその塩は、用いられるCMCのエーテル化度が、0.8以上であることが好ましく、0.85以上であることが更に好ましく、また1.0以下であることが好ましく、更に好ましくは0.95以下である。水性薬剤に含まれるCMC又はその塩のエーテル化度及び水溶液の粘度は、バインダにおけるCMCの粘度の測定方法と同様に測定することができる。
【0026】
以上の構成を有する本発明のワイピングシートによれば、パルプ繊維が、塵や綿ほこり等の微細汚れ及び毛髪等の繊維汚れに絡みついたり引っかかったりすることによって、各種汚れを物理的に捕集できる。これに加えて、本発明のワイピングシートは、水性薬剤にCMC又はその塩を含むことによって、水性薬剤の粘度を高めることに起因するパルプ繊維と各種汚れとの相互作用を高く発現させ、各種汚れをシートに吸着するように首尾よく捕集できるようになる。その結果、塵や綿ほこり等の微細汚れの捕集性と、毛髪等の繊維汚れの捕集性とが優れたものとなる。
【0027】
特に、本発明の好適な形態によれば、水性薬剤の粘度を上述の好適な範囲とすることによって、微細汚れ及び繊維汚れの捕集性をより高めるとともに、清掃後の清掃対象面のべたつき等を低減し、清掃後の使用感を高めるという利点も奏される。また、水性薬剤に用いられるCMCのエーテル化度を上述の好適な範囲とすることによって、塵や綿ほこり等の微細汚れの捕集性に加えて、毛髪等の繊維汚れの捕集性をより高めることができるという利点も奏される。
【0028】
水性薬剤に含まれるCMC又はその塩の含有量は、水性薬剤の全質量に対して、1質量%以上含むことが好ましく、2質量%以上含むことが更に好ましく、また20質量%以下含むことが好ましく、8質量%以下であることが好ましい。水性薬剤中のCMC又はCMCの塩の含有量がこのような範囲であることによって、シートの構成繊維と汚れとの相互作用を一層高めることができ、その結果、微細汚れ及び繊維汚れの捕集性を一層高めることができる。水性薬剤にCMC塩を含む場合、その含有量は、CMC換算での質量ではなく、CMC塩の質量に基づくものである。
【0029】
本発明のワイピングシートは、水性薬剤にCMC又はその塩を含んでいるので、従来技術と比較して、ワイピングシートにおける清掃に供される面(清掃対象面と対向する面)でのCMC又はその塩の存在量が高くなっている。特にバインダとしてCMCを含む場合であっても、バインダとして用いられるCMCは水性薬剤に溶出しにくくなっているので、以下の方法で測定することによって、水性薬剤に含まれるCMC又はその塩の含有量を決定することができる。すなわち、エネルギー分散型X線分光器を用いて得られたNa元素の存在量から、水性薬剤に含まれるCMC又はその塩の含有量を算出することができる。
【0030】
水性薬剤に含まれる水の含有量は、汚れの捕集性の向上と繊維シートの湿潤強度との両立を図る観点から、水性薬剤の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることが更に好ましく、また80質量%以下であることが好ましく、70質量%であることが更に好ましい。
【0031】
同様の観点から、水性薬剤に用いられるCMC又はその塩の1質量%水溶液の25℃における粘度が、30mPa・s以上であることが好ましく、1000mPa・s以上であることが更に好ましく、また5000mPa・s以下であることが好ましく、4000mPa・s以下であることが更に好ましい。また、水性薬剤に用いられるCMC又はその塩は、25℃における5質量%水溶液の粘度が、1000mPa・s以上であることが好ましく、1100mPa・s以上であることが更に好ましく、また5000mPa・s以下であることが好ましく、3000mPa・s以下であることが更に好ましい。
【0032】
ワイピングシートにおける繊維シートを構成するパルプは、その繊維粗度が特定の範囲であることが好ましい。繊維粗度とは、パルプのように繊維の太さが長さ方向に一定ではない繊維の太さを表す尺度であり、その値が小さいほど繊維が細いことを意味する。詳細には、パルプの繊維粗度が、0.18mg/m未満であることが好ましく、0.17mg/m未満であることが更に好ましい。繊維粗度の下限値に特に制限はなく、小さければ小さいほど好ましいが、0.1mg/m程度、特に0.15mg/m程度に繊維粗度が小さければ、本発明の効果が十分に奏される。パルプの繊維粗度がこのような範囲であることによって、本発明のワイピングシートは、塵や綿ほこり等の微細汚れ及び毛髪等の繊維汚れの捕集性が一層優れたものとなる。これに加えて、ワイピングシートの湿潤強度が高く、使用時に十分な強度を発現できるという利点も奏される。
【0033】
使用後のワイピングシートを容易に廃棄可能とし、周囲環境の清潔さを保つ観点から、ワイピングシートを構成する繊維シートは、水分散可能であることが好ましい。すなわち、ワイピングシートは、水分散可能であることが好ましい。水分散可能とは、シートを多量の水中に投入すると、該シートの形状が崩れてシートの構成繊維が水中に分散してしまうが、水性薬剤の含浸によってはシートの形状が崩壊しないものを指す。このように、シートが水分散可能な性質を有していることによって、水洗トイレ等の多量の水の存在下に使用後のワイピングシートを廃棄したときに、該シートの形状が崩壊するので、容易に下水へ流すことが可能となる。
【0034】
水分散可能か否かの程度は、例えばJIS P 4501に準じてほぐれやすさとして測定することができ、この値が低いほどシートの水分散性が良好なものとなる。繊維シートは、JIS P 4501に準じて測定したほぐれやすさの時間(水解時間)が、100秒未満であれば水分散可能であることを意味し、好ましくは80秒以下である。
【0035】
繊維シートの湿潤強度と汚れの捕集性能とを両立する観点から、水性薬剤の含浸量は、繊維シートの乾燥質量に対して、100質量%以上であることが好ましく、180質量%以上であることが更に好ましく、また300質量%以下であることが好ましく、250質量%以下であることが更に好ましい。
【0036】
本発明に用いられる水性薬剤は、本発明の効果が奏される限り、上述した成分に加えて、ワイピングシートに一般的に用いられる他の成分を含有させることができる。他の成分としては、例えば水溶性有機溶剤、バインダの架橋剤、界面活性剤、防腐剤、キレート剤、電解質物質、色素、香料、酸化防止剤、pH調整剤等を適宜含有させることができる。
【0037】
本発明に用いられる水性薬剤は、清掃性の向上と水性薬剤中の成分の分散性とを高める観点から、水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えばアルコール類やポリオール類、グリコールエーテル類を含有させることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の一価アルコールが挙げられる。ポリオール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール等のアルキレングリコール類、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール(DPG)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール等のポリアルキレングリコール類、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類等が挙げられる。
【0038】
また、グリコールエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。これらのポリオール類及びグリコールエーテルは、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
水溶性有機溶剤の含有量は、汚れの捕集性を高める観点から、水性薬剤の全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、また30質量%以下であることが好ましく、25質量%であることが更に好ましい。水溶性有機溶剤を二種以上を組み合わせて用いる場合には、これらの質量に基づいた含有量とする。水溶性有機溶剤の含有量がこのような範囲にあることによって、シートのべたつき等を低減し、清掃後の使用感が良好なものとなる。
【0040】
清掃時における繊維シートの湿潤強度を十分に発現させる観点から、水性薬剤は、上述したバインダの架橋剤を含むことが好ましい。繊維シートに含まれるバインダとして、例えばCMC等のアニオン性バインダを用いる場合、架橋剤は、多価金属塩を用いることが好ましく、多価金属の水溶性塩を用いることが更に好ましい。多価金属としては、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルト及びニッケルからなる群から選択される1種又は2種以上の金属を用いることができる。また、これらの金属塩としては、上述した金属の水酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、ギ酸塩、酢酸塩等が挙げられる。金属イオンは、バインダにおけるカルボキシル基1モルに対して0.25モル以上、特に0.5モル以上の量となるように添加されることが、更に好ましい。バインダの架橋剤を含むことによって、繊維シートを水分散可能なものとした場合、湿潤強度と水分散性とをバランスよく発現させることができる。
【0041】
水性薬剤に含まれる架橋剤の含有量は、湿潤強度と水解性とのバランスを首尾よく得る観点から、水性薬剤の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることが更に好ましく、また5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることが更に好ましい。
【0042】
汚れの捕集性能を高める観点から、水性薬剤は、界面活性剤を含むことも好ましい。本発明に用いられる界面活性剤としては、例えばイオン性界面活性剤や、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。イオン性界面活性剤としては、例えばセチルリン酸ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム等の陽イオン性界面活性剤や、アルキルベンゼンスルホン酸等の陰イオン性界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン等が挙げられる。これらは本発明の効果が奏される限りにおいて、単独で又は複数組み合わせて用いてもよい。
【0043】
水性薬剤に界面活性剤を含有させる場合、界面活性剤の含有量は、汚れの捕集性能の向上及び使用感の向上の観点から、水性薬剤の全質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%である。界面活性剤を二種以上含有する場合、含有量は界面活性剤の合計量とする。
【0044】
製品の保存安定性を高める観点から、水性薬剤は、防腐剤を含むことが好ましい。防腐剤としては、例えば安息香酸及びその塩、パラオキシ安息香酸アルキルやパラオキシ安息香酸ベンジル等のパラベン類、フェノキシエタノール、エチルヘキサンジオール等が挙げられる。これらは単独で又は複数組み合わせて用いてもよい。
防腐剤の含有量は、水性薬剤の全質量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.8質量%以下であることが好ましい。防腐剤を二種以上含有する場合、含有量は防腐剤の合計量とする。
【0045】
繊維シートの坪量は、シート強度と水性薬剤の含浸性とを両立する観点から、好ましくは20g/m2以上、更に好ましくは30g/m2以上であり、また好ましくは100g/m2以下であり、更に好ましくは80g/m2以下である。同様の観点から、繊維シートの湿潤時の厚みは、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上であり、また好ましくは1.0mm以下、更に好ましくは0.8mm以下である。ここで、ワイピングシートの厚みは、乾燥状態の繊維シート1質量部に対し水を2質量部含浸させて湿潤状態とし、この湿潤状態の繊維シートの360Paの圧力下での厚みを、ダイヤルゲージ式又はレーザー式変位計により測定したものである。
【0046】
本発明のワイピングシートは、例えばパルプを含む分散液からシート状のパルプ集合体を湿式抄紙して、該パルプ集合体をプレス脱水或いは半乾燥し、その後にバインダを塗工して乾燥或いは塗工乾燥して、パルプ及びバインダを含む繊維シートとし、次いで、この繊維シートに水性薬剤を含浸させることによって製造することができる。湿式抄紙に用いられる湿式抄紙機としては、例えば短網抄紙機、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、オントップ抄紙機、ハイブリッド抄紙機、丸網抄紙機等が挙げられる。シートの乾燥に用いられる乾燥装置としては、例えばスルーエアードライヤーやヤンキードライヤー等が挙げられる。繊維シートへの水性薬剤の含浸方法は、例えばグラビアコーターやダイコーター、スプレー等による塗布が挙げられる。
【0047】
繊維シートは、単層構造のシートであってもよく、多層構造のシートであってもよい。また、繊維シートの一面又は両面に凹凸が多数形成されていても良く、繊維シートの厚み方向に貫通する開孔部が多数形成されていても良い。多層構造のシートは、例えば単層構造のシートを重ね合わせて、バインダ又は水溶性接着剤等によって接合したり、エンボス加工等の接合加工を行うことによって製造することができる。
【0048】
以上の構成を有する本発明のワイピングシートは、使用時における十分なシート強度を有しつつ、塵や綿ほこり等の微細汚れの捕集性と、毛髪等の繊維汚れの捕集性とに優れたものである。本発明のワイピングシートは、該シート単体で、又はワイパーなどの清掃用具に装着させて、床面、壁面等の建物、戸棚、窓ガラス、鏡、ドア、ドアノブ等の建具、ラグ、カーペット、机食卓等の家具、トイレ、洗面所、台所等の水回り、その他の備品や物品の清掃に好適に用いられる。
【0049】
また上述の用途の他に、本発明のワイピングシートは、ウエットティッシュ、メーク落としシート、虫よけシート、日焼け止めシート等として、ヒトの顔、頭皮、腕、脚、関節、腋下などの身体の皮膚表面の清拭に好適に用いられる。また、本発明のワイピングシートは、水分散可能な構成とした場合、使用後のワイピングシートはそのまま水に流して廃棄することもできるので、廃棄が容易であり且つ周囲環境の清潔感が向上するという利点もある。
【0050】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0052】
〔実施例1〕
パルプとして、90質量%のNBKPを混合したものを用いた。このパルプを水に分散させて、繊維濃度が2質量%のスラリーを得た。このスラリーを短網抄紙機に導入し湿式抄紙して得られた湿紙の一方の面に、バインダとしてCMCナトリウム塩(日本製紙株式会社製、サンローズ(登録商標)、型番:FT-3)の5質量%水溶液をスプレーによって噴霧塗布した。この湿紙をドライヤーで乾燥し、バインダが一方の面に塗布された単層構造の紙を得た。得られた単層構造の紙の坪量は40g/m2であった。得られた単層紙を、それらのバインダの塗布面どうしが対向するように重ね合わせ、その状態で室温でエンボス加工を施し、坪量80g/m2の水分散可能な繊維シートを得た。得られた繊維シートは、長さ250mm×幅250mmの寸法を有していた。バインダの含有量は、繊維シートの合計質量に対して5質量%であった。
【0053】
次いで、得られた繊維シートに、CMCナトリウム塩(日本製紙株式会社製、サンローズ(登録商標)、型番:FT-3)を以下の表1に示す割合で混合した水性薬剤をスプレー塗布によって含浸させて、ワイピングシートを得た。水性薬剤は、その25℃における粘度を1181mPa・sに調整して、繊維シートに含浸させた。水性薬剤の含浸量は、繊維シートの乾燥質量に対して210質量%とした。水性薬剤は、CMCナトリウム塩に加えて、界面活性剤、水溶性有機溶剤及びバインダの架橋剤を含む水溶液とした。
【0054】
〔実施例2〕
実施例1で用いたCMCナトリウム塩を以下の表1に示す割合で混合し、25℃における粘度を4887mPa・sに調整した水性薬剤を繊維シートに含浸させたほかは、実施例1と同様にしてワイピングシートを得た。
【0055】
〔実施例3ないし5〕
以下に示すCMCナトリウム塩を用いて、以下の表1に示す割合で混合した水性薬剤を繊維シートに含浸させたほかは、実施例1と同様にしてワイピングシートを得た。各実施例で用いたCMCナトリウム塩のエーテル化度、及び水性薬剤の25℃における粘度は、以下の表1に示すとおりであった。
【0056】
実施例3ないし5は、以下のCMCナトリウム塩を用いた。
・実施例3:CMCナトリウム塩(日本製紙株式会社製、サンローズ(登録商標)、型番:F350HC)
・実施例4:CMCナトリウム塩(日本製紙株式会社製、サンローズ(登録商標)、型番:F60HC)
・実施例5:CMCナトリウム塩(日本製紙株式会社製、サンローズ(登録商標)、型番:F04LC)
【0057】
〔比較例1〕
CMC又はその塩を含まない水性薬剤を繊維シートに含浸させたほかは、実施例1と同様にしてワイピングシートを得た。本比較例の水性薬剤の25℃における粘度は、以下の表1で示すとおりであった。
【0058】
〔比較例2ないし7〕
実施例1で用いたCMCナトリウム塩を以下の表1に示す割合で混合した水性薬剤を繊維シートに含浸させたほかは、実施例1と同様にしてワイピングシートを得た。各比較例の水性薬剤の25℃における粘度は、以下の表1で示すとおりであった。
【0059】
〔比較例8ないし10〕
以下に示すCMCナトリウム塩を用いて、以下の表1に示す割合で混合した水性薬剤を繊維シートに含浸させたほかは、実施例1と同様にしてワイピングシートを得た。各比較例で用いたCMCナトリウム塩のエーテル化度、及び水性薬剤の25℃における粘度は、以下の表1に示すとおりであった。
【0060】
比較例8ないし10は、以下のCMCナトリウム塩を用いた。
・比較例8:CMCナトリウム塩(日本製紙株式会社製、サンローズ(登録商標)、型番:F10LC)
・比較例9:CMCナトリウム塩(日本製紙株式会社製、サンローズ(登録商標)、型番:F20LC)
・比較例10:CMCナトリウム塩(日本製紙株式会社製、サンローズ(登録商標)、型番:F50LC)
【0061】
〔毛髪の捕集性の評価〕
本評価では、実施例及び比較例のワイピングシートに500gの荷重を負荷した状態で、繊維汚れとして10cmの毛髪を1畳(長さ1820mm×幅910mm)当たり20本散布した塩化ビニル板(サンゲツ株式会社製、商品名:クッションフロア 石目 ビアンコ(HM-2074))の面を0.5畳分清掃した。ワイピングシートは、その長手方向と塩化ビニル板の長さ方向とを一致させて、シート幅方向に5往復させた。5往復の清掃終了後にワイピングシートに捕集された毛髪の本数をそれぞれ測定して、以下の計算式から捕集率(%)を算出し、毛髪の捕集性を評価した。捕集率が高いほど、毛髪の捕集性に優れたものである。結果を表1に示す。表1中、「‐」で示す比較例は本評価を行わなかった。
【0062】
<計算式>
毛髪の捕集率(%)=100×(清掃終了後にワイピングシートに捕集された毛髪の本数[本])/(散布した毛髪の本数[本])
【0063】
〔綿ほこりの捕集性の評価〕
本評価では、実施例及び比較例のワイピングシートに500gの荷重を負荷した状態で、モデル綿ほこりとして繊維長さが2~5mm程度のアクリル繊維を1畳当たり0.1g散布した前記塩化ビニル板の面を0.5畳分清掃した。ワイピングシートの移動方向及び回数は、毛髪の捕集性の評価と同様とした。モデル綿ほこりが散布された清掃前の塩化ビニル板の状態と、5往復の清掃終了後の塩化ビニル板の状態とを目視にて観察し、以下の基準で綿ほこりの捕集性を評価した。表1中、「‐」で示す比較例は本評価を行わなかった。
【0064】
<綿ほこりの捕集性>
○:清掃終了後はモデル綿ほこりが板面に全く残っていない。
△:清掃終了後はモデル綿ほこりが板面に一部残っているが、清掃前の状態より少なくなっている。
×:清掃終了後であってもモデル綿ほこりが板面に残っており、清掃前の状態とほぼ変わらない。
【0065】
〔ワイピングシートの水分散性の評価〕
実施例及び比較例のワイピングシートについて、JIS P 4501に準じて水分散性を評価した。水300mL(水温20±5℃)を入れた300mLのビーカーをマグネチックスターラーに載せ、回転子(直径35mm、厚さ12mmの円盤状)の回転数を600±10回転/分になるように調整した。その中に114mm(×114mmの寸法を有する繊維シートを投入し、ストップウォッチを開始した。回転子の回転数が、540回転までに回復した時点でストップウォッチを止め、その時間を1秒単位で測定した。この測定を3回行い、その算術平均値を水解時間(秒)とする。水解時間が100秒未満であれば、水分散性が良好である(表1中、「○」で示す。)と判断し、水解時間が100秒以上であれば、水分散性が不良(表1中、「×」で示す。)と判断した。結果を以下の表1に示す。表1中、「‐」で示す比較例は本評価を行わなかった。
【0066】
〔ワイピングシートの強度の評価〕
シートの強度の評価は、実施例又は比較例のワイピングシートを上述の〔毛髪の捕集性の評価〕及び〔綿ほこりの捕集性の評価〕に供したときのシートの状態を目視にて観察し、以下の基準でシート強度を評価した。
【0067】
<シート強度>
○:清掃終了後にシートの破断や形状の崩壊が観察されず、シート強度が高い。
△:清掃中にシートの破断や形状の崩壊が一部観察されたが、清掃に使用可能なシート強度を有する。
×:清掃中にシートの破断や形状の崩壊が観察され、清掃に使用できない程度にシート強度が低い。
【0068】
【0069】
表1に示すように、好適な範囲のエーテル化度を有するCMCの塩を含み、且つ好適な範囲の粘度を有する水性薬剤が含浸された各実施例のワイピングシートは、CMC又はその塩を含まない水性薬剤が含浸された比較例1や、好適な範囲でないエーテル化度のCMCを含むか、又は好適な範囲でない粘度を有する水性薬剤が含浸された比較例2ないし10のワイピングシートと比較して、綿ほこりの捕集性と毛髪の捕集性とが両立して優れたものとなる。なお、比較例7のワイピングシートは、清掃中にシートが破断する程度にシート強度が低いものであったので、捕集性に関する評価を行わなかった。
【0070】
また、比較例7を除く実施例及び比較例のワイピングシートはいずれも、その使用時に十分なシート強度を有していたが、多量の水中ではシートの形状が容易に崩壊し、水分散性が良好なものであった。比較例7のワイピングシートは、清掃中にシートが破断する程度にシート強度が低いものであったので、水分散性の評価を行わなかった。
【0071】
したがって、本発明のワイピングシートは、水性薬剤にCMC又はその塩を含むことによって、塵や綿ほこり等の微細汚れの捕集性と、毛髪等の繊維汚れの捕集性とが両立して優れたものとなる。また、本発明のワイピングシートは、繊維シートを水分散可能な構成とした場合であっても、使用時に十分なシート強度を有しているものである。